3月20日、石木ダム事業認定取消訴訟が結審しました。
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1. 判決は7月9日 15時からです。
2013年12月5日に弁護団が発足してから石木ダム事業認定取消訴訟結審まで4年が経過しました。
弁護団皆さんの4年越しの大変なご苦労のおかげで、起業者・長崎県と佐世保市が石木ダムを必要としている根拠の欺瞞性を見事に解き明かすと共に、こうばる13世帯の皆さんが「ここに住み続けたいだけ!」と言われていることこそ何事にも代えることができない価値を持っていることを裁判所に示すことができました。
裁判所は石木ダム事業認定の違法性を確信できたことでしょう。
7月9日に私たちが勝訴判決を勝ち取ろうと、起業者が13世帯排除を断念せずに、控訴審すればダム事業は続きます。勝訴しても、万が一にも敗訴しても、石木ダム中止を実現させるのは私たちにかかっていることを3月20日の裁判報告会で確認しました。
現在の諸状況の中で、事業認定取消訴訟で裁判所が「事業認定を取消す」と判決を下すのはそう簡単なことではありません。世論の後押しが必要です。
裁判所へ私たちの思いを届ける、一人でも多くの声を裁判所に届ける。起業者・長崎県と佐世保市に収用・明渡裁決申請を断念させる、石木ダム事業を断念させる。この両面の働きかけについて、近日中に皆様へ具体的なお願いをさせていただくことになります。その際は、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
2. 3月20日裁判の報告
14時少し前に開廷、2分間報道写真・ビデオ撮り、原告・被告双方から裁判所に提出された書類の確認、原告本人陳述、代理人(弁護士)陳述、結審宣言、判決日言い渡し、閉廷 と進行しました。
1) 原告本人陳述
岩下和雄原告と岩本宏之原告がそれぞれの思いを裁判所に訴えました。その要約を記します。
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岩下和雄原告
- 半世紀近く前の1970年ころに計画されたダム私達の生活を奪い自然を破壊し,住み慣れた故郷まで犠牲にしても石木ダムは必要なのでしょうか。
- 利水のみでは,建設費が受益者である佐世保市民のみの負担となりますので,川棚川の治水も含め負担金を減らすために多目的ダムとして建設することになりました。治水は付け足しです。
- 現在では一日最大80,000㎥を切っています。当初の予測である161,400m³/日から見れば,80,000m³/日以上も予測ははずれています。石木ダムの必要はなくなっています。
- 佐世保市の棧市長が退任するとき、「石木ダム以外の独自の取水計画を進めていたが,長崎県から反対されてどうにもできなかった。あの時反対を推し進めていたら今回のような大事にはならなかっただろう。すまなかった」と言われました。
- 2004年,一日の取水能力111,000㎥を,安定水源と不安定水源に分けました。安定水源の77,000㎥だけを取水可能な水源とごまかし,ダム完成年度の需要である117,000㎥に40,000㎥足りないとしました。その40,000㎥は石木ダムで補うと,完全な子供だましの数字合わせをしたのです。
- 長崎県職員の頭は、私たち川原のみんなが,先祖代々の生活を営み,ダム建設によって生活,ふるさと,人生,思い出がダムの底に沈められることに思いを馳せることには使われていません。
- 2014年7月,こうばる公民館で行われた説明会の場で,佐世保市の朝長市長が「佐世保市民の豊かな生活の為,有り余る水を確保する必要があります。だから石木ダムは必要不可欠なのです。」と私たちに犠牲を強いています。
- 長崎県は,「地権者と話合いの場を持つ為」と事業認定申請を行いました。
- 長崎県や佐世保市が本当に石木ダムを必要とするなら,「意見の相違」と話合いを拒否するのではなく,私達と真摯に向かい合い,私達の理解が得られるよう,とことん説明し,同意が得られるよう努力するべきです。
- 説明ができず,私達の同意が得られなければ,ダム建設の必要性について見直しを行い,ダム建設中止という当たり前の決断をすべきです。
- 私達はいつまでダム問題に翻弄され苦しみ続けなければならないのでしょう。老い先短い人生です。一日も早くダム問題から解放され,楽しい老後を過ごせる生活を取り戻したい。
- 裁判所にはダムは必要ないとのご判断をお願いしたいと思います。
- 半世紀近く前の1970年ころに計画されたダム私達の生活を奪い自然を破壊し,住み慣れた故郷まで犠牲にしても石木ダムは必要なのでしょうか。
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岩本宏之原告
- 私の集落は、戦時中、国が海軍工廠を造るため多くの農地が強制 収用されました。中には家屋を移転させられた世帯もありました。 それでも私の家族は建物には住み続けることができました。
- 工廠跡の敷地が厚いコンクリート張りだったので、返還後、汗水垂らし何ヶ月もかけて、家族ぐるみで農地に復旧する作業をしました。
- 今度のダム事業により再び強制収用されようとしています。一度,収用されてしまうと,二度と払い下げられることはなく,ダムの底に沈んでしまうこととなるのです。
- 私達は、これまで住んできた土地や建物を明け渡す考えは毛頭ありません。今まで通り農地を耕作し、自分の家に住み続けるつもりであることを改めてここで宣言します。
- 私は,昭和46年の予備調査の説明会で石木ダムの問題を知ることとなりました。
- 説明会の中で住民から、「石木ダムは、なぜ多目的ダムにするのですか。」と質問をしたことがありました。これに対して県は「利水ダムだけでなく、治水を加えて多目的ダムにした方が国から補助金が多く貰えるからです。」と回答しました。
- ダムを造ること自体が目的のダムであり,また,補助金をもらう為に数字を操作して色々な目的を付け加 えて事業認定申請をした事業であることは明らかなのです。
- 石木ダムを造るには、13 世帯の家屋を強制的に取り壊し,私たち住民を追い出さなければなりません。
- 前代未聞の大規模な行政代執行をしなければならないのです。 そして,行政代執行が実施されれば、昭和57年の強制測量時以上の悲劇が繰り返され、全国的大ニュースとなり国民の大きな非難を浴び、長崎県政の歴史に大きな禍根を残すことになるでしょう。
- 私たちは長年, 石木ダムの翻弄された人生を繰り返してきまし た。
- この問題は私たちの代で終わらせて,次の世代に安心してこうばるで暮らすことができる機会を与えてあげてください。
- また, 私達の残り少ない人生をダム問題から解放された状態で 有意義に過ごすことが出来るよう、私達を自由の身にしてください。
- それを実現するためには, 事業認定を取り消すという方法しかありません。
- 私の集落は、戦時中、国が海軍工廠を造るため多くの農地が強制 収用されました。中には家屋を移転させられた世帯もありました。 それでも私の家族は建物には住み続けることができました。
2) 代理人陳述
板井優弁護士(平山博久弁護士代読)、毛利倫弁護士、馬奈木弁護士が結審にあって裁判所に訴えかけました。その要約を記します。
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板 井 優 代理人(平山博久弁護士代読) 裁判所に取り消し判決をだして頂ければ、私達が石木ダム建設計画事業を直ちに無いものとするよう力一杯努力いたします。
約 50 年前から川棚川の支流に過ぎない石木川にダムを造る計画があり、水没予定地の住民たちの激しい反発と闘いを招いてきました。
- 現在に至るも 13 世帯の約 60 人の人々が水没予定地にて生業(なりわい)を営み生計を立てて来ています。これらの人々は、先祖から守り継がれ、語り伝えられてきた生活を維持しこれを子孫に伝えようとするわが国では外に例を見ないほどの敬虔な人々であります。
- 法治国家のわが国あっては、この裁判所以外に水没予定地 に住む 13 世帯の住民たちを助けることは出来ません。裁判所におかれてはこのことを十分にご理解いただき公正な判決をなさるよう心より願うものです。
- 治水とは簡単に言うと大雨が降っても河川が氾濫して洪水が起きないようにすることです。
- 長崎県は河川改修をして、少なくともその結果。「従来の降雨では洪水は起きない」ということを長崎県は認めています。
- 長崎県は、雨の降り方を「理論的」に検討してみると100 年に一度の洪水に対処できないということを持ちだし、そのためにはダムとセットでなければ治水安全度は確保できないと言います。
- これは、二つの点で問題があります。一つは、現実に雨が降った事実を問題にせず観念的な雨の降り方を問題にしている事であり、もう一つはダムがなければ治水安全度は維持できないという考えであります。このダムと河川とのセット論は国交省の謳い文句ですらあります。
- 利水目的最大の矛盾は、一方で人口が大幅に減るのに、他方で水需要が大幅に増えるという考えです。これは明らかに両立しません。
- その矛盾を解消するために、様々なテクニックを用いて水需要が増えるという小理屈を作り出しているのです。そのために、佐世保市の水道代が大幅に値上がりをします。
- この二つの目的の根底には、「始めにダムありき」という言葉が潜んでいます。
- こうしたダムはどうなるのでしょうか。 中部地方の岐阜県揖斐郡の揖斐川水系に徳山ダムという有名なダムがあります。ダムは出来ましたが、付近の自治体が需要が少なくなったとして水を買ってくれないのです。
- 徳山ダムでは周辺の自治体はいわゆるダムの水の「顧客」でしたが、石木ダムの利水問題では、佐世保市は顧客ではなく、「起業者」なのです。徳山ダムのような顧客の水需要を予測するのは難しいという論理は成立しません。
- ダムは事前に想定された大雨には治水安全度が確保されます。しかし、想定外の大雨には対応できません。
- ダムは、いつも山間部に作るのではなく、人々が暮らす里にも造られます。山間部と違い里に出来るダムは自然環境や人間の生業をより大きく破壊します。
- 今、石木川の自然を守れという長崎県内の世論が大きく広がっています。
- 特に、川棚町では毎月 1 回各地区で学習会をして、最近では 1000 人弱の映画会 も行われました。
- パタゴニア日本支社は、石木ダムに反対する住民の意思を表すアンケート(対象県民 2500 人中 73%がダムの必要性に対する県の説明が「不十分」と回答)の結果を公表しています。
- 故原田正純医師は「(水俣病解決は)水俣病を見たものの責任」ということを私たちに訴えました。石木ダム問題を知った裁判所は行政の行き過ぎを規制してください。
- この裁判所に取り消し判決をだして頂ければ、私達が石木ダム建設計画事業を直ちに無いものとするよう力一杯努力いたします。それが、判決を出して頂いた裁判所の努力に報いる道であり、この事件に関与した者としての責任だと思うからです。
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毛 利 倫代理人 利水面,治水面,石木ダムの具体的な必要性は全く存在しません。
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- 私たちは,3年前の11月の提訴時以来,利水面,治水面, いずれにおいても石木ダムの具体的な必要性は,全く存在しないことを繰り返し主張してきました。
- 昨年12月と今年1月の計3日にわたり実施した3人の証人尋問によって,そのことが,さらに一層明確になったと確信しております。
- 佐世保市が主張する石木ダムの必要性とは,①平成24年度の水需要予測により,将来的に水需要が大幅に増えること,しかし,②現在の佐世保市の保有水源ではその需要をまかなうことができないという2点に尽きます。
- 佐世保市の過去6回の水需要予測においては,毎回,需要予測の手法や数値がころころ変わり,そこに論理的一貫性や整合性は全くなく,いつの時代の水需要予測においても,その当時の石木ダムの計画規模に見合う水の供給量が必ず不足するという結果になっていること,そして, いつの時代の水需要予測も,その後の実績値と大きくかけ離れた過大な需要予測であることが共通しています。
- 佐世保市の平成24年度予測は,生活用水,業務営業用水,工場用水の用途別 予測,また,負荷率や安全率の設定,いずれもが,何らの客観的根拠に基づかない不合理極まりない数値を採用しています。石木ダム建設の必要性を捻出するという結論ありきのでたらめなものであることがはっきりしました。
- 以下、利水に関する各論部分はリンク資料をご覧ください。
- 治水面は、100年に一度の頻度で生じる,僅か1時間に満たない時間帯にて,堤防高ではなく計画高水位を僅かに超える水位となることを防ぐためにのみ石木ダムが必要だとされているのです。
- 以下、治水に関する各論部分はリンク資料をご覧ください。
- 石木ダムの必要性とは,水はたくさんあればそのほうがいい,防災対策はあるにこしたことはない、というレベルにすぎないのです。
- 具体的な必要性もないのに,13世帯の地権者を強制的に排除してまで,不要な石木ダムを建設するなどあり得ないことであり,また多くの長崎県民,佐世保市民も,そのような暴挙を望んではいません。
- この違法不要なダム建設事業の事業認定を取り消すことは裁判所の責務です。
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馬奈木昭夫代理人 事実をありのまま見て下さい
- 現実には 裁判所が実際に「合理的な裁量」か否かの検討を行う際に、具体的な事実について、とりわけ事業の必要性判断の根拠となる各種の具体的な予測の数字について、合理的な予測か否かの厳格な判断を行わず、この判断に際しても「現状を踏まえた、地方公共団体の長による総合的な政策判断として行われるものであり、広範な裁量に委ねられるべきものと解される」などという判断が示されるということがあります。
- 「 行政の広範な裁量権」という言葉だけが、勝手に独り歩きし、本来科学的な判断であるべきどの予測の数字が、「合理的な予測か否か」についての判断までが、裁量という言葉のなかでどこかに消えてしまう危険性が存している、ということなのです。
- 本件は、最初の計画時点から長期間が経過することによって、行政 が行った各種の予測の数字が、いかに現実に生じている実績値とかけ離れた現実離れした妄想とも言うべき数字に過ぎなかったことが明らかになっています。すなわち、まったく合理性を欠いた誤りの数値であり、とうてい「広範な裁量の範囲」などと言う「言葉」で許されるものではなかったということが自明です。
- 事実をありのままに認定したうえで、文字どおり「専門的かつ政策的な」合理性に基づく、予測の数字であるかどうかの事実判断を示していただきたいと願っています。
- さらに、現時点でも、現地で毎日生活している原告たちが、本件事業によって奪われてしまうものが一体何なのか、ということも、澄んだ目で見つめて欲しいと願っています。
- これまで数千年にわたって現地の地面の 隅々に至るまで刻み込まれている、父祖伝来の「農耕」「文化」「行事」、 あるいは、人々の「喜怒哀楽」などなど、そのすべてが失われ、奪われてしまい二度と回復できません。
- 今、笑顔で地面を駆け回っている子や孫たちの姿が、さらにこれからも当然のこととして何世代にもわたって引き継 がれていくことに、何の疑問も持っていなかった原告たちの当たり前の生活が、突然行政の手によって、一方的に強権的に奪い取られてしまうこと に対する強い疑問を原告たちが抱いているのは、あまりにも当然のことです。
- 「このように人格を維持、形成し、陶冶するという利益は、従前属していた包括生活基盤において継続的かつ安定的に生活する利益であり、いわゆる包括生活基盤に関する利益として、人間の人格にかかわるものであるから、憲法 13条に根拠を有する人格的利益である」 と判断したのです( 東京地方裁判所平成 30 年 2 月 7日判決)。
- 原告たちが二 度と回復することができない立退きを強制されるという点において、現地に居住する原告たちの「人としての尊厳」、「そこに生活する権利」が決して単なる「財産権」に過ぎない、などと評価してはならない。
- 本件事業は、行政の「裁量権」の範囲を超えています。御庁裁 判所が今回下す判断によって、この原告たちが先祖から受け継ぎ、将来へ の子、孫たち に引継いでいくべき生活をはじめて守ることができるのだと いうことを、充分配慮していただけるよう再度切望するものです。
- 現実には 裁判所が実際に「合理的な裁量」か否かの検討を行う際に、具体的な事実について、とりわけ事業の必要性判断の根拠となる各種の具体的な予測の数字について、合理的な予測か否かの厳格な判断を行わず、この判断に際しても「現状を踏まえた、地方公共団体の長による総合的な政策判断として行われるものであり、広範な裁量に委ねられるべきものと解される」などという判断が示されるということがあります。
3) 裁判所に提出された書類
原告からは原告・代理人陳述書と最終準備書面2通(第12準備書面 利水、と、第13準備書面 治水)、被告からは最終準備書面1通が提出されました。
原告側
- 意見陳述書 目次中の希望事項をクリックしてください。
- 利水最終J12 HP用
- 治水最終J13 HP用
被告側
4)マスコミ報道
テレビ長崎 動画
東彼・川棚町の石木ダム建設をめぐり、予定地の住民たちが、国に対して、土地の強制収用を可能にした事業認定を取り消すよう求めている裁判が、20日、結審しました。
国に石木ダムの事業認定の取り消しを求めているのは、ダム建設予定地で暮らす13世帯の住民などです。
石木ダムは、佐世保市の水不足対策と、川棚川の氾濫対策を目的に、県や佐世保市が川棚町で関連工事を進めています。
裁判で、国側は「石木ダムは、洪水調節効果と、流水の正常な機能の維持のため必要で有効」と、主張してきました。
これに対し住民らは、国の事業認定の根拠となった佐世保市の水需要予測について、具体的な裏づけをとらずに、勝手に推計した机上の計算だと訴えました。
地権者 岩下和雄さん「本当に必要ないダムを、なんで私たちが犠牲になってまで、ダムを作らなければならないのかと思っている」
馬奈木明雄弁護士「(政策)判断をする際に、前提となる資料を好き勝手に数字を選んでいいということではない。合理性ということを、まともに日本語として解釈したら、到底この事業を認めることはできないと確信しております」
判決は、7月9日に言い渡されます。
石木ダム訴訟 7月に判決へ
(NHK 2018年03月20日 17時58分) https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20180320/5030000175.html
長崎県と佐世保市が川棚町に建設を進めている石木ダムについて、建設に反対する地権者などが国に事業認定の取り消しを求めている裁判は20日、審理がすべて終わりました。
判決は、ことし7月9日に言い渡される予定です。
石木ダムは、県と佐世保市が水道水の確保や洪水対策を目的に285億円をかけて川棚町に建設を進めているダムで、3年前、反対する地権者など100人あまりが、「ふるさとが奪われる」などと国に事業認定の取り消しを求める訴えを長崎地方裁判所に起こしました。
20日の裁判で、地権者側と国側の双方が最終的な意見をまとめた書面を提出しました。
この中で、地権者側は「ダムの必要性の根拠とされる水需要の予測は、結論ありきのもので、治水対策も形式的に数字合わせを行っただけだ」と指摘したうえで、「地権者を強制的に排除してまで不要なダムを建設するなどあり得ないことだ」として、改めて事業認定の取り消しを訴えました。
一方、国側は「水需要の予測は、佐世保市の特性などを考慮して適正な手法で合理的に行われ、治水計画も流域の地形や災害の特性から適正に行われている。石木ダムは、必要かつ有効なものであって、得られる公共の利益は極めて大きい」と主張しました。
裁判は20日ですべての審理が終わり、判決は、ことし7月9日に言い渡される予定です。
石木ダム事業取り消し訴訟 結審、7月9日判決 長崎地裁
(長崎新聞 2018/3/21 10:06 ) https://this.kiji.is/348996519187989601
県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業の反対地権者109人が国に事業認定取り消しを求めた行政訴訟の口頭弁論が20日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)であり、原告側は「(予定地に残る)13世帯を強制的に排除してまで不要なダムを建設することはありえない」とあらためて主張し、結審した。判決は7月9日。
原告側の住民と代理人弁護士の計5人が意見陳述した。岩下和雄さん(70)は「県や市がダムを必要とするなら、話し合いを拒否するのではなく、私たちと真摯(しんし)に向き合い、同意が得られるよう努力すべき」と指摘。「いつまでダム問題に翻弄(ほんろう)され、苦しみ続けなければいけないのでしょうか。一日も早く問題から解放されたい」と声を詰まらせながら語った。
岩本宏之さん(73)も「この問題を私たちの世代で終わらせ、次の世代が安心して暮らすことができる機会をください」と訴えた。
同事業は、2013年9月に国が事業認定を告示。それに基づき15年8月、県が地権者の農地の一部を強制収用した。これを受け反対派は同年11月、事業認定の取り消しを求め提訴していた。
石木ダム訴訟 結審 7月9日判決 地権者から非難の声 長崎地裁 /長崎
(毎日新聞長崎版 2018年3月21日) https://mainichi.jp/articles/20180321/ddl/k42/040/286000c
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業で、反対地権者ら109人が国を相手取って事業認定の取り消しを求めた訴訟の口頭弁論が20日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)であり、双方が最終準備書面を提出して結審した。
判決は7月9日。
地権者側は準備書面で「治水、利水面共にダムが必要ないことは明らかで、水没予定地に住む13世帯の人権を著しく侵害している」と改めて主張。
国側は「ダムは利水及び治水の観点からみて、必要かつ有効で、事業で得られる利益は大きく、失われる利益より優越している。事業認定は適法で、請求は棄却されるべきだ」と主張した。
また、地権者の一人、岩下和雄さん(70)らが意見陳述し「ダム計画が持ち上がって50年あまり、人生の大半をダム問題に翻弄(ほんろう)されてきた。一日も早くダム問題から解放されたい」と訴えた。【浅野孝仁】
石木ダム訴訟 判決7月9日 地裁で結審
(朝日新聞長崎版 2018年3月21日)
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石木ダム訴訟結審 7月9日判決
(読売新聞長崎版 2018年3月21日)
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、反対する地権者らが国に事業認定の取り消しを求めた訴訟の口頭弁論が20日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)であり、結審した。
判決は7月9日。
この目は地権者ら5人が意見陳述を行い、地権者の岩下和雄さん(70)は「人生の大半をダム問題に翻弄されてきた。私たちの生活を奪い、故郷を犠牲にしてまで石木ダムは必要なのか」
と声を震わせながら訴えた。
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