水源連:Japan River Keeper Alliance

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下水道処理場で官民連携 浜松市が新手法導入、事業開始

2018年4月4日
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国内初となる下水道の長期運営権の譲渡となる浜松市の西遠流域下水道事業が今年度から始まりました。その記事を掲載します。
水処理世界最大手の仏ヴェオリアと日本の会社が設立した浜松ウォーターシンフォニー株式会社が20年間運営を行います。https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/g-sisetu/gesui/seien/pfi.html

運営権者は維持管理、改築更新工事、計画立案、浜松市は認可取得、モニタリングを行うことになっています。
ただし、民営化するのは、西遠流域下水道事業の処理場とポンプ場だけであって、下水管の部分は譲渡されていません。
なお、下記の記事では運営権者が料金徴収を行うと書かれていますが、料金徴収は市が委任を受けていますので、市がまとめて徴収して、運営権者に収入額の24%を渡します。

国内初の下水道の運営権譲渡ですが、浜松市の西遠流域下水道事業は特異な事例ではないかと思います。
西遠流域下水道は元々は静岡県の事業でしたが、2005年の市町村合併に伴い、対象流域が浜松市のみとなり、合併特例法の適用により2016年3月末に浜松市に移管されました。管理は移管前は静岡県下水道公社を通して民間会社に委託し、移管後は市が直接、民間会社に委託していました。したがって、もともと市が直営で運営したものではなく、運営方式を模索した結果、今回の民営化を選択したのであって、他の下水道や水道にそのまま当てはまるとは思われません。

なお、運営権譲渡の詳細は下記の運営権実施契約書に書かれています。
浜松市公共下水道終末処理場(西遠処理区)運営事業 公共施設等運営権実施契約書
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/g-sisetu/gesui/seien/documents/jisshikeiyakusho_20171030.pdf

下水道処理場で官民連携 浜松市が新手法導入、事業開始
(静岡新聞2018/4/2 08:22)www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/474401.html

(写真)コンセッション方式導入を祝い、テープカットする関係者=1日午前、浜松市南区の西遠浄化センター

官民連携の新手法「コンセッション方式」を2018年度から導入した浜松市公共下水道終末処理場(西遠処理区)の事業開始式が1日、同市南区の西遠浄化センターで開かれた。下水道分野での同方式の導入は全国初で、市や運営企業などの関係者、地元住民ら約50人が参加し、事業開始を祝った。
同方式は自治体が公共施設の所有権を持ちながら、民間事業者が料金徴収して自由に施設運営する。民間運営は37年度までの20年間で、総事業費を約86億円削減できるという。市が運営権を与えるのは同センターと中継ポンプ場2カ所で、市内から排水される下水の5~6割を処理している。市は水道事業でも導入可能性を調査している。
式典で鈴木康友市長は「人口減少社会でのインフラ管理は自治体の課題であり、浜松で成功させて全国に広がることを期待したい」とあいさつした。施設を運営する浜松ウォーターシンフォニーの山崎敬文社長は「一瞬たりとも事業が途絶えることのないよう全力で運営に努める」と述べた。

2018(平成30)年度の各ダムの予算額

2018年4月3日
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2018(平成30)年度の各ダムの予算額がきまりました。

相変わらず、ダム事業に巨額の予算が付いています。
直轄ダムと水資源機構ダムの2018年度予算は、国交省のホームページ
http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/yosan/gaiyou/yosan/h28/h28damyosan.pdf

の予算案と同じです。

補助ダムの2018年度予算は、事業実施箇所(当初配分)
http://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_001526.html

の中に示されています。
例えば、石木ダムについては長崎県を開くと、最初に道路局の予算、次に国土保全・水管理局の予算が書かれていて、
石木ダムの事業費が7.63億円となっています。

石木ダムの最近5年間の予算の推移は次のとおりです。
2014年度 14.90億円  2015年度  9.20 億円  2016年度 1.20億円  2017年度 5.88億円 2018年度 7.63 億円

各ダムの2009~2018年度の予算の推移を整理しました。参考までにご覧ください。

直轄ダム水機構ダムの予算額の推移 2009~2018年度

補助ダムの予算額の推移 2009~2018年度

2018年度の直轄ダム・水資源機構ダムの予算額の計は1,837億円、補助ダムの予算額の計は507億円、合計2,343億円です。

 

原告側控訴の方針 新潟・福島豪雨訴訟 一部は断念

2018年4月1日
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先にお伝えしたように、2011年7月の新潟・福島豪雨の只見川氾濫の浸水被害は、発電用ダムの堆砂を取り除かなかったことが原因だとして、金山町の住民が東北電力と電源開発の二社を訴えた裁判の判決が3月26日にありました。残念ながら、住民側の敗訴でした。
原告の約半数がこの判決を不服として控訴する方針を固めました。その記事を掲載します。

原告側控訴の方針 新潟・福島豪雨訴訟 一部は断念
(福島民報2018/03/31 09:48)http://www.minpo.jp/news/detail/2018033150413

2011(平成23)年の新潟・福島豪雨で只見川氾濫による浸水被害を受けた住民がダム管理者の東北電力と電源開発に損害賠償を求めた訴訟で、原告は請求棄却の判決を不服として控訴する方針を固めた。30日に金山町で開いた会合で申し合わせた。
原告団34人のうち少なくとも17人が控訴する。残る17人の一部は高齢による体の衰えなどを理由に控訴を断念する意思を示している。
原告団事務局長の黒川広志さん(76)=金山町=は「注意義務違反と水害との因果関係を認めないという判決には納得できない」と話した。
地裁会津若松支部は26日の判決で、東北電力の注意義務違反を認定した一方、浸水被害との因果関係は認められないとして原告の請求を棄却した。

新潟・福島豪雨
只見川ダム訴訟 控訴へ 原告側、1審判決不服で /福島
(毎日新聞福島版2018年4月1日)https://mainichi.jp/articles/20180401/ddl/k07/040/049000c

2011年7月の新潟・福島豪雨で浸水被害を受けた金山町の住民ら34人が只見川氾濫の責任を問いダム管理者の東北電力とJパワー(電源開発)を相手に起こした損害賠償請求訴訟で、原告側は請求を棄却した福島地裁会津若松支部の判決を不服として仙台高裁に控訴する方針を決めた。
30日に町開発センターで開いた集会で表明した。原告団の中には高齢などを理由に訴訟の継続を諦める住民もいるため、控訴の意思を示しているのは34人のうち少なくとも17人という。

熊本県  荒瀬ダム撤去完了 国内初、清流生かし自然再生へ

2018年3月28日
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荒瀬ダムの撤去について毎日新聞と朝日新聞の記事を掲載します。
毎日新聞の記事に書いてあるように、荒瀬ダムの撤去を決めたのは熊本県の潮谷義子前知事です。蒲島郁夫現知事は撤去を取りやめようとしましたが、潮谷前知事が漁協の同意なしでダムの存続ができないように路線を敷いていましたので、蒲島知事はやむなく、撤去を進めることになりました。
荒瀬ダムより10㎞上流に電源開発の瀬戸石ダムがあり、2014年に水利権の更新が行われましたが、蒲島知事はいとも簡単に同意し、ダムの存続を容認しました。また、蒲島知事は必要性がない県営の路木ダム(天草市)の建設を強引に進めました。川辺川ダムに関してもダム中止の世論の盛り上がりで蒲島氏は中止方針を表明しなければならなかったからであって、ダムに関して蒲島氏は問題の多い知事であると思います。

熊本県  荒瀬ダム撤去完了 国内初、清流生かし自然再生へ

(毎日新聞熊本版2018年3月27日 20時07分) http://mainichi.jp/articles/20180328/k00/00m/040/089000c

(写真)荒瀬ダムがあった地点の球磨川。右岸の取水口や門柱は遺構として残される=熊本県八代市で2018年3月27日、笠井光俊撮影

国内初の本格的なダムの撤去となった熊本県八代市坂本町の県営荒瀬ダムの工事が終わり27日、現地で撤去完了式典が開かれた。初の撤去事例としてその過程が克明に記録された他、瀬や砂州などかつての清流が復活し、生態系への好影響が期待されている。
荒瀬ダムは球磨川中流に1955年に建設された発電専用ダム(高さ約25メートル、幅約211メートル)。ダム湖にたまった汚泥による環境悪化などから、地元の要望を受けた潮谷義子前知事が2002年に7年後の撤去開始を決めた。
その後、08年4月に就任した蒲島郁夫知事が「撤去費用が存続費用を上回る」と存続に方針転換。しかし、水質悪化で損害を受けたとする漁協が存続に反対したため蒲島知事は再び撤去を決め、12年に撤去工事を開始した。総事業費は約84億円で、うち16億円は国から補助を受けた。
式典で蒲島知事は「国内初の撤去として貴重な財産であり、後世に確実に伝えていく」と述べた。
この日は、ダム湖のあった区間をボートで下るラフティングのイベントもあり、代表の溝口隼平さん(36)は「撤去の終わりが川再生の始まり。再生した川がちゃんと生活の場になることを見てほしい」と話した。
ただ、約10キロ上流に別のダム、河口付近には堰(せき)があり、それらで止められた土砂などの問題が残る。荒瀬ダム撤去を求める住民団体で会長を務めた本田進さん(84)は「昔のように子どもが飛び込んで遊べる川に戻れるか、まだまだいろいろと取り組まねばならない」と気を引き締めた。【笠井光俊】
ことば「荒瀬ダム」
戦後の電力不足に対応するため、熊本県が球磨川の河口から約20キロの中流域に建設したコンクリート製ダム。総貯水量1014万立方メートルで、ダム湖の長さは10キロ近い。約600メートル離れた藤本発電所に送水して発電し、年間供給電力量は約7468万キロワット時。県内での電気供給割合は建設当初約16%だったが、撤去決定前は1%弱まで下がっていた。

熊本)県営荒瀬ダム撤去 戻った球磨川の流れ若者呼ぶ

(朝日新聞熊本版2018年3月28日)

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