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「真備の被害は人災」 西日本豪雨の被災者ら40人が決起集会 4月15日提訴

2020年4月5日
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2018年7月の西日本豪雨で岡山県高梁川水系の小田川が氾濫し、倉敷市真備町の約50名の方が亡くなりました。
この水害について真備町の住民が4月15日に国などを相手に損害賠償を求めて岡山地裁に提訴します。その記事とニュースを掲載します。
西日本豪雨では愛媛県・肱川の野村ダムと鹿野川ダムの緊急放流により、ダム下流で凄まじい氾濫となり、8人が死亡しました。
この肱川の水害について被災者が今年1月31日に国などを相手に損害賠償を求め、松山地裁に提訴しています。


豪雨、国などに6.6億円請求へ 真備住民30人超、15日に提訴

(山陽新聞2020年04月04日 19時04分)https://www.sanyonews.jp/article/1000687/
(写真)弁護団が訴えの内容などを説明した住民集会

2018年7月の西日本豪雨で小田川と支流が決壊し、甚大な浸水被害を受けたのは河川やダムの管理が不十分だったためとして、倉敷市真備町地区の住民が国などを相手に損害賠償を求めて岡山地裁に提訴予定の集団訴訟は、原告として参加する住民が少なくとも16世帯32人、請求額は総額約6億6千万円に上ることが、4日分かった。15日に提訴する。

「真備水害訴訟弁護団」がこの日開いた住民集会で明らかにした。他に相当数の住民が訴訟への参加を検討しており、豪雨後2年となる7月に2次提訴を予定している。

住民ら約20人が参加した集会で、弁護団長の金馬健二弁護士(岡山弁護士会)らが「豪雨被害は自治体などが十分な備えをしていれば防げた『人災』だ」と強調。約50年前から計画されていた小田川付け替え工事の遅れ▽豪雨時に新成羽川ダムの事前放流を行わなかった過失▽住民への避難指示の遅延―などを巡り、国、岡山県、倉敷市、中国電力(広島市)の責任を追及していくと述べた。

豪雨で自宅が全壊し、訴訟に参加する男性(68)は「同様の災害が起こらないようにするため、訴訟を通じて警鐘を鳴らしたい」と話した。


「真備の被害は人災」 西日本豪雨の被災者ら40人が決起集会 15日提訴

(毎日新聞 2020/04/05 11:13) https://mainichi.jp/articles/20200405/k00/00m/040/031000c

(写真) 真備水害訴訟の決起集会であいさつする弁護団長の金馬健二弁護士(壇上左)=岡山県倉敷市真備町箭田の真備公民館で2020年4月4日午後1時32分、戸田紗友莉撮影

2018年7月の西日本豪雨災害を巡って国や岡山県、倉敷市、中国電力の責任を問い、損害賠償を請求する真備水害訴訟が15日に岡山地裁に提訴される。弁護団と被災者ら40人が4日、提訴に向けた決起集会を、甚大な浸水被害が発生した同市真備町地区で開いた。
集会では弁護団による訴訟の説明などがあった。第1次提訴には16世帯32人が参加し、損害賠償の請求額は総額約6億6000万円になる見通し。豪雨から2年の7月には第2次提訴を予定している。
裁判では、ダムの事前放流や陸こうの封鎖、河道掘削など適切な河川管理が行われず、避難誘導が適切に実行されなかったことなどから水害が発生し、被害が拡大したと主張する。
この日は磯部作・元日本福祉大学教授(地理学)による講演もあり、水害前後の新成羽川ダムの放流に関する自身の研究について説明した。
集会に参加した30代の男性は、自宅の1階が浸水して4カ月間の避難生活を余儀なくされたという。「できることをせずに水害が起きたのなら納得がいかない。天気のことだからしょうがないで済ませていたらまた同じことが起きる」と訴えた。
金馬健二弁護団長は「真備の被害は手当てしていれば防げた可能性が高く、人災と言わざるをえない。この訴訟で二度と水害を起こさないよう追及していきたい」と話した。【戸田紗友莉】


豪雨被害は「人災」 真備住民が国など提訴へ

(朝日新聞岡山版2020年4月5日 9時30分) https://digital.asahi.com/articles/ASN4475V5N44PPZB008.html

(写真)集会であいさつする金馬健二弁護団長(左)=2020年4月4日午後1時34分、倉敷市真備町箭田、華野優気撮影

西日本豪雨から1年9カ月。大規模浸水した倉敷市真備町地区の住民が、住宅被害などの損害賠償を求めて岡山地裁に提訴することになった。4日に真備町であった決起集会では、被害は「人災」だとして国や県、市、中国電力の責任を問う方針を確認。弁護団長の金馬健二弁護士に訴訟の意義を聞いた。
真備町地区では約1200ヘクタールが浸水し、約4600棟が全壊しました。高梁川上流にある新成羽川ダムで十分な量の事前放流がされず、高梁川と小田川の合流地点の付け替え工事も先延ばしになっていた。手当てがなされていれば、被害は相当防げたのではないか。
なぜ水害が起きたか。研究者らの検証がされても、対策に生かされなければ、また同様の災害が起こる可能性があります。責任の所在を突き詰めていかなければいけません。
災害の経験を教訓として生かしていくことが、この訴訟の意義だと思います。
西日本豪雨以降も、各地で様々な災害が起きた。真備地区での教訓を元に、各地で避難態勢を組んだり、問題点を改善したりする必要が出てきている。この訴訟を通じ、今後も起こる災害の被害を未然に食い止めることにつなげたい。同時に、被災者の損害を少しでも回復させたい。
真備町地区では51人もの死者(災害関連死を除く)が出た。命からがらボートやヘリで救助された人もいる。なのに、「異常気象で予測できなかった」でこの災害を終わらせてはならない。
7月をめどに追加提訴を考えています。被災者のみなさんは、それほど経済的余裕があるわけでないと分かっていますが、一人でも多くの参加を求めたい。(華野優気)


西日本豪雨は「人災」か 国などを訴える被災者の主張 岡山・倉敷市

(KSB瀬戸内海放送2020/4/7(火) 18:50配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200407-00010009-ksbv-l33&p=1
(映像あり)

2018年の西日本豪雨で大きな被害を受けた倉敷市真備町の住民が15日、国などに損害賠償を求める裁判を起こします。

訴状案が固まり、提訴前の4日、最後の弁護団の集会が開かれました。大きな主張の一つは約50年前から訴えがあった河川の工事の遅延です。

(真備水害訴訟弁護団/金馬健二 団長)
「今回の水害が自然災害として 不可抗力のものではなく国や県、市、あるいはダム管理会社が瞬時に対応していば避けられた、いわゆる人災であるという思いを持つに至りました」

集会の様子
4日、「真備水害訴訟弁護団」が最後の集会を開き訴状の内容を確認しました。原告は真備町の被災者32人です。2018年の西日本豪雨で、倉敷市の真備地区では高梁川の支流の小田川などが氾濫したり堤防が決壊したりしました。

地区の4分の1にあたる約1200ヘクタールが浸水し4646棟が全壊、51人が亡くなりました。原告は行政などの対応の不備が被害の拡大につながったとして国、岡山県、倉敷市、ダムを管理する中国電力に対し6億6000万円の損害賠償を求めて15日、岡山地裁に提訴します。

国土地理院の空中写真より作成

この裁判ではダムの事前放流量が十分でなかったことや、倉敷市の避難態勢の不備など各被告の責任を追及します。そのうち大きな主張の一つが小田川の付け替え工事の遅延です。

国は川の氾濫の危険性を認識し、高梁川と小田川の合流点を付け替える計画を1971年に発表していました。しかし、構想から約50年間、工事は行われませんでした。

原告は付け替え工事が完了していれば、合流点の水位は約5メートル下がり、浸水被害は起きなかった可能性が高かったとして工事の実施を長年放置した国の責任を追及します。

生い茂った草など
また…

(真備水害訴訟弁護団/賀川進太郎 事務局長)
「樹林の伐採もされていないということが大きな原因の一つであろう、これも国の責任ということになります」

小田川の中に生い茂っていた大量の木や草が川を流れにくくしたことで、水位の急激な上昇を招いたとしています。

浸水2階から1メートル80センチまで


渡辺清裕さん(70)はこの樹林化の放置に疑問を持ち、原告に参加しました。渡辺さんの自宅は真備町箭田、小田川の近くです。

(渡辺清裕さん)
「あそこの線、あれが水浸かった場所ですね」

2階から1メートル80センチまで浸水し、自宅が全壊しました。

(渡辺清裕さん)
「ここは久しぶり歩くの、いつも散歩してた」

渡辺さんは小田川に生い茂る草木を見て、不安に思っていました。

渡辺清裕さん
(渡辺清裕さん)
「こんな木がずーっと、流れない。もう何回もしとんすよ、地元の人が昔からね。伐採してくれと。自分のためばっかりじゃない。長い長い裁判になるかもしれない、黙ってたらよくならない」

豪雨から1年9カ月。復興は進んでも被災者の戦いはまだ続いています。

参議院 災害対策特別委員会の議事録(耐越水堤防と河床掘削)

2020年4月4日
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今年2月16日に「台風19号千曲川災害検証シンポジウム」が長野市で開かれました。嶋津も3人のパネリストの一人として報告しました。http://suigenren.jp/news/2020/02/17/12789/
昨年10月の台風19号豪雨では千曲川の穂保(ほやす)地点で堤防が決壊し、凄まじい氾濫になりました。家々が濁流にのまれ、2階近くまで水に漬かった住宅も出ました。
嶋津はこのシンポでは特に次の2点を強調しました。
① 決壊地点で計画されている復旧堤防は耐越水堤防になっておらず、越水によって再び破堤する危険性がある。川裏のり面の全面を連接ブロック等で覆う必要があるのに、のり肩のところだけの保護工になっている。本当の耐越水堤防工法を導入する必要がある。
② 台風19号豪雨による洪水位の異常上昇は降雨量が大きかったことだけではなく、河床の掘削がきちんと行われず、河床が上昇してきたことの影響が少なからずある。低水路だけでなく、高水敷も含めて河床の掘削を定期的に実施して必要な河道断面を確保する必要がある。
総務省が県等管理河川について「緊急浚渫推進事業費」創設し、2020年度から河川等の河床掘削費を支援することになっているのだからhttp://suigenren.jp/news/2019/12/22/12697/、国管理河川についても国土交通省が河床掘削を積極的に進めるべきである。

このシンポジウムに出席された武田良介参議院議員が①、②の話を踏まえてのことだと思いますが、3月19日の参議院災害対策特別委員会で耐越水堤防と河床掘削について質問しました。
その議事録が参議院HPに掲載されましたので、参考までにお知らせします。
少し長いですが、お読みいただければと思います。
しんぶん赤旗の記事も掲載します。

千曲川堤防強化して 武田氏「住民の切実な願い」

(しんぶん赤旗2020年3月26日)lhttp://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2020-03-26/2020032604_06_1.html

日本共産党の武田良介議員は19日の参院災害対策特別委員会で、昨年の台風19号によって決壊した千曲川の堤防強化策について取り上げ、「粘り強い堤防は切実な願いだ」と強調しました。
武田氏は千曲川決壊で被災した人たちからは「越水してもすぐに決壊しない堤防にしてほしい」との要望が出されていることをあげ、どのような対策を検討しているのかただしました。国土交通省の五道仁実水管理・国土保全局長は「堤防の浸食を抑えるような強化を行っていく」と答えました。
武田氏は、検討している堤防強化策には、越水しても堤防が決壊しないよう被覆型の強化工法であるアーマー・レビー工法も含まれるのかとただすと、五道局長は「検討の対象だ」と答えました。
武田氏は、総務省が緊急浚渫(しゅんせつ)事業を来年度予算案に盛り込む理由として、堆積土砂の撤去や樹木の伐採が十分にできていないために越水などの災害が起こっているとの認識をしめしているとして「同じ認識か」とただしました。
武田良太防災担当相は「水害から命を守るためには、河川の流下能力を維持することが大切だ」と答弁。国交省からも明確な回答はありませんでした。武田議員は「直接の答弁がなかったことは残念。不十分なところはあったと反省すべきだ」と強調しました。

(写真)質問する武田良介議員=19日、参院災害特委

 

第201回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 https://online.sangiin.go.jp/kaigirok/daily/select0201/main.html
令和二年三月十九日(木曜日)

内閣府特命担当大臣(防災)武田 良太
国土交通大臣政務官 佐々木 紀
国土交通省水管理・国土保全局長 五道 仁実
総務省大臣官房審議官 谷 史郎

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
昨年の一連の台風災害が発生をいたしまして、私の地元であります長野県でも大変な被害が発生をいたしました。最近は気候変動の影響もあって災害が頻発化、激甚化しているということも指摘をされているところであります。私も、地元の長野でお話伺っていても、多くの被災者の方が、来年もやっぱり豪雨になるんじゃないかと、また災害が起こるんじゃないかと、そういうことをやっぱりおっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。
こういう被災者の不安にどのようにお応えになるのか、まず大臣に見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(武田良太君) 御指摘のとおり、これまで数十年に一度とされてきた大規模な災害が頻発しています。今後も、気候変動等の影響により、強い台風や豪雨の増加等、自然災害の更なる頻発化、激甚化が懸念される中、国民の命を守る防災・減災対策の推進は我が国にとって重要かつ喫緊の課題であります。
令和元年房総半島台風、台風十五号や東日本台風、十九号を始めとした一連の災害については、政府として検証チームを立ち上げ、年度末目途の取りまとめに向け、現在議論を進めているところであります。この検証結果を踏まえ、今後の防災・減災対策に確実に生かしてまいりたいと思っております。
今後とも、発生した災害から得られた教訓を踏まえ、防災・減災対策を不断に見直し、万全の危機管理体制の確保に努めてまいります。
○武田良介君 千曲川については、今後、信濃川水系の治水対策プロジェクトということで進んでいくことになっていくかというふうに思います。
その被災された方たちの声を聞くと、堤防を強化してほしいという声は共通して聞かれてきますけれども、大臣に重ねてお伺いをしたいと思いますが、堤防を強化してほしいという願いが非常に多い、その理由をどのようにお考えになるでしょうか。
○国務大臣(武田良太君) やはり、水被害の恐ろしさというものをもう肌で感じておられるということが一番の動機なんでしょうけれども、委員の地元である長野県も含めまして、この十九号、十五号の被災地を私も回り、本当に多くの方々から切実なる意見を賜ってまいりました。
この災害被害というものを踏まえて、堤防強化、河道掘削などの水害対策を中心に、令和元年度補正予算では一兆円を超える国土強靱化関係予算を確保しておりまして、少しでもそうした方々が安心感を持っていただけるように我々も努力を重ねてまいりたいと、このように考えております。
○武田良介君 長野市が復興計画策定のための意向調査というものを行っておりまして、その速報というのが出ておりましたので私も見てまいりました。それ見ると、住民の皆さんの思いというのが見えてくるなというふうに思うんです。
例えば、被災した住宅の再建に向けて重視することという問いに対して、治水対策など防災面での安心感と回答された方が七九・二%。例えば、生活再建、括弧して、被災前の落ち着いた生活のために重視すること、これも、治水対策などの防災面での安心感、これが八〇・八%。防災・減災の強化、災害に強い町づくりに向け必要だと思うこと、これもやはり、河川整備や地すべり防止などの治水治山対策、これが八九・九%。住まいの再建に向けて課題と思うこと、これは、堤防強化など治水対策の進み具合、これが八二・三%。
いずれも、やはりこの治水対策などを中心に、町づくり、住まいの再建に向けてはそこが最大の課題だと。ほかの項目に比べても、群を抜いて、みんなこれ一番になっております。たとえ越水してでも、すぐに決壊しない堤防にしてほしいということは被災住民の皆さんの多くの願いだというふうに思っております。
国土交通省は、今回決壊した国管理河川、それぞれの河川の堤防調査委員会というのを開いて、それぞれ三回ずつほどですよね、やってきております。それをまとめるような形で、今技術検討会というのを開いているというふうに承知をしております。
今日、資料の一にも付けましたけれども、二月十四日に開催された第一回の技術検討会、当日、資料三の二というのが配られておりまして、論点と検討の方向性というものですけれども、これは例えば、既存の土堤への強化や用地の状況を前提とし、まず危機管理型ハード対策の改良版として被覆型を中心とした河川堤防の強化工法について検討するというふうにされております。
確認をしたいと思うんですが、危機管理型ハード対策の改良版として被覆型を中心とした河川堤防の強化工法、これは具体的にはどういったことなのか、御説明いただけますか。
○政府参考人(五道仁実君) お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、令和元年東日本台風では、堤防が決壊したと、多数の堤防が決壊したと。その八割が越水によることが原因であったということを踏まえますと、越水に対して少しでも決壊までの時間を引き延ばすような堤防の強化を行っていくということは非常に重要だというふうに思っております。
この被覆型という言い方でございますけれども、平成二十年に土木学会が取りまとめた報告書において、堤防の越水対策工法として、土でできた堤防の表面を覆っていくものを被覆型、また堤防の内部にコンクリートの壁や、それから鋼材等を活用する自立型というようなものに分類をされておりまして、今回の検討会におきましてもその分類を基に整理をさせていただいているところでございます。
この中の被覆型ということでございますけれども、今行っています危機管理ハードというのは、堤防の天端、上面をアスファルトで舗装し、堤内地側といいますか、住宅地側ののり尻のところに洗掘をされないようなものを施すということでございますけれども、それに加えまして、例えば、堤防の川側、また住宅側ののり面のところをコンクリートであるとか、コンクリートブロックであるとか、シートであるとか、アスファルトであるとかというようなことで、堤防の浸食を抑えるような強化を行っていくというようなことでございます。
そういうようなことに対しまして今回検討会におきまして御意見をいただいているところでございまして、様々な材料とか工法とか活用しながら、堤防の強化を考えてまいりたいというふうに考えております。
○武田良介君 資料の二枚目にも付けたんですが、同じ第一回技術検討会のときに配付されている資料でして、様々な種類の河川堤防、括弧試験施工というふうに書いてあるんですけれども、アーマーレビー、フロンティア堤防と、こういうものも出てまいります。
今御説明いただいたものは、このアーマーレビー、フロンティア堤防、これも排除されないというか、これも含まれるということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(五道仁実君) このような形のものも堤防の強化、被覆型ということでございますので、検討の対象ということだと思います。
○武田良介君 このフロンティア堤防、アーマーレビーという工法というのは、これ国会でもこれまでも何度か取り上げられているかというふうに思いますけれども、二〇〇〇年の六月、当時の河川局治水課が策定した河川堤防設計指針第三稿というところでは、越水に対する難破堤堤防の設計ということで、こういったものも、アーマーレビーだとかフロンティア堤防に当たるものも示しておったわけだけれども、その二年後、二〇〇二年の七月十二日付けの河川堤防の設計における河川堤防設計指針には、この記述がなくなってしまったということが指摘をされてまいりました。
鬼怒川の決壊を始めとして各地で次々と起こってくる災害に対して、被災住民の皆さん、市民の皆さんが、今説明されたような堤防を是非造ってほしいという声はずっとあったけれども、危機管理型ハードの対策になったりだとか、裏のりも含めて覆うということはなかなかされないできたということでありましたが、今説明があったような堤防の強化策、それがいわゆるアーマーレビー、フロンティア堤防ということであれば、それは歓迎をしたいというふうに思っております。
もう少しお聞きしておきたいと思うんですが、これを、じゃ、どこでどのように造ることになるのかということなんです。堤防そのものはやはり長大なものですし、今回、決壊したところもあれば越水したところもあれば、それぞれ危険箇所もあろうかというふうに思います。
先ほどの一枚目の資料のところでも、ずっと四角を幾つか見ていきますと、一つ目の四角のところは、越水を想定した河川堤防の強化対策についてということが最初に言われた上で、二つ目の四角のところでは、その際、危機管理対策としての位置付けを明確にするだとか、三つ目の四角では、実験等だけでなく、少しずつでも現場の施工実績を積みながら、実践的に課題の整理、解決への取組を実施していく云々ということもこれ書かれております。
どこでどのようにこれをやっていくことになっていくのか、見通しについて御説明いただけますでしょうか。
○政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。
東日本台風におきまして堤防が決壊した場所の特徴というのを調べさせていただいております。箇所数には重複がございますけれども、場所的な特徴としては、橋梁の上流部、また河川の合流点、また河道の湾曲部、堰の上流、狭窄部の上流というふうなところが決壊の場所的な特徴ということになっているわけでございます。
このような場所的な特徴、堤防の決壊場所の特徴も踏まえつつ、また、その堤防のまた基礎地盤の地質、土質、そういうことも加味して分析を進めながら、この検討会においてどういう場所でどうやっていくのかというふうなことについての箇所の整理を行ってまいりたいというふうに考えております。
○武田良介君 県や市町村が自ら管理している河川でもこういった、アーマーレビー工法というふうに今言っておきますけれども、こういう工法を取ることもできるんでしょうか。
○政府参考人(五道仁実君) 先ほどから御説明させていただいた被覆型ということでございますので、どのような形、アーマーレビーというのが固有名詞なのかどうなのかというのもございますけれども、堤防を被覆するというような工法について、例えば県と国の合流する合流地点、そういうところが重要だということであるならば、そういうことをしていくということも視野に進めていかなければいけないというふうに思っております。
○武田良介君 栃木県に伺いましたら、二〇二〇年度の当初予算に新規の堤防強化緊急対策プロジェクト事業費というのを三十億円計上したというふうにお聞きをいたしました。
台風十九号で河川が氾濫をして、堤防が十三か所決壊したと。その堤防強化の事業費で、川表だけではなくて、先ほどあった川裏も含めてコンクリート若しくはコンクリートブロックで覆っていくことを検討しているということを私も聞かせていただきました。強化箇所は、今おっしゃったような、橋梁の上流部ですとか合流部ですとか、そういう弱点になるところを予測して取り組んでいくということをおっしゃっておりました。
非常に粘り強い堤防は切実な願いなんだと、自治体にしても被災された方にしても、不安に思っておられる市民の方にとっても非常に切実な願いなんだということを強調させていただきたいというふうに思います。
次に、先ほども小野田委員からもお話ありましたけれども、総務省が今審議をしております緊急浚渫推進事業についてお聞きしたいと思いますけれども、総務省にこの制度の概要を簡潔にお願いしたいのと、背景について御説明いただけますでしょうか。
○政府参考人(谷史郎君) お答えを申し上げます。
昨今の台風被害等では、河川において堆積土砂の撤去や樹木の伐採ができていないために河川が越水するような状況が多々見られておりまして、維持管理のための河川などにおける堆積土砂の撤去や樹木の伐採が喫緊の課題となっております。
また、本年度、国土交通省等と連携をいたしまして、地方団体が緊急に実施する必要がある河川等のしゅんせつ事業につきまして調査を実施しましたところ、必要な事業費が四千九百億円と見込まれることが明らかになったところでございます。
このため、地方団体が単独事業として緊急かつ集中的に河川等のしゅんせつを実施できるように、地方財政計画に新たに緊急浚渫推進事業費を九百億円計上するとともに、その地方負担額に特例的に地方債を充当できるよう、地方財政法の改正案を今国会に提出をしております。
具体的には、事業期間を令和二年度から令和六年度までの五年間といたしまして、事業費は四千九百億円を予定しており、地方債の元利償還金の七〇%に交付税措置を講ずることといたしております。
○武田良介君 五年で四千九百億円、それぞれの県から上がってきたものを積み上げてということだったというふうに思います。
今総務省からもありましたけれども、河川において、堆積土砂の撤去だとか樹木の伐採が十分できていないために河川が越水するような状況が多々見られておりということでありましたけれども、大臣にお伺いをしたいと思うんですが、高市大臣自身もこういった御答弁を、私も参議院本会議でも直接お聞きしましたし、総務委員会でもされているというふうに承知をしておりますけれども、大臣は同じ認識でよろしいでしょうか。
○国務大臣(武田良太君) 水害から命を守るためには、やはり河川の流下能力、これのしっかりした維持が大事だと思うんですね。
流下能力を維持するためには、やはり堆積した土砂だとか樹木の繁茂というものを解決していかなくてはならない。そのためには、これはかけがえのない、いい事業だと私も思っておりますし、関係省庁と連携してしっかりと我々も取り組んでまいりたいと、このように思っています。
○武田良介君 いい事業だということで御答弁をいただきましたが、国交省にもお伺いしたいと思いますけれども、同じ認識でよろしいでしょうか。
○大臣政務官(佐々木紀君) 近年の豪雨災害は、全国各地で既往最高を更新する雨量がありましたことから、甚大な被害が頻発化しているということでもございます。したがいまして、河川の水位を低下させるという対策が極めて重要になってまいります。河道掘削や樹木の伐採は比較的早期に対策が可能であり、水位を下げる有効な手法の一つと認識しております。国交省としましても、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策として、この河道掘削や樹木伐採に重点的に取り組んできたところでもございます。
今ほどの総務省の緊急浚渫推進事業の創設はそういった意味では大変大きな意義があるというふうに考えておりますので、国土交通省としましても、三か年の緊急対策を確実に進めるとともに、総務省とも連携を図りまして、緊急浚渫推進事業の制度の活用によって、河道掘削や樹木伐採等の河川の維持管理を適切に進めてまいりたいと考えております。
○武田良介君 私の質問の意図が正確に伝わらなかったのであれば申し訳ないんですが、堆積土砂がたまっていた、あるいは樹木が繁茂していた、そのことによって越水、越流するということに対して、そういうことがあったということについて同じ認識かということを私、聞かせていただいたつもりですけれども、直接そのことにはちょっとお答えいただけなかったかというふうに思っております。そのことはちょっと非常に残念かなというふうに思っております。
そういう状況があるというのは、先ほどの小野田委員の話や、冒頭からそうでしたけれども、やはり小野田委員もそういう思いでいらっしゃったというふうに思いますし、被災された住民の皆さん、私も被災地でお話聞きますけれども、皆さんやっぱり、そういう状況があったということを、私たちは毎日川を見ながらそう思っているという話を皆さん口をそろえておっしゃるわけなんですね。
そうであれば、それは不十分なところがあったと、土砂も堆積していたし繁茂していたところもあったと、不十分なところはあったはあったんだと、反省すべきは反省するということを言っていただいて、その上でこれから緊急浚渫の推進事業やっていきますということであれば、これは被災住民の皆さんの思いにもしっかりとかみ合って取り組めるんじゃないだろうかと、私はやっぱりそういうふうに思うんです。
そういう御答弁を是非いただきたかったというふうに思いますけれども、総務省にもう一つお伺いしたいと思うんですが、今回のこの事業に対して自治体からの要望があったというふうに聞いておりますけれども、どんな要望があったのか、御説明いただけますでしょうか。
○政府参考人(谷史郎君) お答えいたします。
近年の相次ぐ大規模な自然災害を踏まえまして、地方団体からは、河川等のしゅんせつに対する財政措置の拡充に関して強い要望をいただいております。
例えば、地方六団体からは、台風十九号による記録的な大雨により各地で堤防の決壊が引き起こされたことから、堤防強化対策や河川のしゅんせつ等への財政支援の拡充を図ることとの要望をいただいております。また、平成三十年七月豪雨の被災団体である岡山県からも、河川の流下能力を確保するために重要なしゅんせつや樹木伐採等を継続的に実施できるよう起債対象とするなど格段の財政措置を行うこととの要望をいただいております。
○武田良介君 具体的な自治体の名前も挙げていただいて具体的に紹介をいただきました。やっぱりそれだけ切実だということだと思うんです。
ですから、今回の事業、総務省が今進めようとしている、議論しているこの事業についても私も大事だというふうに思いますし、それを進める上でも、現状の認識、反省すべきは反省するということぐらい、私はまず必要なんじゃないだろうかというふうに重ねて思います。
最後に大臣に、こういう総務省や国交省を含めた議論がありますけれども、防災の観点から、河川の維持管理の重要性についてどのようにお考えなのか、私の時計だとあと二十秒あるんですけど、最後に大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(武田良太君) 多くの生活、そして命を奪っていく水害対策というのは、これは、我々防災だけではなくてオールジャパンで取り組んでいかなくてはならないと思います。様々な教訓を生かしながら、積極的に今後とも臨んでいきたいと、このように思っています。
○武田良介君 終わります。

国土交通省「第3回 気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会」

2020年3月27日
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3月17日に国土交通省で「第3回 気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会」が開かれました。その配付資料が国土交通省のHPに下記の通り、掲載されましたので、お知らせします。
その会議の新聞記事もありましたので、その記事を掲載します。

気候変動によって降雨量が増加してきていることに対してどう対応していくかがこの小委員会のテーマになっています。
例えば、資料3の16ページに次の記述があります。
しかし、現在の河川整備計画でさえ、目標の達成がままならないのですから、目標を引き上げても絵にかいた餅になってしまうことが心配されます。
治水対策の在り方を根本から見直す必要があるように思います。

【資料3】ハザードの制御を中心としたハード対策について
「気候変動を踏まえた治水計画等や施設設計の見直し 治水計画の見直し(河川整備計画)
〇 気候変動による降雨量の増加によって実質的な治水安全度が年々低下しているおそれがあるため、河川整備計画に基づき整備を加速する必要がある。
○ 河川整備計画の目標に関して、整備期間終了時にその安全度を確保するためには、気候変動による治水安全度の低下を考慮した目標流量に見直し、事業効果の早期発現が可能な施設の整備や既存施設の活用など、整備メニューの充実を図る必要がある。
○ 過去の実績洪水を目標とする現在の河川整備計画の早急な達成を目指すとともに、併せて気候変動による外力増大を考慮した整備計画の目標設定へ移行する必要。」

国土交通省 社会資本審議会 河川分科会
第3回 気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会 配付資料 
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kikouhendou_suigai/3/index.html

議事次第(PDF形式:32KB)
委員名簿(PDF形式:60KB)
資料目次(PDF形式:31KB)
【資料1-1】第1回小委員会の主なご意見(PDF形式:109KB)
【資料1-2】第2回小委員会の主なご意見(PDF形式:74KB)
【資料2】議論の全体像と今後の方向性(PDF形式:301KB) http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kikouhendou_suigai/3/pdf/06_zentaizou.pdf
【資料3】ハザードの制御を中心としたハード対策について(PDF形式:9,534KB) http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kikouhendou_suigai/3/pdf/07_hazard_taisaku.pdf
【資料4】第3回小委員会の論点(PDF形式:158KB)
【資料5】鈴木委員提出資料(PDF形式:508KB)
【参考資料】7水系緊急治水対策プロジェクト(PDF形式:8,094KB)

気候変動を踏まえた水災害対策/治水施設の整備重点化/民間の流出抑制対策を強化
[ 建設通信新聞2020-03-18] https://www.kensetsunews.com/archives/431558

国土交通省は17日、「気候変動を踏まえた水災害対策小委員会」(委員長=小池俊雄土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター長)の第3回会合を開き、今後のハード対策を中心に議論した。国交省は、治水計画や設計の考え方を見直した上で治水施設整備を加速化・重点化するとともに、利水ダムを活用した洪水調節機能の向上や、民間による流出抑制対策の強化に取り組むことで、気候変動に伴って増大する外力の制御に当たる考えを示した。 小委員会は、社会資本整備審議会河川分科会の下に設置している。国交省は、これまでは主に外力を制御する水災害対策を実施してきたものの、近年の災害で施設の能力を超える降雨や洪水が発生し、気候変動によって降雨強度のさらなる増加と降雨パターンの変化が見込まれると説明。
今後は、外力を制御する対策の強化に加え、氾濫水を減らす堤防強化や被害範囲を減少させる二線堤の整備により、少しでも被害を低減する減災対策を講じる必要があるとした。これらの取り組みに当たっては、財政、税制、金融、法制などさまざまな分野の施策を総動員し、流域全体で激甚化・頻発化する水災害に立ち向かう姿勢を提示した。
施設整備で外力制御対策を強化する具体の取り組みには、治水計画に基づく施設整備の着実な進捗や、ダム、調節池、放水路の整備推進、ダム再生、遊水地の改造による洪水調節機能強化などを列挙した。
雨水貯留浸透施設の整備など流出抑制対策の重要性も挙げ、今後は三大都市圏に限らず、居住や都市機能が集まる地域の河川と、地方部の河川で積極的に推進する考えを表明。流出抑制対策の強化には、法的な規制以外に、整備主体となる企業、住民の協力を得るためのインセンティブ(優遇措置)が必要とし、支援を手厚くする方針を示した。
国交省は、洪水が発生することを前提に、行政、企業、住民ら流域の関係者が連携して流域全体で備える水災害対策を今夏をめどにまとめることにしている。

山梨・雨畑ダム、新規流入土砂撤去盛り込まず 日軽金の計画了承

2020年3月27日
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駿河湾産サクラエビの不漁を契機に注目された日本軽金属・雨畑ダム(山梨県早川町)の堆砂問題についての記事を掲載します。


山梨・雨畑ダム、新規流入土砂撤去盛り込まず 日軽金の計画了
(静岡新聞2020/3/26 09:20)https://www.at-s.com/news/article/special/sakura_ebi/008/750387.html

(写真)堆砂の影響で河床が上昇、台風19号により浸水被害に見舞われた雨畑ダム上流の本村集落=2019年10月13日、山梨県早川町雨畑地区(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
日経金の雨畑ダム土砂撤去最終計画案骨子
日本軽金属雨畑ダム(山梨県早川町、1365万立方メートル)の堆砂について話し合う雨畑地区土砂対策検討会が25日、甲府市で開かれ、国や同県は5年間で700万立方メートルを搬出する同社の最終計画案を了承した。ただ、毎年新たにダムに流入する平均50万立方メートルの土砂撤去について日軽金は「正確に計算できない」などとして最終計画案には盛り込まず、台風で河床が上昇すれば、上流が被災する懸念が残った。
最終計画案では2020~21年度、土砂を建設用の骨材として出荷したり搬出用道路の造成に利用したりして300万立方メートルをダム外に搬出。22~24年度には骨材としての出荷のほか、近隣の造成地など新たな利用先を開拓することで300万~400万立方メートルの堆砂を減らすとした。
同社は同町周辺で土砂埋め立て用地を探したが見つからなかった。静岡県は防潮堤への利用を提案したが、同社幹部は「運搬の問題がある」とし、基本的に否定的な考えを述べた。
堆砂問題は駿河湾産サクラエビの不漁をきっかけにクローズアップ。昨年の台風19号では、上流地区が被災し、県道が崩落するなど孤立状態となった。
■土石流入「その時考える」 日軽金幹部一問一答
25日の雨畑地区土砂対策検討会後、関係者が記者会見した。主なやりとりは次の通り。
―なぜ毎年の新たな土砂流入を最終計画案に入れないのか。
敷根功日軽金蒲原製造所長「(流入量は)災害に応じて変動する。(災害が)来ないかもしれない。それを想定に入れてしまうと計画が立てられなくなる」
杉山和義同社常務「何かあれば、そのときに考えなくてはならない。(事前に)考えると訳が分からない」
―国は河川法44条に定められる、より強力な「指示」などに踏み込まないのか。
星尾日明国交省関東地方整備局河川管理課長「すでに文書による行政指導をし、日軽金も動いた。現状では分からないというかどちらとも言えない」
―早川本流にも搬出用道路を造る計画だが。
清水宏山梨県治水課長「もちろん自由に造るわけではない。濁りの問題を勘案しながら整備を行う。暫定的な利用を考えている」

■「抜本策」に疑問 土砂撤去、最終計画案
日本軽金属が25日に示し、国などが了承した雨畑ダム(山梨県早川町)の土砂撤去最終計画案は、不確定要素が非常に多く、国が2019年8月に行政指導した「抜本的な対策」となるかは大いに疑問が残る。
同社は20年度からの5年間で計画する700万立方メートルの土砂搬出の方策として、建設用骨材としての出荷と同町周辺の造成地での利用を見込む。ただ、それに必要なはずの需要の裏付けはない。
同社によると毎年新たにダム湖内に流入する土砂は平均50万立方メートルだが、本県で死者を出した台風15号が襲来した11年には1年間で300万立方メートルの流入があった。最終案では毎年の土砂流入について言及自体を避けた。
同町周辺で土砂埋め立て用地も見つからない中、水害に見舞われてきたダム上流の住民が安心できる対策に本当になるのか。待ったなしの状況だからこそ、もっと突き詰めた議論が必要ではなかったか。このままでは“見切り発車”と言わざるを得ない。

■特損110億計上3月期下方修正 日軽金HD
アルミ加工大手日本軽金属の親会社、日本軽金属ホールディングス(岡本一郎社長)は25日、2020~21年度の2カ年に実施する雨畑ダムの堆砂対策のため、110億円の特別損失を計上、20年3月期通期連結業績予想を下方修正した。
駿河湾産サクラエビの不漁を契機に注目された同ダムの堆砂問題で、同社が特損を計上するのは初めて。「22年度以降は、実施概要および対策費の合理的な見積もりが可能となった時点で、堆砂対策引当金として計上する」とし、対策費総額は最終的に数百億円規模以上に膨らむ可能性もある。
発表によると、特損計上に伴い、純利益は前回公表の155億円から54・8%減の70億円と大幅減を見込む。


雨畑ダム土砂撤去で国・県 基本計画案に同意 /山梨

(毎日新聞山梨版2020年3月26日)https://mainichi.jp/articles/20200326/ddl/k19/040/089000c

早川町の雨畑ダムに土砂が堆積(たいせき)し上流の雨畑川の河床が上昇している問題で、ダムを所有する日本軽金属(東京)は25日、国や県などを交えた第4回雨畑地区土砂対策検討会を甲府市内で開いた。日軽金は2025年3月までに最大700万立方メートルの土砂を撤去する基本計画案を示し、国や県、早川町は同意した。
計画案によると、日軽金は22年3月までに土砂300万立方メートルを、25年3月までにさらに300~400万立方メートルを撤去する。撤去した土砂は、土砂運搬用道路の造成やコンクリートなどの材料、造成用盛り土などに利用するという。
日軽金によると、18年11月時点でダム湖と上流部で土砂1561万立方メートルが堆積し、ダム総貯水量の約9割は土砂が占めている。
日軽金の杉山和義・常務執行役員は「国や県にアドバイスをもらいながら着実に実行していきたい」と話した。【山下俊輔】

「裁判によって私たちが左右されるとは思っていない。私たちは今後も住み続ける」

2020年3月26日
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3月24日、石木ダムの工事差し止めを求めた訴訟の判決が長崎地裁佐世保支部でありました。その記事とニュースを掲載します。
まことに残念ながら、原告側の敗訴でした。「ダムの建設によって、住民の生命・身体の安全が侵害されるおそれがあるとは認められない」という判決です。腹立たしい限りの判決でした。

原告の岩下 和雄 さん は次のように語っています。「裁判によって私たちが左右されるとは思っていない。私たちは今後も住み続ける。今までどおりの生活を続けていく」


石木ダムの建設工事差し止め認めず、住民側が敗訴【長崎】

(テレビ長崎2020/3/24(火) 19:44配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200324-00000008-ktn-l42

長崎県川棚町の石木ダムをめぐり、建設予定地の住民などが県と佐世保市に工事の差し止めを求めていた裁判で、長崎地裁佐世保支部は訴えを退けました。

長崎地裁佐世保支部で開かれた裁判は、新型コロナウイルスの感染予防で傍聴席が普段の約3分の1、9人に制限されたにも関わらず、59人が傍聴券を求めて列を作りました。

この裁判は石木ダム建設予定地の住民など原告601人が、長崎県と佐世保市に対しダム本体の建設と県道の付け替え工事などの差し止めを求めているものです。

2年半以上にわたり、これまで13回の口頭弁論が開かれました。

原告側は佐世保市が水需要を過大に見積もっていて、石木ダムは必要がないこと、県がダム建設を優先し川棚川の過去の洪水被害の原因究明や対策を行っておらず、生命・身体の安全の権利を侵害されている、などと主張しました。

判決で平井 健一郎 裁判長は「生命、身体の安全が侵害されるおそれがあることを認めるに足りる証拠はない」などとして、原告側の訴えを退けました。

原告 岩下 和雄 さん 「裁判によって私たちが左右されるとは思っていない。私たちは今後も住み続ける。今までどおりの生活を続けていくつもり」

石木ダム対策弁護団 馬奈木 昭雄 弁護団長 「これまでの生活基盤を根底から奪って追い出す、生命身体(の安全)を奪うこと以上のものじゃないかと私たちは問いかけたつもり。それに対する答えは(判決文には)書いていないと思う」

判決を受け中村知事は「県の主張が認められた。(住民には)事業への反対をやめていただきたい」と述べました。

中村知事 「近年、自然災害が頻発する中で(ダムの)早期完成を目指していかなければならない。順調に関連事業が進捗していけば、できるだけ早期に(本体工事に)着手できるよう努力していきたい」

原告側は近く控訴する方針です。


石木ダム工事差し止め訴訟 原告敗訴の判決

(NBC長崎放送2020/3/24(火) 19:12配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200324-00003603-nbcv-l42

東彼・川棚町に計画されている石木ダムをめぐり建設予定地の住民らが工事の差し止めを求めている裁判で長崎地裁・佐世保支部は、きょう住民の訴えを退ける判決を言い渡しました。住民側は控訴する方針です。

訴えているのは東彼・川棚町の石木ダム建設予定地内に住む13世帯50人あまりの住民らです。裁判の中で住民らは必要性のないダム建設のために平穏に暮らす権利を侵害されているなどとして現在行われている石木ダム関連の道路工事と今後予定されているダム本体工事を中止するよう求めています。

きょうの判決で平井健一郎裁判長は「ダム事業によって住民の生命・身体の安全が侵害されるおそれがあるとは認められず工事差し止めの根拠とはなりえない」として住民らの請求を棄却しました。
原告弁護士「これまでの生活全体の基盤を根底から奪って追い出す、それは生命・身体の安全を奪うこと以上のことではないでしょうか」
原告岩下氏「本当に水が要るのかダムが必要なのかということを裁判官に訴えてきましたけれども、そのことについて本当に議論がされたのかと私たちは疑問に思っています。私たちは今後ともそこに住み続け、今まで通りの生活を続けていくつもりです」

住民らは「佐世保市の水需要予測や川棚川の洪水防止対策などダムは不要とする我々の主張が充分に検討されていない」などして近く控訴する方針です。


石木ダム差し止め認めず 地裁佐世保、住民の請求を棄却

(西日本新聞2020/3/25 6:00)https://www.nishinippon.co.jp/item/n/594750/

長崎県と佐世保市が計画する石木ダム建設を巡り、予定地の同県川棚町住民ら601人が工事差し止めを求めた訴訟の判決が24日、長崎地裁佐世保支部であった。平井健一郎裁判長は、原告が訴えた「良好な環境で生活する権利」などは工事差し止めの根拠にならないとして、請求を棄却した。原告は控訴する。
石木ダムは佐世保市の水不足解消と治水を目的として、1975年に国が事業採択。13世帯が用地の明け渡しを拒んでいる。県は2010年、水没する県道の付け替え工事に着手。住民らは16年に工事差し止めの仮処分を申し立てたが、地裁佐世保支部は却下した。
判決理由で平井裁判長は「人間の尊厳という概念は抽象的で内容や範囲も不明確」などとして、良好な環境の中で生活を営む権利が侵害されるとした原告の主張を退けた。ダム建設の妥当性には言及していない。
石木ダムの用地は土地収用法に基づき、19年に所有権が国に移り、家屋などの強制撤去が可能な状態になっている。県は25年度の完成を目指している。
住民らが国に土地収用法の事業認定取り消しを求めた訴訟は19年11月、福岡高裁が控訴を棄却。原告は上告した。 (竹中謙輔)


原告「座り込み続ける」 石木ダム差し止め認められず

(西日本新聞2020/3/25 6:00 )https://www.nishinippon.co.jp/item/n/594749/

(写真)数秒で終わった長崎地裁佐世保支部の判決言い渡し。「裁判って、こういうものなのかな」。原告の一人、川原房枝さん(79)は力なくつぶやいた。

1963年に石木ダム予定地の長崎県川棚町川原(こうばる)地区に嫁いで間もなく、ダム建設の話が持ち上がった。夫や義理の父母、近所の人と反対運動に参加。2018年秋に夫を亡くしてからも、抗議の座り込みに毎日出掛ける。参加者で最年長。料理が得意で、おはぎやまんじゅうを差し入れる。
昨年9月、中村法道知事と面会した際、川原地区の日常を切々と訴えた。「まずダムの抗議を先にして、その後、家のこととか自分の用事を済ませています。まず、ダムのこと。ダムのことが毎日頭から離れない。もういいかげんやめてほしい」。だが、思いは届かない。
判決が言い渡された3月24日は10年前、ダム建設に向けて県道の付け替え工事が始まった日。あれから現場の風景は大きく変わった。さらに県は、20年度予算に初めてダム本体の工事費を計上した。反対運動の長い年月とこれからを思うと「不安でね、胸がいっぱいになって…」。言葉を詰まらせた。
一審で工事の差し止めは認められなかった。それでも気持ちは揺るがない。一緒に反対している川原の人たちや支援者が支えだ。
「私たちは川原から出ていかない。私が現場じゃ一番のお姉さんだからね。簡単には(本体工事を)やらせないぞって思いで、力を込めて座り込みを続けます」 (平山成美)


石木ダム差し止め請求棄却 地裁佐世保 原告住民ら控訴へ

(長崎新聞2020/3/25 11:35)updated https://www.47news.jp/localnews/4646661.html

© 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、水没地区の住民ら601人が県と同市を相手取り、工事差し止めを求めた訴訟で、長崎地裁佐世保支部(平井健一郎裁判長)は24日、原告の請求を棄却した。住民らはダム建設で「平穏に生活する権利が侵害される」などと訴えたが、判決は「ダム事業で生命、身体の安全が侵害される恐れがあるとは認められない」と結論付けた。原告側は控訴する方針。
裁判で原告側は、ダムの必要性の根拠となる同市の水需要予測や川棚川の治水計画の問題点を指摘し、「必要性のない事業によって、住民の生命、身体の安全や平穏に暮らす権利が侵害されている」などと主張。県と同市は請求棄却を求めていた。
判決で平井裁判長は、生命、身体の安全について「侵害される恐れがあることを認めるに足りる証拠はない」と指摘。豊かな自然で生活する権利の侵害や居住地の強制収用による生活基盤の破壊については「主観的な評価による部分が大きい」「抽象的で内容も不明確」などと退けた。利水、治水面でのダムの必要性など他の争点については判断を示さなかった。
判決後の集会で住民の岩下和雄さん(73)は「裁判の結果によって、古里に住み続ける決意は変わらない。控訴して高裁で頑張っていく」と述べた。
同事業を巡っては、県が2010年、ダムに水没する県道の付け替え工事に着手したが、住民らが激しく反発し、完成の見通しは立っていない。こうした中、土地の明け渡し期限が過ぎ、家屋の撤去や住民の排除など行政代執行の手続きが可能な状態になっている。住民らは別の訴訟で国に事業認定取り消しを求め争っているが、一審の長崎地裁、二審の福岡高裁ともダムの必要性を認め、原告側が敗訴。原告側が上告している。

石木ダム 差し止め訴訟 怒り、失望あらわ 三たび請求も届かず
(長崎新聞2020/3/25 11:40)updated https://this.kiji.is/615373497721242721?c=174761113988793844

(写真)判決後の集会で、マイクを握る住民の女性(中央)=佐世保市光月町、中部地区公民館

「古里で静かに暮らしたい」との住民らの訴えは、今回も司法に届かなかった。東彼川棚町に計画されている石木ダム建設事業の工事差し止めを求めた訴訟は、住民らが国に事業認定取り消しを求めた別の訴訟の一審、二審判決に続く三たびの請求棄却という厳しい結果に。水没地域の川原(こうばる)地区の住民らは判決に失望と怒りをあらわにし、推進派の関係者からは安堵(あんど)の声が聞かれた。
請求棄却を告げた裁判長は足早に法廷を後にした。わずか1分足らず。「またか」。原告側の住民からはため息が漏れ、石丸穂澄さん(37)は「一字一句想像した通りの判決文だった」と苦笑した。原告の1人として当事者尋問に立ち、古里の自然環境の豊かさを訴えた。「私には自然の音に囲まれた落ち着いた静かな環境がどうしても必要」だと。だが-。
古里の川原の自然や生き物をイラストに描き、インターネットや漫画小冊子で発信する活動を続けている。請求棄却にも「闘い方は人それぞれ。私は私のやり方で活動していく」と前を見据えた。
「悔しい。私たちの人格が無視されている」。住民の松本順子さん(63)は肩を落とした。4世代8人がにぎやかに暮らす自宅も、夫と長男で営む小さな鉄工所も、昨年11月、土地収用法に基づく手続きで土地の所有権を奪われた。裁判では長男の好央さん(45)が「県が行政代執行に踏み切れば、生活の基盤が奪われる」と主張したが、こうした危機感に判決が言及することはなかった。「私たちはここに住みたいだけ。そう思うことがなぜ悪いのか」と憤った。
住民側は2016年2月、県と佐世保市に工事差し止めを求める仮処分を長崎地裁佐世保支部に申し立てたが、「工事禁止の緊急性がない」として却下された。同支部が判断を避けたダムの必要性や住民の権利侵害についてさらに踏み込んだ議論をするために、住民側は17年3月に提訴した経緯がある。
住民の岩本宏之さん(75)は「代執行が現実味を帯びている今なら、(緊急性が高まり)差し止めを認めてくれると思っていたのだが」と落胆。現在もほぼ毎日、付け替え道路工事現場に通い、抗議の座り込みを続ける。「このまま工事が進めば、取り返しのつかない事態になるのは明らか。我々は覚悟を決めているが、裁判所は本当にそれでいいのか」と語気を強めた。

「認められた」と推進派 石木ダム 差し止め訴訟
(長崎新聞2020/3/25 11:50)updated https://this.kiji.is/615374116109993057?c=174761113988793844

石木ダム建設を計画する県や佐世保市などの関係者は、住民らの請求を棄却した判決を評価した。一方で事業の見通しは立っておらず、推進派からは早期完成を求める声が上がった。
中村法道知事は県庁で報道陣に、「県の主張が認められた」と安堵の表情。県は新年度予算にダム本体工事費約8億円を盛り込んでいる。「できるだけ早期に着手できるよう努力したい。タイミングは全体の状況を見極めて判断すべきではないか」と述べた。
「石木ダム建設促進佐世保市民の会」の寺山燎二会長は「ほっとしている。県と市は(反対する)住民とできるかぎりの合意を得てダムを造ってほしい」と注文。市議会石木ダム建設促進特別委の長野孝道委員長は「市民の安定した生活のためにはダムが必要。粛々と進めるべきだ」、川棚町議会石木ダム対策調査特別委の田口一信委員長は「川棚川の治水に必要な事業。裁判所の判断に沿って考え、(原告は)事業に協力してほしい」と求めた。

【解説】生活への影響 現実的 差し止め訴訟
(長崎新聞2020/3/25 11:45)updated https://this.kiji.is/615373799416317025?c=174761113988793844

© 13世帯もの住民が生活している土地を収用するという異例な状況で進む石木ダム建設事業。手続き上の違法性を訴えて国に事業認定取り消しを求めた行政訴訟に続き、人権面での違法性をただした工事差し止め訴訟でも住民側の主張は認められなかった。
工事差し止め訴訟の弁論では、住民5人が当事者尋問に立ち、古里への思い、家族の歴史、地域コミュニティーの価値を具体的かつ詳細に陳述。だが、判決はこれらの訴えを「主観的」「抽象的」と切り捨てた。
提訴から判決までの3年間で土地収用法に基づく手続きが進み、13世帯は同意しないまま宅地の権利を奪われ、立ち退きを迫られている。県道付け替え道路の着工から10年。住民らは座り込みなどで抗議行動を続け、昼夜問わず緊張した生活を強いられている。
県側は新年度当初予算に本体工事費を組み込むなど事業推進の姿勢を強め、家屋の撤去などの行政代執行も選択肢から排除しない構えだ。住民が感じる実生活への影響や脅威は現実的で、決して判決がいう「抽象的」なものではないはずだ。

 

石木ダム工事差し止め訴訟 原告「反対」強く決意 敗訴判決、司法への不信あらわ /長崎
(毎日新聞長崎版2020年3月25日)https://mainichi.jp/articles/20200325/ddl/k42/040/191000c

(写真)判決を前にダム建設反対を訴える原告ら

川棚町で進む石木ダム事業を巡り、水没予定地に暮らす地権者らが県と佐世保市に工事差し止めを求めた訴えを棄却した24日の長崎地裁佐世保支部判決。事業認定取り消しを求めた訴訟の1、2審に続く敗訴に、原告は司法への不信をあらわにし、ダム反対を貫くことを改めて決意した。【綿貫洋、松村真友、中山敦貴】
判決後に佐世保市であった報告集会には、原告団と支援者ら約100人が参加した。石木ダム対策弁護団の馬奈木昭雄団長は「判断を下した納得いく理由を説明すべきなのに、判決は主文を読み上げただけ」などと批判。一方で、他県でダム事業が中止されたケースを引き合いに、「地元の声の高まりがダムを止める」と語った。
水没予定地の住民で川棚町議の炭谷猛さん(69)は「裁判を続けることで行政にプレッシャーを与え治水、利水の議論に持っていきたい」、石木川まもり隊の松本美智恵代表(68)は「今後も問題を県民に発信して、事業の必要性を問い続けたい」と語った。
判決を受け、中村法道知事は県庁で記者団の取材に応じ、石木ダムの必要性を強調した上で、「地権者の皆さんには判決の趣旨をご理解頂き、事業に対する反対をやめていただきたい」と述べた。佐世保市の朝長則男市長は「今回の判決が、市民の石木ダム事業に対する理解につながることを期待し、事業進展に向けて県と共に尽力したい」とするコメントを出した。
〔長崎版〕

石木ダム訴訟 住民敗訴 工事差し止め認めず 長崎地裁佐世保
(毎日新聞西部朝刊2020年3月25日)https://mainichi.jp/articles/20200325/ddp/012/040/012000c

長崎県川棚町に建設が計画される石木ダム事業を巡り、水没予定地の住民ら601人が建設主体の長崎県と同県佐世保市を相手取り工事差し止めを求めた訴訟で、長崎地裁佐世保支部(平井健一郎裁判長)は24日、請求を棄却した。原告側は控訴する方針。
原告側は、ダム事業は利水、治水両面で必要性がなく、不要な事業で故郷を奪われるのは人格権の侵害だと主張。人口減少が進む中で市の右肩上がりの水需要予測は過大で、治水も河川改修で対応できると訴えてきた。
一方、県などは、ダム建設の公益性を認めた事業認定取り消し訴訟の長崎地裁判決などを根拠にして争っていた。
判決は「(故郷で生活を営む権利は)主観的な部分が大きく、差し止めを求めうる明確な実態を有しない」と訴えを退けた。利水、治水の計画については判断を示さなかった。 原告団の判決後の集会で、水没予定地の住民、岩下和雄さん(73)は「控訴する。今の生活を続けていくことに変わりはない」と決意を語った。
長崎県の中村法道知事は「判決の趣旨を理解いただき、反対をやめていただきたい」と述べた。佐世保市の朝長則男市長は「事業の理解につながることを期待する」とコメントした。【綿貫洋】

 

石木ダム差し止め訴訟 原告敗訴
(NHK2020年3月24日 17時59分)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20200324/5030007090.html

川棚町に建設中の石木ダムをめぐり、建設に反対する住民らが、長崎県と佐世保市に建設の差し止めを求めた裁判で、長崎地方裁判所佐世保支部は「住民の生命・身体の安全が侵害されるおそれがあるとは認められない」として、住民らの訴えを退けました。

長崎県と佐世保市が、川棚町に建設を進めている石木ダムをめぐり、建設に反対する元地権者の住民や支援者ら合わせて601人は、住民の生命・身体の安全や人間の尊厳を維持して生きる権利などが侵害されているとして、ダム本体の建設工事とダム建設に伴う道路の建設工事の差し止めを求める訴えを起こしていました。

24日の判決で、長崎地方裁判所佐世保支部の平井健一郎裁判長は「ダムの建設によって、住民の生命・身体の安全が侵害されるおそれがあるとは認められない。人間の尊厳という概念も抽象的で、内容や範囲も不明確で、差し止め請求の基礎となる具体的な法的権利とはいえない」と指摘し、住民側の訴えを退けました。

石木ダムの建設をめぐっては、住民側は、国の事業認定の取り消しを求めた訴えを起こしましたが、1審の長崎地方裁判所が訴えを退けたのに続いて、去年11月、2審の福岡高等裁判所も訴えを退けました。

【原告側は】。
判決のあと、原告側の馬奈木昭雄弁護士は「裁判所は、きちんと議論を尽くそうとしていない。おかしいことはおかしいと、国民が納得するまで、私どもはがんばっていきたい」と述べ、近く控訴する考えを示しました。

また、住民の岩下和雄さんは「本当にダムが必要かと、裁判官に訴えてきたが、議論が尽くされたのか疑問に思う。今のふるさとに住み続けるという気持ちは強く、裁判によって変わることは、ありません」と話していました。

【中村知事は】。
判決について、中村知事は、記者団に対し「これまでの県の主張を認めていただいた判決が出された」としたうえで、「地権者の皆様には、今回の判決の趣旨をご理解いただき、事業に対する反対をやめていただきたい」と話しました。
また、新年度の当初予算案に、石木ダムの本体工事にかかる費用が計上されていることについて「順調に関連事業が進捗していけば、出来るだけ早期に着手できるよう努力していきたい」と述べました。

【佐世保市の朝長市長は】。
判決を受けて、佐世保市の朝長市長は「これまでの本市の主張が認められたものと思う。事業に対する市民のご理解につながることを期待するとともに、今後の事業の進展に向けて、長崎県とともに尽力していきたい」とするコメントを発表しました。


石木ダム差し止め認めず 長崎地裁佐世保支部

(日本経済新聞2020/3/24 17:06)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57163010U0A320C2000000/

長崎県と佐世保市が同県川棚町に計画する石木ダム建設に反対し、住民や支援者ら約600人が県と佐世保市を相手取って工事の差し止めを求めた訴訟の判決で、長崎地裁佐世保支部(平井健一郎裁判長)は24日、請求を棄却した。

(写真)石木ダム建設工事の差し止めを求めた訴訟の判決を前に、長崎地裁佐世保支部前で集会を開く原告と支援者ら(24日午後、長崎県佐世保市)=共同

石木ダムは佐世保市への給水や川棚町の治水が目的で、当初の完成目標は1979年度だった。2010年に水没道路の付け替え工事が始まったが、本体はいまだに着工していない。現在の完成目標は25年度。
19年11月、水没予定地に住む13世帯の明け渡し期限が過ぎ、県は行政代執行で土地・建物を強制収用できる状態になっている。住民らは一連の手続きの根拠となる国の事業認定の取り消しも求めたが、一、二審とも敗訴している。〔共同〕

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