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報道

川辺川ダム議論再燃も 熊本県、球磨川治水で検証対象

2020年7月9日
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今回の球磨川の氾濫で、川辺川ダム是非の議論が再燃することになりそうです。その記事を掲載します。

国土交通省はこの際にと、川辺川ダム計画の再登場を目論んでいると思います。

今回の氾濫は、国の方針としては中止になったものの、まだ生き残っている川辺川ダム計画の存在が根底にあります。

川辺川ダム計画の存在が根底にあるから、現実的な治水対策である全面的な河床掘削の手段が選択されず、氾濫しやすい状態が放置されてきました。

 

川辺川ダム計画は民主党政権下の2009年に中止になったものの、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画は、ダムの代替案がないということで、いまだに策定されていません。

球磨川の重要な治水対策は河床を掘削して河道の流下能力を大幅に増やすことなのですが、2007年に策定された球磨川水系河川整備基本方針では河床を掘削すると、軟岩が露出するという理由をつけて、人吉地点の計画高水流量(河道の流下能力の設定値)が4000㎥/秒に据え置かれました。軟岩の露出については対応策があるにもかかわらず、当時は川辺川ダム建設の理由をつくるため、そのように恣意的な計画高水流量の設定が行われました。

河川整備計画は河川整備基本方針の範囲でつくられますので、河川整備計画では河道目標流量を4000㎥/秒以上にすることができません。

河道目標流量を4000㎥/秒に据え置くと、まとな河川整備計画をつくることができず、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画は策定されないまま、十数年経過してきました。

 

川辺川ダム無しの河川整備計画をつくるためには、この球磨川水系河川整備基本方針を見直して、計画高水流量4000㎥/秒を大幅に引き上げる必要があります。

河川整備基本方針は一度策定されると、改定されることはほとんどありませんが、その改定を求めないと、川辺川ダム計画が再登場してくることは必至ですので、改定を求める取り組みが必要です。

なお。今回の球磨川氾濫について国土交通省の観測データを現在、嶋津の方で検討しています。或る程度まとまりましたら、後日お送りしますが、

未曽有の豪雨により、球磨川のピーク流量は人吉地点で5000㎥/秒以上、下流の横石地点で10000㎥/秒以上の流量になったと推測されます。

また、川辺川ダム予定地上流でもかなりの雨が降り、もしダムがあったら、緊急放流を行う事態もあったのではないかと思われます。

なお、球磨川水系河川整備基本方針が策定された後の2007年11月に水源連は意見書「球磨川水系河川整備基本方針における基本高水流量と計画高水流量の問題点(主に人吉地点について)」基本高水流量と計画高水流量の問題点 球磨川を国土交通省に提出しました。

その中で上記の恣意的な計画高水流量の設定の問題を球磨川水系河川整備基本方針における計画高水流量の虚構 2007年

の通り、指摘しましたので、お読みいただければと思います。

 

川辺川ダム議論再燃も 熊本県、球磨川治水で検証対象

(熊本日日新聞2020/7/8 15:00) https://www.47news.jp/localnews/4991834.html

 

©  熊本県南豪雨災害を受け、県が今後進める球磨川の治水対策の検証対象に、当時の民主党政権が建設を中止した川辺川ダムによる治水効果を含めることが7日、関係者への取材で分かった。特定多目的ダム法に基づく計画の廃止手続きは取られておらず、検証結果次第では、ダム建設計画の議論が再燃する可能性がある。

検証では、今回の豪雨に対する市房ダムなど既存ダムの治水能力に加え、川辺川ダムの有無による影響を調査するとみられる。国や流域市町村との検証を目指しているが、救援活動を優先するため、開始時期は未定。

蒲島知事は豪雨災害を受けた5、6日の会見で「ダムによらない治水を極限まで検討したい」とする一方、「今回の災害対応を国や流域市町村と検証し、どういう治水対策をやっていくべきか、新しいダムのあり方についても考える」とも述べていた。

川辺川ダム建設計画を巡っては、蒲島郁夫知事が2008年9月に流域首長の意向などを踏まえ、「計画を白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求すべきだ」として建設反対を打ち出した。

その後、国と県、流域市町村が治水代替策を検討。19年に代替策の整備10案がまとまったものの、事業費は2800億~1兆2千億円と巨額で、工期も45~200年と長く、最終的な整備方針は決まっていなかった。(野方信助)

 

川辺川ダム建設計画 1966年、建設省(現国土交通省)が球磨川流域の洪水防止を目的に、支流の川辺川(相良村)に建設を決定。その後、用途を農業利水と発電にも広げ、総貯水量1億3300万トンの多目的ダム計画になった。住民の賛否が割れる中、2007年に利水事業の休止が確定。蒲島郁夫知事の白紙撤回に続き、前原誠司国交相が09年に建設中止を表明したが、特定多目的ダム法に基づく計画は存続している。

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