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水位の大幅上昇「瀬戸石ダムの影響なし」電源開発の発表への疑問

2021年2月23日
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昨年7月球磨川豪雨で、電源開発(株)が、瀬戸石ダムの影響で球磨川の水位が大きく上昇した事実は認められなかったという調査結果を発表しました。その記事を掲載します。

電源開発(株)の発表内容は次のURLで見ることができます。

しかし、瀬戸石ダムの影響で河川水位が大きく上昇した事実はないということが本当に言えるのか、大いに疑問です。

末尾に国土交通省による昨年7月の球磨川豪雨の計算水位のグラフを示しますが、瀬戸石ダムのところで、球磨川の水位が4~5m上昇しており、瀬戸石ダムの影響が小さいとは言えないと思います。

 

瀬戸石ダム・発電所の状況について(2021年2月付) https://www.jpower.co.jp/oshirase/2021/02/oshirase210219.html

2021年2月19日 電源開発株式会社

添付書類

瀬戸石ダム・発電所の状況について ( 2021 年2月付 ) https://www.jpower.co.jp/oshirase/pdf/oshirase210219_1.pdf

添付資料1~7  https://www.jpower.co.jp/oshirase/pdf/oshirase210219_2.pdf

 

 水位の大幅上昇「瀬戸石ダムの影響なし」 電源開発

(朝日新聞2021年2月23日 10時00分)https://digital.asahi.com/articles/ASP2Q6WRZP2NTLVB002.html?iref=pc_ss_date_article

(写真)豪雨で被災し、昇降式ゲートを全開したままの瀬戸石ダム=2020年12月13日午後4時15分、熊本県球磨村、田中久稔撮影

(写真)豪雨で被災し、昇降式ゲートを全開したままの瀬戸石ダム=2020年7月20日、熊本県八代市提供

球磨川中流の瀬戸石ダム(熊本県芦北町、球磨村)を運営する電源開発(Jパワー、東京)は19日、昨年7月の記録的豪雨時にダムの放流は適正に行われ、ダムの影響で水位が大きく上昇した事実は認められなかったとの調査結果を公表した。豪雨で被災したダムは発電を停止している。

Jパワーによると、豪雨時のダム地点におけるピーク流量は洪水の痕跡調査の結果などから毎秒約1万トンと推定した。豪雨の際、ダムは昇降式ゲートを全開にして水量を調整。7月4日午前3時以降はダムに流入する水量がそのまま流下する状態となり、水位はダムより下流約300メートルの狭窄(きょうさく)部から徐々に上昇したという。ダム地点でも水位上昇は確認されたが、「ダムが水をせき止めて水位が大幅に上昇した事実は認められなかった」とした。

潜水調査でダムの安全性は確認されたとして、発電設備の早期復旧をめざす方針も示した。具体的な復旧時期は未定という。

蒲島郁夫知事は19日、「今回公表された内容は県でも確認し、河川管理者で瀬戸石ダムの設置許可権者である国土交通省においても確認されたと聞いている」などとコメントを発表。Jパワーに今回の調査結果や住民の要望・意見に対して説明責任を果たすことなどを要請した。

一方、市民団体の「瀬戸石ダムを撤去する会」は瀬戸石ダムがあるため水位が上がり、洪水被害を大きくしたとみている。土森武友・事務局長は「(Jパワーは)4日午前3時半のダム湖の水位は46メートルで自然流下状態を継続したとしているが、同11時から正午のピーク時には53メートルに上昇している」と指摘。堆積(たいせき)した土砂の排除計画は過去に国に出していた計画と異なるなどと疑問点を挙げ、批判した。Jパワーに質問書を提出するという。(伊藤秀樹、村上伸一)

 

「学識経験者等の意見を聴く場」(令和 2年12月23日)の説明資料)

 

森林の手入れ、大分県中津市が「請け負い」 県内の自治体で初

2021年2月23日
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森林が荒れるのを防ぎ、山の保水機能を保つために大分県中津市が今年度から、所有者の委託を受けて木の手入れ等を始めたという記事を掲載します。

この記事にある私有林の荒廃対策として国が2019年に始めた制度は林野庁のHPに次の通り、掲載されています。森林の保水力の向上は非常に重要なことですので、この制度をもっと広げていくべきだと思います。

森林経営管理制度(森林経営管理法)についてhttps://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/keieikanri/sinrinkeieikanriseido.html

森林経営管理制度に係る事務の手引の概要https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/keieikanri/attach/pdf/sinrinkeieikanriseido-15.pdf

 

森林の手入れ、中津市が「請け負い」 県内の自治体で初

(朝日新聞2021年2月21日 9時30分) https://digital.asahi.com/articles/ASP2N6TQ0P2HTPJB002.html

(写真)市が委託を受けた林で間伐をする作業員=2021年2月5日午後2時1分、大分県中津市山国町藤野木、大畠正吾撮影

森林が荒れるのを防ぎ、山の保水機能を保つために大分県中津市は今年度から、所有者の委託を受けて木の手入れや見回りを始めた。「森林経営管理制度」と呼ばれる仕組みで、県内の自治体では初めての試み。地球温暖化防止という狙いもある。

「密集した木を間伐することで森に光を入れ、樹木や下草の生育を促します」。中津市山国町藤野木にある樹齢約30年のヒノキ林で、市林業水産課係長の安東靖司さんが説明してくれた。

約0・25ヘクタールの林は、以前は手入れされていたが、相続後に放置状態になっていた。ヒノキが密集した場所では、作業を請け負う山国川流域森林組合の作業員がチェーンソーで育ちの悪い木や曲がった木を次々と切り倒していった。

この制度は2019年、私有林の荒廃対策として国が始めた。所有者が高齢や遠隔地に住んでいるために手入れできない林を、自治体が5年間の期限つきで委託を受ける。この間に、商品になる木が生えている林はほかの林業経営者に再委託。一方、林業経営に適さない林は市が定期的に見回りや間伐を続ける。

中津市は昨年6月から始め、いまは11人から計24ヘクタールの委託を受けている。経費は19年に管理制度と同時にできた森林環境譲与税を充て、今年度は500万円を計上している。県内では豊後大野市も昨年秋から始めた。

適正に管理され、保水力のある森林は、大雨が降ったときに「緑のダム」として川に大量の水が流れ込むのを遅らせる。荒れた森林から流出した倒木は、橋や堤防などを破損する恐れもある。2012年に山国川の氾濫で大きな被害を受けた中津市にとって防災面の役割は大きい。市内にはスギやヒノキの人工林が約1万8800ヘクタールある。市によると、このうち半分近くが管理の行き届かない林とみられる。

課題もある。地権者の確認が難しいうえ、交渉に当たる職員は3人しかおらず、ほかの仕事も兼務しているため負担は重い。また、市内の山林の中には境界を決める調査がされていない場所も多い。

安東さんは「課題もあるが、災害時の被害を減らすためにも管理する森林を増やしていきたい」と話している。(大畠正吾)

住宅や高齢者施設などの建設を許可制に、「浸水被害防止区域」を創設

2021年2月18日
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流域治水関連法案が2月2日に閣議決定されました。国土交通省のHPにその概要が下記の通り、記されています。

流域治水への取り組みは治水の要になるもので、非常に重要なことですが、実際に機能させることはそう簡単なことではありません。

滋賀県は嘉田由紀子知事の時代、2014年3月に流域治水推進条例を先駆的に制定し、流水治水に取り組んでいます。「浸水警戒区域」を指定し、近くに避難場所がなく、地盤の嵩上げをしない場合、原則として区域内の住宅や福祉施設などの新築・増改築を許可しないとしています。そして、滋賀県は400万円を上限として、嵩上げなどの費用の1/2を補助する制度を設けています。

現時点で滋賀県で浸水警戒区域に指定されているのは3地区です。指定区域の住民の賛意が得られるよう、慎重な手順が踏まれているからでしょうが、流域治水の展開はそう簡単ではないことを物語っているように思います。

この法案に関する京都新聞の社説も掲載します。この社説が指摘しているように、流域治水を有効なものにするためには住民参加が不可欠です。

 

「特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案」(流域治水関連法案)を閣議決定
~流域全体を俯瞰し、あらゆる関係者が協働する「流域治水」を実現します!~

令和3年2月2日 https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo02_hh_000027.html?theme=6

候変動の影響による降雨量の増加等に対応するため、流域全体を俯瞰し、あらゆる関係者が協働して取り組む「流域治水」の実現を図る「特定都市河川浸水被害 対策法等の一部を改正する法律案」(流域治水関連法案)が、本日、閣議決定されました。

 

1 . 背景

近年、全国各地で水災害が激甚化・頻発化するとともに、気候変動の影響により、今後、降雨量や洪水発生頻度が全国で増加することが見込まれています。
このため、ハード整備の加速化・充実や治水計画の見直しに加え、上流・下流や本川・支川の流域全体を俯瞰し、国や流域自治体、企業・住民等、あらゆる関係者が協働して取り組む「流域治水」の実効性を高めるため、以下を内容とする「流域治水関連法案」を整備することとします。

2 . 改正案の概要
(1) 流域治水の計画・体制の強化
・流域治水の計画を活用する河川を拡大
・流域水害対策に係る協議会の創設と計画の充実

(2) 氾濫をできるだけ防ぐための対策
・利水ダムの事前放流の拡大を図る協議会の創設
・下水道で浸水被害を防ぐべき目標降雨を計画に位置付け、整備を加速
・下水道の樋門等の操作ルールの策定を義務付け
・沿川の保水・遊水機能を有する土地を確保する制度の創設
・雨水の貯留浸透機能を有する都市部の緑地の保全
・認定制度や補助等による自治体・民間の雨水貯留浸透施設の整備支援    等

(3) 被害対象を減少させるための対策
・住宅や要配慮者施設等の浸水被害に対する安全性を事前確認する制度の創設
・防災集団移転促進事業のエリア要件の拡充
・災害時の避難先となる拠点の整備推進
・地区単位の浸水対策の推進                       等

(4) 被害の軽減、早期復旧、復興のための対策
・洪水対応ハザードマップの作成を中小河川に拡大
・要配慮者利用施設の避難計画に対する市町村の助言・勧告制度の創設
・国土交通大臣による災害時の権限代行の対象拡大              等

 添付資料

記者発表資料(PDF形式)

概要(PDF形式)

要綱(PDF形式)

案文・理由(PDF形式)

新旧対照条文(PDF形式)

参照条文(PDF形式)

 

社説:流域治水関連法 百年の計に住民参加を

(京都新聞2021/02/05 16:00)

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E7%A4%BE%E8%AA%AC-%E6%B5%81%E5%9F%9F%E6%B2%BB%E6%B0%B4%E9%96%A2%E9%80%A3%E6%B3%95-%E7%99%BE%E5%B9%B4%E3%81%AE%E8%A8%88%E3%81%AB%E4%BD%8F%E6%B0%91%E5%8F%82%E5%8A%A0%E3%82%92/ar-BB1dpx5a

川の中に閉じ込める治水からの歴史的な転換といえる。

政府は、地域全体で水害対策に取り組む「流域治水」関連法案を国会に提出した。

明治期から続く堤防やダムによって洪水を防ぐという発想は、限界に来ている。人口増に伴う住宅地の拡大や、気候変動による想定外の豪雨などで毎年、甚大な被害に見舞われ多くの犠牲者が出ている。

流域治水は災害多発時代に向き合う新たな考えだ。ハードだけでなくソフトが重要になる。行政任せでなく、私たち住民も主体となるべく意識改革が求められる。

正式な法案名は「特定都市河川浸水被害対策法等の一部改正」という。水防法や都市計画法、建築基準法などの改正を束ねており、施策は多岐にわたる。

被害を軽減するため規制に踏み込んでいる。川幅が狭く、本・支流が合流するなど、氾濫しやすい河川周辺の指定区域で新築は許可制とする。雨水がしみ込む緑地は開発制限の対象だ。川沿いの田んぼなどに保全制度を導入する。

浸水想定区域や避難ルートなどを示すハザードマップを、中小河川にも適用し、住民にリスクを知ってもらう。

注目したいのは、国や都道府県、市町村の関係者、学識経験者らで構成する流域水害対策協議会の設置だ。浸水区域の土地利用や雨水対策の強化などを議論し、その結果は対策計画に反映される。

法案には明記されていないが、住民も「必要と認める者」として参加することが欠かせない。

1997年の河川法改正で、治水・利水に加えて、環境保全と住民参加がうたわれた。淀川水系流域委員会が発足し、住民も河川整備計画の議論に加わっている。

協議会は得てして官主導の場になりがちだ。対策の土台となるデータを多角的に検証し、広い観点から議論できるよう、土木工学だけでなく環境や生物などの専門家を入れ、住民の生活に根差した意見を聴くべきだ。

流域治水の道のりは長く、「百年の計」と言えるが、災害は待ってくれない。特に高齢者施設で水害による犠牲が相次いだ問題の対策は差し迫っている。法案には、市町村長は避難への助言、勧告ができるとあるが、施設だけで対応できないのが現状だろう。

なぜ救えなかったのか検証し、避難支援の手だてを流域治水の計画に盛り込みたい。これまでの災害の教訓を洗い出すことで、実践的な流域治水になるはずだ。

大戸川ダム建設容認提言へ 京都府有識者会議 豪雨想定し「緊急性高まった」

2021年1月29日
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凍結されていた淀川水系の大戸川ダムについて京都府の有識者会議もゴーサインを出しました。このことについての記事とニュースを掲載します。

この会議の配布資料は下記の通り、京都府のHPに掲載されています。

この資料を見たところ、京都府にとっての大戸川ダムの効果が示されているのは、

第3回会議 資料1 第1,2回技術検討会の補足説明について(PDF:994KB) 3~4ページの桂川の図のようですが、どうも大戸川ダムの効果がはっきり読み取れないように思います。

そもそも、大戸川は宇治川(瀬田川)の支川であって、桂川の支川ではありません。宇治川、桂川、木津川の三川が京都府と大阪府の境で合流して淀川になるのですから、大戸川ダムで桂川の治水安全度が高まるという話はかなりの無理筋ではないかと思います。

大戸川ダム推進という結論が先にありきの有識者会議であったように思われます。

これで関係府県で反対のところはなくなり、このままでは大戸川ダム事業推進の手続きが進められることになります。

2000年代は淀川水系流域委員会でダム反対の意見が高まって大戸川ダムは凍結となったのに、本当に残念です。何とかならないものでしょうか。

京都府 淀川水系の河川整備に関する技術検討会 http://www.pref.kyoto.jp/dam/yodogawa_gijyutukennoukai.html

第3回会議

日時:令和3年1月28日(木曜日)午前10時00分から12時00分

議事:・淀川水系の河川整備に関する技術検討会提言案について

資料1 第1,2回技術検討会の補足説明について(PDF:994KB)

資料2 淀川水系の河川整備に関する技術検討会提言(案)(PDF:3,081KB)

 

 凍結の大戸川ダム、近年の豪雨受け「必要性がより明確化」 京都府検討会、建設へ前向きな提言案

(京都新聞2021/1/28(木) 12:01配信)  https://news.yahoo.co.jp/articles/4056f15b2995dfb29702834defd5d1f9fdd39667

【地図】大戸川ダムの建設予定地

国が事業を凍結している大戸川ダム(大津市)について、有識者でつくる京都府の技術検討会が28日、ウェブ方式の会合で「本体工事に着手するための調査、設計に取り掛かる時期にきている」と前向きな提言案をまとめた。府はこの内容を受け、建設の是非を判断する見通し。

【写真】大戸川ダムの建設予定地(大津市上田上大鳥居町)

提言案では、府内に全国初の特別警報が発令され、桂川などが氾濫した2013年の台風18号被害を踏まえ「その必要性がより明確化したと評価できる」と指摘。気候変動の影響によって台風18号と同等以上の雨が降る可能性を考慮し、「大戸川ダムの整備に着手することの緊急性も高まっている」と結論付けた。

大戸川ダムを巡っては2008年に当時の京都、滋賀、大阪、三重の関係4府県知事が「優先順位が低い」と当面の建設中止を求める意見をまとめ、国が09年に事業凍結を決定した。

しかし、滋賀県の三日月大造知事が19年、一転して建設推進を表明。今月21日には大阪府の吉村洋文知事が建設を容認する意向を明らかにしており、京都府の判断が注目されている。

同ダムの総事業費は1080億円で、7割を国、3割を3府県が負担する。滋賀県の8億円に対し、より治水効果がある下流の京都府は128億円、大阪府は186億円に上る見込み。

 

一度は”凍結”された「大戸川ダム」、京都府が”建設容認”へ 『桂川流域で約3兆円の被害も推定される』

(関西テレビ2021/01/281/28(木) 18:01)https://news.yahoo.co.jp/articles/d1225c4b7c8f3f456bfff638bab83a772af6005f

建設が凍結されている大戸川ダムについて、有識者がその必要性を指摘しました。 28日午前、大戸川ダムの整備について検討する京都府の有識者会議がオンラインで開かれました。

大戸川ダムは国の計画で建設が始まりましたが、4府県の知事が反対して、2009年に工事が凍結されました。

しかしおととし、滋賀県の三日月知事が治水効果があるとして建設を容認し、今年1月には大阪府の吉村知事も前向きに検討すると発言しました。

28日の有識者の会議では、仮に2013年の台風18号と同じ規模の雨が降った場合、桂川流域で約3兆円の被害が出ると推定されるため、大戸川ダムの整備に着手すべきという提言案がまとめられました。

京都府の西脇知事は、「提言を踏まえ、対応を検討します」とコメントしています。

 

大戸川ダム建設容認提言へ 京都府有識者会議 豪雨想定し「緊急性高まった」

(毎日新聞2021年1月28日 20時28分) https://mainichi.jp/articles/20210128/k00/00m/040/235000c

 国が建設を凍結した淀川水系・大戸川(だいどがわ)ダム(大津市、総貯水容量約2200万立方メートル)について、京都府の有識者会議(委員長=中北英一・京都大防災研究所教授)は28日、着工を容認する提言案を取りまとめた。近く府に提出する予定で、府が容認する公算が大きくなった。

大阪、京都、滋賀、三重の4府県知事が2008年、建設凍結を求める共同見解を発表したが、滋賀県の三日月大造知事が19年に建設を容認する方針に転換。三重県も容認に転じ、大阪府の吉村洋文知事も今月20日に建設容認の意向を示しており、これですべての流域自治体が容認する見通しとなった。

滋賀の方針転換を受け、京都府は近年の気象状況の変化を踏まえて検討するため、20年12月に有識者会議を発足させた。府内の淀川水系流域に戦後最大の豪雨をもたらした13年の台風18号のデータを用い、この時の水量を安全に下流へ流せることを最低限の条件として河川整備の在り方を探った。提言案は「(下流の京都府宇治市にある)天ケ瀬ダムの洪水調整機能を強化するため、大戸川ダムの必要性が明確になった」と指摘。気象変動の影響で台風18号と同等以上の豪雨が発生する確率も高まっているとして、「緊急性も高まった」と結論付けた。

西脇隆俊知事は28日、記者団に「提言の内容を踏まえて京都府の考え方を検討していく」と述べた。

大阪府河川整備審議会は近く、府内に治水効果があると吉村知事に答申する。国土交通省近畿地方整備局は今後、兵庫、奈良を含めた淀川流域6府県による会議を開く方針。大戸川ダムを含む河川整備計画案について大阪、京都以外の4県は容認しており、大阪、京都も容認すれば、住民への意見聴取などダム建設凍結の解除に向けた手続きが動き出すことになる。【大川泰弘、上野宏人】

 

大戸川ダム「建設が必要」 京都府の有識者委が提言案

(日本経済新聞2021年1月28日 19:30) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJB285240Y1A120C2000000

本体工事が凍結されている淀川水系の大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)の建設計画について、京都府の有識者検討委員会は28日、建設が必要とする提言案をまとめた。工事の凍結解除には淀川水系6府県の同意が必要で、京都以外の5府県が容認の方針を示している。来週をめどに提言を受け取る京都府の西脇隆俊知事は同日、「提言を踏まえ、府として対応を検討していく」とのコメントを発表した。

提言案は、大きな被害をもたらした2013年の台風18号と同等以上の雨が降った場合などを想定。気候変動を考慮し「大戸川ダムの整備に着手することの緊急性は高まっている」「大戸川ダムの本体工事に着手するための調査、設計にとりかかる時期にきている」とした。委員会では提言案への反対意見はなかったという。

大戸川ダムは琵琶湖から発して淀川につながる瀬田川の支流、大戸川に国が計画する治水ダム。08年に滋賀、大阪、京都、三重の4府県が異議を唱え計画が凍結されたが、19年に滋賀県の三日月大造知事が建設を容認する考えを示したことで状況が一転した。大阪府も建設を容認する方向を示した。

 

豪雨災害の頻発に「建設が必要」と提言 滋賀県の大戸川ダムについて京都府の専門家会議

(読売テレビ2021/1/28(木) 19:17)https://news.yahoo.co.jp/articles/8596c2dae06a5f86537323ea9ed5f9112f101c38

(写真)豪雨災害の頻発に「建設が必要」と提言 滋賀県の大戸川ダムについて京都府の専門家会議

建設計画が凍結されている滋賀県の大戸川ダムについて、京都府の専門家会議が28日、「洪水被害を防ぐために建設が必要」とする提言をまとめた。流域の滋賀と大阪はすでに容認に転じていて、計画が再び動き出す可能性が浮上している。

京都府で開かれたのは、河川の治水にくわしい専門家が集まった会議。専門家からは、大戸川ダムの整備に着手する「緊急性が高まっている」などの声があがった。凍結判断が出ていたダムが一転、容認に動き出した背景には何があるのか。

大津市にある「大戸川ダム」。桂川や宇治川など淀川水系の治水対策のため、国が事業費1080億円で建設を計画した。しかし、13年前、費用の一部を負担する滋賀・京都・大阪の当時の知事らが「河川の改修が先で、ダムの優先順位は低い」として反対した。

滋賀県の嘉田由紀子知事(当時)「地域が責任をもって、川とのかかわりを生み出していかなければならない時代」

大阪府の橋下徹知事(当時)「効果がちゃんとわかるお金の使い方でないと、100万円でも50万円でも出さない」

しかし、おととし、滋賀県の三日月知事が方針を一転させる。

三日月大造知事「地元の皆様の安心・安全のための治水安全度を上げるためには、大戸川ダムが必要になります」

全国各地で、これまでにない豪雨災害が頻発していることを受け、早期の建設を求める考えを表明した。

大阪府の吉村知事も先週、建設を前向きに検討していることを明らかにした。 吉村洋文知事「(大阪では)9兆円規模の被害と240人の死者が出る可能性があるが、大戸川ダムは防ぐ効果があるということが専門家の意見として出たので、大阪府にとってプラスの効果だと思う」

大阪・滋賀と、大戸川ダムの下流に位置する府県が次々と容認する方向に転じる中、残る京都府の対応が注目されている。 京都府の担当者「桂川の治水安全度は依然として低い水準にとどまっている」「(京都を流れる)桂川の改修を切れ目なく実施するためにも、大戸川ダムの着手するための調査、設計にとりかかる時期にきている」

会議では、2013年の台風18号と同じ規模の洪水が起きた場合、桂川が流れる京都府だけで約3兆円の被害が出るとの指摘があがり、専門家たちはダムを建設すべきと結論付けた。

京都府の西脇隆俊知事「府民の生命・財産を守る観点が一番重要だと痛感しているので、技術検討会(専門家会議)の提言を尊重する立場にある」

「提言を踏まえて、さらに検討を深める」とした西脇知事。容認に転じれば、ダムの建設に向けて大きく前進することになる。

嘉田由紀子氏、熊本豪雨の独自報告書 「ダムでも犠牲者救えず」

2021年1月27日
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元滋賀県知事の嘉田由紀子参議院議員が昨年7月の熊本豪雨で犠牲になった球磨川流域の50人について調査を行い、「川辺川ダムが完成していても、一人も救われなかった」とする報告書をまとめました。

この報告書について熊本日日新聞の記事を掲載します。その報告書を議員事務所から送っていただいて、読みました。「7・4球磨川流域豪雨被災者・賛同者の会」の協力で被災地を訪ね、犠牲者の住居や死亡の状況などを調べたもので、充実した報告書だと思いました。

一方、国交省は下記の西日本新聞の記事の通り、1月26日に示した緊急治水対策プロジェクト案で、川辺川への流水型ダム建設と既存ダムの再開発が完了するまでに「熊本豪雨級」の雨が再来した場合、人吉市は大規模浸水は免れないというシミュレーション結果を示しています。川辺川ダムをつくらなければ、人吉市の氾濫はあまり変わらないというもので、川辺川ダムの必要性をアピールするための恣意的な計算であると思います。

  

嘉田氏、熊本豪雨の独自報告書 「ダムでも犠牲者救えず」

(熊本日日新聞 2021/01/26 09:27) https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E5%98%89%E7%94%B0%E6%B0%8F-%E7%86%8A%E6%9C%AC%E8%B1%AA%E9%9B%A8%E3%81%AE%E7%8B%AC%E8%87%AA%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8-%E3%83%80%E3%83%A0%E3%81%A7%E3%82%82%E7%8A%A0%E7%89%B2%E8%80%85%E6%95%91%E3%81%88%E3%81%9A/ar-BB1d5wzI

元滋賀県知事の嘉田由紀子参院議員(無所属)が、昨年7月の熊本豪雨で犠牲になった球磨川流域の50人について、「川辺川ダムが完成していても、一人も救われなかった」とする独自の報告書をまとめた。現地調査を踏まえ、ダムによる水位低下効果が現れる前に、既に全員が死亡していたと推定した。

嘉田氏はことし1月までに計4回、「7・4球磨川流域豪雨被災者・賛同者の会」の協力で被災地を訪ね、犠牲者の住居や死亡の状況などを調べた。

その結果、全員が球磨川がピーク流量に達する前の4日午前7~9時に死亡したと推定。「ダムがあれば命が救われたと推測できる人数はゼロ」と結論付けた。特に、20人が犠牲となった人吉市では、住民の証言を基に本流より支流や水路が氾濫した影響が大きかったと指摘した。

一方、犠牲者の6割に当たる30人の住居が平屋であった点や、高齢者世帯が多かったことにも注目。2階建てへの建て替え推奨や、避難が難しい高齢者や障害者に対する支援の必要性を訴えた。

滋賀県知事時代、住民参加型の総合的な流域治水を進めた嘉田氏は、国が進める球磨川流域治水策の検討には「住民の視点が欠けている」と問題提起。「ダムがあってもなくても、住民自らの『備える』『逃げる』行動は重要。犠牲を教訓に、多重防護の流域治水を進めてほしい」と話す。(並松昭光)

 

球磨川流域、ダム整備完了まで浸水リスク 避難対策強化など必須

(西日本新聞2021/1/27 11:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/684969/

昨年7月の豪雨時並みの水量が球磨川に流れた場合の人吉市の浸水想定図。ダム完成前は、豪雨時の浸水範囲(青線で囲まれた部分)に比べてわずかしか減っていない(国の資料より)

ダム完成後は、人吉市での浸水はほぼみられない(国の資料より)

熊本県球磨川流域の治水策として、国が26日示した緊急治水対策プロジェクト案では、川辺川への流水型ダム建設と既存ダムの再開発が完了するまでに「熊本豪雨級」の雨が再来した場合、大規模浸水は免れないとのシミュレーション結果が示された。水害リスクの周知と避難対策の強化、高台への移住、宅地かさ上げなどの方策が必須となる。

九地整が見込む流水型ダムの完成と既存の市房ダム(水上村)再開発完了の時期は2029年度以降。二つのダムの整備が完了すれば、「熊本豪雨級」の雨でも流域全体で越水をほぼ防ぐことができる。堤防が決壊した場合も浸水域は支流の山田川、万江川との合流部に限定され、市街地周辺の浸水リスクは解消されるという。

ただ、九地整が治水対策の「第1段階」と位置付ける豪雨災害発生からおおむね5年間は、河道掘削がメインだ。被害軽減効果は限定的で、川辺川との合流地点上流の浸水リスクが一部解消される程度だ。

29年度までの「第2段階」では遊水地群の整備や河川拡幅を完了する予定。これで人吉市中心部の浸水深は浅くなるものの、浸水範囲は昨年7月豪雨時と大きく変わらない。

そこで、九地整は整備途上段階の水害リスクを関係自治体と共有し、それを踏まえたまちづくりや避難行動の検討を進める「リスクコミュニケーション」の重要性を強調する。今後、プロジェクトの進展に応じたリスク情報を発信していくという。 (古川努)

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