2018年東京行動の帰結(石木ダム)
経過
2018年7月9日、「石木ダム事業認定取消訴訟」に関して、「原告の主張は、被告認定庁の裁量権の範囲を逸脱するものではない」を基調とした原告敗訴の不当判決を長崎地方裁判所が下しました。
2018年7月18日ヒアリング
7月18日には、こうばる現地の地権者・居住者支援者、弁護団、原告団事務局の合計12名の皆さんが九州から上京し、「公共事業チェック議員の会」による「石木ダム事業認定の総元締めである国土交通省土地収用管理室、石木ダム事業費の一部を補助している国土交通省治水課と厚生労働省水道課からのヒアリング」の場で、石木ダムの必要性は全くないことを説明し、石木ダム事業中止に向けて舵を切り替えるよう訴えました。併せて、報告と連帯を目的に、16 時から院内集会を持ちました。 詳しくは、「石木ダム中止実現を目指す東京行動」報告を参照願います。
2019年2月7日ヒアリング
7月18日の国側担当者からの説明者との意見交換で不十分であった事項について、「公共事業チェック議員の会」による再度のヒアリングが2019年2月7日に開催されました。詳しくは「 2月7日14時から 国交省・厚労省へのヒアリング 予告と報告 石木ダム関係 」を参照願います。
2月7日ヒアリングの回答も形式論・手続き論に終始し、「虚偽で固められた石木ダムの必要性」「そのような石木ダムによって失われようとしている13世帯の生活と自然」「そのような愚行によって与えてしまう後世皆さんの財政負担」などの問題に直面している様子は微塵にもうかがい知ることはできませんでした。
2017年度は、佐世保市が 2012年度 に「石木ダムへの水源開発事業」の5年ごとの評価で「石木ダムへの水源開発事業は必要」とし、それを受けた厚生労働省が「水道事業としての水源開発事業」として補助事業採択継続を決定してから5年後の年に当たります。誰が見ても石木ダムは本体工事に着手していないのですから、2017年度には5年ごとの再評価が必要です。
しかし佐世保市と厚労省水道課は、「2012年度再評価は本体等工事の着手前評価」であるから10年間は再評価の必要はない。 2012年度再評価 から今日に至るも、実績値は予測値を下回るのは当然なので、再評価を必要とする状況下にはない」として、次の再評価は「2012年度の10年後にあたる2022年度」としています。更に、再評価では強制収用は評価事項の対象外としています。「本体等工事の着手前評価」というのであれば、「強制収用してまで行う価値と緊急性のある事業なのか?」という視点での評価がなされていなければ、まったく意味がありません。
「2012年度再評価は本体等工事の着手前評価」 には2つの疑惑があります。まずは、2012年度再評価を佐世保市自身が「本体等工事の着手前評価」として実施した形跡がなく、「厚労省水道課による事後みなし」という疑惑です。それは、2012年度からの5年後、2017年度で再評価を行うと、水需要の伸びが全く期待できないことが明らかになり、石木ダムへの水源開発事業の必要性の裏付けができなくなるからです。もう一つは、「水需要予測は余裕を持つものであるから、実績より上回るのは当然」とする論調の定着化です。これらの疑惑を解明し、佐世保市に2012年度再評価のやり直し=5年ごとの再評価を実施させることを目的に、4月5日、「公共事業チェック議員の会」は再再度の厚労所水道課へのヒアリングを行いました。
4月5日 厚生労働省水道課ヒアリング
日時 2019年4月5日 14:30~16:30
場所 衆議院第一議員会館 第4会議室
1) 2月7日の水道課回答を下記のように確認したうえで、質問を進めました。
- 1、H24年度再評価は、「本体工事等の着工前評価」である。
- 2、H25年3月15日付で提出されたH24年度再評価報告書には「本体工事等の着工前評価」との記載はない
- 3、従前から佐世保市は「本体工事等の着工前評価」とする意向が強かったので、長崎県がH25年度予算に「付替え道路工事費」を盛込んだので、「本体工事等の着工前評価」とみなした。(実際はH25年度には工事再開はできていない)
- 4、よって、原則10年間は再評価の必要はない。
- 5、ただし、社会状況等の変化があれば、再評価の必要はある。
- 6、現在は、その判断は佐世保市が行うべきであって、当方から指示する必要はないと考えている。
- 7、毎年の予算要求時に佐世保市の状況は入手している。その情報で上記6の判断はできる。
- 8、佐世保市がH24年度再評価提出前の市議会で「今回提出する再評価は5年ごとの再評価であって、本体工事等の着工前評価ではい」と言っているとのことについては、佐世保市に確認をとり、その結果を初鹿衆議院議員国会事務所に報告する。
2) 4月5日の質問事項
1)に記した問題について一つ一つ質疑応答を重ねました。
その要約を記します。
- 一問一答にはなっていないが、調べて報告してもらうことが出された。初鹿事務所に報告されたい。
- 承知しました。
- 石木ダムは長い歴史があって、今でも13世帯の皆さんが毎日座り込みをしている状況にある。
- このまま事業を継続しても、ダムは造れないと思う。
- そこに永遠と税金をつぎ込み続けるのか、が今、問われている。
- 13世帯を強制排除することに皆さん加担するのか、ということです。
- 止める可能性があるとしたら、皆さんたちが水の需要予測をもう一回出させる、これには合理的理由がある。
- 社会的変化、5年間着工されていない、需要予測と実績とに相当な乖離、これらの合理的理由があるから、再評価を指示できるのは厚労省だけ。
- このことを内部でよく検討して、佐世保市に再予測しないと公費は出せない、と、予測を出し直させてほしい。
- 今日出された内容はキチンと市に伝える。
- 有効な金の使い方を考えたら、漏水が多い佐世保市は老朽管改修のために皆さんの予算を出した方が、市民にとっても水道局にとっても、よいと思う。
- 水不足と老朽化の問題はそれぞれ捨てがたい問題がある。
- 水は不足していない、のだから。
- 佐世保市に確認する。
- 佐世保市水不足の原因は、以前、ダムから優先的に取水してダムの貯水が少なくなってから川からの取水優先に替えた。それ以来、水不足になっていない。
- あなたたちしか止めることができない。本当に水が足りなくなることはない。それなのに13世帯を力ずくで追い出すんですか?よく考えてほしい。需要予測をもう一回行え、ぐらいは言ってください。
- この場で即答はできないが、今日の話をきちんと佐世保市さんに伝えたうえで、と考えている。
3) 4月5日ヒアリングの詳細
4月5日ヒアリングの詳細と関連資料は下記リンクを参照願います。
4月5日厚生労働省水道課ヒアリング回答の文書確認
4月5日ヒアリングにおける厚生労働省水道課職員との質疑応答で明らかにされたことの確認・ 同職員が約束したことの回答について、文書による確認を求めました。
文書回答は、「従前の繰り返し」と、「当該協議等に係る資料が不存在であり、詳細は不明」の連続でした。実際の経過すべての隠ぺいでした。
- H24年度再評価がその後の実績とかけ離れている原因を私たちはデータを基に、評価手法の間違いにあることを指摘していますが、厚生労働省水道課はその実態に目を向けることを拒否して「予測は危機管理等の安全性を見込んでいるので、実績値が下回るのは当然のこと。」としています。このような論法が過大予測をまかり通らせています。
- 「都合の悪い経過をすべて隠ぺいする、都合の悪い現実を直視しない」、「国と地方が行政目的遂行のためにこのように卑劣な連携をしている」現実を正さないとなりません。
- 文書確認の設問と回答は下記リンクを参照願います。
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