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報道

石木ダム建設絶対反対同盟の岩下和雄さんと、石木川まもり隊の松本美智恵さんのインタビュー記事

2020年11月24日
カテゴリー:

有害無益な石木ダムを中止させるために活動を続けている石木ダム建設絶対反対同盟の岩下和雄さんと、石木川まもり隊の松本美智恵さんのインタビュー記事を掲載します。

 【混迷の石木ダム】インタビュー 絶対反対同盟 岩下和雄さん 「話し合い」今が機会

(長崎新聞2020/11/20 12:15) https://this.kiji.is/702358070994617441?c=174761113988793844

(写真)岩下和雄さん

-石木ダム建設事業に反対する理由をあらためて。

ひと言で言うと、私たちの生活を犠牲にするだけの効果も利益もないから。川棚川の治水は堤防補強と河底のしゅんせつで十分対応でき、その方が安くて早い。県は当初「河川改修に30~40年かかるが、ダムはもっと早い」と説明した。初めから河川改修すれば、今ごろ完了していたはずだ。

-佐世保市の利水については。

計画当初、同市は将来的に日量17万トンの水が必要だから石木ダムの6万トン(現在は4万トン)で補うと言っていたが、今年の給水実績は多くて日量7万トン弱。もう必要なくなったということ。どうしても足りないというなら、地下ダムなどの方法もある。市の水需要予測は必要以上に多く、実際の保有水源も過小評価だ。

-県は「話さえ聞いてくれれば、理解してもらえる」と主張している。

だったら強引な方法をやめて、私たちの同意を得るべきだ。1972年の予備調査前には「地元の同意を得てから建設する」と約束した覚書も交わしたのに破られた。私たちは「必要性の話し合いならいつでも応じる」と言ってきた。応じなかったのはむしろ県側。移転を前提にした補償交渉しかしようとしなかった。

-今後、県側と「話し合い」のテーブルに着くための条件はあるのか。

現時点の工事の中断。県は「白紙撤回」が条件ととらえているようだが、そんなことは言っていない。話し合いの結果として白紙に戻ることを望んでいる。県もダム建設を望むなら、両者で対等に意見を交わし、私たちの同意を得てから工事を再開すればいい。「工事は続ける。話し合いに応じろ」は対等と言えない。

-ダム用地の地権者の8割は同意した。

最初から移転を望んでいた人もいる。絶対反対同盟から移転した人は22世帯のうち9世帯で半分に満たない。彼らも個別の事情で移転したのであり、ダムに賛成したかのように言いはやすのはおかしい。

-県は行政代執行も選択肢から除外しない構えだ

ありえない。全国的に見て、これだけの人が実際に生活を営む土地での代執行は、ダムに限らず例がない。強行すれば、これまでダムに関心がなかった人にも支援の輪が広がるだろう。だから県は工事をストップしてでも、私たちと話し合う必要がある。今が一番いいタイミングではないか。本当は強制収用前に話し合ってほしかったが。

-13世帯の結束に変わりはないのか。

何ら変わらない。むしろこれまでの強硬策で、県への不信感は大きくなった。私たちは移転しても、今のように地域に溶け込んだ生活はできない。それぞれに老後の計画や夢もあったのに、10年前に付け替え道路工事が始まってからは現場で抗議する毎日。みんなで広場に集まり、グラウンドゴルフを楽しむこともできなくなった。老後の生活がダムで犠牲になったことは悲しい。一日も早くこの問題が解決することが、一番の願いだ。

 

【混迷の石木ダム】インタビュー 石木川まもり隊・松本美智恵さん 市民生活困っていない

(長崎新聞2020/11/22 09:57) https://this.kiji.is/703048208706372705

(写真)石木川まもり隊 松本美智恵代表

-活動を始めた経緯は。

2008年に埼玉県から佐世保市へ移り住んだ。当時から、「石木ダムは市民の願い」とアピールする市の姿勢に疑問を感じていた。市民とは一体誰なのかと。ダムの勉強会に参加し、建設予定地の住民が「なぜ佐世保の犠牲にならなければならないのか」と訴える姿にショックを受けた。水事情を調べるうちに、新しいダムが必要なほど市民は生活に困っていないと分かった。多くの人と情報を共有するため、09年にホームページを立ち上げ、市民団体の代表として活動を始めた。

-佐世保市は水不足に備えるために石木ダムが必要だと主張している。

人口減少に伴い、全国各地で水の需要は減る。これは国が認める厳然たる事実。佐世保市の昨年度の一日最大給水量は約7万4千トンで、20年前と比べて3割近く減っている。市民が飲み水にも困るような状況であればともかく、私たちは普段通りの生活ができている。市は事故や災害などの備えとしてダムが必要と言っているが、「もしも」のために、現地で暮らしたい人々の居住権や生活権を奪っていいはずがない。

-石木ダムは市民生活の安心につながるのではないか。

ダム本体の事業費は285億円だが、佐世保市は関連施設の更新を含めて(概算値で)総額445億5千万円を負担する。これには、国の補助金も含まれるが、巨額の事業であることに代わりはない。水道料金は施設整備や維持管理などの費用を基に決まるので、将来的な値上げは目に見えている。ダムに多くのお金を使うことで、老朽化した水道施設の更新などに手が回らなくなる心配もある。こうしたマイナスの側面は市民に知らされていない。

-佐世保市は18年度決算時点で約127億円の事業費を使った。建設を中止すれば無駄にならないか。

過去に投じた事業費は戻らない。それでも、これから確保しなければならない莫大(ばくだい)な予算を削減できる。本来はダムの予算を別の水源対策に当てるべきで、佐世保市は雨水や再生水の活用が、(先進的な)他都市と比べて遅れている。ダム以外の方法で水を確保しようとする姿勢が見えない。

-知事や佐世保市長に何を求めるか。

まずは工事を中断し、反対する住民が求める「ゼロベース」の話し合いに応じるべきだ。どうしてもダムが必要というならば、逃げずに対話をしてほしい。

-行政代執行に対する懸念は。

行政代執行は住民の生活を破壊する行為。絶対にやるべきではないが、民主国家の日本で決断できるはずがない。むしろ恐ろしいのは、県がこのままお金と時間を浪費し続けること。反対する住民が高齢化し、力尽きるのを待ち続けるかもしれない。住民に苦しみを与え続けてダムを造り、佐世保市民には重い財政負担を強いる。それが最悪のシナリオではないか。

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