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事務局からのお知らせ

ダムも長寿命化へ転換 計画的補修へ詳細点検(読売新聞栃木版 2012年10月27日)

2012年10月28日
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ダムも長寿命化へ転換  計画的補修へ詳細点検(読売新聞栃木版 2012年10月27日)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tochigi/feature/utunomiya1350954399866_02/news/20121027-OYT8T00112.htm

記事のポイントを書き出すと、次のとおりです。維持管理費の削減のため、電気・機械設備等を計画的に補修していくというものです。しかし、100年以上の長い年月を考えたら、ダムの行く末はどうなるのでしょうか。

〇 ダム本体のコンクリート部分は、少なくとも100年はもつ。だから、他の構造物ほど長寿命化は考えられてこなかった。
〇 水門や弁などの金属部分や電気、機械設備は、20、30年で更新時期を迎える。
〇 各ダムごとに詳細な点検を実施し、部品ごとに優先順位を定めた補修計画を立てる。これまでは異常があったところを補修してきたが、計画的に補修を進めれば、壊れてから修繕するよりも費用を縮減できる。目的は、維持管理費の削減だ。

(写真)ワイヤが老朽化していないか確認する県安足土木事務所の職員(9月19日、足利市の松田川ダムで)
足利市北部にある松田川ダム(1995年完成)。「財団法人ダム技術センター」(東京)の職員が、コンクリートの表面に薬品を吹きかけると、アルカリ性を示す紫色になった。アルカリ性から酸性に向けた進行は劣化を表すため「中性化」していない状況が確認出来た。
ダム維持管理費削減などのため導入された県の「とちぎダム長寿命化プロジェクト」で、耐久性などが問題ないとされた松田川ダム(足利市)
「とちぎダム長寿命化プロジェクト」の一環として、県は9月5日、同センターと共同で同ダムの調査を実施。ボートに乗って貯水池のコンクリートの点検のほか、貯水量や放水量などが分かるデジタル表示が正常に作動しているかなど、1か月~1年に1回の割合で行う定期点検より細かく調べた。
ダムを管理する県安足土木事務所保全第1部の影山晃弘部長は「人が人間ドックを受けるようなもの。全体的な症状が目に見え、効率的な管理につながる」と説明する。
機械設備は20、30年 同センターの池田隆・企画部長は、「ダム本体のコンクリート部分は、少なくとも100年はもつ。だから、他の構造物ほど長寿命化は考えられてこなかった」と説明する。
しかし、水門や弁などの金属部分や電気、機械設備は、20、30年で更新時期を迎えるとされる。県砂防水資源課によると、県営ダムは7か所あるが、維持管理に使える予算は近年、年間3億円前後で推移しているという。
同課の担当者は、「これまで必要最低限の部分しか直せなかった。先延ばしできる部分は先延ばししてきた」と明かす。
「修繕先送りしない」 完成後30年以上経過する県営ダムは、2008年現在で「中禅寺ダム」(日光市)、「西荒川ダム」(塩谷町)、「塩原ダム」(那須塩原市)の3か所だったが、14年に4か所、20年に5か所に増える。
「プロジェクト」は10年、財政難に危機感を募らせた同課が、橋などで行われていた長寿命化の取り組みを参考に始めた。目的は、維持管理費の削減だ。
各ダムごとに詳細な点検を実施し、部品ごとに優先順位を定めた補修計画を立てる。これまでは異常があったところを補修してきたが、計画的に補修を進めれば、壊れてから修繕するよりも費用を縮減できる。
また、場当たり的な対応にならず、年度ごとの費用にばらつきが出ないという。京都大大学院工学研究科の小林潔司教授(インフラマネジメント)は「ダムは修繕を先送りしないことが大事」と、同プロジェクトを評価する。
県はプロジェクトに基づき、11年度、県営ダム4か所の補修計画を作った。今年度は松田川ダムを含む残り3か所を策定し、来年度には、各ダムの計画を基に、県営ダム全体の長寿命化修繕計画を完成させる方針だ。
県砂防水資源課の松本茂副主幹は、「ダムは代替が利かない施設で、壊れたときの影響が大きい。早めの修理で、安全性もさらに高められる」と意義を語る。
▼建設60~70年代ピーク
「財団法人日本ダム協会」(東京)によると、全国にはかんがい、上水道、工業用など約2800のダムがある。建設時期は1960~70年代がピークで、完成後50年以上経過したダムが現在、約半数を占める。
国土交通省は昨年、ダムの機械設備については長寿命化計画のマニュアルを定めたが、電気通信設備やダム本体については、今年度中の策定を目指して検討を進めている。
同省河川環境課の渕上吾郎課長補佐は、「栃木県の長寿命化の取り組みは、全国に先駆けた事例」と評価する。
ダムによる治水と利水は、発電やかんがいなど住民生活で重要な役割を担っていることから、京都大防災研究所水資源環境研究センターの角哲也教授(河川工学)は、
「長寿命化によりコスト縮減だけでなく、安全に長く使い続けられる意義は大きい」と指摘。「栃木県と国の取り組みが各県に良い影響を与え、全国のダムの維持管理レベルの底上げにつながる」と述べている。

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