水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース > 報道

ニュース

報道

石木ダム 強制収用反対の宣言採択 市民団体が佐世保で集会

2019年9月11日
カテゴリー:

石木ダム問題の最近の記事とニュースを掲載します。

 

石木ダム 強制収用反対の宣言採択 市民団体が佐世保で集会
(長崎新聞 2019年9月10日)

(写真)強制収用反対の宣言に拍手で賛同する集会の参加者=佐世保市常盤町、市中央公民館

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設に反対する市民団体「石木川まもり隊」(松本美智恵代表)は8日、佐世保市内で集会を開き、市民ら約130人が建設予定地の強制収用反対を訴える宣言を採択した。
集会では松本代表が「人口減少で水需要は減り続ける。いまさらダムを造る必要があるのか」とあいさつ。反対地権者の岩下和雄さん(72)は「私たちを犠牲にしてまで市民はダムを必要としているのか。ダムはいらないと声を上げてもらいたい」と涙声で訴えた。
集会では強制収用を認めない宣言を採択。工事を一時中止してダムの必要性を地権者と十分に話し合うほか、川棚川の治水と佐世保市の水需要予測の再検証も求めた。宣言文は中村法道知事と朝長則男市長宛てに送るとした。
一方、7日に長崎市内であった反対派集会の参加者は9日、集会で採択した強制収用反対を訴える宣言文を県庁で県に提出。応対した長崎県河川課の浦瀬俊郎課長は「昨今の自然災害を踏まえ、進めないといけない事業だ」と述べた。
「佐世保女性ネットワーク」など佐世保市の四つの市民団体も9日、強制収用を避けるよう、県に申し入れた。


「早期完成に努める」 長崎県知事、石木ダム事業で

(長崎新聞 2019年9月10日)

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、中村法道知事は9日開会した定例県議会本会議で、「県民の安全安心の確保はもとより、県北地域の発展のためにも早期完成に努める」と述べ、同事業推進の考えを改めて示した。
石木ダムを巡っては、県収用委員会が5月、地権者13世帯の宅地を含む未買収地約12万平方メートルの明け渡しを求める裁決を出した。県と佐世保市が土地の権利を取得する時期を9月19日とし、同日を家屋など物件を含まない土地の、11月18日を物件を含む土地の明け渡し期限とした。期限までに明け渡しに応じなければ、県と佐世保市は知事に行政代執行を請求でき、知事が対応を判断することになる。
議案説明で中村知事は治水対策と水源不足解消、防災対策の重要性を改めて強調。収用裁決を受けて「権利取得に向けた手続きを進めるとともに、地権者の協力が得られるよう努力を続ける」とした。今後の対応については「状況の変化を見極めながら、適切に対処したい」と述べるにとどめた。
中村知事は19日、長崎県庁で地権者らと約5年ぶりに面会する予定。


石木ダムで強制収用しないよう申し入れ [長崎]

(NBC長崎放送 2019年9月9日 19:10)

川棚町に計画されている石木ダムを巡る問題です。
建設用地に土地を持っている13世帯の地権者、今月19日を過ぎるとこの人たちが地権者ではなくなるかもしれません。
住民の土地が全て県に収用されてしまうからです。
きょう、建設に反対する市民団体が土地の強制収用をしないよう県に申し入れました。

 申し入れたのは「石木ダム強制収用を許さない県民集会」の実行委員会のメンバーでおとといの集会で採択された宣言文を県側に手渡しました。
石木ダムの建設予定地には今も13世帯50人あまりが住んでいますが、県は住民の宅地や田畑などを収用する手続きを進めていて今月19日を過ぎると所有権が地権者から一旦、国に移ることになっています。
おとといの集会には反対住民ら150人が参加、佐世保の水需要はへっておりダム建設は不要として強制収用を止めるべきとの意見が相次ぎました。
13世帯の住民らは今月19日県庁で中村知事と面会することになっており、ダム計画により長年苦しめられてきた思いや「石木ダムの必要性」について改めて考え直すよう訴えることにしています。

石木ダム反対派が集会 150人、長崎市中心部を行進
(長崎新聞 2019年9月9日)

(写真)石木ダムの建設中止を訴えデモ行進する地権者や支援者ら=長崎市浜町

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、建設に反対する地権者や支援者ら約150人が7日、建設予定地の強制収用反対を訴え、長崎市内で集会を開き、市中心部をデモ行進した。
石木ダムを巡っては、県収用委員会が5月、反対地権者13世帯の宅地を含む未買収地約12万平方メートルの明け渡しを求める裁決を出した。県と佐世保市が土地の権利を取得する時期を今月19日とし、同日を家屋など物件を含まない土地の明け渡し期限とするなど、同事業は大きな局面を迎えている。
集会では、実行委の森下浩史さん(72)が「一人一人が声を大にして強制収用に反対しよう」とあいさつ。地権者で川棚町議の炭谷猛さん(68)は「最終的に『あなたたちは地権者ではない』と言われる、そんなばかげた話が現実味を帯びていることが悔しくてたまらない」と語気を強めた。19日に地権者と中村法道知事との約5年ぶりの面会が県庁で予定されていることに触れ、「自分たちの地域に残り生活するということを知事に言い続ける」と力を込めた。
集会後、参加者は横断幕を掲げ、中心部アーケードなどを約1時間行進。「人の暮らしと自然を守ろう」「まだ間に合う」などと訴えた。

知事と反対地権者 面会へ 19日 石木ダム問題、5年ぶり
(長崎新聞2019年9月5日)
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は4日、ダム建設に反対する地権者らの要望を受け、中村法道知事が19日に県庁で地権者らと面会すると発表した。実現すれば、両者の面会は約5年ぶりになる。
石木ダムを巡っては、県収用委員会が5月、反対地権者13世帯の宅地を含む未買収地約12万平方メートルの明け渡しを求める裁決を出した。これに対し、地権者らは7月、土地の強制収用の取り下げを求める知事宛の要請書を提出するため県庁を訪れたが、面会できず持ち帰った経緯がある。8月には「直接話を聞いてほしい」として、知事との面会を今月19日に求める申し入れをしていた。県収用委は裁決で、県と佐世保市が土地の権利を取得する時期を今月19日とし、同日が家屋など物件を含まない土地の明け渡し期限としている。
県は地権者とその家族だけを対象に面会の場を設けることを決め、4日、文書で回答。県によると面会は19日午前10時から1時間半の予定だが、「(抗議行動などで)静穏な環境」にならない場合は中止する可能性もあるという。知事は面会の場で、あらためて事業への同意を求めるとみられる。両者の面会は2014年7月以来で、県収用委の裁決以降初めて。
地権者の岩下和雄さん(72)は取材に対し、「面会に19日を指定したのは県議会のスケジュールから知事と会えるだろうと考えたためで、土地の収用は関係ない。私たちは(ダム建設地から)出て行くつもりはないと知事に伝えるだけだ」と話した。

 

石木ダム地権者 知事と19日に面会 5年ぶり
• (朝日新聞長崎版2019年9月5日)

 

強制収用反対で県に申し入れを 4団体、佐世保市に要請
(長崎新聞2019年9月5日)
(写真)強制収用反対の申し入れ書を田所総務部長(右)に手渡す早稲田代表=佐世保市役所

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業について、四つの市民団体は4日、反対地権者の宅地を含む未買収用地の強制収用を避ける対応を中村法道知事に求めるよう市に申し入れた。
佐世保女性ネットワーク(早稲田矩子代表)と、強制収用を許さない市民の会(篠崎正人代表)、九十九島9条&99条の会(永江登代子事務局長)、佐世保の未来を考える市民の会(浦元子代表)。
石木ダムを巡っては、反対地権者の未買収用地が9月19日に強制収用(所有権移転)される見通し。11月18日の期限までに応じなければ、県や市は県知事に家屋の撤去や住民の排除といった行政代執行を請求できる。
4団体を代表して早稲田代表が「県の暴挙に佐世保市と市民も加担することは容認できない」と述べ、市長が反対地権者と話し合うべきだと申し入れた。対応した田所和行総務部長は「市長に伝える」と述べるにとどめた。これに対し、4団体からは事前に申し入れ内容を伝えていたとして不満の声が上がり、「市長の回答がほしい」と求めた。

 

石木ダム 強制収用はやめて 佐世保の4団体が申し入れ /長崎
(毎日新聞長崎版2019年9月5日)
(写真)田所総務部長(左)に申し入れ書を提出する早稲田代表

県と佐世保市が川棚町に建設を進める石木ダム事業を巡り、佐世保女性ネットワーク(早稲田矩子代表)など四つの市民団体は4日、同市に対し、建設予定地を強制収用しないよう知事に求めることなどを申し入れた。移転させる物件のない土地の明け渡し期限が19日に迫っているのを受けた対応。
申し入れでは、朝長則男市長に対し、居住権と財産権を否定する強制収用をしないよう中村法道知事に求めることと、建設予定地の川原(こうばる)地区の地権者と解決へ向け真摯(しんし)に話し合うことを求めた。
市役所を訪れた市民団体のメンバーからは「生活している13世帯を強制的に立ち退かせるのは憲法を否定する暴挙だ」「ダムに固執することなく水事情を改善することを考えるべき」といった意見が出された。対応した田所和行総務部長は「申し入れは市長、関係部局に伝える」とした。【綿貫洋】〔長崎版〕

雨畑ダム堆砂「全撤去は困難」 日軽金、検討会開催

2019年9月4日
カテゴリー:

駿河湾のサクラエビ不漁とダム上流域の氾濫地帯形成で問題視されている日本軽金属・雨畑ダムの堆砂問題について国など関係機関による検討会が9月3日、開かれました。その記事とニュースを掲載します。

雨畑ダム堆砂「全撤去は困難」 日軽金、検討会開催
(静岡新聞2019/9/4 07:16) https://www.at-s.com/sp/news/article/politics/shizuoka/677081.html

(写真)「雨畑地区土砂対策検討会」の初会合の冒頭、国や地元自治体関係者に対し雨畑ダムの堆砂状況について陳謝する日本軽金属蒲原製造所の敷根功所長(中央)=3日午後、山梨県庁

駿河湾サクラエビの不漁を受け静岡、山梨両県が濁りの実態調査を進める雨畑ダム(山梨県早川町)で堆砂が深刻化し、水害が頻発している問題で、ダムを管理する日本軽金属は3日、対策を協議する検討会の初会合を山梨県庁で開いた。同社は会議後、土砂の全部撤去の案は困難と説明。「どの程度の土砂を出さなければならないのかを国などの意見を聞き決めたい」と述べ、問題の長期化を示唆した。
国は8月の行政指導で堆砂問題の「抜本的解決」を求めている。出席した国土交通省の担当者は「日軽金には可及的速やかな計画書の提出を求めたい」と注文した。
会合は非公開。同社蒲原製造所(静岡市清水区)の幹部と国交省、山梨県、早川町の関係者ら20人程度が出席した。冒頭、同製造所の敷根功所長=執行役員=が「昨年より早川町では浸水被害を発生させてしまい、誠に申し訳ない」と陳謝した。
終了後、取材に応じた同社関係者によると、会議では山梨県の指導で8月から実施している、ダム上流の雨畑川の河道の掘削や土のうの積み上げなどの応急措置について最初に説明。その後、約1300万立方メートルに上る堆砂の抜本的解決について話し合ったが、具体的方法や数値目標にまで議論は及ばなかったという。
敷根所長は「(出席者からは)『どこまで覚悟があるのか』ということも含め質問があった」と述べた。

■抜本的対策「決めかねる」 日軽金執行役員一問一答
雨畑ダムの堆砂率は約93・4%(2016年度)で、全国の中規模以上のダム約500カ所の中で最悪の状況だ。
堆砂は富士川水系の濁りの一因になっているとみられている。
3日に山梨県庁で開かれた雨畑地区土砂対策検討会後、日本軽金属蒲原製造所長の敷根功執行役員は国や同県などから抜本的な対策を求められていることに対し、「決めかねる」とした。

敷根氏との一問一答は次の通り。
―国から求められた「抜本的解決」の内容は。
「撤去量については現実的な対策案を作らなければならない。全部撤去となると恐らく現実的な案を出せないと思う。どの程度の土砂を出さなければならないのかを国などの意見を聞き決めたい」
―いつまでに出すのか。
「(国の行政指導の内容は)結構ハードルの高い内容。関係機関との調整もあり、今の時点で策定のスケジュールは言えない。基本的には日軽金が責任を持って中身を策定するということになる」
―初会合では国や山梨県からどんな意見が出たのか。
「われわれがどれくらい(土砂を)取ればいいのかということについて、正直決めかねるところもある。それに対して『どこまで覚悟があるのか』ということも含めていろいろな意見は出た」
―具体的には。
「『抜本的な対策』というところで言うと、われわれが認識している『抜本的』とのすり合わせ。どこまでを目標にするか、というところ。まだ何も決まっていないので言えないが『今後目標を決めていかなければならない』という意見も出た」


およそ9割が土砂で埋まり浸水被害も 土砂堆積のダム 初の対策検討会

(テレビ山梨 2019/9/3(火) 19:51配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190903-00000001-utyv-l19

山梨県早川町の雨畑ダムに大量の土砂が堆積し、上流地域で水害が起きている問題で対策検討会が発足しました。
ダムを管理する会社が中心となり、国や県などを交え抜本的な解決を目指します。
早川町の雨畑ダムは、およそ9割が土砂で埋まり上流の雨畑川で河床が上昇。
周辺では大雨の際、浸水被害があり国は8月13日、対策の計画をまとめ報告するよう求めました。
これを受けてダムを管理する日本軽金属は9月3日、抜本的な解決に向けて国と山梨県、それに地元、早川町を交えた対策検討会を設けました。
話し合いは、冒頭を除いて非公開で行われましたが、日本軽金属によりますと堆積した土砂をどの程度まで減らすか、具体的な目標を設定して進めていくことなどを決めたということです。
日本軽金属ではこの検討会の意見を参考に責任持って対策計画を策定するとしています。
なお、雨畑ダムは国の定期検査において2014年から4回連続で「直ちに改善が必要」とされていましたが、これまで抜本的な対策が図られていませんでした。


雨畑ダム堆砂、3日に検討会 日軽金、国などに参加求める

(静岡新聞 2019/9/3(火) 7:30) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190903-00000008-at_s-l22

 駿河湾サクラエビの不漁を受け静岡、山梨両県が濁りの実態調査を進める雨畑ダム(山梨県早川町)の堆砂率が9割を超え、周辺で水害が頻発している問題で、ダムを管理する日本軽金属(東京都)は2日、国など関係機関と対策について話し合う検討会を設置、初会合を3日に山梨県庁で開くと発表した。
ダムを監督する国土交通省の担当者は取材に対し「日軽金側は堆砂問題の責任を認めている」と明らかにした。

国交省は8月、日軽金に問題の抜本解決を求める行政指導をしていて、検討会設置はそれを受けた対応の一環。
由比港漁協(静岡市清水区)の関係者がダムを視察するなど、ダムを起点とする同社の水力発電用導水管を経て駿河湾に強い濁りが注いでいる問題を危惧する向きが広がっている。

検討会の名称は「雨畑地区土砂対策検討会」で、国や山梨県などに参加を求めた。
同社蒲原製造所(同)は設置の理由について「2014年より4回実施されている(国の)検査結果が連続して(3段階のうち最も深刻なレベルの)A判定を受けているため」と説明。国交省によると、「A判定」は「直ちに改善措置が必要」な段階とされる。

ダムのある早川水系の濁りの実態調査を静岡県と合同で行う山梨県幹部の一人は「膨大な堆積土砂の処理をどのように行うかを検討する過程で、水質などの環境も議論することになるのでは」と述べた。

国交省の担当者は「堆砂の処理方法など日軽金が国に対して問題の抜本的解決に向けた計画書を提出するに当たり、技術的な助言を求める場と解釈している」とした。
その上で「元来、周辺の土砂流入が極めて多い地域で、ダムをこの先どのように維持するかはひとえに日軽金サイドの経営判断となる」と解説した。

大井川とリニア どうなる「水の恵み」、流域の歴史・歩み・思い

2019年9月1日
カテゴリー:

リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題について、静岡新聞9月1日の記事を掲載します。
大井川は発電用水の大量取水で農家や漁協が長年悩まされ続けてきた川です。この記事はその過去の経過も振り返った力作です。
今から30年以上前のことですが、当時活動していた「河川・湖沼を守る全国会議」の一員として現地に行ったことがあります(嶋津)。
塩郷ダム(塩郷堰堤)の下流は河原砂漠になっていました。大井川は土砂の供給量が非常に大きい川で、中流部は砂礫の河川敷が大きく広がっていて、わずかな流量は砂礫の河床面より下を流れていました。
その後、地元住民らの「水返せ運動」により、1989年、一定量の水を戻すことを中部電力に認めさせました。それから30年経ち、水利権の更新時期になり、国と中電の協議が行われています。


大井川とリニア どうなる「水の恵み」、流域の歴史・歩み・思い

(静岡新聞2019/9/1 11:30)https://www.at-s.com/news/article/topics/shizuoka/674793.html

(写真)大井川最上流部に位置する田代ダム(手前)。数キロ先にリニアのトンネルが計画されている=8月中旬、静岡市葵区(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
(地図)大井川流域 主なダム、用水

大井川の水は守れるのか―。JR東海が建設するリニア中央新幹線の南アルプストンネル工事で、トンネル内に湧き出る水の扱いを巡って同社と静岡県の対立が続いている。県の求めに応じ湧水全量を大井川に戻すとした同社だったが、ここに来てトンネルを掘り進む一定期間、全量は戻せないと表明。流域住民に困惑が広がった。流域は昔から水不足に苦しみ、国策として進められた水力発電所の開発にも翻弄(ほんろう)されてきた。その歴史を振り返り「水の恵み」について考えた。

 ■生活、産業にフル活用 少量減でも募る懸念
8月25日、静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」で大井川を上流から下流へとたどった。見えてきたのは、限られた水を生活や産業にフル活用する流域の営みだ。全長168キロの大井川は本県最北端の間ノ岳(3190メートル)を起点とする。トンネルはその10キロほど下流で源流部の地下を貫通する。手つかずの自然が残る山肌を流れる何本もの青白い沢筋。上空から見ても水量は豊かで、多様な生態系を支えている様子がうかがえる。
全国有数の急流河川は高低差を利用した「水力発電に最適」(電力関係者)で、明治時代から開発が進んだ。トンネル計画区間のすぐ下流にある田代ダムは1928年に運転が始まった、大井川に現存する最も古いダムだ。たまった水の一部は発電用に導水路を通じて富士川に流れ出る。
さらに南下すると畑薙第一、第二、井川ダムが見えてきた。昭和30年代に完成し、電力を供給して戦後の高度経済成長を支えた。ただ、堆積する土砂が増え、渇水時に水量を調整するダムの能力低下が懸念される。井川ダムより下流は発電の効率化で導水管により水を送るため、河原を流れる水の量が少なくなる。流域のダム14カ所と水力発電所20カ所は、経済成長へと突っ走った「国策」の歴史を象徴している。
ヘリは下流域に到達した。左岸は水がしみ込みやすい「ザル田」と呼ばれる土壌の地域。牧之原台地が広がる右岸は水不足に悩まされ続け、江戸時代などに造られたため池が400カ所以上もある。発電に使われた水は中部電力川口発電所(島田市)の取水口を起点に志太榛原や小笠地域の家庭、田畑、工場で再び利用される。
(写真)河原で砂利の堆積状況など大井川の変化を説明する「大井川を再生する会」のメンバー=8月上旬、川根本町
(写真)日本道路公団が茶園への引水のため設けたポンプ施設。実際に茶園に水を届けることなく老朽化した=8月下旬、掛川市倉真

別の日、掛川市のトマト農家笠原弘孝さん(46)を取材した。大井川の流量減少問題について聞くと「水が数日間供給されないだけでトマトは駄目になる。水源の水が減るのは大きな不安だ」と語った。用水は工業にも活用され、スズキ相良工場(牧之原市)をはじめ、自動車部品や化学製品などの工場に安価な水を届ける。東遠工業用水道企業団の大石良治事務局長は「大井川のおかげで水源の乏しい地域に企業を誘致できるようになった。恵みの水だ」と強調した。

 ■渇水頻発 節水が長期化 気候変動で調整難しく
大井川は近年、渇水が頻発し、水利用者に求められる節水が長期化する傾向がみられる。直近では昨年12月から今年5月にかけ147日間に及んだ。複数の利水関係者は「気候変動で降水量に偏りが出ていて、水量の調整が難しくなっている」と背景を指摘する。
1994年は節水率が50%に達し、牧之原台地の茶が枯れ、もえぎ色の茶葉が赤く染まった。利水関係者は、リニアのトンネル工事で流量が減り、降水量減少など条件が重なれば同じ事態が起こりかねないと気をもむ。
工場は年間を通じて水を使うため、節水は企業の生産活動をも左右しかねない。渇水が深刻化すれば志太榛原、小笠地域の62万人の上水道にも影響が及ぶ。

 ■「水返せ」の思い今も 「本来の機能失った」
「昔は毎日のように川で泳いでいた。当時に比べて数メートルは河床が上がっている」
奥大井観光の拠点としてにぎわう川根本町の大井川鉄道千頭駅付近。蛇行する大井川の流れと対岸に堆積した砂利を眺めながら、大井川を再生する会の殿岡邦吉さん(70)がつぶやいた。少年時代に岩から飛び込んだという淵は消え、支流から流れ込む土砂の堆積も進む。「今の大井川は本来の川の機能を失ってしまった」
明治時代から水力発電所が次々と建設され、表流水がやせ細っていった大井川。上流からの水は導水管に消え、発電を繰り返しながら最下流部の中部電力川口発電所(島田市)へと届けられる。塩郷堰(えん)堤が完成すると下流部は「河原砂漠」と化し、一方の上流部は土砂の堆積や水害が問題化。旧川根3町(本川根、中川根、川根)では1980年代後半、官民による「水返せ運動」が熱を帯び、デモ行進や河川敷での決起集会につながった。再生する会の会員の多くは、運動を後押しした青年組織「モアラブ川根」の元メンバーだ。

運動は国も動かし、発電ダムの水利権更新に合わせた河川維持流量の確保が求められるように。中電との厳しい交渉の末、水利権の更新年だった89年、塩郷堰堤から毎秒3トン(冬場以外は同5トン)の放流が決定。運動の舞台は源流部に位置する田代ダムに移り、2006年の水利権更新に合わせて山梨県側の富士川水系に流れ出ていた水の一部を取り戻した。
全国にも影響を与えた運動から30年が経過したが、再生する会は「大井川の環境は決して良くなっていない」と危機感を抱く。19年の水利権更新を前に活動を再開し、当面は、水の濁りと土砂堆積▽塩郷ダムの利用▽魚道の改善-などをテーマに研究を続ける方針だ。
久野孝史会長(69)は電源開発という「国策」に翻弄(ほんろう)されたかつての水問題と、リニア中央新幹線工事に伴う流量減少問題を重ねつつ、「水問題は今始まったことではない。下流域での利用状況を含め、改めて大井川の環境を考えるべき」と強調する。
流量に加えて水質の変化を懸念するのは新大井川漁協の鈴木捷博組合長(76)だ。「ダム建設当時は皆、水がなくなることや濁水への危機感がなかったはず」と自戒を込める。「(リニア工事に)慎重に対応してほしいと思うのが当然。アユやウナギの遡上(そじょう)も見られなくなった川を、少しでも昔の姿に戻してあげたい」と願う。

■土砂堆積、流下能力低下
急峻(きゅうしゅん)な地形や多雨により土砂の供給が活発な大井川では、ダムの堆砂が進行し、利水能力の低下や河床の上昇などへの対応が課題となっている。
国土交通省中部地方整備局と流域自治体、電力会社などでつくる協議会が策定中の「大井川流砂系総合土砂管理計画」の素案によると、流砂系内のダム15基(塩郷堰堤を含む)のうち3カ所は満砂に近く、そのほかのダムでも、半数で堆砂率が50%超。長尾川合流点付近(川根本町)から上流約20キロ区間では、河床高が計画河床高と比較して1~2メートル程度高く(2015年時点)、「流下能力が著しく低い区間」とされた。
同区間を含む県管理区間では民間による砂利採取を進めるが、09年以降は骨材需要減などで進まず、目標値を下回る。上流部は特に進んでいないのが現状だ。

 ■大井川の「水返せ運動」の歴史
1960年 塩郷堰堤が完成、川口発電所への送水開始。下流で水枯れ、上流では堆砂などが問題となる
85年 川根3町による陳情や要望が活発化
88年 塩郷堰堤からの放流を求め、河川敷での住民集会やデモ行進を実施
89年 水利権更新、通年放流量毎秒3トンを義務付け(県、中電の覚書で冬場以外は同5トンを放流)
97年 河川法改正。河川環境の整備・保護の観点が加わる
2000年 大井川流域8町(当時)の首長らが「大井川の清流を守る研究協議会」を結成
03年 国や県、流域市町と電力会社による「大井川水利流量調整協議会」が設立
05年 田代ダムからの河川維持流量を毎秒0.43~1.49トンとすることで合意

■新東名で水枯れの教訓 茶業者「補償ルールを」
リニア中央新幹線建設に伴う大井川の流量減少問題では、流域の水資源に影響が出た場合の補償の在り方も焦点になっている。20年前、その教訓になりそうな事態が掛川市で起きていた。
新東名高速道建設中の1999年、掛川市の粟ケ岳トンネル工事中に出水が発生した。間もなく周辺の倉真地区で農業用水を採る沢が枯れ、東山地区では地下水を源とする簡易水道が断水した。
「切れたことのない沢が突然、2キロくらいの範囲で干上がった。驚いたし困ったよ」
粟ケ岳北麓で沢の水を使って茶園を営んでいた60代の男性は、当時のショックを振り返る。
着工前、日本道路公団(現中日本高速道路)の説明会が開かれたが「水枯れの可能性の話はなかった」と男性。断水後、地区の要望を受けた公団は、トンネル内の止水工事に加えて別の川から茶園へ約2キロの引水管路と中継ポンプを設ける補償的措置で応じた。
ただ、完成した管路は水が出ず、男性は不具合を訴えたが結局1度も使えなかったという。止水の効果も限定的で、男性は水を確保する負担と茶価安から生産を断念。金銭補償を求めて5年ほどたった昨年、中日本高速道路とようやく補償が成立した。
男性は「条件が提示され、交渉の余地はなかった。事前に補償のルールを決めていれば対応が違っていたはずだ」と悔やむ。
倉真地区では観光名所「松葉の滝」も一時水が絶えた。止水などで水量は3割ほど戻ったが、市や地区区長会は当初から完全回復を求めて要望を続けている。中日本高速道路は「経済的損害がないため対策はできない」との立場で、協議は長年、平行線のままだ。
地区役員の横地静雄さんは「滝はハイキングコースの目玉。何とか水量を戻したい。このまま協議打ち切りでは困る」と語気を強める。リニア中央新幹線の工事に対しても「補償の決めごとなしに工事をすべきでない」と粟ケ岳の苦い教訓が生かされるよう願う。
大井川水系の利水自治体は10市町。地中の水脈は複雑、広域に入り組んでいる。特に扇状地が広がる左岸は多くの工場や家庭が伏流水に依存しているだけに、南アルプストンネル工事に伴う水脈の変化がどのような影響を及ぼすか、影響と工事との因果関係は立証できるのか、有識者の間に懸念の声が目立つ。
松井三郎掛川市長は「水量、水質に影響が出た場合の補償の確約がなければ工事は認められない」と、地元の立場を強く訴えた。

■「丹那」も対応に苦慮
トンネル工事を巡る補償問題は全国各地で発生し、被害を受けた住民が対応に苦慮した事例は多い。県内では約100年前の東海道線丹那トンネル工事に伴う水枯れが有名だ。
函南町誌や鉄道省(現在の国土交通省やJR)の資料によると、トンネル真上の丹那盆地(函南町)はワサビを栽培できるほど水が豊富だったが、工事の進行とともに地下水脈が変化し、盆地内に水枯れが広がった。
飲料水に支障が生じるほどで、住民は鉄道省にたびたび救済を訴えたが、同省は当初、関東大震災の地下変動や降雨量減少のせいだとして本格調査に応じなかった。約10年で多額の補償を得たが、配分を巡って集落間で対立し、住民の襲撃事件にも発展した。同町の資料には「覆水盆に返らず」と記されている。

水のない川、干上がった田 山梨で起こった“異変” リニア工事で“水枯れ”は起こるか?

2019年9月1日
カテゴリー:

リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題についてテレビ静岡のニュース解説を掲載します。問題がよくわかる解説です。

水のない川、干上がった田 山梨で起こった“異変” リニア工事で“水枯れ”は起こるか?
(テレビ静岡 2019/8/31(土) 10:00配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190831-00010000-sut-l22&p=1

(写真)南アルプスを流れる大井川

生き物や産業を支える命の川「大井川」

アマゴやアユなどそこに暮らす生き物を知ったり、流域の林業について学んだり、子供たちが様々な視点で理解を深めているのは大井川。

県が主催して開かれた大井川「川まつり」です。

県が大切さを知ってもらおうと、力を入れる大井川の水源は南アルプス。

そしてその真下に計画されるのは、JR東海によるリニア中央新幹線のトンネル工事です。

(写真)6月 工事現場を視察した知事

“ゴーサイン”出さない川勝知事

工事により、減ると試算される川の水の量は最大で毎秒2トン。県の求めに応じる形でJRは、トンネル内に湧き出る水すべてを川に戻すと約束しました。

しかし…
静岡県・川勝知事
「(Qトンネルの本体工事にゴーサイン出せる?)ゴーサインを出せる状況ではない」

県が求めているのは、「どう戻すのか?」や「水が枯れた場合にどうするのか?」などの具体策です。

県の求めに対して、最近になってJRも具体的な対策を示すなど進展も見られますが…

川勝知事
「『湧水を全部戻す』ということでしたから、ここをクリアしなければトンネルは掘れない」

まだまだ、妥協点を見つけるには時間がかかりそうです。
カラカラに乾いた用水路 山梨県御坂町

県が譲らない理由のひとつには、工事が始まっている他の県で起きた「水枯れ」があります。

山梨県笛吹市御坂町。ここはリニアの試験運転をする、山梨実験線の西の端に位置する場所です。周辺の山々を、リニアのトンネルが貫きます。

笛吹市の市議会議員を務める野沢今朝幸さんに、ある場所に案内してもらいました。

笛吹市・野沢今朝幸市議
「ここを水が絶えることなく流れていた。まったく今は流れなくなった」

(写真)カラカラに乾いた農業用の水路。

2008年、約1キロ離れた場所でリニアのトンネル工事が始まると、すぐに水が枯れたといいます。水路のすぐ上にある田んぼだったという場所に、その面影はありません。
工事後に枯れた川 途中からはJRが汲み上げた水が流れる

枯れた川にJRがパイプで水を戻していた

また、近くの川では…
池谷庸介記者
「こちらはリニアの沿線近くの川になります。ご覧のように水が流れていますが、見てみるとパイプから水が流れているのが分かります。そしてこの川の上流部分に目を向けると、何も水が流れていないことが分かります」
水が枯れた川。前日に夕立が降ったものの水は流れていません。
パイプの水はJRが補償として近くの地中から取水し、川に戻している水です。
工事が始まった当時、市には水枯れの通報が相次ぎました。
野沢市議
「これだけ広く影響があるなんて、とても考えられなかった」

(写真)モモ農家の藤巻進さん

トンネルから水が湧き出ると 飲料水は枯れた

御坂町で桃を栽培する藤巻進さんです。

藤巻さんの畑の周辺では、農業用の水に影響はなかったものの生活用の簡易水道が出なくなり、JRが補償して新たに水道を引きました。

モモ農家・藤巻進さん
「飲料水ですね。枯れたというのは一番大きい。JRが掘っていたらトンネルから水が湧き出た。それと同時に、簡易水道のタンクに水が入らなくなって枯れてしまった」

(写真)リニアのトンネルから排出される大量の水

水はどこに消えたのか…

リニアのトンネルに向かうと、排水溝から大量の水が流れ出ていました。

市議会議員の野沢さんは、山から消えた水がここに集まっていると話します。

野沢市議
「色々なところが枯れてしまって、ここ(トンネルの排水溝)に入ってくる。今まで溜まってた地下水、地層に溜まっていた水も流れてくるし、上に降った雨も染み込んでいると思う」

(写真)大井川 静岡県

他の地域でも同じ事は起こるのか?

一方で市によりますと、川の水が集まる中下流域にある笛吹川について、影響を指摘する声は上がっていません。

水枯れが大井川周辺でも起きるのかどうか、実際に掘ってみないと、JRにも県にもわかりません。

しかし、ほかの地域で実際に起きた水枯れを軽視すべきではありません。

(写真)山梨県を走るリニア実験線

JR東海の回答

JR東海は山梨県の水枯れについて、テレビ静岡の取材に以下のように回答しています。

【山梨県の水枯れについて】
「調査を行い公共工事の基準に基づいて適切に補償しております」
※なお戸数など、どのぐらいの規模で水枯れが起こっているか詳細は明らかにしていない。

【山梨県内ですすむ南アルプスのトンネル工事について】
「掘削に伴う周辺の河川や井戸・湧水の流量の減少は確認されていません」

【静岡県内で予定される南アルプスのトンネル工事について】
「山梨と同じく『先進ボーリング』と呼ばれる調査で、トンネルを掘る場所の
地質状況などを事前に十分に確認しながら掘り進めていきます」

石木ダム建設問題 公開討論求め署名5万筆 県外3万筆 市民団体が県に提出

2019年8月30日
カテゴリー:

8月28日、石木ダ28ム建設の是非に関する公開討論会の開催を求めて署名活動を行っている市民団体のメンバーが5万人分の署名を長崎県に提出しました。
そのニュースと記事を掲載します。

 

石木ダム討論求め5万人署名提出

(NHK 2019年08月28日 15時37分)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20190828/5030005154.html

石木ダム建設の是非を巡り、公開討論会を開くよう求めて署名活動を行っている市民団体のメンバーが県庁を訪れ、県の担当者におよそ5万人分の署名を提出しました。

県と佐世保市が川棚町に建設を進めている石木ダムを巡っては、今年5月に県の収用委員会の裁決が出て、ダムの建設に必要な全ての土地を強制的に収容できるようになりました。

ダム建設の是非を巡り、県に対して公開討論会を開くよう求める署名活動を行っている市民団体のメンバーが県庁を訪れ、河川課の浦瀬俊郎課長に5万947人分の署名を提出しました。

浦瀬課長は「石木ダムの事業認定の取り消しなどを巡る裁判の途中なので、今は公開討論のタイミングではない。今回の要望を中村知事に伝え、引き続き県民に石木ダムの意義を分かりやすく広報していきたい」と述べました。

このあと、記者会見で市民団体のメンバーの1人でアウトドアショップ「パタゴニア」の日本支社の支社長を務める辻井隆行さんは「透明性のある話し合いの場をきっかけに、今の社会的要請を反映した社会全体に求められる計画に生まれ変わることを願っている」と話していました。


石木ダム建設問題 公開討論求め署名5万筆 県外3万筆 市民団体が県に提出

(長崎新聞2019/8/29 10:58 https://this.kiji.is/539626668653167713?c=39546741839462401

(写真)浦瀬課長(右)に署名を手渡す実行委=長崎県庁

石木ダム問題の啓発活動に取り組む市民団体「いしきをかえよう実行委」は28日、長崎県庁を訪れ、県に公開討論の場を求める署名約5万筆分を提出した。同実行委は2017年10月に街頭やホームページなどで署名活動を開始。県内から約2万筆、県外から約3万筆が寄せられた。
この日は環境保護に積極的な米アウトドア衣料大手「パタゴニア」日本支社長の辻井隆行さんや、建設予定地の東彼川棚町川原地区の住民の日々を描いたドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」の山田英治監督ら約10人が参加。長崎県河川課の浦瀬俊郎課長に署名を手渡した。
浦瀬課長は「昨今の災害を考えると、行政の責任として事業を進めていかないといけない。公開討論はタイミングとして違う」とした上で、「事業の広報に力を入れていく」とした。母親と参加した県立佐世保西高3年の荒岡梨乃さん(17)は「人口が減っているのにどうして水源が必要なのか疑問。子どもたちにも分かりやすく教えてほしい」と要望した。
実行委は同日、県庁で会見。山田監督は「石木ダム問題を知って切ない気持ちになった。多くの人に知ってもらおうと映像にした」、辻井さんは「建設推進派、反対派の溝が深まることは望んでいない。国連の『持続可能な開発目標(SDGs)』の理念を踏まえて対話すべき」と訴えた。


公開討論求める署名5万筆 石木ダム巡り県へ提出

(朝日新聞長崎版 2019年8月29日)

 

 

石木ダム建設事業 反対派住民ら公開討論求め 署名5万人、県に提出 /長崎
(毎日新聞長崎版2019年8月29日)https://mainichi.jp/articles/20190829/ddl/k42/010/245000c

県と佐世保市が川棚町で進める石木ダム建設事業について、事業に反対する住民らでつくる「いしきをかえよう実行委」が28日、事業に関する公開討論会開催を求める5万947人分の署名を県に提出した。
署名集めは、2007年に県民2500人を対象に実施した無作為抽出のネットアンケートで約8割が石木ダム事業について「説明が不十分」とした結果を踏まえ、17年10月から始まった。
県によると記録が残る09年以降、石木ダムの事業中止などを求める署名は県に6回提出されたが、約5万人分の規模は初めて。実行委は「推進派、反対派、専門家による議論を通じて県民に十分な説明をすることを求める」などとし、公開討論会が終了するまで建設工事を一時中止することなどを求めている。
メンバーでアウトドア用品「パタゴニア」日本支社長の辻井隆行さん(51)は「建設推進派の人も『議論と理解は必要』と署名をしていただいている。改めて考える場を」と求めた。一方、県河川課の浦瀬俊郎課長は「裁判で係争中でもあり公開討論会は難しい。理解促進については広報啓発をしっかりしていく」と回答した。【浅野翔太郎】
〔長崎版〕

 

↑ このページの先頭へ戻る