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報道

河川の3分の2、ダムなど人工物で分断 生態系に深刻な影響

2019年5月10日
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世界最長級の河川のほぼ3分の2がダム、貯水池など人工建造物によって分断されているという研究結果が発表されました。その記事を掲載します。


河川の3分の2、ダムなど人工物で分断 生態系に深刻な影響

(AFPBB News 2019/5/9(木) 15:08配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190509-00000025-jij_afp-sctch&p=1

(写真)コンゴ川に造られたダム(2013年12月16日撮影、資料写真)。【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】世界最長級の河川のほぼ3分の2がダム、貯水池など人工建造物によって分断されているとの研究結果が8日、発表された。これにより、地球上で最も重要な生態系の一部に深刻な被害が生じているという。
国際研究チームは、最新の衛星データとモデル化ソフトウエアを用いて1200万キロに及ぶ世界の河川の連結性を調べ、河川に対する人的影響を世界で初めて評価した。
その結果、全長1000キロを超える91本の河川のうち、水源から海まで直接的な連結性を保っているものは21本しかないことが明らかになった。
さらに、最長級河川242本のうち自由な流れが保持されているのは、全体の3分の1をわずかに上回る37%にとどまった。このことが生物多様性に計り知れない影響を与えていると、専門家らは指摘している。
8日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文の筆頭執筆者で、カナダ・マギル大学(McGill University)地理学部のガンサー・グリル(Gunther Grill)氏は「世界の河川は、陸地、地下水、大気などと極めて重要なつながりを持つ複雑なネットワークを形成している」と話す。
「自由に流れる河川は、人間にとっても環境にとっても同様に重要だが、世界的な経済発展により、ますます希少となっている」
自由な流れを保持している河川の大半は、北極圏、アマゾン川(Amazon River)やコンゴ川(Congo River)の流域などの遠隔地に限られていることも明らかになっている。
今回の研究は、人的活動が河川にいかに多大な影響を与えているかという詳細を浮き彫りにした。
現在、世界に存在する280万基のダムのうち、河川を分断している高さ15メートル以上の大型ダムは全部で6万基に達すると推定されている。
河川を分断し、せき止めると、農業によって失われる栄養物を補うために必要不可欠な流れが途絶される他、河川でライフサイクルを完結させる生物の総個体数が減少する。

■水力発電は環境に影響が少ない?

さらにダムは、堆積物の流れを減少させる。河川を流れる堆積物は河川デルタを形成し、何百万もの人を海面上昇から保護する役目を果たしている。
現在、自由に流れる河川のうち海までつながっているものは4分の1以下にとどまっており、河口に必要不可欠な栄養物が不足する事態が起こっている。
動物性タンパク質のほぼすべてを河川魚類によって摂取している人は1億6000万人近くに上るが、ダムはすでにこれら魚類の大幅な減少を引き起こしていると、研究チームは警告する。
今回の研究ではさらに、計画段階または建設中の水力発電プロジェクト3700件以上を特定した。この中には、流域の住民にとって不可欠な生活手段を提供している河川を対象としたプロジェクトも含まれている。
水力発電は排出物質という観点において、石油や天然ガス、石炭などに比べて非常にクリーンだと言えるが、ダムや貯水池などを含む巨大発電プロジェクトは予期せぬ悪影響をもたらす可能性があると、研究チームは強調する。
マギル大のベルンハルト・レーナー(Bernhard Lehner)教授は、AFPの取材に「化石燃料を回避することでプラスの効果があることはよく言われているが、水力発電はそれよりも複雑な影響を環境に及ぼしていることは間違いない」と語った。
さらにレーナー氏は、水力発電は果たすべき必然的役割があるが「世界の国々は河川と河川に依存する共同体や都市、生物多様性に対する有害な影響がより少ない太陽光や風力などの持続可能な選択肢に重点を置くべきだ」と述べた。
【翻訳編集】 AFPBB News

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