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事務局からのお知らせ

地球温暖化 増える豪雨に備え 過去データより将来予測重視 国交省検討会、「温暖化前提の治水」提言

2019年8月2日
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7月31日に国土交通省で「第5回 気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」が開かれました。この会議でまとめられた提言の内容を毎日新聞が詳しく報じています。

この技術検討会の資料は国土交通省のHPに掲載されています。、
「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会(令和元年7月31日)配布資料」http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/chisui_kentoukai/dai05kai/index.html

この提言は治水計画のあり方を根本から変えていこうというものです。
すなわち、「気候変動の予測精度等の不確実性が存在するが、現在の科学的知見を最大限活用したできる限り定量的な影響の評価を用いて、治水計画の立案にあたり、実績の降雨を活用した手法から、気候変動により予測される将来の降雨を活用する方法に転換する」というものです。
しかし、気候変動による将来の降雨変化を予測することが本当にどこまでできるのでしょうか。所詮は予測モデルによる計算でしかなく、そのモデルの作り方で予測値は大きく変わってきます。
そして、CO2の増加で地球温暖化が進み、気候変動が進行しているという考え方そのものにも異論が出されています。
参考のため、冨永靖德氏(お茶の水大学名誉教授)の見解を紹介しておきます。


冨永靖德氏(お茶の水大学名誉教授)の温暖化論争のまとめ
   IPCC:国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)
◆IPCCの温暖化論:
・化石燃料を消費することに伴って、大気中のCO2が増える
・CO2の増加は地球温暖化をもたらす
・地球温暖化はさまざまな害悪をもたらす
◆良心的な科学者の考え方:
・気候変動の原因はCO2だけでなく、太陽活勣が重要である。これは、自然現象であるから制御できない。(商売にはならない)
・CO2による温暖化と太陽活動の変化による寒冷化は打ち消し合い、
今後の気温は50~IOO年にわたってほぼ横ぱいか寒冷化する可能性が大きい
*太陽活勣の低下⇒宇宙線の増加⇒雲の増加⇒寒冷化
・大気中のCO2増加そのものはなんらの害ももたらさない。(自然の恵み)
◆今後の政策の望ましい変更
・大気中のCO2濃度を問題にするのではなく、炭素資源の浪費を防ぐエネルギー政策を追求すべきである。
・温暖化防止一辺倒の政策は改めるべきである。
*排出権取引による、年間数兆円の支払いは無駄!


地球温暖化

増える豪雨に備え 過去データより将来予測重視 国交省検討会、「温暖化前提の治水」提言
(毎日新聞2019年8月1日 東京朝刊)https://mainichi.jp/articles/20190801/ddm/012/040/054000c

 地球温暖化で深刻化が懸念される豪雨災害に備えるため、国土交通省の有識者検討会は31日、治水計画に降雨量の将来予測を反映すべきだとの提言をまとめた。過去の豪雨に基づく対策から、温暖化の影響予測を活用する対策へと治水の大転換になる。昨年の西日本豪雨など想定を上回る水害の頻発を受けたものだが、コスト増が見込まれ、課題も多い。【大場あい、斎藤有香】
国や都道府県などの現在の治水計画は、戦後に河川の各流域で発生した最大の豪雨が再び起こっても被害を防げるよう考えられている。提言は「今後、豪雨の更なる頻発化、激甚化はほぼ確実視されている」として、温暖化による降雨量増加予測を反映させたものに改めるよう求めた。
これまでは温暖化で想定を上回る豪雨が発生した場合、避難などソフト面の対策強化で対応する方針だった。しかし、近年の豪雨災害頻発により、堤防などハード面でも影響を考慮せざるを得なくなった。温暖化に伴う影響の予測技術が向上したこともあり、有識者検討会は昨年4月から議論を進めてきた。
提言は、治水計画に活用する降雨量の将来予測について、来年始まる温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が世界の平均気温の上昇を産業革命前から2度未満に抑える目標を掲げていることを踏まえ、世界の平均気温が2度上昇した場合を基本にするとした。
その上で、降り方の違いから全国を15地域に分けて降雨量の変化を予測し、北海道と九州北西部の降雨量は現在の想定の1・15倍、他の地域は1・1倍になるとして、これに基づく治水計画を策定すべきだとした。降雨量が1・1倍になると、洪水の発生頻度は約2倍になるという。倍率は暫定値で、今後必要に応じて見直す。
具体的な計画策定では、河川管理者が定める河川整備基本方針で対策の基本となる河川流量を設定する際、この予測降雨量を活用することになる。治水計画改定は全河川が対象になるが、提言は、基本方針策定後に想定を上回る大規模な洪水が起きた河川から優先的に見直すよう求めた。
また、実際には2度目標を上回るペースで気温上昇が進んでいるため、提言は4度上昇した場合の予測も参考にするよう明記した。耐用年数の長い施設整備などに関しては、4度上昇に備え、低コストで改造できるような設計上の工夫をすべきことも盛り込んだ。
治水計画の見直しには堤防の設計やダム計画、排水設備などの変更が必要になり、コスト増も見込まれる。国交省河川計画課は「実現に必要な(河川管理などの基本となる)河川砂防技術基準の見直しなどを今後検討していく」としている。
有識者検討会座長の小池俊雄・土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター長は「温暖化の進展に伴って毎年各地で深刻な被害が起きる中、先手を打ちたいと考えてきた。被害防止・軽減による経済的メリットが対策コストを上回ると期待され、国民の理解も得られるのではないか」と語った。

短時間、滝のように

 温暖化の進展で、短時間に降る強い雨など災害をもたらす可能性の高い雨は増えている。気象庁によると、日本の年平均気温は100年当たり1・21度のペースで上昇し、1時間に50ミリ以上の「滝のように降る雨」の発生回数は統計を取り始めた1976年以降、10年ごとに27・5回ずつ増加している。
更に近年、これまでの経験に基づく対策では対応できないような豪雨や台風の被害が発生している。2015年9月の関東・東北豪雨では鬼怒川の堤防が決壊し、茨城県常総市の3分の1に当たる約40平方キロが浸水した。昨年7月の西日本豪雨では270人以上(災害関連死含む)が亡くなった。西日本豪雨について気象庁は個別の豪雨災害で初めて、温暖化が一因との見解を示した。
世界の温室効果ガス排出量は増加し続けており、人間の活動が原因の温暖化によって、短時間強雨などは更なる増加が予測される。
気象庁によると、世界全体で効果的な対策を取らず、今世紀末に世界の平均気温が産業革命前より約4度上昇した場合、1日の降雨量が200ミリ以上の大雨や「滝のように降る雨」の年間発生回数は日本全国平均で現在の2倍以上になる。気象庁気象研究所の分析によると、日本の南海上で猛烈な台風が増加し、現在の10年に3回程度から5回程度に増えるとされる。
温暖化の被害軽減策に詳しい三村信男・茨城大学長(地球環境工学)は「多くの人が気候変動を実感するようになり、治水に関して本格的な適応策の導入が提案された意義は非常に大きい」と提言を評価した。一方で「影響予測技術は政策に活用できるように向上してきているが想定を超える豪雨災害は十分起こり得る。ハード面の対策を急ぐと同時に、住民への迅速な情報提供など、ソフト面も含めた何重もの備えが重要だ」と話している。

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