石木ダムの情報
石木ダム 完成目標延期 反対派「現場を見ろ」 事業継続に憤り、失望
9月30日、長崎県公共事業評価監視委員会が開かれましたが、石木ダム事業の3年工期延長をあっさり認めてしまいました。その記事とニュースを掲載します。
石木ダム建設反対連絡会が26日、委員会の委員に対し、意見書と詳しい資料を送付したにもかかわらず、委員たちは石木ダムの虚構性を何も理解できなかったようです。
まともな議論は一切なく、県の説明を拝聴するだけの存在価値ゼロの委員会でした。
委員会の名簿を末尾に記しておきますが、なんともお粗末な委員たちです。
今回、再評価では石木ダムの費用対効果が1.25から1.21になりましたが、いずれにせよ1を超えているということで、ゴーサインが出ました。しかし、石木ダムの費用対効果の計算は全く恣意的な計算であって、現実に合わせて計算すれば、1を大きく下回り、石木ダムは見直すべき事業となります。
現実と乖離した費用対効果の計算で、石木ダムに対してゴーサインが出るのは腹立たしい限りです。
延期の石木ダム「必要か」 反対住民が批判
(朝日新聞長崎版2019年10月1日
石木ダム 完成目標延期 反対派「現場を見ろ」 事業継続に憤り、失望
(長崎新聞2019/10/1 11:30 ) https://www.oricon.co.jp/article/946699/
(写真)建設予定地の住民や支援者らで埋まった傍聴席=長崎市元船町、平安閣サンプリエール
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で県は30日、県公共事業評価監視委員会に完成目標を3年延期して事業を継続する方針を諮問し、承認された。事業継続に、建設反対派からは憤りや失望の声が上がった。
審議は長崎市内のホテルであり、用意された約40の傍聴席は建設予定地の住民や支援者らで埋まった。ダム事業の必要性を説明する県に対し、傍聴席からは時折「数字を示せ」「ウソをつくな」といったぼやきが漏れた。委員会がダム事業の継続を承認すると、「ちゃんと現場を見に来い」などとやじが飛んだ。
傍聴した反対13世帯の一人、岩本宏之さん(74)は事業継続について「想定していた内容。知事の言ったことは認めないといけないのだろう」と冷ややか。工期変更については「中村法道知事の(3期目の)任期(2022年3月まで)中に行政代執行について判断したくないのでは」と推測した。
ダム問題について考える「いしきを学ぶ会」実行委員の森下浩史さん(72)は工期変更を受け「これから市民の関心を高め、政治分野に踏み込めるかが焦点になるだろう」と話した。
石木ダム完成3年遅れ 25年度に目標延期
(長崎新聞2019/10/1 00:00) https://www.oricon.co.jp/article/946205/
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は30日、2022年度としてきた完成目標を25年度に3年延期する方針を県公共事業評価監視委員会(井上俊昭委員長、7人)に諮問し、承認された。事業は継続する。県によると、建設工事の進捗(しんちょく)が計画より遅れているためという。石木ダムの当初の完成目標は1979年度だった。延期されるのは9回目。
石木ダムを巡っては9月、県と同市が反対13世帯の宅地を含む全ての未買収地約12万平方メートルの権利を取得。家屋など物件を含まない土地が対象だった9月19日に続き、物件を含む土地の明け渡し期限が11月18日に設定されている。完成目標延期で反対住民との交渉を進める考えとみられる。
諮問で、県は延期の理由について、ダムに水没する県道の付け替え道路工事が反対派の座り込みなどで遅れ、ダム本体の工程にも影響する見通しになったためとした。新しい工程によると、完成目標は、付け替え道路工事とダム本体工事が24年度、その他の工事と試験湛水(たんすい)が25年度とし、現行目標よりそれぞれ3年ずれ込む。
有識者らでつくる同委員会は県が実施する公共事業について知事の諮問に応じて審議する県の付属機関。30日は長崎市内で開いた。県は延期に加え、延期などに伴い費用対効果を1.25から1.21に下方修正した上で事業を継続するとの対応方針を示した。委員からは環境への影響や住民に対する説明状況などの質問が上がり、県の方針を原案通り承認した。同委員会は議論を踏まえ、中村法道知事に意見書を提出する予定。
石木ダム完成時期3年延長へ [長崎]
(長崎放送2019/9/30(月) 19:14配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190930-00002923-nbcv-l42
県の公共事業を再評価する委員会がきょう長崎市で開かれ、川棚町に計画されている石木ダムについて工期を3年延長し完成予定を2025年度として事業を継続することが認められました。
この委員会は県の公共事業のうち採択から長期間が経過したものについて外部の有識者らが検証を行うもので、会場には石木ダム建設予定地に住む反対住民らも傍聴に駆けつけました。
この中で、県の担当者は反対住民らの行動で付け替え道路工事が遅れており工期を延長せざるを得ないものの、ダムは川棚川の治水対策に必要不可欠なため事業を継続したいと説明。
これに対し委員から反対意見は出ず、工期を3年延長し完成予定を2022年度から2025年度として事業を継続することが認められました。
石木ダム建設予定地の所有権は土地収用法に基づき反対住民の土地を含めすでに国に移っており、建物を含む土地の明け渡し期限は11月18日に迫っています。
石木ダムの完成は3年延期し2025年度に…県が方針 当初から46年遅れで見直しも9回目
(テレビ長崎2019/10/019/30(月) 20:56) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190930-00010004-ktn-l42
長崎県は住民などが住む土地を強制収用し建設事業を進めている川棚町の石木ダムについて、完成時期を3年延期し2025年度とする方針を示しました。
長崎市で開かれた公共事業の再評価などを行う事業評価委員会が開かれ、川棚町の石木ダム事業について審議しました。
石木ダムの審議は規模の見直しや事業が半世紀近くに渡ることなどから、9回目となります。
事業を進める長崎県側は関連の道路工事などが遅れているとして、完成時期をこれまでの2022年度から3年延期した2025年度とする方針を示しました。
見直しは9回目で、当初の1979年度から46年の遅れとなります。
長崎県側は、洪水被害の防止や水道用水の確保など、ダム事業の目的を改めて説明すると、委員はダムの治水面が機能するのか質しました。
委員 「四国のダムだったと思いますが、緊急放流によって下流域の浸水がひどかったというニュースを見たが、石木ダムについてはその危険性、可能性は」
長崎県側は「ダムは100年に1度の雨を想定し建設している」として、安全性などを強調しました。
地権者 岩本 宏之 さん 「今回で(審議は)9回目、ずっと(工期を)伸ばしてきている。県の説明は、当然メリットの部分だけを言っている、隠されたデメリットがある両方を聞いて判断すべき」
長崎県の見直し案に対して委員からは異議は出ず、事業の継続を認める決定を出しました。
石木ダム 完成3年延期方針承認
(NHK2019年09月30日 17時07分)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20190930/5030005577.html
長崎県川棚町に建設が進められている石木ダムについて、県は関連工事に遅れが出ていることから、30日開かれた県の委員会にダムの完成時期を3年延期する方針を示し、承認されました。
長崎県と佐世保市が令和4年度の完成を目指し川棚町で建設を進めている石木ダムをめぐっては、県の収用委員会がダム建設に必要なすべての用地を強制的に収用できるようにする裁決を下し、今月19日、用地の所有権が地権者から国に移りました。
ただ、ダムに水没する県道の付け替え工事では、建設に反対する住民らによる座り込みの影響などで遅れが出ていることから、県はダムの完成時期を3年延期し令和7年度に見直すことになりました。
そして県は、30日開かれた有識者らによる「県公共事業評価監視委員会」でこうした方針を説明し、事業の再評価を行った結果、費用対効果は多少下がったものの、治水の面では、依然としてほかの方法よりも有利だと評価できるとして、事業を継続すべきだという対応方針案を示しました。
委員からは、強制収用に至るいきさつなどについて質問が出されたものの、対応方針案は原案通り承認されました。
完成時期の延期は、これで9回目になります。
今後は、県とともに建設を進める佐世保市が、水利用の計画を見直すなど利水の面から事業の妥当性を再評価するかどうかが焦点の1つになります。
委員会を傍聴した、元地権者の岩本宏之さんは「結論ありきの委員会だと感じた。県はメリットしか説明しないので、委員には、県と地元住民の両方から意見を聞いてほしかった」と話していました。
長崎県公共事業評価監視委員会
任年月日:令和元年5月15日 満期年月日:令和3年3月31日
氏 名 会の役職名 職業又は役職名 選出及び
選考基準
大嶺 聖 副委員長 長崎大学大学院工学研究科 教授 技術分野
井上 俊昭 委員長 前新上五島町長 地方自治分野
梅本 國和 委 員 弁護士 法律分野
中村 政博 委 員 ㈱長崎経済研究所 取締役調査研究部長 経済分野
山本 緑 委 員 保健医療経営大学 准教授 環境分野
岡 美澄 委 員 公募委員 その他
五島 聖子 委 員 長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科 教授 その他
石木ダム事業認定への行政不服審査請求の現状(2019年9月末)
カテゴリー:
石木ダム建設事業を長崎県収用委員会にかける前提として、土地収用法に基づく事業認定が必要です。
石木ダムは2013年9月6日に九州地方整備局が長崎県と佐世保市に対して事業認定を行いました。
それに対して地元住民らが事業認定取消訴訟を提起しました。昨年7月の長崎地裁の判決は住民側の敗訴でしたので、控訴し、今年11月29日に福岡高裁で判決がでます。
一方で、住民、支援者らは、行政不服審査法に基づき、事業認定に対する行政不服審査請求を2013年10月初めに行いました。
行政不服審査法は第一条に「行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」と書かれているように、裁判と並んで、国民が行政の誤りについて判断を求めることができる重要な制度です、
石木ダム事業認定の審査庁は、国土交通省土地収用管理室です。概ね、次の流れで審査が行われてきています。
① 審査庁が審査請求書を認定庁(九州地方整備局)に送付
② 認定庁が審査請求書への弁明書を審査庁に送付 → 審査庁が弁明書を審査請求人に送付
④ 審査請求人が弁明書への反論書を審査庁に提出
さらに、審査請求人は審査庁で意見陳述を行う(審査請求人が望む場合)
⑤ 審査庁が審査請求書、弁明書、反論書、口頭陳述書を総務省の公害等調整委員会に送付して意見照会
⑥ 公害等調整委員会が審査(必要に応じて認定庁へ問い合わせ)
⑦ 公害等調整委員会が審査庁へ意見(回答)を送付
(2017年度から請求者にも意見を送付し、HPに公開するようになりました。http://www.soumu.go.jp/kouchoi/activity/ikensyoukai.html)
(参考までに嶋津暉之の審査請求に対する回答は公害等調整委員会の回答20170303(2016年度であったので、開示請求で入手)の通りです。)
⑧ 審査庁が公害等調整委員会の意見を踏まえて審査し、審査結果を請求人に送付
今のところ、2019年3月に⑦がすべて終わり、現在は審査庁の最終審査の段階になっています。
審査庁に問い合わせたところ、審査結果の送付がいつにになるのか、わからないとのことであり、来年以降になるかもしれません。
しかし、2013年10月初めに行政不服審査請求を行ってから、すでに約6年も経っています。
この審査請求は事業認定に基づいて行われる収用裁決にブレーキをかけるために行ったものですが、
石木ダム予定地のすべての用地を対象とする収用裁決が今年5月21日に出ており、この審査請求は意味を持たないものになっています。
行政不服審査法第一条「行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図る」という目的は、
まったく蔑ろにされてしまっているのです。
行政不服審査法の運用の抜本的な改善を求める運動が必要です。
石木ダム問題に関する連載記事「混迷 石木ダム 用地収用」その1~6
石木ダム問題に関する長崎新聞の連載記事「混迷 石木ダム 用地収用」1~6を掲載します。
1 <傷跡> よぎる「強制」の記憶
2 <空手形> 「最初からだますつもり」
3 <事業認定> 「話し合い」狙うも進まず
4 <分断> 意志が弱かったのか…
5 <水需要予測> 過大か適正か議論平行線
6完 <県民の視線> 賛否の議論 盛り上がらず
その5は佐世保市水道の水需要予測の問題です。
佐世保市水道の水需要予測が実績を無視した架空予測であることは佐世保市水道の水需給グラフのとおり、明瞭です。
用地収用・1 <傷跡> よぎる「強制」の記憶
(長崎新聞2019/9/21 09:46) https://this.kiji.is/547942912776160353?c=174761113988793844
(写真)「ダム建設絶対反対」を訴えるやぐらのそばで、強制測量の記憶をたどる松本さん=川棚町岩屋郷
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、全ての未買収地約12万平方メートルは20日午前0時、土地収用法に基づき県と同市が所有権を取得した。その一角の川原(こうばる)地区には反対住民13世帯約50人が暮らす。11月18日には家屋など物件がある土地の明け渡し期限となるが、住民側は応じない構えだ。事業採択から40年以上の長期にわたる公共事業は、なぜ混迷を極めたのか。経緯を振り返り、公と個で引き裂かれた人々の姿を見つめた。
降りだした雨が、収穫を待つ稲穂やダム反対の看板をぬらした。自然豊かな田園風景のあちこちに看板が立ち並ぶ。「小さいころから当たり前の光景」。反対運動のシンボルでもあるやぐらのそばで、住民の松本好央(44)は笑った。
父と鉄工所を営み、13世帯で最も多い4世代8人で暮らす。ダム事業が国に採択された1975年に生まれ、「ダム問題とともに育った」。結婚前、地元に連れてきた妻の愛美(45)の表情がこわばるのを見て、看板だらけの光景が「異常」と初めて気づいた。
20日朝、家族では特にダムの話題は出なかった。土地の権利が消えても、日々の暮らしは続く。家屋など物件を含まない土地が対象だった19日に続き、自宅など物件を含む残りの土地の明け渡し期限が11月18日に迫る。強制的に住民を排除し、家屋を撤去する行政代執行がいよいよ現実味を帯びてきた。「奪われてたまるか」と思う半面、少年時代の暗い記憶が脳裏をよぎる。
82年5月、県は機動隊を投入して土地収用法に基づく立ち入り調査(強制測量)に踏み切り、抵抗する住民らと衝突した。当時小学2年生だった好央も学校を休み、測量を阻止する座り込みに加わった。機動隊員らが駆け足で農道を突き進んでくる。恐怖で震える手を仲間たちとつなぎ、「帰れ」と叫んだが次々と抱え上げられ、排除された。
当時の知事、高田勇は就任から3カ月足らずで強硬手段に出た。当時の県議、城戸智恵弘(85)は「前任の久保(勘一)さんなら、絶対にやらなかった」と分析する。「大事業には『一歩前進二歩後退』くらいの度量が必要。官僚出身の高田さんや彼を支える側近には、そうした政治的視点がなかった。結果、取り返しが付かない禍根を残した」
もし県が代執行を強行すれば、当時以上の恐怖を子どもたちが味わうかもしれない。ダム問題が亡霊のように付きまとう人生を、子どもたちに科してはいないか。父となった今、好央はそんな葛藤も抱く。
中村法道知事と地元住民が約5年ぶりに県庁で面会した19日、長女の晏奈(はるな)(17)が「古里を奪わないで」と訴えるのをそばで聞いた。誰かに教えられなくても、自分の言葉で、自分の気持ちを伝える姿を誇りに思った。帰宅後、家族でケーキを囲み、この日が誕生日だった妻を祝った。家族がいて、古里がある。このささやかな幸せを守りたい。混沌(こんとん)とした状況の中で、そう願っている。=文中敬称略=
混迷 石木ダム 用地収用・2 <空手形> 「最初からだますつもり」
(長崎新聞2019/9/22 16:10) https://this.kiji.is/548327777817674849?c=39546741839462401
(写真)「建設は地元と同意の上で着手する」する旨の県との覚書の写しに目を落とす岩本さん=川棚町岩屋郷
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダムの建設予定地に暮らす岩本宏之(74)は、古いファイルから書類を取り出し、目を落とした。1972年、県がダム建設の予備調査の同意を得るために、地元3地区と交わした「覚書」。「乙(県)が調査の結果、建設の必要が生じたときは、あらためて甲(地元3地区)と協議の上、書面による同意を受けた後、着手する」-と記されている。
だが半世紀近くたった今、覚書は事実上の“空手形”となっている。3地区の一つ川原(こうばる)地区の13世帯は、土地収用法に基づく県側の手続きで今月、宅地を含む土地の所有権を失った。「行政が堂々と約束を破っていいのか」。岩本は吐き捨てる。
川原で生まれ育った岩本が初めてダム計画を耳にしたのは62年。高校生だった当時、県が業者に委託した現地の測量をアルバイトで手伝った。その後、町が無断の測量に抗議し、中止になったという。
その約10年後、県は正式にダム建設に向けた予備調査を町と地元3地区に申し入れた。「覚書」はこの時期に交わされたものだ。3地区は「県が覚書の精神に反し、独断専行あるいは強制執行などの行為に出た場合は、(町は)総力を挙げて反対し、作業を阻止する」とした覚書を町とも結んだ。
ところが予備調査の結果、県は「建設可能」と判断すると計画を推し進め、75年には国が事業採択した。不信感を募らせた地元住民は反対運動を本格化。79年6月には当時の知事、久保勘一が現地を訪れ、住民の説得に当たった。県がまとめた談話によれば「決してなし崩しにできません。全部の話がつかなければ前進しないんですから」と発言している。
だが82年、久保の後継で知事に就任した高田勇が強制測量に踏み切り、住民との亀裂が決定的になった。岩本は「地元を無視して強行に物事を進め、過去の約束も平気でほごにする。県の態度は最初からずっと変わらない」とため息をつく。今月19日、約5年ぶりに実現した中村法道知事との面会で覚書の有効性をただしたが、中村は「(係争中の)訴訟の場で明らかになると思う」と述べるにとどめた。「最初からだますつもりだった。あの時、予備調査を受け入れなければ…」。土地の権利を失った今、そう言って悔やむ。=文中敬称略=
混迷 石木ダム 用地収用・3 <事業認定> 「話し合い」狙うも進まず
(長崎新聞2019/9/23 10:19) https://this.kiji.is/548675641380275297?c=174761113988793844
(写真)事業認定申請に踏み切ることを表明する金子知事(当時、中央)ら=2009年10月13日、旧県庁
「法的な手続きの中で話し合いが促進するよう誠心誠意対応したい」-。2009年10月。県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、金子原二郎知事(当時)は朝長則男市長、竹村一義町長(当時)と県庁で会見し、土地収用法に基づく事業認定の申請手続きに入ると表明した。県は翌月、国に申請。土地の強制収用への道を開いた“起点だった”。
1982年の強制測量から約27年が経過し、地道な用地交渉の末、地権者の8割が移転していたが、なお13世帯が応じていない中での申請。なぜ、このタイミングだったのか-。
2009年夏、政界で波乱が起きた。衆院選で民主党(当時)が大勝し、政権交代。自民党出身の金子は同年11月、「県政運営に支障が生じないように」として、翌年2月の知事選への4選不出馬を表明する。事業認定申請宣言は、不出馬表明の1カ月前だった。
「(転居など事業に)協力してくれた人たちのことを考え、自分が知事の時代に(事業認定申請を)やらんばいかん。皆さんを説得したのに申請もしないで辞めたんでは無責任だと思った」。金子は当時をこう振り返る。「コンクリートから人へ」を掲げ、民主党政権が公共事業の再検証を進める中、「(申請で)後の人に引き継いでもらいたいという気持ちもあった」という。
当時、県議会でも事業認定申請を求める議員が大勢だった。09年6月定例県議会では超党派の33人が意見書を提出。強制測量への反省を県に求めながらも、「事業認定は中立の認定庁(国土交通省九州地方整備局)が事業の必要性、公益性を審査するため、話し合いを進展させることが期待できる」という内容だった。
一方、申請に反対する県議もいた。元県議の吉村庄二は当時、土木部を所管する環境生活委員会に所属。事業認定は行政代執行への道を開くと訴えていた。国は自民党が政権奪還後の13年9月、事業認定を告示する。吉村は「認定庁は(事業の)第三者とはいえ国の機関。申請すれば当然(ダムが)必要という話になることは初めから分かっていた」と無念さをにじませる。
反対住民と「話し合いを進めるため」などとして、事業認定申請に踏み切った県。だが、県の狙いとは裏腹に、反対13世帯が翻意することはなく、申請から10年の歳月を経て行政代執行という最悪のシナリオが現実味を帯びる。
=文中敬称略=
混迷 石木ダム 用地収用・4 <分断> 意志が弱かったのか…
(長崎新聞2019/9/24 10:20) https://this.kiji.is/549039417644876897?c=39546741839462401
(写真)建設予定地から移転した川崎さん夫妻は、複雑な思いでダム問題の行く末を見つめている=川棚町中組郷
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダムの建設予定地。今月、土地収用法で所有権を失った後も、反対住民13世帯が住み続けている。一方で家屋移転対象の約8割に当たる54世帯は補償契約に応じ、これまでに集落を後にした。
彼らの意志が強いのか、それとも、私の意志が弱かったのか-。“闘い”を続ける川原(こうばる)地区の13世帯を前に、元住民の川崎民雄(89)は、そんな思いに駆られる。水没予定地の同地区で生まれ育ち、かつては13世帯と同じ「絶対反対同盟」の一員だったが、2003年9月に4キロほど下流の新居に移り住んだ。
妻の幸枝(85)も川原の生まれで、先祖代々受け継いだ土地に思い入れもあった。だが代替宅地が造成され、住民の移転が進むにつれ、「どんなに頑張ってもダム計画は止められない」と考えるようになった。高齢のために川原で農業を続ける自信もなかった。「苦しかった。でも将来を考えると、自分には残れない」。苦渋の決断だった。
新聞にダムの話題が載れば必ず目を通し、妻に読んで聞かせる。先行き不透明なダム事業に「何のために移転したのか」と割り切れない半面、「13世帯の結束は固い。ダムはもう無理なんじゃないか」とも思う。
ダム計画が持ち上がってから、静かな集落は翻弄(ほんろう)され続けた。国の事業採択(1975年)をきっかけに川原や岩屋両地区などを中心に反対団体がつくられたが、県側の説得で切り崩され、分裂。県の強制測量(82年)では、容認派と反対派の対立が先鋭化し、親族内で慶弔の行き来を絶ったり、集落が機能不全に陥ったりと深刻な分断を生んだ。
94年に生活再建や地域振興を目指す住民が「石木ダム対策協議会」を結成し、県との積極的な補償交渉に乗り出した。初代会長で、岩屋地区から代替宅地に移った田村久二(85)は「反対同盟との折り合いがつきそうにもない中で、今より地域をよくしたいとの思いだった」と語る。
反対同盟からも突然10世帯近くが移転し、残る13世帯にも動揺が走った。13世帯の一人、岩下すみ子(70)は「前日まで普通にしゃべっていた仲間が急にいなくなった。ショックやったよ」と振り返る。「でも事情はそれぞれにあるし、私たちもその人たちの未来にまで責任は取れない。結局止め切らんかった…」。残った者と去った者。それぞれが葛藤と傷を抱え、出口の見えない古里の行く末を見つめている。=文中敬称略=
混迷 石木ダム 用地収用・5 <水需要予測> 過大か適正か議論平行線
(長崎新聞2019/9/25 12:50) https://this.kiji.is/549439180293948513?c=39546741839462401
(写真)石木ダム反対のチラシを配り、理解を求める市民ら=19日、佐世保市島瀬町
8日、佐世保市内。県と同市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、反対13世帯の宅地を含む土地の強制収用に反対する市民集会が開かれた。会場には定員を大きく超える約130人。立ち見が出るなど熱気が漂った。
「私たちは水に不自由してない。人口減少で水需要は減り続ける。なぜダムを造る必要があるの」。主催した市民団体「石木川まもり隊」代表の松本美智恵(67)のあいさつに拍手が湧き起こった。
同ダム建設の目的の一つが同市の利水だ。市は2012~24年度の水需要予測を踏まえ、同ダム建設で新たに日量4万トンを確保する必要があるとする。一方、国立社会保障・人口問題研究所は同市の人口は現在の約25万人から40年には19万人にまで減ると推測。松本は「市の水需要予測は過大。人口減少の現実を受け止め、ダムに巨額の税金を投じるのではなく、既存施設を補修して漏水対策を急ぐべきだ」と訴える。
こうした「過大」との指摘に対し、市は「必要最低限の予測値だ」と反論。24年度までの人口減少は考慮しているとし、「都市の将来像が見えない中でさらに先の予測はできない。精度も落ちる」と譲らない。
ダムの必要性を巡っては、市長の朝長則男もかたくなな姿勢を崩さない。6月定例市議会でも「市民生活を守り、市政を発展させていく上で必要不可欠だ」と強調。過去に度々渇水に見舞われ、1994年には約9カ月の給水制限に至った苦い経験や、水を消費する企業を誘致できないもどかしさがにじんだ。
「心配はそれだけではない」。そう話すのは市議会石木ダム建設促進特別委委員長の長野孝道だ。朝長はクルーズ客船やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致を重要政策に掲げており、観光客増加を見据え十分な水源を確保しておきたい思いもあると長野はみる。
ただ、近年を見ると、実際に水を使った実績値は水需要予測値を下回って推移。2018年度の1日平均給水量は予測値の約82%にとどまり、ダム反対市民らは「予測の再検証が必要だ」と訴える。一方、市水道局は、予測値には気象条件でピークが重なる状況や事故災害による非常事態も加味しており、「通常は実数値を下回る」と意に介さない。
石木ダム建設予定地の一部の明け渡し期限ともなった19日、反対市民らは市中心部のアーケードでチラシを配り、通行人に理解を求めた。それを受け取る人もいれば、拒む人もいる。将来の水需要は減るのか、増えるのか-。議論はかみ合わないまま平行線をたどっている。=文中敬称略=
私たちもその人たちの未来にまで責任は取れない。結局止め切らんかった…」。残った者と去った者。それぞれが葛藤と傷を抱え、出口の見えない古里の行く末を見つめている。=文中敬称略=
混迷 石木ダム 用地収用・6完 <県民の視線> 賛否の議論 盛り上がらず
(長崎新聞2019/9/26 10:22)updated https://this.kiji.is/549763649060324449?c=39546741839462401
(写真)強制収用や行政代執行に反対する議員連盟の設立会見で話す城後代表(中央)=県庁
「広く市民に訴える連盟をつくり、動きを展開したい」。今月14日、県庁。県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、土地の強制収用に反対する国会議員、地方議員73人で立ち上げた議員連盟の設立会見で、代表の城後光=東彼波佐見町議=は言葉に力を込めた。
同事業を巡っては昨年、音楽家の坂本龍一がダム問題の啓発に取り組む市民団体に招かれ建設予定地の川原(こうばる)地区を訪問。反対住民とも対話し、長崎市内であったトークセッションでは「ダムの必要性が今もあるのか。一度決めたことを変えない公共事業の典型例と感じる」と疑問を呈した。歌手の加藤登紀子も昨年、同地区に足を運び、報道陣に「多くの人にこの地を訪ねてほしい」と語った。映画監督の山田英治は同地区の人々の暮らしを描いたドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」を制作し、全国各地で上映されている。
県収用委員会が同地区13世帯の宅地を含む全ての未買収地約12万平方メートルの明け渡しを求める裁決を出した今年5月以降は、反対運動が活発化。県に公開討論を求める署名約5万筆が全国から集まり、強制収用に反対する県民ネットワークも発足した。
だが、こうした一部の動きとは裏腹に、一般県民の間にダム推進、反対の議論が盛り上がっているとは言えず、その視線の行方は不明瞭だ。4月の県議選や7月の参院選で石木ダム問題は争点にならなかった。4月の川棚町議選には反対13世帯の一人、炭谷猛が初出馬し、ダム反対を掲げてトップ当選したものの、県は「町議会の構成が大きく変わったと認識していない」との受け止め方だ。
今月7日、買い物客でにぎわう長崎市中心部。約150人がダム反対を訴えデモ行進したが、多くの県民は関心を示さず、立ち止まる人はほとんどいない。「ダムはいらんやろ」とつぶやく男性がいる一方、「うるさいだけ」と吐き捨てるように素通りする女性の姿もあった。
県民ネットワークの発足に関わった同市在住のライター、松井亜芸子(42)はダムを巡る運動を「(国の)未来を考える能動的な活動」と位置付ける。のどかな集落を舞台に約半世紀にわたり混迷を続けるこの問題は、県民に何を問い掛けているのか。松井は言う。「(反対13世帯の)住民の言葉は、(私たちが)自分の町や自分自身を考えるきっかけを与えてくれる。(川原地区の問題に矮小(わいしょう)化せず)石木ダムから国全体の在り方を考えてほしい」
=文中敬称略=
=おわり=
第2回長崎県公共事業評価監視委員会の開催について 石木ダムの工期延長
既報の通り、石木ダムの工期が2022年度から2025年度へ、3年間延長することを審議する長崎県公共事業評価監視委員会が9月30日に開催されます。
その開催案内が長崎県のHPに掲載されましたので、参考までにお知らせします。
ただし、石木ダムのことは表には出ておらず、下記の「令和元年度 第2回公共事業評価監視委員会の開催について[PDFファイル/445KB]」を開くと、最後のページに石木ダムの事業位置図が付いているだけです。
委員会は公開です。近ければ、傍聴に行きたいところです。
石木ダムに関しては前回は2015年度に公共事業評価監視委員会が開かれ、意見書で、
「県は反対地権者の疑問点について説明を継続し、円満な解決が図られるよう最大限努力することを求めたい。」と述べています。
今回、強行収用をもほのめかす県当局に対して待ったをかけるとともに、石木ダム事業の虚構を少しはまともに審議することを期待します。
そして、工期延長で必要となるのは、佐世保市水道の水需要予測のやり直しです。現在の水需要予測は2012年度の市の再評価で行ったもので、2022年度のダム完成を前提としてつくられています。
佐世保市水道の水需給グラフのとおり、水需要の実績が確実な減少傾向にあるのに、水需要が急速に上昇する無茶苦茶な架空予測です。
2025年度への工期延長に伴う水需要予測のやり直しにおいて、市の予測の非科学性を追及していく必要があります。
第2回長崎県公共事業評価監視委員会の開催について https://www.pref.nagasaki.jp/press-contents/406313/
長崎県政策評価条例に基づき、再評価の対応方針(案)について諮問するため、以下のとおり長崎県公共事業評価監視委員会を開催します。
なお、会議は公開といたします。
1 開催日時 令和元年9月30日(月曜日)13時30分から
2 開催場所 サンプリエール 5階 エトワール(長崎市元船町2-4)
3 議題 再評価の対応方針(案)について。
5 取材について
会議は公開としておりますので、取材は可能です。
会議結果は、後日、議事録等を作成し公表します。
令和元年度 第2回公共事業評価監視委員会の開催について[PDFファイル/445KB] https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2019/09/1568357840.pdf
長崎県公共事業評価監視委員会
長崎県が実施する公共事業評価のうち、再評価・事後評価について、知事の諮問に応じて調査審議を行う学識経験者等から構成される委員会です。
再評価・事後評価に基づき作成した対応方針(案)について審議を行い、不適切な点又は改善すべき点があると認めた場合には、知事に対して意見書を提出します。
平成27年度長崎県公共事業評価監視委貝会意見書(2015年10月14日)https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2015/10/1444793414.pdf
諮問があった再評価対象21事業及び事後評価対象9事業については、いずれも対応方針(原案)どおり認める。
ただし、「川棚川河川総合開発事業(石木ダム)」について、県は反対地権者の疑問点について説明を継続し、円満な解決が図られるよう最大限努力することを求めたい。
【参考】
1.審議過程における主な意見
○川棚川河川総合開発事業(石木ダム)
・気候変動による近年の雨量の状況を見ると、県が示す1/100の確率規模の雨量は近々に発生しうる雨量であり、安全・安心の観点から当事業の必要性は高い。
・冶水による安全性に加えて、利水による住民の生活や地域経済にお・ける影響、環境保全などにより総合的に判断することが重要である。それぞれの技術的な面や事業の効果などについて多様な意見を交える場を設け、合意に至って欲しい。
石木ダム完成目標変更 3年程度遅らせ 長崎県が検討
石木ダムの完成予定時期が2022年度から2025年度に延長されるようです。そのニュースと記事を掲載します。
新聞記事には「交渉に時間をかけて(住民の)理解を得たい考えがあるとみられる」と書かれていますが、果たしてどうでしょうか。
石木ダムは関連工事が大幅に遅れており、2022年度のダム完成はもともと無理でした。
石木ダム完成3年延期で県が調整
(NHK 2019年09月21日 15時25分) https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20190921/5030005429.html
長崎県川棚町に建設が進められている石木ダムについて、長崎県は関連工事に遅れが出ていることなどから、ダムの完成予定時期をいまの令和4年度から3年延期し、令和7年度に見直す方向で調整を進めていることが分かりました。
長崎県と佐世保市が令和4年度の完成を目指し、川棚町で建設を進めている石木ダムをめぐっては、ことし5月、県の収用委員会がダム建設に必要なすべての用地を強制的に収用できるようにする裁決を下し、19日用地の所有権が地権者から国に移りました。
ただ、ダム建設で水没する県道の付け替え工事では、建設に反対する地権者らによる座り込みの影響などで遅れが出ているほか、ダム本体の工事も予定通り始まっていません。
こうした中、県はダムの完成予定時期をいまの令和4年度から3年延期し、令和7年度に見直す方向で調整を進めていることが分かりました。
県は、今月30日に有識者らが公共事業の妥当性を評価する「県公共事業評価監視委員会」を開いてこうした方針を説明し、意見を聞くなどしたうえで、国と計画の変更を協議することにしています。
長崎県の中村知事は、19日、建設に反対する地権者らと5年ぶりに面会したあと、記者団に対し、「令和4年度の完成スケジュールの中で、一刻も早く完成を目指していく必要がある」と述べ、完成予定時期を延期しない方針を示したばかりでした。
完成予定時期の延期は、これで9回目になります。
石木ダム完成目標変更 3年程度遅らせ 長崎県が検討
(長崎新聞2019/9/22 14:00) https://this.kiji.is/548329216971457633?c=174761113988793844
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、県側が2022年度とする完成目標年度を3年程度遅らせる方向で検討していることが21日、関係者への取材で分かった。
30日に開く県公共事業評価監視委員会に諮問する見通し。
事業着手から40年以上がたつ同事業を巡っては、これまでも完成目標時期の延期を繰り返している。
15年には、16年度としていた完了年度を6年延長する工程表変更案を県公共事業評価監視委に示していた。
同事業では今月、土地収用法に基づき県と佐世保市が未買収地約12万平方メートルの権利を取得。
家屋など物件を含まない土地が対象だった19日に続き、物件を含む土地の明け渡し期限が11月18日に設定されているが、反対13世帯は応じない構えだ。
関係者によると、県側は現状では22年度に完成が間に合わないとして、目標年度の変更を検討していた。
中村法道知事は反対住民との約5年ぶりの面会後、報道陣に「改めて将来について(住民と)話し合う機会をいただければありがたい」と話しており、住民との交渉を進めたい考えもあるとみられる。
石木ダム完成3年遅れへ 長崎県、住民との交渉時間確保
(西日本新聞2019/9/21 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/544942/
長崎県と佐世保市が同県川棚町で進める石木ダム建設事業で、県側が2022年度とする完成目標を3年程度遅らせる方向で検討していることが分かった。1975年度に国の採択を受けた事業は予定地の住民が反対し、着工に至っていない。県側は、完成時期の変更について関連工事の遅れを理由に挙げるが、交渉に時間をかけて理解を得たい考えがあるとみられる。
30日に長崎市内で開かれる県公共事業評価監視委員会に諮問し、答申を踏まえて正式に決定する予定。
石木ダム予定地は79万3千平方メートルで、うち反対住民らが持っていたのは約12万平方メートル。県収用委員会の裁決で20日午前0時に所有権は消滅し、国が取得。今後は県や佐世保市に移る。
11月18日には予定地に暮らす13世帯の宅地や田畑など全土地が明け渡し期限を迎え、県が強制的に建物を撤去する行政代執行が可能になる。県は完成時期をずらし、代執行の判断を猶予したまま交渉を続ける意向だ。 (岡部由佳里、竹中謙輔)