城原川ダムの情報
城原川ダム:「流水型」前提に検証 国交省、関係自治体協議で方針 /佐賀
そして、治水対策案についてのパブリックコメントも始まりました。意見募集期間は5月19日(火)~6月17日(水)です。
城原川ダム:「流水型」前提に検証 国交省、関係自治体協議で方針 /佐賀
(毎日新聞佐賀版 2015年05月19日)http://mainichi.jp/area/saga/news/20150519ddlk41010349000c.html
民主党政権時に見直し対象になった城原川(じょうばるがわ)ダム(神埼市)について、再検証を進めている国土交通省九州地方整備局は18日、県や地元が主張する「流水型ダム」を前提に検証を進める姿勢を明確にした。国と関係自治体が協議する会合で示した。ダムの詳細やコストの提示は次回以降に先送りした。
会合「城原川ダム事業の関係地方公共団体からなる検討の場」の本開催はこの日が初めて。佐賀市であり、山口祥義知事、神埼市の松本茂幸市長、城原川下流が含まれる佐賀市の秀島敏行市長らが出席した。
国側は、同ダムに利水の必要がないことが地元で確認されているとして「洪水調節のみを目的とした流水型ダムとして検証する」との方針を示した。
その上で、河道掘削▽遊水地▽一部が低くなった堤防「野越し」▽雨水貯留施設−−などを組み合わせた5通りの治水方策も提示した。松本市長は、地元に被害が及ぶ恐れがある野越しなどについて「(住民が)洪水を受忍することのないようにしてほしい」と難色を示した。
閉会後、山口知事は「いろいろな県民の声を受け止め、手順を踏んだ検証をしてほしい」と求めた上で「基本的に流水型のダムでお願いしたい」と望んだ。
城原川ダムは1953年の大水害を受けて計画されたが、住民の反対などで停滞。2005年には県が大雨時だけ水をせき止める流水型ダムを国に提案し国も理解を示したものの、09年には民主党政権が再検証対象事業にした。【上田泰嗣、石井尚】
城原川ダム「流水型」検証 「検討の場」本会合開始
(佐賀新聞2015年05月19日) http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/188107
(写真)城原川ダムの治水対策案について、国土交通省や流域自治体の関係者が協議した「検討の場」初会合=佐賀市の県教育会館
◆国、ダム以外も提示
国の事業見直し対象になっている城原川ダム(神埼市)について、国土交通省九州地方整備局(九地整)と流域自治体が協議する「検討の場」の本会合が18日、佐賀市で開かれた。城原川ダムを治水専用の「流水型ダム」として検証する方針を申し合わせ、九地整は河道掘削や遊水地整備などを組み合わせたダム以外の代替治水案5案を提示した。国側が具体案を示したのは初めてで、本格的な比較検討が始まった。
事業主体の九地整や「検討の場」を構成する佐賀県の山口祥義知事、佐賀市の秀島敏行市長、神埼市の松本茂幸市長が出席した。
ダム計画と代替案を比較検討する際の洪水規模について、九地整は「50年に1回」レベルの最大流量毎秒540トンを基準にすると説明した。ダムは洪水調節だけを目的とした「流水型」とし、高さ60メートル、幅329メートル、総貯水容量355万立方メートルを計画している。放流口の数や概算事業費は「次回、具体的に示す」として言及しなかった。
ダム以外の代替案は、昨年10月までの準備会で示していた25案から絞り込み、(1)河道掘削のみ(2)掘り込み方式の遊水地と河道掘削(3)部分的に低い堤防で水を流出させる「野越し」や遊水地などの組み合わせ-など5案とした。それぞれ700億円から610億円のコストを見込んだ。
協議では松本市長が「野越しを使った場合、一定の洪水を受忍しなければならないのか」とただし、九地整側は「受け堤を造り、家屋には浸水が及ばないようにする」と答えた。
検討の場は公開され、水没予定地や下流域の人たち約30人が傍聴した。山口知事は「早期に治水方針が決定され、対策が取られることを願う」などと述べた。
19日から6月17日までパブリックコメント(意見公募)を実施する。次回の開催時期に関し九地整は「速やかに進めていきたい」と述べるにとどめた。
検討の場では安全度やコスト、地域社会への影響など7項目にわたって評価する。最終的に国交相が建設の是非を判断する。
城原川ダム計画は1953(昭和28)年の大水害などを踏まえ、旧建設省が直轄事業として71年に予備調査に着手したが、住民の賛否が分かれて計画が進まなかった。古川康前知事が2003年に流域自治体の首長会議を設け、05年に流水型ダムの建設を国に申し入れたが、民主党政権時の10年に再検証の対象になった。12年末に自民党政権に戻っても進展がなく、14年10月に2回目の準備会がようやく開かれた。
■流水型ダム
えん堤の底に近い場所に放流口を設け、自然放流をする治水ダム。「穴あきダム」とも呼ばれる。貯水型は土砂が底にたまって流れず、下流や海への影響が大きいのに比べ、水質の変化が抑えられるとされる。放流量は人為的に制御されず、流木や転石が放流口をふさがないように対策が必要になる。国営では建設中の立野ダム(熊本県)などがある。
城原川ダム「検討の場」 「第一歩」「議論丁寧に」
(佐賀新聞2015年05月19日) http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/188108
(写真)城原川ダムの「検討の場」で国交省の説明を聞く住民ら=佐賀市の県教育会館
■地元住民ら思い交錯
国の事業見直し対象となって、5年を経てようやく初会合が開かれた城原川ダム(神埼市)の「検討の場」。計画浮上から40年以上進まず苦悩してきた水没地区の住民は、検証作業の第一歩を感慨深げに受け止める。一方で国が示したダム代替の治水対策は十分な説明がなく、流域住民からは議論を丁寧に進めるよう求める声も上がる。
「やっとここまで来た」。事業継続を求める城原川ダム対策委員会の眞島修会長は会議を傍聴し、ほっとした表情を浮かべた。県が10年前に提案した「流水型ダム」の方向性、目標流量が生きていたことを評価し「治水の代替案も示されたが、われわれはダム受け入れをあらためてお願いしたい。一日千秋の思いで待っている」と早期判断を要望した。
今回、国は河道掘削や遊水地などを組み合わせた16の代替案を示し、コスト面から5案を抜き出した。ダムによらない治水対策を訴える「城原川を考える会」の佐藤悦子代表は「今回の説明では詳細が分からない。掘削が農業や景観に与える影響、野越しから出た水を受ける堤はどうなるのか。中身の評価は無理」と指摘。「検討の場を重ね、多様な意見を取り込んで議論してほしい」と国に丁寧な対応を求めた。
各首長は治水対策の緊急性を強調した。松本茂幸神埼市長は「代替案がダムより優れていれば、その方法でやればいい。必ずダムでなければいけないというわけではない。とにかく市民の安全が最優先。そのためにも早急な治水対策の検討を」と注文する。秀島敏行佐賀市長は、城原川の下流で合流する佐賀江川が、有明海の満潮時に排水能力が落ちる点を指摘。「切羽詰まった問題。治水のためには城原川上流での対策が必要だ」と考えを示した。
ダム整備を求めている山口祥義知事は「長い時間がかかっている問題で、水没地の皆さんの『早く決めて』という訴えを重く受け止めたい。流水型ダムでお願いしたいが、国交省のルールに沿って、あらためてしっかり検証してもらえればいい。検証の場がさまざまな県民の声を受け止めた形で進むことを期待している」と述べた。
■ダム代替 5案河道掘削最も高額 遊水地、野越し併用案も
国土交通省九州地方整備局は18日、城原川ダムについて流域自治体と協議する「検討の場」で、ダム以外の治水対策として「できる限り幅広く検討した」という16案を示し、そこからコスト的に有利な5案に絞った。今後、この5案とダムのいずれが治水対策事業として適しているか、比較検討していく。
5案の中身を見てみると大きく三つに分類できそうだ。
一つは、城原川の流れがよくない場所の川底を掘って川幅を広げる「河道の掘削」で、事業費約700億円。既存の堤防の補強やのり面崩壊を防ぐ地盤改良、橋の架け替えが必要になり、最も高額な方法となっている。
二つ目は、流域の農地に洪水を貯める「遊水地」を6カ所設け、それでも不足する受け皿を確保するために河道の掘削を組み合わせた案で、約610億円。この遊水地は田畑を買収して掘削するため、地域に与える影響が大きい。
三つ目は、成富兵庫茂安の治水事業の名残とされ、決壊を防ぐ目的で故意に堤防を低くし、水を流出させる「野越し」を活用する案で約620億円。しかし、野越しは流量の低減効果が低いとして、結局、河道の掘削や遊水地を組み合わせている。
残る2案は、これらに流域内の学校の校庭や公園に雨水をためる機能などを加えた方法だが、九地整の試算では他の案と比べて流量が変化しておらず、大きな治水効果があるとみていないことがうかがえる。
九地整は、5案の概算事業費を示したが、その積算根拠は明らかにしていない。自治体から求められれば、コストの詳しい根拠も示すとしている。
城原川ダム:民主政権時見直し事業、再検証問題 知事「流水型で解決を」 予定地の住民らと懇談 /佐賀
2012年に衆議院に上程されたが、審議されないまま廃案になっている「ダム中止後の生活再建支援法案」(「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案」)を制定して、ダムが中止になっても生活再建はきちんと行う仕組みを用意することが必要です。
国交省でさえ、二の足を踏み、必要性、緊急性が希薄な城原川ダム計画は中止されるべきです。
城原川ダム 知事建設推進目指す
「ダム早期建設訴える」 知事が城原川住民と意見交換 [佐賀県]
城原川ダム:民主政権時見直し事業、再検証問題 知事「流水型で解決を」 予定地の住民らと懇談 /佐賀
(毎日新聞佐賀版 2015年03月20日)http://mainichi.jp/area/saga/news/20150320ddlk41010444000c.html
民主党政権時の見直しで事業が止まっている城原川ダム(神埼市脊振町)の再検証問題で、山口祥義知事は19日、水没予定地を視察し、住民と懇談した。知事は「私がリーダーシップを取って皆様の思いを実現できるようにしたい」と述べ、住民が求める流水型ダム建設を前提に、国に対して早期の解決を求める姿勢を強調した。【上田泰嗣】
懇談会には水没すると想定されている同市脊振町広滝の岩屋地区と政所地区の約50人が参加した。会では地元を代表し、城原川ダム対策委員会の真島修会長(77)が「予備調査が入ってから来月で44年になり、集落の人は長年翻弄(ほんろう)されてきた。一日も早く生活再建をさせてほしい」とあいさつした。
住民は「住民同士や家族間のいさかいも多く、国策を恨む日々だった。高度経済成長期にも動けず、住宅ローンも組めない年齢になってしまった」「一刻も早く災害の不安を取り除くためにもダム建設を」「ダムを起爆剤とした経済の再活性化に協力したい」「城原川ダムの問題を早く解決することが水害を未然に防ぐことにつながる」「高齢者世帯にはダム建設による補償が必要」などと訴えた。
最後に山口知事は「検証再開を一日も早く実現したい」と述べ、2014年10月から開催されていない国による城原川ダム事業の再検証会議の再開に努力することを約束した。
懇談会に先立ち、知事は住民の案内で岩屋地区を歩いて視察。集落内の細い道を通って、空き家が多くなっている現状を実感していた。
城原川ダムは1953年の大水害を受けて計画され、住民の反対などで長く進まなかった。05年には県が大雨時だけ水をせき止める流水型ダムを国に提案し国も理解を示したものの、09年には民主党政権が再検証対象事業にした。
城原川ダム予定地視察 知事建設に前向き
(佐賀新聞2015年03月20日) http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/168186
(写真)城原川ダム計画の水没予定地となっている集落を歩き、住民から現状説明を受ける山口祥義知事=神埼市脊振町の岩屋地区
「地元の声受け止める」
佐賀県の山口祥義知事は19日、国の事業見直し対象となっている神埼市の城原川ダム計画について、洪水時だけ水をためる治水専用の「流水型ダム」建設を国に働きかける考えを明らかにした。
ダムの必要性に言及したのは初めて。「科学的検証も大事だが、44年間翻弄(ほんろう)されてきた地元のダム建設を求める声を一番に受け止める」と語った。
山口知事は同日、水没予定地の岩屋地区集落を視察し、住民との意見交換会の後で報道陣に対し、「前知事の時に(県として)首長会議まで開いて一定の結論を出した。それは重く受け止めたい」と述べた。
城原川ダム計画は1971年、予備調査に着手したが、住民の賛否をめぐる争いで頓挫した。古川康前知事は2003年に流域自治体の首長会議を設け、県は05年に流水型ダムの建設を国に申し入れた。
決着したかに見えたが、「コンクリートから人へ」を掲げた民主党政権は城原川ダムを再検証の対象とし、計画は宙に浮いた。事業継続の是非を判断する「検討の場」は初会合さえ開かれず、昨年10月にようやく2回目の準備会が開かれた。
山口知事は、これまでダム計画について賛否を明確にしておらず、2月県議会で「現地を訪れ、生の声を聞きたい」としていた。この日は、空き家の目立つ水没予定地の集落を歩いた。
意見交換会には住民約50人が参加し、「佐賀県にはいくつか国策絡みの課題があるが、地元が翻弄されてきた44年という長さや危険性からみて、一番の喫緊の課題だ」「知事のリーダーシップで生活再建の糸口をつくってほしい」と訴えた。
山口知事は「皆さんの思いは受け止めた。言葉よりも私の行動をみてほしい」と答えた。終了後、取材に対しては「水没予定で何も手が入っていない集落を回り、その過酷さに心が痛んだ。早急に(ダム建設の方向で)作業が進むよう前面に立って訴えていきたい」と述べた。
苦悩44年住民切々と 城原川ダム意見交換会
(佐賀新聞 2015年03月20日) http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/168187
((写真))ダム水没地区住民の切実な訴えを真剣な表情で聴く山口祥義知事(左奥2人目)=神埼市脊振町広滝の「ふれあい館せせらぎ」
城原川ダム建設をめぐり40年以上翻弄(ほんろう)されてきた水没予定地。初めて視察した山口祥義知事は、苦悩してきた住民の声に耳を傾け、ダムの必要性に踏み込んだ。知事の前向きな姿勢に住民たちは「思いが伝わり救われた」と評価しつつ、スピード感を持って国に働き掛けるよう注文をつけた。1面参照
神埼市脊振町のふれあい館せせらぎで開いた意見交換会で、山口知事は「私は49歳。それと匹敵する長い間、翻弄されていることに胸が張り裂けんばかりの思いだ」と語り掛けた。集まった住民約50人は約1時間、解決へ向けたリーダーシップを求めて切々と訴えた。
「44年間翻弄されてきた気持ちを分かってもらい、心強く感じた」と語る梅崎哲夫さん(71)。実家が大雨による土石流被害に遭い、自宅も警戒区域に指定された。「大雨のたびに怖い思いをしてきた。ダムは治水だけでなく防災のためになる」とダムの必要性を指摘する。
城原川ダム対策同盟の實松英治会長(73)は「知事が現地を見て、考えてもらった意義は大きい」と強調する。政所地区は現在21戸で、計画浮上から3分の1にまで激減し、4割が高齢世帯になった。「命のあるうちにこの問題を解決してほしい」とスピード感を持って対応するよう求めた。
「ゼロベースでなく、(これまでの)流水型ダム建設を進める方針にほっとした」と城原川ダム対策委員会の眞島修会長(77)。「家屋はぼろぼろだが、住民の多くが高齢でローンもくめない状況にある。将来の生活設計が描けず、待ったなしだ。一日も早く解決してほしい」と重ねて要望した。