差止請求権、覚書と人格権侵害 (石木ダム工事差止訴訟)
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第4回石木ダム工事差止訴訟口頭弁論報告
2018年1月22日16時から長崎地方裁判所佐世保支部401号法廷にて、第4回石木ダム工事差止訴訟口頭弁論が持たれました。
いつものように門前集会、法廷傍聴、裁判報告会と進みました。
法廷では、今強行されている工事と今後予想される工事の進行を差し止める権利について原告側が主張するとともに、その主張を記した準備書面2通を提出しました。
原告側提出書面
1972年に川棚町長立会いの下で長崎県知事と水没予定地区3総代の間で交わされた覚書が現在も有効であることの説明です。その趣旨を魚住昭三弁護士が口頭説明しました。
「川原郷は、いわゆる「権利能力なき社団」(法人格を持たない団体)に該当する。郷には代表者としての総代がいて、団体としての組織を備えている。転出者や転入者がいても、川原郷自体は変わらず存続してきたから。『権利能力なき社団』であれば、郷の代表者=総代が県と交わした覚書の効力は他の住民やその後の住民にも及ぶこととなる」
よって、
「『乙(長崎県)が調査の結果、建設の必要が生じたときは、改めて甲(3つの郷)と協議の上、書面による同意を受けた後着手するものとする』の有効性は現在も引き継がれている」
という主張です。
長崎県はこの覚書について、「甲に該当する全員からの同意が必要とは解釈できない。多くの該当者が移転に同意して移転していることから事実上問題ない」とも主張していますが、この覚書にある「甲と乙による協議の上、書面による同意」が諮られたことは一度もありません。長崎県による工事強硬はこの覚書違反であることは明らかです。
被告側が、疑義を示している、「『工事を差し止める権利』として『人格権』が認められるか否か」の問題です。その主張要旨を平山博久弁護士が口頭説明しました。
- 4件の判例を示し、「人格権、とりわけ、生命身体や健康を守り、生活を営むという権利は、人間の根幹にかかわる権利として法律上の保護を受け、それが侵害された際には当然に差止が認められるとの理論が確立している」
- こうばるで生活する原告らの、こうばるに住み続ける権利、これまで連綿と続いて来た平穏な生活を続ける権利に対する侵害に対して「石木ダム事業は事業認定がなされているから、受忍限度を超えた違法な侵害など存在しない」としているが、ただ事業認定を受けているからという理由のみで侵害の違法性がないこととなるはずはない。
- ダムの必要性がないことについて、別訴で長崎県および佐世保市の担当者の尋問および専門家の尋問を行った結果、一層明らかになっている。
- 必要性について真摯かつ適切な説明をしないことや、覚書に反して工事を進めるなど、その工事の進め方の状況のみをみても、侵害の態様が極めて悪質である。
まとめ
「土地収用法を適用しているのだから、損失補償は保証されている。必要性も認められている。原告の言う権利侵害はありえない」という被告側の主張があまりにも人格権を無視したものであることを広く伝えていきましょう。
参照ください。
石木川まもり隊HP
川原郷は「権利能力無き社団」
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