石木ダム事業認定手続きの公聴会についての一連の記事(2013年3月23日、24日)
3月22日と23日、石木ダム事業認定手続きの公聴会が開かれました。その公聴会についての一連の記事を掲載します。
(写真) 石木ダム予定地の強制収用を強行するのか県に回答を迫る岩下さん=川棚町公会堂
県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダムの事業認定手続きの公聴会が23日、同町中組郷の川棚町公会堂で開かれ、2日間の日程を終えた。
県は反対地権者から事業認定後に可能になる強制収用について質問を受けたが、「現時点では考えていない」と述べるにとどめた。
公聴会は、土地収用法に基づく事業認定手続きの一環で、国土交通省九州地方整備局(九地整)が事業の公益性を判断するために実施。
最終日は反対地権者と支援者、推進の元地権者ら計10組が意見発表や県、市と質疑をした。約200人が傍聴した。
ダム建設予定地の地権者、岩下和雄さん(66)は「ダムは佐世保市民の水道料金引き上げにつながり、川棚町は水利権を失うだけ。市民、町民のためにも計画中止を」と要請。
「(最終的に)人権を無視して強制収用するのか。脅しには負けない」と県側をただしたが、県は話し合い促進が事業認定の目的とする従来の姿勢を崩さなかった。
同じく地権者の松本好央さん(38)は、まだ7歳だった1982年に県が強制測量を行い、友人と手をつなぎ震えながら阻止行動をした体験を振り返り、
「(反対地権者)13世帯で自然を守り続けている。生まれ育った古里に住み続けたいだけ」と訴えた。
一方、県の用地買収に応じ移住した元地権者の男性(85)は「苦渋の決断で古里を離れたのに事業認定手続きが進まず、憤りを覚える」、別の男性(75)は「県、市、町でスクラムを組み利水、治水に取り組んでほしい」と建設推進を後押しした。
公聴会をめぐっては反対地権者17人が意見発表を希望したが選ばれたのは3人。
終了後、岩下さんは「発表できた人数が少なく、時間も足りなかった。公聴会は事業認定するために形式上、開かれただけだ」と掃き捨てた。
九地整の清水貞博・事業認定調整官は「推進、反対の大勢から必要な情報を聞くことができた」と成果を強調した。
県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設問題で、建設予定地の強制収用に道を開く事業認定手続きの公聴会が22日から2日間の日程で、同町中組郷の町公会堂で始まった。
国土交通省九州地方整備局(九地整)が賛否の意見を聴取。初日は県と市などが公益性を訴え、反対地権者はダムは不要として、計画の中止を求めた。
公聴会は、土地収用法に基づく事業認定手続きの一環で、土地収用を認める公益性があるか判断するために開く。県、市と公募で選ばれた事業推進、反対の立場の計20組が各30分の持ち時間で、意見発表や質疑をする。初日は10組が発表。約160人が傍聴に訪れた。
県と市は、ダムによる洪水軽減、市の慢性的な水不足を解消する効果を強調。「ダムは公益性が高く、事業認定の要件をすべて満たす」と理解を求めた。
これに対し、ダム予定地の地権者、石丸勇さん(63)=同町岩屋郷川原地区=は「子々孫々受け継いだ川原は安住の地。(反対地権者)13世帯の絆は今も固いが、県と佐世保市が崩そうと躍起になっている。事業認定、強制収用後には苦しみ、恨み、憎しみが残るだけ」と主張。
建設予定地近くの砕石場跡にため池を造る代替案を示し「ただちに計画を中止すべきだ」と訴えた。
このほか、反対派は市の水需要の過大予測やダムに頼った治水計画の不備に批判を集中。「治水効果には誤りがある」と指摘した。推進派は渇水や洪水被害に遭った当時の苦労を語り、ダムの必要性を強調した。
23日は午前10時半~午後5時半ごろまで開く。
◎ズーム/石木ダムの事業認定手続き
認定されれば補償と引き換えに用地の強制収用が可能になる。県が反対地権者との「話し合い促進」のため、2009年11月に九州地方整備局に申請した。
民主党政権による再検証に伴い事実上中断したが、昨年6月に国が事業継続を容認した。公聴会の後、学識経験者でつくる社会資本整備審議会が開かれ九地整が認定の可否を決める。
(写真)ダム建設に賛否の意見が上がった公聴会
石木ダム(川棚町)事業で、土地収用法に基づく事業認定手続きの公聴会が22日、川棚町公会堂で2日間の日程で始まった。2009年11月に県と佐世保市が国に事業認定を申請してから3年以上を経て、具体的な手続きが動き出した。
事業認定は、事業主体の申請を受け、国が公益性を判断する手続き。公聴会は多様な意見を聞いて、判断材料を集めるために開く。「脱ダム」を掲げた民主党が政権をとってから手続きは棚上げされていたが、国は昨年6月、事業の継続を認めた。
ダムの水没予定地域では、13世帯の地権者が立ち退きを拒否しており、国が事業認定すれば土地の強制収用が可能となるため、認定をしないよう訴えてきた。
初日の公聴会では、9組の公述人が賛成、反対の立場から意見を述べた。
冒頭、県と佐世保市が事業概要を説明し、川棚町での過去の洪水被害や同市の渇水などに触れ、「洪水から地元住民を守り、安定的な水を確保できるのはダムしかない」と主張。賛成の立場の公述人は、観光や医療といった視点から、渇水を防ぐためのダムの必要性を訴えた。
一方、建設に反対する公述人は「代替案はある」と指摘。「これまでほとんど取水されていない川の遊休水利権を活用すれば、佐世保の水は足りる」との声が上がったほか、県などに「土地を奪うのは人権侵害ではないか」と迫る場面もあった。
また、関連施設を含めたダムの総工費について、県などは350億円とし、このうち市の負担額は298億円と説明した。これに対し、反対派は「市民1世帯当たりの負担は約30万円に上る。水問題が切迫していない現状では認められない事業だ」と強調した。
23日は午前10時半~午後5時半に開かれ、10組が公述する。
川棚町に計画される石木ダムの事業認定の手続きとなる公聴会が22日、2日間の日程で同町公会堂で始まり、165人が傍聴した。
事業の公益性を判断するために事業認定庁となる九州地方整備局が開催。事前に選ばれた公述人20組が、推進、反対のそれぞれの立場で意見陳述する。
事業認定は、09年に県などが国に申請。公聴会後、有識者らによる社会資本整備審議会を経て「公益性あり」と認定されれば、用地買収が済んでいない反対地権者の土地の強制収用に向けた手続きにつながることになる。
推進の立場からは、佐世保市が「市は斜面都市で水源不足に悩まされている。今後は市内の造船業が洗浄が伴う修繕部門を強化するなど水需要は増加する」と主張。
川棚町の河野孝通さん(67)が「90年の大雨では床上浸水し、経営していた薬局が数十万円の被害を受けた。治水面でもダムは必要」と訴えた。
反対の立場からは、地権者の石丸勇さん(63)が「反対する13世帯の絆は絶対に崩れない。ダムに固執せず、海水淡水化施設など代替案を実現すべき。排水ポンプ設置や河川改修で十分に対応できる」と強調。
石木川まもり隊の松本美智恵代表は「節水型の製品が増え、人口も減少するのにダムは不要。市が出費する298億円のツケは市民に回る」と訴えた。【柳瀬成一郎】〔長崎版〕
石木ダム:公聴会 九地整調整官「意見基に事業認定判断」/長崎(毎日新聞長崎版 2013年03月24日)http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20130324ddlk42010323000c.html
川棚町に計画される石木ダムの事業認定の手続きとなる公聴会が23日、同町公会堂であり、公述人の残り10組が意見陳述した。
2日間の日程を終え、事業認定庁の九州地方整備局建政部の清水貞博・事業認定調整官は「意見を基に、事業認定について適正に判断したい」と語った。
意見陳述では、反対地権者の松本好央さん(38)が、機動隊を伴った82年の強制測量を振り返り「当時7歳の私を含め、抵抗する住民を力で排除し、次々にクイを打った。
あの悔しさはいつまでも忘れない」と事業反対を貫くことを主張。
一方で、水没予定地に住み、土地売却に応じ、町内に転居した山田義弘さん(75)は「町内の治水効果もあり、町の安全のために、事業に賛成しました」とダムの必要性を語った。【柳瀬成一郎】
石木ダム事業公聴会終わる(読売新聞群馬版 2013年3月24日 ) http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagasaki/news/20130323-OYT8T01166.htm
石木ダム(川棚町)事業で、土地収用法に基づく事業認定手続きの公聴会が23日、川棚町公会堂で開かれ、2日間の日程を終えた。
国土交通省九州地方整備局は公聴会での意見などを基に事業認定するかどうかの方針を決め、同省の社会資本整備審議会に諮問したうえで最終判断する。
この日は、ダム建設に賛成して移転した元地権者が「事業で立ち退いた8割の地権者の思いを受け止めてほしい」と建設促進を求め、大学教授が「洪水被害を防ぐためにダムは必要」と発言。
一方、反対派の地権者は「他に方法がないか探る時期ではないか」と訴え、佐世保市の女性は「人口減少社会で節水器具も普及している」と新たなダムによる水源確保に疑問を呈した。
2日間で20組が公述し、賛成が9組、反対が11組だった。九地整では「事業認定申請書や意見書、そして今回の意見を基に判断していきたい」としている。
水没予定地では13世帯が立ち退きを拒んでおり、事業認定されれば土地の強制収用が可能となる。
(写真)川棚町で開かれた石木ダムの公聴会
県と佐世保市が計画する石木ダム(川棚町)にからみ、国土交通省九州地方整備局は22日、土地収用法に基づく事業認定の判断材料となる公聴会を川棚町公会堂で開いた。
認定されれば買収を終えていない土地の強制収用に道を開く。県が事業認定を申請した後、民主党政権下のダム検証などで中断していた手続きが3年4カ月ぶりに再開した。
同局は公聴会で公益性や土地の利用が適正かなどを検証。その後有識者でつくる同省の社会資本整備審議会の審議を経て認定の可否を判断する。
この日の公聴会では推進、反対それぞれの立場で計10人が意見を述べた。ダムに反対する地権者の石丸勇さんは予定地の8割の世帯が同意したことについて「最初はみんな反対だった。
心癒やされる古里の絆をズタズタにされた」と指摘。「われわれは自分の財産を守るために反対を続ける。佐世保市の水需要予測は単なる数合わせでダムはいらない」と述べた。
一方、石木ダム建設促進川棚町民の会の河野孝通事務局長はダム予定地下流の川棚川が1990年に氾濫し床上浸水した経験を紹介。「反対されている住民の心情を察するに言葉では表せない。それでも安全、安心な街づくりのためダムは必要」と訴えた。
県と市はあらためて利水、治水両面からダムの必要性を主張し、早期認定を求めた。公聴会は23日も開かれる。
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