石木ダム:用地明け渡し期限 「耕作続ける」と反発 対象3世帯 /長崎
長崎)石木ダム用地の一部、明け渡し期限
(朝日新聞長崎版 2015年10月31日)http://digital.asahi.com/articles/ASHBZ5J39HBZTOLB00W.html?rm=308
県と佐世保市が計画する石木ダム(川棚町)をめぐり、8月に土地の所有権が国に移った用地の一部(約5200平方メートル)が30日、明け渡し期限を迎えた。だが、移転を拒む地権者らは明け渡しに応じず、今後も作物をつくる考えだ。
県によると、明け渡し期限を迎えたのは3世帯4人が所有していた田畑。県収用委は6月、土地収用法に基づき、農地約5500平方メートルを8月24日付で収用すると裁決した。ただ、コメをつくる世帯が持つ田畑については明け渡し期限を10月30日と設定。収穫時期を考慮したと見られていた。
「死んでしまえと言われているのと一緒」。この日、期限を迎えた田畑を所有する川原義人さん(75)は苦笑いを浮かべた。
今年は豊作だったという。無農薬で丹精込めて育てたヒノヒカリは今月上旬に稲刈りをした。「これが国の田んぼっていう感覚はなかったな」。国有地を示す看板もなければ、柵で囲われているわけでもない。幼い頃から見てきた田畑があるだけだ。
ダム建設が決まって40年。機動隊を動員した強制測量も経験した。ここまで長引くとは想像していなかったという。「権力っていうのはこんなにも一方的なのかね」。来年も体が元気なら、ここでコメをつくりたいと願う。
石木ダムをめぐっては、民家を含む別の用地の強制収用に向けた手続きが進む。移転を拒む地権者らは計画の再検証を求めるが、県は拒否している。有識者からは協議の場を設けるべきだとの指摘があるが、実現していない。
明け渡し期限を迎えた別の田でコメをつくる石丸勇さん(66)は「今ならまだ引き返せる。『決まったことだから』で済ませるような知事のやり方は許せない」と訴えた。(小野太郎)
石木ダム:用地明け渡し期限 「耕作続ける」と反発 対象3世帯 /長崎
(毎日新聞長崎版 2015年10月31日)http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20151031ddlk42010317000c.html
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設事業で30日、県が強制収用した反対地権者3世帯の農地(約5200平方メートル)の明け渡し期限を迎えた。3世帯を含む反対派は「必要のないダムのために農地は渡さない」と反発を強めている。
県は8月、ダム建設に伴う付け替え道路と既存の県道を結ぶ迂回(うかい)道路の整備用地として4世帯の農地(約5500平方メートル)を強制収用し、所有権を国へ移転登記。
うち1世帯の畑地(約300平方メートル)は既に期限をすぎた。残る3世帯の期限が30日だった。
3世帯のうち、約900平方メートルの水田が対象となった石丸勇(66)、キム子(65)さん夫婦は「これからも耕作を続ける」と明け渡しを拒否。
登山が縁で25歳で佐々町から嫁入りしたキム子さんは「ダム事業に振り回され、夫と山登りや旅行にも行けない」とため息をつく。勇さんは農地の収用を裁決した県収用委員会に対し「強制的に奪うのは民主主義ではない。
元県議や元県職員が委員を務める収用委は公正中立を欠いている」と憤った。【梅田啓祐】
〔長崎版〕
反対派の住民「農地使用継続」 石木ダム、明け渡し期限
県によると、期限を迎えたのは、ダム建設に伴う付け替え道路と既存の県道を結ぶ迂回(うかい)路の整備に必要な用地。
県収用委員会の裁決を経て、8月24日付で4世帯分の約5400平方メートルの所有権が国に移転され、うち1世帯分は同日に明け渡し期限が設定されたが、残る3世帯分は期限がずらされていた。収用委が水田の稲刈り時期を考慮したとみられる。
県は今年度中に迂回路整備に着手する方針で、県河川課は「明け渡しの期限を迎えたので、新たな農作物の栽培などはしないようお願いし、土地の状況を見ながら対応を検討したい」としている。
一方、土地の明け渡しの対象となった川原義人さん(75)は、今月上旬に水田の稲刈りを済ませ、現在は高菜を栽培している。
今後も農地を使い続ける考えといい、「期限が来ても何も変わらない。話し合いもせずに勝手に収用を決めたので、こちらも勝手にやるだけだ」と話した。
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