2014年6月21日 長崎県説明会報告 (石木ダム関係)
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こうばる公民館で知事に代り土木部が説明
昨日6月21日15時から、石木ダムによって生活地の明渡しを求められている石木ダム建設絶対反対同盟13世帯の皆さんの居住地にある「こうばる公民館」で、長崎県を招いての説明会が開催されました。
5団体と弁護団はこの説明会に知事の出席を求めていましたが、知事は欠席でした。
長崎県からの出席は、浅野河川部長・野口河川課長・浦瀬企画監・古川石木ダム事務所長ほか2名でした。長崎県が用意していた説明用資料を配付、長崎県出席者の自己紹介を経て、説明会を開始しました。。
説明会は弁護団の平山弁護士による司会で進行しました。
先ずは知事欠席の理由について質しました。
「今日の説明は治水という専門分野になるので、河川部が説明する」という回答でした。
当方は、「今日の説明会は知事が会いたいと言っているからその場を設定した。知事の欠席は理屈に合わない。住民がどのような疑問を持っているのか、意見を持っているのか知事自身が聞く必要がある。知事にいつ会えるのか、予備折衝を提起する。1週間以内に予備折衝についての回答を求める」としました。
質疑応答は、実績洪水の評価(現時点の河道状況で防ぐことができるか)、基本高水流量14,000㎥/秒は過大ではないのか、川棚川下流域の水害は外水氾濫ではなく内水氾濫によるものではないか、ダムを中止した場合に59億円かかるとしている根拠 などについて交わされました。
緒方弁護士が担当した実績洪水の評価では、質疑応答を通して
- 現在の河道整備状況:H2洪水以降、流下能力が上がっている。
- 流下能力1,000㎥/秒 (H18年測定。計画高水流量1,130㎥/秒)
計画高水流量1,130㎥/秒は概成されているが、狭窄部(江川橋付近)の流下能力は1,000㎥/秒 - H2年の洪水流量は830~840㎥/秒であった。今ならばあふれることはない。
- 戦後最大はS23年洪水は1,000~1,100㎥/秒であった。
- 過去の洪水すべて、計画高水流量1,130㎥/秒対応の河道整備が完成すれば、あふれることはない。石木ダムなしでも過去の洪水被害は防ぐことができる。
- 計画高水流量1,130㎥/秒対応の河道整備を速やかに進める
- 長崎県は以上を川棚町に説明する。
を確認しました。
田籠弁護士は設定された治水目標について質問しました。
ダム等がない場合を想定した100年に1回の洪水流量1,400㎥/秒を野の川ダムと石木ダムで1,130㎥/秒(共に洪水基準点・山道橋地点到達流量)に調整する、という治水計画です。
この1,400㎥/秒という値が戦後最大実績値(昭和23年洪水 推定流量1,000~1,100㎥/秒)を大きく外れていることから、その求め方について質しました。
- 基本高水流量1400㎥/秒を決定する際に、洪水9パターンの実績降雨パターンについて降雨量を計画雨量24時間400mm、3時間203mmまで引き延ばして求めた。
- 基本高水流量1400㎥/秒について、引き延ばしにより異常に高い流量になっている恐れがあるので、棄却検定を行っている。
という説明でした。
それを検証するために、
- 洪水9パターンの引き延ばし計算過程とその結果
- 引き延ばし結果の生起確率及び、棄却検定に用いた基準と結果
についての情報開示を求めました。「基本高水流量の算定経過」という文書があるとのことです。
質疑応答の中で、3つのダム計画→石木ダム計画のみ残存 および等流計算→不等流計算による算出、により 計画高水流量 1020→1130㎥/秒 とした経緯があることが分かりました。これの文書による整理を求めました。
想定氾濫面積は治水経済調査マニュアルに基づいて求めたとしていますが、その求め方・用いたデータ等の開示を求めました。
平山弁護士は「石木ダムによって川の水位が期待できるので内水氾濫にも効果がある」というこれまでの県の説明に対して、それを具体的に数値として確認したことがあるのかを質しました。答えは「していない。」でした。野口課長は、「川棚川では外水氾濫が先で、内水氾濫が後に起きている。外水氾濫なしでの内水氾濫を知らない」と追加説明しました。「そんなことはない」と会場から反論が上がりました。「川棚川の外水氾濫を防ぐことが先決でそれでも内水氾濫があれば対策を講じるのがよいと考えている」が県の考え方とのことです。H2年の洪水被害についても、「外水氾濫があり、内水氾濫が追随した。下流部分の痕跡水位が欠測になっているのは越流していたからである」としました。
私たちはH2年洪水など、内水氾濫か外水氾濫かを判断できる材料の開示を求めました。
緒方弁護士は、「代替案との比較でダムを中止することで発生する費用が59億円になる」、としていることについて質しました。
ダム中止に伴う費用算出で、佐世保市負担済返済分として国からの補助金も含んでいることを長崎県は認めました。佐世保市・長崎県が再評価システムで中止を決定すれば補助金の返済は免れるにもかかわらず佐世保市への返済金に含めるというのは間違いです。他の項目でも算定根拠がいたずらに高く見積もられています。入手ずみ土地の管理費用などの見積もり期間を50年間としている根拠を示すよう求めました。
この日のまとめとして平山弁護士は以下のようにまとめました。
- 知事出席による説明会の実施を求める。事前協議を行うことについて6月27日までに回答されたい。
- 以下の資料を7月4日までに提供されたい
(ア) 想定氾濫面積算出方法と用いたデータ
(イ) 9洪水パターンの引き延ばし結果と算出過程
(ウ) 計画高水流量変更などの治水計画変遷の整理
(エ) ダム中止に伴って発生する費用の内、見積もり期間を50年間としている根拠
(オ) H2年洪水において内水氾濫か外水氾濫かを判断できる材料 写真・聞き取りなどの一覧
(カ) H2年洪水に関する川棚町内雨量実績
(キ) H2年洪水被害の地区別内訳
(ク) 引き延ばし結果についての生起確率・棄却検定条件と結果
(ケ) 石木ダムによって見込まれる水位低下量
以上です。
終了後、馬奈木弁護士はこうばる公民館に集まった仲間に対して、
- 長崎県と議論に入れてよかった。
- 過去の洪水被害は石木ダムなしの河道・堤防整備で防ぐことが確認された。
- 内水排水機場・排水水路など、内水氾濫対策を求めていこう。
- 長崎県を逃げないようにさせよう。
- 知事出席が絶対条件。
と訴え、全員拍手で確認しました。
長崎県が用意した資料
20140621石木ダム説明会資料(長崎県) pdf 4175kb
ビデオ収録 you tube 撮影 いしまるほずみさん
「長崎県による13世帯60名の皆さんなどへの説明会 2014年6月21日」
http://youtu.be/dVZAMm0JlL4
「長崎県による13世帯60名の皆さんなどへの説明会 つづき 2014年6月21日」
http://youtu.be/cmuRlCwMfGI
マスコミ報道
長崎新聞 2014/6/22
NHK 2014年06月21日 20時15分
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5035204721.html?t=1403410404502
石木ダム 県が地権者に説明
長崎県と佐世保市が川棚町に建設を計画している石木ダムをめぐり、建設に反対する地権者側の要請を受けて、長崎県は21日、現地で説明会を開きましたが、大きな進展はなく、地権者側は改めて知事本人の説明や新たなデータの提供を県側に求めました。
石木ダムをめぐっては、国が去年9月、地権者から土地を強制的に収容することが可能となる「事業認定」を行い、建設に反対する地権者との対立が深まっています。
21日は地権者側の要請に応じて、長崎県が現地で説明会を開き、はじめに浅野和広土木部長が「これまでの県の説明では十分ではなかった部分もあり、改めて説明をしたうえで、意見交換をしたい」と述べました。
説明会では、地権者側の弁護団がこれまでの河川改修によって、洪水被害は、ダムがなくてもある程度防げるのではないかとただし、県側は、河川改修が完全に終われば理論上は対応できることを認めました。
一方で、県側は、100年に1度の水害を想定するとダムが必要になると説明し、これに対し、弁護団からはそうした予測の根拠となる具体的なデータなどの提供を求めました。
また、地権者側は改めて知事本人の出席を求め、県側は、検討したうえで回答する考えを示しました。
NIB長崎国際テレビ 2014/ 6/21 18:36
http://www.nib.jp/realtime/news/news_3016261.html
石木ダム建設で説明会 議論は平行線に
川棚町に建設が計画されている石木ダムを巡り21日、県と地権者との面談が予定地で行われた。
面談は、県が建設予定地の公民館に出向く形で行われ反対する地権者や支援者など約40人が集まった。中村知事が4月、地権者の家を戸別で訪問したことを逆手に地権者らは知事本人との集団面談を求めていたが、県側は「集団面談には応じられない」との姿勢は変えず知事は出席しなかった。面談で県側は、ダムがもたらす川棚川の治水効果を説明したが、地権者側は、過去に川が氾濫した際の雨量算出があいまいなことや改修工事を先にすべきなどと指摘。両者の議論は結局、平行線をたどり、地権者側は再度知事との面談を求めたが、県側は改めて検討すると回答するにとどまった。
NBC長崎放送 06月22日
http://www.nbc-nagasaki.co.jp//news/nbcnews.php#3
石木ダム 住民説明会 06月22日
県と佐世保市が東彼・川棚町に計画している石木ダム事業で県は、21日、事業に反対している地権者らに説明会を開きました。石木ダム事業をめぐっては県が強制的に土地を収用できる事業認定を受けたことから地権者は反発を強めています。これまで、地権者らはダムの必要性を中村知事、自らが説明するよう求めてきましたが内容が専門的であるとして土木部長らが地元へ出向き説明会を開きました。この中で、地権者らはこれまでに行われた河川改修によって治水目的のダムがなくても川棚川流域で過去に起きた4度の大きな洪水被害は防げるのではないかと指摘ー。県も、これを認めました。また、ダムの必要性の根拠となるデータなどを開示して説明するよう要請しました。地権者らは改めて知事との面会を求めており県の回答期限を来週いっぱいとしています。
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