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支流越水後に球磨川も氾濫 人吉浸水の経過熊本県調査で判明

2020年10月13日
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7月4日の球磨川豪雨で人吉市中心部が刻一刻と浸水していく経過が熊本県の調査で判明したという記事を掲載します。

始まりは支流山田川からの越水で、その後、球磨川本流からも濁流が市街地へと流れ込みました。

人吉付近の痕跡水位が球磨川の最高水位を大きく上回る様相を呈したのは、このことによるのではないかと推測されます。

 

支流越水後に球磨川も氾濫 人吉浸水の経過熊本県調査で判明

(西日本新聞2020/10/13 11:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/653696/

7月4日の豪雨で氾濫した球磨川流域のうち、人吉市中心部が刻一刻と浸水していく経過が熊本県の調査で判明した。始まりは支流山田川からの越水。その後、球磨川本流からも濁流が市街地へと流れ込み、氾濫水位は深い所で約4メートルまで急上昇したという。浸水解消時には、たまった水が川に流れ込む「引き戻し」で激しい流れが発生。新たな水害リスクも浮かび上がった。

県の調査は8、9月に実施。河川カメラや地元住民が撮影した動画や証言を分析した。動画には日時が記録され、水が流れる方向も確認できたという。

調査結果によると、7月4日午前6時10分ごろ、球磨川との合流部に近い「出町橋」付近で山田川からの越水が始まり、同31分には500メートルほど上流の「五十鈴橋」付近でも越水が確認された。県河川課は「球磨川の水位が上がり、はけきれなくなった山田川が先に氾濫していった」とみる。

午前6時57分、球磨川が九日町付近で越水開始。同7時台には、山田川と球磨川の氾濫水が合わさり、市街地を襲った。国宝「青井阿蘇神社」付近では、7時22分から20分間で水位が1メートル以上上昇していたことも確認された。

午前7時45分、山田川東側の鍛冶屋町付近では、あふれた濁流が上流方向に逆流し、同58分には住宅街に濁流が激しく流入した。山田川の水位上昇は同8時前にいったん止まった。この時間帯、球磨川に近い九日町付近では、浸水深は約2メートルに達したところで氾濫水位の上昇が止まった。

山田川の水位がピークに達したのは午前9時半ごろ。鍛冶屋町付近の浸水範囲の拡大が止まる一方、球磨川からの浸水が拡大。球磨川の水位はその20分後にピークを迎え、九日町付近の浸水深は午前10時15分ごろ、最大約4メートルに達した。

水位がピークを越え、浸水が解消に向かっていた午前11時以降にも、水害リスクは高まった。市街地にたまった氾濫水の「引き戻し」でJR人吉駅付近では球磨川の下流方向、市街地では山田川に向かって激しく流れたという。

調査結果は今月6日に開かれた国や県、流域市町村の豪雨検証委員会で報告された。県河川課は「人吉市街地の復旧復興や、今後の防災対策に生かしたい」としている。 (古川努)

浸水深

午前6時半~7時ごろ(矢印は水の流れる方向)※豪雨検証委員会資料より

午前7時半~50分ごろ(矢印は水の流れる方向)※豪雨検証委員会資料より

午前9時~10時ごろ(矢印は水の流れる方向)※豪雨検証委員会資料より

最高裁、石木ダム国事業認定取り消し棄却 住民「それでも闘う」

2020年10月13日
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腹立たしい限りですが、石木ダムの水没予定地の住民らが国に事業認定取り消しを求めた訴訟で、最高裁が住民側の上告を退ける決定をしました。

その記事とニュースを掲載します。

(最高裁判所からの決定通知、住民側からの「最高裁決定に対する声明」はこちらを参照願います。)

住民らはこれとは別にダム工事そのものの中止を求める裁判も起こしていて、今月から福岡高裁で控訴審が始まっています。

 

石木ダム 住民敗訴確定 事業認定取り消し訴訟 最高裁、上告退ける

(長崎新聞2020/10/13 11:00)https://www.47news.jp/localnews/5367342.html

(写真) 石木ダム建設予定地周辺。現在も反対住民13世帯約50人が暮らしている=9月9日、東彼川棚町(小型無人機ドローン「空彩4号」で撮影)

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、水没予定地の住民らが国に事業認定取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は、住民側の上告を退ける決定をした。ダムの必要性を一定認め、住民側を敗訴とした一、二審判決が確定した。

決定は8日付。通知文によると、原判決に憲法違反や重大な手続きの不備がある場合に最高裁に上告できると規定した民事訴訟法の条項に照らして、住民側の上告理由は「該当しない」として棄却した。

石木ダムは佐世保市の慢性的な水不足解消と川棚川の治水が主な目的。県と同市は土地収用法に基づき、全用地の権利を取得したが、現在も水没予定地には事業に反対する13世帯が暮らしている。

住民らは2015年11月に「必要性のないダムで土地を強制収用するのは違法」として国に事業認定取り消しを求め、長崎地裁に提訴した。利水、治水両面でのダムの必要性が主な争点になったが、同地裁は18年7月、佐世保市の水需要予測や県の治水計画を「不合理とは言えない」と判断。ダムの公益性を一定認め、住民側の請求を棄却した。

控訴審の福岡高裁も一審判決を支持。「事業によって得られる公共の利益は失われる利益に優越する」として19年11月、住民側の訴えを退けた。

住民側は上告理由書で「誤った事実を基礎とする事業計画は違法で、違法な事業により、国民の意思に反して財産を奪うのは違憲」などと主張したが認められなかった。

 

 最高裁、石木ダム国事業認定取り消し棄却 住民「それでも闘う」

(西日本新聞2020/10/13 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/653737/

石木ダム予定地

長崎県川棚町に県と佐世保市が計画する石木ダム建設を巡り、反対する住民らが国の事業認定取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は住民側の上告を退ける決定をした。8日付。住民側敗訴とした一、二審判決が確定した。

同町川原(こうばる)地区の石木ダム建設予定地で暮らす原告は、最高裁の決定に憤りと落胆をにじませながら、反対運動を継続する思いを口にした。

「川原地区13世帯の人権はどうでもいいのかしら。現場を一度も見ることなく決定するなんて」。岩永みゆきさん(59)は納得がいかない表情。川原房枝さん(79)も「主張を聞いてもらって判断が下されると思っていた。少しだけ望みを持っていたので心外」と残念そうに話した。

住民は長崎県と佐世保市に工事差し止めを求める訴訟も起こしたが、今年3月の一審判決で請求棄却されるなど敗訴が続いている。

「八方ふさがりたい…」。岩下秀男さん(73)は言葉を詰まらせたが「それでも闘い続けることに変わりはない」と言い切った。

予定地の住民の土地や建物は土地収用法の手続きを経て、2019年に国が所有権を取得。県の行政代執行による強制収用も可能となった。住民が毎日のように座り込んでいる場所の近くでは、本体着工に向けた県道付け替え工事が進む。

「今回の結果を受けて県側が勢いづくかもしれないが、こちらは絶対に動かない。座り込みは続ける」。岩本宏之さん(75)は淡々とした口調で、固い意思を示した。

一方、中村法道知事は「ダム建設事業の公益上の必要性について、理解が得られ、早期にご協力いただけるよう、努力を続けたい」とコメントした。 (岩佐遼介、徳増瑛子)

  

石木ダム「事業認定取り消し訴訟」住民敗訴確定

(NBC長崎放送2020/10/13(火) 11:58配信)https://news.yahoo.co.jp/articles/dd9a74949adf7a4d13e11c3d5ffb32e1566799a2

(映像あり)

石木ダム建設予定地に住む住民らが国を相手に土地の強制収用の根拠となっている「事業認定」の取り消しを求めていた裁判で最高裁判所は住民側の上告を退けました。この裁判は、国が石木ダムを土地収用法に基く「事業」と認定したことに対し住民側が「佐世保の水道水は足りていて川棚川の洪水対策も河川改修で対応できるためダムは必要ない」などとして「事業認定」の取り消しを求めていたものです。裁判では一審、二審とも利水面・治水面でのダムの必要性を認め建設によって得られる公共の利益は損失よりも大きいとして住民らの請求を棄却。判決を不服として住民側が去年12月に上告していました。最高裁第一小法廷は今月8日付で上告を退ける決定を行い住民側の敗訴が確定しました。なお、住民らはこれとは別にダム工事そのものの中止を求める裁判も起こしていて、今月から福岡高裁で控訴審が始まっています。

 

長崎・石木ダム訴訟で住民側敗訴確定 最高裁上告退ける

(毎日新聞2020年10月13日 西部朝刊)https://mainichi.jp/articles/20201013/ddp/041/040/003000c

長崎県川棚町に県と佐世保市が計画する石木ダム建設を巡り、反対する住民らが国の事業認定取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は住民側の上告を退ける決定をした。8日付。住民側敗訴とした1、2審判決が確定した。

石木ダムは佐世保市の水不足解消や、川棚町の治水を目的に計画。国は2013年に事業認定し、反対住民らが15年に提訴した。1審の長崎地裁は18年7月に請求を棄却し、2審の福岡高裁も支持した。

1、2審はいずれも利水・治水面でダムの必要性を認めていた。

 

長崎新聞 論説 (2020/10/15)

 

支流越水後に球磨川も氾濫 人吉浸水の経過熊本県調査で判明

2020年10月13日
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月4日の球磨川豪雨で人吉市中心部が刻一刻と浸水していく経過が熊本県の調査で判明したという記事を掲載します。

始まりは支流山田川からの越水で、その後、球磨川本流からも濁流が市街地へと流れ込みました。、

 支流越水後に球磨川も氾濫 人吉浸水の経過熊本県調査で判明

(西日本新聞2020/10/13 11:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/653696/

7月4日の豪雨で氾濫した球磨川流域のうち、人吉市中心部が刻一刻と浸水していく経過が熊本県の調査で判明した。始まりは支流山田川からの越水。その後、球磨川本流からも濁流が市街地へと流れ込み、氾濫水位は深い所で約4メートルまで急上昇したという。浸水解消時には、たまった水が川に流れ込む「引き戻し」で激しい流れが発生。新たな水害リスクも浮かび上がった。

県の調査は8、9月に実施。河川カメラや地元住民が撮影した動画や証言を分析した。動画には日時が記録され、水が流れる方向も確認できたという。

調査結果によると、7月4日午前6時10分ごろ、球磨川との合流部に近い「出町橋」付近で山田川からの越水が始まり、同31分には500メートルほど上流の「五十鈴橋」付近でも越水が確認された。県河川課は「球磨川の水位が上がり、はけきれなくなった山田川が先に氾濫していった」とみる。

午前6時57分、球磨川が九日町付近で越水開始。同7時台には、山田川と球磨川の氾濫水が合わさり、市街地を襲った。国宝「青井阿蘇神社」付近では、7時22分から20分間で水位が1メートル以上上昇していたことも確認された。

午前7時45分、山田川東側の鍛冶屋町付近では、あふれた濁流が上流方向に逆流し、同58分には住宅街に濁流が激しく流入した。山田川の水位上昇は同8時前にいったん止まった。この時間帯、球磨川に近い九日町付近では、浸水深は約2メートルに達したところで氾濫水位の上昇が止まった。

山田川の水位がピークに達したのは午前9時半ごろ。鍛冶屋町付近の浸水範囲の拡大が止まる一方、球磨川からの浸水が拡大。球磨川の水位はその20分後にピークを迎え、九日町付近の浸水深は午前10時15分ごろ、最大約4メートルに達した。

水位がピークを越え、浸水が解消に向かっていた午前11時以降にも、水害リスクは高まった。市街地にたまった氾濫水の「引き戻し」でJR人吉駅付近では球磨川の下流方向、市街地では山田川に向かって激しく流れたという。

調査結果は今月6日に開かれた国や県、流域市町村の豪雨検証委員会で報告された。県河川課は「人吉市街地の復旧復興や、今後の防災対策に生かしたい」としている。 (古川努)

浸水深

午前6時半~7時半ごろ(矢印は水の流れる方向)※豪雨検証委員会資料より

午前7時半~50分ごろ(矢印は水の流れる方向)※豪雨検証委員会資料より

午前9時~10時ごろ(矢印は水の流れる方向)※豪雨検証委員会資料より

「耐越水堤防」台風19号被害で18年ぶり復活 川があふれても決壊しにくく 

2020年10月13日
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国土交通省が長年封印してきた「耐越水堤防」を一部区間で復活させる方針を決めました。昨年10月の台風19号で決壊した千曲川の穂保で耐越水堤防の工事が進められています。

その記事を掲載します。

しかし、「耐越水堤防」が今後どの程度導入されるのか、先行きはわかりません。

「耐越水堤防」台風19号被害で18年ぶり復活 川があふれても決壊しにくく 

(東京新聞2020年10月13日 06時00)分https://www.tokyo-np.co.jp/article/61415

昨年の台風19号で堤防決壊が相次いだことを受け、国土交通省は、18年前に整備を撤回した「耐越水堤防」を一部区間で復活させる方針を決めた。川の水があふれる越水が決壊原因の大半のため、越水しても決壊しにくい工法で強化する。既に台風19号で千曲川が決壊した長野市で耐越水堤防の工事を実施した。ただ、この工法を20年近くも採用しなかったことについて、国交省OBらから批判が出ている。(宮本隆康)

(写真)昨年10月の台風19号災害で決壊し、復旧工事が進められる千曲川の堤防=今年4月、長野市穂保で

◆250キロの堤防が26キロに

旧建設省は1990年代、白書で耐越水堤防に着目し、「フロンティア堤防」と名付けて全国250キロでの整備を計画した。通常は氾濫しても決壊を防げば、住宅地などに流れ込む水量は堤防を越えた分だけになり、被害を減らせる。

同省は2000年、設計指針を全国の出先機関に通知したが、国交省は02年に設計指針の廃止を通知し、整備を中止。結局、国内9カ所の河川で計26キロの整備にとどまった。

中止の理由は白書などに書かれていない。国交省治水課は取材に「効果がはっきりせず、事業を全国展開するには至らなかった」と説明する。

 ◆128カ所が決壊し一転

その方針を一転させたのは昨年の台風19号。国管理河川の14カ所、県管理河川の128カ所で決壊が起きた。このうち86%は越水が原因だった。

国交省の有識者検討会は今年6月、川幅の拡張など「川の水位を下げる対策が基本」とした上で、「氾濫のリスク解消が当面は困難で、決壊すれば被害が甚大な区間」で耐越水堤防の整備を目指すよう求めた。氾濫リスクが高い整備対象の区間として、川幅が狭くなる場所や、川が曲がる場所、支流との合流地点などを例に挙げた。

国交省は千曲川の決壊について「越水により、住宅地側の土が削られたことが主な原因」と結論づけ、長野市穂保地区の決壊現場で、住民の要望もあって耐越水堤防の工事を実施。同課は「予算の問題もあるので、場所を選び効率的に取り組みたい」としている。

 ◆ダム建設でタブー視

複数の国交省OBは「20年前から堤防の改良を続けていれば、ここ2、3年の被害をかなり防げた可能性がある」と悔やむ。整備中止について「ダム建設の妨げになるのを懸念したため」との証言もある。

同省OBによると、01年ごろに熊本県の川辺川ダムの反対派が、耐越水堤防をダムの代案として要望。その直後「省内で『ダムの足を引っ張るな』と、がらっと雰囲気が変わった」という。堤防の越水対策工事で「越水対策の言葉だけはやめてくれ。隣の席で川辺川ダムを一生懸命やっているのに」と指示され、工事の名目を変えたことも。省内で越水対策はタブー視され、禁句になったという。

近年、危惧された越水による大規模水害が発生。15年の茨城県常総市の鬼怒川で越水により決壊。18年には西日本豪雨でも決壊が相次ぎ、多くの死傷者を出した。

耐越水堤防は復活したが、あくまで危険箇所などでの緊急対策とされた。「(耐越水堤防は)決壊しにくいが絶対に決壊しないわけではない」(治水課)。

耐越水堤防の整備を訴え続けてきた旧建設省土木研究所元次長の石崎勝義さん(82)は「他の対策よりも安く、少しの手直しで済む。想定以上の雨が増え、市街地を控えた場所は原則導入すべきだ」と警鐘を鳴らした。

フロンティア堤防

住宅地側ののり面「裏のり」、裏のりの下の部分「のり尻」、堤防の上の部分「天端(てんば)」の3カ所をブロックやシートなどで補強する「アーマーレビー工法」の堤防。越水した時、裏のりから浸食で崩れて決壊するのを防ぐ。国交省は2015年の鬼怒川決壊の後、のり尻と天端だけを全国約1800キロで補強する方針を決めていた。

石木ダムによる権利侵害がないとは言わせない! 

2020年10月11日
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石木ダム工事継続差止控訴審第1回口頭弁論報告

2020年10月8日14時半、福岡高等裁判所で石木ダム工事継続差止控訴審第1回口頭弁論が開かれました。コロナ禍の中、傍聴席の数に厳しい制限の付く中、多くの皆さんが裁判所前に結集されました。

この日は、弁護団から鍋島典子弁護士が「失われる権利」について、高橋謙一弁護士が「佐世保市による2019年度水需要予測が禁じ手を駆使したデタラメ予測であること」を簡単に陳述、コウバルに生活する岩下すみ子控訴人がコウバルの歌詞を朗読して紹介、「先代から受け継いだこの素晴らしいコウバルを時代に引継ぐことが自分たちの役割」と説きました。

次回(12月10日(木)14時30分~)は、裁判所から「具体的に侵害される法的権利を具体的に知りたい」ということで、控訴人側はその用意をします。

10月8日の様子は、「石木川まもり隊」のブログ、「私はこうばるで生き続ける」 をご覧ください。

10月8日に陳述された内容、交わされた文書、マスコミ報道等については、水源連HP上のこちらを参照ください。

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