水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

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第15回 日韓NGO湿地フォーラムでの講演スライド(12月5日)

2020年12月20日
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日韓NGO湿地フォーラムは、2007年以来、ラムサール・ネットワーク日本(ラムネットJ)と韓国湿地NGOネットワーク(KWNN)が、毎年交互に開催しています。

今年は日本側の開催ですが、コロナ禍で韓国からの訪日が困難となったので、韓国はコヤン(高陽)市、日本は熊本県八代市を会場にして、オンライン会議システムで12月5日に開催されました。

このフォーラムの様子が熊本日日新聞2020年12月6日で報道されました。

今回の湿地フォーラムのプログラムは下記の通りです。

このフォーラムで、嶋津が「これ以上のダム建設は必要か」というテーマで基調講演を行いました。

この講演のスライドは、

日韓NGO湿地フォーラム 2020年12月5日 これ以上のダム建設は必要か

の通りです。興味のある方はご覧いただければと思います。

日本語版と韓国語版のスライドが交互になっています。

話の柱は次の通りです。

Ⅰ 日本におけるダム建設の経過

Ⅱ 利水面で新規ダムの必要性が喪失

Ⅲ ダム優先の治水行政が引き起こした近年の大水害

Ⅳ これから進めるべき治水対策

〔補〕流水型ダム(穴あきダム)の問題点

 

第15回 日韓NGO湿地フォーラム

2020年12月5日(土)13:00~17:00

主催:ラムサール・ネットワーク日本、共催:動韓国湿地NGOネットワーク

プログラム

(1) 基調講演:これ以上のダム建設は必要か

嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会)

(2) 4大河川の再自然化の到達点と課題──錦江を中心に

チョン・ギュソク(グリーン・コリア)

(3) DMZとイムジン河口の生態学的特徴と

ムンサン(汶山)−ケソン(開城)間高速道路の建設問題

キム・スンホ (DMZ生態研究所)

 

(4) 農業とラムサール登録湿地の共存関係──宮城県・蕪栗沼の事例

呉地正行(ラムネットJ、日本雁を保護する会)

(5) いかにして新しい保護区を指定させるか

──トンヨン(統営)市におけるウミクサ海洋保護区の事例

チャン・ヨンチャン(民主主義と環境協議センター)

(6) 八代市における田んぼの生き物調査報告

高野茂樹(ラムネットJ、八代野鳥愛好会)

(7) 湿地と漁民とのWin-Winプロジェクト

イ・ウンジョン(ECOコリア)

霞ヶ浦導水事業の工期延長と事業費増額

2020年11月27日
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11月19日の関東地方整備局の事業評価監視委員会において霞ヶ浦導水事業の再評価が議題になり、工期の大幅延長と事業費の大幅増額がきまりました。

関東地方整備局のHP https://www.ktr.mlit.go.jp/shihon/shihon00000036.html

霞ヶ浦導水事業の再評価が二つ掲載されています。

資料2-➀ https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000790058.pdf

資料2-② https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000790059.pdf

資料2-➀の22ページを見ると、霞ヶ浦導水事業の工期が2023年度から2030年度へと、7年延長され。

14ページを見ると、事業費が1900億円から2395億円へと、495億円も増額されました。

霞ヶ浦導水事業は茨城県を流れる那珂川と霞ケ浦を結ぶ導水路、霞ケ浦と利根川を結ぶ導水路を建設する事業で、首都圏の水源開発と、霞ケ浦の浄化等を目的にしています。

しかし、この事業によって那珂川の漁業が大きな打撃を受けるため、那珂川の漁協が裁判で、事業の中止を求めてきました。

2018年4月末に東京高等裁判所で和解となり、事業継続となりましたが、和解の内容は漁業への影響がないようにすることが前提になっており、事業の先行きは不透明です。

霞ヶ浦導水事業の問題点と同事業に対する運動の経過は、和解当時にまとめた報告 霞ヶ浦導水事業の和解成立2018年4月

をお読みいただければと思います。

「川辺川ダム問題」球磨川の人吉における危機管理型水位計の異常な観測値(熊本豪雨)

2020年8月7日
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7月上旬の熊本豪雨で、球磨川が大氾濫し、凄まじい被害をもたらしました。

この豪雨を受けて、菅義偉官房長官までがテレビ番組で川辺川ダムについて「今回のこうした被害に遭われると、そういう問題を課題に載せなければ、まずい思いがある」と述べており(朝日新聞7月21日)、

中止されたはずの川辺川ダム計画が再登場してくることが強く懸念されます。川辺川ダム抜きの球磨川水系河川整備計画は10数年経過していまだに策定されておらず、川辺川ダムそのものに毎年度、4億円程度の予算が付いてきています。

球磨川の治水計画を考える上で最も重要なことは今回の球磨川洪水がどの程度の規模の洪水であったかです。未曽有の洪水でしたが、問題はその洪水規模です。

本洪水では、人吉地点の常時水位観測所の観測は7月4日の午前7時30分までで、その後は欠測になってしまいました。球磨川の観測所で水位をずっと測れたのは下流部の萩原、横石、支川・川辺川の四浦、柳瀬だけです。

人吉地点については数年前から危機管理型水位計が取り付けられていますが、その観測値の精度に問題があります。

下記の図1は人吉の危機管理型水位計と常時水位観測所の観測値の時間変化を図示したものです。前者は国会議員事務所を通じて国交省から入手したデータで、後者は国交省の水文水質データベースからダウンロードしたものです。

7月4日の0時における危機管理型水位計の観測値を常時水位観測所の観測値に合わせて表示すると、その後は前者と後者の差が次第に大きくなり、7時半時点で、前者が後者を0.7~0.8m上回っています。その後、危機管理型水位計の観測値が急上昇し、常時水位観測所は観測を停止しています。危機管理型水位計のピーク時の9時50分に両者の差がどれくらいに拡大していたかはわかりませんが、この図の傾向から見て1.5m以上の差になっていたと考えられます。

この危機管理型水位計の観測値が過大になっていることについて、九州地方整備局に電話したところ(河川部河川計画課)、担当官はこれは疑問のある数字であって見直す必要があり、1m以上下がる可能性があることを認めました。

危機管理型水位計の観測値の精度に問題があったようなので、今後検討するということでした。

球磨川水系の水位観測所で7月4日7時30分より後の観測ができたのは、球磨川下流の横石と萩原、川辺川の四浦と柳瀬ですが、下記の図2のとおり、横石と萩原は7時30分以降はほとんど横ばいで、水位の上昇があっても小さいです。

川辺川の四浦と柳瀬は8時を過ぎると、横這い又は低下の傾向になっています。

人吉の危機管理型水位計の観測水位のみが下記の図1の通り、8時以降、急上昇しています。

7月4日朝の状況については矢上雅義衆議院議員(熊本4区)がツィートで人吉市の水の手橋(人吉観測所の近く)を撮った録画を流されています。7月4日8時40分の映像を見ると、川の水位は水の手橋の路面を少し下回るレベルになっています。

 https://twitter.com/masa_yagami/status/1279198183218769920?s=21

【水の出橋 8時40分】
この橋の路面は下記の写真のとおり、堤防高とほぼ同じ高さです。

【水の出橋(人吉市の資料)】

しかし、下記の図1を見ると、8時40分時点の危機管理型水位計の観測水位は堤防高を大きく超えており、1.5m以上高くなっています。

この後、この付近の水位は9時50分頃にピークになるのですが、近辺の観測値から見て、1時間程度でここの水位が堤防高を2m超えるところまで一挙に上昇したとは考えられません。

本洪水は堤防を超える未曽有の洪水でしたが、上の映像を見ると、図1の危機管理型水位計の観測水位が示すレベルまで、洪水位は上昇していません。人吉の危機管理型水位計の観測水

位がかなり過大であることは明らかです。

危機管理型水位計の観測値を使うと、本洪水は人吉で8000㎥/秒以上の規模の洪水になりますが、この規模の洪水になると、1/80の球磨川水系河川整備基本方針で2600㎥/秒の削減ができるとされている川辺川ダムが治水計画で必要なものになってしまいます。

川辺川ダムだけでは対応できない洪水規模であったとしても、少なくとも川辺川ダムは必要だという話になりかねません。もっとも、人吉で8000㎥/秒以上もの規模の洪水が発生した場合は、川辺川ダムがあったとしても、ダムが満杯になって緊急放流を行わなければならない可能性が高く、川辺川ダムによって球磨川が救われるという話には必ずしもなりません。

このように、この規模の洪水になると、川辺川ダム抜きの治水計画の策定は困難であって、人吉の危機管理型水位計の著しく過大な観測値を使ってはなりません。

2000年代、川辺川ダム反対運動は大きく盛り上がりました。2001年12月から始まった川辺川ダム住民討論集会での国交省との徹底討論、2006年4月~2007年3月の球磨川水系河川整備基本方針策定審議会での潮谷義子前知事への支援活動における中心テーマは、国交省が示す基本高水流量(長期的な目標の洪水想定流量)が過大ではないかということでした。すなわち、国交省は基本高水流量を大きくして川辺川ダムによる洪水調節が必要だという考えに固執しました。基本方針は策定されてしまいましたが、この運動の盛り上がりにより、川辺川ダムの計画は2009年に凍結になりました。

このような川辺川ダムに関する過去の長い闘いを振り返って、これから川辺川ダム計画復活の動きに対して闘っていかなければなりません。

 

 

 

鬼怒川水害国家賠償請求事件裁判についての説明

2020年7月19日
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2015年9月に鬼怒川水害が発生して、あと少しで早くも5年になります。

2018年8月に鬼怒川水害国家賠償請求の提訴が行われました。それから、間もなく2年になります。

その間、下記の通り、裁判が進められてきました。

裁判は中盤から終盤に向かいつつあります。

裁判に提出された書面、裁判の新聞記事は https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000053。に掲載されています。

提出書面の概要は鬼怒川水害訴訟の説明202001 と

鬼怒川水害訴訟の説明202007

お読みいただければと思います。。

裁判への支援をよろしくお願いします。https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000053。

 

                  原告            被告

2018年8月7日  提訴         訴状

2018年11月28日 第1回口頭弁論                 答弁書

2019年7月12日  第2回口頭弁論    原告準備書面(1)     被告準備書面(1)

2019年10月18日 第3回口頭弁論  原告準備書面(2)     被告準備書面(2)

2020年1月24日  第4回口頭弁論    原告準備書面(3)、(4) 被告準備書面(3)

2020年4月24日  延期                      被告準備書面(4)

2020年7月17日  第5回口頭弁論  原告準備書面(5)

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