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ダム事業検証検討・有識者会議

国交省、石木ダム推進を付帯意見付きで承認(2012年6月11日)

国土交通省は6月11日に石木ダムの事業継続を認める対応方針を発表しました。ただし、長崎県に対して次の付帯意見を通知しました。

「石木ダムについてはあわせて長崎県に「石木ダムに関しては、事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する。」

 

去る2月22日「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が石木ダム・内ガ谷ダム・安威川ダム等4ダムについての各事業者からの検証検討報告を審理する会議を予定しました。「この会議の進行次第では自分達の居住地を強制収用する道を開かれかねない」と危惧した石木ダム建設絶対反対同盟の皆さんと、それを支援する水源連の仲間が傍聴行動を展開しました。しかしながら有識者会議会場の入り口を国交省職員がピケで封鎖して私たちの傍聴行動を阻止しました。私たちは声を大きくして傍聴を認めるように求め続けました。開会予定時刻を30分経過した時点で流会にしてしまいました。

YouTube: 今後の治水のあり方にかんする有識者会議ダイジェスト版

4月26日に再開となりましたがこれまた非公開です。今回も石木ダム建設絶対反対同盟の皆さんとそれを支援する水源連の仲間が傍聴にいきました。傍聴講堂に入る前に私たちは「今日開催される有識者会議の問題と石木ダム問題」について、国交省記者クラブで記者会見を行いました。記者会見を終えて5階から11階の有識者会議会場へ傍聴に向かおうとすると、国交省職員は私たちが乗ろうとしたエレベータのスイッチを切ったのです。「あなたたちはこのままお帰りください。ほかの所へは行けません」と多くの職員が私たちの行動をしつこく妨害し始めました。仕方がないので階段を昇っていくのですが、これまた大勢の職員が妨害。やっと11階にたどり着くやびっくりです。何十人もの職員が会議室に通じる廊下の二つの入り口で隊列をつくって固めているのです。10人以上の職員がビデオカメラを途切れることなく回していました。2月22日の数十倍の職員を動員して傍聴阻止体勢でした。

YouTube: 有識者会議「ダム事業の検証の検討結果について」記者会見

きっと世界第三次大戦を決する事前の有識者会議もこのような何重もの職員の人垣で守られた密室で開かれるのだろう、と怖さを感じました。

有識者会議ではS委員が「事業の目途について地権者から理解をもらえる目途が書かれていない。それなのに工期が書いてあるのは納得できない。検証が手順を踏んでいないのでこの事業を承認することは出来ない」と意見を出しましたが、中川座長は「事業者からの報告について、『中間とりまとめ』に即した検証検討が行われているものと認める。」「石木ダムに関しては、事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する。」(議事要旨)との審議結果をまとめました。

この審議結果に基づき、国土交通大臣は6月11日に「内ヶ谷ダム、安威川ダム、石木ダム、儀間川総合開発事業(タイ原ダム)に関する国土交通省の対応方針について」を下記のように発表しました。

本日、ダム事業の検証に関して、別紙のとおり内ヶ谷ダム、安威川ダム、石木ダム、儀間川総合開発事業(タイ原ダム)について国土交通省の対応方針を決定いたしましたのでお知らせします。

なお、本件に関する事業評価については、「水管理・国土保全局関係事業における事業評価について」により、別途公表するとともに、石木ダムについてはあわせて長崎県に「石木ダムに関しては、事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」旨を通知します。

ここで重要なのは「石木ダムについては長崎県に『石木ダムに関しては、事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する』旨を通知します」という一文です。

有識者会議の審議は、「中間とりまとめ」に即して検証が行われているかを見るだけです。

4月26日の会議ではS委員がこのことを重視し、「石木ダムについて、評価軸『実現性』の「土地所有者等の協力の見通しはどうか」について記載されておらず、『中間とりまとめ』に沿っていないのではないか」、「石木ダムについて、平成28年に完成という工程が示されているが、実現性を踏まえているか疑問だ。」と述べ、長崎県の石木ダム検証報告は上記の判断基準をみたしていないことを明確に指摘しました。S委員の上記の意見が石木ダムの是非を判断する上で最重要項目であることを会議で否定することができなかったからこそ、有識者会議の意見として上述の「地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する。」が付帯されました。国土交通大臣にはこの付帯意見とその意味を最重視して判断することが求められていました。

6月11日に発表した国土交通省の石木ダムの対応方針は、少なくとも「地元の方々の同意が得られるまで国土交通省の方針を保留する」とされるべきでした。

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