設楽ダムの情報
設楽ダム、完成が8年遅れて2034年度へ、事業費が約800億円も増額
国交省が愛知県の豊川で建設工事を進めている「設楽ダム」が「完成が8年遅れて2034年度になり、事業費が約800億円も増える」ことが発表されました。
この工期延長・事業費増額について各紙と地元紙の記事が掲載します。
今回の国交省の資料(中部地方整備局ダム事業費等監理委員会及び部会(設楽ダム))https://www.cbr.mlit.go.jp/kawatomizu/damu_kanri/data/220517_bukai_01.pdf を見ると、
工期延長と事業費増額の理由として、「地質調査や詳細設計の結果より、十分な強度を有する基礎岩盤が当初想定より深くなったため、本体掘削量や本体打設量を変更する必要が生じた」などが書かれていますが、
そのような問題が今頃になって出てくることに首を傾げてしまいます。
必要性が希薄で問題積みの設楽ダムは中止すべきダムです。設楽ダムの問題点は「設楽ダムの建設中止を求める会」のHPhttp://www.nodam.org/ に詳しく書かれています。
この設楽ダムの貯水容量の内訳を見ると、下記の通り、洪水調節容量1900万㎥、新規利水容量1300万㎥、流水の正常な機能の維持6000万㎥となっています。
洪水調節や新規利水も必要性が疑わしいものですが、流水の正常な機能の維持は特段の必要性・緊急性がなく、ダムの規模を大きくするための増量剤のようなものです。この容量が6000万㎥もあって、全体の約2/3も占めるのが設楽ダムです。巨額の事業費を投じること自体を目的にした、必要性が希薄な設楽ダムの建設が進められているのです。
設楽ダム工期延長で関係者困惑
(東愛知新聞 2022/5/19 0:02) http://www.higashiaichi.co.jp/news/detail/9709
水源地再建や治水への影響危ぐ
設楽町で進めている「設楽ダム」の建設について、国土交通省中部地方整備局が工期延長と事業費の増加方針を示した。豊川(とよがわ)流域で受益者となる東三河の自治体では、水源地の生活再建などに配慮するとともに、早期実現を図る治水対策への影響にも心配を募らせる。一方、建設反対派は膨らむ事業費に警鐘を鳴らす。
中部地整局「ダム事業費等監理委員会」の17日の報告では、工期の8年延長と事業費800億円増の総額3200億円とする方針を示した。地すベリ対策に伴う掘削量の増大のほか、現場の働き方改革や物価高などが背景にある。
報告を受けて設楽町の土屋浩町長は同日夜にコメントを発表。
「現場の地理的要因のほか、働き方改革や物価高など社会要因も分かる」と理解を示す一方、「計画申し入れから約50年。移転を決めた水没地域の住民らの苦しみを思うと耐え難い」と胸の内を語った。さらに工期延長で、付替道路や生活道路整備の進み具合、まちづくりや水源地域整備事業などの計画と社会情勢に見合わなくなる点などに不安を募らせる。
豊橋市の浅井由崇市長も国交省の報告内容には理解を示しつつ、水源地の再建や流域の治水事業については、計画通りの実施を望んだ。
その中で「豊川水系流域治水プロジェクトで洪水時の被害軽誠に努めている。特に霞堤(かすみてい)地区は安全対策へいち早く事業を進めてほしい」と求めた。
隣接する新城市の下江洋行市長も報告には理解を示しつつ「引き続き総事業費の圧縮や工期短縮に取り組んでほしい。水源地域の皆さんの生活再建対策は重要」などと配慮した。
東三河広域連合では完成を見通して昨年、ダムサイトの一角に「山村都市交流拠点施設」の整備構想を打ち出した。2 0 2 7年完成へ今年度は基本計画作成を予定し、外部委託事業者の募集を始めたばかり。
連合では「委託契約前なので違約金などは発生しなかった。8年後まで社会情勢の変化を踏まえることも必要」と動向に注視する構えだ。
事業費増に警鐘も
一方、「設楽ダムの建設中止を求める会」の前代表で元愛知大学教授の市野和夫さんは「当初事業費2 0 7 0億円から1・5倍超に膨らむ。別の方法で治水対策をした方が安い」と指摘した。
また「現場は地質が悪く不適切な立地。地すベリ対策は、上流部にある深層崩壊の危険箇所に施すもので、膨大な工事になる。うまくいくかも不明。すでに一部工事は始まったことを現地視察で確認した」と述べた。
この時期の発表は「物価高騰でごまかしきれなくなったからでは」と推測。ダムエ事の今後について「渇水対策は十分で治水は下流の堤防工事で済む。今からでもダムはやめるべきだ」と主張した。
衆院議員の根本氏コメント
元国土交通政務官で自民党の根本幸典衆院議員(愛知15区)は18日、東愛知新聞の電話取材に応じ、国が示した工期延長や総事業費増額の方針について考えを述べた。
根本氏は「地すぺり対策など技術的要因に、現場での働き方改革や物価高など社会的要因も重なった。これは受け入れざるを得ない」との認識を示した。
地元への生活再建や治水への影響は「生活道路の付け替えなど新たな負担増を下流域の受益者全体で支えるべきだ」とした。7流域の治水については霞堤(かすみてい)のある地区での安全対策を急ぐよう、国への働き掛けを強めたい」との考えを示した。
働き方改革が工期延長に与える影響について「社会や時代の要請で、建設業界の人材確保にも不で欠だ」と理解を求めた。将来的には「事業の長期化傾向となれば、機材リースなどの負担や総事業費の増加につながる。国土強靭化への新たな課題になり得る」と指摘した。
【取材班】
工期延長に伴い基本構想作成も中断される「山村都市交流拠点施設」の建設予定地=設奈町で
山村都市交流拠点施設に影響 国交省の設楽ダム工期延長発表/「先を読みにくい」戸惑う関係者/遠のく従来目標 事業スケジュールも見直し
(東日新聞2022/05/20)https://www.tonichi.net/news/index.php?id=94852
設楽町で建設が進む「設楽ダム」の完成に合わせ、東三河広域連合が整備を予定する「山村都市交流拠点施設」は、ダムの工期が2034年度まで8年延長されることになった影響で事業スケジュールの見直しを余儀なくされている。
国土交通省中部地方整備局は17日、豊橋市内で開いた有識者による委員会で、設楽ダム建設現場で掘削量が増えたことへの対応や新たな地すべり対策の必要性、働き方改革に伴う作業時間の減少などを理由に工期延長を明らかにした。当初は26年度の完成を目標に掲げていた。
ダム予定地のすぐ近くでは、同連合が交流拠点施設の整備を計画している。同連合は今年度、施設の規模や具体的な機能、民間活力の導入可能性について検討する基本計画の策定を目指し、プロポーザル方式で業者を募集。すでに選考作業に入っていて来週にもプレゼンテーションを開く予定だった。工期の延長方針を受けて策定業務を中止し、業者におわびしたという。
同連合では、今後の具体的なスケジュールを改めて調整する。これまで通りダムの完成と同時期に施設利用を開始する方向性に変わりはないとしている。
交流拠点施設の整備は、東三河を流れる豊川(とよがわ)の上下流の交流を基本としつつ、域外からの観光誘客につなげる狙いもある。ただ、同連合の担当者は、設楽ダムの完成までに予想される社会情勢の変化も踏まえ「8年は長い。先を読みにくい」と従来目標が遠のいたことへの戸惑いも口にした。
設楽ダム工期8年延長 建設費800億円増/国交省が監理委部会で方針説明
(東日新聞2022/05/18) https://www.tonichi.net/news/index.php?id=94829
(写真)ダム建設現場を視察する委員ら(設楽町で)
(写真)地滑り対策などが行われているダムの上流部(同)
(写真)設楽ダム建設事業部会であいさつする松尾直規委員長(中央)と委員会のメンバー(豊橋商工会議所で)
設楽町の豊川上流部で建設中の設楽ダムについて、国土交通省は17日、想定以上の工事が必要になったとして、工期を2034年度まで8年延長する方針を明らかにした。建設費用も800億円増え、約3200億円に膨らむ見通し。豊橋市内で同日、中部地方整備局ダム事業費等監理委員会の部会を開き、委員らに説明した。
設楽ダムは堤高129メートルの重力式コンクリートダムとなる予定。16年に告示された現行の建設基本計画では、工期は「26年度まで」、建設費用は「約2400億円」とされていた。
国交省が今回示した資料によると、地質調査などの結果、ダム本体を支えられる強い岩盤までは従前の設計より深く掘る必要があることが判明。これにより本体のコンクリート打設量も、約104万立方メートルから約130万立方メートルに増加する。
また、地滑りの恐れにより工事用道路の構造見直しなどが必要となった。本体打設の開始は26年度、水を実際にためる試験湛水の開始は32年度にずれ込むことになる。
建設費用に関しては、これらの事情に加え▽資機材価格や労務費の上昇(約286億円増)▽ダム湖に沈む道路の付け替え工事における設計・施工方法見直し(約288億円増)▽設備賃借・施設維持などの期間延長(約136億円増)―といった増額要因が見込まれる。
設楽ダムの建設目的は、豊川下流の洪水被害軽減、渇水時の流量確保や農業用水などの補給。現在は、本体の基礎となる岩盤を掘り出す工事や道路付け替え工事が行われている。
工期をめぐっては08年に告示された当初の基本計画では「20年度まで」とされていた。しかし、用地買収や道路工事が始まった09年、民主党への政権交代があり、事業はいったん「凍結」。5年後に自公政権が「継続」を決め、現在の基本計画に変更された経緯がある。
事業効果のできるだけ早い発現図ること大切/設楽ダム建設事業部会で松尾委員長
17日、設楽ダム建設現場の現地視察をした後、中部地整ダム事業費等監理委員会のメンバーらは豊橋市内に移動し、設楽ダム建設事業部会に出席。工期延長と事業費の増額について国交省側から報告を受けた。
報道陣に公開された会議の冒頭、松尾直規委員長(中部大名誉教授)は「ダムは100年先までを見据えた、地域の安全安心と豊かな暮らしを実現するための施設だ」と指摘。その上で「ダム建設事業をいかに進めていくのが適切かを考えることが肝要だ。同時に事業効果のできるだけ早い発現を図ることも大切だ」と述べた。
設楽ダム、工期8年延長 事業費も800億円増へ 働き方改革も影響
(朝日新聞2022年5月17日 22時00分) https://digital.asahi.com/articles/ASQ5K6X2SQ5KOBJB005.html?iref=pc_ss_date_article
設楽ダム 工期8年延長 完成34年度方針 見直しで800億円増か
(読売新聞2022/05/18 05:00) https://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20220517-OYTNT50223/
設楽町で建設が進められている「設楽ダム」について、国土交通省中部地方整備局は17日、工事の見直しが必要になったとして、工期を8年延長し、完成を2034年度とする方針を明らかにした。これに伴って建設費も従来の2400億円から800億円増の3200億円に膨らむ見通しだ。同局は、費用の一部を負担している県に意見を求めるなど必要な手続きを進め、8月頃には方針を正式決定したいとしている。
設楽ダムは17年に本格的な工事が始まり、26年度の完成を目指して建設が進められていた。
しかし、この日、豊橋市内で開かれた有識者らによる同局の「ダム事業費等監理委員会」で示した計画によると、従来の設計段階では想定できなかった軟弱な地質が確認されるなどし、地すべり対策の見直しが必要となった。また、建設資材の高騰のほか、働き方改革関連法の影響で時間外労働や休日作業の見直しも必要となり、建設スケジュールや建設費を変更した。
工期の延長について、県は「新たな計画を精査し、適正に対応したい」とした。
また、地元の設楽町はダム湖を核とした観光活性化策を検討しており、土屋浩町長は読売新聞の取材に、「工期延長で町の検討内容を見直す必要が出てくるのか、今後の動きを注視したい。見直しが必要ではないものは、予定通りに進めてもらうよう要望したい」と話した。
愛知・設楽ダムの完成、さらに8年遅れ 事業費800億円増
(毎日新聞 2022/5/18 中部朝刊 ) https://mainichi.jp/articles/20220518/ddq/041/040/002000c
国土交通省中部地方整備局は17日、建設中の多目的ダム「設楽ダム」(愛知県設楽町)の完成時期が現行計画から8年遅れ、2034年度になる見通しを明らかにした。岩盤掘削量の増加や工事用道路の地滑り対策など新たな工事が必要になったことが主な理由。事業費は約800億円増の約3200億円となる。
同県豊橋市で17日に開いた設楽ダムに関する有識者委員会で報告した。設計段階で想定しなかった地滑りなど追加の安全対策のほか、資材や人件費が高騰したと説明。時間外労働や休日作業の見直しも必要になったとした。
設楽ダムの工期を8年延長 地滑り対策など見直し
(中日新聞 2022年5月17日 16時00分)https://www.chunichi.co.jp/article/471801
(写真)設楽ダム建設予定地。後方は設楽町中心部=2013年5月、愛知県設楽町で、本社ヘリ「まなづる」から
国土交通省中部地方整備局は、愛知県設楽町で建設を進めている設楽ダムについて、工事の見直しが必要になったため、工期を二〇三四年まで八年延長する方針を固めた。現計画では二六年の完成を目指していた。十七日午後に豊橋市内で開催するダム建設事業部会で関係者に報告する。
設楽ダムは洪水調整やかんがい用水の補給、水道用水の供給などの目的で、東三河地方を流れる豊川の河口から約七十キロ上流に建設される。二〇一七年に基礎掘削などの本体工事が始まり、建設が本格化した。
ただ、設計段階では想定していなかった地滑り対策や、ダム本体を支えるための地盤強化の工程が必要となった上、付け替え道路の見直しをする必要性などが明らかになった。有識者でつくる中部地整ダム事業費等監理委員会で工事のコスト変動や工期見直しを検討した結果、八年の延長が妥当との結論に達した。
総事業費は約二千四百億円だが、工期延長に伴い、事業費の増加が見込まれる。県はおおむね三割を負担しており、県負担分も増える見通し。中部地整は工期の延長方針を部会で説明した上で、延長に必要な手続きを進める。
設楽ダム、工期8年延長 国交省が発表、34年度完成へ
(中日新聞 2022年5月18日 05時05分)https://www.chunichi.co.jp/article/472206?rct=national
(写真)完成時期が現計画から8年遅れる、建設中の設楽ダム。上方は設楽町中心部=17日午後、愛知県設楽町で、本社ヘリ「まなづる」から
愛知県設楽町で二〇二六年度の完成を目指していた設楽ダムで、国土交通省中部地方整備局は十七日、完成が予定より八年遅れ、三四年度になることを明らかにした。有識者でつくる建設事業部会で計画変更を示した。工期延長などにより、総事業費は約二千四百億円から約三千二百億円に増加する。
設楽ダムは治水やかんがい、水道用水が目的で、東三河地方を流れる豊川の河口から約七十キロ上流で建設が進んでいた。当初の計画では、二四年度までに本体工事を終え、試験湛水(たんすい)を経て、二六年度の完成を見込んでいた。
だが国交省によると、想定していなかった地滑り対策に絡む土砂運搬路の工法見直しによって、四年三カ月が追加された。さらに働き方改革による作業員の労働時間の短縮が二一年度から始まったことで、工期の延長は避けられなくなった。近年の資材高も総事業費の増加に影響したという。
設楽町の土屋浩町長は「水没となるため移転した皆さんに思いをはせると、八年間延伸されることは誠に耐えがたい。住民の生活に直結する付け替え道路が同様に遅れることも懸念している」、受益者となる同県豊橋市の浅井由崇市長は「国に対しては、今後とも豊川の治水対策の促進について申し入れを行っていく」とそれぞれコメントを出した。
設楽ダム地質調査を“「活断層」濃厚” 国交省に市民団体
8月27日、設楽ダム(愛知県)予定地の断層は「活断層」の可能性が濃厚であるとして、市民グループが国土交通省本省担当者と面談し、再調査を求めました。
しんぶん赤旗の記事を掲載します。
水源連も参加しました。
設楽ダム地質調査を“「活断層」濃厚” 国交省に市民団体
本村議員参加
(しんぶん赤旗2019年8月28日(水))http://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-08-28/2019082814_02_1.html
(写真)設楽ダムの活断層問題で国交省に質問する市民グループのメンバーと本村議員(手前)=27日、衆院第1議員会館
設楽ダム(愛知県北設楽郡設楽町)予定地の断層は「活断層」の可能性が濃厚―。同ダム建設予定地の地質調査を行っている市民グループが27日、衆院第1議員会館で、国土交通省に同ダム建設予定地の地質地盤について再調査を求めました。日本共産党の本村伸子衆院議員が参加しました。
市民グループは2015~17年度の地質調査報告書を入手し検討。同ダム建設は「大きなリスクを背負い込む」として3月、同省中部地方整備局長らに意見書を提出。その後、支障がないと書かれたサイト斜面を斜めに切る断層を「活断層」と判断。4月、設楽ダム工事事務所に説明しましたが、「何の応答」もなく、本省の対応を求めたもの。
同省は「(第四紀断層の)第1次調査で活断層が見つからなかった。1次調査で見つからなければ2次調査は行わない」と述べました。
市民側は「活断層」の証拠となる地点の岩盤、断層、地層などの写真を担当者に見せながら「何をもって活断層がないと判断したのか根拠を示してほしい」「1次調査の後に、怪しい活断層が出てきたときに見直す気はないのか」と迫りました。
本村氏は「活断層でないと断言できないのなら本体工事発注前に活断層かどうか、国が調査して科学的根拠を示してほしい」と要望。同省は「話を持ち帰る」とだけ答えました。
市民グループは設楽ダム予定地周辺の地質調査グループ、水源開発問題全国連絡会、設楽ダムの建設中止を求める会、設楽ダム第2次住民訴訟原告団の4団体。
「水はダムなくても足りる」“設楽ダム” 事業からの撤退求め住民提訴
5月23日、国が愛知県設楽町で建設計画を進めている設楽ダムに反対する住民162人が愛知県に対して、事業からの撤退を求める訴えを起こしました。
訴状は 設楽ダム・第2次住民訴訟 訴状 をご覧ください。
設楽ダムの計画が発表されたのは1973年のことです。愛知県においても水需要は低迷しており、人口減少が顕著になる時代、設楽ダムがたとえ予定通り2026年度に完成したとしても、無用の長物になることは明らかです。
その記事とニュースを掲載します。
「設楽ダム、県は撤退を」 名古屋地裁、住民ら2度目提訴
(中日新聞2018年5月24日)www.chunichi.co.jp/s/article/2018052490013029.html
国が愛知県設楽町の豊川上流に建設中で、県も費用の一部を負担している設楽ダムを巡り、水道用水は不足していないためダムは不必要として、地元などの住民162人が23日、県知事らに負担金の支出差し止めや建設事業からの撤退を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。
訴状によると、ダムが造られる東三河の豊川流域の水道用水の需要量について、計画段階では2015年に1日当たり33万立方メートルとしていたが、実際は約2割下回る27万立方メートルだった。このため、水道用水は足りているとして「県がダム建設に加わる必要はない」と主張している。
住民側の弁護団によると、県が水道用水の利用から撤退すると、関連法が定める建設の条件を満たさなくなるため、現在の計画全体を進められないという。
愛知県土地水資源課は「訴状が届いていないためコメントできない」とした。
設楽ダムへの支出差し止めを求める住民訴訟は2回目。住民監査請求が4月、県監査委員に却下されたため提訴した。07年に起こした前回の訴訟では一審、二審とも「計画が著しく合理性を欠くとは言えない」と棄却され、14年に敗訴が確定した。
設楽ダムは総貯水量9800万立方メートルで、26年度に完成予定。洪水の防止やかんがいなどを目的とする。総事業費約2400億円のうち県は809億円を負担する予定で、16年度末までに周辺の道路整備などで196億円を支出した。
設楽ダムは「不要」と提訴 反対住民2度目、名古屋
(日本経済新聞2018年5月24日)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30892110U8A520C1000000/
国が愛知県設楽町で建設計画を進めている多目的ダム「設楽ダム」に反対する住民162人は23日、ダムは不要として、大村秀章知事と県企業庁長を相手に国へのダム使用の申請を取り下げることなどを求める訴訟を名古屋地裁に起こした。
同ダムを巡っては2007年にも反対派住民が知事らに建設負担金の支出差し止めを求め提訴したが、14年に最高裁で敗訴が確定した。
訴状によると、15年度に愛知県東部の1日の最大需要が34万トンになるとした県の想定に対し、17年3月に公表された15年度分の上水道の給水実績は27万トンにとどまっており、ダムの必要性が失われたとしている。
住民らは今年3月、県監査委員に監査請求したが「ダムなどの施設整備には時間がかかり、急に需要が増えても完成するまで供給できない」などの理由で却下された。〔共同〕
“設楽ダム建設“撤退求め提訴
(NHK 東海 NEWS WEB 2018年05月23日20時57分)
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20180523/4856761.html
「水はダムなくても足りる」計画進む“設楽ダム” 事業からの撤退求め住民が提訴 愛知
(東海テレビ 2018年5月23日 20:30)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180523-00003487-tokaiv-l23
愛知県設楽町で計画が進む「設楽ダム」。建設に反対する住民らが愛知県を相手取り事業から撤退するよう求める訴えを起こしました。
訴えを起こしたのは愛知県内の住民グループ162人で、上水道に使う水はダムがなくても足りるとして、県に事業から撤退するよう求めています。
住民グループは2007年にも同様の訴えを起こし2014年に最高裁で敗訴が確定しています。
原告は計画の前提となった2015年時点の水道の需要が想定を下回り、設楽ダムからの供給の必要性が失われたとしています。
愛知県は「訴状が届いていないのでコメントできない」としています。
「水はダムなくても足りる」計画進む“設楽ダム” 事業からの撤退求め住民が提訴 愛知
(東海テレビ 2018年5月23日 20:30)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180523-00003487-tokaiv-l23
愛知県設楽町で計画が進む「設楽ダム」。建設に反対する住民らが愛知県を相手取り事業から撤退するよう求める訴えを起こしました。
訴えを起こしたのは愛知県内の住民グループ162人で、上水道に使う水はダムがなくても足りるとして、県に事業から撤退するよう求めています。
住民グループは2007年にも同様の訴えを起こし2014年に最高裁で敗訴が確定しています。
原告は計画の前提となった2015年時点の水道の需要が想定を下回り、設楽ダムからの供給の必要性が失われたとしています。
愛知県は「訴状が届いていないのでコメントできない」としています
設楽ダム建設計画、反対住民ら提訴
(中部日本放送 2018年5月24日6:54) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180524-00007047-cbcv-l23
愛知県設楽町で進む、設楽ダム建設計画に反対する住民グループが、大村知事らに対し、国へのダム使用の申請を取り下げることなどを求め提訴しました。
訴えを起こしたのは、設楽ダム計画に反対する地元の住民ら162人です。
住民らは、「愛知県東部は1日の上水道の需要量が最大34万トンになる」とした県の想定に対し、去年公表された給水実績が27万トンに留まっていることから、ダムの必要性は失われたと主張。
大村知事らに対し、国へのダム使用の申請を取り下げることなどを求めています。
設楽ダムを巡る住民訴訟は、2007年にも起こされましたが、最高裁で敗訴が確定しています。
設楽ダムの住民監査請求
豊川水系・設楽ダムのダム使用権返上を愛知県に求める住民監査請求が3月14日に行
われました。
設楽ダムについて第二次の住民訴訟を行うための住民監査請求です。
第一次の住民訴訟は住民側の敗訴でしたが、第一次と重複しない内容で、新たに住民
訴訟を行うというものです。
各水系とも水需要が減少の一途を辿り、新規ダムによる水源開発の必要性がなくなっ
てきていることは動かしがたい事実になっています。
この住民監査請求は水余りがますます進行する状況を踏まえて、愛知県に設楽ダムか
らの撤退を再度求めるものです。
他のダム問題にも参考になりますので、「設楽ダムの建設中止を求める会」の市野和
夫さんのメールを転送します。
市野和夫さん(設楽ダムの建設中止を求める会)からのメール
3月14日に愛知県の監査委員に対して住民監査請求をしました。請求人は447名で、
3月末をめどに、
まだ増える予定です。請求が却下されれば訴訟を提起するべく、原告団の準備が進め
られています。
弁護団は在間団長を含めて8名です。
「愛知県の水道」統計2015/H27年(豊川水系フルプラン目標年)の東三河の上水
道給水実績のデータが
昨年3月16日付で愛知県のホームページに公表されました。実績値とフルプランの需
要想定との比較により、
設楽ダムに水道用水の水源を求める必要がないことが証明され、その後、ほぼ1年経
過してもダム使用権の
返上の動きがないことから、愛知県に対して設楽ダムに設定している水道用水のダム
使用権を返上すること
を求めました。
(特定多目的ダム・設楽ダムでは、都市用水のうち、水道用水のみが法律上の根拠と
なっているので、
水道用水使用権が取り下げられれば、設楽ダム基本計画が白紙に戻ります。)
また、この日(2017年3月16日)を起点にして、それ以降の費用負担の取り
消しを求めました。
第一回目の住民監査請求(一次訴訟)と重複する内容は認められないので、監査請
求の内容は、以上の
点に絞っています。
本体建設に入る前に、フルプランの目標年が過ぎて、ダム事業の根拠がないことが
明白になったわけです。
大村知事は、本体建設に入る前に中部地整と協議する意向を以前に表明しているの
で、本体建設を断る
正統な理由ができたものと思います。
監査請求の手続き後に記者発表を行いました。以下の三新聞が報じました。
■設楽ダム住民監査請求
設楽町で国が設置を進める設楽ダムについて、県による費用負担は違法などとし
て、建設反対の住民らが14日、公金支出差し止めなどを県に求める住民監査請求を
行った。反対派住民らは「昨年新たに出てきたデータから、県はダム事業から撤退す
べきだ」と主張。県監査委員が勧告しない場合、住民訴訟も検討するという。反対派
住民らは2007年、公金支出差し止め訴訟を起こしたが、14年に最高裁で敗訴が確定し
た。
(読売新聞 愛知 2018.3.15)
■設楽ダム建設 住民が監査請求 反対派440人
国が設楽町で建設している「設楽ダム」に反対する住民約440人は14日、昨年公表された上水道の給水実績が想定を下回り、ダムの必要性が失われたとして、国へのダム使用の申請を取り下げるよう大村秀章知事に求め住民監査請求をした。
住民らは過去に、知事などを相手に建設負担金の支出差し止めを求め提訴したが、2014年に敗訴が確定した。「ダムがなくても水が足りることが新たに裏付けられた」として監査結果を踏まえ、再び提訴を検討する。
住民によると、県は15年度に1日の最大需要が34万トンになると想定した。ダム建設で安定供給を図るとしたが、昨年3月に公表された15年度分の統計で給水実績は27万トンにとどまったという。
(毎日新聞 愛知 2018.3.16)https://mainichi.jp/articles/20180316/ddl/k23/040/114000c
衆議院国土交通委員会の議事録 立野ダムと設楽ダムの問題 2016年5月10日
本村議員の質疑の部分を下記に転載します。
衆議院国土交通委員会
第12号 平成28年5月10日(火曜日)
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。
本日も、熊本地震の関連で質問をさせていただきたいと思います。
地震の被害で亡くなられた方々に心から哀悼の意を申し上げたいと思います。そして、被害に遭われた全ての皆様に心からのお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
今回の地震では、白川が流れる阿蘇の外輪山の部分で大きな崩落が起きました。国道五十七号線、そしてJR豊肥本線、阿蘇大橋も崩落した土砂で覆い尽くされる、そうした甚大な被害となりました。今なお行方不明の方がいらっしゃる現場でございます。
被害は深刻で、先ほども御議論がありましたけれども、復旧も並大抵なことではないというふうに思います。この国道の五十七号線、そしてJR豊肥本線、阿蘇大橋など、どうやってこの地域、復旧していく見通しを持っているのかという点、改めてお示しをいただきたいというふうに思います。
○金尾政府参考人 今回の熊本地震では、多くのインフラが被災しており、道路、橋梁、鉄道等についても大きな被害がございました。
特に南阿蘇村の阿蘇大橋地区では大きな崩落が生じまして、国道五十七号、三百二十五号や、JR九州豊肥線が通行どめや運転休止となっております。このため、大規模な斜面崩壊が発生した阿蘇大橋地区においては、直轄砂防による斜面対策を実施することとしたところでございます。
また、被災の規模も大きいことから、斜面の安定化と国道五十七号及び国道三百二十五号、JR九州豊肥線を一体的に整備することが必要と考えておりまして、熊本県からの要望も踏まえまして、国道三百二十五号阿蘇大橋についても直轄代行により整備を行うことを昨日決定したところでございます。
土砂災害については、二次災害防止のため、特に被害の大きい南阿蘇村の山王谷川地区等の土砂掘削や、土のう設置等の梅雨時期に備えた応急工事の実施、緊急度の高い千百五十五カ所の危険箇所の点検を実施し、結果を県、市町村に報告、地震による地盤の緩みを考慮し、土砂災害警戒情報の発表基準を引き下げた運用などの対応を行っておるところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き全力でインフラの早期復旧に努めてまいります。
○本村(伸)委員 この大規模な斜面崩壊があった阿蘇大橋の約二・五キロ下流には、立野ダムの本体予定地がございます。
資料をお配りしておりますけれども、住民団体の皆さん、立野ダムによらない自然と生活を守る会という皆さんが、「熊本地震直後の立野ダム予定地周辺現地調査報告書(速報)」というものを出されておりまして、それを資料として出させていただいております。
そのダムの予定地の周辺も、数々、地すべりが起きております。工事車両も埋まったそうですけれども、まず、この地震による立野ダム建設にかかわる被害と、そして崩落の原因についてお示しをいただきたいと思います。
○金尾政府参考人 立野ダム建設予定地近傍の南阿蘇村河陽観測所において震度六強という非常に強い地震が発生をいたしまして、土砂崩落等の被害が生じました。
立野ダムの本体の建設予定地及び湛水予定地においては、地震発生直後からこれまでに空中写真等による調査を実施しております。
これまでの調査によれば、ダム本体が建設されます予定地付近においては、ごく一部に小規模な崩落が認められるものの、両岸の基礎岩盤の崩落や変状は認められておりません。
また、貯水池の河岸では、先ほど委員の方から地すべりというお話がございましたけれども、表層の弱い部分を中心に崩落が発生をしておりますが、ダムを建設する上で問題となるものではないというふうに考えております。
なお、河川内にアプローチする工事用道路の一部が土砂により埋没したり、工事車両等が河川内に取り残されている状況なども確認しておりますが、今後速やかに復旧することとしております。
○本村(伸)委員 働く人たちが巻き込まれてもおかしくない被害だったというふうに思います。
被災地の皆さんからは、立野ダムどころではないんだ、立野ダムに使うお金があるのであれば被災者支援の方にお金を回してほしいという切実なお声が聞こえてまいります。
国交省はこれまで、住民運動の皆さんが崩落の危険があると指摘をしても、立野ダムの予定地の岩盤は十分強度がある、立野ダム建設を行う上で特に考慮する活断層は存在しない、こう言っておりました。そして、地すべりは起こらない、こういうふうに主張されてきたと伺っております。
この立野ダム予定地の岩盤は十分な強度がある、立野ダム建設を行う上で特に考慮する活断層は存在しないと言ってきたわけですけれども、大臣は、これまで言ってきたこと、間違いだったとは思わないんでしょうか。
○石井国務大臣 立野ダムにつきましては、これまでの地質調査等の結果を踏まえ、ダム高が九十メートル級の重力式コンクリートダムの建設が可能な地盤であることを確認しております。
地震への対応という面では、大規模な地震時にもダム本体直下の地盤に段差が生じるようなことがあってはならないとの観点から、ダム本体直下に、いわゆる活断層を含め、第四紀断層、約二百六十万年前以降に活動した根拠のある断層が通っていないことを確認しております。
具体的には、布田川、日奈久断層帯の中で最もダム本体に近い、北東部に位置する北向山断層がダム本体から約五百メーター離れた位置に存在をし、かつ、ダム本体方面に向かっていないことを従前の調査により把握をしております。
また、ダム本体の耐震性につきましても、近傍で断層等により強い揺れが生じても安全な構造とすることとしております。
さらに、地すべりということでありますが、今回の地震によりまして表層が一部崩落をしたところはございますけれども、いわゆる湛水に伴う地すべりの発生については、これまでの調査ではその可能性は認められておりません。
これらのことから、立野ダムの安全性には問題はないと考えております。
○本村(伸)委員 これだけ被害が周りであっても安全だというふうにおっしゃっているんだと思いますけれども。
住民の皆さんが地震の後現地に入って調査をされたわけですけれども、資料に出しております裏のページを見ていただきたいんですけれども、横ずれ断層を確認しているというふうに言われております。これも想定内だったんでしょうか。
○金尾政府参考人 写真に示されております段差、ずれ、これが断層であるかどうかということについては定かではございませんが、先ほど大臣が答弁いたしましたとおり、活断層については、空中写真判読、あるいは文献の調査、加えて現地の調査を行いまして、ダム本体に向かって、あるいはダム本体直下には断層はないということを確認しているところでございます。
○本村(伸)委員 ボーリング調査では、ダムの基礎地盤及び周辺の地質を調べます、地盤の水の通しやすさを調べます、地盤のかたさ、強さを調べます、ダムの基礎となる岩盤の強さを調べますというふうに言ってやってきたわけですけれども、こうした立野ダム予定地近くで崩落が起きるということは想定内だったんでしょうか。
○金尾政府参考人 先ほどから答弁していますとおり、今回、立野ダムの湛水池周辺の河岸において表層の一部崩壊が生じてございますけれども、これはダムの建設にとって大きな問題にはならないものと考えてございます。
○本村(伸)委員 立野ダム関係で、ボーリング調査を横坑、縦坑とやっていると思いますけれども、それぞれ何メートルのものを何本掘ったかということを資料として提出していただきたいというふうに思います。
そして、大丈夫だと言っていた判断の基礎となる調査を、どの調査、どの分析で行ったのかというのを明らかにしていただきたいのと、その調査分析は、どこの事業者が幾らで請け負ったのかということの資料をお願いしたいというふうに思います。
○金尾政府参考人 手元に資料はございませんので、後ほど対応させていただきたいと思います。
○本村(伸)委員 地元の皆さんからは、国は、治水対策のためにこの立野ダムが必要だ、こういうふうに言うけれども、今大規模な崩落がある中で真っ先にやってほしいのは、土砂が川に流れ込んで、それがたまって川底が上がって、雨が一旦降れば水位が上がるんじゃないか、それによって水害が起こるんじゃないかという心配の声でございます。
ダムよりも、一刻も早く、周りの土砂が川に流れることがないように流出をとめてほしいという声が上がっておりますけれども、この声に応えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
〔委員長退席、小島委員長代理着席〕
○金尾政府参考人 大規模な斜面崩壊が発生した阿蘇大橋地区、その他にも幾つか斜面崩壊が発生してございますけれども、そういう地区におきましては、いまだ斜面に不安定なまま土砂の多くが残っておりまして、今後の降雨等により下流へ土砂が流出するおそれがございます。
これらの箇所については、砂防堰堤等の整備あるいは地すべり対策等について、現在、阿蘇大橋地区につきましては直轄事業で実施してまいりますが、その他の地区につきましては熊本県が検討を進めておるところでございます。国土交通省としても、技術的、財政的支援に努めてまいりたいと考えております。
これらの事業により、不安定土砂の対策を進め、崩壊斜面等から河川へ流出する土砂の軽減を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○本村(伸)委員 国土交通省の立野ダム工事事務所の担当者の方が、現時点では着工時期などがおくれるほどの影響があるとは考えていないということを業界紙に語っておりますけれども、工事車両が埋まっても、工事用道路が埋まっても、周辺に大規模な崩落があっても、働く人たちのリスクがあっても、現時点では着工時期などがおくれるほどの影響があるとは考えていないと考えているのでしょうか、大臣にお伺いをしたいと思います。
○金尾政府参考人 現在、立野ダムの工事現場につきましては、一部で崩落が生じておるということと余震が続いているということで、現地に入れないような状況でございます。
今後、現地に入れるようになったら、つぶさに調査をいたしまして、着工時期についての検討も行ってまいりたいというふうに考えております。
○本村(伸)委員 では、この立野ダム工事事務所の担当者が言っているのは正確じゃないということですね。
○金尾政府参考人 担当者の発言について私は承知しておりませんけれども、先ほど申しましたとおり、現場の状況は申しましたとおりでございますので、この現場の状況を踏まえまして、今後の着工あるいは施工をどうしていくかについてよく検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○本村(伸)委員 少なくとも国土交通省がこれまで立野ダムの地盤について言ってきたことと、そして、今回の地震の被害について公開の場で検証する、そういう場をつくっていただきたいというふうに思います。そして、検討の資料と結果の資料を提出していただきたいというふうに思いますけれども、大臣、ぜひ検証の場をつくっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○石井国務大臣 立野ダム建設事業につきましては、これまでも、例えばダム検証のプロセスを通じて情報の開示に努めるなど、透明性を確保しながら事業を実施してまいりました。
最近でも、平成二十四年十二月以降、現地説明会等を八十六回開催するなど、御指摘の地質に関する情報も含め、必要な説明を行ってきております。
今後とも、必要に応じて住民の皆様からの疑問に丁寧に答えていくなど、引き続き適切に説明責任を果たしていきたいと考えております。
○本村(伸)委員 ぜひ検証の場を公開でつくっていただきたいという質問なんですけれども、ぜひ検討をお願いしたいと思います。大臣、お願いします。
○石井国務大臣 今後とも、必要に応じまして、引き続き適切に説明責任を果たしていきたいと思っております。
○本村(伸)委員 この立野地区にある九州電力の水力発電所の黒川第一発電所では、発電所に使う水をためる貯水槽のコンクリートの壁が崩落して、貯水槽につながる水路も壊れてしまった。これが原因だと言われておりますけれども、大規模な土砂崩れが起きて、住民の方がお二人、それに巻き込まれて亡くなられたということもございました。
こうした被害を出さないためにも、全国、今あるダムについても、活断層との関係、地震との関係で、再調査、そして総点検をするべきだというふうに思います。
とりわけ、これからつくろうとしているダムについては、全国各地で、地盤が弱いということについては、住民の皆さんから、あちこちから声が上がっている場所が幾つもございます。
地盤が脆弱だと指摘をされているわけですから、やはり今からつくろうとしている直轄ダムや補助ダムについても、活断層や地震との関係について全て再調査して総点検するべきだと思いますけれども、大臣、答弁をお願いしたいと思います。
〔小島委員長代理退席、委員長着席〕
○石井国務大臣 国土交通省所管のダムの建設に当たりましては、大規模な地震時にもダム本体直下の地盤に段差が生じることがあってはならないとの観点から、ダム本体直下に、先ほど申し上げた第四紀断層が通っていないことを確認することとしております。
また、ダム本体の耐震性につきましても、近傍で断層等により強い揺れが生じても安全な構造とすることにしてございます。
このように、国土交通省所管のダムについては、地震に対する安全性を十分確保しているところでございます。
なお、国土交通省所管のダムでは、今回の熊本地震を初め、東日本大震災や阪神・淡路大震災などの過去の大地震におきましても、管理上支障となるような大きな被害やダム本体の安全性に影響を及ぼすような変状は発生をしておらないことも申し上げたいと存じます。
○本村(伸)委員 私の地元の愛知県に今から建設されようとしております設楽ダムも、地盤が脆弱だとずっと指摘をされております。もともと地盤が悪いということで、電源開発がダムを建設することを断念した地域でございます。
私も、五月二日に改めてこの現場へ行ってまいりました。現在、設楽ダム本体の建設予定地の左岸側ですけれども、ボーリング調査が行われております。
そこで伺いたいんですけれども、今までもボーリング調査を何本もやっておりますけれども、今までのボーリング調査と今やっている地質調査、横坑の調査というのはそれぞれどう違うのかという点、説明をお願いしたいと思います。
○金尾政府参考人 平成二十一年度までに行ったボーリング調査、これの調査等については、ダム本体の位置の検討や基礎岩盤の強度の確認などを行うために実施してまいりました。
その結果、百三十メーター級のダムの建設に対して基礎岩盤が十分な強度を有することを確認しております。
さらに、平成二十六年度以降に行っているボーリング調査あるいは横坑の調査でございますが、これにつきましては、基礎掘削の深さの詳細な確認など、ダム本体設計の精度をより高めていくために実施しているものです。
引き続き地質調査を進め、その結果を最終的なダム本体設計に反映することとしております。
○本村(伸)委員 設楽ダム本体の接岸予定部分とダム湖に接する斜面で、大きく崩落している場所があります。国土交通省はその地点のボーリング調査を行っているというふうに思いますけれども、ぜひその調査結果をお示しいただきたいというふうに思います。
そして、住民の皆さんからは、この設楽ダムの予定地の周辺、崩落した部分のボーリング調査からわかったこと、そして、課題、対策について住民の皆さんに詳しい報告がないという中で、不安が募っております。
先ほども申し述べましたけれども、今やっている地質調査とそして大きく崩落している場所のボーリング調査について、住民の皆さんに結果の公表など、国交省とやりとりができるような住民の皆さん向けの説明会を開催するべきだというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
○石井国務大臣 設楽ダムのダムサイトのボーリング調査等の結果につきましては、これまでに地元説明会を七回開催するとともに、定期的に発行している広報誌に掲載するなど、地元住民の方々に説明を行ってきたところであります。
現在実施中の追加のボーリング調査等につきましても、調査結果が取りまとまった段階で、必要に応じて地元住民の方々に説明をしてまいります。
○本村(伸)委員 そもそも、ボーリング調査の範囲が狭過ぎるという指摘もございます。
四点述べたいんですけれども、一点目が、設楽ダム予定地の右岸側、二重山稜と言われる松戸の地域なんですけれども、ここの調査では、川側の斜面しか調べていないんじゃないか、すべり面が見つかる可能性がある住宅地側の斜面とか、あるいは田んぼのあるくぼ地の地下などは全く調査していないのではないかという指摘がございます。この点を調査するべきだと。
二点目ですけれども、設楽ダムの予定地の左岸側、ダム湖を背にする田口の地域ですけれども、この田口側の斜面のボーリングが全くされていないのではないかという指摘がございます。
具体的には、西貝津とかシウキとか中島とか大久保の地域には住宅が建ち並んでおりますけれども、かなりの急斜面で、これまでも過去に何度も地すべりを起こしている地域でございます。ダム湖の水が地下に浸透すれば、大きな地すべりが起き、大きな被害が出るのではないかというふうに予測されている地域ですけれども、ここのボーリングも全くされていないという問題が指摘をされております。これが二つ目です。
三つ目ですけれども、設楽ダム予定地の左岸側の田口の市街地。ここは設楽町の中でも一番人口が集中している地域で、ダムができるすぐ近くなわけですけれども、設楽ダムは、ダムの満水時にはダム湖の湖面と標高差が少なくて、しかも水の浸透が心配をされている。大きな地震があればすぐに田口の町なんかが、地震が来れば液状化するのではないかという心配の声もございます。こうした問題についても、こういう地でボーリング調査を行っていないじゃないかという指摘がございます。
四つ目ですけれども、田口の地区は昔から地下水があちこちで湧き出してくるところですけれども、この地下水脈の調査が不十分だという指摘がございます。地下水の流れはダム湖の水の漏水にも大きくかかわる問題で、もっと詳しく調査を行うべきだというふうに言われております。
今、四点、調査するべきだということを申し上げましたけれども、やはり、住民の皆さんの暮らしとか、安心、安全とか、そういうものを守るためにも、こういう心配な声があるわけですから、ぜひ調査するべきだというふうに思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
○金尾政府参考人 四点の御指摘がございました。
まず、松戸地区でございますけれども、松戸地区はダムの最高貯水位よりもかなり高い標高のところにございます。それと、松戸地区につきましては、町側の方でボーリング等の調査をしていないという御指摘でございましたけれども、川側の方でボーリングの調査をしておりまして、そのボーリング調査の結果から、ダムの最高貯水位よりも現在の地下水位がかなり高い、そういう結果を得ております。
そういう結果を鑑みますと、ダムに貯水をした場合にも、松戸の集落の方に地下水が上昇したりするなどの影響は考えられないというふうに考えております。まず、松戸についてはそういうことでございます。
田口地区につきましては、市街地等につきましてもボーリング調査や現地踏査を実施しているところでございますけれども、こちらの方も、ダムの最高貯水位よりも地盤の標高が高い、それから地下水位も標高が高いということを確認しておりまして、このため、ダムに貯水をした場合にも、斜面の安定や地下水位に影響を与えるものではないというふうに判断をしておるところでございます。
また、湧水の点もございましたけれども、これについても、調査する中で湧水を確認しておるところでございますけれども、先ほど申しましたとおり、ダムの貯水によって地下水位への影響が想定されないという状況でございますので、湧水への影響も考えられないというふうに考えているところでございます。
このような結果につきましては、これまでも地元説明会や広報誌において地元住民に説明しておりますけれども、今後、必要に応じて地元住民の方々に丁寧に説明してまいりたいというふうに考えてございます。
○本村(伸)委員 さまざま、住民の皆さんから、調査していないじゃないかという御指摘があるわけですから、その声を真摯に受けとめていただいて、調査をしてその結果を示していただきたいというふうに思います。
次に、設楽ダムのフルプラン、利水の問題について伺いたいというふうに思います。
豊川水系のフルプランについては、二〇一〇年の六月三十日、名古屋地方裁判所における設楽ダム公金支出差しとめ請求事件の判決の中でも、「豊川水系フルプランの基礎となった愛知県需給想定調査の水道用水及び工業用水の需要想定には、平成二十七年度における実際の需要量がその需要想定値に達しない可能性が相当高いという問題があることは確かである。」というふうに、過大な水需要を見込んでいることが認められました。
豊川水系のフルプランでは、計画が立てられたのは二〇〇六年で、そして目標の年が二〇一五年でございました。既に二〇一六年になっているわけですけれども、豊川水系のフルプラン、二〇一五年の目標だったこのフルプランについて、実績と、どうだったのかということをオープンな形で検証するべきだというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
○北村政府参考人 お答えいたします。
水資源基本計画、フルプランでございますけれども、計画変更を行うに当たりましては、いわゆる全部変更の計画変更でございますが、計画を総括的に見直し、その妥当性について評価を行う、いわゆる総括評価を実施することとされてございます。
今後、豊川水系フルプランの計画変更を予定してございまして、その計画変更を行うに当たりましては、総括評価を適切に実施していくということとしております。
○本村(伸)委員 総括評価というのは、どの場でやるということになるんでしょうか。
○北村政府参考人 お答えいたします。
まず、総括評価でございますけれども、総括評価につきましては、二〇〇一年七月に、水資源に関する行政評価・監視の勧告ということで、総括評価を実施する旨勧告を受けているところでございます。それに従いまして、総括評価を全部変更の際には行うということでございます。
具体的には、水資源開発分科会がございますけれども、そのような場で、あるいは部会の場で資料を提出し、委員の方々に御検討いただくというふうなことでございます。
○本村(伸)委員 その部会についてちょっとお伺いしたいんですけれども、二〇一二年の三月十九日、愛知県の豊橋市で国土審議会の水資源開発分科会豊川部会が開催され、私も傍聴したんですけれども、そのときには、今回は、全部変更した豊川水系フルプラン策定後五年たったので、計画達成度など点検することが目的で開かれたんだというふうに言っておりました。
しかし、私もその点検を期待していたんですけれども、その後一回も開かずに、この点検は行われませんでした。なぜやめることになったのか、理由をお示しください。
○北村政府参考人 お答えいたします。
フルプランにつきましては、おおむね五年を目途に計画の達成度の中間点検を行うこととしております。
豊川水系フルプランにつきましても、国土審議会水資源開発分科会豊川部会を二〇一二年三月に開催をいたしまして、中間点検を開始いたしたところでございます。
一方、東日本大震災や笹子トンネル事故の教訓、地球温暖化に伴う気候変動など、顕在化する新たなリスクや課題に対応するため、二〇一三年十月に、国土審議会水資源開発分科会調査企画部会で、今後の水資源政策のあり方についての審議を開始いたしました。
そのようなことがございまして、豊川水系フルプランの点検につきましては、この答申で示される新たな方向性を踏まえた内容で実施することが適当と判断したところでございます。
今後、この答申の方向性を踏まえまして、総括評価を適切に実施することにより、計画の点検を行ってまいりたいと存じます。
○本村(伸)委員 これまで四年間放置をしていたのは、やはり私は怠慢だというふうに思います。
この豊川水系のフルプランについては、予測と実績がどうだったのかということをしっかりと検証し、今後に生かしていかなければいけないというふうに思います。
そこで伺いますけれども、この豊川水系フルプランの水道用水の一日平均給水量の二〇一五年の需要予測はどのくらいで、最新の数字で実績はどのくらいだったのか、また、一人一日平均給水量、二〇一五年の需要予測はどのくらいで、最新の実績はどうだったのか、そしてもう一つ、利用量率と負荷率についてもお伺いしたいんですけれども、まず、利用量率、負荷率について住民の皆さんにもわかりやすく御説明をしていただいた上で、利用量率、負荷率の予測値と最新の実績値をそれぞれお示しいただきたいというふうに思います。
○北村政府参考人 お答えいたします。
まず、利用量率でございますが、利用量率は、河川などの取水地点から取水した量に対する給水量の割合でございまして、年間給水量を年間取水量で除した値でございます。送水や浄水場における漏水等の損失水量の指標となります。
負荷率についてですけれども、負荷率は、一日最大給水量に対する一日平均給水量の割合で、一日平均給水量を一日最大給水量で除した値でございます。給水量の変動をあらわしておりまして、施設効率を判断する指標となります。
フルプランにおけます二〇一五年度における需要予測値について順番に御説明いたしますが、需要想定値につきましては、一日平均給水量が二十六万八千トン、一人一日平均給水量が三百六十三リットル、利用量率が九二・三%、負荷率が七九・一%となってございます。
一方、最新の実績値でございますけれども、二〇一四年度の値となりますけれども、一日平均給水量が二十三万三千トン、一人一日平均給水量が三百二十リットル、利用量率が九九・七%、負荷率が八八・五%でございます。
○本村(伸)委員 結局、フルプランの二〇一五年の予測値は、一日平均給水量が二十六万八千トンだと予測をされておりましたけれども、二十六万八千トンではなく、実際は二十三万三千トンであった。過大な見積もりがされていたということがこのことからもわかる。一人一日平均給水量についても、予測は三百六十三リットルだった、しかし実際には三百二十リットルであったということで、過大な予測であったということが明らかだというふうに思います。利用量率や負荷率についても過大に、今後水開発が必要だということを示すための数字になっていたということが明らかだというふうに思います。
今聞きました水道用水の一日平均給水量、水道用水の一人一日平均給水量、そして水道用水の利用量率、負荷率、この三つとも、過大に見積もって、三重の過大な見積もりをして、設楽ダムが必要だということを示すような中身になっていたというふうに思います。これからも人口が減っていくわけですから、しっかりと見直していかないといけないというふうに思います。
この水道用水の一日平均給水量、水道用水の一人一日平均給水量、水道用水の利用量率、負荷率、三つとも、次の豊川水系フルプランになるのかわかりませんけれども、見直しの際に実績を踏まえたものにするべきだというふうに思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
○石井国務大臣 フルプランの計画変更に当たっては、地域における水需給の実情を踏まえることは当然であるというふうに考えております。
その上で、水需給の実情を踏まえた上で、さらに、水インフラの老朽化への対応、大規模災害時の水の安定供給、地球温暖化に伴う気候変動の影響、危機的渇水への対応といった将来のリスクや課題についても十分に考慮する必要がございます。
豊川水系フルプランの計画変更に当たっては、こういった考え方にのっとって適切に進めていきたいと考えております。
○本村(伸)委員 豊川用水の二期事業なんですけれども、大規模地震対策は、まだ達成度が三六・三%という実態がございます。こういうことをもっと真剣にやっていただきたい、やっているとは思いますけれども、もっと早急にやっていただきたいということを申し述べさせていただきたいというふうに思います。
こうした過大な見積もりによってダムを計画する、この点、見直していただきたいということを申し述べ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。