石木ダム水没予定地(長崎)の日常 山田監督「住民の思い伝えたい」
石木ダム予定地の川原(こうばる)地区に暮らす住民を追ったドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」が各地で上映されてきています。その上映についての記事を掲載します。
東京では渋谷のユーロスペースhttp://www.eurospace.co.jp/ (03-3461-0211)で7月7日(土)から上映されます(上映時間はまだ決まっていないとのことです)。
佐賀)ダム予定地描いた映画上映 反対集落、笑顔の日常
(朝日新聞佐賀版2018年6月10日)
ドキュメンタリー映画
石木ダム水没予定地(長崎)の日常 山田監督「住民の思い伝えたい」 /熊本
(毎日新聞熊本版2018年6月9日)https://mainichi.jp/articles/20180609/ddl/k43/040/455000c
鹿児島(9~15日)、熊本(23~29日)で上映へ
長崎県と同県佐世保市が進める石木ダム事業(同県川棚町)に反対する水没予定地の住民13世帯の日常を撮ったドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」が鹿児島、熊本両県で上映される。メガホンを執った山田英治監督(49)=東京都=は「豊かな自然に囲まれた里山の春夏秋冬を通して、美しい古里を守ろうとする住民の思いを知ってほしい」と呼びかける。【田中韻】
石木ダム事業は長崎県が1972年に予備調査を始め、82年に機動隊を動員して強制測量したことから地権者との対立が深刻化した。現在は水没予定地の川原(こうばる)地区に13世帯が住む。
山田監督は今春まで大手広告代理店のCMプランナーを務め、過去には原発をPRする東京電力のキャンペーン広告なども手がけた。
しかし、2011年の東日本大震災や東電福島第1原発の事故に衝撃を受け、社会問題に取り組むNPO法人「Better than today(ベター・ザン・トゥデイ)」を設立した。
知人の紹介で川原を訪れたのは15年春。その年の秋から1年かけて川原に通い、13世帯約50人の暮らしや子供たちの成長、花鳥風月などを撮影した。
当初はダム建設に反対する住民らを「過激で怖い人たちかも」と身構えていたという山田監督。しかし、会ってみると誰もが温和で朗らかで、たちまち魅了された。「この人たちの暮らしを知ってほしい」。東京に帰る機中で一気に映画の企画書を仕上げた。
撮影中、老いた住民が「人生のほとんどがダム反対運動だった。いつまで続けなくてはいけないのか」と漏らした一言が胸に刺さった。ダム計画のために地域は分断され、多くの住民が古里を去らなければならなかった。
山田監督は今春、広告代理店を退職。これからのクリエーター人生を通じて社会問題を啓発していきたいという。「川原の人たちは不条理に古里を奪われようとしている。そのことを伝えるのは自分の役目です」
上映は鹿児島市のガーデンズシネマ(099・222・8746)で9~15日、熊本市中央区のDenkikan(096・352・2121)で23日~29日。
________________________________________
■ことば
石木ダム
洪水対策や長崎県佐世保市への水道用水供給が目的。総貯水量約548万トン。水没予定地には13世帯が住んでおり、農地や宅地など約15万平方メートルが未買収。建設差し止め訴訟で地権者側は「ダムは治水・利水面ともに必要ない」と主張している。県は土地を強制収用するため、県収用委員会に裁決申請し審理中。
「ほたるの川のまもりびと」 長崎・石木ダム水没予定地の住民ドキュメンタリー 来月「東田シネマ」で上映 /福岡
(毎日新聞北九州版 2018年6月8日)https://mainichi.jp/articles/20180608/ddl/k40/200/340000c
里山や人柄の良さ発信
長崎県と佐世保市が同県川棚町に計画する石木ダムで、水没予定の川原(こうばる)地区に暮らす住民を追ったドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」(2017年)が7月27~29日、八幡東区東田の北九州市環境ミュージアムで上映される。山田英治監督(49)が北九州入りし、作品に込めた思いを語った。【長谷川容子】
山田監督は博報堂の元CMプランナー。東日本大震災を機に、企業より社会の課題解決に目が向き始め、50年近く議論になっている石木ダム事業のことを知ったという。「現地に足を運ぶと、家の中にホタルが飛び込んでくる豊かな自然環境と大家族のような社会があった。未来のヒントになる地域が失われるのは不条理だと思った」。会社員との二足のわらじで、休みのたびに現地へ足を運び、1年かけて撮影。製作費はインターネットを通じて資金を募るクラウドファンディングで集めた。
カメラは地区の13世帯の生活を淡々と映し出す。「ダム問題を糾弾する視点で描く方法もあるが、ぼくは里山の良さやそこにある暮らしのすてきさ、住民の人柄を前面に出す方が共感を得られるのではないかと思った」と山田監督。バリケード前の座り込みなど、暮らしを守るための闘いもあるが、人々の明るい表情が印象的だ。「お母さんたちは『つらいよ』と言いながらも、みな元気でエネルギッシュ。前向きに楽しくやらないと続かないと奮い立たせているんだと思う」と語る。
3月末に退職し、株式会社「社会の広告社」を設立した。「僕の発想の軸足は今も広告戦略にある。世の中が目を背けがちな社会的な課題を、より軽やかな楽しい方法で誰もが語れるよう問題提起していきたい」と話す。
上映は、館内のドームシアターを利用する「東田シネマ」の月例会で、各日(1)午前10時半(2)午後1時(3)同3時半(4)同6時--の4回。連携する北九州市立大の「北方シネマ」でも8月10日午後6時半に上映する。
〔北九州版〕
コメントを残す