事務局からのお知らせ
栃木県南地域の栃木市、下野市、壬生町は水道水源の100%を地下水に依存し、市民町民は美味しくて安全性の高い水道水を享受しています。ところが、栃木県は3市町水道の地下水依存率を大幅に引き下げる県南広域的水道整備事業を推進しようとしています。
この事業は、栃木県が(独)水資源機構の思川開発事業(南摩ダム)で得る予定の毎秒0.403㎥の水道水源を県南3市町に供給する事業です。
これにより、3市町水道の地下水依存率は2030年度には65%まで下げることになっています。そして、その後は地下水依存率がさらに低下していくことが予想されます。
この事業の巨額事業費(三百数十億円)の付けは3市町に回り、水道料金の大幅値上げは避けられません。さらに、思川の水の混入で、3市町の水道水の味、安全性が低下することは必至です。
栃木県が3市町水道の地下水依存率を下げる表向きの理由は地盤沈下対策や地下水汚染対策ですが、県南地域の地盤沈下は20年前から沈静化しており、また、3市町では十分に安全性が高い水道水が供給されており、地下水汚染は杞憂のことに過ぎません。
栃木県は思川開発の水源を無理やり使うために、県南広域的水道整備事業を強引に推し進め、3市町水道の地下水依存率を下げようとしているのです。
この栃木県の方針に2市1町の首長は賛同しましたが、あくまで方針段階での賛同であり、事業化に向けての合意形成はこれからです。
このように理不尽な事業をストップさせるため、2市1町の市民町民が立ち上がりました。
2市1町に対して、県南広域的水道整備事業に参加せず、これからも地下水100%の水道水を維持することを求める署名活動も開始しました。
皆様も是非、この署名活動にご協力くださるよう、お願いいたします。
「地下水100%の水道水の維持を求める要望書」の署名用紙は
栃木県南水道の署名用紙 のとおりです。
この署名活動の趣旨を分かりやすく説明したチラシもあります。
栃木県南水道問題の署名用チラシ のとおりです。
署名用紙とチラシをご活用ください。
この署名活動を進める「栃木県南地域の地下水を生かす市民ネットワーク」の設立集会が去る8月19日に栃木県弁護士会館で開かれ、嶋津暉之が講演をしました。
その講演録が「とちぎの地域と自治」の最新号に掲載されましたので、転載します。
講演録(嶋津暉之)とちぎの地域と自治 2017年10月
なお、思川開発事業に対しては下記のとおり、栃木県だけではなく、東京都、埼玉県、千葉県、茨城県も多額の費用を負担しつつあります。

琵琶湖がつなぐ人と生きものたち
~市民による生物多様性の保全と地域社会の実現をめざして~
第60回 日本弁護士連合会 人権擁護大会 in SHIGA
第3 分科会2017 年10月5日(木) びわ湖大津プリンスホテル コンベンションホール「淡海」 8~10
本シンポジウムでは、多岐にわたる生態系サービスを将来的に享受し続けていくために、いかに生物多様性を保全・管理し、持続的に利用していくべきか、琵琶湖とその上流部の森林、沿岸域にある農地に至るまで、総合的な観点から自然環境政策と法制度について考察します。
本シンポジウムでは、環境創造型農業をはじめ、持続可能な森林管理、原発や化石燃料に頼らない持続可能なエネルギーの活用等、生物多様性の保全と地域経済の活性化のつながりについて考察します。
市民と行政が対等な立場で地域社会の運営に携われる社会を実現するため、多くの市民の皆様と一緒に考えたいと思います。
是非、本シンポジウムにご参加ください。
詳しくはこちら
↓
第60回人権擁護大会シンポジウム 第3分科会チラシ
水源連全国集会・総会、安威川ダムに焦点を合わせます。
① 概要
今年は11 月4 日(土)13 時30 分から茨木市クリエイトセンター多目的ホールにて、大阪府が事業者である「安威川ダム」に焦点を当てた“「河川法改正20年。河川行政はかわったか!」=大阪府営安威川(あいがわ)ダム計画から考える=“を開催します。
宮本博司氏から「河川法改正20年」を踏まえた講演が予定されています。1997 年に河川法が改正され、13 条の2 に河川整備計画の条項が設けられ、その策定に流域住民参加の道筋がつくられました。それは、「川は国のものではなく、流域住民のものであるから、川のあり方を決めるのに流域住民の参画が必要だ」という考え方によるものでした。それが今は蔑ろにされ、住民参加の道が閉ざされています。この河川法改正の原点に立ち返らなければなりません。
翌11 月5日(日)は朝8 時から10 時半にかけて安威川ダム建設事業地の現地見学会を行います。11 時に水源連総会を開始し、昼食をはさんで15 時に終了・解散の予定です。
総会では、①川を流域住民のものに取り戻す問題、②石木ダム予定地の地権者の生活を守る取り組み、③人権擁護に敵対している土地収用法の問題、④豪雨による山腹崩壊・流木流出問題、⑤ダム建設業界の延命策が図られている問題、⑥スーパー堤防の問題、⑦水道民営化の問題・・・・、多くの課題について相互に意見を交換して、次へと繋ぎたいと考えます。
② 二日間の日程
○11 月4 日( 土)
• 全国集会
チラシもご覧ください。 水源連全国集会チラシ
「河川法改正20年。河川行政はかわったか!」
=大阪府営安威川(あいがわ)ダム計画から考える=
茨木市クリエイトセンター 多目的ホール
(JR 茨木駅・阪急茨木駅から徒歩800m)
13:00 受付開始 宿泊・現地視察参加者の受付集金
13:30 全国集会開始~17 時
資料代 500円
• 交流会
17:30〜19:00
茨木市役所9階スカイレストラン
夕食会&参加団体の交流
参加費:1,500円(夕食) ※アルコールなし
• 懇親会
19:00〜20:00
茨木市役所9階スカイレストラン
参加者からのアピール等
参加費:2,000円(バイキング) ※アルコールあり
• ホテルへ移動
20:10
(21:00 までにチェックイン)
宿泊するホテルが二つに分かれますが、事務局が宿泊先への誘導、翌朝の見学会
への誘導を行います。
なお、ホテルの割り振り・部屋割り等は事務局で行います。全てシングルですが
全てが禁煙室ではなくご希望に添えない場合があります。また、連休で宿泊部屋
数の確保に限りがあります。ご了承ください。締め切りの厳守をお願いします。
茨木セントラルホテル(TEL 072-624-1600)
茨木市役所から徒歩15分
高槻サンホテル(TEL 072-676-8787)
茨木市役所から徒歩で阪急茨木駅へ(徒歩10分) 電車7分
阪急京都線高槻駅下車 徒歩3分
○1 1 月5 日
• 安威川ダム現地見学会
8:00 高槻サンホテルからマイクロバス出発。
8:30 茨木セントラルホテル経由・地元案内者と合流後安威川ダム現地へ
9:00 ダム資料館
10:00 現地発 10:30 福祉文化会館着
• 水源連総会
茨木市福祉文化会館302号室
11:00 開会
途中で昼食をとります。事務局が弁当を用意します。
15:00 終了解散
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• 参加費
合計 15,500円 シンポジウムは別途500円、会場でお支払いください。
内訳
交流会 1,500円
懇親会 2,000円
宿泊 8,300円(シングル・朝食付き)
マイクロバス代 3,000円(参加人数により変動あり)
総会昼食代 700円
③ 参加申し込みなど
• 申込み 別紙2017年水源連総会参加申込書に必要事項を記入の上、郵送又はFAX で事務局宛にお送り下さい。
メールの場合は申込書の記入事項と同じ内容を事務局宛にお送りください。
事務局 〒223-0064 横浜市港北区下田町6-2-28 水源連
FAX 045-877-4970
メールアドレスmizumondai@xvh.biglobe.ne.jp
申込み締め切り
9月30日(土)必着
2017年8月、利根川流域市民委員会が「利根川の未来を考えるカムバック・ウナギ・プロジェクト」のウナギアンケートの結果を発表
水源連の皆さまにもご協力いただき、ありがとうございました。
おかげさまで、かつてウナギが生息していた豊かな自然環境、人々の懐かしい生活ぶりが浮かび上がり、それを取り戻すのに何が必要か、多くの方の貴重なご意見を知ることができました。
ぜひ集計結果をこちらからお読みください。
「カムバック・ウナギ・プロジェクト」ウナギに関するアンケート調査の結果
ウナギが豊かだった頃の自然と暮らしの体験談、ウナギ激減の理由や対策についての意見を中心にまとめられています。
回答の一部は、パンフレット「利根川をウナギがすみやすい川にしよう!」にも紹介されています。
利根川流域の内水面漁業協同組合を対象とした「ウナギ漁に関するアンケート」も行いました。
調査対象51漁協のうち、35漁協から回答をいただきました。
その回答の集計結果は
利根川流域の内水面漁協へのウナギ漁に関するアンケートの結果
をご覧ください。
問合せ先:利根川流域市民委員会
深澤洋子(事務局)
T/F 042-341-7524bbjaga@jcom.home.ne.jp
江戸川区北小岩一丁目スーパー堤防の差止め等を求めた控訴審の第2回口頭弁論が東京高等裁判所で8月1日に開かれました。
この控訴審で、スーパー堤防事業がまったくの虚構の事業であることを明らかにする意見書を提出しました(嶋津)。
意見書を北小岩一丁目高規格堤防事業に関する意見書 嶋津暉之 2017年7月 2.13MB
に掲載しましたので、お読みいただければと思います。
要旨は次のとおりです。
意見書の要旨
① 本件対象地区は江戸川沿川において水害の危険性が最も小さいところであり、高規格堤防に変える必要性がまったくない。
・利根川水系利根川・江戸川河川整備計画が目標とする治水安全度(1/70~1/80)を確保する上で必要な堤防が本件対象地区ではすでに十分に整備されており、江戸川沿川の地域において最も安全度が高い地区である。
・国土交通省の計算では利根川水系河川整備基本方針の長期的な目標の治水安全度(1/200)に相当する洪水が来ても本件対象地区では溢れることはない結果が示されており、治水安全度が極めて高い。
・本件対象地区は江戸川区の中では標高が比較的高く、東京湾満潮面以下のいわゆるゼロメートル地帯ではないため、万が一、江戸川からの溢水があったり、未曽有の集中豪雨があったりしても、水害を受ける可能性が極めて低い地区である。
② 本件対象地区で整備される高規格堤防は延長がわずか120mの高規格堤防であり、今後、この高規格堤防を上下流に拡張する具体的な実施計画が存在しないから、江戸川の治水対策としての役割を何も果たさない。
・高規格堤防は超過洪水到来時の決壊の防止を名目に整備を進めるものであるが、それなりの長さで連続的な整備がされなければその役割を果たすことができない。右岸側の既設の高規格堤防は本件対象地区の上流側では3km以上、下流側では5km離れており、本件対象地区は孤立した点の高規格堤防をつくるだけである。
・右岸側で整備が計画されているのは約2km下流の篠崎公園地区の高規格堤防420mだけである。しかも、完成予定は2026年度であり、実際の完成は数年以上遅れるから、順調に行っても今から十数年以上先のことである。
・わずか120mだけの高規格堤防で、その上流と下流は通常堤防であるから、超過洪水の到来時には上下流で越流することになり、本件対象地区には溢れた洪水が押し寄せることになる。
③ 江戸川下流部等において計画通りに高規格堤防を整備するためには、気が遠くなるような超長期の年数と、巨額の河川予算が必要であり、高規格堤防整備事業は現実性が欠如している。
・江戸川下流部の両岸で高規格堤防が整備されたのは、6地区で、総延長は1730mであるが、高規格堤防としての基本断面ができている延長は一部であって、延べ510mしかない。計画整備距離数22kmに対してわずかその2.3%しか完成していない。
・江戸川下流部は20年以上前から高規格堤防事業が始まっている。20年経過して、整備率が2.3%とすれば、計画通りに22kmの整備を終えるためには、20年÷0.023 =約870年もかかることになる。
・このように整備の完了に気が遠くなるような年数を要する高規格堤防の整備は治水対策としての意味を持つものではなくなっている。
・高規格堤防を計画通りに整備するためには巨額の公費が必要である。本件北小岩一丁目高規格堤防の整備単価を使うと、江戸川下流部の未整備区間を約20kmとすれば、今後、 0.78兆円という巨額の公費が必要となり、高規格堤防は費用の面でも現実性が欠如している。
④ 北小岩一丁目地区高規格堤防について国土交通省は「その敷地を水防活動や一時的な避難場所として活用することが可能となる」と述べているが、それは虚構である。本件高規格堤防の周辺は通常堤防であるから、超過洪水の到来時には越流の危険に晒されており、江戸川に面する長さわずか120mの高規格堤防の上に避難しようする人がいるはずがない。
⑤ 江戸川の高規格堤防整備事業の無意味さは国土交通省関東地方整備局の事業評価監視委員会(2016年2月22日)でも指摘されている。篠崎公園地区の高規格堤防整備について事業の是非を問う厳しい意見が繰り返し出された。「江戸川でスーパー堤防の整備を進めていく具体的な計画がなくて、ここだけ、スーパー堤防にする意味がどこにあるのか」と、事業の必要性に強い疑問が投げかけられた。
⑥ 耐越水堤防工法はすでに確立された技術であり、旧・建設省は2000年に耐越水堤防工法の普及を進めようとしたが、その後、国土交通省は高規格堤防やダム建設の推進の妨げになるとして、耐越水堤防工法を認めない方針に転換してしまった
・フロンティア堤防などの耐越水堤防の工法は旧建設省土木研究所で研究開発され、その研究成果に基づいて1980年代後半から一級水系の一部河川で整備が実施されてきた。その実績をもとに、旧・建設省は2000年3月策定の「河川堤防設計指針(第3稿)」に耐越水堤防の必要性と工法を明記し、全国の関係機関に通知した。
・ところが、2000年12月の川辺川ダム住民討論集会で、耐越水堤防の導入でダム建設の理由の一つがなくなることが明らかになったことから、国土交通省は「河川堤防設計指針(第3稿)」を廃止してしまった。
・国土交通省が耐越水堤防工法の普及に現在、ストップをかけるもう一つの理由は高規格堤防の推進である。耐越水堤防工法の普及を認めれば、極めて長い年月と巨額の公費を要する高規格堤防はその存在理由そのものが失われてしまうからである。
・そのことによって、日本の河川は耐越水堤防工法による堤防強化がいつまで経ってもされず、破堤の危険性が放置される由々しき事態になっている。