水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

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民主党政権のせいで鬼怒川は氾濫したのか(事実誤認)

2015年9月16日
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民主党政権で公共事業費が削減されなければ鬼怒川は氾濫しなかったという話が出ることがありますが、これが全くの事実誤認です。その記事を掲載します。

 日本の公共事業費は http://www.mlit.go.jp/common/001101205.pdf のとおり、民主党政権の前から減り続けているのです(最近の自民党政権で増加)。

そして、スーパー堤防についても誤解があります。民主党政権で事業仕分けでスーパー堤防が廃止になったこと(その後、縮小して復活)が鬼怒川決壊につながったというような話も出ていますが、これも全くの誤りです。
もともとのスーパー堤防計画は、利根川、江戸川、荒川、多摩川、淀川、大和川の本川のみを対象としており、鬼怒川のような支川は関係ありません。
そして、2010年10月の行政刷新会議の事業仕分けでスーパー堤防が事業廃止となりましたが、国交省の巻き返しで翌年2011年12月に縮小して復活しました。これも民主党政権下でありました。そして、その後の自民党政権で、江戸川区では住民立ち退きの強権的なスーパー堤防工事が進められてきました。
なお、スーパー堤防計画の縮小というのは上記河川の延べ要整備区間を総延長873kmから119kmに縮小したものですが、もともとの873kmは利根川・江戸川を例にとれば、河口部から小山川合流点(埼玉県深谷市と熊谷市の市境付近)までの両岸を全部、スーパー堤防にするというもので、本当に荒唐無稽なものでした。総延長873kmをスーパー堤防にするためには、何百年はおろか、何千年という歳月が必要というものでした。
そして、119kmに縮小されましたが、これとても現実性がありません。実現するためには何百年という歳月と数十兆円以上の公費が必要です。
このように非現実的で、愚かなスーパー堤防事業に固執し、安価な堤防強化工法を導入しようとしない国交省の姿勢が変らない限り、今回のような決壊事故が再び起きることが予想されます。

民主党政権のせいで鬼怒川は氾濫したのか

(BLOGOS2015年09月15日 21:03) http://blogos.com/article/134073/
藤田哲朗
鬼怒川の氾濫は近年稀に見る大水害で、まずは被災された方にお見舞い申し上げたい。

ライフラインの復旧はまだ時間がかかりそうだが、応急復旧も進み、排水作業も急ピッチで進んでいると聞く。

ちょっと落ち着いたからか、SNSなどで「民主党政権で公共事業費削減されなければ鬼怒川氾濫しなかった」みたいなことを言ってる人をけっこう見かける。

まあ確かに破堤箇所は堤防整備のための用地買収をしていた段階だったので、仮に事業が進んでいてここが整備されていたとしたら、被害がもう少し減らせた可能性はまったくゼロではない。ただ、それが民主党のせいなのか? というと懐疑的で、政権交代前から公共事業費は削減されまくってたわけで、なんでもかんでも民主党のせいにするのはどうなんやろ、という気がするし、そもそも、ちょっと予算上積みしたっていったいどれだけの事業進捗になったのか、という話もある。

国管理河川のうち堤防が完成しているのは6割しかない

意外に思われるかもしれないが、全国の国管理河川全体のうち、堤防が完成している延長は全体の6割でしかない。決壊した鬼怒川を含む利根川水系も62%しか整備されていない。日本全国の1級水系のうち、社会経済に与える影響が大きいとされている国が管理しているところでさえ、4割の堤防は計画高に至っていないのだ。

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しかも、当然ながら堤防整備は昨日今日始まった事業ではない。治水は弥生時代から人類の歴史と歩をともにしてきており、治水の歴史は人類の歴史といっていい。まあ、石器時代と現在では治水計画の規模も思想もまるで異なるので、そこを起点に考えるのはアンフェアだとしても、近代土木技術が日本に導入された明治時代から数えても150年。1世紀半にわたってコツコツと継続してきた結果が、現状6割という数字だということをまず認識することが必要だ。

治水事業は超長期のプロジェクト

また、土構造物である堤防は土を盛った後の圧密沈下が落ち着くまで時間がかかるので、技術的にもステップ・バイ・ステップで時間をかけて整備をしていかざるを得ない、という特性もある。

さらにいえば、一時の脱ダムブームや河川環境への影響、用地買収など、事業化するには数多くの社会的ハードルがあり、予算をバンバンつければ堤防がバンバンできる、という風にはいかない宿命がある。

おそらく、すべての堤防が完成する日は私たちが生きてるうちには到来しないだろう。治水事業は超長期のプロジェクトで、数十年から100年規模で事業をどうするか考える性質のものだ。確かに予算が多くつけば単年度の施工範囲は広げられるかもしれないが、仮にピーク時並みに予算が3倍になったとしても、すぐに60%の整備率が100%になるという話にはならない。

要は、堤防整備はコツコツと長い長い時間をかけないと完成することはない宿命にあるということだ。そうである以上、「予算削減なかりせば・・・」というのは後出しじゃんけん的な議論でしかない。もしも今回の破堤箇所の整備が終わっていたとしても別の箇所で破堤していた可能性だってある。

東日本大震災の教訓はどこへいった

そもそも、堤防やダムというインフラ側だけで治水が全部解決する、なんて発想自体がポスト3.11時代になじまないのではないか。「インフラでの対応には限界があり、計画規模を超える災害は起こりうる」というのが東日本大震災の教訓ではなかったか。堤防整備は当然に今後も着々と進めていく必要があるが、東日本大震災の教訓も含め、予算バンバンつければ万事解決、というような短絡的な話ではない。ハードの整備が終わるのを待っていたら自分は死んでしまう。「絶対安全な殻」は待っていても出来ないのだ。

「ハードは当面、未完成」であることを前提にした上で、生命と財産を守るためのソフトをどう構築するかを考えなくてはならない。

県が立ち入り調査断念 石木ダム、収用手続きは続行 [長崎県]

2015年9月8日
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石木ダム事業で、長崎県は7日、土地収用のため未買収地を測量する立ち入り調査を断念しました。その記事を掲載します。
そして、県は既存の資料を用いて調書を作り土地収用手続きを進める考えを示しました。
これに対して、地権者の岩下和雄さんは「私たちがここにいる限りダムはできない。県は事業認定を取り下げ、私たちと向き合って話をしてほしい」と述べ、徹底抗戦の姿勢を貫いています。
 地元住民は「私たちの衣食住を踏みにじってまでダムが必要か。古里を残すためなら命は惜しくなか」と、決死の覚悟でダム事業の白紙化を訴えっています。

県が立ち入り調査断念 石木ダム、収用手続きは続行 [長崎県]

(西日本新聞2015年09月08日) http://www.nishinippon.co.jp/nnp/nagasaki/article/193723
(写真)抗議を続ける地権者や支援者に、立ち入り調査の断念を告げる県石木ダム建設事務所の古川章所長(右)
抗議を続ける地権者や支援者に、立ち入り調査の断念を告げる県石木ダム建設事務所の古川章所長(右)
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業で、県は7日、土地収用のため未買収地を測量する立ち入り調査を断念した。
県は2日から7日までの平日4日間、調査を予定していたが、最終日のこの日も地権者らの抗議で調査できなかった。
石木ダム建設事務所の古川章所長は「このような状況では土地、物件の調書作成は困難」と述べ、既存の資料を用いて調書を作り土地収用手続きを進める考えを明らかにした。
県は一部の未買収地の収用手続きを先行させていて、今回の調査対象はダムの水没予定地にある家屋や農地など残りの約9万平方メートル。
この日、県職員ら約80人が3ルートに分かれ調査に訪れたが、地権者らが横断幕やプラカードを掲げ立ち入りを阻止した。
取材に応じた地権者の岩下和雄さん(68)は「私たちがここにいる限りダムはできない。県は事業認定を取り下げ、私たちと向き合って話をしてほしい」と話した。

県が立ち入り断念 石木ダム

道路を塞いで、県の現地調査を阻む地権者ら(右側)

  (写真)道路を塞いで、県の現地調査を阻む地権者ら(右側)

県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は7日、2日から試みていた未買収用地(約9万平方メートル)への立ち入りを断念した。建設反対派の阻止行動を受けて着手できなかったもので、県は今後、別の手法で用地の調査を行う方針。

 県によると、今回の調査は、9世帯の家屋や公民館を含む未買収用地を収用するための裁決申請に向けた作業の一つで、補償額の算定に向け、土地の測量や家屋の構造などを調べる予定だった。

 この日、県職員や作業員らが、午前と午後の2回にわたり、3か所から立ち入りを試みた。しかし、反対地権者らが横断幕やプラカードを持って道路に立ちふさがって阻止した。その後、報道陣の取材に応じた県石木ダム建設事務所の古川章所長は「4日間で状況が変わらず、調査は断念した。他の知り得る情報を用いて調査していく」と語った。

 県はこれまでの収用手続きでも反対派の阻止で立ち入り調査ができなかったが、国土調査法に基づいて作成された図面を代用するなどして裁決申請した。今回も同様の手順をとるとみられる。

 反対地権者の岩下和雄さん(68)は「県の考えは強引すぎる。ダムをつくらせないという考えは変わらないので、まず私たちと向き合ってほしい」と話している。

石木ダム:県測量 反対派、3日連続阻止 「古里を残すために」 /長崎
(毎日新聞長崎版 2015年09月05日)http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20150905ddlk42010360000c.html

県と佐世保市が川棚町川原地区に計画中の石木ダム事業で、県は4日、反対地権者9世帯の宅地など建設用地約9万平方メートルの測量調査を試みたが、前日と前々日に続いて反対派の阻止行動を受け、着手を見送った。
調査期間(7日までの平日)が残り2日間となり、県側は県職員を9人増員。計84人で午前と午後の計2回、3ルートに分かれて調査対象地への進入を試みたが、いずれも待ち構える反対派に阻止され、断念した。
川原地区入り口に立つ反対派の監視小屋、通称「団結小屋」の前では、県側約10人と反対派約40人がにらみ合う中、地区に住む岩下すみ子さん(66)が「どがんしたらダムを止められますか。お願いですから断念して」と涙ながらに土下座し、県職員に懇願した。
さらに、収用手続きや県道付け替え工事を進める県の姿勢に対し「私たちの衣食住を踏みにじってまでダムが必要か。古里を残すためなら命は惜しくなか」と決死の覚悟でダム事業の白紙化を訴えた。【梅田啓祐】
〔長崎版〕

測量調査着手 再び見送り
(長崎新聞2015年 9月4日) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150904-00010004-nagasaki-l42
(写真)強制収用反対を訴え、県職員(右)の立ち入りを阻む反対地権者ら=3日午前9時33分、川棚町
測量調査着手
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画している石木ダム建設事業で、県は3日、反対地権者のうち9世帯の家屋と土地などの収用裁決申請に向けた測量調査のため現地に立ち入ろうとしたが、前日に続き地権者らの阻止行動を受け、見送った。
県は土日を除き7日まで調査を試みる。
県側は75人態勢で午前と午後の計2回、3ルートに分かれ調査区域(約9万平方メートル)に入ろうとした。
しかし、反対地権者らも約70人が3班に分かれルート上で待ち伏せ。県側の進入を許さなかった。
県石木ダム建設事務所(同町)の古川章所長は3日午前9時半ごろ、石木川下流域の通称「団結小屋」前で反対派と向き合い、「(前日の阻止行動で)皆さんの強い拒否の姿勢は認識した」と述べながらも、「法に基づく調査。最初の方針通り、7日までの調査をお願いします」と要請した。
反対地権者の代表格、岩下和雄さん(68)は「私たちは土地を取られないようにという思いが強い。絶対に入らせません」と宣言。
ほかの地権者からも「土地強奪のための調査だ」と批判する声が次々と起こり、古川所長らは約10分で引き返した。

石木ダム県調査できず 家屋含む予定地 地権者ら阻止
(読売新聞長崎版2015年09月03日)http://www.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/news/20150902-OYTNT50142.html

(写真)横断幕やプラカードを持って、県の現地調査を阻止する地権者ら(奥)
横断幕やプラカードを持って、県の現地調査を阻止する地権者ら(奥)
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は2日、未買収用地を新たに収用するための裁決申請に向け、ダム建設に反対する地権者の所有地への立ち入り調査を試みた。しかし、地権者や支援者の阻止行動を受け、この日の作業を断念。県は3日も調査を試みる方針だが、地権者側はこれまでと同様に阻止行動を続ける構えを示している。
県によると、今回の調査対象は、ダム建設に伴う水没予定地などの約9万平方メートルで、9世帯の家屋や公民館を含む。補償額を算定する目的で、土地の測量や家屋の構造などを調べる。
2日は、県職員や委託業者ら計75人が午前9時半頃に現地に到着し、3か所から用地に入ろうとした。しかし、地権者らが横断幕やプラカードを持って道路に立ちふさがった。
このため、県側は「事業を進める必要がある。正当な補償のため、調査をさせてほしい」と理解を求めたが、地権者側は「ダム建設に同意していない」と立ち入りを拒否。県側は午後も調査を試みたが、地権者らの阻止行動が続き、着手できなかった。
県は今回の調査期間を7日までとしており、県石木ダム建設事務所の古川章所長は「説得は難しいかもしれないが、県の方針通りに手続きを進める」としている。
一方、反対地権者の岩下和雄さん(68)は「ダムは必要ないという私たちの気持ちに県は応えていない。まずは話し合いをするのが先だ」と憤った。
同事業を巡っては、県が8月、県収用委員会の裁決に基づき、反対地権者の土地約5400平方メートルを収用。4世帯の家屋を含む別の3万平方メートルについても、同委員会が裁決手続きの開始を決定している。県はこれらの土地でも、地権者の反対で現地調査ができなかったため、国土調査法に基づいて作成された図面を代用するなどして同委員会に裁決申請した。

石木ダム、初の強制収用(農地の一部) 長崎新聞の正論

2015年8月26日
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長崎県は8月25日、石木ダム予定地のうち、反対地権者4世帯の農地約5500平方メートルの所有権が国に移転したと発表しました。

石木川まもり隊から送っていただいた長崎新聞の記事を掲載します。長崎新聞2015年8月26日(440KB)

その中で、下記の解説が正論を述べています。

石木ダム、初の強制収用

(長崎新聞2015年8月26日)http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2015/08/26085754018287.shtml

県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は25日、反対地権者4世帯の農地約5500平方メートルについて、土地収用法に基づき所有権が国に移転したと発表した。同ダムの建設用地が強制的に収用されたのは1975年の国の事業採択以来初めて。反対地権者が現住する家屋などを含む土地の収用に向けた裁決手続きも同日までに開始され、地権者の反対運動で膠着(こうちゃく)状態にある同ダム建設問題は緊張をはらんだ重大局面に入った。
反対地権者側は「一方的な土地の強奪だ」と反発を強めており、支援する弁護団は法的対抗措置も検討している。
所有権の移転登記は同日、県職員が長崎地方法務局佐世保支局に申請、受理された。県収用委員会の裁決に基づき、24日の明け渡し期限だった1世帯の畑約300平方メートルと、10月30日が期限となる3世帯の水田など約5200平方メートルで、所有権は反対地権者から国に移った。今後、県が管理するという。
会見で県土木部の木村伸次郎政策監は「もう公有地になった。植えてある野菜は撤去するよう求め、新たに植えることは論外」と述べた。
25日に裁決手続きが開始されたのは、ダム本体予定地内にある4世帯の宅地(約2千平方メートル)のほか田、畑、山林の計約3万平方メートル。今後、県収用委の審理(公開)が開かれる。
また県は、7月31日に裁決手続きの保留を解除したダム貯水池予定地内にある9世帯の宅地(約9千平方メートル)などの計約9万平方メートルについて、裁決申請に向け9月2日から立ち入り調査を実施することも明らかにした。県は調査で裁決申請に必要な土地調書や物件調書を作成したい考え。反対地権者側はこれまで行われた立ち入り調査を拒否している。

【解説】
石木ダム建設が公共の利益に資し、時代の要請に応える事業なのかどうか、疑問を感じる県民が少なくない中で、県は反対地権者の土地を初めて強制的に取り上げた。
県は、国による事業認定の”お墨付き“を盾に今回の強制収用を正当化しているが、反対地権者との話し合いに向けた努力を怠る中でこうした強権的な手法を用いることは、いくら理論武装したところで「下策」と言えよう。
今後は農地だけでなく、反対地権者が実際に住んでいる家屋の収用手続きも控えており、さらなるあつれきが出るのは必至だ。
25曰の会見で県側は、今回権利が移転した農地に反対地権者が立ち入った場合について「他人の土地(公有地)に勝手に作物を作られても困る」と強調。
県側の言勣は既に従来の「お願い路線」から耘換しており、家屋の収用の際は行政代執行が避けられない見通しだ。
石木ダム諭争は.力のせめぎ合いに委ねる性質の問題ではなく、客観的デー夕に基づく合理性が求められる。
40年来決着しないのは事業主体である県が、反対地権者のみならず県民にその合理性を示せないことに根本的原因がある。
1982年の機動隊を導入した強制測量に続く強制収用。強制しないと造れないのは「失政」を認めているようなものだ。
(報道部・豊竹健二)

城原川ダム「弊害大きい」 知事に建設反対の要望書、市民団体 [佐賀県]

2015年8月25日
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8月24日、「城原川を考える会」の佐藤悦子さんらが山口祥義・佐賀知事と面談し、「流域住民として調査検討を重ね、ダムに頼らなくても治水はできる、ダム建設の方が弊害が大きいとの結論を得た」とする城原川ダム建設反対の要望書を提出しました。

その記事を掲載します。


「考える会」知事に要望 城原川ダムによらない治水

(佐賀新聞2015年08月25日)http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/222472

国の事業見直しの対象になっている城原川ダム(神埼市)をめぐり、ダムによらない治水対策を探る市民グループ「城原川を考える会」の会員らが24日、佐賀県庁で山口祥義知事と面会した。流水型ダムの計画に懸念を示し、約400年前から流域に残るという先人の治水技術を生かした「流域治水」の実現を求めた。

 佐藤悦子代表(神埼市千代田町)ら7人が訪れ要望書を手渡した。雨水をダムにためるのではなく、成富兵庫茂安の治水事業の名残とされる「野越し」などの機能を現代の技術で補強、再構築し、流域全体で受け持つ方策を提言した。「流域治水でやれば命は取られない」と説明し、想定を超える洪水にも対処できる地域になると強調した。

 山口知事は「洪水に対する備えをしっかりしないといけないという思いは同じ。不安を少しでも和らげることに尽くしたい」と述べた。また、事業主体の国土交通省九州地方整備局と流域自治体とでつくる「検討の場」での協議の行方について、「さまざまな意見の中で、流域に一番いい計画が示されるものだと思う」という認識を示した。

 考える会は、流域全体の視察も要望した。山口知事は明言を避けたが、面会後の取材に対し「私も(現地を)見たことはあるけれど、皆さんの解説を聞きながら行く機会があってもいい」と答えた。
(写真)ダムによらない治水対策を求める要望書を山口祥義知事(右)に手渡す「城原川を考える会」の佐藤悦子代表=佐賀県庁ダムによらない治水対策を求める要望書を山口祥義知事(右)に手渡す「城原川を考える会」の佐藤悦子代表=佐賀県庁

城原川ダム「弊害大きい」 知事に建設反対の要望書、市民団体 [佐賀県]

(西日本新聞2015年08月25日) http://www.nishinippon.co.jp/nnp/saga/article/190774o

建設計画が凍結中の城原川ダム(神埼市)について、市民団体「城原川を考える会」(佐藤悦子代表)は24日、山口祥義知事と面談し、「流域住民として調査検討を重ね、ダムに頼らなくても治水はできる、ダム建設の方が弊害が大きいとの結論を得た」とする建設反対の要望書を提出した。

 城原川ダムをめぐっては、国は5月に関係自治体と必要性について協議する「検討の場」を開催。治水目的のダム建設案に加え、ダムによらない治水策5案について比較検討することを明らかにしている。

 佐藤代表は、城原川に残る、上流域の堤防の一部を低くして水かさが増した河川を意図的に氾濫させ、下流域を守る「野越し」を紹介。「ダムでは限界を超えた場合、より大きな被害がでる。(野越しなどの)知恵を生かして利用してほしい」と求めた。

 山口知事は「洪水への備えをしっかりするという思いは同じ。いろんな方々の思いを一緒に考えていきたい」と述べた。

 

長崎県公共事業評価監視委員会  石木ダム事業の継続を認める

2015年8月24日
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8月24日に開かれた長崎県公共事業評価監視委員会が県の石木ダム工期延長案を容認しました。まことに残念な結果です。

市民側は委員たちに事前に下記資料を送付して、県の主張の誤りを委員たちが理解するように努めました。

◇「石木ダムの治水代替案が採用されないカラクリ2015年8月
ブックレット掲載の治水・利水面の補足2015年8月

複数の委員が市民側の論点に沿った質問をいくつもしましたが、しかし、それに対する県河川課企画官の説明が専門的で、それ以上反論することができなかったようです。

委員の一人は「専門家ではないので出された情報をどう読み取っていけばいいのか。我々では能力が足りない。専門家を交えた議論の中でお互いに合意に至っていただきたい」と述べたとのことです。
そのような発言を受けて、答申には「反対地権者の理解や納得が得られるよう話し合いを求める」との意見を加えるということですので、この委員会の意見を県が真摯に受け止め、話し合いの場を持つよう、市民側が粘り強く要請していくことになります。
石木ダムストップの闘いはこれからです。

長崎県の配付資料

第4回長崎県公共事業評価監視委員会配付資料

マスコミ報道

◆長崎 公共事業評価監視委員会

(NHK2015年08月24日 19時20分)  http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5034220431.html?t=1440415574011

長崎県が行う公共事業の妥当性を評価する県の委員会は、24日の会議で川棚町に計画されている石木ダムの事業について審議した結果、事業の継続は認めるが、地元住民の理解を得て進めるべきだとする意見書をまとめる方針を決めました。 県の公共事業評価監視委員会は完成まで時間がかかっている公共事業について有識者などが事業の妥当性を評価し、継続すべきかどうか知事に提言する組織です。 24日の会議では、県が完成までの工事期間を6年延長する方針を示した石木ダム事業が議題となりました。 県側は事業目的の1つである治水対策について、川底の掘削や堤防のかさ上げなどの代替案との比較をコスト面などで行いながら、100年に1度の雨に備えるためダム建設が必要であると主張し、委員からも必要性を否定する意見は出ませんでした。 ただ事業に反対する地権者がいることから、委員長を含めた3人の委員から「地元の理解なくして事業を進めるのは妥当ではない」という意見が出されたため、委員会は事業の継続は認めるが、地元住民との話し合いを行い理解を得て進めるべきだとする意見書をまとめる方針を決めました。 委員会は早ければ来月にも意見書をまとめ、中村知事に提出する予定です。 公共事業評価監視委員会の中村聖三委員長は、「地権者の方が納得していないことが大きい。責任者である知事と話し合いたいという地権者の意見は当然。委員会の意見を最大限尊重してしてもらいたい」と話していました。

◆石木ダム「事業継続」知事に答申へ 監視委

(読売新聞長崎版2015年08月25日)http://www.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/news/20150824-OYTNT50107.html

県などの公共事業の妥当性を審議する知事の諮問機関「県公共事業評価監視委員会」(中村聖三委員長、7人)は24日、石木ダム建設事業について「事業の必要性自体を否定することはできない」として事業継続を知事に答申することを決めた。 ただ、反対派地権者との対立が続いていることを重くみて、地権者と県が話し合いの場を持つなどして解決を目指すよう強く求める意見を付けた。委員会事務局の県建設企画課によると、意見欄には通常は、継続の場合は「原案通り認める」などと結論だけしか記載しないという。 委員会終了後、報道陣に対し、中村委員長は「地権者から納得されていないことが大きい。話し合いでどの程度(反対派との溝が)埋まるか、県はもう一歩努力してほしい」と語った。 この日の審議では、県の建設目的である治水について討論。「利水を含め、総合的に判断できる場がほしい」などの意見が出された。 中村知事は「委員会からの答申を待ちたい」とするコメントを出した。
◆20150825委員会追認と強制収用を報じる現地各紙

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