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報道

台風19号 全国で6基のダムで緊急放流 城山ダム緊急放流では事前対策入念も当日ドタバタ

2019年10月20日
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台風19号の豪雨では全国で6基のダムで緊急放流が行われました。緊急放流が行われたダムは次の通りです。、
▽茨城県北茨城市にある大北川の水沼ダム(茨城県)

▽茨城県常陸太田市にある久慈川の竜神ダム(茨城県)

▽栃木県那須塩原市にある那珂川の塩原ダム(栃木県)

▽神奈川県相模原市にある相模川の城山ダム(神奈川県)

▽福島県いわき市にある鮫川の高柴ダム(福島県)

▽長野県伊那市にある天竜川の美和ダム(国交省)

ダムの緊急放流はダム下流の住民にとって脅威です。
ダム下流で、ダムに比較的近いところはダムの洪水調節を前提とした河道になっているので、ダムが調節機能を失って緊急放流を行えば、氾濫の危険性が高まります。。
今回、緊急放流を実施した神奈川県の城山ダムの下流では緊急避難がドタバタの対応になりました。その記事をお送りします。

なお、緊急放流を行うとしていたか、緊急放流を行う可能性があるとしていたダムで、緊急放流を中止したダムは次の通りです(NHKニュースによる)。

栃木県   大谷川の中禅寺ダム  栃木県日光市
栃木県   那珂川の西荒川ダム  栃木県塩谷町
水資源機構 神流川の下久保ダム  栃木県藤岡市
国交省   鬼怒川の川俣ダム   栃木県日光市
国交省   鬼怒川の川治ダム   栃木県日光市
国交省   荒川の二瀬ダム    埼玉県秩父市

台風19号 城山ダム緊急放流 事前対策入念も当日ドタバタ

(東京新聞2019年10月20日)https://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201910/CK2019102002000123.html

(写真)相模原市南区(右側)と厚木市の間を流れる相模川。城山ダムの緊急放流で決壊が心配された=17日、相模原市南区で(本社ヘリ「あさづる」から)

台風19号の上陸から十九日で一週間。県内も西部を中心に記録的大雨に見舞われ、城山ダム(相模原市緑区)は一九六五年の運用開始以来、初めて流入する水をためずに流す緊急放流をした。県は事前に慎重に準備を整えてきたが、最後になって実施時間を前倒しして、流域自治体への連絡も放流とほぼ同時刻となるなど、課題を残した。 (志村彰太)
城山ダムは、洪水を防ぐ「治水」と、農業や工業用水をためる「利水」の機能を持つ多目的ダム。大雨の前にあらかじめ放水し、水位を最高水位(標高一二五・五メートル)から一二・五メートル下げる「予備放流」が操作規則で許されている。県は台風の接近前、水位計の誤差を考慮し水位をさらに一メートル低い標高一一二メートルに下げていた。
それでも県は「緊急放流もあり得る」とし、十、十一日、相模原市など流域の自治体に緊急放流の可能性を通知。十二日午後二時半には午後五時の実施を公表した。その後、雨量が想定を下回ったため「放流開始の一時間前に通知する」として延期し、午後八時五十分に「午後十時に実施」を通知した。ところが、流入量が急増して同九時半に前倒し。市町への通知は放流開始とほぼ同時になった。
県河川課の藤崎伸二郎課長は「初めてのことで、水位上昇の想定を当てるのは難しかった」と釈明する。しかし、二転三転した県の姿勢に流域の市町は翻弄(ほんろう)された。最初の告知を受け、防災行政無線や防災メール、消防の巡回などで住民に避難を促していたが、最終的に放流開始と同時に報せが来たため、避難所に誘導せず自宅二階に行くよう促した自治体もあった。
(写真)城山ダムを視察した黒岩知事=相模原市緑区で(県提供)

県と自治体の連携を巡る問題は、もう一つあった。
県は「緊急放流すれば沿岸の洪水は避けられない」との考えから、市町に通知した時点で「考え得る最悪の浸水被害」を示したハザードマップを基に避難指示を出すべきだという立場だった。延期も住民の避難時間を稼ぐためで、「いつ放流してもおかしくない」と考えていた、とする。
しかし、県ホームページにあるダムの水位計や河川の流量計のデータなどを見て避難方針を決めていた座間市や寒川町は、避難勧告にとどめていた。そのデータも機器の故障により、緊急放流が始まった頃、ダムへの流入量が異常に跳ね上がった数値を示したままデータの更新が滞っていた。
緊急放流は開始から約四時間後の十三日午前一時十五分に終了。護岸の一部破損があったものの、浸水被害は出なかった。
しかし、県と流域市町の間で“認識の差”が生じたことは、十六日の県議会常任委員会でも問題視された。
「放流時刻を直前に早め、市町の対応が混乱した」「午後五時から延期したことで『まだ安全』と認識した住民がいた」などの厳しい声が委員から出た。県には市町からも苦情が来ているという。上前行男・県土整備局長は「情報が混乱した点、市町との連携の点は反省として受け止めている。改善に向けて速やかに検討する」と答弁した。

◆コロコロ時間変更 周辺住民振り回され
(写真)城山ダムの緊急放流の情報などを受けて避難所を訪れた人たち=相模原市中央区で

城山ダムが緊急放流するという初の事態に、下流で暮らす多くの住民が避難したが、たび重なる開始時間の変更に振り回された。
平塚市の相模川沿いに住む主婦(40)はスマートフォンで避難指示の緊急メールを見て、十二日午後五時ごろ、家族四人で避難所へ向かった。「緊急放流すると聞いて驚いた。心配だった」と振り返った。
放流が延期になり、家に戻った。「でも、またやるかもしれないというし、どうなるかなと」。再び避難指示が出て、避難所へ。「読み切れないのは仕方ないとも思うけど」と話した。
同じく近くに住む自動車内装業の星野武士さん(40)は午後五時ごろ、市内の兄の家に家族で一緒に移動した。「何せ初めての緊急放流なので、これはやばいなと」
ずっと定点カメラがとらえる相模川の様子をスマホで見ていた。「夜間の放流は怖いので、やるなら明るいうちにと思った」。母の寿子(ひさこ)さんは「かつて床上浸水も経験したことがあるけど、今回はほんとに怖かった」ともらした。 (吉岡潤)

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