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中国の水不足解消の切り札「南水北調」、5兆7500億円投じて完成も高コストで利用されず―米メディア

2015年4月30日
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中国の「南水北調」プロジェクトについての記事を掲載します。参考のため、「南水北調」プロジェクトの地図も貼付しておきます。

水不足解消の切り札「南水北調」、5兆7500億円投じて完成も高コストで利用されず―米メディア

(Record China 4月28日(火)15時51分配信) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150428-00000043-rcdc-cn

2015年4月24日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、水の潤沢な中国南部から水不足の北部へ水を運ぶ「南水北調」プロジェクトは、多くの都市がその水を使おうとしていない状況にあると報じた。

3000億元(約5兆7500億円)を投じ、40万人以上が立ち退きを迫られたプロジェクトが、十数年の工事を経て完成した。だが、北方の都市の多くは、南から来た高コストの水を使うことに尻込みしている。
環境保護を専門としている楊勇(ヤン・ヨン)氏は、自由アジア放送の取材に対し、「水質への懸念と、南方の水を使うほどに事態が切迫していない。予算の問題で、高コストのインフラ建設を負担しきれない」という三つの原因を挙げた。その結果、インフラの整備が滞っているのだという。
山東省徳州市では、2年前から近郊のダムに南水北調の水が集められている。しかし、徳州市ではいまもその水を活用するためのインフラが整備されていない。現地の政府高官は、「徳州ではここ数年水は不足しておらず、主に黄河の水を使っている」と述べた。山東省では南水北調の水を利用するためのインフラ整備に約230億元が必要だとされているが、昨年末の時点で集まった資金は3分の1にも達していない。
楊勇氏は、「インフラ建設の補助が必要だ」と、政府の介入の必要性を訴えている。南水北調の水を利用する見込みの253都市のほとんどで、インフラ整備が完了していない。だが、楊氏は「将来的に経済成長と人口増加により、水の需要は必ず高まる。今必要でないからといって、将来も使用しないわけではない」と述べた。
南水北調プロジェクトには当初から大きな議論があったが、現在、中央ルートと東部ルートはすでに開通している。専門家たちは水の有効利用と、節水の重要性を訴えている。(翻訳・編集/岡本悠馬)
(写真)24日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、水の潤沢な中国南部から水不足の北部へ水を運ぶ「南水北調」プロジェクトは、多くの都市がその水を使おうとしていない状況にあると報じた。写真は北京の南水北調センター。

中国-南水北調プロジェクトhttp://www.sankei.com/life/photos/150114/lif1501140016-p2.html

早期の計画見直し必至 霞ケ浦導水、5年半ぶり再開

2015年4月15日
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霞ケ浦導水事業はダム検証の結果、昨年8月にゴーサインが出たことにより、今年度の予算は昨年度の4.2億円から11.9億円へと、大幅に増額されました。
しかし、那珂川水系の茨城・栃木の漁協が霞ケ浦導水事業に対して強い反対の姿勢を示しており、先行きは不透明です。
7月17日には漁協が工事の差し止めを求めた訴訟の判決が水戸地裁であります。

早期の計画見直し必至 霞ケ浦導水、5年半ぶり再開
(茨城新聞 2015年4月13日) http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14288505584490

霞ケ浦と那珂川を地下トンネルの水路で結ぶ霞ケ浦導水事業が本年度から再開される。国土交通省は地下トンネルの那珂導水路のうち未施工区間の設計を進める方針で、12日までに成立した国の本年度予算に事業費11億3900万円が盛り込まれた。
同事業は2009年秋に中断し、約5年半ぶりの再開となる。現計画は事業の完成を15年度としていることから、早期の計画見直しが必至。
中断している那珂川取水口工事については、地元漁業者らが工事の差し止めを求めた訴訟の判決が7月に予定されるなど、事業の先行きは依然として不透明なままだ。
同省関東地方整備局によると、本年度の設計は、那珂導水路のうち高浜機場(石岡市)-桜機場(水戸市)間の「石岡トンネル」の未施工区間について実施する予定。
09年10月、当時の民主党政権がダム事業を一時凍結し、同事業も継続について検証する対象とされたため、翌10年度以降は河川の水量や環境の調査が行われるだけだった。同事業の本年度予算は前年度当初と比べて約7億円増えた。
霞ケ浦導水は霞ケ浦と那珂川、利根川を総延長45・6キロの地下トンネルで結び、互いの水を行き来させて流量などを調整する事業。霞ケ浦などの水質浄化や本県と東京、埼玉、千葉の4都県への水道用水、工業用水の供給などが目的とされる。現時点の総事業費は約1900億円。
事業は1976年に調査が開始され、85年の着工から今年で30年を迎える。これまでに利根川と霞ケ浦を結ぶ利根導水路は完成したものの、那珂導水路は桜機場-那珂機場(水戸市)間の水戸トンネルなど一部が完成しただけで、進捗(しんちょく)率は約33%にとどまる。
未完成の那珂川取水口も訴訟の行方など、すぐに工事を再開できる状況にはない。今後の事業見通しについて、同整備局は「完成年度も含めて、あらためて事業計画の見直しを図っていく」と説明している。
同事業をめぐっては、本県と栃木県の漁協が那珂川流域や涸沼の生態系が破壊され、漁業権が侵害されるなどとして、建設差し止めを求める訴訟を水戸地裁に起こしており、7月に判決が言い渡される予定。
原告の一つ那珂川漁協の君島恭一組合長は本年度の事業再開について「何が何でも再開するという国のごり押しだ」と批判した。 (松下倫)

八ツ場ダムの事業認定申請 国交省、強制収用向け

2015年4月11日
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関東地方整備局・八ッ場ダム工事事務所は4月10日に八ッ場ダム建設工事の事業認定の申請を行いました。(事業認定庁は国土交通省本省)
関東地方整備局のHP  一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事の事業認定の申請
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/yanba_00000047.html
近日中に申請の内容が長野原町役場で公告縦覧されます。
 公告縦覧の期間は2週間です。
 その期間内であれば、どなたでも、意見書を提出し、公聴会の開催を求めることができます。

 

強制収用可能に「八ッ場」で申請 国交省
(東京新聞社会面2015年4月11日)
群馬県長野原町の八ッ場ダムをめぐり、国土交通省は十曰、強制収用を可能とする土地収用法に基づいた事業認定を国交相に申請したと発表した。
国交省はダム完成に向け、所在不明の地権者が多数いる共有地の取得を目指す。
事業が認定され次第、強制収用の対象となる土地ヘの立ち入り調査などを経て、群馬県収用委員会に申立てる見通し。
国交省によると、三月末までに事業に必要な土地の約93%を取得した。
連絡の取れる地権者の土地については、引き続き任意取得を進める。
国交省は一月、事業認定の申請に向けて地元住民らへの説明会を行つたが、参加者からは「唐突すぎる」などと不満の声が上がっていた。
八ッ場ダムは利根川支流の吾妻川に建設する多目的ダム。民主党政権下で一時凍結されるなどしたが、国交省は一月、本体工事に着手した。

八ッ場ダム:強制収用へ手続き 工事で国交省 /群馬
(毎日新聞群馬版 2015年04月11日)http://mainichi.jp/area/gunma/news/20150411ddlk10010229000c.html
国土交通省関東地方整備局は10日、長野原町に建設中の八ッ場ダムの工事について、土地収用法に基づく事業認定の申請をしたと発表した。
既に用地の9割以上を買収しているが、「地権者が所在不明のケースもある」として、強制収用が可能となる土地収用法の適用に向けた手続きを始めた。
1月24日には法律で義務づけられた事業説明会を長野原町で開いたが、約300人に説明会開催を通知したのに対し、出席者は約60人にとどまっていた。【角田直哉】

八ッ場ダム土地収用へ事業申請
(NHK 2015年04月10日 20時25分)http://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/1066818931.html?t=1428671270097
(動画)
本格的な工事が始まっている群馬県の八ッ場ダムについて、工事を管理する国土交通省関東地方整備局は、建設予定地のうち用地の取得が済んでいない土地の強制的な収用も可能になる手続きを行うため、「事業認定」の申請を国土交通大臣に行いました。
群馬県長野原町で、ことし1月から本格的な工事が始まっている八ッ場ダムは、ダムの建設に伴って水没するおよそ93%の土地の取得が終わっています。
しかし、残り7%の土地については、地権者の行方が分からなかったり、交渉が進まなかったりして、取得できていません。
こうした土地について、工事を管理する国土交通省関東地方整備局は強制的な収用も可能になる手続きに必要な「事業認定」の申請を国土交通大臣に行いました。
この「事業認定」は、公共性の高い事業を行うために土地を強制的に収用できるとする「土地収用法」を進めるに必要な手続きで、国土交通大臣の認定を受ければ、群馬県の収用委員会の審理などを経て、土地の明け渡しと地権者への補償金の支払いが行われるということです。
関東地方整備局は「地権者との話し合いで用地を取得することを第一に考えているが、地権者の分からない用地もあるため、事業認定の申請を行った」と話しています。
八ッ場ダムは、平成31年度中に完成する予定です。

八ツ場ダムで土地強制収用へ 国交省が事業申請
(産経新聞 2015.4.10 20:13)http://www.sankei.com/politics/news/150410/plt1504100033-n1.html   .
群馬県長野原町の八ツ場ダムをめぐり、国土交通省は10日、強制収用を可能とする土地収用法に基づいた事業認定を国交相に申請したと発表した。国交省はダム完成に向け、所在不明の地権者が多数いる共有地の取得を目指す。
事業が認定され次第、強制収用の対象となる土地への立ち入り調査などを経て、群馬県収用委員会に申し立てる見通し。
国交省によると、3月末までに事業に必要な土地の約93%を取得した。連絡の取れる地権者の土地については、引き続き任意取得を進める。
国交省は1月、事業認定の申請に向けて地元住民らへの説明会を行った。
八ツ場ダムは利根川支流の吾妻川に建設する多目的ダム。民主党政権下で一時凍結されるなどしたが、国交省は1月、本体工事に着手した。総事業費は約4600億円で2019年度に事業完了の予定。

パタゴニア、石木ダム反対運動を支援 (長崎県)「パタゴニア」支社長と地権者会見

2015年4月8日
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4月6日に「パタゴニア」辻井隆行日本支社長は地権者の岩下和雄さん、石丸勇さん、板井優弁護士とともに、日本外国特派員協会で石木ダム反対運動支援の記者会見を行いました。その記事を掲載します。
この記者会見の様子はまさのあつこさんがY!ニュースに詳しく報告されています。http://bylines.news.yahoo.co.jp/masanoatsuko/20150407-00044603/
この記者会見では石木ダム問題に関して英文と和文の資料が配布されました。、
英文 Ishiki Dam_Fact Sheet    和文 石木ダム_ファクトシート
石木ダム 周知目指す  「パタゴニア」支社長と地権者会見

(長崎新聞2015年04月06日)

石木ダム建設事業の反対派支援を表明した米国のアウトドア衣料品ブランド「パタゴニア」の辻井隆行日本支社長と、地元の反対地権者代表が6日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で記者会見し、ダム建設反対を訴えた。
同事業は県と佐世保市が東彼川棚町に計画。同社は今月、人権問題や環境保全を理由に支援を決めたと発表した。
辻井氏は外国人記者らに、事業の概要や反対運動の経緯を説明。「関心が薄く、事業が知られていない」と述べ、問題点の全国的周知などを目指す考えを示した。
反対地権者の石丸勇さんは「半世紀近く翻弄(ほんろう)され続けた。日本のダム行政は問題がある」と強調。岩下和雄さんは「不必要なダムから古里を守る」と語った。
同社は国内の他のダム建設反対運動にも協力しているが、石木ダムに今後、特に力を入れる方針。辻井氏は取材に「切迫した状態にある。まだ事業を止められる可能性がある」と説明した。(山口恭祐)
(写真)記者会見で石木ダム事業反対を訴える。左から石丸、岩下、辻井の各氏。=日本外国特派員協会

パタゴニア、石木ダム反対運動を支援 [長崎県]

(西日本新聞2015年04月06日)http://www.nishinippon.co.jp/nnp/nagasaki/article/161023
アウトドア衣料品販売の米パタゴニア日本支社は6日、長崎県川棚町で計画されている石木ダム建設に関して、建設予定地の住民などによる反対運動を支援すると発表した。
東京の日本外国特派員協会で記者会見した辻井隆行支社長は「環境と(住民の)人権を守るという二つの柱が、企業理念と合致した。
地元の水需要は伸びておらず、冷静な議論で計画見直しを」と呼び掛けた。全国や海外への情報発信などで協力する。
会見に出席した住民の石丸勇さん(65)は「不要なダムに故郷を奪われる理由はない。多くの人に知ってほしい」と話した。

石木ダム建設:アウトドア衣料「パタゴニア」日本支社、「反対」を支援 「冷静な議論の下、見直しを」 /長崎

(毎日新聞長崎版 2015年04月02日)http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20150402ddlk42010378000c.html
県と佐世保市が川棚町に計画している石木ダム建設事業を巡り、米国カリフォルニア州に本社を置くアウトドア衣料メーカー「パタゴニア」日本支社(神奈川県鎌倉市)が1日、建設に反対する地権者や市民団体の活動支援を決定したと発表した。
同社はこれまで水没予定地の地権者の意見や主張を県や市に伝えるため、抗議活動や建設反対の署名活動に協力してきた。
辻井隆行支社長は「日本に2800基ほどもあるダムについてその利益と弊害が客観的に評価されているとは言えない。
さまざまな弊害をうむ『古い技術』である複数のダム建設が計画されている」と指摘。「建設阻止活動の支援を通じて冷静な議論のもとで計画が見直され、日本における他のダム建設を含む多くの公共工事が再評価されるきっかけになることを願っている」とのコメントを発表した。
【梅田啓祐】

パタゴニアが石木ダム反対運動を全面支援決定
(NetIB NEWS長崎 2015年4月8日16:34) http://www.data-max.co.jp/politics_and_society/2015/04/35095/0408_ymh_1/
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米アウトドア用衣料製造販売のパタゴニア日本支社(所在地:神奈川県鎌倉市、支社長:辻井隆行)が、長崎県東彼杵郡川棚町で計画されている石木ダムの反対運動を全面的に支援することを決定したことが波紋を呼んでいる。
パタゴニアはこれまでも、同社直営の福岡ストアを通じて石木ダム反対の活動をサポートしてきた。
今回の決定は、新聞報道やネットを通じて広がり、パタゴニア製品を愛用する自然愛好者らは、同社の環境保護や社会責任活動に積極的な姿勢として好意的に受け止めている。
石木ダム計画は約50年前に始まり、反対する地元住民は「権力と圧力とのたたかい」を長年強いられてきた。
住民の1人は「私たちは、必要もないダムのために、生活と美しい自然を壊されたくないと思っているだけです。私たちの気持ちをわかっていらっしゃる企業があることだけで力になります」と語る。
パタゴニア日本支社は、4月1日付で支援決定のプレスリリースを発表し、「美しい川棚町の自然と住民の皆様の人権を脅かすダム建設の阻止に向け、日本支社を挙げ、さらなる支援に取り組んでまいります」と述べた。
同6日には、辻井支社長が東京の日本海外特派員協会で記者会見した。
会見には、建設予定地住民や同ダム対策弁護団副団長が同席。地元住民は「日本の美しい原風景が残っている」「この田んぼを守り続けなければいけません」と述べ、「不要なダムのために故郷が水の底に沈められることが許せない」と訴えた。
今回の全面的支援決定の背景には、長崎県が反対地権者の土地収用に動き、建設反対運動を支援する緊急性が高まったことがある。
パタゴニアは、「ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」と掲げており、映画「ダムネーション」を制作提供し、米国におけるダムのあり方を問う活動もしてきた。
ダム問題をめぐって、日本では、2001年の田中康夫長野県知事の脱ダム宣言で注目されたが、米国では当時からダムの撤去が大きな流れになっていた。
「日本ではダム撤去は1つしかないが、米国ではダム撤去は普通に語られる」(同支社広報担当)ように、ダム行政をめぐる日本の後進性は際立つ。日本のダム行政は「ダムを造るのが目的」で、一度決めた計画は実質的な見直しがされないまま推進されると言っても言い過ぎではない。
辻井支社長はプレスリリースで「日本においては、2,800基ほどもあるダムについて、その利益と弊害が客観的に評価されているとは言えません」と指摘した。
また、「その客観的必然性が低く、豊かな自然だけでなく、そこに住む13世帯60名の人権までをも踏みにじることになる石木ダムの建設に、数百億円もの大切な税金が投じられようとしています」と述べ、「この石木ダム建設阻止活動の支援を通じて、冷静な議論のもとで計画が見直され、日本における他のダム建設を含む多くの公共工事が再評価されるきっかけになることを願っています」としている。
すでに現地に何度も足を運んでおり、今後も現地でのサポートの必要性に合わせて随時現地を訪れることも計画している。
石木ダムは、約50年前に計画され、地元地権者が反対運動を続けてきた。長崎県と佐世保市は、水道用水供給や洪水被害の軽減を目的にしているが、地権者らは「ダム建設に必要性がまったくなく、居住者の生活や自然環境に重大な影響を与える」などと主張している。
【山本 弘之】

アワビ漁不振「ダム放流との因果関係ただちに認められない」漁協の訴え棄却 和歌山地裁

2015年3月31日
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海の漁協が和歌山県を訴えた椿山ダム裁判の一審判決は請求の棄却でした。

椿山ダムの放流による濁流で、海藻などが枯死する「磯焼け」が発生し、アワビ漁などが被害を受けたことを専門家が証言しましたが、残念ながら、認められませんでした。
「磯焼けとダムの濁水との因果関係をただちに認めることはできない」という常とう文句で、切り捨てるのですから、司法の壁はとてつもなく厚いです。 

三尾漁協の磯焼け訴訟 地裁が原告の請求棄却
(日高新報2015年4月 1日) http://www.hidakashimpo.co.jp/news/2015/04/post-3409.html
(写真)判決を受け記者会見する村尾組合長㊧と由良弁護士
アワビなどの漁獲量が激減したのは、日高川上流の県営椿山ダムから排出され、河口から海に流出、堆積した濁質が原因として、美浜町の三尾漁協(村尾敏一組合長)と組合員58人が県を相手に損害賠償等を求めた訴訟の判決が30日、和歌山地裁であった。橋本眞一裁判長は「ダムの設置と三尾の(海藻が枯れる)磯焼けとの因果関係は認められない」とし、漁協側の訴えを全面的に退けた。村尾組合長は「不当な判決で承服しかねる」と話し、控訴するか組合員と相談するという。
三尾地先のアワビなど貝類の水揚げは、椿山ダムが竣工した翌年の平成元年をピークに年々減少。漁協は知事との間で交わした覚書と付帯事項(土木部長名)に基づく有効な対策が講じられていないとし、16年に県に対して濁水対策と漁業の損害賠償を求め、公害紛争処理法に基づく調停を申請。22年には調停案が示されたが、双方の主張に隔たりが大きく、23年1月の第15回調停で打ち切りとなった。
漁協は4年前の23年2月10日、組合員58人とともに県を相手取り、ダム貯水池に堆積している濁質の薄層浚渫による撤去などを請求、さらに採貝漁業被害と慰謝料など計約5億7000万円の損害賠償を求める訴えを起こした。
今回の判決で、橋本裁判長は漁協側が請求したダム貯水池の堆積微細濁質の撤去に対し、「ダムへの濁質の流入、出水が繰り返されるなか、微細濁質も絶えず流動しているため、取り除く対象が特定できない」として請求を却下。三尾の磯に堆積している微細濁質の撤去についても同じく、「海水の流れ等で常に流動しているため撤去する対象が特定できない」とし、訴えを退けた。
磯焼け問題に詳しい荒川久幸東京海洋大教授が指摘した濁質が海藻の生育に与える影響については、「その内容は不合理ではないが、磯焼けの経過、高水温、野島沿岸との差異からすれば、三尾の磯焼けがダムの懸濁粒子・基質堆積粒子によるものとはただちに認めることはできない」と結論。損害賠償等の請求も棄却した。
閉廷後、村尾組合長(81)は「意外な不当判決を受けてびっくり仰天している。これまで10年ほどいろんな資料を基に(磯焼けとダムの因果関係を)立証してきたが、判決はとても承服しかねる」と述べ、控訴するかどうかについては「判決文を持ち帰り、他の組合員や弁護士とも相談して決めたい」とした。
原告側の由良登信弁護士は「こちらの主張を認定している点はたくさん散見されるが、『それだけでは認めることはできない』ということがいくつも出てくる。では、それがいくつあればいいのかという答えも出ていないし、荒川教授の証言も不合理ではないといいながら、結局は同じような言い方で逃げている。裁判官として、県が相手で、ダム行政に影響を与えるということもあるかもしれないが、そこは司法として責任を持ち、勇気を持って判断を下してほしかった。このような逃げの判断をいつまでも下していては、司法はだめになる」などと述べた。
県河川課の尾松智課長 県の主張が認められ、妥当な判決であると考えている。県としては今後も県民の安全と安心を確保するため、椿山ダムの適切な管理に努めたい。

 

アワビ漁不振「ダム放流との因果関係ただちに認められない」漁協の訴え棄却 和歌山地裁

産経新聞 2015年3月31日 8時42分) http://www.sankei.com/west/news/150331/wst1503310012-n1.html
判決をうけて会見し「不当だ」と訴える村尾組合長=和歌山市 和歌山県が管理する日高川上流の椿山ダム(同県日高川町)の放流による濁流で、海藻などが枯死する「磯焼け」が発生し、アワビ漁などが被害を受けたとして、三尾漁協(同県美浜町)が県に約5億7千万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が30日、和歌山地裁であり、橋本眞一裁判長は請求を棄却した。

 主な争点は、磯焼けの原因がダムの放流によるかどうかだったが、橋本裁判長は、降水量の増加によって濁水が発生した可能性なども否定できないとし、「磯焼けとダムの濁水との因果関係をただちに認めることはできない」などと結論づけた。

 原告側は裁判で、河川や海域の環境調査業務を行う「流体環境研究所」の本田健二氏や、磯焼けについて研究している荒川久幸・東京海洋大教授らを証人に、科学的データを提示。

本田氏は、三尾沿岸には海水を濁らせる粒子が多く、その粒子を構成する鉱物の種類と比率がダム湖底の泥粒子と同じと指摘。荒川教授は、海水の濁りによって磯焼けが発生することなどを主張した。

 判決などによると、椿山ダムは昭和63年に日高川町の初湯川に完成。漁協側は、ダムから放出される濁水により下流の漁場で磯焼けが発生し、漁獲高が激減したと主張。平成9年に県に濁水対策を要請し、覚書を交わした。

しかし、県が有効な対策を取らなかったため、16年に公害紛争調停を申請。18年には漁協側が国の公害等調整委員会に原因裁定(原因の究明)を申請したが、22年6月に放流と磯焼けの因果関係が認められないとして、申請が棄却された。同漁協は23年2月に、損害賠償などを求め県を提訴していた。

 判決をうけて、原告代表の村尾敏一組合長は「不当な判決で承服しかねる。

海で生活している我々の体験と専門家の意見を織り交ぜてわかりやすく説明してきたが通じなかった」と話し、「覚書を交わして20年近く経過し、その間生産性が落ち込んで生活が苦しいなかで今日まできた」と憤りを見せた。

原告は控訴について「判決を持ち帰って、組合で話し合って決めたい」としている。

 県は「県の主張が認められ妥当な判決であると考える」とコメントした。

 

椿山ダム:「磯焼け」賠償を棄却 因果関係認めず 地裁 /和歌山

(毎日新聞和歌山版 2015年03月31日)http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20150331ddlk30040517000c.html

  日高川上流にある県管理の椿山ダムから流出する泥で貝の餌となる藻が枯れる「磯焼け」が起きているとして、美浜町の三尾漁協(村尾敏一組合長)と組合員ら58人が県を相手取り、

漁業被害に対する約5億7100万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が30日、和歌山地裁であった。橋本真一裁判長は「ダムの設置により、磯焼けが生じたことについて因果関係は認められない」として損害賠償請求を棄却、その他の請求については訴えを却下した。

 原告側は、椿山ダムが建設された1988年以降、磯焼けによりアワビなどの貝類の水揚げ量が落ち込んだとして、県に対して、椿山ダムの貯水池に堆積(たいせき)している粘土などの撤去▽濁水対策をとるまでの水揚げ減少に伴う損害賠償?などを求めていた。

 判決後、村尾組合長は「不当な判決で承服しかねる。今後については控訴も含めて組合員らと協議していきたい」と話し、県の尾松智河川課長は「主張が認められ妥当な判決だ」などとするコメントを出した。【倉沢仁志】

椿山ダムの濁水訴訟 原告側全面敗訴

(和歌山放送 2015年03月30日 18時54分)http://wbs.co.jp/news/2015/03/30/58378.html
日高川上流の椿山ダムから流れ込む濁水が、河口の美浜町三尾の磯にたい積し、アワビやナガレコのエサとなる海藻が枯れて漁が出来なくなったとして、
地元の漁協が和歌山県を相手取って損害賠償などを求めていた裁判で、和歌山地方裁判所の橋本眞一(はしもと・しんいち)裁判長はきょう(30日)、原告側の請求を全面的に退けました。
裁判後、会見を行う原告と弁護団(3月30日

(写真)裁判後、会見を行う原告と弁護団(3月30日 和歌山弁護士会館にて)

この裁判は、和歌山県が管理する椿山ダムからの濁水が原因で、1990年(平成2年)頃から三尾地区の磯に茂っていたアラメやカジメなどの海藻が枯れ果てる「磯焼け」現象が起きたために海藻をエサにするアワビやナガレコが餓死し、水揚げ量が20年前のおよそ30分の1にまで減少したとして、美浜町の三尾漁協に所属する漁師ら58人が損害賠償や精神的苦痛などの保障費などあわせておよそ5億7千万円余りを和歌山県に対して支払うよう求めていたものです。
きょうの判決で橋本裁判長は「ダムが竣工した1988年(昭和63年)3月以前からアラメやカジメの藻場に関する衰退傾向は徐々に始まっており、
三尾沿岸の磯焼けが主にダムの濁水によるものであるとは考え難く、磯焼けとダムの濁水との因果関係は認められない」として原告側の請求を全面的に退けました。
裁判終了後、三尾漁協の村尾敏一(むらお・としかず)組合長は会見で「意外な不当判決でびっくりしている。不当で承服しかねる」と述べました。
また、村尾組合長は控訴するかどうかについて「組合で話し合って結論を出したい」と述べました。
一方、被告の和歌山県は、尾松智(おまつ・さとし)河川課長が「和歌山県の主張が認められ、妥当な判決と考えています。県としては、今後とも、県民の安全と安心を確保するために、椿山ダムの適切な管理に努めてまいります」とコメントしています。

漁業者の訴え退ける判決

(動画)
ダムから海に流れた濁った水の影響でアワビやサザエなどの漁獲量が減ったとして、美浜町の漁業者が和歌山県に損害賠償などを求めた裁判で、和歌山地方裁判所は、「漁獲量の減少が濁った水によるものとはただちに認めることはできない」として、訴えを退ける判決を言い渡しました。
この裁判は、日高川の上流にある椿山ダムから流れ出した濁った水の影響で下流の美浜町周辺の海で海藻が枯れ、アワビやサザエなどの漁獲量が減ったとして、地元の漁協と組合員など58人が和歌山県に5億7000万円あまりの損害賠償などを求めていたものです。
和歌山地方裁判所の橋本眞一裁判長は、「漁獲量の減少が濁った水によるものとただちに認めることはできない」などとして、原告側の訴えを退ける判決を言い渡しました。
判決について、原告側の由良登信弁護士は、「原因がダムの建設であることは明白であり、不当な判決だ」と述べ、控訴を検討する考えを示しました。
和歌山県は、「主張が認められ、妥当な判決だと考えている。今後もダムの適切な管理に努めていく」というコメントを出しました。

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