水源連:Japan River Keeper Alliance

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江戸川区北小岩一丁目スーパー堤防問題の意見書の提出(2017年8月1日)

2017年8月2日
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江戸川区北小岩一丁目スーパー堤防の差止め等を求めた控訴審の第2回口頭弁論が東京高等裁判所で8月1日に開かれました。

この控訴審で、スーパー堤防事業がまったくの虚構の事業であることを明らかにする意見書を提出しました(嶋津)。

意見書を北小岩一丁目高規格堤防事業に関する意見書  嶋津暉之 2017年7月 2.13MB

に掲載しましたので、お読みいただければと思います。

要旨は次のとおりです。

 

意見書の要旨

① 本件対象地区は江戸川沿川において水害の危険性が最も小さいところであり、高規格堤防に変える必要性がまったくない。

・利根川水系利根川・江戸川河川整備計画が目標とする治水安全度(1/70~1/80)を確保する上で必要な堤防が本件対象地区ではすでに十分に整備されており、江戸川沿川の地域において最も安全度が高い地区である。

・国土交通省の計算では利根川水系河川整備基本方針の長期的な目標の治水安全度(1/200)に相当する洪水が来ても本件対象地区では溢れることはない結果が示されており、治水安全度が極めて高い。

・本件対象地区は江戸川区の中では標高が比較的高く、東京湾満潮面以下のいわゆるゼロメートル地帯ではないため、万が一、江戸川からの溢水があったり、未曽有の集中豪雨があったりしても、水害を受ける可能性が極めて低い地区である。

 

② 本件対象地区で整備される高規格堤防は延長がわずか120mの高規格堤防であり、今後、この高規格堤防を上下流に拡張する具体的な実施計画が存在しないから、江戸川の治水対策としての役割を何も果たさない。

・高規格堤防は超過洪水到来時の決壊の防止を名目に整備を進めるものであるが、それなりの長さで連続的な整備がされなければその役割を果たすことができない。右岸側の既設の高規格堤防は本件対象地区の上流側では3km以上、下流側では5km離れており、本件対象地区は孤立した点の高規格堤防をつくるだけである。

・右岸側で整備が計画されているのは約2km下流の篠崎公園地区の高規格堤防420mだけである。しかも、完成予定は2026年度であり、実際の完成は数年以上遅れるから、順調に行っても今から十数年以上先のことである。

・わずか120mだけの高規格堤防で、その上流と下流は通常堤防であるから、超過洪水の到来時には上下流で越流することになり、本件対象地区には溢れた洪水が押し寄せることになる。

 

③ 江戸川下流部等において計画通りに高規格堤防を整備するためには、気が遠くなるような超長期の年数と、巨額の河川予算が必要であり、高規格堤防整備事業は現実性が欠如している。

・江戸川下流部の両岸で高規格堤防が整備されたのは、6地区で、総延長は1730mであるが、高規格堤防としての基本断面ができている延長は一部であって、延べ510mしかない。計画整備距離数22kmに対してわずかその2.3%しか完成していない。

・江戸川下流部は20年以上前から高規格堤防事業が始まっている。20年経過して、整備率が2.3%とすれば、計画通りに22kmの整備を終えるためには、20年÷0.023 =約870年もかかることになる。

・このように整備の完了に気が遠くなるような年数を要する高規格堤防の整備は治水対策としての意味を持つものではなくなっている。

・高規格堤防を計画通りに整備するためには巨額の公費が必要である。本件北小岩一丁目高規格堤防の整備単価を使うと、江戸川下流部の未整備区間を約20kmとすれば、今後、 0.78兆円という巨額の公費が必要となり、高規格堤防は費用の面でも現実性が欠如している。

 

④ 北小岩一丁目地区高規格堤防について国土交通省は「その敷地を水防活動や一時的な避難場所として活用することが可能となる」と述べているが、それは虚構である。本件高規格堤防の周辺は通常堤防であるから、超過洪水の到来時には越流の危険に晒されており、江戸川に面する長さわずか120mの高規格堤防の上に避難しようする人がいるはずがない。

 

⑤ 江戸川の高規格堤防整備事業の無意味さは国土交通省関東地方整備局の事業評価監視委員会(2016年2月22日)でも指摘されている。篠崎公園地区の高規格堤防整備について事業の是非を問う厳しい意見が繰り返し出された。「江戸川でスーパー堤防の整備を進めていく具体的な計画がなくて、ここだけ、スーパー堤防にする意味がどこにあるのか」と、事業の必要性に強い疑問が投げかけられた。

 

⑥ 耐越水堤防工法はすでに確立された技術であり、旧・建設省は2000年に耐越水堤防工法の普及を進めようとしたが、その後、国土交通省は高規格堤防やダム建設の推進の妨げになるとして、耐越水堤防工法を認めない方針に転換してしまった

・フロンティア堤防などの耐越水堤防の工法は旧建設省土木研究所で研究開発され、その研究成果に基づいて1980年代後半から一級水系の一部河川で整備が実施されてきた。その実績をもとに、旧・建設省は2000年3月策定の「河川堤防設計指針(第3稿)」に耐越水堤防の必要性と工法を明記し、全国の関係機関に通知した。

・ところが、2000年12月の川辺川ダム住民討論集会で、耐越水堤防の導入でダム建設の理由の一つがなくなることが明らかになったことから、国土交通省は「河川堤防設計指針(第3稿)」を廃止してしまった。

・国土交通省が耐越水堤防工法の普及に現在、ストップをかけるもう一つの理由は高規格堤防の推進である。耐越水堤防工法の普及を認めれば、極めて長い年月と巨額の公費を要する高規格堤防はその存在理由そのものが失われてしまうからである。

・そのことによって、日本の河川は耐越水堤防工法による堤防強化がいつまで経ってもされず、破堤の危険性が放置される由々しき事態になっている。

 

「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(変更原案)」の意見募集 思川開発に反対の意見を!

2017年6月24日
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国土交通省関東地方整備局が「利根川・江戸川河川整備計画(変更原案)」のパブリックコメントを行っています。

今回の整備計画変更の理由は、思川開発事業(南摩ダム)を河川整備計画に位置づけることにあります。
思川開発事業は必要性がなく、全く無意味なダム事業です。
パブコメは通過儀礼として行われているもので、残念ながら、提出した意見が反映されることはありませんが、

反対の意思を示すため、私(嶋津)は意見書(本文と別紙)を提出しました。

利根川河川整備計画変更原案への意見書(嶋津暉之)

利根川河川整備計画変更原案への意見書の別紙(嶋津暉之)

皆様も意見の提出をご検討ください。

意見の提出は6月28日(水) (18:00必着)までとなっています。
河川整備計画変更の内容は http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000328.htmlをご覧ください。
関東地方整備局
「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(変更原案)」に対する意見募集について
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000319.html
国土交通省関東地方整備局では、「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(平成25年5月策定、平成28年2月変更)」について、思川開発事業の検証の結果を踏まえ、「思川開発」に関する記載内容の変更、「河川の整備の実施に関する事項」を現時点の記載とする等「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(変更原案)」を作成し、関係する住民の皆様から広くご意見を募集することとしましたのでお知らせします。
「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(変更原案)」は、関東地方整備局ホームページに掲載しています。
関東地方整備局ホームページ/利根川水系河川整備計画
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/index00000012.html
○意見募集の実施について
本文資料(PDF)別添1「『利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(変更原案)』に対する意見募集について」を参照
1. 意見募集の対象
「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(変更原案)」
2. 意見募集期間
平成29年5月30日(火)~平成29年6月28日(水) 18:00必着
(郵送の場合は当日消印まで有効)
3. 提出方法
ご意見は、別添意見提出様式にご記入いただくか、下記①から⑥をご記入いただいたもの を郵送、ファクシミリ、電子メールのいずれかの方法で、下記4.までご提出ください。
①氏名(企業・団体としての意見提出の場合は、企業・団体名、代表者名並びに担当部署 名及び担当者名)
②住所(都道府県・市区町村)
③電話番号又はメールアドレス
④年代(20歳未満、20代、30代、40代、50代、60歳以上)
⑤性別
⑥意見
・「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(変更原案)」の該当箇所(章、頁)を記 入の上、ご意見を記入してください。
4. 提出先
〇 郵送の場合   〒330-9724 埼玉県さいたま市中央区新都心2-1 国土交通省関東地方整備局 河川部河川計画課  「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(変更原案)」意見募集 事務局 宛
〇 ファクシミリの場合   048-600-1378
〇 電子メールの場合   wlmailhtml:ktr-toneedo-plan@ml.mlit.go.jp   件名に「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(変更原案)」意見募集 事務局宛と 明記ください。

パタゴニア日本支社 長崎県民対象の世論調査を実施

パタゴニア日本支社が長崎県民を対象に石木ダムについて世論調査を実施した結果を発表しました。その発表内容を掲載します。

 パタゴニア日本支社 長崎県民対象の世論調査を実施

(時事ドットコム2017/06/22-12:40 ) http://www.jiji.com/jc/article?k=000000007.000021813&g=prt
[パタゴニア日本支社]
石木ダム建設、反対が賛成を上回る、「説明不十分」が約8割
アウトドア企業のパタゴニア日本支社(本社: 米国カリフォルニア州ベンチュラ、日本支社: 神奈川県横浜市)は、本日6月22日(木)長崎県政記者クラブに於いて記者会見を行い、「石木ダム建設計画」に関する世論調査の結果を発表しました。
 
 パタゴニアは「ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」ことを企業理念の中に掲げ、様々な環境保護活動を行っています。
長崎県と佐世保市が東彼杵郡川棚町に建設計画を進める石木ダムについて、多額の税金を投入しながら豊かな自然と13世帯の生活を奪うだけの建設の正当性や説明が乏しいことを疑問視してきました。
そこでパタゴニアでは外部のリサーチ会社を利用し、今年5月23日~31日の期間で長崎県民2500人を対象とした「石木ダム建設計画」に関する調査を実施しました。その結果、県民の中で「反対」が「賛成」を上回り、また県民の約8割が建設計画に対して「説明不足」だという回答が出ました。
これを受け、パタゴニアは、一度立ち止まって専門家の意見に耳を傾け、賛成、反対、中立の立場の人たちが、公開の場で話し合うことの必要性を呼びかけます。
● 長崎県民が負担する538億円
長崎県・川棚川の下流にある小さな支流、石木川にダムを作る建設計画があります。総工費は538億円です。長崎県民が負担します(※1)。
※1 石木ダムの総事業費は建設費と関連事業費を合わせて538億円。負担先は、長崎県負担185億円、佐世保市民負担353億円。うち、国庫補助金(=国民の税金)147.5億円。
● ダム建設に反対の割合が賛成者を上回る
長崎県民がこれだけ大きな負担を負うにもかかわらず、実は、ダム建設に反対する人の割合は賛成する人を上回っています(グラフ右)。また、県民の2人に1人が石木ダムの計画について「よく分からない」と調査で答えるなど、客観的に見て、巨額の公共事業の進め方としては疑問を呈さざるを得ない状態です。
● 「説明不十分」の回答が県民の約8割
石木ダムの建設計画は40年前からあるため、「石木ダム」という名称自体は有名です。しかし、その必要性や県民の負担についてきちんと理解できている県民は少なく、調査でも、県民の約8割が、県が「十分な説明をしていない」と答えています(グラフ左)。またこれまで、ダム建設予定地の地権者など、石木ダムの建設に反対する団体が公の場で県の恣意的な水の需要予測や治水に役立つ根拠の無さなど、その必然性に対する疑問を呈してきていますが、それに対する長崎県の直接的な回答はありません。
● 公の場で、推進と反対と中立の立場の議論を!
専門家をまじえて、ダムを造りたい人と、ダムに反対する人とそれぞれの意見が一度に聞ける公開討論会の開催を長崎県に求めるため、下記のようにChange.orgで署名を本日6月22日(木)より開始します。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
石木ダムの建設は、今にも始まろうとしています。つまり、今ならまだ間に合います。
長崎のみなさん、一度立ち止まって考えてみませんか。
中村法道 長崎県知事と県議会議員45名に声を届けましょう。
署名する*Change.org <http://prt.nu/0/石木ダム建設>
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
また、同時にパタゴニア公式サイトでは、本日より、石木ダムの建設により沈む予定の川棚町川原地区で、半世紀もの間ふるさとを守るために戦ってきた13世帯の家族の暮らしをめぐるドキュメンタリー映画『プロテクターズ・オブ・ファイアフライ・リバー(ほたるの川のまもりびと/パタゴニア特別限定版)』の公開も開始します。
『プロテクターズ・オブ・ファイアフライ・リバー(ほたるの川のまもりびと/パタゴニア特別限定版)』
・監督:山田英治 (映画監督/脚本家/クリエイティブディレクター/CMプランナー)
・物語:長崎県東彼杵郡川棚町川原地区の住民は、川棚川の支流石木川を囲むように、先祖から引き継ぐこの地で自然とともに生活を営んできました。いま、ダム建設によって、その生活が奪われる危機にあります。川原地区の13世帯の住民は計画が持ち上がってから半世紀ものあいだ、計画の見直しをもとめ、ふるさとの自然と暮らしを守る活動がつづいています。[日本語+英語字幕付き]
・詳細を読み、行動を起こす: patagonia.com/protectors-of-firefly-river.html
当映画は、来月7月から約1ヶ月に渡ってパタゴニア直営店をはじめとする全国25箇所で開催される『Granted Film Festival(グランテッド・フィルム・フェスティバル)』ツアーでも、特別編作品として上映します。
グランテッド・フィルム・フェスティバル: patagonia.com/jp-granted-film-festival.html
■ 会社概要
パタゴニア社 Patagonia, Inc.
米国カリフォルニア州ベンチュラに本社を置くアウトドア企業のパタゴニアは、1973年、イヴォン・シュイナードによって設立されました。Bコーポレーションとして認証され、「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」をミッションとしています。パタゴニアは確かな製品品質へのコミットメントと環境に関する活動において国際的に知られ、これまでに8,200万ドル以上を助成金や製品寄付として提供しています。
パタゴニア日本支社 Patagonia International Inc.,Japan Branch
所在地 :神奈川県横浜市戸塚区川上町91-1 BELISTAタワー東戸塚5階
設立年月日:1988年8月23日
日本支社長:辻井 隆行
公式ウェブサイト: www.patagonia.jp
■ お客様お問い合わせ先
パタゴニア日本支社 カスタマーサービス (受付時間:月~日 9:00~17:00)
フリーコール:0800-8887-447 (通話料無料)
IP電話サービス/携帯電話専用:045-435-6100 (通話料有料)
所在地:神奈川県横浜市戸塚区川上町91-1 BELISTAタワー東戸塚4階

『裁判報告  八ッ場ダム・思川開発・湯西川ダム 6都県住民11年の闘い』の書評

八ッ場ダム住民訴訟弁護団、八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会が昨年9月に刊行した
『裁判報告  八ッ場ダム・思川開発・湯西川ダム 6都県住民11年の闘い』
の書評を
瀬戸昌之先生(東京農工大学・元教授)が

『人間と環境』2017年№1に書かれています。

 八ッ場ダム等裁判報告の書評

 

この裁判報告の内容は
https://suigenren.jp/news/2016/11/25/8652/
をご覧ください。

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国土審議会の「リスク管理型の水の安定供給に向けた水資源開発基本計画のあり方について」の答申

2017年5月12日
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5月12日、国土交通省の国土審議会が国土交通大臣宛に、「リスク管理型の水の安定供給に向けた水資源開発基本計画のあり方について」の答申を出しました。

http://www.mlit.go.jp/report/press/water02_hh_000087.html をご覧ください。
「リスク管理型の水の安定供給に向けた水資源開発基本計画のあり方について」(答申)
~需要主導型の水資源開発からリスク管理型の水の安定供給へ~
この答申は八ッ場ダム、思川開発、霞ケ浦導水事業、設楽ダム、川上ダム、天ヶ瀬ダム再開発などといった、現在進められているダム等事業を利水面で位置づけることを企図したものです。
水需要が減少の一途をたどり、水余りが一層進行していく時代において利根川、豊川、木曽川、淀川、筑後川水系等の水需給計画である水資源開発基本計画(フルプラン)はその役割が終わっているのですから、
国土交通省は根拠法である水資源開発促進法とともに、フルプランを廃止し、
新規のダム等事業は利水面の必要性がなくなったことを明言すべきです。
しかし、国土交通省は上記のダム等事業を何としても進めるべく、(水需要の面では必要性を言えなくなったので)「リスク管理型の水の安定供給」が必要だという屁理屈をつけて、上記のダム等事業を位置づけるフルプランを策定するため、今回の答申をつくりました。
この答申に沿ってこれからフルプランの変更が行われることになっています。
この答申の関係資料が
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/water02_sg_000074.html に掲載されています。
この答申案に対して2月22日から3月7日までパブリックコメントが行われました。
提出された意見がhttp://www.mlit.go.jp/common/001184469.pdf に掲載されています。
答申案に対して厳しい意見が多く出されていますので、ご覧ください。

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