3証人尋問終える。 (石木ダム事業認定取消訴訟)
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石木ダム事業認定取消訴訟 証人尋問報告
大まかな経過
石木ダム事業認定取消し訴訟は 9 月 4 日の第 8 回口頭弁論で、治水・利水面から見た石木ダムの必要性についての原告・被告双方の主張が一通り終えたとし、起業者である長崎県(治水面)、佐世保市(利水面)の担当者と、事業認定審査過程 で石木ダムの水源開発を是とする意見書を 提出した 2 名の学識経験者に対する証人尋 問の準備を進めることになりました。
10 月 31 日の第 9 回口頭弁論で、具体的 な証人尋問日程が決まりました。
- 12 月 5 日
長崎県治水担当者 長崎県土木部 河川課 浦瀬俊郎企画官 - 12 月 25 日
佐世保市利水担当者 田中英隆氏 - 2018 年 1 月 9 日
利水意見提出者;首都大学東京特任教授 小泉 明 氏 長崎地裁での尋問は拒否。
首都大学東京南大沢キャンパスで出張尋問 - もう一人の利水意見提出者、東京大学教授 滝沢 智氏、証人尋問出席拒否。
長崎県治水担当者・長崎県土木部河川課 浦瀬俊郎企画官 尋問
12 月 5 日 13 時半~17 時:長崎地方裁判所にて
①計画規模1/100年としたことについて(田篭弁護士担当)、②計画規模1/100年の基本高水流量を 1,400m³/秒としたことについて(緒方弁護士担当)、③石木ダムがあることによる治水上のメリットの有無について(平山弁護士担当)、 などを質しました。
回答
- 昭和33年までが既往最大値として昭和31年洪水を採用
- 昭和50年に既往最大値から超過確率に替えた。費用対効果と妥当投資額から、 超過確率1/100年の洪水とした。
- 平成17年に超過確率1/100年を確認した。
- 1/100は、長崎県が平成11年に策定したルールに従った。
- 昭和50年当時の河道の想定氾濫面積内について諸項目を評価した結果、1/100であることを確認した。
- 山道橋地点の計画高水流量(1130㎥/秒)は、1020㎥/秒(当時の流下能力)~基本高水流量1320㎥/秒(野々川ダム調節後)のなかでの一番事業費が少 なくなる組み合わせを選んだ結果、1130㎥/秒とした。
- (平成17年の川棚川水系河川整備基本方針は)昭和33年から進め
てきた「ダ ムと河道の組み合わせによる治水」を基本にしている(=治水目標規模1/100 年)。
まとめ
2009 年の河川法改正でこれまでの工事実施基本計画を河川整備基本方針と河川整備計画に分離して策定することになりましたが、長崎県は「川棚川の治水は昭和 33年から進めてきた『ダムと河道の
組み合わせによる治水』を基本にしている」として昭和 50 年に決めた計画規模 1/100 年を科学的に見直すことはしていないことが 分かりました。これまで何度か見直しの機会があったもの、「石木ダムありき」でしかなかったことが確認できました。
尋問調書(裁判所作成議事録)と修正上申書
証人調書・浦瀬俊郎氏(2017.12.5)
国上申書(浦瀬証人 修正)
佐世保市利水担当者 田中英隆氏 尋問
12 月 25 日 10 時~17 時:長崎地方裁判所にて
- 水需要予測の生活用水関係(八木弁護士担当)、業務営業用水関係(毛利弁護士)、負荷率・不安定水源(高橋弁護士担当)について質しました。
- 佐世保市の水需要予測策定経過について実態を明らかにするうえで極めて重要な証 人尋問であるという期待を原告・代理人・支援者は抱きましたが、質問に対する証 の回答は、知らない、覚えていない、記憶にない、の連続でした。
- 慣行水利権を認可水源として申請することも、慣行水利権を許可水利権に切り替え ることも検討したことがないと証言しました。
- 佐世保市が不安定水源としてゼロ評価している相浦川の慣行水利権水源について、 当方は 2007 年度渇水において
「安定水源」以上に安定取水できていたことを示したうえで、「取水が安定していなかったとデータ で示せるのか?」 と質したところ、「わからない」 とと答える始末でした。下の新聞 記事を参照ください。
佐世保市水道が求める「石木ダ ムの水源確保」 も、治水と同様、「石木ダムあり き」であること を明白にすることができました。
尋問調書(裁判所作成議事録)と修正上申書
証人調書・田中英隆氏(2017.12.25)
国上申書(田中証人 修正)
利水意見書提出者;小泉 明・ 首都大学東京特任教授 尋問
2018 年 1 月 9 日 11 時~13 時半 首都大学東京 南大沢キャンパスにて
長崎地方裁判所から裁判官 3 名と書記官 1 名、原告側から代理人 4 名・水没予定地居住原告 4 名・そのほか原告 2 名計 10 名、被告側 8 名による、小泉 明氏への証人尋問でした。 高橋弁護士が尋問の目的を明らかにした上で、水需要予測の生活用水関係(八木弁護士担当)、業務営業用水関係(毛利弁護士)、負荷率関係(高橋弁護士担当)について質しました。
- 自分に求められた役割は需要予測の手法が妥当かどうかであり、それを判断したに過ぎない。
- そのやり方で出てきた数値には関知しない。
として、各論の具体的な内容についての尋問への回答は事実上拒否したのです。
そして、
- 余裕をもって予測することは必要。水が足りないと佐世保市の経済は発展しないのだから。
と持論を展開。
高橋弁護士から、
- 「経済発展のためには、より多くの水があった方がいい。そのためにダムを造りましょうと言われる。しかし、そこに住んでいる13 世帯の人たちを追い出して…というのは少し乱暴ではありませんか?」、
と問われると、
やや時を置いて、
- 「まあ、そうですね。」
との回答でした。
長崎県や佐世保市が、「自分たちの主張は有識者から同意を得ている」として権威づけているものの、その実態は全く中身のないものであることを実証できました。
尋問調書(裁判所作成議事録)と修正上申書
証人調書(小泉 明氏 2018.1.9)
国上申書(小泉証人 修正)
参照ください。
◎ 石木ダム訴訟関係はこちらもどうぞ
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