水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース > 事務局からのお知らせ

ニュース

事務局からのお知らせ

「思川開発事業は必要か!」パブコメに対して意見を!

思川開発の検証作業は3年半ストップしていたのですが、昨年秋に再開され、推進のお墨付きを得ようと、一挙に動き出し、現在、検証素案へのパブリックコメントが行われています(5月11日まで)。
検証作業の経過は http://www.water.go.jp/honsya/honsya/verification/omoigawa.html をご覧ください。
思川開発事業の検証に係る検討報告書(素案)はhttp://www.water.go.jp/honsya/honsya/verification/pdf/omoigawa/omoi_suan.pdf に掲載されています。

思川開発の事業費を負担しつつあるのは下表のとおり、国と5都県です。(起債の利息及び水源地域整備事業を除く)

思川開発の国および各都県の負担額
(億円)
栃木県 埼玉県 東京都 千葉県 茨城県 国費
新規利水 91 83 0 30 65 180 449
洪水調節 15 9 12 16 11 146 209
不特定利水+異常渇水時の緊急補給 131 21 89 103 13 835 1,192
237 114 101 148 89 1,160 1,850

〔注1〕河川費の地方負担率を30%、水道負担金の国庫補助率を40%とする。

〔注2〕新規利水の各県の水道

栃木県:栃木県水道、鹿沼市水道、小山市水道、埼玉県:埼玉県水道、茨城県:古河市水道、五霞町水道、千葉県:北千葉広域水道企業団

無意味な思川開発をストップさせるために多くの方が意見を出してください。思川開発の問題点は 思川開発検証素案への意見書(嶋津)をご覧ください。

~「思川開発事業は必要か!」パブコメ(意見公募)募集~ (「思川開発事業と栃木市の水道水を考える会」から)

市民が声を出せるよい機会です!気楽に意見を出しましょう!

沢山の人が関心持っていることを示すために、多くの人に、ご家族友人にも勧めてください!

 募集期間=4月12日~5月11日(水)18:00(郵送の場合は当日消印有効)

 意見書の作成方法

意見書用紙 思川開発検証素案への意見書用紙 に記入するか、

または、①氏名 ②住所(都道府県・市区町村) ③電話番号又はメールアドレス ④年齢(20歳未満、20代、30代、40代、50代、60歳以上) と

⑤意見を記入したものを提出してください。意見を1ページに書き切れない場合は別紙を付けて書き足してください。

提出方法

〇 郵送する場合

〒330-6008 埼玉県さいたま市中央区新都心11-2(ランド・アクシス・タワー内)

独立行政法人水資源機構 ダム事業本部 ダム事業部 設計事業課

 「思川開発事業の検証に係る検討報告書(素案)」意見募集 事務局 宛

〇 ファクシミリで送信する場合。

FAX 048-600-6570

〇 電子メールで送信する場合

アドレス omoigawa_1@water.go.jp

件名に「思川開発事業の検証に係る検討報告書(素案)」意見募集 事務局 と明記してください。

文例はつぎのとおりです。

●南摩川は流域面積が小さく(12㎢)、小川のような川ですから、思川や利根川の洪水に対する南摩ダムの効果は微々たるものです。わずかな治水効果しかない南摩ダムの建設に巨額の費用を投じるのを止めて、その予算を転用し、思川の氾濫防止のために今直ちに必要とされている河床掘削等の河道整備を推進すべきです。

●南摩川は流量がわずかなため、大芦川と黒川から導水することになっていますが、この二つの川からの導水ではダムの水収支は厳しく、国交省の運用計算ではダムの貯水量は度々底をつきます。そのようなダムを建設するのは極めて不合理で、反対です。

●利根川流域の水道水の需要は1990年代から減り続けています。節水型機器の普及等により、一人当たりの給水量が減っているからです。将来は流域全体の人口も減少するので、水道用水がさらに減っていくことは確実です。このような時代に思川開発による水源開発は時代錯誤で不要です。

●栃木県は、県南地域が水道水源を全量地下水のみに依存すると、地盤沈下や地下水汚染が危惧されるから、河川水も利用すべきだと、「県南地域・水道用地下水の削減方針」という机上プランをつくりました。しかし、地盤沈下は15年前から鎮静化し、水道水源井戸は清浄で全く問題ないので、河川水を使う開発計画に反対します。

●栃木県が思川開発で確保する水利権は0.403㎥/秒で、県南地域に水道水を供給することになっていますが、その水道供給計画が存在せず、思川から取水して各市町の水道配水池まで送水する新たな施設の建設に巨額な費用がかかります。使う必要がない水源を抱え、費用を栃木県民に背負わせることに反対します。

各ダムの平成28年度予算と予算の推移

2016年4月2日
カテゴリー:

2016(平成28)年度予算が成立し、各ダムの予算額もきまりました。

直轄ダムと水資源機構ダムの2016年度予算は、国交省のHP

http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/yosan/gaiyou/yosan/h28/h28damyosan.pdf の予算案と同じです。

補助ダムの2016年度予算は、確定予算の事業実施箇所(当初配分)

http://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_001112.html  の中に示されています。

例えば、石木ダムについては長崎県を開くと、最初に道路局の予算、次に国土保全・水管理局の予算が書かれていて、

石木ダムの事業費が1.2億円となっています。

石木ダムは工期が6年延長されたためでしょうか、2015年度予算9.2億円に比べて2016年度は小さくなっています。

各ダムの2009~2016年度の予算の推移を整理しました。参考までにご覧ください。

直轄・水機構ダムの予算 2009~2016年度

補助ダムの予算 2009~2016年度

 

 

大戸川ダム検証素案に対する意見

淀川水系・大戸川ダム検証素案についての意見募集が3月14日まで行われています。

去る2月27日に開かれた大津市内の公聴会ではダム反対意見の公述がなかったと報道されています。

翌日、28日の大阪市内の公聴会では公述人が一人だけで、今本博健京都大学名誉教授が反対意見を公述されたと聞いています。

このままでは反対意見があまりにも少なく、先行きが大いに心配されますので、水源連として大戸川ダムの問題を急きょ検討して、意見を提出しました。

意見書は 大戸川ダム検証素案に対する意見(嶋津暉之) のとおりです。

要旨を記します。

① 淀川本川の治水対策として大戸川ダムは意味を持たない。

〇 治水代替案の事業費の大半を占めているのは淀川本川対策の事業費である。

〇 大戸川ダムは淀川本川で計画洪水ピーク流量を400㎥/秒削減する効果があるとされているが、これは下流に行くほど、ダムの洪水ピーク削減効果が減衰していことを考慮しないきわめて過大な数字であり、実際は100~150㎥/秒以下であると推測される。

〇 仮に400㎥/秒の削減効果があるとしても、最大で約15㎝の水位低下である。淀川本川は現況堤防の余裕高が2.5~3m以上あり、必要な余裕高2mは十分に確保されるので、淀川本川では大戸川ダムの小さな治水効果は意味を持たない。

〇 この淀川本川対策の費用を除くと、治水対策代替案の河道掘削案や堤防嵩上げ案の事業費は大戸川の分だけとなり(それぞれ210億円、230億円)、大戸川ダム案の事業費478億円(残事業費)を大幅に下回るので、これらの代替案を選択すべきである。


② 大戸川で進めるべき治水対策

〇 大戸川において耐越水堤防工法を導入すれば、大戸川の流下能力を大幅に高めることができる。耐越水工法の導入と流下能力不足箇所の河川改修に130~180億円程度の費用をかければ、大戸川ダムなしで、計画流量に対応でき、且つ、それを超える洪水が来ても破堤を防ぐことができるようになる。


③ 鬼怒川の堤防決壊を踏まえた治水対策を!

〇 耐越水堤防工法は旧・建設省土木研究所が研究開発し、技術的に確立して一部の河川で実施されつつあったにもかかわらず、国交省はダム事業推進の妨げになるとして、耐越水堤防工法の普及にストップをかけた。治水対策として必要性が稀薄な大戸川ダムにこれから500億円近くの河川予算を使うことをやめ、鬼怒川堤防決壊による悲惨な水害を踏まえて、流域住民の生命と財産を守るために有効な治水対策、耐越水堤防の導入を大戸川、淀川本川でも推進すべきである。


④ 自然にやさしくない流水型ダム(穴あきダム)

〇 大戸川ダムが建設されれば、流水型ダムの副ダムの存在が水生生物の行き来を妨げる障害物になる。さらに、洪水後の川の濁りが長期化し、魚類の成育や生態に対して少なからず影響を与えることも危惧される。


⑤ 流水型ダムは大洪水時には閉塞して洪水吐きが洪水調節機能を喪失

〇 流水型ダムについて強く心配されることは、大洪水時に流木や土砂などで洪水吐きが詰まって、洪水調節機能が失われてしまうことである。大戸川ダムが閉塞すれば、大戸川ダム下流の河道はダムの洪水調節を前提として計画されているから、大氾濫の危険にさらされることになる。

 

札幌市への豊平川水道水源水質保全事業に関する公開質問書(当別ダムとの関連で)

北海道の当別ダムは市民の反対を押し切って2012年に完成しましたが、必要性のないダムであることには変わりはありません。
同ダムの建設に反対した「当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会」と「北海道自然保護協会」は当別ダムからの札幌市の撤退を視野に入れて活動を続けています。
去る2月25日には両市民団体は札幌市に対して「豊平川水道水源水質保全事業の再評価に関する公開質問書」を提出し、同時に厚生労働省に対して同事業への補助金交付中止を求める要望書を送付しました。
公開質問書は札幌市への公開質問書「豊平川水道水源水質保全事業の再評価に関して 」 、

厚労省への要望書は厚労省への要望書「豊平川水道水源水質保全事業の再評価に関して 」 をご覧ください。豊平川水道水源水質保全事業とは、札幌市水道水のヒ素濃度を下げることを理由にして、札幌市水道の主要水源である豊平川の上流から浄水場の下流までバイパス管を設置する事業です。

ヒ素を含む温泉水が混入する豊平川上流の水が、浄水場の原水にできるだけ入らないようにするという事業で、市民に安全な水を供給することをお題目にしていますが、しかし、この事業には裏の顔があります。
この事業は札幌市が当別ダム事業に参画するために、保有水源を減らす方策として考えられたものなのです。

札幌市水道の水需給図に示すように、札幌市は水需要の過大予測を行うとともに、この事業によって豊平川の流量が減って保有水源が8.6万㎥/日少なくなるとして、将来は当別ダムの水源が必要になるという水需給図をつくりました(過大予測は2012年の当別ダム完成後に下方修正しました。)

そして、この事業は187億円という巨額の公費を使い、市民に対して重い経済負担を強いる事業でもあります。
なお、札幌市水道水のヒ素濃度は現状のままで水道水質基準を超えることはなく、十分に安全な水です。市の水質目標値(基準の1/2)を超えることがまれにあるだけで、半世紀以上も支障なく供給されてきた安全な水道水です。
このように、札幌市は当別ダムに参画するため、市民に安全な水を供給することを名目にして、本来は必要性がない巨額公費の事業を無理矢理作り出しました。
この事業は計画後10年経過したことから、今回、事業継続が妥当か否かの再評価が行われました。札幌市による再評価の結果は費用便益比が2.95で、1を大きく超えているから、継続が妥当というものでした。
しかし、この再評価の内容を検討すると、それは虚構の計算であり、手順に沿って計算すれば、費用便益比が1を大きく下回って中止すべき事業であること、そして、札幌市水道水のヒ素濃度は最近は市の水質目標値を超えることはなくなってきており、この事業の目的が失われてきていることも明らかになりました。

そこで、これらの問題を問いただすため、「当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会」の安藤 加代子さん、山田明美さん、「北海道自然保護協会」の在田一則さん、佐々木克之さんたちが札幌市水道局に公開質問書を提出しました。3月10日までに市から回答がある予定です。

下記の記事はこの公開質問書の提出を伝える記事です。

豊平川ヒ素対策「不要」自然保護団体 市に中止要望

(北海道新聞 2016年2月27日)
北海道自然保護協会と市民団体「当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会」は26曰、札幌市役所で記者会見し、豊平川を水源とする水道水のヒ素濃度を下げる事業を中止するよう市に求めたことを明らかにした。
「近年は濃度が市の目標値を上回ることはほとんどなく、不要だ」と主張した。
 この事業は、ヒ素を含む豊平川の湧き水が浄水場に流れ込むのを防ぐため、バイパス水道管を整備するもの。工期は2005~20年度で、総事業費187億円。
 両団体は「05年度以降、浄水場で処理を終えた水のヒ素濃度は市の管理目標値である1㍑当たりO・O05ミリグラムをほとんど超えていない」と指摘、25日付で秋元克広市長宛てに事業の中止を求める要望書を提出した。
 一方、市水道局事業推進担当課は取材に対し「処理前の原水のヒ素濃度は基準を超える状況が続いており、事業は妥当だ」と話している。  (水野富仁)

 

「城原川ダム事業の検証に係る検討報告書(素案)」に対する意見

佐賀県の直轄ダム「城原川ダム」の検証報告素案への意見募集が2月23日まで行われています。
九州地方整備局のHP http://www.qsr.mlit.go.jp/n-kisyahappyou/h28/160125/index1.pdf 。
意見募集や公聴会は通過儀礼として行われ、虚しいところがありますが、意見をきちんと出しておくことは必要ですので、意見を提出しました。
要点はつぎのとおりです。詳しくは城原川ダム検証素案への異見(嶋津暉之) をご覧ください。
〇 城原川の治水対策として、城原川ダムではなく、子孫に禍根を残すことがない「耐越水堤防への堤防強化+野越」を選択すべきです。
〇 2015年9月の鬼怒川の堤防決壊による大水害を踏まえれば、城原川においても耐越水堤防への堤防強化を実施すべきであり、且つ、城原川の伝統的な治水対策「野越」を活用すべきです。
〇「耐越水堤防への堤防強化+野越」の治水対策は、
① 城原川ダム以上の治水効果を得ることが可能です。
② 事業費が城原川ダムよりはるかに安上がりです。
③ 大洪水が来て越水が生じても破堤を防げるので、壊滅的な被害を回避することができます。
〇 一方、城原川ダムは、副ダムが生物の行き来を妨げる障害物になり、また、洪水後、川の濁りが長期化することが避けられず、水生生物に対して少なからず影響が与えることが危惧されますが、「耐越水堤防への堤防強化+野越」にはそのような自然へのダメージがありません。
〇 流水型ダムは日本では10年程度の実績しかなく、大洪水が来た時に、洪水吐きの小さな穴が閉塞することがないのか、鋼鉄製スクリーンが流木等で覆われて洪水の通過を遮ってしまうことはないのか、全くの未知数です。
〇 城原川ダムが閉塞すれば、城原川ダム下流の河道はダムの洪水調節を前提として計画されているから、大氾濫の危険にさらされることになります。

↑ このページの先頭へ戻る