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川上ダム 治水効果ごくわずか 近畿地整資料を分析(2013年6月14日)

2013年6月15日
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川上ダム 治水効果ごくわずか 近畿地整資料を分析(伊勢新聞2013年6月14日) http://www.isenp.co.jp/news/20130614/news04.htm
(写真)川上ダムが完成した場合の効果を示した資料
【伊賀】国などが建設の是非を検討中で、事業が止まっている川上ダム(伊賀市)について今春、岡本栄市長に上申書を提出した市長諮問機関の「川上ダムに関する検証・検討委員会」(宮本博司委員長)の一部のメンバーが、近畿地方整備局(近畿地整)から提出された資料を独自に分析し、ダム建設による治水効果はごくわずかで、木津川の掘削などで十分などと結論づけていることが十三日、分かった。
 資料は、検証委が岡本市長に上申書を提出する前日の四月三日に近畿地整から示された。分析する時間的余裕がなかったことから、一部の委員が分析を進めてきた。
 本紙が得た資料では、戦後最大の洪水被害をもたらした昭和二十八年の台風13号洪水に対し、川上ダムがある場合と、ない場合の岩倉地点での水位を比較。
 ダムを建設した場合、岩倉地点で水位は「最大約四十センチ低下する」とし、洪水調節機能で治水効果があるとの建設目的に疑問を示した。
 また、ダム下流・木津川の県管理区間の河道掘削など河川改修した場合の治水効果も分析し、岩倉地点で最大約五センチ上昇する程度になるとした。ダムを建設せず、河川改修するだけでも、上野遊水池と合わせて大きな治水効果があるとしている。
 一方、上申書で伏せられていた新規水源の代替案については、名張市の青蓮寺ダムを活用できれば、利水面でダム事業継続より約三十一億円安上がりと弾いている。
 検証委は今年二月に発足、推進派と反対派が議論した。
 上申書は、治水面には触れず、利水面について水道部の水需要予測が実績と懸け離れているなどと指摘。治水については、川上ダム、遊水池、河道掘削の有無に応じた水位のシミュレーションや、県管理区間の河川の掘削による上野地区への影響についての提示を求めていた。
 この問題では、市議会は二月に建設推進を決議。地元の旧青山町の住民自治地区連合会(高山泉会長)は早期着工を、環境保護団体の「伊賀水と緑の会(畑中尚理事長)は利水からの撤退を、それぞれ求める要望書を市長に提出している。

川上ダム下流の河川改修優先 伊賀市長答弁(中日新聞三重版 2013年6月15日) http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20130615/CK2013061502000015.html

予備調査から四十年以上たった伊賀市青山地区の川上ダム問題で、地元の岡本栄市長は十四日、ダム下流の木津(きづ)川の治水について「河川改修をしないまま放置されてきたのは問題だ」と指摘。
 「ダム建設の有無以前に、木津川の改修や堤防の整備を優先するべきだ」と求めた。
 市議会の一般質問で嶋岡壮吉市議(かがやき)の質問に答えた。国の一級河川の木津川沿いでは大雨による浸水被害が相次ぎ、昨年九月の台風17号では、市南部の神戸(かんべ)地区などで床上、床下浸水の被害が出た。
 岡本市長は、ダム建設の必要性には言及しなかったが「住民の安全、安心を守るため、国と県に必要性を申し述べていきたい」と強調した。
 また市側は、一九五三年の豪雨を想定して、ダムができた場合の木津川の水位シュミレーションも示した。
 四月に国土交通省近畿地方整備局が市に出した資料。ダム計画地から約二十キロ下流の同市岩倉での水位は、ダムができた場合、水位が四十センチ低下すると試算。
 川底を掘り下げるなどの改修をした場合、水位が五センチ上がるが、記録的な大雨の時の危険な水位の目安「計画高水位」は下回るとしている。
 川上ダムは水道用水などを供給する利水の機能も持つ多目的ダム。国が建設の是非を検証中のため事業が止まっている。
 利水を求めているのは現在、伊賀市だけで、岡本市長は、利水での必要性を年内にも判断する考え。治水は「国や県が決めること」として言及しない考えを繰り返している。
 (安部伸吾)
写真
川上ダム:河川改修と5センチの差 台風13号規模で比較?? 伊賀市長がデータ /三重(毎日新聞三重版 2013年06月15日)http://mainichi.jp/area/mie/news/20130615ddlk24010311000c.html
国のダム見直しで本体着工が見送られている川上ダム(伊賀市)について、同市の岡本栄市長は14日、ダムがなくとも河川掘削や堤防整備など改修を進めれば、
 大きな被害をもたらした1953年の台風13号規模で想定される水位を最大5センチ上回る程度とする見方を示した。
 この日の市議会の一般質問で嶋岡壯吉市議(かがやき)への答弁の中で説明した。
 同市岩倉地区(上野遊水地付近)でダムがある場合とない場合の水位を比較した結果で、ダムがあれば水位は低下するが、河川改修を進めた場合より5センチ下回る程度という。
 岡本市長はデータを示しつつ「ダムが必要か必要でないかはお答えすることではない。国の結論が出ないことにはいかんともしがたい」と述べた。
 岡本市長によると、「川上ダムに関する検証・検討委員会」が治水の検討材料として近畿地方整備局(近畿地整)に求め、近畿地整から同委に送られてきた資料が元になっている。
 近畿地整からは同委が上申書を提出する前日の4月3日に届き、同委で検討する時間はなかったという。【大西康裕】
〔伊賀版〕

川上ダム検討委が上申書提出 利水計画は年内中に策定へ 伊賀市(2013年4月4日)

2013年4月4日
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淀川水系の川上ダムに関する伊賀市検証・検討委員会の宮本博司委員長が今日(4月4日)、岡本栄市長に上申書を提出しました。岡本市長が賢明な判断をされることを期待します。

川上ダム検討委が上申書提出 利水計画は年内中に策定へ 伊賀市(伊賀タウン情報ユー 2013年4月 4日 19:00)  http://www.iga-younet.co.jp/news1/2013/04/post-561.html

国や関係自治体で建設の是非を検討している木津川上流の川上ダムについて、地元・伊賀市の「同ダムに関する検証・検討委員会」の宮本博司委員長が4月4日、岡本栄市長に上申書を提出した。
 岡本市長は「実現性を含めてより合理的な方法を検討していく」と述べ、市民説明会の開催を経た上で、市の利水計画は年内中にまとめる考えを示した。
 利水計画について、同委員会は市の水道事業基本計画(2009年策定)が現時点の人口や給水量などの実績値と計画値でかい離している点などと指摘。上申書に「同基本計画を見直すことが必要」と記した。
 治水では「ダムの有無にかかわらず、緊急的に上野遊水地を完成させ、木津と服部、柘植の3河川の河道掘削を実施する必要がある」とした。
宮本委員長は上申書の提出後、「限られた開催回数で十分に審議を尽くしたとは言えないが、建設推進と批判的立場でいろんな思いがあるなか、委員会として客観的な議論ができた。今まで出ることがなかったデータが明らかとなり、その点は有意義だった」と振り返った。
 岡本市長は受け取った上申書に対し「重い結果だと受け止めている。今後どうしていくか、重要な課題が浮かび上がった」と話した。
 利水については「この街だけ格段人口が増えるわけではなく、10万人を維持するのは難しいだろう。水需要も今以上増えるとは思えない」と事業計画の縮小を示唆した。
 同委員会は市長の諮問機関で、市の利水と治水計画について検討することを目的に発足。学識経験者や住民代表らによる委員9人が、2月中旬から5回の議論を重ね、共有または一致した点を上申書にまとめた。
(写真)上申書を手渡す宮本委員長(右)=伊賀市役所で

川上ダム:「水道計画の見直しを」 検証・検討委、伊賀市長に上申書 /三重(毎日新聞三重版 2013年04月05日) http://mainichi.jp/area/mie/news/20130405ddlk24010274000c.html

国のダム見直しで本体着工が見送られている川上ダム(伊賀市)に関する検証・検討委員会の宮本博司委員長は4日、同市の治水・利水計画の検討結果をまとめた上申書を岡本栄市長に提出した。
岡本市長は今年中に利水面からのダムの必要性も含め、市の水道計画について判断する。

上申書は、利水では2009年策定の同市水道事業基本計画について、現実の人口や給水量と計画が懸け離れているなどとして「計画の見直しを早期に、かつ緻密に行う必要がある」と指摘。
既存水源の水利権の将来にわたっての確保や新規水源が必要になった場合も「より低廉な水源の確保に努めるべき」とした。
岡本市長に上申書を手渡した宮本委員長は「推進、批判的の両方の立場の方がおられたが、データに基づき客観的に議論ができた。市民に初めて明かされたデータもあったのではないか」と検討委の5回の審議が有意義であったと強調した。
岡本市長は「透明性のある審議だった。どういうところが課題と指摘されているのか、じっくり拝見したい」と述べた。【大西康裕】
◇「国や県が考えること」??岡本市長
川上ダムに関する検証・検討委員会の上申書を宮本博司委員長から受け取った岡本栄市長。
終了後の記者会見で、川上ダムの賛否については「ダムは国や県が考えること。市だけの問題ではない。大阪など下流域を含めて考えていかなければならず、ダムが賛成か反対かでの話でもない」と述べるにとどめた。
上申書の内容は「市民に周知する機会を設ける。まずはポイントを整理して補足を含め、複数回にわたって市民に提供していきたい」と答えた。
ダムの必要性に関しては「仮にダムができたら廃止する水源も出てくる。将来的にも人口減少が進み、企業立地も見込めないため、水が多量に使われるとは思わない」と述べた。
また、「南海トラフの巨大地震が想定される中で、大災害時でも既存水源で賄える。水利権の問題もあるだろうが、水が足りないことはない」と指摘した。【行方一男】
〔伊賀版〕

川上ダム検証委 水道計画見直しを 伊賀市長に上申書(伊瀬新聞 2013年04月05日) http://www.isenp.co.jp/news/20130405/news01.htm

(写真)【岡本栄市長(左)に上申書を手渡す宮本博司委員長=伊賀市役所で】
【伊賀】伊賀市に建設予定の川上ダムに関し、同市の治水・利水計画を検証・検討してきた委員会の宮本博司委員長は四日、岡本栄市長に上申書を提出した。水の需要が増加する状況にないなどと指摘し、水道事業基本計画の見直しを求めた。
岡本市長は「水道事業の課題が浮かび上がった。水需要が増えるとは思っていない。上申書のポイントを整理し、市民に説明する場を持ち、市民と情報を共有していく」などと述べ、早ければ年内にも利水計画を見直す考えを示した。
上申書は、過去五回の委員会審議で委員が一致した点をまとめたという。
利水については①人口、給水の実績値と計画値が乖離②想定した水需要が増加状況ではない―などとし、現計画の見直しを求めた。
見直しで新規の水源が必要になった場合、水道料金が他の自治体より格段に高いので、低廉な水源確保に務めるよう注文をつけた。
治水については、川上ダムの有無にかかわらず、当面は緊急避難的に上野遊水池の完成、上野地区の木津川、服部川、柘植川の河道掘削の早期完成の必要性を指摘した。
同委員会は市長の諮問機関として二月十四日に発足。宮本委員長含む委員九人で審議してきた。川上ダムは木津川上流の前深瀬川に計画され、ダム本体の未着工状態が続いている。

伊賀・川上ダム 水道事業計画見直しを 検証・検討委が答申案(2013年3月26日)

2013年3月26日
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伊賀市の川上ダム検証・検討委員会が答申会をまとめました。

伊賀・川上ダム 水道事業計画見直しを 検証・検討委が答申案(中日新聞三重版 2013年3月26日) http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20130326/CK2013032602000017.html

建設の是非をめぐり国が検証を続ける伊賀市の川上ダムについて、市長の諮問機関の検証・検討委員会は二十五日、市が工業用水や飲み水などの「利水」のため建設を求めてきた大きな根拠である市水道部の水需要予測が実績と差があり、
早急に市の水道事業基本計画を見直すよう求める答申案をまとめた。水資源機構(さいたま市)が半世紀近く前から計画する事業費千二百億円余りの大規模公共事業に影響を与えそうだ。
委員会は二月から五回開かれ、住民を含む委員九人が協議。答申案は二十五日の委員会で公表された。市の水需要は「実績と、計画に乖離(かいり)が生じている」とし、水道事業基本計画の「見直しを早期に、かつ緻密に行う必要がある」とした。
ダム下流域の河川の洪水を防ぐ「治水」については、ダムが建設されると、どんな効果があるか、答申では触れない見通し。
これまでの委員会で、宅地開発や企業の立地を見込み、二〇一八年の一日に必要な平均の水量を一一年実績に比べ約五千立方メートル多い約四万四千立方メートルとする市水道部の予測が示された。
建設反対派の委員から「過大な見積もりだ」との声が上がっていた。こうした意見が答申案に反映されたとみられる。
委員長の宮本博司・元国土交通省河川局防災課長は「委員全員が共有できた部分だけを答申に取り入れた」と話した。
近く岡本栄市長に答申する。市が住民向けの説明会を開き、さらに岡本市長が市民の意見を聞き、ダム建設の目的などを判断する。
(安部伸吾)

委員長作成の上申案を審議 川上ダム検証・検討委 伊賀市(伊賀タウン情報ユー 2013年3月25日 17:22) http://www.iga-younet.co.jp/news1/2013/03/post-546.html

木津川上流の前深瀬川に予定する川上ダムの建設に関し、地元伊賀市の治水・利水計画を検証・検討する委員会(宮本博司委員長)が3月25日、同市上野丸之内のハイトピア伊賀で開かれた。
5回目のこの日が最終回で、宮本委員長がまとめた上申案を審議した。
上申案の中で、利水は市水道事業基本計画(2009年策定)については▼人口や給水量などの実績値と計画値にかい離が生じている▼住宅団地やゴルフ場などの開発による水需要は想定した増加の状況ではないなどと指摘。
今後の増加分をどれだけ見込むかは、市は指摘を踏まえ同計画を見直す必要があるとした。
また、新規水源の代替案として青蓮寺ダムの名張市・大阪市などが有する水利権を譲り受けるという案については、「提案されたという事実だけを確認する」とまとめた。
治水では、川上ダムの有無にかかわらず、上野地区の浸水被害を軽減し、上野遊水地への浸水頻度を少なくするためには▼当面は緊急的に遊水地を完成させる▼上野地区の木津川と服部川、柘植川の河道掘削を実施し、洪水位の低下を図ることが必要と記した。
上申案の文言は、宮本委員長が「委員同士で共有できた意見をまとめたもの」と説明したが、委員の意見がなかなか折り合わずに紛糾。最終的に、宮本委員長が上申案の修正は4箇所にとどめ、個人の意見書や委員会の議事録全てを添付し、岡本市長に提出することにした。
委員会の終了後、宮本委員長は「大変厳しかった。長い歴史の中で賛否いろんな意見があるが、できる限り客観的に議論してもらった。
市民の知らない事実やデータが出た点は意義があった。答申の文書だけでは物足りないと思うが、市長には協議の中身なども呼んでもらい、思いや経過をしっかり受け止めてもらいたい」と話した。

【上申案への加筆や削除の修正を求める委員=ハイトピア伊賀で】
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川上ダム:是非の合意得られず 伊賀市の検証委、最終会合で上申書 /三重(毎日新聞三重版 2013年03月26日) http://mainichi.jp/area/mie/news/20130326ddlk24010358000c.html

国のダム事業見直しで本体着工が見送られている川上ダム(伊賀市)についての検証・検討委員会は25日、最終の第5回会合を開き上申書をまとめた。
 ダム事業推進の是非について合意は得られず、市に水道事業計画の需要見込みなどを実態に即して早期に見直すよう求めるにとどまった。近く岡本栄市長に答申する。
 宮本博司委員長が「4回の議論を通じて共有できた事項」としてまとめた上申案の文言を巡って議論となった。
 推進派の委員が「ダムの有用性の観点で議論があった」などと盛り込むよう主張。慎重派は「必要性の根拠が示されなかった」などと応酬した。結局、治水面の提言部分の文言を一部修正することで合意した。
 上申書は、09年策定の水道事業基本計画について▽人口、給水量の実績値と計画値▽住宅開発などでの水需要の原状と計画の想定??に乖離(かいり)があるとして、早期の見直しを求めた。
 また、ダムの有無に関わらず、洪水被害軽減策として木津川、服部川、柘植川の掘削を提言した。【花牟礼紀仁】
 〔伊賀版〕

まる見えリポート>伊賀・川上ダム建設見直し(伊勢新聞2013年3月3日)

2013年3月6日
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まる見えリポート>伊賀・川上ダム建設見直し(伊勢新聞2013年3月3日) http://www.isenp.co.jp/news/20130303/news05.htm

(写真)伊賀市の川上ダム建設予定地(川上ダム建設所提供)
民主党政権時代、建設の是非をめぐって見直しが始まった川上ダム。自公連立政権下でも「関係地方公共団体からなる検討の場」で検証作業が進められている。
建設予定地の伊賀市はこれまで、建設推進の立場を貫いてきたが、昨年十一月の市長選で当選した岡本栄市長が見直しを表明。
岡本市長の諮問機関「川上ダムに関する検証・検討委員会」(宮本博司委員長、九人)が議論の最中で、年度内には答申を提出する見通しだ。答申を受けた岡本市長の判断で、ダムの目的や構造が変わる可能性もある。
(伊賀総局・海住真之)
同ダム建設の主な目的は、流域を洪水から守る「治水」と生活用水や工業用水を取り入れる「利水」の二点。ただ、関係自治体のうち利水の点でダムが必要と主張しているのは伊賀市だけだ。
このため、仮に同市がダムによる利水を不要と判断すれば、建設目的から利水が除かれるのは確実な状況となっている。
水資源機構川上ダム建設所(同市阿保)によると、ダム建設の目的から利水が除かれた場合、計画の変更に伴い、ダムの規模や事業費が大幅に見直される可能性があるという。近畿地方整備局の担当者は「市の方針は『検討の場』の議論に大きく反映されることになるだろう」と語る。
先月二十五日の委員会第二回会合では、水需要をめぐって議論が交わされた。ある委員が市の水需要予測は過大と指摘し、名張市の水利権を購入すれば賄えるとする代替案を提示。
宮本委員長は市水道部に対し、水需要予測の詳細な積算根拠を次回会合で示すよう要求した。また、別の委員からは、ダム建設による水道料金の値上げを危惧する声も上がった。
「市がダム建設に向けて進めてきたことの問題点が、市民の前に次々と明らかになってきた」。淀川水系流域委員会の副委員長を務めた川上聰氏は、委員会の議論をこう評価する。
市の水需要予測について、川上氏は「国と水資源機構の意のままに、ダムありきで利水容量のつじつまを合わせてきた」と指摘。
「人口予測や新規の宅地開発、ゴルフ場建設、工場誘致など、水需要を高める要因を積み上げ、過大に見積もったようだ」と話し、議論の行方に注目している。
一方、委員の一人で「川上ダム建設促進期成同盟会」の西山甲平会長は「いくら市長が交代したからといっても、ダムの方針まで変われば他の自治体から不信感を買う」と指摘する。
「流域の世帯は常に洪水の危険にさらされている。また、水は何よりも大事。ゆとりがあってしかるべきだ」と、治水、利水の両面でダムの必要性を強調。
代替案に対しては「名張市の意向を伺っていない段階で実現性は不確か。費用や時間もどれだけかかるか分からない」と疑問を投げ掛ける。
岡本市長は「検証・検討委員会」を立ち上げた理由について、「長年の議論はダムを造ることが最終目的になっていたように思う。何のためのダムなのかを考え直さなければならない」と語る。
その上で、「市民との情報共有が必要」とし、答申を受けた後、市民への説明会を開く考えだ。市は答申の結果と合わせて、市民の声を十分に反映させた決断を下す必要がある。

川上ダム:需要予測、積算根拠を 検証委、伊賀市に求める /三重(毎日新聞三重版 2013年02月28日)

2013年3月2日
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 川上ダム:需要予測、積算根拠を 検証委、伊賀市に求める /三重(毎日新聞三重版 2013年02月28日) http://mainichi.jp/area/mie/news/20130228ddlk24010320000c.html

本体未着工の川上ダム(伊賀市)建設の是非について検討する「川上ダムに関する検証・検討委」(宮本博司委員長)の第2回会合が25日夜、同市で開かれた。
一部委員が「市計画の水需要予測は過大」として、ダムに代わって名張市から導水する代替利水案を提案。宮本委員長は市水道部に対し、3月5日の次回会合で水需要の詳しい積算根拠を示すよう求めた。
代替案を示したのは、元淀川水系流域委副委員長の千代延明憲、大阪府立大名誉教授の荻野芳彦、公募の武田恵世の3委員。
それぞれ「名張市が青蓮寺ダムで有する水利権を買い取ることで代替が可能」などと主張した。根拠として、現状の給水実績が計画を大きく下回っていることなどを挙げた。
代替案に対し、別の委員らは「名張市の意向を確認していない」「現在使われている簡易水道を使用継続する場合、安定供給や水質でリスクを伴う」「伊賀市だけで完結できる水源を確保すべきだ」と反論した。
また、昨年12月の毎日新聞で、淀川水系の4ダムで計1850万立方メートル以上の水が余っていると報じられたことについて、国交省近畿地方整備局の担当者は「(民主党政権時の)ダム見直しに伴い、流域自治体から意見聴取した結果」と説明。
「利水転用も代替案には含まれているが、実施には自治体間での調整が必要となる」とした。【伝田賢史】
〔伊賀版〕

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