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流水型の川辺川ダムへの賛否に無回答3人、にじむ難しさ 12首長アンケ-ト

2021年1月6日
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球磨川流域の12市町村長に朝日新聞が流水型の川辺川ダムへの賛否等についてアンケートを行った結果についての記事を掲載します。

川辺川ダムに「賛成」と答えたのは八代市、芦北町、錦町、水上村、山江村、球磨村の6首長、「やむを得ない」が人吉市、多良木町、湯前町の3首長、五木村、相良村、あさぎり町の首長は無回答でした。

このうち、水上村、多良木町、湯前町、あさぎり町は球磨川への川辺川合流点より上流側に位置しており、また、山江村は合流点より下流側ですが、球磨川本川と少し離れているので、川辺川ダムと直接的な関係がないように思います。

これらの5町村を除くと、賛成は八代市、芦北町、錦町、球磨村の4市町村になります。

このうち、球磨村では支川「小川」の氾濫で特別養護老人ホーム「千寿園」で入所者14人が亡くなりましたが、これは小川が本川よりかなり早く氾濫したことによるものであって、川辺川ダムで対応することは困難であったと思います。また、下流域の八代市、芦北町では川辺川ダムがあってもその治水効果は下流にいくほど減衰していきますので、どれほどの意味があるのでしょうか。

八代市、芦北町、球磨村の首長がどこまで理解して川辺川ダムに賛成しているのか、よくわかりません。

 

ダム賛否に無回答3人、にじむ難しさ 12首長アンケ-ト

(朝日新聞2021年1月5日 14時30分)https://digital.asahi.com/articles/ASP152R76NDZTIPE008.html

(写真)昨年7月の豪雨災害から半年。熊本県球磨村のJR球泉洞駅前では2世帯の5人が犠牲となった。近くに住む告鍬(つげくわ)信男さん(71)は、2人の孫と慰霊に訪れた。「2軒ともいい人たちやった。今はこんなに穏やかな川が信じられん」と手を合わせた=2021年1月4日、金子淳撮影

熊本県南部を中心に甚大な被害が出た記録的豪雨から、4日で半年を迎えた。氾濫(はんらん)した球磨(くま)川流域の12市町村長に朝日新聞がアンケートしたところ、最大支流の川辺川に流水型ダムを建設する案に半数の6首長が「賛成」と答えた。「やむを得ない」としたり、意見を明らかにしなかったりした首長も3人ずついた。

結果からは、ダムによる治水への期待の高さがうかがえる一方、計画への認識の違いも浮かび上がった。住民の賛否も割れるなか、流域全体でどう合意形成していくのかが課題となる。選択肢のうち、「反対」「どちらとも言えない」を選んだ首長はいなかった。

熊本県の蒲島郁夫知事は豪雨後、多目的ダムとして計画された従来の川辺川ダム計画の廃止と、治水専用の流水型ダム建設を国に求めた。ダムを含むハード面と、避難態勢づくりなどソフト面の対策を組み合わせて被害を減らす「流域治水」を国や市町村と進める考えだ。国と県、流域自治体で協議を続け、今年度中にもダムを含む中長期的な治水対策を取りまとめる。

(写真)ダム建設が予定されている川辺川=2020年11月18日、熊本県、朝日新聞社ヘリから

朝日新聞は昨年12月、流水型ダムへの賛否や、協力できる治水策などについて、球磨川流域の12市町村長や担当課にアンケートを実施。すべての自治体から回答を得た。

記事の後段に12市町村のおもな回答一覧を掲載しています。

流水型ダムに「賛成」と答えたのは、八代市、芦北町、錦町、水上村、山江村、球磨村の6首長。人吉市、多良木町、湯前町の3首長が「やむを得ない」とした。理由を複数回答で聞くと、9首長全員が「大きな被害が出た以上、これまでの手法を見直す必要がある」「川辺川ダムがあれば浸水面積を6割減らせたとの国の推計があり、効果が期待できる」を選んだ。

一方、従来の川辺川ダム計画で一部が水没予定地となっている五木村や、ダム本体の建設予定地にあたる相良村のほか、あさぎり町の首長はダムへの賛否には無回答。

(写真)孫たちと手を合わせる告鍬(つげくわ)信男さん(71)=2021年1月4日午前、金子淳撮影

清流で知られる川辺川へのダム計画では、流域住民の間で賛否をめぐる対立が続いてきた。木下丈二・五木村長は12月議会で、流水型ダムに関し「知事の判断を容認する」と明言し、議員から「住民や議会と協議していない」などと批判が相次いだ。無回答には、こうした立場の難しさがにじむ。

自治体として協力できるダム以外の具体的な治水策について尋ねると、9市町村が、川底を掘って水が流れる面積を広くする「河道掘削」と答え、最も多かった。「堤防強化」(6市町村)、あふれた水を一時的にためる「遊水地整備」(5市町村)、堤防を市街地に寄せて川幅を広げる「引堤」(同)などと続いた。いつまでに実現すべきかは、5市町村が「1年以内」または「3年以内」とした。

ただ流域市町村や県、国は豪雨前も10年以上かけ、こうしたダム以外の治水策を検討してきたが、農漁業への影響など地域ごとの事情もあり、実現しなかった。各自治体が利害を調整し、対策を進める仕組みづくりが急務となる。

(写真)五木村の中心部を流れる川辺川。右上はダム計画で移転した集落=2020年11月19日、熊本県五木村

また、12市町村すべてで避難態勢を見直す方針であることも明らかになった。見直す点としては「避難場所の数や所在地」「民生委員や自主防災組織との連係」を9市町村が選んだ。球磨村では、指定避難所6カ所のうち3カ所が浸水想定区域内にあり、今回2カ所が浸水した。防災マップの見直しを進め、場所を選び直す予定だ。

昨年7月の記録的豪雨では九州で77人が犠牲になり、2人が行方不明になった。熊本県内の死者は65人。国土交通省によると、うち50人は球磨川流域の氾濫で亡くなったとみられる。

全半壊した住宅は熊本県内で約4600棟にのぼり、約4200人が仮設住宅などに身を寄せている。(安田桂子、棚橋咲月)

 

球磨川流域首長アンケートの主な回答

賛成 6(八代市、芦北町、錦町、水上村、山江村、球磨村)

やむを得ない 3(人吉市、多良木町、湯前町)

反対 0

どちらとも言えない 0

無回答 3(相良村、五木村、あさぎり町)

河道掘削 9(八代市、人吉市、芦北町、多良木町、湯前町、水上村、相良村、山江村、球磨村)

堤防強化 6(八代市、人吉市、芦北町、多良木町、相良村、球磨村)

遊水地整備 5(人吉市、錦町、多良木町、相良村、球磨村)

田んぼダム 5(人吉市、錦町、湯前町、水上村、山江村)

引堤 5(八代市、人吉市、多良木町、相良村、球磨村)

宅地かさ上げ 5(八代市、人吉市、多良木町、相良村、球磨村)

1年以内 1(人吉市)

3年以内 4(多良木町、湯前町、水上村、山江村)

5年以内 2(芦北町、錦町)

10年以内 0

その他 2(八代市「できることから早急に」、球磨村「できるだけ早く」)

無回答 3(相良村、五木村、あさぎり町)

 

大熊孝・新潟大名誉教授(河川工学)の話

流水型ダムは効果や環境への影響がまだ十分わかっておらず、評価には慎重でなければならない。川辺川へのダム計画の概要がほとんど明らかになっていないなか、首長の半数が賛成なのは驚いた。回答しなかった3町村には、もっとダムについて知るべきだという思いもあったかもしれない。

流域治水は川から水があふれることを想定した考え方で、実現にあたっては浸水被害にあう可能性がある流域住民の意見を聞くことがこれまで以上に重要になる。上から治水メニューを押しつけるだけでは誰も納得しない。流域治水実現のためには県だけでなく市町村も積極的に動き、自治体単位や地区単位でも話し合いをするべきだ。

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