水源連:Japan River Keeper Alliance

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熊本豪雨1年 流水型ダム、環境評価へ 規模、構造これから

2021年7月8日
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川辺川ダム計画が新たな流水型ダムとして復活しようとしています。その記事を掲載します。

新しいダム計画なのですから、環境影響評価法に基づいて環境アセスを行わなければならないはずですが、環境省は国土交通省からの照会に対して「貴見のとおり」として環境影響評価法に基づく環境アセスをしなくてよいとしました。

この記事で、国交省が法アセスと同等の調査を実施するから問題なしとしていますが、単なる調査と法アセスの調査は根本から違います。法アセスの場合は調査の結果によっては事業が進まなくなる可能性があります。

現在、環境省環境影響評価課の担当者に対して安易な回答を出した理由を記した起案文書を明らかにすることを求めています。

 

熊本豪雨1年 流水型ダム、環境評価へ 規模、構造これから

(熊本日日新聞2021/7/5(月) 15:19) https://news.yahoo.co.jp/articles/e86685efe4ccfca9273b0ac5a009c220ae972adf

(写真:熊本日日新聞)

空前の被害をもたらした大洪水によって、熊本県南の球磨川流域では治水対策とインフラ復旧が大きな課題になっている。中止となった川辺川のダム計画が新たな流水型ダムとして“復活”し、ダム以外の対策も総動員する「流域治水」の取り組みがスタート。不通となった鉄路は、くま川鉄道が11月にも部分再開するのに対し、JR肥薩線は復旧の可否も不透明なままで、再建への歩みは対照的だ。  国や県が流域治水の要と位置付ける支流・川辺川への流水型ダム建設は、ダム事業が周辺環境に与える影響を調べる「法と同等」の環境影響評価(アセスメント)が始まった。治水専用として流水型ダムを河川法上に位置付ける法手続きも始まる。ただ規模や構造はこれからで、完成時期の見通しも示されていない。  「(従来計画の)貯留型よりも流水型ダムの方がアセスは難しい。質的に他のモデルとなるようなものにしてほしい」  6月16日に開かれた環境アセスに意見する初の専門家会合後、九州大名誉教授の楠田哲也委員長は国土交通省にこう注文した。流水型は時間によって水位が大きく変化するためで、法と同等をうたいながら「『法アセスではないから質が低い』では通用しない」(楠田委員長)からだ。アセスは当面、従来計画と同じ場所や規模を想定して進められる。

蒲島郁夫知事が従来の方針を転換し、流水型ダムの建設を国交省に要請したのは2020年11月。流域住民にダムへの賛否両論がある中、環境面への配慮の担保となるアセスは、蒲島知事が掲げる「命と環境の両立」の生命線とも言える。  赤羽一嘉国交相は5月21日、法と同等の調査を実施すると表明。国交省幹部は「法アセスと呼ばないだけで事実上、同じ事をする」と強調する。一方、ダム反対派は法に基づかない調査の効力を疑問視しており、アセスを巡る両者の溝は深い。  国交省は環境アセスを進めるのと並行して近く、球磨川の河川整備基本方針の見直しにも着手する。現在の治水の長期目標は、人吉地点のピーク流量で毎秒7千トン。7月豪雨時の試算流量の毎秒約7900トンを下回っており、治水目標のピーク流量をどの程度上げるか注目される。  その後、球磨川では未策定の河川整備計画作りへと移り、同計画の中にダムや遊水地など具体的な洪水調節施設の場所や能力を明記する。国交省の試算では、昨年7月豪雨と同様の雨が降った場合、ダムなしでは浸水被害が発生するという。

一方、既存のダムを生かした対策も検討されている。球磨川本流の上流にある市房ダムはかさ上げや放流設備の改造による治水能力アップを検討。本・支流にある六つの利水ダムでは、大雨の前に水位を下げる事前放流で流量カットを狙う。(太路秀紀)

長崎県は水没予定地世帯に提案した文書「当日に限り、工事は全て止める」

2021年7月4日
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石木ダム問題についての記事を掲載します。

長崎県は水没予定地世帯への文書に「対面での協議に応じた場合は「当日に限り、工事は全て止める」」と付け加えました。

たった1日だけでは思ってしまいます。

 

 水没予定地世帯に3度目の提案

(西日本新聞2021/7/2 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/764103/

(写真)テントのテントの下に座り込む水没予定地の住民と支援者。1日は日中、強い日差しが照りつけた

水没予定地の全13世帯に届いた長崎県の文書

石木ダム・リポート ―7月1日―

1日午後、長崎県川棚町の石木ダム建設に伴う水没予定地の全13世帯に文書が届いた。差出人は県土木部。中村法道知事との話し合いに向けた事前協議を申し入れる内容だった。文書が送られてきたのは5月下旬から3回目。過去2回は住民側が工事の中断を訴えて実現しなかった。今回は対面での協議に応じた場合は「当日に限り、工事は全て止める」と付け加えた。

「工事が進む中で(抗議の座り込みを続ける)現場を離れることはできない」という住民側の主張を踏まえた提案。一方で、県としては事業を進める必要があり、文書は「話し合いだけが長引き、事業の進(しん)捗(ちょく)が図られないのは避けるべきである」とくぎも刺す。対面での協議を望まない場合は、話し合いの条件を文書で回答することも求めた。

「協議するとしても、公開で行うかどうかが個人的に気になる。回答は住民で話し合って決める」と岩本宏之さん(76)。

知事は住民との話し合いを模索する考えを表明しているが、近年、ここまで繰り返し働き掛けることはなかった。異例とも言える県の対応を「(来年3月の)知事の任期満了が近いからか」「現在は見送っている本体工事着手に向けた地ならしでは」といぶかる住民もいる。

(岩佐遼介)

石木ダム 長崎県と同県佐世保市が、治水と市の水源確保を目的に、同県川棚町の石木川流域に計画。1975年度に国が事業採択した。当初完成予定は79年度。移転対象67戸のうち川原(こうばる)地区の13戸は立ち退きを拒否し、計画撤回を求めている。2019年5月に県収用委員会が反対地権者に土地の明け渡しを命じた裁決を出し、同年9月に土地の所有権は国に移転。同年11月の明け渡し期限後、県の行政代執行による強制収用の手続きが可能になった。

<西日本豪雨3年>物損損賠、時効迫る 国などを提訴 原告団は31人 /愛媛

2021年7月4日
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今年の7月7日で西日本豪雨から3年となります。裁判で損害賠償を請求できる期限になります。

野村ダム、鹿野川ダムの緊急放流問題で国と西予、大洲両市を提訴している原告は6月末で31人になりました、その記事を掲載します。

前にもお知らせしましたが、この原告団がインターネットで裁判費用を募るクラウドファンディング(CF)を行っています。

このクラウドファンディングについてはhttps://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000061#case_tab をご覧ください。皆様の支援をお願いします。

 

<西日本豪雨3年>物損損賠、時効迫る 国などを提訴 原告団は31人 /愛媛

(毎日新聞2021年07月01日08時38分)http://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi_region/region/mainichi_region-20210701ddlk38040427000c

 

西日本豪雨から3年となる今年の7月7日は、西予、大洲両市の二つのダムの緊急放流で国と両市を提訴している原告団にとっても節目となる。物損被害の損害賠償を請求できるのは、被害を知った日から3年が期限とされるためだ。

両市では緊急放流によって8人が死亡、数千戸が浸水被害を受けた。2020年1月に8人だった集団訴訟の原告団は、6月中旬に27人、6月末に31人まで増えたが、時効後は物損被害の原告は増えない。

当初から原告団に加わっている西予市野村町野村の行政書士、鎌田善晴さん(77)は、「国や市から納得のいく説明はなかった。(説明を聞いた周囲の住民も)みんな怒っとった」と話すが、それでも訴訟に加わるのは少数派だ。「どうせ負けるんやから」と言われたこともあるという。

原告弁護団の奥島直道弁護士は「放流に至る詳しい経緯と、各段階で下された判断の是非を問えれば、今後の防災対策にも有益」と指摘。さらに、「被災者が加わるほど、国の治水対策への取り組み方を変えるのに効果があるはずだ」と話す。【斉藤朋恵】

◇「準備不足の災害では」 被災の鎌田さん

肱川から約100メートルの場所に暮らす鎌田さんは、2018年7月7日午前6時半ごろ、避難を呼びかける消防団員の声で跳び起きた。十分に準備する間もなく15分ほどで水が押し寄せ、美容室を営む妻の秀子さん(80)と腰まで水につかりながら2階へ避難。自宅兼店舗は床上約1・8メートルまで水につかり、1階部分は骨格だけを残して改修しなければならなくなった。

当時の緊急放流では、安全とされる基準の6倍の量の水が放流され、「事前放流の量が少なかった」「人災なのでは」との声が豪雨直後からあった。防災無線は雨音でかき消されて聞こえなかった人が多かったとされ、鎌田さんも「防災無線も聞こえなかったし、緊急放流のことも知らなかった」と話す。

同地区では自宅が全壊し外へ出て行かざるを得なかった人も多い。「豪雨災害ではなく、準備不足で起きたダムによる災害ではないか」との思いは強い。「再発を防ぐためにも、せめて事実を明らかにしてほしい」と話す。【斉藤朋恵】

石木ダムの県道付け替え工事 9月末まで工期延長、続く緊迫

2021年7月4日
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石木ダムの県道付け替え工事の工期が延長されることになりました。その記事とニュースを掲載します。

 

 石木ダムの県道付け替え工事 9月末まで工期延長 長崎県

(NHK2021年06月28日 20時58分)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20210628/5030011851.html

長崎県は、川棚町に建設を進める石木ダムの本体工事とダム建設に必要な県道の付け替え工事について、建設業者と締結していた契約を変更し工期を9月末までに3か月間延長しました。
長崎県が川棚町に建設を進める石木ダムをめぐっては、県がすでに建設に必要なすべての用地の収用を終え、家屋の撤去などを伴う行政代執行の手続きに入れるようになっていて、現地ではダム建設に必要な県道の付け替え工事が進められています。

また県は、中村知事と建設に反対する地元住民との直接の話し合いに向けて、具体的な条件を確認するための事前協議の場を設けるよう提案していますが、住民側はその前提として工事を即時中断するよう求めていて、両者の事前協議は見通しが立っていません。
こうした中、県は今月末までに事前協議などを行ったうえで、事態を進展させるのは難しいと判断し、ダムの本体工事と県道の付け替え工事について、28日建設業者と締結していた契約を変更し、今月末までとしていた工期を9月末までに3か月間延長しました。

県河川課は、当初、昨年度内に予定していた本体工事の着工時期について「地元住民との協議の状況も含めて総合的に判断したい」としています。
本体工事の工期延長は、これで2回目、県道の付け替え工事の工期延長はこれで6回目になります。

 

「座り込みいつまで」6度目の工期延長、続く緊迫

(西日本新聞2021/6/30 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/762815/

(写真)長崎県の長崎県の監視カメラに見える位置に掲げられた横断幕

石木ダム・リポート ―6月29日―

山の緑にセミの鳴き声が響く。長崎県川棚町の石木ダム建設現場には29日午後、赤い文字の横断幕が風に翻っていた。「工事強行より話し合いが先だ」。住民らは横断幕を県が設置している監視カメラに写るように掲げ、静かに抗議の意思を示した。

住民が中村法道知事との話し合いのための事前協議の前提として、「中断」を求めていた県道付け替え工事。県は28日、6月末に迫っていた工期を9月末に延長した。工期延長は6度目。少なくともあと3カ月は、県は工事を進め、住民らは座り込むという緊迫した状況が続くことになる。

住民の岩下すみ子さん(72)は「またかとがっくりする」と落胆。「(工事が中断すれば)数年ぶりに旅行に行こう」。住民間で話していたが、淡い期待ははかなく消えた。「毎日座り込むのも体力的に大変。いつまで続くんかね」

29日も現場では、山の掘削や土砂の運搬など、県道付け替え工事が進んだ。一方、「ダム本体工事」として予算が計上されている堤体両端の上部を掘削する工事は着工していない。県は「(着工しないのは)住民への配慮」と説明する。

住民の岩本宏之さん(76)は「理解を得ることなく工事を進めておいて、いまさら何が配慮か」と憤った。着工していないはずの「本体工事」の工期も9月末までの延長が決まっている。(岩佐遼介)

石木ダム 長崎県と同県佐世保市が、治水と市の水源確保を目的に、同県川棚町の石木川流域に計画。1975年度に国が事業採択した。当初完成予定は79年度。移転対象67戸のうち川原(こうばる)地区の13戸は立ち退きを拒否し、計画撤回を求めている。2019年5月に県収用委員会が反対地権者に土地の明け渡しを命じた裁決を出し、同年9月に土地の所有権は国に移転。同年11月の明け渡し期限後、県の行政代執行による強制収用の手続きが可能になった。

 

長崎県、石木ダム本体の掘削工期延長 9月末まで 

(長崎新聞2021/6/29 11:13)  https://nordot.app/782430433873870848?c=39546741839462401

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は28日、6月末までとしていたダム本体の掘削工事などの工期を9月末まで3カ月間延長したと明らかにした。施工業者と同日、変更契約を結んだ。
県は水没予定地に暮らす13世帯の反対住民との話し合いを模索する中で本体工事を見合わせており、工期延長は2回目。県道付け替え道路工事の盛り土などは住民らの抗議の座り込みで予定通りに進まず、6回目の延長となった。
県は中村法道知事との対話を実現しようと反対住民に条件面を詰める事前協議を提案しているが、住民側は工事の即時中断を求めており調整が難航している。

 

長崎県が石木ダムの工期を9月末まで延長

(テレビ長崎2021年6月29日 火曜 午前11:45) https://www.fnn.jp/articles/-/202663

東彼杵郡・川棚町に計画されている石木ダムについて、長崎県は28日、業者との契約を変更し、本体工事と付け替え道路の工期を9月末までに延長しました。

東彼・川棚町では、石木ダムの建設に伴って、水没する県道の代わりとなる付け替え道路の工事が進められています。

工期が6月末に迫る中、現地では建設に反対する地元住民が抗議の座り込みを続けていて、約40メートルの区間が手付かずのままです。

長崎県は28日、業者との契約を変更し、付け替え道路の工事を9月末まで延長しました。

あわせて本体工事についても、住民との話し合いの調整が難航していることなどから、工期を3カ月延長しています。

付け替え道路の工期延長はこれで6回目で、本体工事の延長は2回目です。

今後の工事の進め方について、長崎県の河川課は「話し合いや、協議の状況を踏まえて判断していきたい」としています。

球磨川の市房ダム「やばい…280m超える」寸前で回避された緊急放流、緊迫の所長メモが歴史公文書に

2021年7月4日
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昨年7月の熊本県の球磨川豪雨では、熊本県営市房ダムが緊急放流寸前のところまでいきました。その様子を記録した管理所長のメモの内容を伝える記事を掲載します。

昨年度から、ダムの事前放流の制度が始まり、市房ダムも事前放流で治水容量を増やすことになっていましたが、急激な降雨で事前放流はできませんでした。

ダムの事前放流の制度がどこまで有効なのかと思ってしまいます。

 

「やばい280m超える」寸前で回避された緊急放流、緊迫の所長メモが歴史公文書に

(読売新聞2021/06/29 08:59)https://www.yomiuri.co.jp/national/20210629-OYT1T50092/

昨年7月4日の九州豪雨で緊急放流が寸前で回避された熊本県営市房ダム(水上村)について、塚本貴光・管理所長(50)が記していた当時のメモが残されていることが分かった。予測を超える雨量で水位が増す中、放流をぎりぎりで実施せずにすんだ緊迫した様子などを伝えている。県は今春、メモを永久保存に向けて「歴史公文書」に指定した。(丸山一樹)

市房ダムは、九州豪雨で氾濫した球磨川の上流にあり、総貯水量は4020万トン。治水ダムで、発電などにも活用されている。

(写真)紙4枚に書かれた当時の状況が分かるメモ=田中勝美撮影

メモは塚本所長が、雨の状況が変わっていくなか、事務所のパソコンを確認しながらダムの水位などを書き留めていった。事前にダムの容量を確保する「予備放流」の実施を決めることになった3日昼頃から、緊急放流を中止した4日昼頃までの記載。メモ紙4枚にペンで書かれ、水位上昇が始まった4日未明以降、殴り書きされている。

<やばい 280m超える>

7月4日午前4時頃、塚本所長が見つめたパソコンの画面には、ダムに流れ込む流量が同9時までの3時間で想定される最大値(毎秒1300トン)を50トン上回るとの予測がコンピューターで算出されていた。緊急放流を実施する水位の目安(280・7メートル)に迫ることを意味していたのだ。

3日昼の段階では、流量のピークを毎秒約700トンと見込んでいたが、線状降水帯が停滞し、大幅に予測を上回った。

特別警報が発表されたのは午前4時50分。バケツをひっくり返したような雨の状況を<雨の降り方が異常>とつづった。

治水ダムは雨水を一時的にため、下流側の増水を抑えるのが役割。ダムから水があふれると、大洪水につながりかねないため、水位が限界に近づくと緊急放流が必要だ。ただ緊急放流は下流に大規模な浸水被害を引き起こす危険があり、細心の注意が求められる。

水位上昇が続き、所長らが緊急放流を行わざるを得ないと判断したのは午前6時頃だった。県河川課に連絡し、<防災操作の手続き→河川課 部長 決裁>とメモ。30分後には、県が同8時半から緊急放流を行うことを発表した。

<2h後、8時30分開始 早めの避難行動へ!>という記述も。

だが、その後の予測で同7時頃には、ダムでためられる最高水位となる「洪水時最高水位」(283メートル)を超えないことが判明。<流入量大幅減 283m超えない>と書き留めた。

(写真)「緊急放流を回避したい一心だった」。当時の状況を語る市房ダムの塚本所長(25日、熊本県水上村で)

同7時半頃に放流が1時間後に延期された。8時頃には雨脚が弱まり流量が減ると算出。8時45分頃に放流は見合わせとなり、10時半頃に中止が決まった。水位のピークは280・6メートルで緊急放流の目安まで10センチ。塚本所長は取材に「流域住民に不安を与えないため回避したい一心だった。本庁と協議し、ぎりぎりまで見極めた」と振り返った。

緊迫状況を記録、次世代の教訓に

熊本県は豪雨後、塚本所長が書き留めていたメモの存在を把握。緊迫した状況がわかり、歴史的に価値がある貴重な資料だと考え、4月1日付で「歴史公文書」に指定した。

歴史公文書は災害などの教訓を生かそうと、知事が重要と判断した文書を指定する県の独自制度。所長メモは保存期間が30年で、その後、永久保存される仕組みとなっている。

歴史公文書にはこれまでハンセン病や水俣病、熊本地震などのテーマが指定されていた。九州豪雨などが加わり16テーマとなったが、個人のメモが指定されるのは珍しいという。県は「時間ごとの状況や県の意思決定を図った瞬間などが記録されていて重要。今後の災害対応に生かすことができる」と説明している。

◆緊急放流 =「異常洪水時防災操作」と呼ばれる操作で、ダムへの流入量とほぼ同量の水を放流する。2018年の西日本豪雨では6府県の8ダムで行われ、愛媛県を流れる肱(ひじ)川の野村、鹿野川両ダムの下流域で大規模な浸水被害が起きた。市房ダムは過去に3度行われた。

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