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報道

石木ダム 全用地収用 住民「古里、奪わないで」

2019年9月20日
カテゴリー:

石木ダム問題に関する9月20日の長崎新聞の記事5点、日テレニュース、毎日新聞の記事2点をを掲載します。


石木ダム 全用地収用 住民「古里、奪わないで」

(長崎新聞2019/9/20 10:41) https://this.kiji.is/547595312250553441?c=39546741839462401

(写真)「ダムを造らないでください」と涙ながらに訴える女児=県庁
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、反対住民13世帯の宅地を含む全未買収地が19日、土地収用法に基づく「権利取得の時期」を迎えた。約5年ぶりに実現した中村法道知事との面会で、涙ながらに建設反対を訴えた住民ら。知事は「事業を進めていく必要がある」との考えを改めて示し、両者の溝は埋まる気配がない。13世帯もの宅地を強制収用する事態に、住民の支援者らは反発し、関係首長や推進団体も複雑な心境をのぞかせた。
約5年ぶりに実現した中村法道知事との面会には、水没予定地の川原(こうばる)地区で暮らす13世帯約50人のほとんどが参加。小学生から90代までの約20人がそれぞれの言葉で古里への思いを語った。高ぶる感情をのみ込みながら思いの丈をぶつける住民に対し、知事は目を落とし、淡々とメモを取る姿が目立った。「気持ちは伝わってるのか」。交わらない視線に象徴されるような県との深い隔たりに、住民たちはいら立ちを募らせた。
「川原での思い出が、自然や風景が、私は大好きです」。高校2年生の松本晏奈(はるな)さん(17)は知事へのメッセージを読み上げた。これまで人前でダムについての意見を述べることはあまりなかったが「自分も力になりたい」と勇気を出した。「帰る場所がなくなるなんて考えたくない。川原を奪わないでください」。声を詰まらせながら知事に語り掛け、手紙を渡した。曽祖母のマツさん(92)は「この年になってどこに移れというのか」としわくちゃの手を握り締めた。
3人の子どもを育てる炭谷潤一さん(38)は「県は理解を得る努力をするといいながら、手続き上は強制的に土地を取り上げている。私の家族と川原の人々を全力で守る」と語気を強めた。小学3年生の長女、沙桜(さお)さん(8)が「お家がなくなったらいやです。ダムを造らないでください」と涙ながらに訴えると、周囲からすすり泣きがもれた。
石丸穂澄さん(36)は、川原の自然や生きものを描いたイラストを持参。「知事が奪おうとしている私たちの大切なものです」と掲げた。精神疾患を抱えながら、古里の豊かな自然と生態系の魅力を広めようと描き続けてきた。「住み慣れた環境を離れるのは私にとって酷な要求。この落ち着いた環境がどうしても必要」と声を振り絞った。
最後に、長年運動の中心を担ってきた岩下和雄さん(72)がマイクを握った。10代で父を亡くし、若くしてダム反対運動に参加。歴代知事を舌鋒(ぜっぽう)鋭く追及してきたが、この日は「知事しかいません。どうかダム建設を取りやめてください」と深々と頭を下げた。他の住民がそれにならうと、知事も立ち上がって応じた。
知事は質問に答える以外はほぼ発言しなかったが「佐世保市の水不足は解消されていない」と事業への理解を求めた。「膝を交えてお話しする機会が持てるならありがたい」と今後の面会にも含みを持たせた。
面会を終えた住民は、一様にすっきりしない表情を浮かべた。川原伸也さん(48)は「知事が目を合わせてくれず、無難に仕事をこなしているように見えた」と不満をあらわにした。松本好央さん(43)は「知事が考えを変えることを期待する。面会はこれで終わりとは思っていない」と望みをつないだ。


石木ダム 13世帯の強制収用 道筋と結末 楽観せず示せ

(長崎新聞2019/9/20 10:36) https://this.kiji.is/547592990069277793?c=39546741839462401

事業着手から40年以上がたつ懸案の石木ダム建設事業で、起業者の県と佐世保市がダム建設に必要な全ての用地の権利を取得することになった。土地収用法に基づく手続きだが、13世帯約50人もの住民の宅地を強制収用するのは異例だ。
ダム建設の主要な目的は同市の慢性的な水不足解消と川棚川の治水。これまでに8割以上の地権者が補償契約に応じて移転したが、残る13世帯を説得できないまま、県は2009年、強制収用への道を開く事業認定申請に踏み切り、国が認定した。申請について県は当初、「地権者との対話を促すため」と強調していたが、結果を見れば“楽観”の印象は否めない。
地権者らが国に事業認定取り消しを求めた訴訟で長崎地裁は昨年7月、ダムの公益性を認め、原告側の請求を棄却した。原告側は控訴し、反対住民や一部の専門家は急上昇する市の水需要予測や下流域に建設するダムの治水面の有効性などに疑問を投げかける。
物件を含む土地の明け渡し期限である11月18日以降は、“最終手段”である行政代執行の請求や判断が焦点となる。過去に中村法道知事は「(22年3月までの3期目の)任期中に方向性を出したい」と発言。係争中の複数の関連訴訟の動向や、22年度末の完成を目指す工程表の進捗(しんちょく)を見極め、判断するとみられる。
知事は今のところ、行政代執行を「あらゆる選択肢の一つ」と述べるにとどめている。だが約5年ぶりに実現した反対住民との面会でも溝は埋まらず、打開策が見えない状況下で、現実的な選択肢がそう多いとも思えない。半世紀近く続く事業に、どのような道筋と結末を想定するのか。“楽観”せずに、具体的に県民に示す時期ではないか。


石木ダム全用地収用 反対派市民ら抗議活動 長崎県との溝 埋まらず

(長崎新聞2019/9/20 10:21) https://this.kiji.is/547589725914023009?c=39546741839462401

(写真)住民(右)から面会の報告を受ける支援者=県庁
石木ダム建設や強制収用に反対する市民らは県庁や佐世保市内で抗議活動を繰り広げた。
中村法道知事と建設予定地の住民が約5年ぶりに面会した会場では、滋賀県知事時代に県内のダム建設を中止した嘉田由紀子参院議員が支援者の立場で傍聴。超党派で結成した「石木ダム強制収用を許さない議員連盟」メンバーでもある嘉田氏は終了後、取材に「(ダム建設を止める)方法はある。一番必要なのは地方自治の勇気。県民を愛する判断が必要だ」と力を込めた。
県庁前では午前10時半から支援者約40人が「強制収用やめろ」と記されたプラカードなどを手に抗議。長崎市在住の吉島範夫さん(77)は「県がしていることは人権侵害。最も混乱が少ないのは事業認定を取り下げることだ」と語った。
ダムの受益者である佐世保市内でも反対運動があった。市民ら約15人は、午前7時半から市役所前で「水は足りている」「石木ダムいらんばい」と記した幕などを掲げたり、通勤する職員にチラシを配ったりして、土地収用反対を訴えた。呼び掛け人の森田敦子さん(63)は「大好きな佐世保市が(建設予定地の)川原(こうばる)の人々の人権を無視するようなことがあってはならないし、それは恥ずかしいことだ」と述べた。
一方、川棚町のダム建設予定地では県道付け替え道路工事が粛々と進められた。


石木ダム 全用地収用 知事と住民面会 行政代執行が焦点

(長崎新聞2019/9/20 10:24) https://this.kiji.is/547592539003208801?c=39546741839462401

(写真)宅地を含む全ての未買収地が収用された石木ダムの建設予定地=川棚町
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、反対住民13世帯約50人の宅地を含む全ての未買収地約12万平方メートルは20日午前0時、土地収用法に基づき県と同市が所有権を取得した。一部の土地の明け渡し期限となった19日、建設予定地の住民らが中村法道知事と約5年ぶりに県庁で面会し、建設反対を訴えた。終了後、知事は報道陣に事業を推進していく姿勢を改めて示し、今後は行政代執行を巡る動きが焦点となる。
石木ダムを巡っては、県収用委員会が5月、地権者に未買収地約12万平方メートルの明け渡しを求める裁決を出し、19日を「権利取得の時期」とした。これまでに取得した約64万3千平方メートルに続き、県と同市は20日午前零時に約12万平方メートルの権利を取得。住民の権利は消滅した。今後、登記はいったん住民側から国に移していく。県と同市はダム建設に必要な全用地を取得したことになる。
約12万平方メートルのうち、19日は家屋など物件を含まない土地(約1万5千平方メートル)の明け渡し期限で、物件を含む残りの土地については11月18日が期限。住民側が期限までに明け渡しに応じなければ、県と同市は知事に家屋の撤去や住民の排除といった行政代執行を請求でき、知事が対応を判断することになる。
面会は住民側が要請し、幼児や高齢者を含む約50人が午前10時から約2時間半、中村知事と面会。古里への思いや県の手法へ不満をぶつけ、「古里を奪わないで」「ダム計画を見直して」などと訴えた。中村知事はメモを取りながら耳を傾け、質問に答えた。
面会後、住民の岩下和雄さん(72)は「思いは伝えられた。本当にダムが必要なら、自分たちのやったことが間違っていないか見直してほしい。私たちは(土地の)名義が変わろうが今まで通り畑を耕し、稲を作り、ここで暮らしていく」と言い切った。
一方、中村知事は報道陣に「それぞれの方々の思いを大切にしながら、事業全体を進めていく必要があると改めて感じた。現状では今の方針で進まざるを得ない」と語った。


石木ダム全用地収用 円満解決願っていたが… 推進派、首長ら複雑な表情

(長崎新聞2019/9/20 10:18) https://this.kiji.is/547588588418122849?c=39546741839462401

石木ダム建設事業で関係自治体の首長や推進団体関係者は、円満ではない「強制収用」に複雑な心境をのぞかせた。ダム建設を求めつつも、行政代執行で住民を排除するような事態は避けてほしいと望む声も聞かれた。
川棚町の山口文夫町長は「円満な話し合いでの解決を願っていたので、(一部の)明け渡し期限を迎えたことは残念」とした上で、「古里に住み続けたいという思いは理解できるが、事業に協力し、移転していただいている8割の地権者の思いも大切にしなければならない」とコメント。移転した元住民の一人は「強制収用は自分が泣く泣く土地を出て行った当時に、想像していた最悪の事態。本当に何と言っていいのか」と言葉少なに語った。
全用地収用について「石木ダム建設促進佐世保市民の会」の寺山燎二会長(81)は、「水不足を解消するため私たちは建設をお願いするだけ」と冷静に受け止めつつも、「行政代執行は望まない。最後は(両者が)納得いく形に向かってほしい」と求めた。中村法道知事と反対住民が約5年ぶりに面会したことについて、佐世保市の朝長則男市長は「内容を把握していないのでコメントできない。県と足並みをそろえ進める」と述べるにとどめた。

石木ダム全用地収用 反対地権者ぱ”座り込み″
(日テレ 2019.9.20 11:55)http://www.news24.jp/nnn/news16362173.html


県と佐世保市が川棚町に計画する石本ダムの建設事業で土地の所有権を失った反対地権者は現地で座り込みを行っている。
建設予定地での座り込みには反対地権者と支援者約20人が参加した。
石本ダムの反対地権者13世帯は20日午前o峙で全ての土地の所有権を失い県の管理下に。
一部は明け渡しも義務付けられた。
4年前農地に設置した県の管理下にあることを示す看板は今回設けないという。

石木ダム事業 「私たちは住み続ける」 5年ぶり知事と面会 2時間半県庁で反対地権者ら思い語る /長崎
(毎日新聞長崎版2019年9月20日)https://mainichi.jp/articles/20190920/ddl/k42/040/263000c

県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業を巡り、19日に県庁であった同町川原(こうばる)地区の反対地権者ら40人余と中村法道知事との面会。2014年7月以来約5年ぶりの面会で、住民らは「私たちは川原に住み続ける」と事業反対の意思を貫く姿勢を強調した。【浅野翔太郎、田中韻】

知事「白紙には戻せない」
面会場所となった県庁会議室は、警備員が入り口に立ったり、仕切りが設けられたりと物々しい雰囲気に包まれた。面会は午前10時過ぎに始まり、約2時間半にわたって、地権者や家族ら20人が思いを語った。
「私はおうちがなくなったらいやです。みんなや動物がいなくなったらいやです」。親子3世代で川原地区に暮らす炭谷沙桜(さお)さん(8)は中村知事に涙声で訴えた。母の広美さん(34)も「子ども3人は外で遊ぶことが大好き。川原はみんなで子どもたちをみてくれる。県や知事は県民のために働いてほしい」と訴えた。広美さんは面会後、「知事はメモを取るばかりで子どもたちの話を聞く時も下を向いていた」と失望した様子で語った。
岩下和雄さん(72)は佐世保市の水需給予測が実態と異なると主張し、「知事が佐世保市に見直すよう言ってほしい。佐世保市のうそをうのみにして私たちに出て行けというのは違う」と強い口調で迫った。
中村知事は面談終了後、記者団に対し、「(ダムの)事業認定を白紙に戻すことはできないが、将来について話し合いの場が設けられれば」と今後も住民と話し合いの場を持つ意向を示したが、県河川課は「次回以降の話し合いについては未定」としている。
〔長崎版〕

長崎・石木ダム 「故郷奪わないで」 地権者、長崎知事と面会
(毎日新聞西部朝刊2019年9月20日)https://mainichi.jp/articles/20190920/ddp/012/040/009000c

長崎県と同県佐世保市が同県川棚町に建設を計画する石木ダムを巡り、事業に反対する地権者らが19日、長崎市の県庁で中村法道知事と面会した。同日は反対地権者らが予定地内に所有する土地約12万平方メートルの一部の明け渡し期限で、地権者らは改めて計画中止を求めた。
予定地内に暮らす幼児や90代の高齢者を含む13世帯の40人あまりが出席。炭谷(すみや)潤一さん(38)は「知事は『地権者の理解を得る努力をしたい』と言いながら、土地を奪い取ろうとしている」と批判し、高校2年の松本晏奈(はるな)さん(17)は「故郷が奪われるのは絶対嫌。不要なダムのために家を奪わないで」と声を詰まらせながら訴えた。
終了後に記者団の取材に応じた中村知事は「最も経済的、現実的な手段として石木ダムの建設を進める気持ちは変わっていない」と話した。
石木ダムは佐世保市の水不足解消などを目的に計画され、1975年に国が事業採択。県収用委員会が今年5月、約12万平方メートルの明け渡しを命じた。土地の所有権は20日に国に移り、事業完了後に県などに権利が移る。住民の家屋などがある場所は11月18日が立ち退きの期限で、その後は行政代執行も可能になる。【浅野翔太郎、田中韻】

 

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