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衆議院総務委員会の議事録 立野ダムの問題 2016年5月24日

2016年6月4日
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5月24日の衆議院総務委員会で日本共産党の田村貴昭議員が立野ダムの問題を取り上げて国交省を追及しました。
その議事録が衆議院のHPに掲載されました。 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009419020160524017.htm

田村議員の質疑の部分を下記に転載します。

田村(貴)委員 通知の徹底と通知どおりの実践に、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、熊本地震を引き起こした活断層、断層について伺いたいと思います。
新たな断層、断層帯の発見が相次いで報告されています。広島大学の中田高名誉教授らの研究グループが、益城町中心部で新たな断層を発見したと報道されています。また、京都大学の林愛明教授らは、布田川断層帯が従来の認識よりも北東に七キロから八キロ長いことを突きとめたというふうにも報じられています。
お手元配付の資料1でありますけれども、この資料は、国立研究開発法人産業技術総合研究所、産総研による熊本地震に伴う地表地震断層の調査結果であります。この産総研から観測データを受ける政府地震調査研究推進本部にお伺いします。
この調査では、地表地震断層がたくさん確認されているわけですけれども、この点について御説明をいただけるでしょうか。
白間政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘のございました地震調査研究推進本部の、地震調査委員会においての評価についてのお尋ねでございます。
まず、地表地震断層でございますけれども、地震の発生時に断層のずれが地表まで到達をして地表にずれが生じたものを言っておりますが、この分布を調べることで、断層運動が地表のごく浅いところまで達している範囲を知ることができるものでございます。
この調査委員会におきましては、現地調査の結果によりまして、布田川断層帯の布田川区間沿いなどで長さ約二十八キロメートル、及び日奈久断層帯の高野―白旗区間沿いで長さ約六キロメートルにわたって地表地震断層が見つかっている、このように評価をされているところでございます。
田村(貴)委員 今まで私たちに知らされてきた活断層に加えて、新たな活断層がこれから発見される、それが確認されるという可能性もあるということでしょうか。
白間政府参考人 お答え申し上げます。
活断層の存在する可能性についてでございますけれども、活断層の可能性につきましては、過去の活動履歴の調査がさらに必要になってまいります。
熊本地震後に地表地震断層が確認された範囲に新たに活断層が存在する可能性につきましては、過去の活動履歴の調査がさらに必要なことから、現時点で活断層であるか否かといった確定的なことを申し上げることはできないところでございます。
田村(貴)委員 今回の地震を踏まえて、政府地震調査委員会は、ことし予定していた調査を変更して、布田川それから日奈久断層について再調査を行うというふうにお伺いしました。
その理由と調査の意義について御説明いただけるでしょうか。
白間政府参考人 地震調査委員会におきましては、全国の主要な活断層の調査をこれまでも行っておりまして、その調査結果などを活用して、長期的な地震の発生の確率、また規模などの評価を行ってきております。
今回の熊本地震では、布田川断層帯と日奈久断層帯のそれぞれ一部の区間の活動によるものと評価をされておりますけれども、この一連の地震活動は、今回活動したと評価される区間の周辺の区間にも及んでおり、引き続き地震活動の推移を注視しなければならない、こういった状況にございます。
こういったことから、今後の地震活動の長期評価に活用することを目的といたしまして、可能な限り早急に過去の地震活動などを調査して、改めて地震発生確率または規模の評価を行う必要がある。こういったことから、地震調査委員会におきましては、これらの断層帯について重点的な再調査を今年度から実施する予定にしているところでございます。
田村(貴)委員 非常に重要であるということがわかりました。再調査をしなければわからない、そして、調査をしないとその断層がどういう状態であるのかということも、わかりました。
資料の2は、地理院地図にある航空写真判読による布田川断層帯周辺の地表の亀裂分布図から、南阿蘇村立野付近をとったものであります。
国土地理院にお伺いをいたします。
この赤いドットと線の状態になっているところの亀裂というのは、地表地震断層なのでしょうか。御説明いただけるでしょうか。
越智政府参考人 お答えいたします。
国土地理院では、地震による被害規模の早期把握を行うため、地震の発生後に撮影しました地上解像度約二十センチの航空写真を用いまして、布田川断層帯の周辺を中心に、地震により生じたと推定されます地表の亀裂を判読したところでございます。
その判読した亀裂には、今回の地震による断層のずれが地表にあらわれたものだけではなく、斜面の崩落等により生じたもの、地震の揺れや地盤の液状化によって生じたものなどがございます。
そして、航空写真による判読は、発災状況の迅速な把握には有効であるものの、その精度には一定の限界があることや、詳細な現地踏査を行っていないことから、全ての亀裂について、それぞれを、断層のずれが地表にあらわれたものかどうかを明確に区別することは難しいものと考えているところでございます。
田村(貴)委員 それでは、こうした亀裂が地表地震断層であるのか、断層の種類はどう突きとめていくのか、今後これをどうやって判別していくのか、分析していくのかということについて教えていただきたいと思います。
越智政府参考人 お答えいたします。
亀裂の判読につきましては、航空写真の活用に加えまして、無人航空機、いわゆるドローンでございますが、それが撮影した画像を用いることによりまして、さらに詳しく判読をすることができます。
例えば、国土地理院が南阿蘇村河陽地区及び黒川地区において判読した事例では、亀裂が平たんな農地や道路を縦断して並んでいるもの、また道路や土手などで明らかに横ずれが起きているもの、あるいは亀裂が幾つも斜めに並んでいるものは斜面の崩落によって生じた亀裂ではないものと考え、地表にあらわれた断層のずれとして判断したところでございます。
一方、平たんでない場所につきましては、判読されました亀裂が斜面崩壊によるものか地表にあらわれた断層のずれによるものかを見きわめることは容易ではなく、航空写真や無人航空機の画像などでこれらを明確に区別することは難しいと考えているところであります。
また、その亀裂が活断層であるか否かは、今後、専門家による詳細な調査によって判断されるものと考えております。
田村(貴)委員 今後、専門家による詳細な調査が待たれるといったことが確認できました。
震度七を二回記録して未曽有の被害が広がった熊本地震。今後の防災のためにも、地震のメカニズムの解明、原因となる活断層、断層群の調査はこれからだ、大変重要であることがよくわかりました。
そこで、国土交通省に、国土交通省が建設を進めようとしている立野ダムとの関連でお伺いをいたします。
新たな活断層の可能性が指摘される中で、国土交通省は、これまで、布田川断層帯は立野ダム建設予定地の近くまで連続していないとしてきました。熊本地震の後に活断層等々についての調査は行われたんでしょうか。いかがでしょうか。
野村政府参考人 お答えをいたします。
立野ダムにつきましては、まず、従前の現地調査などにより、いわゆる活断層を含めた約二百六十万年前以降に活動した根拠のある断層、すなわち第四紀断層がダム本体直下に通っていないことを確認しています。
具体的には、布田川、日奈久断層帯の中で最もダム本体に近い北東部に位置する北向山断層がダム本体から約五百メートル離れた位置に存在しますが、しかしながらダム本体方面には向かっていないことを把握してございます。
さらに、今先生お尋ねございましたとおり、今回の熊本地震の発生を受け、地震発生直後からこれまでに、ダムサイト及び周辺の目視による現地調査、さらにはドローンによる上空調査等を実施してきているところでございます。
これらの調査によりまして、まず、ダム本体から上流側約五百メートル離れた位置で、既知の北向山断層に沿って、つまりダム本体には向かわない方向に約七十センチメートル程度のずれが生じている、ダム本体部分にはずれは生じていないとの状況を把握しておりますが、これらの状況は先ほど申し上げた従前の調査結果と矛盾するものではないと考えてございます。
田村(貴)委員 今、文科省それから地理院の方から御説明いただいたんですけれども、詳細な調査がやはり現地において行われる、それは一定の日数を要するものだということであります。
被災後、地震後に、航空写真、それからドローン、目視、これで見た、大丈夫だったと。それで本当に私たちを説得し得ると言われるんでしょうか。納得できるでしょうか。
資料3は、立野ダム建設現場付近の写真であります。ちょうど左下の部分、ここの部分にダムサイトが建設されるわけなんですけれども、この写真を見ていただいて、えらいことになっているなと。ここに本当にダムなんかつくって大丈夫なのかと、多くの方がこの地震後指摘されています。
私も、現地まで、まだ下まで入り切れませんけれども、行って本当にびっくりしました。立野ダムの資材置き場や取りつけ道路は、土砂崩れで足を踏み入れることもできません。
それから、仮排水路の出口付近の重機それから工事車両は土砂に押し潰されているんですよ。これは、あの二回の地震が昼間だったら、国交省の関係者、建設従業員の方、確実に犠牲者が出ていたという状況であります。
ダムの貯水池を囲む右岸部の柱状節理が崩落しているのもうかがえます。表層の弱い部分を中心に崩落が発生していると国交省もこの間、大臣はお認めになりましたね。崩落している。
平時でも落下している非常に脆弱な地盤です。この柱状節理に、脆弱だからコンクリートを流し込んでそして強度を高めるというんですけれども、そんなもので本当にコンクリートの塊のダムを両岸から支えられるのか。私は、これは無理ではないか。多くの県民の方がそうおっしゃっています。
そこで、きょうは宮内国土交通大臣政務官にお越しいただいております。
多くの科学者や研究機関が、震災後熊本に入って地質調査、断層調査を行っています。新たな活断層の発見も指摘し、そして報道もされています。こうした布田川断層帯の新しい解明が今から望まれるときに、国交省は、そうした知見を無視して、これから工事を続行していこうとするんでしょうか。
ここは私は政治判断が求められると思うんですよ。ここはやはりじっくり調査をすべきだというふうに思いますけれども、政務官、いかがでしょうか。
宮内大臣政務官 お答えをさせていただきます。
ダム建設に当たりましては、大規模な地震時にもダム本体直下の地盤に段差が生じるようなことがあってはならない、そういう観点から、ダム本体直下に、いわゆる活断層を含めた約二百六十万年以降に活動した根拠のある断層、すなわち第四紀断層が通っていないことを確認することといたしております。
立野ダムにおきましては、従来の現地調査等によりまして、第四紀断層がダム本体直下に通っていないことを確認いたしております。
さらに、地震発生後の調査により把握した状況は、従前の調査結果と矛盾するものではありませんでした。
立野ダムの安全性に問題はないと考えておりますが、今回の熊本地震の規模が大きかったことを踏まえまして、今後、有識者を交えました詳細な調査を行うこととしております。その中で、第四紀断層がダム本体直下に通っていないことについても改めて確認することといたしております。
田村(貴)委員 今、政務官がおっしゃったことの、確認したことは、過去、地震前に確認したことを踏襲しているということと、それから、地震の直後にいわゆる簡単な調査によってまた確認できたというような状況であります。
そして、今政務官がおっしゃったように、この地震を踏まえて、新たに断層について調査をされる。これは大いにやっていただきたい。しかも、第三者的に、あらゆる知見、それから調査機関をやはり委嘱もして、地震対策本部が委嘱をして、そして専門の調査機関によって調べていただく、これをやっていくべきだというふうに思います。
それまでは、やはり一旦ダムの建設工事は凍結する、最低限凍結する、そういう立場で臨んでいただきたいと思いますけれども、工事は進めていくんですか。政務官、いかがなんですか。
宮内大臣政務官 立野ダムにおきましては、今後、有識者を交えた詳細な調査を行うこととしておりまして、先ほど申し上げましたように、この中で、第四紀断層がダム本体直下に通っていないことにつきましても改めて確認することといたしております。
なお、地震調査研究推進本部による調査につきましては、結果が明らかになった時点で、その内容に応じまして適正に対応してまいりたいと思っております。
田村(貴)委員 産業技術総合研究所の吉見雅行主任研究員らの調査グループが、西原村の大切畑ダムとそれから阿蘇大橋との関係において、立野ダム近くに活断層がある可能性が高いといったことを指摘し、報道もされています。
やはり日本を代表するこの知見にぜひとも耳を傾けていただきたい。そして、全ての事実が明らかになるまでは、こうした危険な建設はやめる、工事は凍結する、そして、ダムをつくるべきではないといったことを私は強く申し上げておきたいというふうに思います。

衆議院国土交通委員会の議事録 立野ダムと設楽ダムの問題 2016年5月10日

5月10日の衆議院国土交通委員会で日本共産党の本村伸子議員が立野ダムと設楽ダムの問題を取り上げて国交省を追及しました。
その議事録が衆議院のHPに掲載されました。 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009919020160510012.htm

本村議員の質疑の部分を下記に転載します。

衆議院国土交通委員会

第12号 平成28年5月10日(火曜日)

本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。
本日も、熊本地震の関連で質問をさせていただきたいと思います。
地震の被害で亡くなられた方々に心から哀悼の意を申し上げたいと思います。そして、被害に遭われた全ての皆様に心からのお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
今回の地震では、白川が流れる阿蘇の外輪山の部分で大きな崩落が起きました。国道五十七号線、そしてJR豊肥本線、阿蘇大橋も崩落した土砂で覆い尽くされる、そうした甚大な被害となりました。今なお行方不明の方がいらっしゃる現場でございます。
被害は深刻で、先ほども御議論がありましたけれども、復旧も並大抵なことではないというふうに思います。この国道の五十七号線、そしてJR豊肥本線、阿蘇大橋など、どうやってこの地域、復旧していく見通しを持っているのかという点、改めてお示しをいただきたいというふうに思います。
金尾政府参考人 今回の熊本地震では、多くのインフラが被災しており、道路、橋梁、鉄道等についても大きな被害がございました。
特に南阿蘇村の阿蘇大橋地区では大きな崩落が生じまして、国道五十七号、三百二十五号や、JR九州豊肥線が通行どめや運転休止となっております。このため、大規模な斜面崩壊が発生した阿蘇大橋地区においては、直轄砂防による斜面対策を実施することとしたところでございます。
また、被災の規模も大きいことから、斜面の安定化と国道五十七号及び国道三百二十五号、JR九州豊肥線を一体的に整備することが必要と考えておりまして、熊本県からの要望も踏まえまして、国道三百二十五号阿蘇大橋についても直轄代行により整備を行うことを昨日決定したところでございます。
土砂災害については、二次災害防止のため、特に被害の大きい南阿蘇村の山王谷川地区等の土砂掘削や、土のう設置等の梅雨時期に備えた応急工事の実施、緊急度の高い千百五十五カ所の危険箇所の点検を実施し、結果を県、市町村に報告、地震による地盤の緩みを考慮し、土砂災害警戒情報の発表基準を引き下げた運用などの対応を行っておるところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き全力でインフラの早期復旧に努めてまいります。
本村(伸)委員 この大規模な斜面崩壊があった阿蘇大橋の約二・五キロ下流には、立野ダムの本体予定地がございます。
資料をお配りしておりますけれども、住民団体の皆さん、立野ダムによらない自然と生活を守る会という皆さんが、「熊本地震直後の立野ダム予定地周辺現地調査報告書(速報)」というものを出されておりまして、それを資料として出させていただいております。
そのダムの予定地の周辺も、数々、地すべりが起きております。工事車両も埋まったそうですけれども、まず、この地震による立野ダム建設にかかわる被害と、そして崩落の原因についてお示しをいただきたいと思います。
金尾政府参考人 立野ダム建設予定地近傍の南阿蘇村河陽観測所において震度六強という非常に強い地震が発生をいたしまして、土砂崩落等の被害が生じました。
立野ダムの本体の建設予定地及び湛水予定地においては、地震発生直後からこれまでに空中写真等による調査を実施しております。
これまでの調査によれば、ダム本体が建設されます予定地付近においては、ごく一部に小規模な崩落が認められるものの、両岸の基礎岩盤の崩落や変状は認められておりません。
また、貯水池の河岸では、先ほど委員の方から地すべりというお話がございましたけれども、表層の弱い部分を中心に崩落が発生をしておりますが、ダムを建設する上で問題となるものではないというふうに考えております。
なお、河川内にアプローチする工事用道路の一部が土砂により埋没したり、工事車両等が河川内に取り残されている状況なども確認しておりますが、今後速やかに復旧することとしております。
本村(伸)委員 働く人たちが巻き込まれてもおかしくない被害だったというふうに思います。
被災地の皆さんからは、立野ダムどころではないんだ、立野ダムに使うお金があるのであれば被災者支援の方にお金を回してほしいという切実なお声が聞こえてまいります。
国交省はこれまで、住民運動の皆さんが崩落の危険があると指摘をしても、立野ダムの予定地の岩盤は十分強度がある、立野ダム建設を行う上で特に考慮する活断層は存在しない、こう言っておりました。そして、地すべりは起こらない、こういうふうに主張されてきたと伺っております。
この立野ダム予定地の岩盤は十分な強度がある、立野ダム建設を行う上で特に考慮する活断層は存在しないと言ってきたわけですけれども、大臣は、これまで言ってきたこと、間違いだったとは思わないんでしょうか。
石井国務大臣 立野ダムにつきましては、これまでの地質調査等の結果を踏まえ、ダム高が九十メートル級の重力式コンクリートダムの建設が可能な地盤であることを確認しております。
地震への対応という面では、大規模な地震時にもダム本体直下の地盤に段差が生じるようなことがあってはならないとの観点から、ダム本体直下に、いわゆる活断層を含め、第四紀断層、約二百六十万年前以降に活動した根拠のある断層が通っていないことを確認しております。
具体的には、布田川、日奈久断層帯の中で最もダム本体に近い、北東部に位置する北向山断層がダム本体から約五百メーター離れた位置に存在をし、かつ、ダム本体方面に向かっていないことを従前の調査により把握をしております。
また、ダム本体の耐震性につきましても、近傍で断層等により強い揺れが生じても安全な構造とすることとしております。
さらに、地すべりということでありますが、今回の地震によりまして表層が一部崩落をしたところはございますけれども、いわゆる湛水に伴う地すべりの発生については、これまでの調査ではその可能性は認められておりません。
これらのことから、立野ダムの安全性には問題はないと考えております。
本村(伸)委員 これだけ被害が周りであっても安全だというふうにおっしゃっているんだと思いますけれども。
住民の皆さんが地震の後現地に入って調査をされたわけですけれども、資料に出しております裏のページを見ていただきたいんですけれども、横ずれ断層を確認しているというふうに言われております。これも想定内だったんでしょうか。
金尾政府参考人 写真に示されております段差、ずれ、これが断層であるかどうかということについては定かではございませんが、先ほど大臣が答弁いたしましたとおり、活断層については、空中写真判読、あるいは文献の調査、加えて現地の調査を行いまして、ダム本体に向かって、あるいはダム本体直下には断層はないということを確認しているところでございます。
本村(伸)委員 ボーリング調査では、ダムの基礎地盤及び周辺の地質を調べます、地盤の水の通しやすさを調べます、地盤のかたさ、強さを調べます、ダムの基礎となる岩盤の強さを調べますというふうに言ってやってきたわけですけれども、こうした立野ダム予定地近くで崩落が起きるということは想定内だったんでしょうか。
金尾政府参考人 先ほどから答弁していますとおり、今回、立野ダムの湛水池周辺の河岸において表層の一部崩壊が生じてございますけれども、これはダムの建設にとって大きな問題にはならないものと考えてございます。
本村(伸)委員 立野ダム関係で、ボーリング調査を横坑、縦坑とやっていると思いますけれども、それぞれ何メートルのものを何本掘ったかということを資料として提出していただきたいというふうに思います。
そして、大丈夫だと言っていた判断の基礎となる調査を、どの調査、どの分析で行ったのかというのを明らかにしていただきたいのと、その調査分析は、どこの事業者が幾らで請け負ったのかということの資料をお願いしたいというふうに思います。
金尾政府参考人 手元に資料はございませんので、後ほど対応させていただきたいと思います。
本村(伸)委員 地元の皆さんからは、国は、治水対策のためにこの立野ダムが必要だ、こういうふうに言うけれども、今大規模な崩落がある中で真っ先にやってほしいのは、土砂が川に流れ込んで、それがたまって川底が上がって、雨が一旦降れば水位が上がるんじゃないか、それによって水害が起こるんじゃないかという心配の声でございます。
ダムよりも、一刻も早く、周りの土砂が川に流れることがないように流出をとめてほしいという声が上がっておりますけれども、この声に応えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
〔委員長退席、小島委員長代理着席〕
金尾政府参考人 大規模な斜面崩壊が発生した阿蘇大橋地区、その他にも幾つか斜面崩壊が発生してございますけれども、そういう地区におきましては、いまだ斜面に不安定なまま土砂の多くが残っておりまして、今後の降雨等により下流へ土砂が流出するおそれがございます。
これらの箇所については、砂防堰堤等の整備あるいは地すべり対策等について、現在、阿蘇大橋地区につきましては直轄事業で実施してまいりますが、その他の地区につきましては熊本県が検討を進めておるところでございます。国土交通省としても、技術的、財政的支援に努めてまいりたいと考えております。
これらの事業により、不安定土砂の対策を進め、崩壊斜面等から河川へ流出する土砂の軽減を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
本村(伸)委員 国土交通省の立野ダム工事事務所の担当者の方が、現時点では着工時期などがおくれるほどの影響があるとは考えていないということを業界紙に語っておりますけれども、工事車両が埋まっても、工事用道路が埋まっても、周辺に大規模な崩落があっても、働く人たちのリスクがあっても、現時点では着工時期などがおくれるほどの影響があるとは考えていないと考えているのでしょうか、大臣にお伺いをしたいと思います。
金尾政府参考人 現在、立野ダムの工事現場につきましては、一部で崩落が生じておるということと余震が続いているということで、現地に入れないような状況でございます。
今後、現地に入れるようになったら、つぶさに調査をいたしまして、着工時期についての検討も行ってまいりたいというふうに考えております。
本村(伸)委員 では、この立野ダム工事事務所の担当者が言っているのは正確じゃないということですね。
金尾政府参考人 担当者の発言について私は承知しておりませんけれども、先ほど申しましたとおり、現場の状況は申しましたとおりでございますので、この現場の状況を踏まえまして、今後の着工あるいは施工をどうしていくかについてよく検討してまいりたいというふうに考えてございます。
本村(伸)委員 少なくとも国土交通省がこれまで立野ダムの地盤について言ってきたことと、そして、今回の地震の被害について公開の場で検証する、そういう場をつくっていただきたいというふうに思います。そして、検討の資料と結果の資料を提出していただきたいというふうに思いますけれども、大臣、ぜひ検証の場をつくっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
石井国務大臣 立野ダム建設事業につきましては、これまでも、例えばダム検証のプロセスを通じて情報の開示に努めるなど、透明性を確保しながら事業を実施してまいりました。
最近でも、平成二十四年十二月以降、現地説明会等を八十六回開催するなど、御指摘の地質に関する情報も含め、必要な説明を行ってきております。
今後とも、必要に応じて住民の皆様からの疑問に丁寧に答えていくなど、引き続き適切に説明責任を果たしていきたいと考えております。
本村(伸)委員 ぜひ検証の場を公開でつくっていただきたいという質問なんですけれども、ぜひ検討をお願いしたいと思います。大臣、お願いします。
石井国務大臣 今後とも、必要に応じまして、引き続き適切に説明責任を果たしていきたいと思っております。
本村(伸)委員 この立野地区にある九州電力の水力発電所の黒川第一発電所では、発電所に使う水をためる貯水槽のコンクリートの壁が崩落して、貯水槽につながる水路も壊れてしまった。これが原因だと言われておりますけれども、大規模な土砂崩れが起きて、住民の方がお二人、それに巻き込まれて亡くなられたということもございました。
こうした被害を出さないためにも、全国、今あるダムについても、活断層との関係、地震との関係で、再調査、そして総点検をするべきだというふうに思います。
とりわけ、これからつくろうとしているダムについては、全国各地で、地盤が弱いということについては、住民の皆さんから、あちこちから声が上がっている場所が幾つもございます。
地盤が脆弱だと指摘をされているわけですから、やはり今からつくろうとしている直轄ダムや補助ダムについても、活断層や地震との関係について全て再調査して総点検するべきだと思いますけれども、大臣、答弁をお願いしたいと思います。
〔小島委員長代理退席、委員長着席〕
石井国務大臣 国土交通省所管のダムの建設に当たりましては、大規模な地震時にもダム本体直下の地盤に段差が生じることがあってはならないとの観点から、ダム本体直下に、先ほど申し上げた第四紀断層が通っていないことを確認することとしております。
また、ダム本体の耐震性につきましても、近傍で断層等により強い揺れが生じても安全な構造とすることにしてございます。
このように、国土交通省所管のダムについては、地震に対する安全性を十分確保しているところでございます。
なお、国土交通省所管のダムでは、今回の熊本地震を初め、東日本大震災や阪神・淡路大震災などの過去の大地震におきましても、管理上支障となるような大きな被害やダム本体の安全性に影響を及ぼすような変状は発生をしておらないことも申し上げたいと存じます。
本村(伸)委員 私の地元の愛知県に今から建設されようとしております設楽ダムも、地盤が脆弱だとずっと指摘をされております。もともと地盤が悪いということで、電源開発がダムを建設することを断念した地域でございます。
私も、五月二日に改めてこの現場へ行ってまいりました。現在、設楽ダム本体の建設予定地の左岸側ですけれども、ボーリング調査が行われております。
そこで伺いたいんですけれども、今までもボーリング調査を何本もやっておりますけれども、今までのボーリング調査と今やっている地質調査、横坑の調査というのはそれぞれどう違うのかという点、説明をお願いしたいと思います。
金尾政府参考人 平成二十一年度までに行ったボーリング調査、これの調査等については、ダム本体の位置の検討や基礎岩盤の強度の確認などを行うために実施してまいりました。
その結果、百三十メーター級のダムの建設に対して基礎岩盤が十分な強度を有することを確認しております。
さらに、平成二十六年度以降に行っているボーリング調査あるいは横坑の調査でございますが、これにつきましては、基礎掘削の深さの詳細な確認など、ダム本体設計の精度をより高めていくために実施しているものです。
引き続き地質調査を進め、その結果を最終的なダム本体設計に反映することとしております。
本村(伸)委員 設楽ダム本体の接岸予定部分とダム湖に接する斜面で、大きく崩落している場所があります。国土交通省はその地点のボーリング調査を行っているというふうに思いますけれども、ぜひその調査結果をお示しいただきたいというふうに思います。
そして、住民の皆さんからは、この設楽ダムの予定地の周辺、崩落した部分のボーリング調査からわかったこと、そして、課題、対策について住民の皆さんに詳しい報告がないという中で、不安が募っております。
先ほども申し述べましたけれども、今やっている地質調査とそして大きく崩落している場所のボーリング調査について、住民の皆さんに結果の公表など、国交省とやりとりができるような住民の皆さん向けの説明会を開催するべきだというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
石井国務大臣 設楽ダムのダムサイトのボーリング調査等の結果につきましては、これまでに地元説明会を七回開催するとともに、定期的に発行している広報誌に掲載するなど、地元住民の方々に説明を行ってきたところであります。
現在実施中の追加のボーリング調査等につきましても、調査結果が取りまとまった段階で、必要に応じて地元住民の方々に説明をしてまいります。
本村(伸)委員 そもそも、ボーリング調査の範囲が狭過ぎるという指摘もございます。
四点述べたいんですけれども、一点目が、設楽ダム予定地の右岸側、二重山稜と言われる松戸の地域なんですけれども、ここの調査では、川側の斜面しか調べていないんじゃないか、すべり面が見つかる可能性がある住宅地側の斜面とか、あるいは田んぼのあるくぼ地の地下などは全く調査していないのではないかという指摘がございます。この点を調査するべきだと。
二点目ですけれども、設楽ダムの予定地の左岸側、ダム湖を背にする田口の地域ですけれども、この田口側の斜面のボーリングが全くされていないのではないかという指摘がございます。
具体的には、西貝津とかシウキとか中島とか大久保の地域には住宅が建ち並んでおりますけれども、かなりの急斜面で、これまでも過去に何度も地すべりを起こしている地域でございます。ダム湖の水が地下に浸透すれば、大きな地すべりが起き、大きな被害が出るのではないかというふうに予測されている地域ですけれども、ここのボーリングも全くされていないという問題が指摘をされております。これが二つ目です。
三つ目ですけれども、設楽ダム予定地の左岸側の田口の市街地。ここは設楽町の中でも一番人口が集中している地域で、ダムができるすぐ近くなわけですけれども、設楽ダムは、ダムの満水時にはダム湖の湖面と標高差が少なくて、しかも水の浸透が心配をされている。大きな地震があればすぐに田口の町なんかが、地震が来れば液状化するのではないかという心配の声もございます。こうした問題についても、こういう地でボーリング調査を行っていないじゃないかという指摘がございます。
四つ目ですけれども、田口の地区は昔から地下水があちこちで湧き出してくるところですけれども、この地下水脈の調査が不十分だという指摘がございます。地下水の流れはダム湖の水の漏水にも大きくかかわる問題で、もっと詳しく調査を行うべきだというふうに言われております。
今、四点、調査するべきだということを申し上げましたけれども、やはり、住民の皆さんの暮らしとか、安心、安全とか、そういうものを守るためにも、こういう心配な声があるわけですから、ぜひ調査するべきだというふうに思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
金尾政府参考人 四点の御指摘がございました。
まず、松戸地区でございますけれども、松戸地区はダムの最高貯水位よりもかなり高い標高のところにございます。それと、松戸地区につきましては、町側の方でボーリング等の調査をしていないという御指摘でございましたけれども、川側の方でボーリングの調査をしておりまして、そのボーリング調査の結果から、ダムの最高貯水位よりも現在の地下水位がかなり高い、そういう結果を得ております。
そういう結果を鑑みますと、ダムに貯水をした場合にも、松戸の集落の方に地下水が上昇したりするなどの影響は考えられないというふうに考えております。まず、松戸についてはそういうことでございます。
田口地区につきましては、市街地等につきましてもボーリング調査や現地踏査を実施しているところでございますけれども、こちらの方も、ダムの最高貯水位よりも地盤の標高が高い、それから地下水位も標高が高いということを確認しておりまして、このため、ダムに貯水をした場合にも、斜面の安定や地下水位に影響を与えるものではないというふうに判断をしておるところでございます。
また、湧水の点もございましたけれども、これについても、調査する中で湧水を確認しておるところでございますけれども、先ほど申しましたとおり、ダムの貯水によって地下水位への影響が想定されないという状況でございますので、湧水への影響も考えられないというふうに考えているところでございます。
このような結果につきましては、これまでも地元説明会や広報誌において地元住民に説明しておりますけれども、今後、必要に応じて地元住民の方々に丁寧に説明してまいりたいというふうに考えてございます。
本村(伸)委員 さまざま、住民の皆さんから、調査していないじゃないかという御指摘があるわけですから、その声を真摯に受けとめていただいて、調査をしてその結果を示していただきたいというふうに思います。
次に、設楽ダムのフルプラン、利水の問題について伺いたいというふうに思います。
豊川水系のフルプランについては、二〇一〇年の六月三十日、名古屋地方裁判所における設楽ダム公金支出差しとめ請求事件の判決の中でも、「豊川水系フルプランの基礎となった愛知県需給想定調査の水道用水及び工業用水の需要想定には、平成二十七年度における実際の需要量がその需要想定値に達しない可能性が相当高いという問題があることは確かである。」というふうに、過大な水需要を見込んでいることが認められました。
豊川水系のフルプランでは、計画が立てられたのは二〇〇六年で、そして目標の年が二〇一五年でございました。既に二〇一六年になっているわけですけれども、豊川水系のフルプラン、二〇一五年の目標だったこのフルプランについて、実績と、どうだったのかということをオープンな形で検証するべきだというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
北村政府参考人 お答えいたします。
水資源基本計画、フルプランでございますけれども、計画変更を行うに当たりましては、いわゆる全部変更の計画変更でございますが、計画を総括的に見直し、その妥当性について評価を行う、いわゆる総括評価を実施することとされてございます。
今後、豊川水系フルプランの計画変更を予定してございまして、その計画変更を行うに当たりましては、総括評価を適切に実施していくということとしております。
本村(伸)委員 総括評価というのは、どの場でやるということになるんでしょうか。
北村政府参考人 お答えいたします。
まず、総括評価でございますけれども、総括評価につきましては、二〇〇一年七月に、水資源に関する行政評価・監視の勧告ということで、総括評価を実施する旨勧告を受けているところでございます。それに従いまして、総括評価を全部変更の際には行うということでございます。
具体的には、水資源開発分科会がございますけれども、そのような場で、あるいは部会の場で資料を提出し、委員の方々に御検討いただくというふうなことでございます。
本村(伸)委員 その部会についてちょっとお伺いしたいんですけれども、二〇一二年の三月十九日、愛知県の豊橋市で国土審議会の水資源開発分科会豊川部会が開催され、私も傍聴したんですけれども、そのときには、今回は、全部変更した豊川水系フルプラン策定後五年たったので、計画達成度など点検することが目的で開かれたんだというふうに言っておりました。
しかし、私もその点検を期待していたんですけれども、その後一回も開かずに、この点検は行われませんでした。なぜやめることになったのか、理由をお示しください。
北村政府参考人 お答えいたします。
フルプランにつきましては、おおむね五年を目途に計画の達成度の中間点検を行うこととしております。
豊川水系フルプランにつきましても、国土審議会水資源開発分科会豊川部会を二〇一二年三月に開催をいたしまして、中間点検を開始いたしたところでございます。
一方、東日本大震災や笹子トンネル事故の教訓、地球温暖化に伴う気候変動など、顕在化する新たなリスクや課題に対応するため、二〇一三年十月に、国土審議会水資源開発分科会調査企画部会で、今後の水資源政策のあり方についての審議を開始いたしました。
そのようなことがございまして、豊川水系フルプランの点検につきましては、この答申で示される新たな方向性を踏まえた内容で実施することが適当と判断したところでございます。
今後、この答申の方向性を踏まえまして、総括評価を適切に実施することにより、計画の点検を行ってまいりたいと存じます。
本村(伸)委員 これまで四年間放置をしていたのは、やはり私は怠慢だというふうに思います。
この豊川水系のフルプランについては、予測と実績がどうだったのかということをしっかりと検証し、今後に生かしていかなければいけないというふうに思います。
そこで伺いますけれども、この豊川水系フルプランの水道用水の一日平均給水量の二〇一五年の需要予測はどのくらいで、最新の数字で実績はどのくらいだったのか、また、一人一日平均給水量、二〇一五年の需要予測はどのくらいで、最新の実績はどうだったのか、そしてもう一つ、利用量率と負荷率についてもお伺いしたいんですけれども、まず、利用量率、負荷率について住民の皆さんにもわかりやすく御説明をしていただいた上で、利用量率、負荷率の予測値と最新の実績値をそれぞれお示しいただきたいというふうに思います。
北村政府参考人 お答えいたします。
まず、利用量率でございますが、利用量率は、河川などの取水地点から取水した量に対する給水量の割合でございまして、年間給水量を年間取水量で除した値でございます。送水や浄水場における漏水等の損失水量の指標となります。
負荷率についてですけれども、負荷率は、一日最大給水量に対する一日平均給水量の割合で、一日平均給水量を一日最大給水量で除した値でございます。給水量の変動をあらわしておりまして、施設効率を判断する指標となります。
フルプランにおけます二〇一五年度における需要予測値について順番に御説明いたしますが、需要想定値につきましては、一日平均給水量が二十六万八千トン、一人一日平均給水量が三百六十三リットル、利用量率が九二・三%、負荷率が七九・一%となってございます。
一方、最新の実績値でございますけれども、二〇一四年度の値となりますけれども、一日平均給水量が二十三万三千トン、一人一日平均給水量が三百二十リットル、利用量率が九九・七%、負荷率が八八・五%でございます。
本村(伸)委員 結局、フルプランの二〇一五年の予測値は、一日平均給水量が二十六万八千トンだと予測をされておりましたけれども、二十六万八千トンではなく、実際は二十三万三千トンであった。過大な見積もりがされていたということがこのことからもわかる。一人一日平均給水量についても、予測は三百六十三リットルだった、しかし実際には三百二十リットルであったということで、過大な予測であったということが明らかだというふうに思います。利用量率や負荷率についても過大に、今後水開発が必要だということを示すための数字になっていたということが明らかだというふうに思います。
今聞きました水道用水の一日平均給水量、水道用水の一人一日平均給水量、そして水道用水の利用量率、負荷率、この三つとも、過大に見積もって、三重の過大な見積もりをして、設楽ダムが必要だということを示すような中身になっていたというふうに思います。これからも人口が減っていくわけですから、しっかりと見直していかないといけないというふうに思います。
この水道用水の一日平均給水量、水道用水の一人一日平均給水量、水道用水の利用量率、負荷率、三つとも、次の豊川水系フルプランになるのかわかりませんけれども、見直しの際に実績を踏まえたものにするべきだというふうに思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
石井国務大臣 フルプランの計画変更に当たっては、地域における水需給の実情を踏まえることは当然であるというふうに考えております。
その上で、水需給の実情を踏まえた上で、さらに、水インフラの老朽化への対応、大規模災害時の水の安定供給、地球温暖化に伴う気候変動の影響、危機的渇水への対応といった将来のリスクや課題についても十分に考慮する必要がございます。
豊川水系フルプランの計画変更に当たっては、こういった考え方にのっとって適切に進めていきたいと考えております。
本村(伸)委員 豊川用水の二期事業なんですけれども、大規模地震対策は、まだ達成度が三六・三%という実態がございます。こういうことをもっと真剣にやっていただきたい、やっているとは思いますけれども、もっと早急にやっていただきたいということを申し述べさせていただきたいというふうに思います。
こうした過大な見積もりによってダムを計画する、この点、見直していただきたいということを申し述べ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。

滋賀・丹生ダム「中止妥当」 近畿整備局、方針原案に明記

2016年5月21日
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淀川水系の丹生(にう)ダムが検証案のとおり、中止になるという記事を掲載します。

全国のダム検証の結果はほとんど事業推進の記事ばかりですので、中止の記事を読むとほっとします。
丹生ダムはかつては高時川ダムという名称でした。今から30年以上前のことですが、当時のダム問題等の全国組織「河川湖沼と海を守る全国会議」としてダム予定地を訪れたことがあります。
その後、ダム予定地の住民が移転しましたが、2000年代になってから、利水予定者である大阪府、京都府等が撤退を表明し、淀川水系流域委員会が中止すべきであるとの意見書を出しました。
今回のダム検証で、治水目的は河道整備の方が有利ということで、丹生ダムは中止することになりました。
同じ淀川水系でも大戸川ダムは治水専用の穴あきダムとして推進の結論を得ようとしていますが、これは事業者の違いも影響しているのではないかと思います。
大戸川ダムは国交省が事業者であり、治水専用ダムになっても、国交省が事業を続けることができますが、
一方、丹生ダムは水資源機構が事業者であり、水資源開発の目的がなければ、水資源機構が事業者であることはできません。
利水予定者が撤退した現状において、もし継続するとすれば、直轄ダムとしてダム計画をもとから作り直さなければなりません。そのことも丹生ダム中止の要因になっていると思います。
その点で、同じ淀川水系で事業が推進されようとしている川上ダムも、事業者が水資源機構です。川上ダムも利水予定者の奈良県、西宮市が撤退しましたが、三重県伊賀市のみが残りました。
もし、伊賀市も撤退すれば、水資源開発の目的がなくなり、水資源機構は川上ダムを建設することができなくなります。伊賀市の参画が水資源機構にとっての命綱になっているのです。

しかし、伊賀市は川上ダムの水源なしで将来とも何も困ることはありません。

滋賀・丹生ダム「中止妥当」 近畿整備局、方針原案に明記

(京都新聞2016年05月18日 23時20分) http://www.kyoto-np.co.jp/shiga/article/20160518000180

 滋賀県長浜市余呉町の高時川上流で計画されている丹生ダムについて、事業主体の近畿地方整備局と水資源機構が今年3月、検証手続きの中で正式に「中止」を盛り込んだ対応方針の原案をまとめ、滋賀県も了承と回答したことが18日、分かった。

 同整備局は、これまで治水対策などで「ダムは有利ではない」としていたが、原案で初めて「中止が妥当」と明記した。今後、同整備局が対応方針案をまとめ、最終的には国土交通省が中止を決定する。

 中止後の河川整備は県が進めるが、原案では姉川と高時川での掘削や堤防のかさ上げが妥当との方向性を示し、渇水で川の流れが途切れる「瀬切れ」対策では魚類の一時避難場所を確保するとした。中止後の地域振興策は「関係機関とともに実施する」と記した。

 同整備局に対して、県は長浜市の意見を聞いて4月28日に原案了承の回答を提出した。同時に4項目の要望書を出し、県が進める河川改修に対する国の財政支援を求め、道路整備をはじめとする地域振興策では国による事業の実施を要請した。

 丹生ダム検証では2014年1月、同整備局などが事実上の中止方針を示していた。中止後の対応に関する地元と整備局、県、市の協議が長期化していたが、今年1月に住民でつくる対策委員会が地域振興策などを意見書にまとめたことを受け、対応方針の原案が固まった。

城原川ダム建設 解説 住民へ丁寧な説明を

2016年5月15日
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城原川ダムの検証について九州地方整備局と流域自治体が協議する「検討の場」が5月11日に開かれ、「事業継続が妥当」という検証結果になりました。

しかし、流水型ダム(穴あきダム)である城原川ダムは、大規模洪水時に目詰まりを起こして治水機能を失ってしまう恐れが十分にあります。

この問題を取り上げた佐賀新聞の記事を掲載します。

この流水型ダムの問題は、城原川ダム検証のパブコメへの意見で指摘しましたので、http://www.qsr.mlit.go.jp/n-kawa/kensyo/05-jyoubarugawa/160511-genan_an/houkokusyo_siryo/03_kankeijyuumin.pdf の3ー27~ページをご覧ください。

城原川ダム建設 解説 住民へ丁寧な説明を

(佐賀新聞2016年05月12日 09時52分) http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/310690
 予備調査着手から45年もの間、紆余曲折を経た城原川ダム問題は、県を含む地元自治体が「ダム案」を了承したことで建設に大きく動いた。ただ、知事らが同意したとはいえ、事業を進める側の国交省が運営した検証作業の客観性を疑問視する声も漏れる。代替案のコスト計算の基準などが明確に示されず、説得力ある説明があったとは言い難い。

 2005年に流水型ダムという自然放流する新たな工法を佐賀県が提案し、前進したかに見えたが、09年に「コンクリートより人へ」を掲げた民主党政権が誕生すると事業が見直し対象になった。改めて安全性やコスト、環境など多角的な視点から他の治水対策と比較、検証されたが、結局は流水型に落ち着いた。

 環境を重視した流水型は、今回の議論では「150年に1度の洪水」でも唯一効果を発揮するとされた。しかし、益田川ダム(島根県)や西之谷ダム(鹿児島県)など全国でも数える程しか前例がなく、すべて2000年代以降の建設。大規模洪水時の機能も十分に実証されていない。

 ダムによらない他の治水対策を主張する市民の理解を得るためにも、今後も安全を最優先に計画の具体化を図り、丁寧に説明する姿勢が肝要だ。

流水型ダムの断面図(モデルは島根・益田川ダム)

失敗事業へ向かう道 石木ダム 長崎新聞 論説

2016年5月13日
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5月11日、長崎県は形振り構わず、石木ダム予定地のすべての土地を強制収用するための裁決申請を行いました。この長崎県のやり方を長崎新聞の論説ga厳しく批判下をました。

長崎新聞 論説 2016年5月13日

失敗事業へ向かう道  石木ダム

川棚町に計画される石本ダムは1975年の事業採択から40年。82年の強制測量という失態によって、この事業は迷路に入り、長い時間がすぎてしまった。現在も完成していない責任の相当部分は県にある。
県は11日、反対地権者9世帯の家屋を含む約9万平方㍍の未買収地を、県収用委員会に裁決申請した。これで反対地権者13世帯の土地と家屋に対する裁決申請が全て終わり、強制収用に必要な手続きは収用委員会による裁決だけとなった。
収用委が受理すれば、裁決の手続きが始まる。裁決された場合、家屋を含む土地は180日以内に、含まない土地は60日以内に県に明け渡さなけれぱならなくなる。
この計画は失敗公共事業へと向かっている。反対する地権者が頑強に抵抗している。完成すれば巨大な自然破壊となる。だが理由はそれだけではない。
基盤整備が遅れた地方にとって、公共事業は地域のまちづくりに貢献し、住民の暮らしをより良くし、一面では経済の刺激にも役立ってきた。長崎県は戦後こうして発展してきた。今後もそれは続く。しかしこの事業は、やり方を間違っている。
ダムの必要性の説明が不足している。その状態で強制収用を実施する構えをとるのは全く許されない。この2点で、この事業は手法を誤っていると言わざるを得ない。
県事業である以上、佐世保市と川棚町だけの問題ではない。県の説明相手は県民であることを忘れないでほしい。
大型事業は程度の差こそあれ、自然を壊す。それでも必要性に異論がない事業は容認されてきた。この事業の必要性には大きな疑義が出ている。国が必要だと認めるだけでは足りない。県は、県民に説得力のある説明をできているのか。少なくともその切実度は理解されていない。
強制収用が現実味を増す中、反対地権者は脅されている心持ちだろう。重要なのは、見守っている大勢の県民にも、県が地権者を脅して押し切ろうとしているようにしか映っていないことだ。単に法に従って手続きだけを進めるような行政の在り方を見せられると、いったいどこを向いて仕事をしているのかと言いたくなる。
まず水の問題について、県民の理解が広がるようにしてほしい。現在と今後の佐世保市の水事情の逼迫を、県が県民に説明する努力が必要と感じる。防災対策についても同様である。
既に問題は反対地権者らによって法廷に持ち込まれている。たとえ造っても、手法を間違えた公共事業を成功とは呼べない。強制収用の手続きを止め、状況を緩和する努力に全力を注ぐときだ。(森永玲)

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