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報道

水のない川、干上がった田 山梨で起こった“異変” リニア工事で“水枯れ”は起こるか?

2019年9月1日
カテゴリー:

リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題についてテレビ静岡のニュース解説を掲載します。問題がよくわかる解説です。

水のない川、干上がった田 山梨で起こった“異変” リニア工事で“水枯れ”は起こるか?
(テレビ静岡 2019/8/31(土) 10:00配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190831-00010000-sut-l22&p=1

(写真)南アルプスを流れる大井川

生き物や産業を支える命の川「大井川」

アマゴやアユなどそこに暮らす生き物を知ったり、流域の林業について学んだり、子供たちが様々な視点で理解を深めているのは大井川。

県が主催して開かれた大井川「川まつり」です。

県が大切さを知ってもらおうと、力を入れる大井川の水源は南アルプス。

そしてその真下に計画されるのは、JR東海によるリニア中央新幹線のトンネル工事です。

(写真)6月 工事現場を視察した知事

“ゴーサイン”出さない川勝知事

工事により、減ると試算される川の水の量は最大で毎秒2トン。県の求めに応じる形でJRは、トンネル内に湧き出る水すべてを川に戻すと約束しました。

しかし…
静岡県・川勝知事
「(Qトンネルの本体工事にゴーサイン出せる?)ゴーサインを出せる状況ではない」

県が求めているのは、「どう戻すのか?」や「水が枯れた場合にどうするのか?」などの具体策です。

県の求めに対して、最近になってJRも具体的な対策を示すなど進展も見られますが…

川勝知事
「『湧水を全部戻す』ということでしたから、ここをクリアしなければトンネルは掘れない」

まだまだ、妥協点を見つけるには時間がかかりそうです。
カラカラに乾いた用水路 山梨県御坂町

県が譲らない理由のひとつには、工事が始まっている他の県で起きた「水枯れ」があります。

山梨県笛吹市御坂町。ここはリニアの試験運転をする、山梨実験線の西の端に位置する場所です。周辺の山々を、リニアのトンネルが貫きます。

笛吹市の市議会議員を務める野沢今朝幸さんに、ある場所に案内してもらいました。

笛吹市・野沢今朝幸市議
「ここを水が絶えることなく流れていた。まったく今は流れなくなった」

(写真)カラカラに乾いた農業用の水路。

2008年、約1キロ離れた場所でリニアのトンネル工事が始まると、すぐに水が枯れたといいます。水路のすぐ上にある田んぼだったという場所に、その面影はありません。
工事後に枯れた川 途中からはJRが汲み上げた水が流れる

枯れた川にJRがパイプで水を戻していた

また、近くの川では…
池谷庸介記者
「こちらはリニアの沿線近くの川になります。ご覧のように水が流れていますが、見てみるとパイプから水が流れているのが分かります。そしてこの川の上流部分に目を向けると、何も水が流れていないことが分かります」
水が枯れた川。前日に夕立が降ったものの水は流れていません。
パイプの水はJRが補償として近くの地中から取水し、川に戻している水です。
工事が始まった当時、市には水枯れの通報が相次ぎました。
野沢市議
「これだけ広く影響があるなんて、とても考えられなかった」

(写真)モモ農家の藤巻進さん

トンネルから水が湧き出ると 飲料水は枯れた

御坂町で桃を栽培する藤巻進さんです。

藤巻さんの畑の周辺では、農業用の水に影響はなかったものの生活用の簡易水道が出なくなり、JRが補償して新たに水道を引きました。

モモ農家・藤巻進さん
「飲料水ですね。枯れたというのは一番大きい。JRが掘っていたらトンネルから水が湧き出た。それと同時に、簡易水道のタンクに水が入らなくなって枯れてしまった」

(写真)リニアのトンネルから排出される大量の水

水はどこに消えたのか…

リニアのトンネルに向かうと、排水溝から大量の水が流れ出ていました。

市議会議員の野沢さんは、山から消えた水がここに集まっていると話します。

野沢市議
「色々なところが枯れてしまって、ここ(トンネルの排水溝)に入ってくる。今まで溜まってた地下水、地層に溜まっていた水も流れてくるし、上に降った雨も染み込んでいると思う」

(写真)大井川 静岡県

他の地域でも同じ事は起こるのか?

一方で市によりますと、川の水が集まる中下流域にある笛吹川について、影響を指摘する声は上がっていません。

水枯れが大井川周辺でも起きるのかどうか、実際に掘ってみないと、JRにも県にもわかりません。

しかし、ほかの地域で実際に起きた水枯れを軽視すべきではありません。

(写真)山梨県を走るリニア実験線

JR東海の回答

JR東海は山梨県の水枯れについて、テレビ静岡の取材に以下のように回答しています。

【山梨県の水枯れについて】
「調査を行い公共工事の基準に基づいて適切に補償しております」
※なお戸数など、どのぐらいの規模で水枯れが起こっているか詳細は明らかにしていない。

【山梨県内ですすむ南アルプスのトンネル工事について】
「掘削に伴う周辺の河川や井戸・湧水の流量の減少は確認されていません」

【静岡県内で予定される南アルプスのトンネル工事について】
「山梨と同じく『先進ボーリング』と呼ばれる調査で、トンネルを掘る場所の
地質状況などを事前に十分に確認しながら掘り進めていきます」

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