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報道

嘉田由紀子氏、熊本豪雨の独自報告書 「ダムでも犠牲者救えず」

2021年1月27日
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元滋賀県知事の嘉田由紀子参議院議員が昨年7月の熊本豪雨で犠牲になった球磨川流域の50人について調査を行い、「川辺川ダムが完成していても、一人も救われなかった」とする報告書をまとめました。

この報告書について熊本日日新聞の記事を掲載します。その報告書を議員事務所から送っていただいて、読みました。「7・4球磨川流域豪雨被災者・賛同者の会」の協力で被災地を訪ね、犠牲者の住居や死亡の状況などを調べたもので、充実した報告書だと思いました。

一方、国交省は下記の西日本新聞の記事の通り、1月26日に示した緊急治水対策プロジェクト案で、川辺川への流水型ダム建設と既存ダムの再開発が完了するまでに「熊本豪雨級」の雨が再来した場合、人吉市は大規模浸水は免れないというシミュレーション結果を示しています。川辺川ダムをつくらなければ、人吉市の氾濫はあまり変わらないというもので、川辺川ダムの必要性をアピールするための恣意的な計算であると思います。

  

嘉田氏、熊本豪雨の独自報告書 「ダムでも犠牲者救えず」

(熊本日日新聞 2021/01/26 09:27) https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E5%98%89%E7%94%B0%E6%B0%8F-%E7%86%8A%E6%9C%AC%E8%B1%AA%E9%9B%A8%E3%81%AE%E7%8B%AC%E8%87%AA%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8-%E3%83%80%E3%83%A0%E3%81%A7%E3%82%82%E7%8A%A0%E7%89%B2%E8%80%85%E6%95%91%E3%81%88%E3%81%9A/ar-BB1d5wzI

元滋賀県知事の嘉田由紀子参院議員(無所属)が、昨年7月の熊本豪雨で犠牲になった球磨川流域の50人について、「川辺川ダムが完成していても、一人も救われなかった」とする独自の報告書をまとめた。現地調査を踏まえ、ダムによる水位低下効果が現れる前に、既に全員が死亡していたと推定した。

嘉田氏はことし1月までに計4回、「7・4球磨川流域豪雨被災者・賛同者の会」の協力で被災地を訪ね、犠牲者の住居や死亡の状況などを調べた。

その結果、全員が球磨川がピーク流量に達する前の4日午前7~9時に死亡したと推定。「ダムがあれば命が救われたと推測できる人数はゼロ」と結論付けた。特に、20人が犠牲となった人吉市では、住民の証言を基に本流より支流や水路が氾濫した影響が大きかったと指摘した。

一方、犠牲者の6割に当たる30人の住居が平屋であった点や、高齢者世帯が多かったことにも注目。2階建てへの建て替え推奨や、避難が難しい高齢者や障害者に対する支援の必要性を訴えた。

滋賀県知事時代、住民参加型の総合的な流域治水を進めた嘉田氏は、国が進める球磨川流域治水策の検討には「住民の視点が欠けている」と問題提起。「ダムがあってもなくても、住民自らの『備える』『逃げる』行動は重要。犠牲を教訓に、多重防護の流域治水を進めてほしい」と話す。(並松昭光)

 

球磨川流域、ダム整備完了まで浸水リスク 避難対策強化など必須

(西日本新聞2021/1/27 11:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/684969/

昨年7月の豪雨時並みの水量が球磨川に流れた場合の人吉市の浸水想定図。ダム完成前は、豪雨時の浸水範囲(青線で囲まれた部分)に比べてわずかしか減っていない(国の資料より)

ダム完成後は、人吉市での浸水はほぼみられない(国の資料より)

熊本県球磨川流域の治水策として、国が26日示した緊急治水対策プロジェクト案では、川辺川への流水型ダム建設と既存ダムの再開発が完了するまでに「熊本豪雨級」の雨が再来した場合、大規模浸水は免れないとのシミュレーション結果が示された。水害リスクの周知と避難対策の強化、高台への移住、宅地かさ上げなどの方策が必須となる。

九地整が見込む流水型ダムの完成と既存の市房ダム(水上村)再開発完了の時期は2029年度以降。二つのダムの整備が完了すれば、「熊本豪雨級」の雨でも流域全体で越水をほぼ防ぐことができる。堤防が決壊した場合も浸水域は支流の山田川、万江川との合流部に限定され、市街地周辺の浸水リスクは解消されるという。

ただ、九地整が治水対策の「第1段階」と位置付ける豪雨災害発生からおおむね5年間は、河道掘削がメインだ。被害軽減効果は限定的で、川辺川との合流地点上流の浸水リスクが一部解消される程度だ。

29年度までの「第2段階」では遊水地群の整備や河川拡幅を完了する予定。これで人吉市中心部の浸水深は浅くなるものの、浸水範囲は昨年7月豪雨時と大きく変わらない。

そこで、九地整は整備途上段階の水害リスクを関係自治体と共有し、それを踏まえたまちづくりや避難行動の検討を進める「リスクコミュニケーション」の重要性を強調する。今後、プロジェクトの進展に応じたリスク情報を発信していくという。 (古川努)

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