水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース > 山鳥坂ダムの情報

ニュース

山鳥坂ダムの情報

山鳥坂ダム2026年度の完成は困難【愛媛県】

2021年5月16日
カテゴリー:

国土交通省が愛媛県の肱川に建設中の山鳥坂(やまとさか)ダムの完成が2026年度より遅れる見通しになったというニュースを掲載します。

このニュースの元になっているのは「『令和3年度 山鳥坂ダム工事事務所 ダム事業費等監理委員会』の 審議結果について 令和3年5月14日

https://www.skr.mlit.go.jp/yamatosa/kisya/pdf/210514.pdf」です。

この資料の3ページを見ると、付替県道に関する工事用道路は進捗度が86%で、まだ完成せず、仮排水トンネル等のダム本体工事はその先のことになっています。

そして、この記事に書かれているように(この資料の11~13ページ)、ダムサイト右岸下流域で大規模な地すべりが発生する危険性があることが判明して、その対策が必要となったのですから、ダムの完成は予定の2026年度よりかなり遅れると思われます。

肱川では2018年7月の西日本豪雨で野村ダムと鹿野川ダムの緊急放流により、ダム下流域は大氾濫し、凄まじい被害が発生しました。

肱川大氾濫の主因は肱川においてダム偏重の河川行政(山鳥坂ダムの建設推進)が続けられ、河川改修を後回しにし、なおざりにしてきたことにあります。

 

山鳥坂ダム2026年度の完成は困難【愛媛県】

(テレビ愛媛2021/05/15 12:18)

https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E5%B1%B1%E9%B3%A5%E5%9D%82%E3%83%80%E3%83%A0%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%92%EF%BC%96%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E3%81%AE%E5%AE%8C%E6%88%90%E3%81%AF%E5%9B%B0%E9%9B%A3-%E6%84%9B%E5%AA%9B%E7%9C%8C/ar-BB1gKnZ8?ocid=msedgdhp

肱川の治水対策として建設が予定されている山鳥坂ダムについて国は新たに「地すべり」対策の追加工事が必要として2026年度の完成は困難との認識を初めて示しました。

山鳥坂ダムは2026年度の完成に向け、現在ダム本体の建設工事に取りかかるため県道の付け替え工事が行われています。並行して地質調査を進めている国は、予定地のそばに工事によって大規模な「地すべり」が起こる可能性のある個所を発見。

追加の対策工事が必要として現在、予定されている2026年度の完成は困難との認識を初めて示しました。

国は地すべりが起こる可能性のある個所の撤去や、ダムの工事予定地を上流に変更するなどの対策を検討していて、できるだけ早く決定し公表したいとしています。

山鳥坂ダム 反対根強く 流域 治水効果・環境に懸念

2020年12月27日
カテゴリー:

愛媛県の肱川に計画されている国土交通省の山鳥坂ダムについての記事を掲載します。

山鳥坂ダム反対の声が大きくなっていくことを熱望します。

 

山鳥坂ダム 反対根強く 流域 治水効果・環境に懸念

21年度政府予算案に39億8700万円

(愛媛新聞 2020年12月27日)

政府が閣議決定した2021年度当初予算案で、肱川支流・河辺川で進む山鳥坂ダム建設事業(大洲市)に39億8700万円が計上された。

うちダム本体工事に向けた測量設計費に約8億円を充てる内容で「計画通りに事業を進めるために最低限必要な額が確保された」(中村時広知事)形だが、

西日本豪雨による被災を経てなお、流域では治水効果への疑問や河川環境悪化への懸念などから建設反対の声が根強く残る。

山鳥坂ダムは1982年に旧建設省が予備調査に着手。「コンクリートから人へ」を掲げた2009年からの旧民主党政権下で3年余り建設が凍結されたが、13年1月に事業再開が決定した。

国土交通省は、堤高約103mの重力式コンクリートダムの26年度完成を予定する。

本体工事の着工時期は未定だが、水没地域住民の用地補償や付け替え県道の整備などが進む。

全国のダム建設を巡っては、今年7月の豪雨災害を機に熊本県を流れる球磨川支流・川辺川でのダム建設計画が再始動するなど、ダムによる治水が復権しつつある。

愛媛県は政府予算への要望・提案でダム建設を含む肱川の治水対策を「再度災害防止に向けた喫緊の課題」と位置付けており、

中村知事は今月24日の会見で改めて「ダムや堤防整備、河床掘削などさまざまな対策でコントロールする必要がある」と強調した。

だが、降雨を安全に流すための堤防整備や河床掘削による治水対策を優先するよう望む声は根強い。

市民団体「山鳥坂ダムはいらない市民の会」の矢野庄一さん(77)は「ダム建設にかかる予算を河床掘削に充ててほしい」と懇願する。

矢野さんは、河口の長浜地区にある長浜大橋付近で土砂が堆積し、小型船の航行にもが影響が出ていると指摘。「今回配分された約40

億円の予算があれば、掘削はかなり進められるはずなのに」と疑問を呈す。

下流部の同市多田地区に居住する矢野さんは、18年の西日本豪雨では自宅が約1.3㍍の浸水被害を受けた。

「河口の土砂を除去し流下能力を上げなければ、再び豪雨の時のような洪水が起こった場合に大きな浸水被害が発生する。

不安で仕方がない」と話した。

15年連続でダム建設反対を議決している肱川漁協の橋本福矩組合長は「鹿野川、野村両ダムの建設後、ハヤやウグイといった魚がいなくなるなどわれわれ漁業者は身をもって河川環境の悪化を感じてきた。

ダムがもう一つできればどうなるかは目に見えている」と述べ、肱川の生態系の変化や水の濁度の高まりを背景に反対の姿勢を示す。

下流の東大洲地区などが発展してきた経緯もあるとし「『流域全体の命と財産を守るため』と言われれば、そんな必要がないとは言えない」と複雑な心境も吐露しつつ、

水質改善の策などに「具体的な提案がないと(ダム建設に)賛同できない」。、対応策について書面での正式な回答を国側に求めたいとしている。

(薬師神亮太、西尾寛昭)

(写真)山鳥坂ダム建設予定地の看板が立つ県道小田河辺大洲線

(写真)山鳥坂ダム建設に伴う県道小田河辺大洲線の付け替え工事の一環で進められている「見の越トンネル」坑口付近

=いずれも26日午後、大洲市肱川町山鳥坂

西日本豪雨1年 ダムが水が怖い 愛媛・西予、緊急放流で集落浸水 「再発防止策不安」残ったのは数世帯

2019年7月8日
カテゴリー:

昨夏の西日本豪雨では野村ダムの緊急放流によlり、肱川が氾濫し、西予市野村町地区で5人が亡くなりました。「「天災ではなく人災だ」との思いは被災者から今も消えない。ダムの操作規則が変更されるなど、ハード・ソフト両面で対策が進んだが、不安を拭えずにいる」という被災者の声を伝える記事を掲載します。


西日本豪雨1年 ダムが水が怖い 愛媛・西予、緊急放流で集落浸水 「再発防止策不安」残ったのは数世帯

(毎日新聞大阪夕刊2019年7月8日) https://mainichi.jp/articles/20190708/ddf/007/040/010000c

西日本豪雨でダムの緊急放流後に肱川(ひじかわ)が氾濫し、5人が亡くなった愛媛県西予市野村町地区。「天災ではなく人災だ」との思いは被災者から今も消えない。ダムの操作規則が変更されるなど、ハード・ソフト両面で対策が進んだが、不安を拭えずにいる。【中川祐一】

三島町集落
四国地方が梅雨入りした6月26日。久しぶりに雨が降る中、小玉由紀さん(60)は自宅の前を流れる肱川を見つめていた。「また、どばっと雨が降ったらどうなるんやろう」
昨年7月7日午前6時20分。集落上流にある野村ダムが貯水の限界に達し、国土交通省野村ダム管理所は流入量とほぼ同量を放流する「異常洪水時防災操作」を実施した。川の水位は急上昇して集落はあっという間に濁流にのみこまれ、小玉さんの母ユリ子さん(当時81歳)も亡くなった。

(写真)新たに設置された危機管理型水位計。橋の向こうに三島町の集落がみえる。豪雨以前は川沿いに家が建ち並んでいた=愛媛県西予市野村町地区で2019年6月28日、中川祐一撮影
国は6月、野村ダムなどについて大雨の初期段階で放流量を増やすなど操作規則を変更。小玉さんの家の前の橋には同月、ダム管理所などがきめ細かく水位を把握するため新型の水位計が設置された。
ただ小玉さんは「電光掲示板などで放流量をもっと簡単に分かるようにしてほしい」と話す。どれだけ川の様子に気を配っていても、大規模放流があれば一気に水位は高くなる。それが西日本豪雨から得た最大の教訓だ。
小玉さんの家がある三島町集落ではすべての家が浸水被害を受けた。国の「防災集団移転促進事業」を使い全住民が高台などへまとまって移ることも検討されたが、反対意見もあって立ち消えになった。
集落に残ると決めているのは数世帯にとどまる。仕事場のある別の町に妻と引っ越すことを考えている建築業の男性(67)は「ダムがあるから安心と思って家を建てたが、もう水が怖い。住民説明会に行ってもダム管理所は言い訳ばかり。聞いてもしょうがない」と胸の内を明かす。
多くの人が今も仮設住宅で暮らしているため、集落には更地や空き家が目立つ。「以前は夏の夕方になると、風が通る橋に自然と人が集まってみんなで涼んだ。ずっと続くと思ったのに……」。小玉さんがさみしそうに言った。

(写真)更地が目立つようになった三島町集落を歩く小玉由紀さん=愛媛県西予市野村町地区で2019年7月8日午前9時53分、中川祐一撮影

 

洪水調節容量1.4倍に増強 鹿野川ダム改造、全事業完成 しかし、その事業費を肱川の河道整備を回していれば 

2019年6月10日
カテゴリー:

愛媛県・肱川の治水対策として国土交通省が進めてきた鹿野川ダム改造事業が完成し、6月9日、完成式が開かれました。その記事とニュースを掲載します。
この改造事業の主たる内容はトンネル洪水吐を設置して、治水容量1650万㎥を2300万㎥に増やすものです(発電容量を転用)。
しかし、昨年7月の西日本豪雨では鹿野川ダムは発電用放流管を使って事前放流を行い,下図の通り、治水容量を2980万㎥-749.8万㎥=2230万㎥に増やしていました。それでも、流入量の急増で満水になり、緊急放流が行われ、大変な被害をもたらしました。
改造によって2230万㎥が2300万㎥に増えるだけですから、あまり変わりません。
鹿野川ダム改造の事業費は420億円にもなります。肱川ではダム優先の河川行政が進められて河道整備がなおざりにされ、かなり長い無堤区間が放置されてきました。必要性が希薄な鹿野川鹿野川ダム改造の事業費を肱川の河道整備を回していれば、西日本豪雨の被害を大きく軽減することができたと思います。


洪水調整容量1.4倍に増強 鹿野川ダム改造、全事業完成 大洲で式典

(愛媛新聞2019年6月9日(日))https://www.ehime-np.co.jp/article/news201906090053?utm_medium=social&utm_content=%2Farticle%2Fnews201906090053

(写真)トンネル洪水吐(左)の新設で、国が進めてきた改造事業が完成した鹿野川ダム=9日、大洲市肱川町山鳥坂

肱川流域の治水対策として国が進めてきた愛媛県大洲市肱川町山鳥坂の鹿野川ダム改造事業で、最後に残っていた「トンネル洪水吐(こうずいばき)」がこのほど完成し、9日、同町予子林の風の博物館で全事業の完成式が開かれた。改造でダムの洪水調整容量を2390万トンと従来の約1.4倍に増強。トンネルの運用で洪水をため始める水位を従来より4.7メートル下げ、下流の洪水被害軽減を図る。
国土交通省山鳥坂ダム工事事務所によると、改造事業は洪水調整機能の増強や貯水池の水質改善などを目的に、2006年度着手。下流の状況を見ながらよりきめ細かな放流量の増減(開閉操作)を可能にするクレストゲートの改良や、水質悪化の原因となるアオコの発生を抑制する曝気(ばっき)循環装置の設置、任意の深さの水を放流できる選択取水設備の新設などの工事を実施した。総事業費は487億円。
洪水吐のトンネル部分は全長457メートル、内径11.5メートルで、高い水圧に耐えられる鉄筋コンクリート部分と、世界最大級の鋼製放流管からなる。低い水位の放流能力が向上し、増強した洪水調整容量を有効活用できるようになった。
完成式には国や流域自治体の関係者ら約200人が出席。大洲市の二宮隆久市長は「鹿野川ダム改造事業の完成で、肱川流域住民の生活を守る治水対策が一歩進んだ」と述べた。


鹿野川ダム改造事業完成式 洪水対策が強化

(テレビ愛媛2019/06/09 18:51:00) http://www.ebc.co.jp/news/data/index.asp?sn=7259

肱川の洪水対策として進められていた大洲市にある鹿野川ダムの改造事業がこのほど完成し、9日、記念の式典が行われました。大洲市肱川町で行われた完成式には関係者約100人が出席、事業の完成を祝いました。鹿野川ダムの改造事業は洪水調節機能を強化するため国が2006年から進めてきたものです。このうち新たに設置された「トンネル洪水吐」は大雨の際などにあらかじめトンネルを使い放流することでダムの空き容量をこれまでの1.4倍に増やすものです。この事業の完成に伴い鹿野川ダムと野村ダムでは操作ルールを変更、西日本豪雨クラスの大雨が降っても洪水被害は大幅に軽減できるとしています。

野村ダム・鹿野川ダム  放流量増で洪水対応 操作規則変更へ案 国交省四国整備局 /愛媛

2019年4月19日
カテゴリー:

昨年7月の西日本豪雨でダムからの緊急放流により大規模な氾濫を引き起こした野村ダム・鹿野川ダムについて鹿野川ダム改造工事が3月に完了したので、両ダムの操作ルールを変えることを四国地方整備局が発表しました。その記事を掲載します。
四国地方整備局の発表は「野村ダム・鹿野川ダム操作ルールの考え方について 意見を募集します」 http://www.skr.mlit.go.jp/yamatosa/kisya/pdf/190416.pdf をご覧ください。
新しいダム操作ルールでは西日本豪雨が再来しても、被害を大幅に減らせることになっていますが、本当にそうなのか、内容をよく検証する必要があります。
新しい操作ルールは1995年まで使われていた大洪水用の旧操作ルールに近いものです。
肱川下流は河道整備が非常に遅れていて、大洪水用の旧操作ルールでは氾濫を引き起こすので、1996年に中洪水用の操作ルールに変わりました。
その操作ルールで昨年7月に緊急放流が行われましたが、四国地方整備局は昨年11月に、旧操作ルールでも放流量が大きくは減らなかったという発表をしています。
それが今回の発表では大幅に減少するというのですから、首を傾げざるを得ません。
豪雨後に暫定堤防がかさ上げされたことも考慮した計算ですので、その効果もあるように思います。今回の発表データを入手して検討したいと思います。

愛媛)豪雨で緊急放流の2ダム 新操作で「被害大幅減」
(朝日新聞愛媛版 2019年4月19日03時00分) https://digital.asahi.com/articles/ASM4K4TBBM4KPFIB00B.html?iref=pc_ss_date

(写真)ほぼ完成した鹿野川ダムのトンネル洪水吐(左)。写真右上の鹿野川ダムから水を抜くことができる=2019年4月12日午後3時52分、愛媛県大洲市、大川洋輔撮影
昨年7月の西日本豪雨で緊急放流した鹿野川ダム(愛媛県大洲市)と野村ダム(愛媛県西予市)について、管理者の国土交通省が両ダムの新しい操作ルールの案を示した。鹿野川ダムで豪雨に備えて事前に水を抜く「トンネル洪水吐(こうずいばき)」が完成することを受けたルール変更となる。西日本豪雨では両ダムとも満水に近づいて緊急放流し、その後に肱川が氾濫(はんらん)したが、同規模の豪雨が来ても浸水被害は大幅に軽減されるという。
鹿野川ダムは水門の位置などの構造上、水位を一定の高さ以下に下げることができないが、トンネル洪水吐は水門より低い位置にあるため、大雨が予想される際は事前にダムの水位を現在の限界よりも下げることができる。国交省によると、洪水吐を運用すれば、現在の1・4倍の洪水調節容量を確保して洪水に備えられるようになる。
国交省が示した新ルール案では、昨年の豪雨規模の雨が降った場合でも、最も早く浸水が始まる下流の菅田地区で、浸水世帯数が460世帯(実績値)から330世帯に減る。浸水が始まるのも遅らせられる。
菅田地区に続いて浸水が始まると予想される東大洲地区では、豪雨後に暫定堤防がかさ上げされたこともあり、浸水世帯数は大幅に減少。浸水開始も遅らせられるという。
鹿野川ダムの上流にある野村ダムの新ルール案は、現行に比べると、野村ダムに入ってきた水を、洪水初期の段階でより早く、より多く、下流の鹿野川ダムに流すという内容。これによって、野村地区の浸水世帯数も650世帯(実績値)から40世帯に減るという。
この操作変更は、鹿野川ダムで新たに増えた洪水調節容量の一部を、実質的に野村ダムのために使うものだ。鹿野川ダムに水を受け持ってもらうことで、洪水時に野村ダムの容量をより長い時間確保できる。国交省は豪雨の検証会合などで、鹿野川ダムの容量拡大に合わせて「肱川流域全体に恩恵があるように」として野村ダムのルール変更の方針を示していた。今後住民説明会を開くなどして、遅くとも出水期(6月16日から)までには2ダムで新ルールを運用する。
国交省によると、仮に野村ダムの操作ルールを変えなければ、中小規模洪水時には鹿野川ダム下流の大洲市菅田地区での浸水世帯数をさらに減らせるケースもあった。鹿野川ダムの容量の一部を実質的に野村ダムのために使う今回のルール変更は、「利害対立」(国交省)がある両市にとって「折衷案」に落ち着いた。
野村ダムの現行ルールでは、流入量が毎秒300トンを超えると、放流量はしばらく毎秒300トンで維持されるが、新ルール案では、流入量が300トンを超えても300トンに一定割合を加えた量を放流する。早い段階でより多くの水を下流に流すことで、西日本豪雨の時のような大量放流による西予市野村地区の浸水を避ける狙いがある。
ただ、この運用自体は鹿野川ダムにより早く水がたまることになり、鹿野川ダム下流の大洲市にとっては被害軽減につながらない。鹿野川ダムの容量拡大によって大洲市では浸水世帯数が減る見込みだが、菅田地区ではその減り幅が場合によっては小さくなる。
西予市幹部は「災害もあったので、全部とは言わないが、新たにできた容量の何割かは西予市内のために使わせてほしい」と市の立場を説明する。大洲市幹部は「上流(西予市)も下流(大洲市)も『浸水を一軒でも少なくしてくれ』と言い合ったら収拾がつかない」と述べ、野村ダムの新ルール案に理解を示した。(大川洋輔)

野村ダム・鹿野川ダム
放流量増で洪水対応 操作規則変更へ案 国交省四国整備局 /愛媛
(毎日新聞愛媛版2019年4月18日)https://mainichi.jp/articles/20190418/ddl/k38/010/466000c

昨年7月の西日本豪雨を受け、野村ダム(西予市)と鹿野川ダム(大洲市)の操作規則変更を検討していた国土交通省四国地方整備局は16日、規則の変更方針案を発表した。鹿野川ダムでの放流設備追加で洪水調節容量が増えたことなどに伴うもので、従来より放流量を増やして大規模洪水に対応する。西日本豪雨レベルを想定した試算では浸水世帯数は西予市野村町地区で約6%(40世帯)、大洲市東大洲、菅田、肱川の3地区では約16%(600世帯)に減るとしている。
野村ダムは洪水の初期段階で放流量を増加させる。従来は洪水調節容量の4割に達するまで毎秒300トンを放流し、その後400トンまで引き上げていたが、変更後は流入量が300トンを超えた後は流入量に応じて放流量を300トンから増やしていき、最大で野村地区が浸水しない1000トンまで引き上げる。
鹿野川ダムは洪水調節容量の4割に達するまで下流が浸水しない毎秒600トンを放流するのは従来通りだが、同容量の増加に伴い4割の値が660万トンから950万トンに増加。従来より長い時間、下流が浸水しない水準を保てる。その後貯水量増加に応じて増やす最大放流量は、一部で浸水被害が出るものの東大洲地区での被害は防げる850トンとしていたが、同地区の暫定堤防をかさ上げたため1150トンに引き上げる。
ただ、両ダムともダムが満杯になる見通しの場合、西日本豪雨でも実施した「異常洪水時防災操作」を行い、流入量とほぼ同量を放流することになる。変更後の操作規則でも同操作を行う可能性はあるが、移行するまでの余裕ができ、浸水被害を軽減できるとしている。
同整備局は5月16日まで大洲市や西予市の住民らから意見を募り、出水期までに正式に変更する。【中川祐一】

↑ このページの先頭へ戻る