石木ダム工事差止仮処分申立 第1回審尋 報告 (石木ダム)
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2016年5月16日午後2時から、長崎地方裁判所佐世保支部にて工事差止仮処分第1回審尋がありました。
仮処分の審尋は非公開なので住民側は申立人(債権者)と代理人しか法廷内に入ることが出来ません。それでも部屋が狭くて十数名の申立人(債権者)が入廷できず、待合室で待機、ということになりました。
この日の法廷は、主張書面・疎明資料確認の後,実質審尋に入りました。
まず,裁判所から私たちに言われたのは,差止を求める「工事の特定」のことでした。
その点については
① 債権者が把握している情報だけでは工事の特定が困難であることを踏まえて
② 債権者主張を補足する形で債務者らからも工事の特定に必要な情報を提供してもらう。
③ その上で差止を求める工事を特定していく。
ということになりました。
裁判所から当方に出された宿題は,
① 債権者のうち,所有権者・居住権者の場所と工事対象地の関係を明らかにすること
② 債務者らの答弁書に対する反論を行う。 特に行訴法44条,保全の必要性について反論すること(*1)。
でした。
次回は、事業認定取消訴訟期日と同じ日の午前に、ということで、 7月19日(火)11時から12時まで となりました。
この日は、終了後に長崎地方裁判所に移動して、午後3時から事業認定取消訴訟第2回公判となります。
◎ 解説*1: 債務者側(長崎県・佐世保市)は、当方の申立書に対する答弁書の中で、裁判所に以下の理由を挙げて「申立却下」を求めています。
その理由への反論を7月5日までに裁判所に提出することになります。
- 行政訴訟法44条で「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができない。」とされている。「石木ダム事業は長崎県と佐世保市の事業=公権力の行使にあたる行為」であるから、差止仮処分はできない。
- 「差止によって保全されるという権利」について、
①私法上の権利と言えない、
②具体的な権利侵害事実もない,
③保全の必要性もない
上記に対する弁護団の考え方は、簡単に記すと以下のようになるとのことです。
≪弁護団の説明≫
1 今回の差止の対象は公権力の行使としての事業認定処分それ自体ではなく,事実行為としての工事それ自体であるから,行政事件訴訟法44条に抵触するものではない。
2 裁判所は,①私法上の権利性・②権利侵害性については特に詳細な反論を求めなかったことに照らせば,長崎県,佐世保市が主張する権利侵害がないとの部分に理由がないことが明らか。③保全の必要性は今工事を止める必要があるか否かという問題です。
いつ工事が再開されてもおかしくない状況(法律上の障害はない)である以上,保全の必要性があることもまた明らか。
但し,工事の特定との関係でいつ再開・着工されてもおかしくない工事がどの工事であるかという特定の問題は残るため,この点については債務者からの情報提供を待った上で特定していくことになる。
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