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西日本豪雨1年 ダムが水が怖い 愛媛・西予、緊急放流で集落浸水 「再発防止策不安」残ったのは数世帯

2019年7月8日
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昨夏の西日本豪雨では野村ダムの緊急放流によlり、肱川が氾濫し、西予市野村町地区で5人が亡くなりました。「「天災ではなく人災だ」との思いは被災者から今も消えない。ダムの操作規則が変更されるなど、ハード・ソフト両面で対策が進んだが、不安を拭えずにいる」という被災者の声を伝える記事を掲載します。


西日本豪雨1年 ダムが水が怖い 愛媛・西予、緊急放流で集落浸水 「再発防止策不安」残ったのは数世帯

(毎日新聞大阪夕刊2019年7月8日) https://mainichi.jp/articles/20190708/ddf/007/040/010000c

西日本豪雨でダムの緊急放流後に肱川(ひじかわ)が氾濫し、5人が亡くなった愛媛県西予市野村町地区。「天災ではなく人災だ」との思いは被災者から今も消えない。ダムの操作規則が変更されるなど、ハード・ソフト両面で対策が進んだが、不安を拭えずにいる。【中川祐一】

三島町集落
四国地方が梅雨入りした6月26日。久しぶりに雨が降る中、小玉由紀さん(60)は自宅の前を流れる肱川を見つめていた。「また、どばっと雨が降ったらどうなるんやろう」
昨年7月7日午前6時20分。集落上流にある野村ダムが貯水の限界に達し、国土交通省野村ダム管理所は流入量とほぼ同量を放流する「異常洪水時防災操作」を実施した。川の水位は急上昇して集落はあっという間に濁流にのみこまれ、小玉さんの母ユリ子さん(当時81歳)も亡くなった。

(写真)新たに設置された危機管理型水位計。橋の向こうに三島町の集落がみえる。豪雨以前は川沿いに家が建ち並んでいた=愛媛県西予市野村町地区で2019年6月28日、中川祐一撮影
国は6月、野村ダムなどについて大雨の初期段階で放流量を増やすなど操作規則を変更。小玉さんの家の前の橋には同月、ダム管理所などがきめ細かく水位を把握するため新型の水位計が設置された。
ただ小玉さんは「電光掲示板などで放流量をもっと簡単に分かるようにしてほしい」と話す。どれだけ川の様子に気を配っていても、大規模放流があれば一気に水位は高くなる。それが西日本豪雨から得た最大の教訓だ。
小玉さんの家がある三島町集落ではすべての家が浸水被害を受けた。国の「防災集団移転促進事業」を使い全住民が高台などへまとまって移ることも検討されたが、反対意見もあって立ち消えになった。
集落に残ると決めているのは数世帯にとどまる。仕事場のある別の町に妻と引っ越すことを考えている建築業の男性(67)は「ダムがあるから安心と思って家を建てたが、もう水が怖い。住民説明会に行ってもダム管理所は言い訳ばかり。聞いてもしょうがない」と胸の内を明かす。
多くの人が今も仮設住宅で暮らしているため、集落には更地や空き家が目立つ。「以前は夏の夕方になると、風が通る橋に自然と人が集まってみんなで涼んだ。ずっと続くと思ったのに……」。小玉さんがさみしそうに言った。

(写真)更地が目立つようになった三島町集落を歩く小玉由紀さん=愛媛県西予市野村町地区で2019年7月8日午前9時53分、中川祐一撮影

 

洪水調節容量1.4倍に増強 鹿野川ダム改造、全事業完成 しかし、その事業費を肱川の河道整備を回していれば 

2019年6月10日
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愛媛県・肱川の治水対策として国土交通省が進めてきた鹿野川ダム改造事業が完成し、6月9日、完成式が開かれました。その記事とニュースを掲載します。
この改造事業の主たる内容はトンネル洪水吐を設置して、治水容量1650万㎥を2300万㎥に増やすものです(発電容量を転用)。
しかし、昨年7月の西日本豪雨では鹿野川ダムは発電用放流管を使って事前放流を行い,下図の通り、治水容量を2980万㎥-749.8万㎥=2230万㎥に増やしていました。それでも、流入量の急増で満水になり、緊急放流が行われ、大変な被害をもたらしました。
改造によって2230万㎥が2300万㎥に増えるだけですから、あまり変わりません。
鹿野川ダム改造の事業費は420億円にもなります。肱川ではダム優先の河川行政が進められて河道整備がなおざりにされ、かなり長い無堤区間が放置されてきました。必要性が希薄な鹿野川鹿野川ダム改造の事業費を肱川の河道整備を回していれば、西日本豪雨の被害を大きく軽減することができたと思います。


洪水調整容量1.4倍に増強 鹿野川ダム改造、全事業完成 大洲で式典

(愛媛新聞2019年6月9日(日))https://www.ehime-np.co.jp/article/news201906090053?utm_medium=social&utm_content=%2Farticle%2Fnews201906090053

(写真)トンネル洪水吐(左)の新設で、国が進めてきた改造事業が完成した鹿野川ダム=9日、大洲市肱川町山鳥坂

肱川流域の治水対策として国が進めてきた愛媛県大洲市肱川町山鳥坂の鹿野川ダム改造事業で、最後に残っていた「トンネル洪水吐(こうずいばき)」がこのほど完成し、9日、同町予子林の風の博物館で全事業の完成式が開かれた。改造でダムの洪水調整容量を2390万トンと従来の約1.4倍に増強。トンネルの運用で洪水をため始める水位を従来より4.7メートル下げ、下流の洪水被害軽減を図る。
国土交通省山鳥坂ダム工事事務所によると、改造事業は洪水調整機能の増強や貯水池の水質改善などを目的に、2006年度着手。下流の状況を見ながらよりきめ細かな放流量の増減(開閉操作)を可能にするクレストゲートの改良や、水質悪化の原因となるアオコの発生を抑制する曝気(ばっき)循環装置の設置、任意の深さの水を放流できる選択取水設備の新設などの工事を実施した。総事業費は487億円。
洪水吐のトンネル部分は全長457メートル、内径11.5メートルで、高い水圧に耐えられる鉄筋コンクリート部分と、世界最大級の鋼製放流管からなる。低い水位の放流能力が向上し、増強した洪水調整容量を有効活用できるようになった。
完成式には国や流域自治体の関係者ら約200人が出席。大洲市の二宮隆久市長は「鹿野川ダム改造事業の完成で、肱川流域住民の生活を守る治水対策が一歩進んだ」と述べた。


鹿野川ダム改造事業完成式 洪水対策が強化

(テレビ愛媛2019/06/09 18:51:00) http://www.ebc.co.jp/news/data/index.asp?sn=7259

肱川の洪水対策として進められていた大洲市にある鹿野川ダムの改造事業がこのほど完成し、9日、記念の式典が行われました。大洲市肱川町で行われた完成式には関係者約100人が出席、事業の完成を祝いました。鹿野川ダムの改造事業は洪水調節機能を強化するため国が2006年から進めてきたものです。このうち新たに設置された「トンネル洪水吐」は大雨の際などにあらかじめトンネルを使い放流することでダムの空き容量をこれまでの1.4倍に増やすものです。この事業の完成に伴い鹿野川ダムと野村ダムでは操作ルールを変更、西日本豪雨クラスの大雨が降っても洪水被害は大幅に軽減できるとしています。

野村ダム・鹿野川ダム  放流量増で洪水対応 操作規則変更へ案 国交省四国整備局 /愛媛

2019年4月19日
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昨年7月の西日本豪雨でダムからの緊急放流により大規模な氾濫を引き起こした野村ダム・鹿野川ダムについて鹿野川ダム改造工事が3月に完了したので、両ダムの操作ルールを変えることを四国地方整備局が発表しました。その記事を掲載します。
四国地方整備局の発表は「野村ダム・鹿野川ダム操作ルールの考え方について 意見を募集します」 http://www.skr.mlit.go.jp/yamatosa/kisya/pdf/190416.pdf をご覧ください。
新しいダム操作ルールでは西日本豪雨が再来しても、被害を大幅に減らせることになっていますが、本当にそうなのか、内容をよく検証する必要があります。
新しい操作ルールは1995年まで使われていた大洪水用の旧操作ルールに近いものです。
肱川下流は河道整備が非常に遅れていて、大洪水用の旧操作ルールでは氾濫を引き起こすので、1996年に中洪水用の操作ルールに変わりました。
その操作ルールで昨年7月に緊急放流が行われましたが、四国地方整備局は昨年11月に、旧操作ルールでも放流量が大きくは減らなかったという発表をしています。
それが今回の発表では大幅に減少するというのですから、首を傾げざるを得ません。
豪雨後に暫定堤防がかさ上げされたことも考慮した計算ですので、その効果もあるように思います。今回の発表データを入手して検討したいと思います。

愛媛)豪雨で緊急放流の2ダム 新操作で「被害大幅減」
(朝日新聞愛媛版 2019年4月19日03時00分) https://digital.asahi.com/articles/ASM4K4TBBM4KPFIB00B.html?iref=pc_ss_date

(写真)ほぼ完成した鹿野川ダムのトンネル洪水吐(左)。写真右上の鹿野川ダムから水を抜くことができる=2019年4月12日午後3時52分、愛媛県大洲市、大川洋輔撮影
昨年7月の西日本豪雨で緊急放流した鹿野川ダム(愛媛県大洲市)と野村ダム(愛媛県西予市)について、管理者の国土交通省が両ダムの新しい操作ルールの案を示した。鹿野川ダムで豪雨に備えて事前に水を抜く「トンネル洪水吐(こうずいばき)」が完成することを受けたルール変更となる。西日本豪雨では両ダムとも満水に近づいて緊急放流し、その後に肱川が氾濫(はんらん)したが、同規模の豪雨が来ても浸水被害は大幅に軽減されるという。
鹿野川ダムは水門の位置などの構造上、水位を一定の高さ以下に下げることができないが、トンネル洪水吐は水門より低い位置にあるため、大雨が予想される際は事前にダムの水位を現在の限界よりも下げることができる。国交省によると、洪水吐を運用すれば、現在の1・4倍の洪水調節容量を確保して洪水に備えられるようになる。
国交省が示した新ルール案では、昨年の豪雨規模の雨が降った場合でも、最も早く浸水が始まる下流の菅田地区で、浸水世帯数が460世帯(実績値)から330世帯に減る。浸水が始まるのも遅らせられる。
菅田地区に続いて浸水が始まると予想される東大洲地区では、豪雨後に暫定堤防がかさ上げされたこともあり、浸水世帯数は大幅に減少。浸水開始も遅らせられるという。
鹿野川ダムの上流にある野村ダムの新ルール案は、現行に比べると、野村ダムに入ってきた水を、洪水初期の段階でより早く、より多く、下流の鹿野川ダムに流すという内容。これによって、野村地区の浸水世帯数も650世帯(実績値)から40世帯に減るという。
この操作変更は、鹿野川ダムで新たに増えた洪水調節容量の一部を、実質的に野村ダムのために使うものだ。鹿野川ダムに水を受け持ってもらうことで、洪水時に野村ダムの容量をより長い時間確保できる。国交省は豪雨の検証会合などで、鹿野川ダムの容量拡大に合わせて「肱川流域全体に恩恵があるように」として野村ダムのルール変更の方針を示していた。今後住民説明会を開くなどして、遅くとも出水期(6月16日から)までには2ダムで新ルールを運用する。
国交省によると、仮に野村ダムの操作ルールを変えなければ、中小規模洪水時には鹿野川ダム下流の大洲市菅田地区での浸水世帯数をさらに減らせるケースもあった。鹿野川ダムの容量の一部を実質的に野村ダムのために使う今回のルール変更は、「利害対立」(国交省)がある両市にとって「折衷案」に落ち着いた。
野村ダムの現行ルールでは、流入量が毎秒300トンを超えると、放流量はしばらく毎秒300トンで維持されるが、新ルール案では、流入量が300トンを超えても300トンに一定割合を加えた量を放流する。早い段階でより多くの水を下流に流すことで、西日本豪雨の時のような大量放流による西予市野村地区の浸水を避ける狙いがある。
ただ、この運用自体は鹿野川ダムにより早く水がたまることになり、鹿野川ダム下流の大洲市にとっては被害軽減につながらない。鹿野川ダムの容量拡大によって大洲市では浸水世帯数が減る見込みだが、菅田地区ではその減り幅が場合によっては小さくなる。
西予市幹部は「災害もあったので、全部とは言わないが、新たにできた容量の何割かは西予市内のために使わせてほしい」と市の立場を説明する。大洲市幹部は「上流(西予市)も下流(大洲市)も『浸水を一軒でも少なくしてくれ』と言い合ったら収拾がつかない」と述べ、野村ダムの新ルール案に理解を示した。(大川洋輔)

野村ダム・鹿野川ダム
放流量増で洪水対応 操作規則変更へ案 国交省四国整備局 /愛媛
(毎日新聞愛媛版2019年4月18日)https://mainichi.jp/articles/20190418/ddl/k38/010/466000c

昨年7月の西日本豪雨を受け、野村ダム(西予市)と鹿野川ダム(大洲市)の操作規則変更を検討していた国土交通省四国地方整備局は16日、規則の変更方針案を発表した。鹿野川ダムでの放流設備追加で洪水調節容量が増えたことなどに伴うもので、従来より放流量を増やして大規模洪水に対応する。西日本豪雨レベルを想定した試算では浸水世帯数は西予市野村町地区で約6%(40世帯)、大洲市東大洲、菅田、肱川の3地区では約16%(600世帯)に減るとしている。
野村ダムは洪水の初期段階で放流量を増加させる。従来は洪水調節容量の4割に達するまで毎秒300トンを放流し、その後400トンまで引き上げていたが、変更後は流入量が300トンを超えた後は流入量に応じて放流量を300トンから増やしていき、最大で野村地区が浸水しない1000トンまで引き上げる。
鹿野川ダムは洪水調節容量の4割に達するまで下流が浸水しない毎秒600トンを放流するのは従来通りだが、同容量の増加に伴い4割の値が660万トンから950万トンに増加。従来より長い時間、下流が浸水しない水準を保てる。その後貯水量増加に応じて増やす最大放流量は、一部で浸水被害が出るものの東大洲地区での被害は防げる850トンとしていたが、同地区の暫定堤防をかさ上げたため1150トンに引き上げる。
ただ、両ダムともダムが満杯になる見通しの場合、西日本豪雨でも実施した「異常洪水時防災操作」を行い、流入量とほぼ同量を放流することになる。変更後の操作規則でも同操作を行う可能性はあるが、移行するまでの余裕ができ、浸水被害を軽減できるとしている。
同整備局は5月16日まで大洲市や西予市の住民らから意見を募り、出水期までに正式に変更する。【中川祐一】

ダム偏重政策が招いた「肱川大水害」。今こそダム建設継続より肱川の河道改修に全力を投じよ

2019年4月5日
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「ダム偏重政策が招いた「肱川大水害」。今こそダム建設継続より肱川の河道改修に全力を投じよ」というタイトルの論考を掲載します。
まさしく、このタイトルの通りだと思います。

ダム偏重政策が招いた「肱川大水害」。今こそダム建設継続より肱川の河道改修に全力を投じよ

(HARBOR BUSINESS Online 2019年4月5日 8時32分) https://news.infoseek.co.jp/article/harborbusinessonline_20190405_00189521/

(写真)手つかずの国道197号線崩壊箇所 仮設道路側に崩壊が進んでいる 2019/3/21 撮影 牧田
◆肱川大水害、逃げる国交省と愛媛県

昨年末の第八回以来、著者の転居や日韓軍事的インシデントシリーズの執筆によって連載が止まっていましたが、肱川大水害シリーズを再開します。なお、本記事も配信先によっては画像やレファレンスリンクが表示されない場合がありますので、その際はHBOLのサイトでご覧ください。

昨年7月7日、肱川水系では、野村ダムより下流約80キロメートル全流域で幹線道路路面から2~5mの浸水の大洪水となり、数多くの集落が壊滅的打撃を受けました。年が明けて1月22日には、野村小学校体育館にて“「野村ダム・鹿野川ダムの操作に関わる情報提供等に関する検証等の場」とりまとめ等の説明会“が野村小学校で開催され、激しい市民の怒りの発露の場となり、予定の21時を大きく過ぎて22時台にまで時間が延びましたが、これによって国交省と愛媛県は逃げ切りを図っているようです。

この連載で指摘しました様に肱川水系は、過去70年の治水事業が徹底したダム偏重であり、野村ダムから下流域80kmでは、無堤地区、暫定堤防、暫暫定堤防といった、事実上の無治水地区が流域の大部分を占めており、治水がなされていたのは、鹿野川ダム湖と大洲市西大洲のごく一部(数キロメートル程度)という一級河川とは考えられない極めて異常な河川事業の集大成であったといえます。

行政が問題を「ダム操作」に限定して逃げ切りを図っていますが、これは、ダム管理事務所の職員を矢面に立たせて県と国交省は逃げを図る工作に過ぎません。

◆必要な説明から逃げ、安全性だけ流布した結果の産物

ダムは、治水、利水などの用途、重力式、アーチ式、アースダムなどの形式を問わず、一部の流水ダム(穴あきダム)や砂防ダムを除き、堤体を越水すればダムは制御機能が失われるだけでなくダム崩壊を極めて高い確率で起こします。全面ダム崩壊を起こせばダム津波によって下流域は壊滅しますし、部分崩壊でも鉄砲水で下流域には甚大な打撃をもたらしますので、洪水がダムの限界を超える場合には、ダムは「但し書き操作」(異常洪水時防災操作のこと。特例操作や緊急放流とも呼ばれる)を行い、そこにダムが存在しないのと等価の洪水を一挙に引き起こします。とくに肱川水系のようなタンデム配置のダムの場合、上流側のダムが崩壊すれば下流側のダムも連鎖崩壊してカスケードダム津波を起こしますので、ダム操作者は、有無を言わさず但し書き操作を行わねばなりません。下流域の避難を考慮するにしてもその時間調整は、精々十数分程度でしょう。

これは、玄倉川水難事件や、飛騨川バス転落事故でも見られたことで、限界を超えたダムは、人為的に但し書き操作を遅らせることはほぼ不可能です。BWR(沸騰水型原子炉)と全く同じくダムにはこの点での受動安全性が欠けており、原子炉は破裂する前にベントによって内圧を下げますし、ダムは限界に達すれば但し書き操作によって一挙に流下流量をダムがない状態と同じにします。

原子炉では、シビアアクシデントの制圧に失敗した場合、市民が逃げようと逃げざろうと限界に達すればベントをして放射能入りの蒸気を外界へ大量に放出せねば原子炉が破裂して破滅的な放射能漏洩を起こします。後者が福島第一2号炉で起きたことです。不幸中の幸いにも、合衆国の設計が優秀だったためにチェルノブイル核災害ほどには至りませんでしたが、福島核災害を世界最悪級の核災害にしたといえます。

ダムの場合は、市民が逃げようと逃げざろうと、限界を超える前に但し書き操作に入り、調節機能を放棄しますが、それによって生ずる洪水は、ダム崩壊によるダム津波を下回ります。肱川水系では、これが生じた訳です。

ダム防災と原子力防災は、その構造が極めて酷似していますので、対比して考えると双方の理解が進みます。

ダムが限界を超え、ダム崩壊を起こさぬようダムを守ることが下流域の市民の命を守ることであって、それが、但し書き操作を行う倫理的基盤となっています。

これが、ダムを守る=下流域の市民を守る=但し書き操作は市民を守るために行ったという論理です。

このような説明が事前になされていれば、自治体や市民は長い年数をかけて対応することも出来ましょうが、日常的にダムがあれば安全安心という作為的なPA活動=ヒノマルダムPA*が行われた結果、自治体、市民ともにダム安全神話に幻惑され、ダム下流で洪水が起きるなど夢想だにしていなかった事実があります。

<*PA=Public Acceptance=パブリックアクセプタンス:社会的受容 原子力発電所、ダム、高速道路や、新ワクチンなどその事業が社会(多くは地域社会)に大きな影響を与える場合、事前に社会的合意を得ること。民主社会において重要な手続きである。

しかし日本においては、PAと称して、詭弁、ごまかし、嘘、便宜供与、恫喝など、「嘘と札束と棍棒」によって市民を分断し、服従させる手法がまかり通っている。これは本来のPAを換骨奪胎した日本独自の異常なものである。筆者はこれらを(親方)ヒノマル◎◎PAとして本来のPAと区別している>

このダム安全神話を流布し、ヒノマルダムPAによって市民、流域自治体を欺してきた責任は100%、河川管理者と治水事業管掌者すなわち愛媛県と国土交通省にあります。また、ヒノマルダムPAに長年加担してきた学識者=田舎御用名士にも最大級の重責があります。

「野村ダム・鹿野川ダムの操作に関わる情報提供等に関する検証等の場」においても、”住民が高い自覚(意識?)を持って避難しなければならない”という意味合いの暴言が飛び出し、住民の怒りの火に油を注ぐことになりました。検証会では「情報の受け手、住民が、情報を生かせていない」*として、被害を住民と流域自治体に責任転嫁するものとなっています。

<*野村ダム・鹿野川ダムの操作に関わる情報提供等に関する検証等の場(とりまとめ)抜粋(他多数資料に同じ表現がある)>

現場を矢面に立たせて裏で住民に責任転嫁、分断する手法は、福島核災害において大規模に行われている手法であってヒノマルPAの濫用とともに常套手段と言って良いでしょう。

◆ダム偏重河川事業が招いた事実上の無治水状態

これまで八回の連載で肱川流域103kmの状況をお知らせしてきましたが、肱川大水害は、ダム操作という表層的なものが原因ではなく、鹿野川ダム計画来70年間に及ぶダム偏重河川事業により、肱川が、見てくれだけのガラクタ治水による無治水河川(精々欠陥治水河川)であったことが真の原因であり、この見てくれだけの無治水河川を放置し、相変わらずのダム利権にたかり続けることによる行政災害が肱川大水害であるといえます。

すべては予想出来、防止出来たことであって、肱川大水害と福島核災害は極めて酷似した行政災害といえます。

肱川大水害の後に結成された「野村の未来を守る会」による公開質問状への回答も、徹底して現場を矢面に立たせ、過去七〇年の無治水河川肱川を放置してきた本丸は徹底して隠れるというものになっています。

実は、野村ダムは洪水時の調整放流量を最大毎秒1000トンで設計されており、ダム直下の野村町内、野村大橋まではそのように河川整備されています。仮に肱川が過去70年の治水事業によって全流域でダムの最大調整放流量(野村ダム毎秒1000トン)に対応して整備されていれば、ダムは時間稼ぎに成功し、人的被害は生じなかった可能性があるという指摘がなされています*。

<*京都大学名誉教授 今本博健博士による。“ダム計画・操作 疑問視 大洲で講演 水害要因 識者指摘” 2018/12/2 愛媛新聞

この指摘は、他からもなされており、肱川大水害は決して不可避ではなかったと考えて良いでしょう。実際には、鹿野川、野村両ダムの放水によって大洲市で水害が頻発するため、1996年にダム操作の見直しがなされ、野村ダムの放水量は毎秒300トンに下げられました。これにより、豪雨災害の時に野村ダム湖が満水になる可能性が飛躍的に高まり、ダムの治水効果である時間稼ぎが大きく損なわれたといえます。

この原因は、過去八回の連載で写真によってご紹介したとおり、堤防があっても切れている、堤防があっても低いところが必ずある、堤防がない無治水地区が非常に多いという事実上の無治水河川であったことといえます。また、河道への砂礫の堆積も激しく、前掲の今本博士の指摘の通り、誰が見ても異様な激しく河道堆積した河川であることも特徴です。河道掘削は、河川の流下量を維持する最も低コスト且つ効果的な手法ですが、2004年の肱川水系河川整備計画*では、「河道の掘削は行わない」と随所に明記してあり、基本的治水事業を行わないとする固い決意を示しています**。

<*肱川水系河川整備計画【 中下流圏域 】平成16年5月国土交通省四国地方整備局 愛 媛 県>

<**河道掘削は、生態系に大きな影響があるために環境保全上は慎重である必要がある。事実、河川整備計画では、河道掘削をしない理由を事実上、生態系の保全であるかのように表現している。また、肱川は支流が非常に多く、土砂堆積の激しい河川でもあり、河道掘削の効率が良いとは言いがたい。しかし、愛媛県内の河川に共通するが、中流下流域の河道への砂礫の堆積は特異的に目立つ。また、河川敷の樹木伐採にも消極的と言うほかない。河川事業の行政資源を他へ傾斜配分しているものと思われる>

肱川の特長は、野村、鹿野川という二つのタンデム配置のダムに河川行政資源を重点的に傾斜配分し、更に山鳥坂ダム新設事業に傾斜配分する。結果として堤防整備などの基本的治水・河川事業は70年間疎かにされ続けてきたことにあります。

結果として、野村、鹿野川両ダムは手足を縛られた(野村ダムでは放水量を3割にとどめられた)状態であったためにその治水能力を発揮出来ず、本来防げたはずの大水害を発生させたと考えられます。

論より証拠、まずは前回以降の肱川流域の変化をご紹介します。

◆写真で見る現況。大洲市矢落川合流点から野村地区まで

これまでの東大洲氾濫の原因であった矢落川合流点左岸堤防は、無堤から暫暫定、暫定を経て、堤体の高さが本来あるべき高さに近づいていいます。しかしいまだに堤高が足りず、更に右岸は手がつけられていません。右岸は高台が手前にあるために氾濫しても写真右の建物だけが犠牲になるという考えのようです。しかしいまだに矢落川河口は、予讃線の鉄橋により大きく狭窄しており、大規模洪水では橋梁部で氾濫、橋梁も崩壊し、写真奥の県道も破壊される可能性があります。また、河道が著しく埋まっています。

鉄道橋かさ上げ、架け替えには多大の予算と時間を要しますが、河川治水事業の基本であって、過去70年の治水事業で解決しているべきものです。高知市国分川にも同じ問題があり、98高知大水害で氾濫を拡大させましたが、その後10年ほどで解消しています。本来、「こうかはばつぐん」であるために優先順位の高い事業です。

大洲市街、旧城下町の肱川左岸には一カ所パイピング(浸透水の挙動により生じる地盤や構造物が破壊されること)により堤防が決壊する可能性のあった場所がありますが、現場の家屋を取り壊し、修復作業が進められています。

写真の田園地帯は4m以上の浸水で、街道奥の古い集落も大きな浸水被害を受けました。無堤、暫定堤防の堤防整備が進められていますが、道路のかさ上げが着手されておらず、現状では治水機能が大きく制限されます(洪水時には水防扉または土嚢が必要)。

河床への砂礫の堆積が非常に目立ちます。

東大洲と並んで激しい被害を受けた柚木(ゆのき)地区、如法寺地区は、柚木地区では堤防が低く、如法寺地区は堤防が非常に低い無堤地区といって良い状態です。

ともに復旧は遅れており、目立った治水事業は行われていません。沈下橋左に見える砂礫の堆積は、かつてはなかったもので、長年の河道堆積の放置が現在も続いています。

過去の水害の教訓から整備された水防壁を乗り越えた水で浸水したとのことです。とりわけ低地に立地しているという訳ではありません。

◆70年間、いったい何をしてきたのか?

菅田地区は、自然堤防に護岸をした程度の大規模無堤地区ですが、国交省直轄でなく、県管理区間のためか現時点でいまだに治水設備はありません。激しい被害の痕跡を残す左岸側の旧集落では復旧が着手されていますが、一見被災の目立たない右岸側の新集落では住民の転出が目立ち始めたとのことです。

この菅田地区は、江戸時代の治水設備がいまだに残っており、地史的にはとても興味のあるところですが、河川整備という点ではお粗末極まりないと言うほかありません。70年間何をしてきたのでしょうか。

肱川右岸の菅田町阿部付近は、唯一、近代的堤防が完成しているように見える場所ですが、写真のように肱川名物の堤防切り欠きが存在し、治水機能が全くありませんでした。この地区も国道197号線より下は全没、国道より上は悪くても床下浸水となったそうです。

このことは、中破したお堂の浸水痕からも確認出来ます。

植生に付着する水害ゴミなどと対比したところ、この肱川名物、切れている堤防でなければ、この地区は水没しなかったものと思われます。切れていてありがたいのは、安いピザやチーズくらいだと思います。まさに「こうかはない」です。

崩落した大成橋対岸から大川集落を見ますと、大川郵便局こそ営業再開していますが、肝心の集落から家がなくなっていました。現状は、「櫛の歯が抜けた」でなく「わずかな櫛の歯」という状態です。崩落した大成橋は、輪切りにされて刺身のように並べられています。折損した橋脚は撤去されていました。

他に治水事業は認められませんでした。

この一帯は、かつての水害を教訓に堤防の出入りのための切り欠き部に簡易の樋門をつけたのですが、肱川大水害では「こうかはない」のでした。

町並みは根こそぎ破壊されており、今後が深く憂慮されます。

鹿野川地区までの途中、国道197号線大規模崩壊箇所を通りましたが、肱川流域80kmの大水害のために復興資源が足りないためか、仮道路取り付け後は手つかずでした。

道路の崩壊が進んでおり、今後が危ぶまれます。

鹿野川地区(旧肱川町)では、市街地である商業街区が取り壊されており、まるで津波の跡のようでした。この地区は、江戸時代前より数百年続く肱川流域でも有数の行政、商業の要ですが、大水害により壊滅の様相があります。

住民だけの力で復興できるかは未知数でしょう。

この地区は、計画中の山鳥坂ダムによる放水の影響も大きく、鹿野川ダムと山鳥坂ダムの放水手順によっては昨年の水害を上回る甚大な被害を受ける可能性もあります。ダムの制御は極めて難しくなるものと思われます。

下流域の治水対策を完全に行った上でも鹿野川ダムとの連携操作手順を整備しない限り「こうかはいまひとつ」でしょう。

◆全損で機能を失った発電所は廃止も検討せよ

鹿野川大橋から鹿野川ダムの間には下石丸地区と肱川発電所(10MWe)があります。ともに甚大な洪水被害を受けましたが、被災後と状況は余り変わっていません。下石丸地区は、流失した公園周辺の復旧に着手したようです。

肱川発電所の取り付け道路は、直下が大きく崩壊していますが、他地区に優先して立派な擁壁が作られつつあります。この部分が崩壊するとダム取り付け道路とともに国道197号線も崩落しますので、優先順位が高いのでしょうか。

肱川発電所は全損の被災で、発電所として機能していません*。

<*“肱川発電所 23年1月に復旧予定 公営企業管理者 新建屋を建築|愛媛新聞2018/12/11”>

鹿野川ダムの治水ダムとしての機能を抑制しているのは肱川発電所の水利権ですので、下流域にこれだけの激甚な行政災害を起こした以上、肱川発電所は廃止し、水利権をなくした上で、鹿野川ダムを治水専用ダムにするため流水ダム(穴あきダム)にしてしまうのも検討してはどうでしょうか。野村ダム下流全域での河道掘削を河川整備計画に明文化してまで拒否し、住民の生命と財産を犠牲とするほどに生態系保護にこだわるのなら、鹿野川ダムの流水ダム化が最も「こうかはばつぐん」と愚考します。ダム湖跡の自然は時間をかけて収斂します。

従前の欠陥治水事業のサンクコストについてはケチくさいことを言わずに放棄しましょう。施設は肱川治水事業失敗の記録として保存、公開すれば良いです。長い目で見れば、費用負担は軽減されるでしょう。

<*出典リンク>

 

野村町に入ると荷刺(にさし)交差点の食堂兼商店兼住居は解体されていました。水没の被害を受けたうえに周辺集落が壊滅し大洲市への街道も山体崩壊で閉塞しましたので、当面の事業継続を諦めたものと思われます。気の毒です。

荷刺交差点から野村市街地までの肱川左岸の道路は、水害で完全に破壊されています。復旧事業はおこなわれますが、相当な時間が予想されます。

野村市街地に入ると、家屋商店が取り壊され、櫛の歯が抜けた様相を示しています。野村保育所も解体されています。対岸の三嶋地区は下流の大川地区と同じく多くの家がなくなっていました。

今回、取材時間の都合で撮影出来ませんでしたが、野村では河道掘削工事が行われていました。今まで頑として拒否してきたのはどういうことでしょうか。70年間何をやってきたのかたいへんに不思議です。

◆「ダム建設のためのダム事業」山鳥坂ダム

最後に、肱川支流河辺川の山鳥坂ダム建設予定地の紹介をします。現在、建設予定地の地質調査をしていますが、ダム本体には全く未着手です。但し、ダム準備工事の準備工事は山上で行っており、ダム建設に伴う県道の付け替えが進んでいます。常套手段の既成事実化で、八ッ場ダムなどでも行われてきたものです。

山鳥坂ダムは、当初、松山市への分水のために計画された利水ダムでしたが、分水の費用対効果が極めて低いと評価され、1998年に自公保与党三党によって事業廃止が勧告されましたが、愛媛県の強硬な巻き返しで継続され、2013年に安倍政権によって治水専用ダムとして事業続行されています。

山鳥坂ダムは、典型的な長期化・曰く付きダムです。また、周辺事業の既成事実化によってダム建設を強行するダム建設のためのダム事業の典型事例といえます。

山鳥坂ダムについて利水ダムとしてはその正当性が1998年の時点で否定されており、水利権の調整にも失敗したために利水ダムとしての実現性はありません。

治水ダムとしては、肱川が事実上の無治水河川、未完成治水河川であるために事業効果はありません。むしろ河辺川、肱川合流点でのダム災害を誘発する可能性があり、鹿野川ダムの治水機能を阻害する可能性もあります。

治水事業としてダム建設を行うならば、肱川にはその前にやることが山積しており、新ダム建設に行政資源を割く余裕はありません。

私は、治水・利水事業としてのダム建設を否定しませんが、70年間、ダム建設のためにダムを造ってきた結果が無治水河川肱川、欠陥治水河川肱川であって、その結果が肱川大水害という行政災害といえます。70年間、順番を完全に間違えてきたのです。

行政を監視し、ただすのが地方議会ですが、過去70年間、その責を放棄してきた結果が今の欠陥河川肱川であり、肱川大水害といえましょう。

行政の第一の仕事は、市民の命を守り、次いで財産を守ることです。議会はその監視者です。肱川の河川計画では、治水の8割から9割を河道整備が、1割から2割をダムが担います。ダムの役割は時間稼ぎです。現状の欠陥河川肱川は、河川の流下量が無治水地区の多数残存によって70年間本質的には変わらず、ダムは出来ても効果は大きく阻害されます。まさに宝の持ち腐れです。ダムの機能を発揮させれば無治水箇所から中〜大規模水害を起こし、また多数の市民が犠牲になります。

今は、肱川全区間の河道改修に全力を投じるときでしょう。山鳥坂ダムは、その後で十分ですし、そうでなければ意味がありません。最悪の場合、殺人ダムと化します。

今が選択の時と愚考します。

本稿、今後は項目毎に続きます。

『コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」』第3シリーズ水害編-8

<取材・文・撮影/牧田寛 Twitter ID:@BB45_Colorado photo by Nuclear Regulatory Commission via flickr (CC BY 2.0)>

まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題についてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中

西日本豪雨 肱川が氾濫 改善策「住民を無視」 ダム問題説明会で批判が相次ぐ 西予で国交省 /愛媛

2019年1月25日
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西日本豪雨において野村ダムの放流により、大規模な氾濫があった愛媛県西予市野村地域で、国交省、愛媛県、西予市による住民説明会が1月22日の夜、ありました。この説明会について記事とニュースを掲載します。
この記事を読むと、住民から非常に厳しい意見が出されています。「ダムを造ったこと自体に問題があるのではないか」と疑問を呈し、ダム操作ではなく「ダム全体のあり方」について検証の場を求める意見も出たとのことです。
その通りだと思います。ダム操作の問題よりも、ダム建設ばかりに力を入れ、無堤防地区がかなり多い状況を長年放置し、河道整備を疎かにしてきたダム偏重の誤った河川行政が糾弾されるべきです。

西日本豪雨
肱川が氾濫 改善策「住民を無視」 ダム問題説明会で批判が相次ぐ 西予で国交省 /愛媛
(毎日新聞愛媛版2019年1月24日)https://mainichi.jp/articles/20190124/ddl/k38/040/444000c

(写真)住民らの質問に答える川西浩二・野村ダム管理所長=愛媛県西予市野村町の野村小で、木島諒子撮影

昨年7月の西日本豪雨で野村ダムの緊急放流後に肱川が氾濫し、5人が死亡した西予市野村町地区で22日夜、国土交通省四国地方整備局がダムの操作に関する検証会議でまとめた改善策などについて住民説明会を開いた。
住民からは改善策について「全く役に立たない」「下流住民を無視したものだ」と批判が相次いだ。豪雨から半年が過ぎても住民の安心は得られておらず、被害の深刻さが改めて浮き彫りになった。【木島諒子】
国、県、西予市のそれぞれ担当者が出席し、住民ら約160人が集まった。気象予測を活用して早期に放流する柔軟なダム操作の採用を見送ったことなどについて
住民らは「気象庁もあてにならないのか」「ダムを造ったこと自体に問題があるのではないか」と疑問を呈し、ダム操作ではなく「ダム全体のあり方」について検証の場を求める意見も出た。
当時のダム操作の是非やその周知についても「(情報の)受け取り手の意識が足りないとし、無知な住民が悪いといったとりまとめは許せない」などと批判や質問が次々と上がり、説明会は2時間の予定が3時間半に及んだ。
ダム側はこれまで「規則通り」との説明を繰り返すばかりだったが、この日は同整備局野村ダム管理所の川西浩二所長が「ダムはみなさまを守るのが使命。守れなかったことは申し訳ない」と一部謝罪する場面もあった。
川西所長は説明会後、報道陣の取材に「住民の声は身にしみた。限られた時間で精いっぱい説明した」と話し、「難しい話もあり、十分に伝えるためには今後も説明の場を設けていかないと、と考えている」と話した。

国交省が西予で説明会「ダムの使命果たせず」愛媛豪雨災害 
(愛媛新聞2019/1/22(火) 23:43配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190122-23001901-ehime-l38

(写真)野村、鹿野川両ダムの操作の検証結果を国土交通省などが報告した住民説明会=22日午後8時ごろ、西予市野村町野村
西日本豪雨による愛媛県西予市野村地域の大規模氾濫を受け、上流の野村ダム操作や避難情報提供などの検証結果について住民説明会が22日、同市野村町野村の野村小学校であった。住民からのダム操作批判に対し、国土交通省野村ダム管理所の川西浩二所長は「皆さまを守ることがダムの使命であり、お守りできなかったことは大変申し訳ない」と住民の期待に応えられなかったと認め、ダム流入量に応じた放流を早期に行い、流下能力(ダム放流量約千トン)に近い水準まで増やすなどの操作改定を進めるとした。
川西所長は「ダムでは、野村から(肱川河口の)大洲市長浜まで守らなければならないものがたくさんある」と理解を求めた。操作見直しについて、3月末に肱川下流の鹿野川ダム(大洲市)が改造により治水容量が740万トン増えるとし「野村ダム治水容量(350万トン)の2個分に当たり、肱川流域の安全に活用する」と説明した。
現行操作では、野村ダムは流入量が毎秒300トンを超えると放流量を300トンに維持し、貯留を開始。豪雨では放流量が急激に増える異常洪水時防災操作直前まで川の水位が上がらず、住民の避難が遅れたとの指摘がある。川西所長は「なるべく流入量に合わせた放流量にしていく」と考えを示し、放流量が増加して川の流下能力に近づけば定量放流に移行し、洪水を防ぐよう努めるとした。
市は、避難指示発令基準見直しや今後の情報周知を説明。県は、野村ダムから下流の県管理区間の河床掘削などを進めるとした。
昨年7月の豪雨後、ダムの操作や情報伝達などについて国は県や市、学識者による検証の場を設置。同年12月、情報提供見直しや、大規模洪水でも被害が軽減できるよう操作規則を改定するなどの取りまとめを公表した。会合には住民ら約160人が出席した。
質疑応答で出席者からは「取りまとめでは住民が避難情報を生かせなかった、住民が悪いと言わんばかりで許せない」と指摘があり、川西所長は「情報周知で至らなかった部分を改善するため、検証の場で取りまとめた」と釈明。会場からは「ダム自体の在り方を検討するべきだ」との意見や、5年後をめどとしている河川整備の前倒し、利水容量見直しの要望もあった。

ダム緊急放流問題 野村ダム所長が謝罪
(日テレNEWS24 2019.01.23 15:14)http://www.news24.jp/nnn/news16401633.html

去年7月の西日本豪雨でダムの放流後、肱川が氾濫し5人が死亡した西予市で22日夜、住民説明会が開かれ、野村ダムの所長は「住民を守るダムの使命が果たせなかった」と謝罪した。
野村ダムと西予市、それに愛媛県が開いた説明会で住民からは治水対策が不十分なままダムが運用されてきたとして河川改修を早急に求める意見などが出た。
また、甚大な被害が出たことに対し謝罪を求める声も上がった.これに対し野村ダム管理所の川西浩二所長は「野村ダムは皆さまを守るのが職務、使命でありその点については大変申し訳
なく思っている」などと謝罪した。
そして、川西所長は今後、治水対策を進めてダムヘの流人量に応じて早い段階から放流量を増やすなどダムの操作規則を変更していく方針を示した。
また、愛媛県は5月をめどに洪水浸水想定区域図を作成することなどを説明していた。

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