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川辺川ダム新方針 住民不安払拭できるのか

2021年12月9日
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蒲島郁夫・熊本県知事と国交省九州地方整備局の藤巻浩之局長が12月7日に五木村と相良村を訪問して新しい川辺川ダム計画の概要を説明しました。

従前の川辺川ダム計画が治水専用の流水型ダムになるということだけですから、環境に大きな影響を与える川辺川ダムの問題が解消されるわけではありません。

蒲島知事が川辺川ダムを推進する自己弁明のために両村を訪問する行動であると見るべきです。

この流水型ダム計画について熊本日日新聞の12月9日の論説が下記の通り、問題を提起しています。

流水型ダムであるから、環境にやさしいというのは、蒲島郁夫熊本県知事が振りまいた幻想でしかありません。

球磨川の真の治水対策にもなりません。この論説が述べる通り、球磨川で進めるべき治水対策について議論をしっかり積み重ねていくことが必要です。

下記の日テレNewsでは、五木村の村長や議員から「ダムの影響が分からない状況では容認できない」との声が出たことが報じられています。

国は流水型ダムの整備期間や完成時期を示していませんが、今年3月に策定した球磨川水系の治水対策の全体構想では、完成時期を「2030年以降」としていますので、先行きはまだわかりません。

 

川辺川ダム新方針 住民不安払拭できるのか

(熊本日日新聞  2021年12月09日 07:0)0) https://kumanichi.com/articles/492602

国土交通省が7日、球磨川支流の川辺川に計画する流水型ダムの概要を発表した。相良村四浦の旧川辺川ダム計画予定地に、旧計画と同規模のダムを建設する方針だ。完成すれば総貯水容量で国内最大の治水ダムとなる。

ダムの規模が明らかになったことで、計画は一歩前進した。今後は建設の是非や環境への影響について、より活発な議論が交わされることになろう。国とダム建設を要請した県は、住民の不安や疑問に真摯[しんし]に向き合い、情報を積極的に開示するべきだ。

新たなダムは、高さ107・5メートル、総貯水容量約1億3千万トン。構造は「アーチ式」から、ダム本体の重量で水圧を支える「重力式」に変更する。治水専用のため、多目的ダムだった旧計画より大きな洪水調節能力を備えることになる。

昨年7月の豪雨は、球磨川流域だけで50人が亡くなるなど甚大な被害をもたらした。国交省が最大限の治水効果を狙い、旧計画の規模を維持するとしたのもそのためだ。ただ、新たなダムに流水型という構造を採用する点に関しては、その規模も念頭に置いて妥当性を議論する必要がある。

水を常時ためる貯留型の旧計画とは異なり、流水型ダムには普段は水をためない。川底付近のダム本体に設けた穴から水を流し、洪水時だけ水をためる仕組みだ。そのため、流水型は貯留型に比べ、環境への負荷が小さいとされる。

しかし、国内の流水型ダムはいずれも規模が小さい。国内最大の流水型ダムとして建設中の足羽川[あすわがわ]ダム(福井県)も、総貯水容量は約2870万トンだ。川辺川新ダムの総貯水容量はその約4・5倍。巨大な流水型ダムは前例がなく、環境への影響は未知数と言わざるを得ない。

流水型という構造が、建設予定地や水没予定地を抱える相良村や五木村の村づくりの足かせとなる可能性もある。普段は水に漬からない土地をどう利用するのか。穴あき構造はアユをはじめとする魚の遡上[そじょう]などにどんな影響を及ぼすのか。土砂の堆積はどの程度生じるのか。住民が抱く疑問や不安に丁寧に答えない限り、「日本一の清流」を守りたいとする住民の不安は払拭[ふっしょく]できまい。

長年、ダムに翻弄[ほんろう]された五木村の振興策も道筋は見えていない。住民約500世帯が村内外に移転するなど人口減少が加速し、村の人口は千人を切った。「国や県に振り回され、疲弊する一方だ」という村民の思いは重く、合意形成は容易ではなかろう。

国交省は週明けにも有識者委員会の会合を開き、新ダム建設の法的根拠となる球磨川水系の河川整備計画の議論を本格化する予定だ。ダムは緊急放流という不安要素も併せ持つ。雨がどの程度降ったら緊急放流が必要となり、その際にダム管理者はどう対応するのか。協議の場では、ダム建設が住民にとってマイナスになるケースも明示し、住民の理解が深まるまで議論を重ねてもらいたい。

 

国内最大の治水ダム・地元には不安【熊本】

(日テレNews 2021.12.8 19:49) https://www.news24.jp/nnn/news100cfpc2wh0gr5e3kk2.html

熊本豪雨で氾濫した球磨川の流域治水対策が動き出す。国が表明したのは国内最大の流水型ダムを設置する方針だ。

熊本県の蒲島知事は8日「住民と確認しながら整備を進める仕組みを構築したい」と述べた。

建設方針が示されたゲート付き流水型ダムは、2020年7月の熊本豪雨で氾濫した球磨川流域の治水対策の柱として掲げられている。

建設場所はこれまでの計画と同じ相良村で、高さ107.5m、総貯水量1億3000万t、完成すれば国内最大級の治水専用ダムとなる。

国と県は7日、水没予定地を含む五木村と建設予定地の相良村を訪れ、ダムの方針について説明。

五木村の村長や議員からは「ダムの影響が分からない状況では容認できない」、「洪水調節については一定の理解はできるが、住民に

不安がある」などの声が上がった。

蒲島知事は今後も村の振興を支援するととに、地元に理解を得られるよう説明を続ける方針。

 

新ダム、従来計画地に 川辺川流水型で国方針

2021年12月4日
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蒲島郁夫・熊本県知事と国交省九州地方整備局の藤巻浩之局長が12月7日に五木村と相良村を訪問して新しい川辺川ダム計画の概要を説明するということで、ダム計画の概要が新聞に掲載されましたので、その記事を掲載します。

従前の川辺川ダム計画が治水専用の流水型ダムになるということだけですから、環境にやさしいとは思われません。

 

新ダム、従来計画地に 川辺川流水型で国方針

(熊本日日新聞2021/12/04 10:14)https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E6%96%B0%E3%83%80%E3%83%A0-%E5%BE%93%E6%9D%A5%E8%A8%88%E7%94%BB%E5%9C%B0%E3%81%AB-%E5%B7%9D%E8%BE%BA%E5%B7%9D%E6%B5%81%E6%B0%B4%E5%9E%8B%E3%81%A7%E5%9B%BD%E6%96%B9%E9%87%9D/ar-AARs0Qz?ocid=BingNewsSearch

昨年7月の熊本豪雨災害を受け、国土交通省が球磨川支流の川辺川に計画する治水専用の流水型ダムについて、建設場所を従来の川辺川ダム計画と同じ熊本県相良村四浦の峡谷とする方針を固めたことが3日、関係者への取材で分かった。上流にある五木村に大きな影響が及ぶため、蒲島郁夫知事と国交省九州地方整備局の藤巻浩之局長が7日、両村を訪問して新ダム計画の概要を説明する。

複数の関係者によると、新たな流水型ダムの規模は地形などの条件から川辺川ダム(高さ107・5メートル、総貯水容量1億3300万トン)と同程度とする方向で検討中。完成すれば、治水専用ダムとしては建設中を含めて国内最大級となる。

従来の川辺川ダムは貯水型の多目的ダムで、容量のうち梅雨から夏場の大雨に備える洪水調節用に8400万トン、農業や発電の利水用に2200万トン、土砂の堆積に2700万トンを割り当てる計画だった。

新たなダムは治水専用で、不要になった利水容量を洪水調節に使える。平時は川の流れをせき止めないため堆砂容量も少なくて済み、川辺川ダムと同程度の規模でもより大きな治水能力を持つ。

国は、従来の建設予定地が「地質や集水面積の大きさから適切な場所」(学識者懇談会)なのに加え、既に道路などの関連工事も進み、工期の短縮や費用の圧縮にもつながるとみている。

ただ、地元の五木村と相良村は長年ダム問題に翻弄[ほんろう]され、特に水没予定地を抱える五木村は川辺川ダム計画が事実上中止になって以降、「ダムなしの村づくり」を進めてきた経緯がある。このため県と九州地方整備局は再びダム計画を進めるに当たり、まずトップが足を運んで直接理解を求める必要があると判断した。

蒲島知事は球磨川の大水害を受けて2020年11月、環境負荷が少ないとされる流水型ダムの建設容認を表明。08年に川辺川ダム計画を「白紙撤回」した政治判断を転換した。その後、国や県、地元市町村は川辺川の新たなダムを対策の柱とする「流域治水プロジェクト」を今年3月に策定した。(流水型ダム取材班)

 

 川辺川の流水型ダム、従来計画地に

(読売新聞2021/12/04 15:00)https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20211204-OYTNT50073/

昨年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県・球磨川流域の治水対策として、支流の川辺川で検討している流水型ダムについて、国土交通省が従来の川辺川ダム計画の予定地(相良村)に、同程度の規模で建設する方針を固めたことが分かった。同省九州地方整備局の藤巻浩之局長と蒲島郁夫知事が7日、相良村と、水没予定地となる五木村を訪問して伝達する。

関係者によると、ダム建設に適した地形であることや、既に用地買収や道路などの関連工事が進んでいることを踏まえた。ダムの規模は、従来の川辺川ダム(高さ107・5メートル、総貯水量1億3300万トン)と同程度とする方向だ。

従来は治水と利水を目的とした多目的ダムで、治水分の洪水調節容量と利水分で計1億600万トンを備える計画だった。新たなダムは治水専用となることから、球磨川流域の自治体首長からは利水分も有効活用して治水効果を高めるべきだとの意見が出ていた。

川辺川ダム計画は旧建設省が1966年に発表。相良、五木両村の水没予定地からは500世帯以上が移転した。2008年に蒲島知事が白紙撤回を表明し、「脱ダム」を掲げる民主党政権が09年に中止したが、九州豪雨を受け、国、県、流域市町村は今年3月、流水型ダムを柱とする治水対策をまとめていた。

長崎・石木ダム予定地で工事ストップ求める「人間の鎖」

2021年11月26日
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11月25日は全国から支援者ら約230人が石木ダム建設予定地に集まり、「人間の鎖」を行い反対を行動で示しました。その記事とニュースを掲載します。

頼もしい人たちですね。

 

長崎・石木ダム予定地で工事ストップ求める「人間の鎖」

(朝日新聞2021/11/25(木) 21:00)

 

 「石木ダムは必要ない」反対集会で人間の鎖【長崎県川棚町】

(テレビ長崎2021年11月25日 木曜 午後7:20)https://www.fnn.jp/articles/-/276009

(映像あり)

東彼杵郡川棚町で建設が進む石木ダムを巡り、建設に反対する住民や支援者などが建設予定地で、ダム建設反対を訴える集会を開きました。

集会には、地元住民や支援団体など長崎県の内外から200人以上が参加しました。

長崎県は2021年9月からダムの本体工事を進めていて、11月からは県道の付け替え道路工事の新たな工区の整備にも着手しています。

重機の音が聞こえる中、参加者は「石木ダムは必要ない」「県知事は住民と対話を」などと思いを述べたあと、体をリボンでつなぐ人間の鎖で建設反対への意思を表しました。

ダム建設予定地の住民 炭谷 猛 さん 「今の状況では石木ダムは必要がないということを分かっている人が多いからこそ、こうして来られている。これからさらに(規模が)大きくなってくると思う」

参加者は、地元住民などが座り込みをしている場所も訪れ「木が切り倒され、以前とは全く違う」と現地の変化に驚きの声を上げていました。

  

長崎県 石木ダム反対住民・市民らが「人間の鎖」で抗議

(長崎放送2021/11/25(木) 18:44) https://news.yahoo.co.jp/articles/e552ff5f5fe537e6fbf9d2a72dcdcb3f5adb76eb

長崎県 石木ダム反対住民・市民らが「人間の鎖」で抗議

長崎県川棚町に計画されている石木ダムをめぐり、建設に反対する住民や市民ら200人あまりが25日、現地で水没予定地を「人間の鎖」で囲み工事の中止や計画の見直しを訴えました。 市民らおよそ230人が参加して人間の鎖を作り、住民との話し合いをしないまま今年9月に本体工事をはじめるなどダム建設を進める長崎県に抗議しました。 25日は4人の国会議員も参加。川棚町が選挙区で先の衆院選で当選した山田勝彦議員もダム見直しを訴えました。

山田議員「石木ダムの公共性については、もはや再検証が必要な時ではないか。地権者の皆さんの人権を第一に守るべき」 ダム反対住民の炭谷 猛さん「行政のやり方がおかしい。今の状況で石木ダムが必要ないんだということをみんながわかっている人が多いからこそこうして来られたし、今からでもどんどん大きくなっていくものと思います」 集会のあと参加者はダムに関連した道路工事現場で1000日以上抗議の座り込みを続けている地元住民らを激励しました。

 

石木ダム予定地で抗議集会 衆院議員ら230人超参加

(西日本新聞2021/11/26 11:30) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/837431/

ピンク色のテープを持つ「ニンゲンの鎖」でダム建設に抗議する参加者たち

石木ダム建設に反対する地元住民らでつくる「100人座り込み実行委員会」(炭谷猛委員長)は25日、川棚町川原地区の建設予定地で抗議集会「石木ダムを止めよう 100人あつまれ!川原の里へ」を開いた。住民や支援者、立憲民主党の衆院議員や共産党の県議など230人以上が参加した。

集会では、参加者が1人ずつマイクを持ち演説する「リレートーク」や、参加者が一列に並んでピンクのテープを手につくる「ニンゲンの鎖」を実施。参加者全員で、「石木川の清流を子どもたちに手渡したい」「川原の暮らしを守ります」などと「まもりびと宣言」を読み上げた。

炭谷委員長は「多くの人に集まってもらえてありがたい限り。これからの闘いの第一歩。今後はもっと500人、千人と人を集め、建設中止を訴えたい」と話した。 (才木希)

 

石木ダムは要らない」 反対派が人間の鎖 で抗議 川棚・川原地区

(長崎新聞2021/11/26(金) 11:00)https://news.yahoo.co.jp/articles/ddc773cc699daf0132a3a1d8e3b215664070084b

「人間の鎖」をつくって石木ダム建設に抗議する集会参加者=川棚町岩屋郷

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダムの水没予定地・川原(こうばる)地区で25日、建設反対を訴える集会「100人あつまれ!川原の里へ」があり、地元住民や支援者、国会議員ら計約230人が抗議の声を上げた。

住民や支援者らでつくる実行委が主催。他県のダム反対運動に取り組む人らも集まった。

石木ダムを巡っては2年前、川原地区住民の宅地を含む全ての用地が土地収用法に基づく明け渡し期限を過ぎたが、現在も13世帯が生活し、家屋撤去を含む行政代執行が可能な状況。県側は今年9月から本体工事に着手した。集会参加者は工事現場に向かって並び立ち、リボンで手をつないだ「人間の鎖」をつくり「ダムは要らない」とシュプレヒコールを上げた。

山田勝彦、末次精一両衆院議員(立憲民主党、比例九州)も参加。元滋賀県知事の嘉田由紀子参院議員(無所属、滋賀選挙区)は「科学的なデータを積み上げ、石木ダムの不要性を訴えよう」と呼び掛けた。

実行委の代表を務めた川原地区住民で、川棚町議の炭谷猛氏は取材に「石木ダム事業への疑問や反対を訴える多くの民意があることを示せた。今後この声は大きくなっていくと思う。さらに人数を集め、運動を発展させたい」と話した。

 

石木ダム ピンクリボンで「人間の鎖」 反対集会、全国から250人 /長崎

(毎日新聞長崎版 2021/11/26) https://mainichi.jp/articles/20211126/ddl/k42/040/322000c

県と佐世保市が川棚町に建設を進める石木ダムに反対の意思を示す集会「石木ダムを止めよう 100人あつまれ!川原(こうばる)の里へ」が25日、ダムの水没予定地であり、全国から約250人が参加した。建設にまい進する県を批判し、財産権を奪われても建設反対を続ける水没予定地の住民にエールを送った。【綿貫洋】

「石木ダム建設に反対する川棚町民の会」などでつくる「100人座り込み実行委員会」の主催。八ッ場ダム(群馬県)に反対してきた市民グループや野党の国会議員らが駆けつけた。

参加者が交代でマイクを握るリレートークで、千葉県の女性は「川原に平穏な、当たり前の暮らしが戻るよう持続可能な社会を目指さなければならない」と指摘。元滋賀県知事の嘉田由紀子参院議員は、同県でダム建設を中止した事例を挙げ「科学的データを積み上げて石木ダムの不要性を訴えていく」と述べた。

石木ダム本体工事を進める重機の音が響く中、参加者全員がピンクのリボンでつながる人間の鎖を作り、「川原の里山を守る」ことなどを盛り込んだ「まもりびと宣言」を採択した。

実行委員長の炭谷猛・川棚町議は「参加者には工事の進捗(しんちょく)状況と住民の闘いを見てもらえた。さらに民意を結集して大きくしていきたい」と語った。

〔長崎版〕

 

コロナ禍も給水量「横ばい」 石木ダム反対団体「水足りる」 佐世保市水道局 業務用低下で減収

2021年11月23日
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佐世保市水道の水需要が減り続けています。その記事を掲載します。

コロナ禍が水需要の減少に拍車をかけていますが、コロナが流行する前から佐世保市の水需要は確実な減少傾向になってきています。

 

コロナ禍も給水量「横ばい」 石木ダム反対団体「水足りる」 佐世保市水道局 業務用低下で減収

(長崎新聞021/11/22 10:00) https://www.oricon.co.jp/article/1702059/

佐世保市の給水量推移

 

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、同市は新型コロナウイルスを含む感染症対策で水源確保が重視され、「事業の必要性は高まる」と主張する。だが、コロナ禍が年中続いた2020年度の給水量は、外出自粛で生活用が増えた一方、経済活動の低迷で業務営業用が減り、全体量は前年度と同水準だった。ダムに反対する市民団体「石木川まもり隊」は「コロナ禍でも水は足りる。ダムの必要性は高まらない」と指摘する。
給水量は毎年秋ごろ確定。市水道局によると、20年度の給水量は前年度比0.7%減の約2428万トンで、ほぼ横ばいだった。
ただ、給水先はコロナ禍を反映。ステイホームの呼び掛けで市民の生活用は同2.8%上がった一方、業務営業用は同9.4%、工場用は同4.8%それぞれ下がった。時短営業要請に応じた飲食業や観光業などで給水が減り、景気の悪化が数字に表れた。
佐世保市では昨年12月、主なダムの貯水率が75%を割った。同局は渇水に備えて市民に節水を求めるか検討したが、新型コロナの「第3波」の最中で、「うがいや手洗いなどの感染予防に逆行しないか」と懸念が出た。一定の雨が降るという予測もあり、結局、節水の呼び掛けは見送った。
朝長則男市長は2月に本年度の施政方針を発表。石木ダム事業による水源確保について、感染症対策を含む公衆衛生の役割を明示し、「事業の必要性は高まる」と言及。国や県への施策要望書にも同様の主張を盛り込んだ。これに対し、市民団体は「コロナを利用して事業を進めようとしている」と反発した。
給水量について、市民団体の松本美智恵代表は「水需要は増えておらず、コロナとダムは結び付けられない」と指摘。こうした見方に、同局は「水源不足は続いている。感染症対策で、ダムに求められる役割は変わらない」と反論する。
一方、コロナ禍は水道事業に打撃を与えた。これまで市水道局の収益は人口減少と同様の割合で、毎年度1%程度ずつ縮小。だが、海外観光客が減り始めた19年度は前年度比2.1%、20年度は同1.5%とそれぞれ減少率が拡大。20年度の収益は前年度比で約8400万円少なかった。
同市の水道料金は、節水を促すため、給水量が増えるにつれて単価が高くなるよう設定。コロナ禍で単価が高い業務営業用の給水が下落し、「減収の一因となっている」(同局)。
減収に対し、松本代表は「今後、水道料金の引き上げにつながらないか」と不安視。「今考えるべきは、巨額を投じるダム事業を止め、支出を抑えることだ」と訴える。

熊本・川辺川ダム容認1年 焦る住民 治水・鉄道復旧、見通せず

2021年11月22日
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蒲島郁夫・熊本県知事が川辺川ダム建設を容認すると表明してから1年経ちますが、着工や完成時期は今も見通せず、遊水地などダム以外の治水対策の詳細も決まっていません。

球磨川の治水対策がはっきりしない現状についての記事を掲載します。川辺川ダム案がほかの有効な治水対策に代わること強く期待します。

 

熊本・川辺川ダム容認1年 焦る住民 治水・鉄道復旧、見通せず

(毎日新聞 2021/11/22 大阪朝刊)  https://mainichi.jp/articles/20211122/ddn/041/040/011000c

2020年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川の治水対策として、蒲島郁夫知事が支流の川辺川でのダム建設を容認すると表明してから19日で1年がたった。ただ、着工や完成時期は今も見通せず、遊水地などダム以外の治水対策の詳細も決まっていない。治水対策がはっきりしない中、球磨川沿いを走るJR肥薩線の復旧も手つかずのままで、住民は不安を募らせている。

球磨川や支流の氾濫で全家屋の約3割が全半壊した球磨村。豪雨から1年4カ月がたった今月、球磨川沿いにある村北部の神瀬(こうのせ)地区を訪れると、被災家屋の解体が進み更地が目立つ。上蔀(うわしとみ)修さん(65)も水没した平屋を6月に解体した。今は仮設住宅で暮らすがいつ戻れるか分からず焦りを隠せない。「ダムの完成まで何年かかるのか、国からも県からも説明はない。宅地のかさ上げも進まず、生活再建の見通しが立たない」

蒲島知事は08年、地元の反対などを理由に川辺川のダム計画を「白紙撤回」したが、九州豪雨を受けて姿勢を転換。20年11月19日、一般的な貯水型のダムよりも環境への影響が小さいとされる流水型でのダム建設を容認する考えを県議会で表明した。21年3月には国や県が、ダムを軸に遊水地の整備や宅地のかさ上げなど複数の対策を組み合わせた球磨川水系の「流域治水プロジェクト」を公表した。だが、着工時期のめどすら立っていないのが現状だ。

 

一方、国土交通省は9月、流域治水プロジェクトで示した全ての対策を講じても、20年豪雨と同規模の洪水があった場合には人吉市西部や球磨村などの中下流域で、ピーク時の水位が安全に水を流せる「計画高水位」を超えるとの想定を提示。「ダムができても被災する恐れがあるのか」。住民に大きな動揺が広がった。

過疎化に拍車がかかる事態も懸念される。豪雨直前に3510人いた球磨村の人口は、21年11月には256人減の3254人と7・3%減少。村の担当者は「特に若い世代の流出は村の衰退に直結する」と嘆く。

担当者の懸念の理由の一つが、熊本県八代市と鹿児島県霧島市を結ぶJR肥薩線のうち、運休している八代―吉松(鹿児島県湧水町)間86・8キロの復旧の見通しが立っていないことだ。

肥薩線は豪雨前から八代―人吉間だけでも年約6億円の赤字が出ており、JR九州は鉄道での復旧を目指すかどうかすら明らかにしていない。「本当に復旧する日は来るのだろうか」。球磨村の那良口(ならぐち)駅で、名誉駅長として清掃を続ける近隣住民の林エミ子さん(73)は、雑草に覆われた線路を不安げに見つめた。【城島勇人】

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