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サクラエビ異変で浮上、日本軽金属「令和の公害」問題…周辺地域に浸水被害、大量不法投棄も
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駿河湾のサクラエビ異変、日本軽金属の雨畑ダム問題についてのレポート記事を掲載します。なかなか詳しい記事です。
サクラエビ異変で浮上、日本軽金属「令和の公害」問題…周辺地域に浸水被害、大量不法投棄も
(Business Journal2021年8月18日)https://www.goo.ne.jp/green/column/bizjournal-bj-245380.html
アルミ総合メーカー、日本軽金属ホールディングス(HD)は7月5日、アルミニウム製品を製造する子会社の日軽新潟(新潟市)が、日本産業規格(JIS)の認証の取り消し処分を受けたと発表した。岡本一郎社長はオンラインで記者会見し、「大変重く受け止めている」と謝罪した。不適切な行為は2007年のJIS認証取得直後から続いていた。
今回問題になったのは主に住宅建材向けのアルミ製品である。JIS規格と異なる試験を実施していたにもかかわらず、JISマークを付けて出荷するなど4例の不適切行為が確認された。件数は合計で1万件を超え、年間250トン前後出荷していたという。
日軽金グループは今年5月以降、品質管理体制の不備による処分が3件目となった。最初は子会社の日本軽金属名古屋工場(愛知県稲沢市)で、5月14日付で日本品質保証機構(JQA)からJIS認証を取り消された。名古屋工場では半導体装置などに使うアルミ板を生産している。不正があったのはアルミ厚板の引っ張り強度を確認する試験だった。規定と異なる方法で検査したにもかかわらず、JISマークをつけて出荷していた。
不正は1996年から続いており、生産性をアップする過程で検査方法が変わったことが原因だったとしている。2018年に同工場の品質管理委員会が不正の事実を把握した後も報告していなかった。取締役会が事態を把握したのは21年4月、JQAの臨時検査後だったという。
2件目はアルミ加工の日軽形材(岡山県高梁市)の岡山工場が6月30日付でJIS認証の一時停止処分を受けた。岡山工場ではJISマークを表示しない独自規格の商品も製造。このうちの一部アルミ製品についてJISマークを誤表記して出荷していた。出荷量は33トン。
20年12月、工場の生産性を高める狙いで新しい生産管理システムを導入。この更新手順のなかで不手際があった。日軽形材は5月18日にJQAに経緯を報告。「品質管理体制に不備がある」とされ、JIS認証の一時停止処分を受けた。
相次ぐ不正の発覚を受け、日軽金HDは6月、社内調査から外部の弁護士などで構成する特別調査委員会の調査に切り替えた。より中立的な視点で不正の実態解明を急いでいる。今後、調査結果と再発防止策を公表する予定だ。
経営責任について岡本社長は「原因を究明し、再発防止策を進めるのが経営層の責任だと判断している」と述べ、社長の椅子に留まる考えを示した。日本の素材産業では近年、生産現場での不正が次々と発覚した。2017年には神戸製鋼所や三菱マテリアルがJIS認証取り消し処分を受けている。これをきっかけに各メーカーは生産現場の総点検を行ったはずなのに不祥事が後を絶たない。
雨畑ダムの堆砂問題は令和の公害事件
日軽金HDは別の問題も抱えている。駿河湾産サクラエビの不漁をきっかけに雨畑ダム(山梨県早川町)の堆砂問題にスポットライトが当たり始めた。雨畑ダムは電気を大量に使うアルミニウム製造のための自家発電施設である。蒲原製造所(静岡市)で使用する電力の一部を雨畑ダムの発電が賄っている。19年8月と10月の台風で雨畑ダムの周辺地域に浸水被害が発生した。国土交通省は日軽金に「抜本的な対策」を求めて行政指導をした。同社は20年度からの5年間で700万立方メートル(東京ドーム5杯分)の土砂を搬出する計画を提示し、国に了承された。
これに伴い土砂除去費用として20年3月期に110億円、21年3月期に162億円の特別損失を計上した。年商4000億円規模で営業利益が250億円、最大でも300億円の日軽金HDにとって、この特損は大きい。毎年新たにダム湖内に流入する50万立方メートルから数百万立方メートルの土砂の対応については具体的に示されておらず、雨畑ダムの堆砂問題の解決への道筋は不透明といえる。
さらに、雨畑ダムは環境問題にかたちを変えてきた。地元紙の静岡新聞は、駿河湾産サクラエビの記録的な不漁を機に2018年末から「サクラエビ異変」と題した報道を続けている。駿河湾に注ぐ富士川の河川環境に着目し、アルミ製錬を終えた日本軽金属が戦時中からいまだに持ち続けている富士川水系の巨大水利権や上流部の雨畑ダムの著しい堆砂、砕石業者による凝集剤入り汚泥の不法投棄問題などを詳報した。
サクラエビは静岡県を代表する食材である。駿河湾産のサクラエビの年間漁獲量が近年、低迷している原因は何なのか。静岡新聞の長期企画「サクラエビ異変」は今年2月、公共の利益に貢献したジャーナリズム活動を早稲田大学が顕彰する「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」の文化貢献部門の奨励賞を受賞した。
高分子凝集剤入り汚泥の大量不法投棄
山梨県は7月26日、採石業者ニッケイ工業(早川町)が長年続けていた高分子凝集剤入り汚泥(ポリマー汚泥)の大量不法投棄で、「合計約22トンの凝集剤が、富士川水系雨畑川に投棄されていた」との調査結果を公表した。河川内への不法投棄は2009年から続いていたことも明らかになった。
ニッケイ工業は日本軽金属が10%出資している会社だ。雨畑ダムの土砂を浚(さら)い、砂利を採取している。日本軽金属の関係会社である。山梨県の長崎幸太郎知事と静岡県の川勝平太知事は7月27日、静岡県庁で覚書を交わし、「富士川の豊かな水環境の保全に向けた山梨県・静岡県協働プロジェクト」をスタートさせた。富士川水系のポリマー汚泥の残留の実態などを明らかにする。
阿部知子衆院議員(立憲民主党) の雨畑ダムの堆砂問題についての質問主意書に対し、政府は今年5月、答弁書で「すでに堆砂率(総貯水容量に対する堆砂量の割合)は120%に達している」ことを明らかにし、「必要ならダム撤去の指導を行う」との認識を初めて示した。
その上で、日軽金が堆砂除去を進めていることから、現時点でのダム撤去は否定した。雨畑ダムの上流では堆砂による洪水被害が発生している。日軽金は今後も継続的に土砂除去費用を計上する必要に迫られるかもしれない。令和の公害と呼ばれる雨畑ダムの堆砂問題は日本軽金属HDの体力を蝕(むしば)んでいく。
(文=編集部)
川辺川ダムの環境アセスについての環境省の姿勢の問題
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現在、流水型ダムの川辺川ダムの計画策定に向けての作業が行われています。
川辺川ダムの内容が従前の計画のものと根本から変わるのですから、環境影響評価法の対象になるものと考えていました。
実際に、従前の計画の川辺川ダムの環境アセスについて国土交通省川辺川ダム砂防事務所は今までHPで下記のとおり、説明してきました。
環境アセス法の施行前に川辺川ダム基本計画の変更が1998年6月に行われたから対象外であるという説明です。
この説明からすれば、今回の流水型(穴あき)ダムへの変更は川辺川ダム基本計画の新たな変更になりますから、環境アセスの対象にならなければなりません。
ところが、今年3月29日付けの国交省からの照会「環境アセスの対象外となると解釈してよいか」
に対して、環境省は翌日、3月30日に「貴見のとおり」と回答しました。
環境省の回答20210330 川辺川ダムの環境影響評価の取扱い
不可解な回答ですので、環境省がそのように回答した起案文書について情報公開請求を行ったところ、不開示決定書が届きました。
環境省の不開示決定書20210811 川辺川ダムの環境影響評価
国交省への回答を起案した文書は存在せず、環境省では何の検討をせずに「貴見のとおり」と回答したということでした。
流水型ダムの川辺川ダムの環境アセスは重大な問題であるのに、環境省は何の検討もしないので、起案もせずに、即座に国交省に「対象外である」と回答したのです。
環境省の姿勢に怒りを覚えます。
国土交通省川辺川ダム砂防事務所は今までの説明
「川辺川ダム事業における環境保全への取り組み(平成12年6月)」への質問に対する回答(平成12年11月1日)
http://www.qsr.mlit.go.jp/kawabe/kankyou/kaniken-okotae/qa4.html
Q1.川辺川ダム事業における環境調査等について、準備書・評価書を作成するなど環境影響評価法の手続きをとるべきではないですか。
また、補充の調査、予測、評価は今後とも積極的に実施してもらいたい。
A1.川辺川ダム事業においては、今後とも、各分野の専門家の指導を受けながら必要な調査を行い、その結果を公表してまいるとともに、地域の方々にも充分に説明を行い意見を聞きながら具体的な環境保全対策を実施していくこととしています。
なお、川辺川ダム事業については、特定多目的ダム法第4条第1項に規定する基本計画の最新の変更の告示が平成10年6月9日に行われており、環境影響評価法附則第3条第1項及び環境影響評価法施行令附則第3条第1号の規定により、同法第2章から第7章までの規定は適用しないこととされています。」
中国出資のカンボジア巨大ダム、数万人の生活破壊 人権団体報告
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中国出資のカンボジアの巨大ダムについての記事を掲載します。
中国出資のカンボジア巨大ダム、数万人の生活破壊 人権団体報告
(AFP BB News 2021年8月10日 18:10)発信地:プノンペン/カンボジア [ カンボジア アジア・オセアニア ] https://www.afpbb.com/articles/-/3361098
カンボジア北東部にある「セサン下流2水力発電所ダム」(2018年12月17日撮影)。(c)Ly LAY / AFP
【8月10日 AFP】中国が出資するカンボジアの巨大ダムについて、エネルギー生産量が当初の計画を下回っている上、数万人の村人の「生活を流し去った」とする報告書を10日、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)が発表した。
カンボジア北東部にある発電量400メガワットの「セサン下流2水力発電所ダム(Lower Sesan 2 Dam)」は、2018年12月の開業以前から長らく論争を巻き起こしていた。
水産専門家は、資源豊かなメコン(Mekong)川の主要な支流であるセサン(Sesan)川とスレポック(Srepok)川の合流点をダムにすると、メコン川の氾濫原沿いに住む数百万人にとって重要な水産資源が脅かされると警告していた。
報告書でHRWは、ダムの上流と下流に住む数万の村人の収入に大きな損失が出ていると指摘。執筆したHRWのジョン・シフトン(John Sifton)氏は、「カンボジア当局は、このプロジェクトをめぐる補償、再定住、生計回復の方法について早急に見直す必要がある」と述べた。
カンボジア政府は、建設を担った中国電力大手・中国華能集団(China Huaneng Group)が約束した通り、カンボジアの年間電力需要の約6分の1が賄われることを期待して、約5000人の再定住を伴うダム事業を推進した。だが、実際の生産量は当初計画の3分の1程度にとどまっているという。
ダムはアジアからアフリカ、欧州にまたがる中国の巨大経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」の一環で、建設費は7億8000万ドル(約860億円)とされている。(c)AFP
カンボジア北東部にある「セサン下流2水力発電所ダム」(2018年12月17日撮影)。(c)Ly LAY / AFP
【8月10日 AFP】中国が出資するカンボジアの巨大ダムについて、エネルギー生産量が当初の計画を下回っている上、数万人の村人の「生活を流し去った」とする報告書を10日、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)が発表した。
カンボジア北東部にある発電量400メガワットの「セサン下流2水力発電所ダム(Lower Sesan 2 Dam)」は、2018年12月の開業以前から長らく論争を巻き起こしていた。
水産専門家は、資源豊かなメコン(Mekong)川の主要な支流であるセサン(Sesan)川とスレポック(Srepok)川の合流点をダムにすると、メコン川の氾濫原沿いに住む数百万人にとって重要な水産資源が脅かされると警告していた。
報告書でHRWは、ダムの上流と下流に住む数万の村人の収入に大きな損失が出ていると指摘。執筆したHRWのジョン・シフトン(John Sifton)氏は、「カンボジア当局は、このプロジェクトをめぐる補償、再定住、生計回復の方法について早急に見直す必要がある」と述べた。
カンボジア政府は、建設を担った中国電力大手・中国華能集団(China Huaneng Group)が約束した通り、カンボジアの年間電力需要の約6分の1が賄われることを期待して、約5000人の再定住を伴うダム事業を推進した。だが、実際の生産量は当初計画の3分の1程度にとどまっているという。
ダムはアジアからアフリカ、欧州にまたがる中国の巨大経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」の一環で、建設費は7億8000万ドル(約860億円)とされている。(c)AFP
球磨川水系の整備計画 国、熊本県が策定着手 流水型ダム検討本格化
8月4日「令和3年度(第1回)球磨川水系学識者懇談会」が開かれました。その記事とニュースがを掲載します。
球磨川水系河川整備計画を策定するための学識懇談会です。この河川整備計画の中心の事業になろうとしているのが流水型の川辺川ダムです。
7月8日に「球磨川水系河川整備基本方針の変更」を審議する国土交通省の小委員会が開かれたばかりです。https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kihonhoushin/dai112kai/index.html
河川整備計画は、通常はその上位計画である河川整備基本方針が策定されてから、基本方針の範囲で策定作業が進められるものですが、球磨川の場合は並行して策定作業が進められています。
九州地方整備局と熊本県が、流水型の川辺川ダムの推進に特段の力を入れているように思います。
この「令和3年度(第1回)球磨川水系学識者懇談会」の配布資料が国土交通省 九州地方整備局 八代河川国道事務所のホームページに掲載されました。
第1回 球磨川水系学識者懇談会 令和 3年 8月 4日
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/gakusiki_kondankai/gakusiki_01.html
【議事次第、委員名簿、座席表、設立趣旨、規約(案)、公開方法(案)、資料1、資料2(1/2)、資料2(2/2)、資料3(1/2)、資料3(2/2) 、資料4】
このうちの資料2(1/2)
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/bousai/gouukensho/gakusikikon/shiryou2_1.pdf
を見ると、8ページで2020年7月洪水の球磨川の流量が従前の洪水よりかなり大きかったという図が示されています。
だから、そのような洪水の再来に備えるために流水型の川辺川ダムが必要だという話になっていくことが予想されます。
しかし、2020年7月洪水は川辺川ではなく、山田川や小川などの支川の流量が卓越し、人命のほとんどはそれらの支川のはん濫によって失われたのであって、当時、仮に川辺川ダムがあってもその命を救うことができなかったという調査結果が明らかにされています
球磨川水系の整備計画 国、熊本県が策定着手 流水型ダム検討本格化
(西日本新聞2021/8/5 6:00 )https://www.nishinippon.co.jp/item/n/780736/
昨年7月の熊本豪雨で氾濫した熊本県・球磨川水系を巡り、国土交通省九州地方整備局と県は4日、学識者懇談会の初会合を熊本市で開き、今後20~30年間の具体的な治水策を河川法に基づいて位置付ける「河川整備計画」の策定に着手した。最大支流・川辺川への流水型ダムや流域での遊水地の整備に向けた検討が本格化する。
懇談会は熊本大や九州大などの河川、環境、経済などの専門家12人で構成。九地整や県による整備計画の原案作成段階で意見を述べ、策定後の事業評価も担う。委員長の小松利光・九州大名誉教授は初会合で「九州では5年続けて大水害が起きた。懇談会の使命は大きい」と述べた。
国交省は7月、長期目標となる「河川整備基本方針」の見直しに着手。気候変動の影響を考慮し、洪水時に想定する最大流量「基本高水」の引き上げを検討していく。整備計画では、この基本高水に対応可能な治水策として、ダムや遊水地の整備を明確化する。
球磨川水系では2007年に基本方針が策定されたが、08年の川辺川ダム計画「白紙撤回」後は治水策がまとまらず、全国109の1級水系で唯一、整備計画が未策定。熊本豪雨では流域で1150ヘクタールが浸水、50人が犠牲となった。 (古川努)
球磨川治水「河川整備」で意見聴取 学識者懇談会が初会合
(熊本日日新聞2021/8/5 08:00) https://nordot.app/795788875149737984?c=62479058578587648
球磨川水系の「河川整備計画」策定に向け初会合を開いた学識者懇談会=4日、熊本市中央区
昨年7月の豪雨で氾濫した球磨川水系の治水を巡り、国土交通省九州地方整備局と熊本県は4日、学識者懇談会の初会合を開き、「河川整備計画」の策定に反映させる意見の聴取を開始した。計画は、蒲島郁夫知事が求めた流水型ダムの建設や堤防、遊水地の整備など具体策の前提となる。
懇談会の委員は治水や環境、経済、歴史・文化、農林水産業、防災など幅広い分野の専門家12人。委員長に小松利光・九州大名誉教授(河川工学)を選んだ。
初会合は熊本市中央区の熊本城ホールであった。国交省が豪雨後に示した「流域治水プロジェクト」に対し、委員からは「流れる水の収支の議論ばかりで、山林の保水や土砂流出の防止策を考えていない」「犠牲者の当時の行動や判断状況など詳細なデータを行政が整理して、住民に啓発すべきだ」といった意見が出た。(堀江利雅)
◇球磨川水系学識者懇談会委員(五十音順)
井田貴志・県立大教授(経済)
大槻恭一・九州大大学院教授(森林)
大本照憲・熊本大特任教授(河川工学)
鬼倉徳雄・九州大大学院教授(環境・魚類)
上久保祐志・熊本高専教授(河川工学)
久保田修・県土地改良事業団体連合会常務理事(水利)
小林 淳・県立大教授(環境・水質)
小松利光・九州大名誉教授(河川工学)
竹内裕希子・熊本大大学院准教授(防災)
田中尚人・熊本大准教授(歴史・文化)
星野裕司・熊本大准教授(景観)
南本健成・元県水産研究センター所長(漁業)
球磨川の河川整備計画策定に向け懇談会の初会合【熊本】
(テレビ熊本t2021年8月4日 水曜 午後9:00)https://www.fnn.jp/articles/-/219673
(映像)
去年7月の豪雨で氾濫した球磨川の河川整備計画の策定に向け4日、専門家による懇談会の初会合が開かれました。
国や熊本県が開いた4日の初会合には防災の専門家など委員12人が出席。
委員からは整備計画の策定に向け、「環境に配慮して川底の土砂を撤去する方法を
考えてほしい」、「漁業関係者などと連携をとって計画をつくるべき」などといった意見があがりました。
今後、国と県は懇談会での意見をふまえ具体的な計画の内容を決めていくということです。
「本当に対話望むのか」 石木ダム 反対住民が県批判
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石木ダムに反対する地元住民は、改めて時間をかけた話し合いを長崎県に求めました。
その記事とニュースを掲載します。
なお、西日本新聞 2021/7/28 6:00の記事で「佐世保市のある職員は『・・・あおりを受けるのは予定地の住民と、いつまでも渇水の恐れがなくならない佐世保市民だ』と不満を漏らす」と語っていますが、この市職員は現状が何もわかっていません。佐世保市水道は水需要が2000年代になってから、減少の一途を辿って大きく減少してきており、今後は渇水の心配が皆無に近い状態になっています。そのような現実を知らない職員がいることにがっかりしてしまいます。
「本当に対話望むのか」 石木ダム 反対住民が県批判
(長崎新聞 2021/7/28 12:00) https://nordot.app/792929015952228352?c=39546741839462401
県の示した対話の条件を批判する反対住民=川棚町
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り水没予定地で暮らす反対住民は27日、中村法道知事との対話について現地で記者会見を開いた。県側が示した「対話当日限りの工事中断」などの条件について「本当に話し合いを望んでいるのか」と批判した。
一方、中村知事は同日の定例会見で対話の期限を来月末と区切った理由について「住民の安全安心のため事業をこれ以上先延ばしできない」と述べ、一昨年9月以来となる対話の実現は不透明感を増してきた。
現地の会見には住民約20人が参加。岩下和雄さん(74)は「私たちは猛暑の中、毎日座り込みを続けている。『1日だけ工事を止めるから話し合いに来い』で、県の言う『静穏な環境』になると本気で思っているのか」と批判。「半年間、本体工事着手を見合わせるなど配慮してきた」とする県の主張に対しても「説明を受けたことはなく、その間も現場では(本体工事以外の)工事が強行されていた」と反論した。石丸勇さん(72)は「話し合いは両者が対等の立場でするもの。県の条件は一方的だ」と訴えた。
ただ対話の可能性を全否定するのではなく「私たちと向き合い信頼を得て、対話ができる環境をつくってほしい」(岩下さん)と呼び掛けた。住民側は28日に意見をまとめた文書を県に発送する。
知事も会見で工事中断について態度を軟化させる可能性を問われ「住民から返事をいただいた上で検討する必要がある」と明言を避けた。
石木ダム「話し合える環境整備を」 住民側、県に要請文送付へ
(西日本新聞2021/7/28 11:30) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/776699/
川棚町の石木ダム建設事業を巡り、県が水没予定地の住民に申し入れている中村法道知事との話し合いについて、住民側は27日、期間中の工事中断など「話し合いができる環境の整備」をあらためて求める文書を県に送る方針を明らかにした。
同日に現地で記者会見した。県は住民側に送った19日付の文書で、知事との話し合いの期限を8月末とし、工事は当日に限り中断するとした上で、28日までの回答を求めていた。
知事が住民と話し合う意向を示した5月以降、その条件を巡って県と住民との間で交わされた文書のやりとりは今回で4回目。県は本体着工を見送るなど「住民側に配慮している」と説明しているが、住民の岩下和雄さん(74)は会見で、座り込み現場では早朝や深夜帯に工事が進んだと指摘し「静穏な環境とはほど遠い」と主張した。
一方、中村知事は27日の記者会見で「全ての工事を止めるのは難しい」と述べ、今後の対応は住民側の文書を受け取った上で検討するとした。 (岩佐遼介、泉修平)
水没予定地の住民会見「説得する気はあるのか」
(西日本新聞 2021/7/28 6:00)https://www.nishinippon.co.jp/item/n/776768/
石木ダム・リポート ―7月27日―
椅子とテーブルを並べた座り込み現場で、住民は思いの丈を語った。27日、長崎県川棚町の石木ダム建設予定地。中村法道知事との話し合いを巡り、2カ月にわたって県と文書のやりとりを続ける水没予定地の住民は記者会見を開いた。
「ダムを造りたいのであれば、県は私たちを説得しないといけない立場ではないのか」。岩下和雄さん(74)の語気は強かった。「こちらが応じることができない条件を突き付けられては話し合いはできない」
焦点の一つ、工事の中断期間について「話し合いが続く間」を求める住民に対し、県は19日付の文書で「当日限り」と表明。住民側がこの条件に応じるかどうか、28日までの回答を求めている。さらに、話し合いを行うとしても8月末までと期限を区切った。
住民側は、従来通りの要求を突き返す方針だ。住民の岩本宏之さん(76)は、県が1970年代に大村湾で長崎空港を整備した際、当時の久保勘一知事が建設予定地の島の住民と夜更けまで酒を酌み交わして説得に当たった例を挙げ「中村知事は本当に住民を説得したいのかと思う」。
話し合いに向けた知事の本気度に疑問を感じるダム推進派も少なくない。同県佐世保市のある職員は「推進を掲げながら説得にも当たらない、身を切る政治決断もない。あおりを受けるのは予定地の住民と、いつまでも渇水の恐れがなくならない佐世保市民だ」と不満を漏らす。
中村知事はこの日の記者会見で今後の対応については「(住民側から)返事を頂いた上で検討する」と述べるにとどめた。
(岩佐遼介)
石木ダム 長崎県と同県佐世保市が、治水と市の水源確保を目的に、同県川棚町の石木川流域に計画。1975年度に国が事業採択した。当初完成予定は79年度。移転対象67戸のうち川原(こうばる)地区の13戸は立ち退きを拒否し、計画撤回を求めている。2019年5月に県収用委員会が反対地権者に土地の明け渡しを命じた裁決を出し、同年9月に土地の所有権は国に移転。同年11月の明け渡し期限後、県の行政代執行による強制収用の手続きが可能になった。
「本気で話し合い望むのか」 石木ダム建設計画、住民が県を批判 川棚町で記者会見 /長崎
(毎日新聞長崎版 2021/7/29) https://mainichi.jp/articles/20210729/ddl/k42/040/442000c
県と佐世保市が川棚町に建設を計画する石木ダムを巡り、石木ダム建設絶対反対同盟は27日、同町川原地区で記者会見を開いた。知事と水没予定地の住民との対話に向けて県が示した条件への回答内容を明らかにし、「県が本気で話し合いを望んでいるとは思えない」と批判した。
県への回答書では、県が「本体工事の着工を半年にわたり見合わせている」としていることについて、そのような説明は受けていないと反論。話し合いを呼びかける一方で、工事を強行するなどして対話できない状況を作っているのは県だと主張している。
住民の岩下和雄さん(74)は会見で「県が本当に(ダムを)造りたいのなら私たちを説得するべきだ。工事を半年見合わせていたのなら話し合いもできたはずだが、それもせずに『配慮してきた』というのは間違っている」と訴えた。
一方、中村法道知事は27日の定例記者会見で、ダムは必要との認識を改めて示した上で「話し合いに向けて誠心誠意対応したい」と述べた。【綿貫洋、田中韻】
〔長崎版〕
石木ダム 知事との話し合いに向け地元住民が回答書提出へ 両者の主張は平行線【長崎県】
(テレビ長崎 2021/7/27 20:02) https://nordot.app/792708972184289280d
東彼杵郡川棚町の石木ダム建設を巡る 知事と地元住民との話し合いに向けた「条件交渉」が続いています。
ダム建設に反対する地元住民は、改めて時間をかけた話し合いを長崎県側に求めています。
ダム建設予定地の住民 岩下 和雄 さん 「このまま続けていっては、例えダムができたとしても禍根を残すダムになることは間違いない。今、時間をかけて話し合いをすべき」
長崎県は先週、話し合いについて・期間を8月末、工事の中断を当日に限るとの条件を提案しました。
しかし、住民側は「話し合いの当日だけでなく、期間中の工事中断がないと穏やかに話し合いに臨むことができない」などとする回答書を準備しています。
長崎県 中村 法道 知事 「話し合いの機会をいただきたいと早い段階から考え方を示し、現場などでも繰り返し条件整理について相談させていただいた。そういった作業もすでに半年経過している。これ以上長く時間をかけて、工事を止めておくわけにはいかないものと判断している」
両者の主張は平行線となっていて、話し合いの実現のめどは立っていません。
石木ダム建設 住民が知事との話し合いの条件理解できず
(NHK2021年07月27日 18時27分)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20210727/5030012129.html
川棚町で建設が進む石木ダムをめぐって、長崎県が、中村知事と建設に反対する地元住民との直接の話し合いに向けて示した話し合い当日に限って工事を中断するといった条件について、住民側は、「本当に話し合いを望んでいるのか疑問で理解できない」とする回答書を中村知事宛てに送る考えを示しました。
川棚町で建設が進む石木ダムをめぐって、長崎県は、中村知事と建設に反対する地元住民との直接の話し合いに向けて、話し合いの期間を来月末までに設定し、話し合い当日に限って工事を中断するといった条件を示した文書を今月19日付けで地元住民に宛て送りました。
住民側は27日、川棚町の建設予定地で記者会見を開き、28日付けで中村知事に宛て、回答書を送る考えを示しました。
回答書では、「県からの回答を見て知事が本当に話し合いを望んでいるのか疑問で全く理解できない」としています。
また、県が示した条件については、「『話し合い当日限りの中断』とあるが、そのような中で静穏な話し合いができるとは考えられない」としています。
住民の岩下和雄さんは、「話し合いのときだけ工事をストップするのは静穏といえるのか。同じことを何度もいっているが、工事を即時中断して話し合いができる環境を作って欲しい」と述べました。