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城原川ダム:「流水型」前提に検証 国交省、関係自治体協議で方針 /佐賀

2015年5月30日
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城原川ダムはダム検証の対象ですが、4年半前にダム検証が始まったにもかかわらず、国交省九州地方整備局は今まで、関係地方公共団体からなる検討の場(準備会)を2回開いただけであって、つくる意思を強くは示していませんでした。
 ところが、今年1月に佐賀県知事になった山口祥義氏は城原川ダムの推進に躍起になり、その働きかけもあって検証作業が始まり、5月 18日に検討の場が開かれました。1月の佐賀県知事選で折角、自公推薦の候補を破って知事になったのに、情けない話です。
検証といっても、実際にはダム推進の結論が先にある検証でしょうから、先行きが大いに危ぶまれます。

そして、治水対策案についてのパブリックコメントも始まりました。意見募集期間は5月19日(火)~6月17日(水)です。

 

城原川ダム:「流水型」前提に検証 国交省、関係自治体協議で方針 /佐賀
(毎日新聞佐賀版 2015年05月19日)http://mainichi.jp/area/saga/news/20150519ddlk41010349000c.html

民主党政権時に見直し対象になった城原川(じょうばるがわ)ダム(神埼市)について、再検証を進めている国土交通省九州地方整備局は18日、県や地元が主張する「流水型ダム」を前提に検証を進める姿勢を明確にした。国と関係自治体が協議する会合で示した。ダムの詳細やコストの提示は次回以降に先送りした。
会合「城原川ダム事業の関係地方公共団体からなる検討の場」の本開催はこの日が初めて。佐賀市であり、山口祥義知事、神埼市の松本茂幸市長、城原川下流が含まれる佐賀市の秀島敏行市長らが出席した。
国側は、同ダムに利水の必要がないことが地元で確認されているとして「洪水調節のみを目的とした流水型ダムとして検証する」との方針を示した。
その上で、河道掘削▽遊水地▽一部が低くなった堤防「野越し」▽雨水貯留施設−−などを組み合わせた5通りの治水方策も提示した。松本市長は、地元に被害が及ぶ恐れがある野越しなどについて「(住民が)洪水を受忍することのないようにしてほしい」と難色を示した。
閉会後、山口知事は「いろいろな県民の声を受け止め、手順を踏んだ検証をしてほしい」と求めた上で「基本的に流水型のダムでお願いしたい」と望んだ。
城原川ダムは1953年の大水害を受けて計画されたが、住民の反対などで停滞。2005年には県が大雨時だけ水をせき止める流水型ダムを国に提案し国も理解を示したものの、09年には民主党政権が再検証対象事業にした。【上田泰嗣、石井尚】

城原川ダム「流水型」検証 「検討の場」本会合開始
(佐賀新聞2015年05月19日) http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/188107

(写真)城原川ダムの治水対策案について、国土交通省や流域自治体の関係者が協議した「検討の場」初会合=佐賀市の県教育会館

◆国、ダム以外も提示
国の事業見直し対象になっている城原川ダム(神埼市)について、国土交通省九州地方整備局(九地整)と流域自治体が協議する「検討の場」の本会合が18日、佐賀市で開かれた。城原川ダムを治水専用の「流水型ダム」として検証する方針を申し合わせ、九地整は河道掘削や遊水地整備などを組み合わせたダム以外の代替治水案5案を提示した。国側が具体案を示したのは初めてで、本格的な比較検討が始まった。
事業主体の九地整や「検討の場」を構成する佐賀県の山口祥義知事、佐賀市の秀島敏行市長、神埼市の松本茂幸市長が出席した。
ダム計画と代替案を比較検討する際の洪水規模について、九地整は「50年に1回」レベルの最大流量毎秒540トンを基準にすると説明した。ダムは洪水調節だけを目的とした「流水型」とし、高さ60メートル、幅329メートル、総貯水容量355万立方メートルを計画している。放流口の数や概算事業費は「次回、具体的に示す」として言及しなかった。
ダム以外の代替案は、昨年10月までの準備会で示していた25案から絞り込み、(1)河道掘削のみ(2)掘り込み方式の遊水地と河道掘削(3)部分的に低い堤防で水を流出させる「野越し」や遊水地などの組み合わせ-など5案とした。それぞれ700億円から610億円のコストを見込んだ。
協議では松本市長が「野越しを使った場合、一定の洪水を受忍しなければならないのか」とただし、九地整側は「受け堤を造り、家屋には浸水が及ばないようにする」と答えた。
検討の場は公開され、水没予定地や下流域の人たち約30人が傍聴した。山口知事は「早期に治水方針が決定され、対策が取られることを願う」などと述べた。
19日から6月17日までパブリックコメント(意見公募)を実施する。次回の開催時期に関し九地整は「速やかに進めていきたい」と述べるにとどめた。
検討の場では安全度やコスト、地域社会への影響など7項目にわたって評価する。最終的に国交相が建設の是非を判断する。
城原川ダム計画は1953(昭和28)年の大水害などを踏まえ、旧建設省が直轄事業として71年に予備調査に着手したが、住民の賛否が分かれて計画が進まなかった。古川康前知事が2003年に流域自治体の首長会議を設け、05年に流水型ダムの建設を国に申し入れたが、民主党政権時の10年に再検証の対象になった。12年末に自民党政権に戻っても進展がなく、14年10月に2回目の準備会がようやく開かれた。
■流水型ダム
えん堤の底に近い場所に放流口を設け、自然放流をする治水ダム。「穴あきダム」とも呼ばれる。貯水型は土砂が底にたまって流れず、下流や海への影響が大きいのに比べ、水質の変化が抑えられるとされる。放流量は人為的に制御されず、流木や転石が放流口をふさがないように対策が必要になる。国営では建設中の立野ダム(熊本県)などがある。

城原川ダム「検討の場」 「第一歩」「議論丁寧に」
(佐賀新聞2015年05月19日) http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/188108

(写真)城原川ダムの「検討の場」で国交省の説明を聞く住民ら=佐賀市の県教育会館

■地元住民ら思い交錯
国の事業見直し対象となって、5年を経てようやく初会合が開かれた城原川ダム(神埼市)の「検討の場」。計画浮上から40年以上進まず苦悩してきた水没地区の住民は、検証作業の第一歩を感慨深げに受け止める。一方で国が示したダム代替の治水対策は十分な説明がなく、流域住民からは議論を丁寧に進めるよう求める声も上がる。
「やっとここまで来た」。事業継続を求める城原川ダム対策委員会の眞島修会長は会議を傍聴し、ほっとした表情を浮かべた。県が10年前に提案した「流水型ダム」の方向性、目標流量が生きていたことを評価し「治水の代替案も示されたが、われわれはダム受け入れをあらためてお願いしたい。一日千秋の思いで待っている」と早期判断を要望した。
今回、国は河道掘削や遊水地などを組み合わせた16の代替案を示し、コスト面から5案を抜き出した。ダムによらない治水対策を訴える「城原川を考える会」の佐藤悦子代表は「今回の説明では詳細が分からない。掘削が農業や景観に与える影響、野越しから出た水を受ける堤はどうなるのか。中身の評価は無理」と指摘。「検討の場を重ね、多様な意見を取り込んで議論してほしい」と国に丁寧な対応を求めた。
各首長は治水対策の緊急性を強調した。松本茂幸神埼市長は「代替案がダムより優れていれば、その方法でやればいい。必ずダムでなければいけないというわけではない。とにかく市民の安全が最優先。そのためにも早急な治水対策の検討を」と注文する。秀島敏行佐賀市長は、城原川の下流で合流する佐賀江川が、有明海の満潮時に排水能力が落ちる点を指摘。「切羽詰まった問題。治水のためには城原川上流での対策が必要だ」と考えを示した。
ダム整備を求めている山口祥義知事は「長い時間がかかっている問題で、水没地の皆さんの『早く決めて』という訴えを重く受け止めたい。流水型ダムでお願いしたいが、国交省のルールに沿って、あらためてしっかり検証してもらえればいい。検証の場がさまざまな県民の声を受け止めた形で進むことを期待している」と述べた。
■ダム代替 5案河道掘削最も高額 遊水地、野越し併用案も
国土交通省九州地方整備局は18日、城原川ダムについて流域自治体と協議する「検討の場」で、ダム以外の治水対策として「できる限り幅広く検討した」という16案を示し、そこからコスト的に有利な5案に絞った。今後、この5案とダムのいずれが治水対策事業として適しているか、比較検討していく。
5案の中身を見てみると大きく三つに分類できそうだ。
一つは、城原川の流れがよくない場所の川底を掘って川幅を広げる「河道の掘削」で、事業費約700億円。既存の堤防の補強やのり面崩壊を防ぐ地盤改良、橋の架け替えが必要になり、最も高額な方法となっている。
二つ目は、流域の農地に洪水を貯める「遊水地」を6カ所設け、それでも不足する受け皿を確保するために河道の掘削を組み合わせた案で、約610億円。この遊水地は田畑を買収して掘削するため、地域に与える影響が大きい。
三つ目は、成富兵庫茂安の治水事業の名残とされ、決壊を防ぐ目的で故意に堤防を低くし、水を流出させる「野越し」を活用する案で約620億円。しかし、野越しは流量の低減効果が低いとして、結局、河道の掘削や遊水地を組み合わせている。
残る2案は、これらに流域内の学校の校庭や公園に雨水をためる機能などを加えた方法だが、九地整の試算では他の案と比べて流量が変化しておらず、大きな治水効果があるとみていないことがうかがえる。
九地整は、5案の概算事業費を示したが、その積算根拠は明らかにしていない。自治体から求められれば、コストの詳しい根拠も示すとしている。

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