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貯水量は浜名湖の2倍、見えぬ使い道 岐阜・徳山ダム

2018年10月23日
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徳山ダムが完成して10年、その開発水は全く使われていません。徳山ダムの開発水を無理矢理使うため、揖斐川から長良川と木曽川に送水する木曽川水系連絡導水路事業が計画されていますが、水余りが進む状況で必要であるはずがなく、
事業の検証も行われない状態になっています。
この問題を取り上げた朝日新聞の記事を掲載します。

貯水量は浜名湖の2倍、見えぬ使い道 岐阜・徳山ダム

編集委員・伊藤智章
(朝日新聞2018年10月18日10時31分)https://digital.asahi.com/articles/ASLBH56XNLBHOIPE01L.html?iref=pc_ss_date
おお
【動画】治水、利水、発電の多目的ダムとして建設された徳山ダム。利水の必要性は低くなっているが、ダムでためた揖斐川の水を渇水時に流せば環境改善になるという=細川卓撮影


(写真)導水路計画に反対し、放流予定地付近で独自の水質計測を続ける市民もいる=岐阜市長良古津の長良川


治水、利水、発電の多目的ダムとして建設された徳山ダム(岐阜県揖斐川町)。1957年の構想浮上から60年余りが経過し、その目的が今の社会に合わなくなっている。

「徳山ダムが(下流の)横山ダムと連携し、50センチ水位を下げました」。名古屋市で4日に開かれた木曽川水系流域委員会。国土交通省の担当者が強調したのは、7月の豪雨で徳山ダムがみせた治水効果だ。流入する水を一時全量ため込み、揖斐川下流の負担を減らした。
徳山ダムは治水、利水、発電の多目的ダム。当初は毎秒15トンを愛知、岐阜両県や名古屋市の都市用水に供給するはずだったが、長い工事期間のうちに水余りに直面し、最終的に6・6トンに縮小された。代わりに洪水対策などの容量を増やし、治水効果が上がったという。
一方、この7月豪雨では長良川の支流・津保川があふれ、岐阜県関市上之保で2人死傷、全半壊約100戸の被害が出た。現地では9月末も家屋がブルーシートで覆われ、畳を上げて修理中だった。車が流された自営業男性(62)は「早く川を浚渫(しゅんせつ)して安全にしてほしい」。家のすぐ裏の津保川は近くで別の川と合流しているうえ、下流約100メートルでカーブし、砂がたまりやすいという。
岐阜県も付近の危険性を認めており、緊急対策が必要な県管理河川(265キロ)にこの地区の津保川を挙げている。だが2023年までに完成を目指す50キロには含めておらず、着手はその先の予定だった。
「限られた予算。選ばざるをえない」。県の担当者は苦しげだ。県の今年度の治水予算は124億円。国の事業抑制に加え、06年に表面化した県財政危機から、予算は20年前の4分の1まで減らされている。
検証進まぬ、導水路事業
利水の必要性が下がっているなか、岐阜県はダムの完成後23年かけて利水負担金約400億円を水資源機構に払う契約を結んでおり、まだあと240億円残っている。本来は西濃地方の市町や企業に水を売って返済するはずだったが、地下水が豊富で一滴も売れず、一般会計から払う。利子や治水分なども合わせ、県の負担は年30億円を超える。
徳山ダムの利水関連事業はまだ続いている。国の木曽川水系連絡導水路事業(890億円)だ。ダムでためた揖斐川の水を、愛知県や名古屋市が取水施設をもつ木曽川や長良川に流す。渇水時は水を流せば環境改善にもなるといい、上流ルートの途中で一部を長良川に落とし、下流ルートでまた木曽川へ流す。
だが節水の定着などで、愛知県や名古屋市の水需要は横ばいから減少傾向だ。ピークの1975年に124万トンあった名古屋市の1日最大給水量は昨年、83万トンにまで減った。「100年に一度の大渇水」と言われ、各地で断水騒ぎのあった94年8月レベルだ。
長良川への放流も、むしろダムの冷たい水を入れることで「アユの成育などに影響するのでは」などという根強い疑問があり、市民グループが独自に毎月、水質計測を続けている。
民主党政権時代の2009年、全国のダム検証の対象に導水路事業が入り、公開の場で費用対効果などを調べることになった。名古屋市の河村たかし市長は導水路に批判的で、15日も記者の質問に「利水で要るというなら具体的に(国に)証明してもらわないかん」と話した。国交省も簡単に継続の結論を出しにくく、この3年間、会議が開かれていない。全国83の検証事業のうち、いまだ「検証中」は導水路など四つだけになった。(編集委員・伊藤智章)

〈徳山ダム〉 揖斐川上流に建設された、治水、利水、発電の多目的ダム。岩を積み重ねて造るロックフィルダムで、ダム本体は高さ161メートル、長さ427メートル。総貯水容量6億6千万トンは静岡県の浜名湖の約2倍に相当する。

14人死亡の鬼怒川氾濫、国は危険性を認識しつつ放置…住民の対策要求を何度も無視

2018年10月23日
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8月7日に提訴した鬼怒川水害訴訟についての詳しい記事を掲載します。
第1回口頭弁論は水戸地裁下妻支部で11月28日(水)(15時45分~)に開かれます。


14人死亡の鬼怒川氾濫、国は危険性を認識しつつ放置…住民の対策要求を何度も無視

(Business Journal / 2018年9月30日 16時0分)https://news.infoseek.co.jp/article/businessjournal_479061/?p=1

鬼怒川で発生した2015年9月の水害。関東・東北豪雨により、茨城県を流れる鬼怒川が氾濫し、流域の5つの市が洪水に飲み込まれた。住民は孤立し、約4300人が救助されたが、災害関連死と認定された12人を含む14人が死亡。多くの住宅が全壊や大規模半壊などの被害を受けた。
この水害は単なる自然災害ではなかった。住民は洪水が起きる危険性を、発生前から国に指摘していたのだ。しかし、現在も国が非を認めないため、常総市の住民ら30人は8月7日、国に約3億3500万円の損害賠償を求めて提訴した。
今年7月の西日本豪雨、昨年7月の九州北部豪雨など、全国で水害の被害が相次ぐなかで、住民は「水害被害にあった多くの人たちのためにも、国のデタラメな河川行政の転換を求める」と憤る。現地で原告の住民に話を聞いた。

●凄まじい被害は「国による人災」
8月7日、水戸地方裁判所の下妻支部には、提訴に訪れた住民と弁護団、それに報道陣と、多くの人が詰めかけていた。提訴を終えて、建物から出てきた弁護団の只野靖事務局長は、報道陣の取材にこう答えた。
「3年前、水害が起きた当初から、国の対応に瑕疵があると考えてきました。国の責任が大きいこの水害は人災です。その思いを強くしています」
3年前の15年9月10日午前6時頃、関東・東北豪雨により、常総市の若宮戸地区で最初に洪水が発生した。鬼怒川の水量はその後も増え、午後0時過ぎには上三坂地区の堤防が決壊。最終的に決壊は200メートルにわたった。
激しく流れる洪水は建物、田畑などを次々と浸水し、常総市の中心部である水海道地区にも及んだ。常総市の面積の約3分の1にあたる、約40平方キロメートルが浸水してしまった。市内では住宅の全壊が53棟、大規模半壊と半壊が約5000棟。災害関連死と認められた12人を含む14人が亡くなる甚大な被害を出した。
この水害が、なぜ人災なのか。原告のひとりで、最初に洪水が発生した若宮戸地区で農業生産法人を営む高橋敏明さん(64)は、静かな口調ながら、怒りを込めて話した。
「若宮戸地区には自然の堤防となっている砂丘林があるだけで、本来国がつくるべき堤防がありませんでした。しかも、ソーラー発電の業者が、砂丘林を掘削して、無堤防状態になっていました。にもかかわらず、国は十分な対応を取りませんでした。そこから洪水が流れ出たのです」

●国は危険を2度にわたって放置
写真は、現在の若宮戸地区。ソーラーパネルが並ぶ場所の付近だけ、200メートルほど砂丘林が切れているのが確認できる。ここが最初に水が溢れた場所だ。いまは水害後の工事で堤防がつくられているが、被害が出た時には、砂丘は低く削られていた。
鬼怒川は一級河川なので、国土交通省の管理下にある。砂丘が削られた2014年3月以降、住民が国に対策を求めると、国は「その場所は河川区域ではなく、私有地なので手が出せない」という態度だった。
しかし、あまりにも危険な状態なので、住民が引き続き対応を求めると、14年7月、国の担当者は1個の高さが約80センチの土嚢を2段積んだ。取られた対策はそれだけだった。
それからわずか1年あまり。住民の予想通り、豪雨の早い段階で、砂丘林が削られた場所から川の水が溢れ出た。洪水はあっという間に住宅や田畑を飲み込んだ。砂丘林が削られていなければ、あふれた水量はもっと少なく、これほどの被害は出なかった可能性が高いのだ。
それだけではない。国は長い時間をかけて「鬼怒川直轄河川改修事業」を進めている。11年度の事業評価の際には、当面7年で堤防を整備をする区間と、おおむね20年から30年をかけて整備をする区間が定められている。
若宮戸地区の砂丘林の高さは、事業で整備の基準にしている「計画高水位」よりも1メートル低い。しかし、整備計画の区間には入っていなかった。原告を支援する水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之共同代表や弁護団が、国が提出した資料を分析すると、国は03年度に若宮戸地区で堤防をつくる詳細な設計をしていながら、その報告書がお蔵入りしていたことがわかった。
つまり、国は若宮戸地区の砂丘林が低いことを認識していながら、意図的に堤防を整備せずに放置していたことになる。さらにその砂丘林が削られても、十分な対策を講じなかった。住民は2度にわたって国に放置されてしまったのだ。
●誰かが立ち上がらなければ
若宮戸地区の高橋敏明さんは、砂丘林が削られた場所からおよそ800メートルほど離れた場所で、観葉植物や、花卉の栽培を行なっていた。鬼怒川の氾濫により、1500坪もあった花卉栽培の温室などの施設は破壊されてしまった。
「45年間、丹精を込めて植物を育ててきましたが、水害によって壊滅的といいますか、跡形もなくなりました。経営も危機的な状況に陥りました。皆さんに協力いたただいて、今は水害前の7割くらいまで再建できています」
高橋さんは、法人と個人の両方で原告になっている。責任があるのは明らかなのに、非を認めない国の態度が今でも許せなかった。しかし、それだけではない。多くの被災者が国の落ち度を訴えてきたが、生活の再建に追われて、裁判まで起こそうという人は時間がたつとともに減ってきた。誰かが立ち上がらなければ、国の態度が変わることはない。そう思い、裁判を決心した。
「私たちの声を無視して、危険を放置した国に責任がないというのは、信じられません。私たちが立ち上がることによって、あきらめかけていた人たちも、また一緒に国を訴えようと、動きだすのではないかと思っています」
実際に、今回提訴した法人と個人の30人以外にも、原告団に加わろうという動きが出ている。近く追加提訴が行われる見通しだ。

●泣き寝入りしている人のためにも
今年7月に発生した西日本豪雨により、各地で大規模な河川の氾濫が発生し、これまでに220人が犠牲になった。
鬼怒川氾濫と同じように、危険がわかっていながら、洪水対策がとられていなかった場所といえば、岡山県倉敷市真備町の小田川が挙げられる。小田川は過去にも繰り返し氾濫し、河川改修も計画されていたが、実施されないまま今回の水害が発生し、51人が亡くなった。
水害をめぐる訴訟では、1984年1月に出た大東水害訴訟最高裁判決によって、その後住民側が行政を訴えてもほとんど勝訴できない状況となった。大東水害とは、72年7月に大阪府大東市で大雨で寝屋川が氾濫した水害。その判決で示されたのは、河川の管理と、改修中の河川の管理について瑕疵が認められるのは、「河川管理の一般水準及び社会通念に照らして、格別不合理なものと認められる」場合だけというものだった。
鬼怒川水害でも、国は非を認めていない。しかし、常総市に行って見てみれば、これだけ長い流域で、周囲に多くの住民が暮らす一級河川を、自然の堤防に頼って国がまともに管理していないことに驚かされる。鬼怒川は利根川の最大の支流で、関東平野を流れる重要な河川のひとつである。社会通念に照らして、放置してきた国に責任がないとは、到底思えない。
弁護団の只野靖事務局長は、水害訴訟の流れを変えるのも今回の裁判の意義のひとつだと、力を込めて語った。
「水害で被災した方で、裁判で行政の責任を問いたくても、できなかった方が何万人もいると思います。全国で水害が多発しているなかで、鬼怒川と同じメカニズムで被災した方もいるかもしれません。想定外の雨が降ったのだから仕方がない、という国の姿勢で済ませていたら、大きな被害が出る状況はいつまでたっても変わらないでしょう。水害の被害にあった多くの方のためにも、裁判で河川行政の転換を求めていきたいと思います」
行政による人災を、自然災害で済ませていいはずがない。鬼怒川氾濫をめぐる訴訟では、国の河川行政そのものが問われている。
(文=田中圭太郎/ジャーナリスト)

神奈川)海岸線の後退防げ 県、「養浜」の拡大を検討

2018年10月3日
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ダムの堆砂で後退した海岸線の対策として、ダムの堆積土砂を使って養浜を行っているという記事を掲載します。

神奈川)海岸線の後退防げ 県、「養浜」の拡大を検討
(朝日新聞神奈川版2018年10月3日03時00分)https://digital.asahi.com/articles/ASL9F55T2L9FULOB00V.html?iref=pc_ss_date

(写真)茅ケ崎海岸「中海岸地区」の養浜前(2005年12月)の様子=神奈川県提供
(写真)養浜後(2017年6月)の同じ箇所。土砂が盛られ、砂浜の幅が回復している=神奈川県提供

神奈川県は、相模湾岸で進む海岸線の後退を防ごうと、これまで主に相模川の河口周辺の砂浜で進めていた盛り土作業「養浜(ようひん)」を、より広範囲に行う方向で検討を始めた。
県によると、相模湾岸で海岸線の後退が目立つのは、相模川河口の東側の茅ケ崎海岸(茅ケ崎市)。とりわけ同海岸の中海岸地区は、1950年代半ばからの30年間に最大約50メートルの海岸線後退を確認した。相模川上流でのダム建設や中流域での川砂利採取、護岸整備などの進展に伴い、川から供給される土砂の量が減ったことが要因と考えられるという。
県は生態系や水質への影響を勘案し、同じ水系のダム底の土砂を使った養浜を2006年から実施。11年に定めた「相模湾沿岸海岸侵食対策計画」でも養浜を対策の中心に据えている。
中海岸地区では相模川上流の相模、道志両ダム(いずれも相模原市緑区)の底の土砂や、相模湾岸の周辺漁港付近にたまっていた土砂計約37万立方メートルを運び入れ、後退していた海岸線を約40メートル回復させたという。
一方で、中海岸地区の東側にある菱沼地区や相模川河口の西側にある平塚海岸では、海岸線が養浜で復活した部分もあるが、高波で砂浜が削られるなどしている。エリアによって養浜の効果は異なるという。
県は毎年、相模湾全体で測量や環境調査などを行い、養浜の効果や影響を検証。ダム底の土砂を入れても、海洋環境の面で影響は見られないとしている。
今年度からは試験的に、相模原市緑区と愛川町、清川村にまたがる相模川上流の宮ケ瀬ダム(国土交通省管理)の底の土も養浜に使っている。使える土が増え、養浜をより広い範囲で行うことができるという。県砂防海岸課は「相模川水系は上流のダムから河口まで県内にあり、ダム底の土砂をさらう必要性と、養浜の必要性が、経費面も含めて県の中でうまく一致している」としている。
養浜による砂浜の回復と保全は、黒岩祐治知事が2期目で掲げた主要施策のひとつ。同課は「養浜は砂浜を利用するサーファーなどから『コンクリートを使わない公共工事』として評価も高い」として、実施エリアを広げる方針だ。どこで実施するかについては「今後検討する」としている。(岩堀滋)

水資源 水巡る対立、世界で激化 国の争い00年以降357件

2018年9月25日
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世界各地で水資源を巡る争いが頻発しているという毎日新聞の記事を掲載します。

水資源 水巡る対立、世界で激化 国の争い00年以降357件

(毎日新聞2018年9月21日 東京朝)刊)https://mainichi.jp/articles/20180921/ddm/007/030/027000c

(写真)メコン川とトンレサップ川の合流地点。メコン川では上・中流のダム建設計画が流域国間の争いの種となっている=カンボジア・プノンペンで、須賀川理撮影

メコン川
世界各地で水資源を巡る争いが頻発している。アジア、アフリカなどの人口急増に伴う水の大量使用、ダム建設による河川流量の減少などの環境変化、地球温暖化による干ばつなどが大きな要因だ。一方で、水資源の保全を目指す新たな取り組みも始まっている。「水」を巡る現状を報告する。
ダム増加、下流域反発 アジア
「20世紀は(各国が)石油を巡って争う世紀だったが、21世紀は水で争うことになる」。1995年、当時世界銀行の副総裁だったイスマイル・セラゲルディン氏はこう予測した。あれから23年。大規模な紛争こそ起こっていないが、水を巡る人々の対立は激しさを増している。
90年に約53億人だった人口は現在、約75億人。2050年には約97億人に達すると予想される。人口増加は水の使用量増加に直結する。経済協力開発機構(OECD)は、00~50年の間に製造業の工業用水は5倍、発電に使う水は2・4倍に増加すると予測、50年には世界人口の40%以上が深刻な水不足に見舞われると警告している。
inRead invented by Teads
米シンクタンク「パシフィック・インスティテュート」によると、水を巡る各国の争いは00年以降で357件に上る。地域別では、サハラ砂漠以南のアフリカ93件▽中東90件▽南アジア60件--など。人口が増加し、干ばつの影響を受けやすい中東、アフリカ、アジアでのトラブルが増加している。
メコン川で続々建設
例えば、東南アジアで大きな問題となっているのが、中国からミャンマー、ラオス、カンボジア、ベトナムを通って南シナ海に注ぐメコン川での「ダム建設」を巡る争いだ。
メコン川は流域に住む約7000万人の生活を支える「要」だ。上流に位置する中国は人口増加によるエネルギー需要などを満たすため、複数のダムを設置。さらに20以上のダムの建設計画がある。中国は「ダム建設による下流域への影響はほとんどない」との立場だが、下流域の国々は河川流量の減少、生態系の破壊、漁獲量の減少などが起こり、農業や漁業に影響を与えているとして、中国に強く抗議している。
一方で、中流域にあるラオスもダム建設を計画する。水力発電を行い、タイに電気を売るためだ。これには下流域のベトナムが抗議しているが、ラオスは河川を自国資源の一つとして位置づけ、譲る様子はない。流域国は「メコン川委員会」という仲裁機関を作っているが、委員会に法的な権限がない上に、中国は加盟しておらず、対立が収まる気配はない。
中央アジアでは、キルギスとタジキスタンがシルダリヤ川などの上流にダム建設を計画し、下流のウズベキスタンがキルギスに天然ガスの供給停止で対抗するなど対立が表面化した。
気候変動の影響も
インドでは、気候変動で南部カベリ川の流量が減少。16年9月には流域のカルナタカ州とタミルナド州の住民が対立して暴動が発生。警察の発砲によって2人が死亡し、500人が逮捕される事態となった。
イスラム過激派のテロに悩まされている東アフリカのソマリアでは、干ばつによる食料不足が混乱に輪をかけ、さらなる不安定化につながっている。
水問題に詳しい米オレゴン州立大学のエリック・スプロール研究員は今後、複数国にまたがる国際河川について、アジアでは807、南米では354のダム建設が予定されており、「水を巡る対立」がさらに増加する可能性があると指摘。「各国(または各地域)は事前に、水資源の利用を規定した条約などを結ぶ必要がある」と指摘する。【ウィーン三木幸治】
干ばつ、内戦で深刻化 中東
水資源を巡る問題が特に深刻化しているのが中東だ。砂漠地帯では水不足が住民生活に大きな影響を与えるため、各国の政権にとって無視できない内政課題であり、時には外交問題にも発展する。
たとえばイラク。南部バスラやアマラでは今年7月以降、停電や断水が頻発する政府の公共サービスに抗議するデモが続く。現地ジャーナリストによると、デモ参加者は「水が欲しい」などと訴えているという。干ばつの影響で耕地面積が減り、南部では水のある土地を求めて離村する農家も続出している。
イラクでは14年から台頭した過激派組織「イスラム国」(IS)との戦闘が昨年にほぼ終結し、荒廃した国土の復興にようやく乗り出した。だが今年5月の国会の総選挙後、各勢力の連立交渉が難航。新政権は4カ月以上も発足せず、公共サービスは停滞し、南部では汚染された水道水を飲んだ住民が多数入院しているという。

(写真)シリア内戦でアサド政権と反体制派が奪い合った山岳地帯の水道施設=シリア南部アインフィージャで
戦闘で施設破壊
「水を巡る争い」で忘れられないのが、内戦が続くシリアを取材した時だ。
反体制派の武装勢力は13年、首都ダマスカス西郊の水源の町アインフィージャにある水道施設を制圧した。だがアサド政権軍はこの町を徹底的に空爆し、17年1月に奪還した。
記者は17年12月、山岳地帯に位置するこの町に入った際、言葉を失った。黒焦げのまま放置された廃虚の家々がどこまでも続く。銃を構えた監視役の政権軍兵士からは「廃虚は撮るな」と写真撮影を止められた。「水のため」に敵の拠点を破壊し尽くした痕跡を、政権側は外国人記者に見せたくなかったのだろう。
取材が許可されたのは、山のふもとにある水道施設のみ。地下水をくみ上げるパイプはほぼ復旧していたが、がれきが放置されている場所も多く、戦闘の激しさを物語っていた。取材後、ある兵士が「戦争は水を制する者が勝つ」と話すのを聞いた。

(写真)古代から人々の営みとともにあったナイル川=エジプト南部ルクソールで、いずれも篠田航一撮影
ナイル川でも「紛争」

ナイル川
実際の戦闘に発展しなくても、水問題が「外交紛争」を引き起こすケースもある。たとえばエジプトだ。近年はナイル川上流に位置するエチオピアとの対立を深めている。

(写真)国際原子力機関(IAEA)で地下水の年代測定を担う松本拓也分析官。研究室には、自ら設計した分析装置が設置されていた
背景にあるのは、10年からエチオピアが建設を始めた巨大ダムの存在だ。仮にダムが完成し、ダム湖に水がたまれば、下流に向かう水量は減少する。17年6月、エジプトのシシ大統領はウガンダで開かれたナイル川流域国による国際会議で「わが国は人口も増え、水不足が始まっている。流域国は水資源維持のため協力すべきだ」と訴えたが、エチオピア側は「下流への影響はない」と反論し、協議は続いている。
追い打ちをかけるのが人口爆発だ。70年に約3500万人だったエジプトは現在約9500万人に激増。このため、地元メディアによると、70年に1972立方メートルだった1人あたりの年間水消費量は、13年には663立方メートルまで減った。国連が「絶対的な水不足」のラインとする500立方メートルも近付いている。中東はまさに、水資源を巡る争いの「最前線」になっている。【カイロ篠田航一】
地下水の年代調べ活用 IAEA分析官・松本拓也氏、装置設計から解析まで担当
核施設の査察などで知られる国際原子力機関(IAEA、本部ウィーン)に、世界の水資源を有効活用するため、水に含まれる同位体を使って地下水の全貌を調査している部門がある。ここに異色の日本人研究者がいる。岡山大准教授からIAEAに転身した松本拓也分析官(49)だ。
松本さんが取り組むのは、放射性同位体を使った地下水の年代測定だ。地表に降った雨水は、地下に染み込んで地下水となるが、地表降下後に経過した時間によって同位体の量や構成が異なる。例えば水素の同位体であるトリチウムは12年で半減し、ヘリウムの同位体を作る。そのため、地下水に含まれるヘリウムの数を調べれば、その水が何年前の雨水なのか知ることができる。
日本は降水量が多く、地形が急勾配であるために、比較的若い年代の地下水が多い。富士山麓(さんろく)の地下水は数十年前の雨水であることがわかっている。これはこの地域の地下水が数十年という短期間で入れ替わり、持続的に水資源として活用できることを示している。一方、アフリカなど水資源が不足している地域では、数万年という「年齢」の地下水に依存している場合が多い。古い地下水は石油同様、1回限りの資源であるため、持続的な活用については厳密な管理が必要だ。
だが地下水にごく微量しか含まれない同位体を分析するのは、途上国の当局や機関にとっては困難。そこでIAEAが途上国の調査に協力を始めた。元々、大気中での核実験が水資源にどう影響するかを調べており、ノウハウを持っていたのだ。
2010年からIAEAで働き始めた松本さんは、まず比較的若い年代の地下水の調査を欧州や中東など10以上の加盟国とともに実施。現地で地下水サンプルを採取する手法などを確立するとともに、年間300を超える試料の分析を可能にするための装置を完成させた。
IAEAは昨年まで、干ばつに苦しむアフリカのサハラ砂漠南部で、五つの地下水系を調査した。各国はこの調査を基に今後、どのように水資源を確保し、地下水を持続的に利用していくか計画を立てる。
また中国では人口増の影響で、大量の地下水を取水しており、地下水保全戦略の一環として地下水の年代測定に力を入れる。松本さんは最近、中国の研究者との共同調査で100万年を超える年代の地下水の存在を明らかにして注目された。
松本さんは分析装置の設計・作製から、同位体のデータ分析、科学的解釈までを行える世界でも数少ない研究者の一人。「大学では真理を追究する仕事をしてきたが、IAEAの仕事は世界に貢献しているという実感がある。自分の役割は今ここにある、と思っています」と話す。【ウィーン三木幸治】

韓国政府「大規模なダム建設、国は主導しない」

2018年9月19日
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韓国政府が今後、国が主導する大規模なダム建設は中断し、その代わりに中・小規模ダムを、それも流域別に共感が形成される場合に限り建設を進める方針を示しました。
その記事を掲載します。

韓国政府「大規模なダム建設、国は主導しない」
(中央日報2018/9/19(水) 16:15配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180919-00000049-cnippou-kr

(写真)昨年8月25日、北漢江(プッカンガン)昭陽江(ソヤンガン)ダムが6年ぶりに水門を開いて放流した。昭陽江ダムは29億トンの水を貯蔵できる大規模なダム。(中央フォト)

「今後、国が主導する大規模なダム建設は中断する」と政府が宣言した。その代わりに中・小規模ダムを、それも流域別に共感が形成される場合に限り建設を進めるということだ。また、海水を飲み水にする海水淡水化も他の代替水資源の開発が難しい場合に限り開発を検討し、大規模な淡水化施設は公論化を経ることにした。

環境部は18日、水管理業務の一元化から100日を迎え、今後の水管理政策課題を盛り込んだ「持続可能な水管理に向けた第一歩」課題を発表した。水管理の一元化以降に改正したり、今後重点的に推進する水管理政策課題を選定したのだ。

環境部は▼水資源の浪費の除去▼飲み水に対する心配の解消▼水による被害の最小化▼未来世代への配慮--の4つを政策目標に設定し、これを達成するための4大推進戦略と14件の政策課題を準備した。

今回の課題は、環境部が昨年8月から運営してきた「統合水管理ビジョンフォーラム」と4大河川流域別討論会・懇談会、国会討論会などを通じて幅広い階層の意見をまとめた結果だ。今回の課題のうち目を引くのは、ダム政策の「認識体系(パラダイム)」を建設から管理に転換した点だ。水資源業務が国土交通部から環境部に移った後、水資源に関する政策方向も開発から保全に変わったのだ。

これを受け、国家主導の大規模ダムの建設は中断し、中・小規模ダムは流域「協治」(ガバナンス)を通じて合意と共感が形成された後に推進することになる。特に、現行の「ダム建設長期計画」を「ダム管理計画(仮称)」に改編し、ダムの効率的な維持管理と安定的な運営に重点を置くことにした。これに関し環境部の関係者は「従来のダム建設長期計画には14件のダムが反映されているが、このうち洪水被害予防を目的に地方自治体が施行中の小規模ダムは2件があり、国が現在推進している新規ダム建設計画はない」と説明した。

海水淡水化施設も他の代替水資源開発が難しい場合に限り開発を検討することにした。大規模な海水淡水化は公論化などを経て施行することになる。海の下に上水道管を設置する海底管路は来年、全国110島を対象に事業が推進され、全羅南道甫吉島(ボギルド)の甫吉島貯水池の下流には地下水ダム設置も推進している。

環境部は干ばつと洪水の予防にも積極的に対処することにした。まず、統合干ばつ情報センターを設置し、2021年までに全国干ばつ脆弱地図も作成することにした。干ばつ被害が多い忠清南道(チュンチョンナムド)に対し、地方自治体・関係部処(農食品部など)・専門家などとガバナンスを構成し、総合的な対策を準備することにした。

洪水被害防止のために洪水予報地点を現行の50カ所から2020年には64カ所に拡大し、降雨レーダー全国網も構築し、局地性豪雨と突発洪水への対応力を強化することにした。また、都心の水循環力量の強化に向けて地方自治体別・流域別水循環率、不透水面積率の目標設定など制度の改善も推進することにした。

水質分野では下水処理場放流数基準の強化、家畜糞尿の集中管理などが提示された。さらに主要浄水場と飲料水を対象に微細プラスチック検出原因を究明し、検出原因別の管理対策を今年末まで用意する予定だ。このほか、環境部は4大河川の堰開放・モニタリングを通じた科学的な調査・分析、国民的共感に基づく合理的処理案を用意することにした。

京仁(キョンイン)運河は公論化委員会の議論を通じて機能を再確立し、釜山エコデルタシティなど進行中の親水区域事業は環境の面で補完、発展させる計画だ。

キム・ヨンフン環境部水環境政策局長は「水管理一元化効果を国民が体感できるよう課題に取り組んでいきたい」とし「統合水管理ビジョンフォーラムを中心に今年末までに別の『統合水管理政策ロードマップ』を用意する予定」と説明した。

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