水源連:Japan River Keeper Alliance

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浸水想定図を公表 県管理7ダムの下流 /栃木

2020年3月17日
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栃木県が県管理の7ダムの下流域について浸水想定区域図を公表しました。その記事を掲載します。
ダム下流域の浸水想定図は栃木県のHPに公表されています。
http://www.pref.tochigi.lg.jp/h07/dam_shinsuisouteizu.html

計画規模降雨(概ね100年に1回) の浸水想定図と、想定し得る最大規模降雨(概ね1,000年超に1回)の 浸水想定図が示されています。
ダムについては洪水調節機能を失った場合を前提とした浸水想定図です。
ダムの緊急放流によってダム下流域で氾濫が起きることが考えれば、この浸水想定区域図が意味が持つように思われます。

浸水想定図を公表 県管理7ダムの下流 /栃木
(毎日新聞栃木版2020年3月17日)https://mainichi.jp/articles/20200317/ddl/k09/040/052000c

2018年7月の西日本豪雨でダム下流で大規模な洪水が起きたことなどを受けて、県は16日、県が管理する7カ所のダムの下流の浸水想定図を市町に提供し、ホームページで公表した。市町はハザードマップの修正などに役立てる。19年10月の台風19号でも那須塩原市の塩原ダムを緊急放流するなどしており、下流での備えなどが課題となっていた。
公表したのは、塩原ダムから下流約18キロ▽中禅寺ダムから下流約27キロ(中禅寺湖を含む)▽西荒川ダムから下流約5キロ――など、洪水浸水想定区域図がなかった約107キロにわたる図面。1000年超に1度や100年に1度の雨で氾濫した際に想定される浸水の範囲や水深▽木造2階建ての家屋が流失・倒壊する恐れがある範囲――などを示している。
県はまた16日、市町の担当者らを集めた減災対策協議会で、台風19号で中小・小規模河川が氾濫したことを受けて、緊急時のみ観測する「危機管理型水位計」を20~21年度に67カ所、簡易カメラを同64カ所で増設すると明らかにした。台風19号で決壊や越水をしたり、市街地近くを流れたりする27河川についても20年度中に簡易な浸水リスク想定図を作り、21年度には対象を市町の要望がある29河川にも広げる。【林田七恵】

土砂災害防止の基本指針変更へとりまとめ(国土交通省)

2020年3月7日
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近年の大豪雨では河川の氾濫だけではなく、土砂災害によっても大変な被害がでています。
昨年10月の台風19号豪雨では99 名の方が亡くなり、そのうち、土砂災害の死者が16名でした。2018年7月の西日本豪雨では死者237名のうち、約半分の 119 名は土砂災害によるもので、その8割近くは広島県の土砂災害の死者でした。2019 年台風19号豪雨の土砂災害より2018 年西日本豪雨の土砂災害が多かったのは、雨の降り方の違いのほかに、東日本と西日本の地形、地質の違いがあるとされています。とりわけ、広島県は風化して崩れやすい「まさ土(ど)」になる花崗岩の地層と、危険な場所に広がる宅地造成によって、土砂災害が起きやすくなっており、西日本豪雨で多数の死者が出ました。
この土砂災害について国土交通省の審議会で土砂災害防止対策基本方針の変更案の審議が3月4日に行われました。その記事を掲載します。
審議会の資料は国土交通省のHPに掲載されています。
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s204_doshasaigai01.html
3月4日の資料はhttp://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/mizukokudo03_sg_000157.html です。
4~5月にはパブリックコメントが行われる予定です。http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001331534.pdf

土砂災害防止の基本指針変更へとりまとめ

(re-port 2020/3/5)https://www.re-port.net/article/news/0000061626/
国土交通省は4日、社会資本整備審議会河川分科会土砂災害防止対策小委員会(委員長:京都大学防災研究所教授・藤田正治氏)の3回目となる会合を開催。答申に向けたとりまとめを行なった。
同委員会では、令和元年台風第19号等近年の災害や気候変動等の影響を踏まえ、土砂災害における実効性のある警戒避難体制づくりをさらに促進するため、土砂災害防止対策基本方針の変更案について審議してきた。
平成30年7月豪雨で土砂災害による死者が出た箇所の8割強は土砂災害警戒区域に指定されるなど何らかの形で危険が周知されていた一方、令和元年東日本台風の土砂災害で人的被害や人家被害が発生した箇所の約4割が土砂災害警戒区域に指定されていなかった。その原因として、より詳細な地形データでなくては箇所を抽出できなかったこと、現在の指定基準には該当しなかったこと等が認められた。これらを踏まえ変更案では、基礎調査の結果の公表後は速やかに土砂災害警戒区域等を指定することが望ましいとしたほか、「基礎調査完了後も測量技術の向上も踏まえ、数値標高モデル等の高精度な地形情報等を用いて土砂災害の発生するおそれのある個所の抽出に努めるものとする」などとした。
土砂災害警戒区域等が指定された後、ハザードマップの作成が完了していない市町村や、住民のハザードマップの認知率も高くないことから、新たに「都道府県による土砂災害警戒区域等の指定後は、市町村は速やかにハザードマップに反映し、避難場所等の見直しを図るものとする」とした。また、平成30年7月豪雨後に被災地域で行なったアンケートで、自宅が土砂災害警戒区域に含まれていることを認識していた住民が2割にとどまっていたことから、都道府県に対して土砂災害警戒区域等を明示した標識の設置などにより、周知を徹底し、「住民の理解を深め、避難の実効性を高めることが重要」とした。
答申および変更案は、3月下旬めどに河川分科会から社整審に報告。4~5月にかけパブリックコメントを実施し、6月中旬~下旬にかけ基本方針を変更する予定。

石木ダムの費用対効果 計算は「虚構」再検証を 科学者の会  佐世保市に意見書

2020年3月3日
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佐世保市上下水道事業経営検討委員会が、市の石木ダム事業継続の再評価を是認する答申を2月28日に出したことに対して、
佐世保市民らが3月1日に「緊急市民集会「石木ダム再評価」」http://ishikigawa.jp/blog/cat09/5918/ を開き、その欺瞞性を糾弾しました。
そして、3月2日にはその再評価の問題点を指摘し、再評価のやり直しを求める「ダム検証のあり方を問う科学者の会」の意見書と、市民団体の申し入れ書を市水道局に提出しました。
3月1日の集会と2日の申し入れに関する記事を掲載します。

再評価の内容は石木ダム推進のためには何でもありの本当にひどいものです。水需要予測のでたらめさはすでにお伝えした通りですが、費用便益比の計算も現実とまったく遊離した架空のものでした。
今回提出した科学者の会の意見書は佐世保市水道の事業債評価に関する意見書その2 20200302のとおりで、費用便益比計算の虚構を指摘しました。

3月1日の集会の配布資料は佐世保市民にとって石木ダムは必要か 20200301

石木ダム費用便益比計算の虚構 20200301

のとおりです。後者に市が行った費用便益比計算のおかしさが具体的に書いてあります。

今回の計算では石木ダム推進で佐世保市は費用の5.32倍の便益が得られることになっていますが、その計算は石木ダムがなければ、ほぼ毎日給水制限が実施され、それによって毎年毎年数百億円の経済被害が発生するというもので、本当に無茶苦茶な計算です。

「石木川まもり隊」など11団体が市水道局に提出した申し入れ書と3月1日の集会宣言は次の通りです。

申し入れ書20200302

集会宣言20200301

以上の資料をお読みいただければと思います。

 

石木ダムの費用対効果 計算は「虚構」再検証を 科学者の会 佐世保市に意見書
(長崎新聞2020/03/03 09:35) https://www.47news.jp/localnews/4576741.html

(写真)川野課長の前で意見書を読み上げる嶋津氏(右)=佐世保市水道局
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、市水道局が利水面の事業再評価でまとめた費用対効果について、
全国の研究者らでつくる「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は2日、事業効果が高いとする計算は「虚構」とし、再検証を求める意見書を同局に提出した。
同会は河川工学が専門の今本博健・京都大名誉教授らが共同代表で、約120人の賛同者で発足したという。
意見書は朝長則男市長宛て。会員で、水源開発問題全国連絡会共同代表の嶋津暉之氏が同局を訪れ、提出した。
同局は2月、再評価の検討委員会に対し、「全体事業費に対し、効果は5.32倍」とする費用対効果を提示。
検討委は水源不足を示す水需要予測などと併せて審議し、「妥当」と答申した。
同局は、前回2012年度の再評価で効果を13.84倍と算出しており、意見書では「今回と結果が大きく変わるのは、計算のずさんさを示している」と指摘。
嶋津氏は「現実にはありえない仮定が設けられ、巨額の渇水被害を計算し、ダムの便益を求めている」と問題視した。
同日は、事業に反対する県内外の11団体も検討委の審議は「不十分」とし、やり直すよう求める申し入れをした。
科学者の会、11団体からそれぞれ文書を受け取った同局水源対策・企画課の川野徹課長は「対応を検討する」と述べた。

石木ダム事業「継続」答申受け 審議やり直し求める 市民団体が佐世保で集会
(長崎新聞2020/3/2 00:00)updated h https://www.47news.jp/4572427.html

(写真)石木ダム事業の再評価の審議やり直しを求める宣言を採択した集会=佐世保市中央公民館
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、市水道局が進める利水面の事業再評価に対し、第三者の諮問機関が水不足などを認め、「事業継続が妥当」と答申したことを受け、
反対派市民団体が1日、市内で集会を開催。「架空の予測値を設定し、水不足の捏造(ねつぞう)でダムの必要性を創出した」と批判し、審議のやり直しを求める宣言を採択した。宣言文は同局に提出する。
集会を開いたのは「石木川まもり隊」(松本美智恵代表)など3団体。市民ら約130人が参加した。
市水道局が示した再評価の水需要予測は、1日の市民1人当たりの水使用量は全国の同規模都市の水準に近づいて増加すると想定。
不足する水量約4万立方メートルを石木ダムで賄えば、費用対効果も高いとした。諮問機関の市上下水道事業経営検討委員会は2月28日、同局の方針を「妥当」と認めた。
宣言は、将来の人口減少を踏まえ、水需要の増加は「異常な予測」と批判。石木ダムがなくても何の被害も受けておらず費用対効果は低いとし、「公正・中立な委員会」での再審査を求めた。
集会では水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之共同代表が再評価の問題点を説明。
水需要は節水型機器の普及などで減少すると指摘し、費用対効果は「渇水時の被害を大きく計算している。現実的でない」とした。
ダム建設予定地の住民、岩下和雄さん(72)は「石木ダムを造るための予測だ。事業は見直すべきだ」と訴えた。

 

石木ダム再評価「やり直せ」 佐世保で市民集会

(朝日新聞長崎版2020年3月4日 9時30分)

 

石木ダムの利水、審議やり直しを 緊急集会に100人 佐世保 /長崎

(毎日新聞長崎版2020年3月2日)https://mainichi.jp/articles/20200302/ddl/k42/040/137000c

(写真)再評価の問題点を指摘する声が相次いだ緊急集会
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業で、利水面を再評価する同市上下水道事業経営検討委員会が事業継続を是認する答申を出したことを受けて市民グループは1日、同市内で緊急市民集会を開いた。
専門家が水需要予測や費用対効果の算出の問題点を指摘し、審議のやり直しを求める集会宣言を採択した。
石木川まもり隊など3団体の主催で、約100人が参加。
「水源開発問題全国連絡会」共同代表の嶋津暉之氏が講演した。
嶋津氏は「今後増大する同市の水需要予測は、石木ダムを必要とするための予測で、逆に保有水源の量は過小評価している」と指摘。
再評価で、全事業費と将来回避できる渇水被害額から算出した費用便益比が過去の2回に比べ大きく下がった点に触れ、「大きく数値が変わるのは、事実に基づいていないからだ」と批判した。
集会宣言では「客観的・科学的な資料に基づいた公正・中立な再評価委員会での審議やり直し」を求めた。【綿貫洋】
〔長崎版〕

石木ダム再評価、やり直しを要請 市民団体 /長崎
(毎日新聞長崎版2020年3月3日)https://mainichi.jp/articles/20200303/ddl/k42/040/252000c

県と佐世保市が川棚町に建設を進める石木ダム事業に反対する市民団体は2日、市上下水道事業検討経営委員会が事業継続を答申したことに対し、科学的、客観的に審議するよう再評価委員会のやり直しを要請した。
要請した「石木川まもり隊」など11団体は、委員会ではダム代替案や費用対効果分析について議論が低調だったと指摘。不十分な審議では公正な再評価にはならないとして審議のやり直しを求めた。
同時に「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は、委員会が了承した費用対効果の算出が現実から遊離した計算で算出されているとして、改めて試算するよう意見書を提出した。【綿貫洋】
〔長崎版〕

「結論ありき」は否めず 石木ダム事業継続 是認 市利水再評価検討委が答申 佐世保

2020年2月29日
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2月28日、佐世保市上下水道事業経営検討委員会が開かれ、石木ダム事業継続の再評価を是認する答申を出しました。その記事とニュースを掲載します。
この委員会は、科学的な根拠がない再評価に対して何の疑問も提起しない委員会で、しかも、市民は別室傍聴で、資料さえ配らない最低の委員会でした。

佐世保市民たちは明日、「3.1緊急市民集会「石木ダム再評価」」http://ishikigawa.jp/blog/cat09/5918/

を開き、再評価の欺瞞性を明らかにします。

【解説】「結論ありき」は否めず 石木ダム事業継続 是認
(長崎新聞2020/2/29 10:27) https://www.47news.jp/localnews/4568442.html

石木ダム建設の利水面の事業再評価で、第三者の検討委員会は事業の継続を承認した。ただ、審議では佐世保市水道局の方針案をそのまま受け入れる場面が目立ち、「結論ありき」で進められた印象が否めない。
反対派が「過大」と疑問視する水需要予測について、市水道局は人口減少を想定しながら、全国の同規模自治体の平均値に近づき、「市民1人当たりの水使用量は増える」と試算。この点は反対派との間で賛否が割れるが、目立った議論はなかった。新たに確保するべき水源量は1日4万立方メートル程度。前回の再評価とほぼ同じ数字で、石木ダムで賄う水量と合致した。代替案の検証や費用対効果も前回と同様の結論だった。
検討委は市水道局に常設する諮問機関で、水道行政の基本計画となる「ビジョン」の策定にも携わった。もともと石木ダム建設を肯定する立場で、委員の1人は建設推進団体のメンバーでもある。事業に懐疑的な意見を持つ委員を含めず、審議の「中立性」を担保できたのか疑問が残る。
市は石木ダムの必要性を市民に丁寧に説明するとしているが、再評価の一般傍聴は中継映像を介して別室で受け付け、反対派からは「審議が十分聞き取れない」と不満が噴出。市の姿勢に不信感を募らせる形となった。

石木ダム事業継続 是認 市利水再評価検討委が答申 佐世保
(長崎新聞2020/2/29 10:26)  https://www.47news.jp/localnews/4568440.html
(写真)石木ダム建設事業の継続を妥当とする答申書を谷本局長に手渡す武政委員長(右)=佐世保市役所

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、市水道局が進める利水面の事業再評価について第三者の意見を聴く、市上下水道事業経営検討委員会(武政剛弘委員長)は28日、「事業の継続を是認する」とした答申書をまとめ、谷本薫治局長に提出した。答申を踏まえ、市は「事業継続」の再評価書を作成し、3月中に国に提出するとみられる。
市は国庫補助を受けるため、原則5年ごとに事業の必要性などを検証する再評価を義務付けられている。市水道局は1月に再評価案を検討委に諮問。検討委は2回の会合を開き、2038年度までの水需要予測や代替案の可能性、費用対効果などを審議し、了承していた。
この日の会合では、過去の審議を踏まえた答申案を承認。答申では、「石木ダムを設けること以外に有力な方策はない」とし、市水道局の提案は「適切・妥当」と結論づけた。
一方、事業の推進にあたっては、ダム建設予定地住民の理解や市民世論の合意形成などを含めた「最適解を求める格段の努力」を要望した。谷本局長は「(事業継続が認められ)ほっとしている。すみやかに(国庫補助の手続きを)進める」と述べた。
全会合を傍聴した反対派の市民団体「石木川まもり隊」の松本美智恵代表は、「過去の再評価とは異なり、今回は(中継映像による)別室での傍聴で内容が十分聞き取れず、資料すらもらえなかった。市民に理解を求めない意識の表れだ」と対応を批判した。

石木ダム3回目の再評価を答申
(長崎文化放送2020/2/28(金) 19:21配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200228-00010001-ncctv-l42

長崎県と佐世保市が進める石木ダム建設事業の利水面での再評価を行う3回目の検討委員会は「事業継続が妥当」とする答申書をまとめました。佐世保市が第三者として意見を聞いた市上下水道事業経営検討委員会の武政剛弘委員長が谷本薫治水道局長に答申書を出しました。答申書では市水道局が示した水需要予測を認めた上で「必要水量を確保できる方策は、現時点では石木ダム以外になく費用対効果が見込まれる」としました。谷本薫治局長は「(事業継続が妥当と)正式にそういうお言葉を頂戴したことはホッとしているところでございます」と話しました。全ての会合を傍聴したダム建設反対派の市民団体「石木川まもり隊」の松本美智恵さんは「事業継続」との答申に結論ありきと憤ります。「半世紀かかっても全然完成しないそういう事業が本当にまだこれからも必要なのかという事を真摯に客観的に検討するのが再評価だと思うんですけどもどう考えても中立公平とは思えないです」と話しました。答申書を踏まえ佐世保市しての対応を決め再評価報告書を作成して国に提出します。

 

石木ダム事業継続是認 再評価委員会が答申書 /長崎
(毎日新聞長崎版2020年2月29日)https://mainichi.jp/articles/20200229/ddl/k42/040/199000c

県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業を利水面で再評価する同市上下水道事業経営検討委員会(武政剛弘委員長、9人)は28日、事業継続を是認するとした答申書を市に提出した。この日、3回目の審議を開き、市提案の水需要予測、投資効率などをおおむね妥当と結論づけた。
答申を受けて市は国へ再評価報告書を提出する。早ければ2020年度の国庫補助事業として採択される。
委員会ではこれまで2回の審議で、市が出した水需要予測、石木ダム以外の代替案、費用対効果などを審議してきた。異論は特に出ず、数カ所の文言を修正した答申書をまとめた。ただ、地元に事業反対の声があるのを踏まえて、「建設予定地の住民の理解や心情面に配慮し、可能な限り多くの人が幸福を得られるよう格段の努力を怠らないことを求める」と市への注文を盛り込んだ。
答申を受け、谷本薫治・水道局長は「速やかに手続きを進めたい」と述べた。別室で委員会の中継を傍聴した市民グループ「石木川まもり隊」の松本美智恵代表は「予想はしていたが、何の意見も出ず、中身のない再評価にがっかりした。補助金を得るための再評価は、結論ありきの審議になる」と批判した。【綿貫洋】
〔長崎版〕

 

長崎)石木ダム再評価 第三者委ことごとく市の主張追認
(朝日新聞長崎版2020年2月29日 9時00分 )

 


第三者委「おおむね妥当」と答申、石木ダム事業再評価

(テレビ長崎2020年2月28日 19:40) http://www.ktn.co.jp/news/20200228005/

3年間の工期延長を受け、川棚町の石木ダム建設を継続すべきかどうか利水面で検討する佐世保市の事業再評価で、佐世保市が諮問する第三者委員会は「概ね妥当なものと認める」と結論付け、答申しました。
石木ダム建設の事業再評価で佐世保市が諮問する第三者委員会は、28日、3回目の会合を開き、武政委員長が作成した答申案を検討しました。
答申案では「水需要予測に基づく新規水源の開発規模は必要最小限で、石木ダムを設ける以外に有力な方策はない」などとし、事業は「概ね妥当なものと認める」と結論付けました。
委員らは、内容について大きな修正を求めず、答申書が谷本 水道局長に手渡されました。
委員会を傍聴した人からは落胆の声が聞かれました。
石木川まもり隊 松本 美智恵 代表 「継続という結論は予想していた。あまりにも委員から異論が出ないし全く中身のない再評価だった」
佐世保市水道局 谷本 薫治 局長 「事の是非を再評価の場で(議論)するつもりはない。是非については別のステージでやっているのでは」
佐世保市は、答申を受け年度内にも「事業継続」という考えを軸に再評価報告書をまとめ国に提出したいとしています。

石木ダム利水再評価で妥当と答申
(NHK 2020年2月28日 17時10分)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20200228/5030006847.html

石木ダムの完成時期が延期されたことを受けて、佐世保市が利水の面から行った再評価について検証する委員会は、28日に開いた会合で、事業の継続が妥当だとする市の対応方針案を承認し、市の水道局長に答申書を手渡しました。
石木ダムをめぐっては、県道の付け替え工事に遅れが出ていることなどから、去年、長崎県は、治水の面から事業の再評価を行った上でダムの完成時期を3年延期し、令和7年度に見直す方針を決めました。
こうした中、佐世保市も利水の面から事業が適切かどうか再評価を行っていて、「市上下水道事業経営検討委員会」は、28日に開いた3回目の会合で、事業の継続が妥当だとする市の対応方針案を承認しました。
委員会の武政剛弘委員長が、市の谷本薫治水道局長に委員会としての答申書を手渡し、谷本局長は「速やかに市としての結論を出したい」などと応じました。
答申書では「事業効果は高く、水質などの評価項目においても、特に問題は確認されない」などと事業の必要性を認めたうえで、「事業継続の方法論は、議論していない」として、建設予定地の住民の理解を得られるよう、努力を続けることなどを求めています。
答申を受けた谷本水道局長は、記者団が「委員会のメンバーは中立・公正だったと考えるか」と質問したのに対し、「私はそう考えています」と述べました。
市は、28日の答申を受けて、年度内にも、再評価の報告書を県に提出することにしています。

千曲川はなぜ決壊したのか(下) 役に立たなかった浅川ダムと、利根川の八ッ場ダムと渡良瀬遊水地の評価

2020年2月29日
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元朝日新聞記者の杉本裕明さんが書かれた「千曲川はなぜ決壊したのか(下) 役に立たなかった浅川ダムと、利根川の八ッ場ダムと渡良瀬遊水地の評価」を掲載します。

千曲川はなぜ決壊したのか(下) 役に立たなかった浅川ダムと、利根川の八ッ場ダムと渡良瀬遊水地の評価
 杉本裕明
(エコトピア2020年2月28日)HTTPS://ECOTOPIA.EARTH/ARTICLE-3422/

(写真)浅川ダムは、集水域に雨がふらず、水を溜めることができなかった(長野市)。杉本裕明氏撮影 転載禁止

前回は、洪水による被害を防ぐために、堤防の強化と河川の浚渫(しゅんせつ)の必要性をとりあげた。今回は洪水対策としてダムがどの程度役立つのかを考えたい。
ジャーナリスト 杉本裕明

浅川の下流は
長野市内を走り、北にある飯山市に向かうJR飯山線。長野駅から乗車し、4つ目の駅が信州浅野駅だ。そこから千曲川に向かって南に歩くと、浅川が千曲川に合流する地点が見える。合流地点の少し手前に、排水機場と水門がある。
台風19号の時には、千曲川の水位が浅川の水位より高くなり、行き場のなくなった浅川の水が氾濫した。千曲川と浅川に挟まれた長沼地区を中心に1,000ヘクタール近くが浸水し、大きな被害をもたらした地域だ。浅川をさらに遡ると、JR東日本の車両基地がある。120両の新幹線の車両が水没し、大きなニュースになった。いまも泥にまみれた新幹線の車両が野外に置かれたままである。近くの住民が嘆いた。「洪水対策のために造った浅川ダムは何の役にも立たなかった」
(写真)千曲川と浅川にはさまれ、両河川があるれた水で、新幹線の車両基地は水没した。いまも廃棄処分が決まった車両が置かれたままだ(長野市)。杉本裕明氏撮影 転載禁止

その浅川ダム。2001年に当時の長野県知事だった田中康夫氏が「脱ダム宣言」を行い、洪水対策としての県営の浅川ダムの建設中止を表明したことがある。しかし、村井仁知事にかわって方針が戻った。続いて知事になった阿部守一氏も計画を見直すことはなく、2017年に完成した。
いったん消えた計画が息を吹き返した時、県民の批判を和らげるために採用されたのが穴あきダム方式。ダムの底部に穴を空け、普段は水を流し、ダムに水を溜めない。洪水のときに貯水機能を持たせる「環境配慮型」のダムだ。

(写真)浅川ダムは穴あきダムなので、ダムの上流部分はカラカラだ。杉本裕明氏撮影 転載禁止

治水効果がなかった浅川ダム
総貯水量110万㎥の小さな県営ダムは、台風19号に対してどう機能したのか。国土交通省の川の防災情報の記録を見ると、台風19号が長野県を襲った10月12日午後から13日午前にかけて、ダムに入ってくる流入量と「洪水吐(こうずいばき)」(幅1・3メートル)と呼ばれる穴から下流に出て行く量はほとんど変わらない。例えば、千曲川の堤防を乗り越え、洪水が住宅地に流れ始めていた13日午前1時。浅川ダムの流入量は毎秒6・23㎥。放流量は6・23㎥と、そのまま流しているだけ。決壊した午前4時は、4・24㎥と4・19㎥。ダムに水をためることなく、ひたすら下流に流し続けている。何の役にもたっていないのだ。
その頃、浅川の下流は大変な状況にあった。浅川と千曲川の水位が増し、浅川の河口にある水門が閉じられた。千曲川からの逆流を防ぐためだ。そして設置された排水機場のポンプで水をくみ出し、浅川に流し始めた。しかし、その後、千曲川の水位が、ポンプで浅川の水を受け入れる条件として決められている基準を超えたため、排水機場を停止した。そのため、浅川の水位はさらに高まり、午前1時には千曲川からの越流で、両河川から氾濫した水で、両河川に挟まれた地域は一面泥海と化した。
この浅川と千曲川に挟まれた豊野地区は、古くから水害が何度も起きている。田んぼが広がり、それが遊水地の役目を果たし、洪水のときに大量の水を貯水していた。しかし、開発が進んで田畑は減り、最後に残った水田もJR東海の新幹線の車両基地になった。
浅川ダムが計画されたのは長野オリンピックの道路を造るためだったと指摘する住民もいる。1998年に開催された長野オリンピックのスキー場は、この浅川ダムの上流部にある。長野市街からスキー場に向かう通称オリンピック道路が整備されたが、その建設費用に、浅川ダム建設事業のための国の補助金が充てられたからだ。

ダム周辺は地滑りの危険地帯だった
それに浅川ダムの予定地は地滑りの危険性が指摘されている。1985年7月にダムの南西部にある地附山中腹で大規模な地滑りが起きている。県が1999年に設置した「地すべり等技術検討委員会」の委員だった奥西一夫京都大学名誉教授(災害地形学)は、ダム建設は妥当とまとめた委員会の結論に異議を唱えた人だ。かつて筆者の取材に「地滑りの可能性がないか、調査範囲を広げてボーリング調査を行うことを提案したが、県は『ボーリングの時間がない』と受け付けなかった」と振り返った。
一方、浅川は「暴れ川」とも呼ばれ、過去に幾度も氾濫してきた歴史がある。下流の氾濫も幾度もあったが、下流に広がる水田やリンゴ畑が遊水池の役目を果たしてきたといえる。1982年と1983年に多数の家屋が床上浸水した。住民は「当時町営住宅に住んでいたが、二階に家財道具を上げて避難した。町長に『なんでこんな危ないところに建てた』と抗議したこともある」と語る。その状況が今回、再現された。当時、ダムができたら安心できると、旧豊野町(現長野市)の職員が説明し、浅川ダム建設促進の署名簿を回覧板で回したという。
下流地域の開発が進み、最後に残った水田の一部もJR東日本に売却され、新幹線の車両基地になった。JRは土地を2メートル嵩上げしたが、それは何の役にもたたなかった。なにしろこの一体は4・5メートルも水没したのだから。危険きわまりない地区に車両基地を設置し、費用をけちって2メートルの嵩上げ造成でお茶を濁したツケが、200億円以上の損害となった。
浅川ダムによって100年に1回の確率で起きる洪水を安全に流せるといわれる。しかし、それは中上流域のことで、下流は効果が薄くなる。結局、排水機場頼りで、浅川の流量が増え、今回のように千曲川からの越水があればひとたまりもない。

遊水池求めた住民に「ダムと排水機場」と長野県
地元住民は、こうした県の姿勢に不満を高め、これまで何回となく、遊水地をつくり、安全を確保するよう要請してきたが、県は「まずはダム建設と排水機場の増設で対応したい」と言うだけだった。
その浅川ダムは、台風19号にどう機能したのか。 県河川課の担当者が語る。「浅川ダムはもともと毎秒10㎥を超えないと水を貯めることはできないのです。台風19号は千曲川の上流に降りましたが、浅川ダムの集水区域に雨はほとんど降らなかったんです」。役に立ちようもない「空振り」だったわけだ。 非難を浴びた県は、急遽、浅川下流の対策を打ち出した。排水機場の増設を急ぎ、千曲川側の浅川右岸の堤防の嵩上げ、二線堤(ある区間で二つの堤防)の設置を決めた。
こうした国や県のハード対策事業は皮肉なことに、大きな被害を出して初めて予算がつくという構造になっている。国は補正予算でそれをひねり出したが、多数の人命が失われないと対策が進まない。そこで対策が行われると、別の地域で発生し、また、その場所で緊急工事という、もぐらたたきのような悪循環に陥っているようだ。

八ッ場ダムは試験湛水中だった
(写真)洪水対策の効果で評価が割れる八ッ場ダム(群馬県)。国土交通省のホームページより

この数年間の水害で、住民の不安を煽っているのが、ダムによる「緊急放流」だ。最初は洪水を受け止め、貯水を続けても限界が来て、流入した水をそのまま下流に流す。下流は突然、水量が増え、水位があがり、水害の危険性が増す。2018年7月の西日本豪雨では、愛媛県を流れる肱川で上流のダムが緊急放流し、8人の住民が犠牲になったといわれている。
もちろん、ダムの操作者にとっては、このままではダムの決壊を招きかねない中でのギリギリの選択だ。事前に緊急放流することを知らせることになっているが、周知が十分でないことも多い。
ダムへの不信感が高まる中で、ちょっとした論争が起きたのが、八ッ場ダム(群馬県)だ。コンクリートから人への転換を掲げた民主党政権は一時、ダム工事の中止を決めるが、地元の不満が高まるとすぐに復活、本体工事が進み、2020年3月に完成予定だ。台風19号が日本列島を襲った時、八ッ場ダムはちょうど試験湛水を始めたばかりだった。
それが幸いしたとも言える。八ッ場ダムは、治水容量と利水容量(下流自治体などが使う)などを合わせた総貯水容量は1億750万㎥。5,320億円もの巨額のお金を投じて造ったわりには、容量が小さく、徳山ダムの6億6,000万㎥と比ぶべくもない。全国のダムと比べると、50番目位に位置する中級のダムである。しかも、治水目的で溜めることができるのは6,500万㎥とされている。
しかし、この時は試験湛水の期間中だったので、治水容量を超え、7,500万㎥を溜めることができた。利根川では、大きな被害を出すこともなく、首都圏の安全は守られた。

効果について二つの評価
国土交通省関東地方整備局が発表した資料によると、群馬県伊勢崎市の八斗島地点で、利根川水系の上流にあるダム群(八ッ場ダム、矢木沢ダムなど7ダム)がどの程度、洪水の水位を下げる効果があったのかを調べたところ、ダムがなかった時よりも、1メートル水位を下げる効果があったという。
だが、個々のダムがどの程度の効果を発揮したのか、さらに首都圏に近い下流での効果については公表していない。河川工学が専門の山田正中央大学教授の研究室が試算したところ、八斗島地点で、7ダムで60センチ~1メートル。うち八ッ場ダムの効果は50センチあったとしている。
7ダムの治水容量は全部で1億8,000万㎥あり、八ッ場ダムの溜めた貯水量は7,500万㎥なので、その中で存在感はあったといえる。この評価をめぐっては、嶋津さんのようにほとんど意議を認めない立場に立つ人と、山田教授のように、高く評価する人の二つに割れている。
(写真)「ダムは下流に行くほど、洪水対策の効果がなくなる」と指摘する嶋津暉之さん。八ッ場あしたの会提供

八ッ場ダムの本来の治水容量は6,500万㎥である。今回は試験湛水中であったので、7,500万㎥貯留されたが、利水容量を減らさないと、7500万㎥の貯留は無理であり、勝手にそれに手をつけることはできない。さらに、ダムの宿命といってもよいのだが、ダムの治水効果は、下流に行けばいくほど薄れる。
水源開発問題全国連絡会共同代表で、元東京都環境科学研究所研究員の嶋津暉之さんが、国土交通省の過去の試算結果と今回の利根川のデータから八ッ場ダムの効果を試算したところ、八斗島地点より50キロ下流の埼玉県久喜市の栗橋地点では、17センチ水位を下げる効果しかなかったという。もちろん、上流にいくと効果はもっと出るはずだが、国土交通省が宣伝するほどではなく、限られた中での効果だと言える。
嶋津さんは「八ッ場ダムの建設には5,320億円が使われ、関連費用を入れると6,500億円にもなる。もし、それで利根川や支流で河道整備を進めていれば、利根川流域の安全度は飛躍的に高まったに違いない」と話す。

利根川を救った渡良瀬遊水地
ところで、今回、首都圏を守った立役者は渡良瀬遊水地といえるのではないか。埼玉・茨城・栃木・群馬の4県にまたがり、総貯水量の95%にあたる1億6,000万㎥を貯水した。首都圏の自治体職員は「もし渡良瀬遊水地がなかったら首都圏はどうなっていたかと考えると、空恐ろしい」と筆者に語ったことがある。
(写真)1億㎥の洪水を溜めて能力を発揮した渡良瀬遊水地。台風19号にこれだけの濁水をため、耐えた。国土交通省のホームページより

国土交通省は、この数年の水害から、ダムについて、運用面で(大雨を予測し、事前に溜まった水を流し、ダムの容量を増やしておく)事前放流の検討を行なったり、ダムの嵩上げ工事を進めて貯水量を増やしたりすることを検討している。けれども、(上)で述べた堤防対策も含め、国は「総合治水」といいながら、近年の地球温暖化にともなう集中豪雨が毎年起こり、大きな被害を繰り返すたびに、小手先の対処療法でお茶を濁しているように見える。抜本的な河川政策の転換の筋道は、いまだに示されないのである。

参考・引用文献
『水源連だより』(2020年1月22日 水源開発問題全国連絡会)
『都市問題』(2020年2月号)
『河川』(2020年1月号)
『科学』(2019年12月号)

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