報道
石木ダム完成2022年度に 長崎県、時期延長の方針示す
◎長崎県配付資料
委員名簿 pdf 53kb 中村委員長は前回の石木ダム事業再評価監視委員会の副委員長で、石木ダム事業に異論を唱えた方です。今回の委員会冒頭で、「ゼロからの再評価」と言明していました。
◎市民団体と弁護団連名で連絡先不明の岡委員以外の全委員にあらかじめ送付した、意見書
平成27年度第2回長崎県公共事業評価監視委員会開催に際しての私たちの意見 pdf 453kb
県は、建設反対派の阻止行動などを受けて工事が計画通り進まないことを変更の理由に挙げていますが、実際には抗議行動がさらに高まり、工事が立ち往生することになるでしょう。
佐世保市水道の水需要が一層縮小していく状況において、この工期変更は石木ダムの不要性をさらに明確にするものになります。
霞ケ浦、漁協の差し止め請求棄却 導水訴訟で水戸地裁
茨城新聞がこの判決の問題と限界に触れた論説を書いています。
霞ケ浦導水差止請求事件 判決文の一部 20150717(121KB)をご覧ください。
判決文の全体は
霞ケ浦導水裁判の判決文20150717(22MB)をご覧ください。
論説 霞ケ浦導水事業判決 具体的成果、事業者に責任
(茨城新聞 2015年7月18日) )http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14371456324508霞ケ浦導水事業の工事差し止めを那珂川、涸沼流域の4漁協と栃木県の漁連が求めた訴訟の判決が17日あり、水戸地裁(日下部克通裁判長)は「漁業権侵害の具体的な危険があるとまではいえない」として漁協側の訴えを棄却した。
霞ケ浦導水訴訟で水戸地裁 漁協の差し止め請求棄却
(東京新聞茨城版2015年7月18日)http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20150718/CK2015071802000149.html?ref=rank
漁協の差し止め請求棄却 水浄化など公共性を認定 那珂川取水口差し止め訴訟
(下野新聞 2015年7月18日 朝刊)http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20150718/2024531
アユなど那珂川水系の水産資源に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、栃木、茨城両県の漁連・漁協5団体が国に霞ケ浦導水事業の那珂川取水口建設差し止めを求めた訴訟の判決公判が17日、水戸地裁で開かれ、日下部(くさかべ)克通(かつゆき)裁判長は、漁協側の請求を棄却した。漁業権侵害の訴えについて「具体的危険があるとまでは言えない」などとして退けた上で、国側が主張した事業の公益性を認めた。漁協側は控訴する方針。
霞ケ浦導水事業 漁協の差し止め請求棄却 水戸地裁「公益性ある」
(産経新聞 2015.7.18)http://www.sankei.com/region/news/150718/rgn1507180017-n1.html
霞ケ浦導水事業:漁協の請求棄却…水戸地裁判決
(毎日新聞 2015年07月17日 19時47分)http://mainichi.jp/select/news/20150718k0000m040044000c.html
信濃川遡上のサケ 県内回帰低調、なぜ 国や長野・新潟両県が調査へ
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県は強硬姿勢をやめよ 石木ダム計画 長崎新聞社説
7月10日の長崎新聞の社説を掲載します。
石木ダム問題についてまさしく正論を述べた社説です。
地元新聞が長崎県に対して「強硬姿勢をやめよ」という見解を突き付けた意味はきわめて大きいと思います。
県は強硬姿勢をやめよ 石木ダム計画
長崎新聞社説 2015年7月10日
県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で県は8日、反対地権者13世帯が現住する家屋などを含む土地(約12万平方㍍)の裁決申請などを実施。
これで未買収地すべてが強制収用に向けた手続きに入ったが、県はこの強硬姿勢をやめるべきだ。
1982年5月、県は土地収用法に基づく測量を計画地で実施したが、反対住民の抵抗に遭い、県警機動隊を出動させた。
現場では、道路に座り込んだ住民が実力で排除される事態に。以降、反対住民は態度を硬化させ、このダム計画が数十年も迷走する端緒となった。
県は、反対住民の理解を得ようと説得を続けたが、有効な対話は成り立たないまま、今日に至る。途中、公共事業削減の嵐が吹き、ダム不要論も台頭したが、この計画は生き残った。
今も公共事業に対する国民の視線は厳しい。
国民生活に資する基盤整備は今後も必要だが、無駄な出費は厳しくチェックされなけれぱならないし、過剰な環境破壊や政官業による不正が疑われる事業も当然許されない。
そのうえで、個々の必要性に対する国民の理解と支持がなければ、事業が持ちこたえることはできない。
事業主体は、慎重に丁寧に穏当に手順を進める必要がある。法に従って粛々と進めるだけでは不十分だ。
石木ダム計画は、その悪い見本のような経過をたどっている。
まして今後、強制収用という手法で、自分の家で生活を営んでいる住民たちを無理やり引きはがしてまで作業をするなど、現代の日本においてまともな光景ではない。
県は立ち止まってほしい。そして、出直してほしい。
佐世保市はどれぐらい水が足りていないのか、人口減少局面で水需要は将来どれぐらい増大するのか、本当に他の解決策はないのか、治水効果はどう発揮されるのか、反対住民と有効な対話ができないまま何十年も過ぎた責任はいずれにあるのかー。
40年の時間とコストをかけて完了しない公共事業が、それでも必要であることの説得力のある説明をし直したほうがいい。
「もう十分説明してきた」という答えが返ってくるのかもしれない。だが現実はどうか。
「石木ダムとは必要なのか」と疑問に思っている県民がいかに多いことか。県民にこれほど理解されない不幸な県事業をほかに知らない。
県は強硬手段をとる構えをやめるべきだ。手法の誤りは将来に禍根を残す。利害関係者との対話に失敗する代償の大きさは、国営諌早湾干拓事業を見れば分かる。
形は完成しても泥沼の裁判闘争が続き、対立がどこまでも終わらない悲劇の典型だ。
このダム計画でも、そうなることが分かっていて、手順だけを進めるのは合理的でない。(森永玲)
アマゾンの巨大ダムが7割の動物を絶滅させる恐れ 水力発電用の巨大ダムは誰のため?
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アマゾンなどでの水力発電の巨大ダム建設が哺乳類や鳥類等の生息に深刻な影響を与えているという報告を掲載します。
アマゾンの巨大ダムが7割の動物を絶滅させる恐れ
水力発電用の巨大ダムは誰のため?
世界の国々が水力発電施設の建設計画を推し進める中、巨大なダムによって哺乳類や鳥類、カメなどが絶滅の危機に直面していると警告する最新の研究報告が出された。少なくともアマゾンでは、その不安が現実になっているという。(参考記事:特集「ダム建設に揺れるメコン川」)
今月1日に英国イーストアングリア大学の研究グループが「PLOS ONE」に発表した論文によると、ブラジルに建設されたバルビナダムは、かつて手つかずの森林が広がっていた地域を、3546の島々が浮かぶ人工湖へと変貌させた。その結果、そこに生息していた数多くの脊椎動物が姿を消してしまった。
「私たちのまさに目の前で、動物が次々に絶滅しているのです」。論文を共同執筆したカルロス・ペレス氏はブラジル出身で、同大学環境科学部の教授だ。「現地では、非常に高い確率で局所絶滅が起きていることが明らかになりました」と語る。しかもそれは、禁猟区や生物保護区域でも起きているという。
2年に及ぶ調査をまとめた論文が発表された前日、ブラジルは米国との共同声明を出し、イングランドの面積にほぼ匹敵する1200万ヘクタールの森林を2030年までに回復させると誓約した。また、太陽光、風力、地熱発電の利用を大幅に拡大することも約束した。すでに、ブラジル北西部の熱帯雨林を流れるウアトゥマ川のバルビナダムにも、水上に浮かべるフロート式の太陽光パネルを設置する計画がある。
ブラジルは現在、電力の大半を水力発電に頼り、増え続けるエネルギー需要を満たすために数百という新規ダムの建設を計画している。他の多くの発展途上国同様だ。水力発電はしばしば、「グリーンな」エネルギーとして称えられ、再生可能エネルギーのなかでは発電量が世界中で最も多い。(参考記事:「アマゾンでダムの建設ラッシュ、今後も数百カ所に」)
ペレス氏は、「多くの場所において、水力発電は効果的な発電方法です」としながらも、その効果のほどは地形に大きく左右されることも指摘する。ブラジルの低地では、落差のある水流を作るために水位を上昇させる必要があり、すなわち巨大なダムが必要となる。一方急峻な山地であれば、小さなダム湖で事足りる。
つまり、水没面積に対する発電量は、平地にある水力発電所の方が、山の中の発電所よりもはるかに少ない。おまけに、ダム湖が大きくなれば二酸化炭素を吸収する樹木や植物も多く失われてしまうため、支払われる環境的代価も大きい。
「地域社会ではなく、大手エンジニアリング会社のため」
これまでも、漁業の収入減や先住民立ち退き問題などを含め、ダム建設で引き起こされる様々な影響が調査されてきたが、今回のペレス氏らの研究は、より広い範囲を対象に、多様な脊椎動物への影響を調べたものだ。
調査対象となった生物は36種。「1ポンド(450グラム)以上の生物は全て調べた」という。250メガワットの発電能力を持つバルビナダムは、1989年に操業を開始した。その結果、3129平方キロの原生林が湖底に沈み、3000以上の小島が誕生した。
その中で、今も多様な生物が生息している島はわずかである。研究チームは36の比較的面積の広い島へ調査に入り、そこに生息する動物の絶滅率が42%にもなっていることをつきとめた。ダム湖全体では、その数字は70%に達すると推定する。
米カリフォルニア大学バークレー校の再生可能・適正エネルギー研究所所長ダニエル・カメン氏は、調査結果について「驚くべき内容ではない」としながらも、大規模ダムが生物多様性に与える実際の影響を「綿密に検証したすばらしい」研究であると評価する。
カメン氏自身も、マレーシア東部に建設中の大規模水力発電ダムが、ボルネオの鳥類や哺乳類の多くを脅かそうとしているという調査結果をまとめており、論文が今月発表される。また、6月に発表された別の共同研究では、低コストの代替エネルギーとして、水力を利用した小規模な発電プロジェクトやバイオガス発電について報告している。(参考記事:「マレーシアのダム建設、抗議活動が激化」)
カメン氏は、巨大水力発電計画が次々に出てくる背景について、「国際的な投資を呼び寄せることに関心が集まってしまっているためです」と説明した。発展途上国は、規模の大きなプロジェクトの方が、小規模なものよりも投資を集めやすいと考えているのだという。
ペレス氏も同意見だ。大規模ダムは「地域社会ではなく、大手エンジニアリング会社のためにあるようなものです」。こうしたメガダムはしばしば、遠くへ電力を送る送電線が必要となるが、これも非効率的であると指摘する。
中には、地域社会が巨大ダムの計画に反対して勝利したケースもある。昨年、チリ政府は国民の強い反対に遭った結果、パタゴニアの最も豊かな自然を誇る2本の川に計画されていた5基のダム建設を中止した。(参考記事:「チリ、パタゴニアのダム計画を白紙に」)