水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

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アメリカのダム撤去の動き

2018年2月19日
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アメリカにおけるダム撤去の数がAmerican Rivers に掲載されています。

Dam Good Year for Dam Removal in 2017

(Jessie Thomas-Blate | February 13, 2018) https://www.americanrivers.org/2018/02/dam-removal-in-2017/

Last year was a banner year for dam removals across the country. Eighty-six dams were torn down in 2017, beating the previous high number of 78 dams in 2014. Communities in 21 states, working in partnership with non-profit organizations and state and federal agencies, removed the dams to reconnect more than 550 miles of streams.・・・・・・・・・・・・・・・
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2017年に86ダムが撤去されたと書かれています。これは2014年の78ダム撤去を上回るとのことです。
ただし、日本は堤高15メートル以上をダムと定義していますが、アメリカは堤高が15メートル未満のもの(日本では堰)もダムとしていますので、ダムの数の数え方が違います。

それにしても、日本では熊本県・球磨川の荒瀬ダムが唯一のダム撤去例です。2012年9月から始まった荒瀬ダムの撤去が今年3月で終わります。日本では次のダム撤去の計画がありません。

映画「ダムネーション」で見られたようにアメリカではダム撤去がどんどん進んでいるのに、それと比べると、日本の状況は嘆かわしい限りです。

なお、2015年2月にもアメリカのダム撤去についての記事がありました。
(suigenren.jp/news/2015/02/05/6949/ をご覧ください。)

 

この英文の記事を主なところを栃木の葛谷理子さんが翻訳してくださいましたので、掲載します。

American Rivers(AR) とは「野生の川の保護」、「こわされた川の復元」、「きれいな水の保全」を活動目的に掲げ、荒れた川を保護し、修復し、人と自然のために活動している自然保護団体。全米に事務所をもち、275,000人以上の会員、支持者、ボランティアを擁している。毎年、年次報告書を出している。(American Rivers のHPより)以下は、ARのJessie Thomas-Blate さんの寄稿文。
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2017年には86のダムが撤去された!

2017年は時代遅れの、安全性に問題のあるダムの撤去に関しては記録すべき年となった。どの州が役立たずのダムを撤去するために先頭を走っているか、偉大なる川の復元プロジェクトについてお読みください。

昨年は、全米のあちこちでダム撤去の記念すべき年となった。2017年は86のダムが撤去されたが、これは過去最高だった2014年の78ダムを上回るもので、21の州の市や町で、NPOや州や国の機関が協力し、延長550マイル(約880km)以上の川の流れを復活させた。

ダムが撤去されたのは、以下の21州である。アラスカ、カリフォルニア、コネティカット、アイオワ、インディアナ、ケンタッキー、マサチューセッツ、メイン、ミシガン、ミネソタ、ネヴァダ、ニューハンプシャー、ニュージャージー、ノースカロライナ、オハイオ、オレゴン、ペンシルヴェニア、テネシー、ヴァーモント、ワシントン、そしてウィスコンシン州。

2017年、ペンシルヴェニア州では16ダムと、最も多くのダムを撤去した。2番目がカリフォルニア州の10ダム、3番目がマサチューセッツ州の9ダムである。

ARはアメリカ合衆国で唯一のダム撤去記録を保持する組織である。ARのデータベースには、1912年以降の、全米のあちこちで撤去された1,492のダムの情報が蓄積されている。その殆どはこの30年間に撤去されたダムで、その数は1,275にも上る。ARは今年のリストにある中の14のダムの撤去事業で役割を果たした。このリストには、ARと関わりのあるなしに関わらず、撤去されたすべての既知のダムがリストアップされている。

2017年に撤去されたダムの記録を押し上げた要因としては、時代遅れで安全性に問題のあるダムを撤去することのメリットが周知されてきたことが挙げられるが、ARや他の組織の努力や、ダム撤去プロジェクトを回していく力量が大きくなったこと、さらに老化したダムを維持していくためにはコスト(保安上の問題でダムの所有者に負担)がかかることも挙げられる。

米国土木学会は国家の経済基盤(インフラストラクチュア)に関する報告書のなかで、この国のダムにD ランクを付けた。ダムが撤去されれば、川は自然に流れるようになり、水供給や洪水防止にも役立つ。

2017年に撤去されたダムのリストと共に、ARは1912年以来撤去されたダムの地理的関係を示す地図を公表した。

2017年に撤去されたダムと川の復活の事例

グリーンリバー第6ダム(ケンタッキー州)の場合
近年米国陸軍工兵隊のルイヴィル方面隊は、グリーン川とバレン川の小さなダムの経済効率を評価し、あまり使われていない5つの閘門ダムの撤去について議会の承認を得た。グリーン川第6ダムは合衆国魚類野生生物局により速やかに撤去され、続いて南東部のいくつかの老朽化したダムが撤去された。このプロジェクトに協力したのは他に、ケンタッキー州の魚類野生生物資源部、マンモスケーブ国立公園、自然環境保護団体、ケンタッキー水路協議会がある。魚類、貝類、無脊椎動物の生息環境を改善するためのプロジェクトに加え、ダムの貯水によりマンモスケーブ国立公園の一部に水や泥等が堆積していたのだが、現在ではその場所で重要な考古学研究をおこなうことが可能となった。今では、これらのプロジェクトは不経済で金のかかる国の水路網を撤去する前例となった上、陸軍工兵隊と合衆国魚類野生生物局の共同作業の協力の良き前例となった。

Lower Eklutna 川(アラスカ州)の場合
当初は発電のために建設されたダムであるが、もはや役目を終えていたこのダムは、2017年10月にアラスカ州の最も意欲的な環境回復プロジェクトの一つとして撤去された。Eklutna Native 会社と地元の村が協力し合い保護基金を設立した。300フィートの深さがある急な渓谷の中で、Eklutna 川の7マイル(約10km)を鮭が移動できるようにした。このプロジェクトは、鮭を復活させると同時に地元に建設工事を供給することで地域の経済を潤した。

Hamant  川(マサチューセッツ州)の3つの小さなダムの場合
Hamant 川の3つのダムは2017年秋に撤去されたが、危機にさらされていたマスとカメの生息環境が回復した。Hamant 川は、地区の広大な保護区の中を流れている川だったが、この作業の結果、この保護区へのカメの往来が容易になった他、安全性も増し、魚や野性生物の生息環境も改善された。このプロジェクトは土地所有者(町と村)の協力を得た州の魚類野生生物部、ARと州の生態系保全部の支援の下で行われた。

Boardman 川(ミシガン)の場合
Boardman ダムの撤去は、Boardman川の大きな4つの復元プログラムの一環として行われた。このプロジェクトでは、魚道の障壁を取り除いたばかりでなく、地域の人々が川を渡る際の障害をも取り除いた。過去には、2013年にブラウンブリッジダムが撤去され、今、セイビンダムも撤去計画中である。近い将来にはユニオンストリートダムが改修されることになっている。ミシガン州の最大の河川回復プロジェクトは、まとめてみれば3本以上の川で魚類の生息地と、250エーカー以上の湿地と60エーカーの陸地の生息地を回復することになるだろう。

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浜松市下水道の長期運営権の売却について

2018年2月12日
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浜松市は既報のとおり、今年4月から西遠流域下水道事業を民営化します。水処理世界最大手の仏ヴェオリアとJFEエンジニアリング、オリックス・東急建設・須山建設グループが設立した浜松ウォーターシンフォニー株式会社と契約締結を行いました。
国内初となる下水道の長期運営権の売却です。運営権者は2018年度から20年間にわたり事業を担います。運営権対価は25億円です(https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ21HIL_R20C17A3000000/)。
浜松市のHPを見ると、http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/suidow-s/gesui/seien/pfi.html
http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/suidow-s/gesui/seien/koubo.html

運営権者は維持管理、改築更新工事、計画立案、利用料金収受を
浜松市は認可取得、モニタリング、使用料収受(償還財源分)を行うことになっています。

西遠流域下水道は元々は静岡県の事業でしたが、2005年の市町村合併に伴い、 対象流域が浜松市のみとなり、合併特例法の適用により2016年3月末に浜松市に移管されました。管理は移管前は静岡県下水道公社を通して民間会社に委託し、移管後は市が直接、民間会社に委託していました。
これを、今年4月から上記の通り、民営化するというものです。

民営化する理由として、次の3点があげられています。
① 膨らむ更新投資、施設の老朽化、耐震化による長期的資金需要への対応が必要
② 料金収入減少、水道有収水量が減少傾向、30年後の人口は約18%減少の予測
③ 職員減少と技術継承、組織のスリム化による技術継承への懸念

いずれも今後の下水道事業の運営において重要な問題ですが、外国資本が入った会社に任せれば、解決するという問題なのでしょうか。
公営のままでも対応する道があるように思います。

浜松市のHPによれば、選定された事業者の提案では、20年間で約86億円のコスト縮減効果が見込まれるということですが、そのようなことが本当にできるのでしょうか。
下水道事業で実際に働く人にしわ寄せがいくことも心配されます。

今回の浜松市の下水道民営化は、外資を入れた会社に運営権を売却するという先例をつくることに主眼があるように思われます。

霞ケ浦導水 漁協側、協議会設置求める 和解案近く提示

2018年1月31日
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茨城・栃木両県の那珂川関係の8漁業協同組合が霞ケ浦導水事業の差止めを求めた裁判の1月16日の控訴審で、東京高裁が和解勧告を出しました。

この和解に向けた動きについての記事を掲載します。

 

霞ケ浦導水 漁協側、協議会設置求める
和解案近く提示

(茨城新聞 2018年1月31日) http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15173266009585

霞ヶ浦導水事業で那珂川と涸沼周辺の生態系が破壊され漁業権が侵害されるとして、流域の4漁協と栃木県の漁連が国に那珂川取水口(水戸市)の建設差し止めを求めた控訴審の和解協議で、漁協側弁護団は、同事業によって流域の水産貞源に影響が出ないよう、取水口の運用などについて、国側と漁協側が随時意見を交わす協議会の設置を求めていく方針であることが30日、分かった。2月初旬にも捉出する和解案で示すとみられる。

漁協側弁護団によると、和解協議に向けた流れは昨年7月、動き始めた。東京高裁(都築政則裁判長)から「(逆送水は)必要やむを得ざる場合だけにする」などとする案を打診されていた。

これを受け、漁協側弁護団は昨年11月、取水口の運用について、国側と意見交換の場の設置をはじめ、霞ヶ浦から那珂川に水を送る「逆送水」に4漁協や漁連の同意を必要とする取り決めや、ふ化したばかりのアユの吸い込みを防ぐ10月~翌年4月の夜間取水停止などを求めた、たたき台を示した。ただ、この時点では和解協議に向けた進展には至らなかった。

その後話し合いを経て、今月16日に開かれた第8回口頭弁論では、裁判所側が原告、被告双方に和解を勧告した。都築裁判長は「話し合いによる解決が双方の利益になる」などと説明。国側は「和解に応じるかということも含めて
今後検討する」、弁護側は「異存ありません」と応じた。

漁協側弁護団は昨年のたたき台を見直し、2月初旬にも国側、裁判所側に和解案を提出した上で、2月22日の和解協議に臨む考え。和解協議は3月にも3回開かれる予定だ。

控訴審では、漁協側弁護団はアユのふ化の時期を特定する謳査結果を踏まえ、国側がアユの吸い込み防止策として示した10、11月の夜間取水停止では不十分などと主張。逆送水の影響により、涸沼のシジミにかび臭が移る恐れがあるとも訴えてきた。
一方、国側は「12月に取水制限を行えば足りる」などと反論。かび臭物質は一部が涸沼に流入する可能性があっても、那珂川河口部の海水などで希釈されるとしている。(小野寺晋平)

熊本)川辺川利水事業終了へ 着手から30年以上

2018年1月26日
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既報のとおり、川辺川ダムを前提とした川辺川利水事業が廃止になりました。
2003年に灌漑事業の同意率3分の2が虚偽であるとする福岡高裁の判決が出て、川辺川利水事業は白紙になりましたが、それから約15年経ってようやく廃止です。
一方、川辺川ダム事業の方は2009年に政府の方針として中止になりましたが、ダム基本計画はいまだに廃止されていません。
川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画がまだ策定されていないからです。
ダムなしの河川整備計画を策定するための「球磨川治水対策協議会・ダムによらない治水を検討する場」は昨年1~2月に意見募集を行った後、活動がストップしています。www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/damuyora/index.html
国土交通省が設定した河川整備計画策定の枠組みが川辺川ダムを必要とするようなものになっているので、いつまで経っても、ダムなしの整備計画がつくられません。
その枠組みを根本から見直すことが必要です。

熊本)川辺川利水事業終了へ 着手から30年以上

(朝日新聞熊本版2018年1月26日)https://digital.asahi.com/articles/ASL1T3Q42L1TTLVB002.html

国が中止を表明した川辺川ダム建設計画に関連して、ダム湖から農業用水を引くなどの国営川辺川総合土地改良事業(利水事業)が、着手から30年以上を経て3月にも正式に終了する見通しとなった。農林水産省が農家の一定の同意を得て、かんがい事業の廃止と区画整理事業や農地造成の変更(規模縮小)計画を今月11日に決定。人吉球磨地域の関係6市町村の役場で計画書縦覧などの手続きが始まっている。
九州農政局川辺川農業水利事業所(人吉市)によると、事業終了に向けた変更計画に関する農家の同意取得は昨年4月に始め、同10月25日現在でかんがい(対象農家5380人)、区画整理(同2108人)、農地造成(同312人)とも同意率が7割を超え、法的に必要な3分の2以上に達した。同意を得られなかったのは相続の未登記や行き先不明で連絡が取れないケースがほとんどだという。
計画書縦覧は役場で今月15日に始まり来月9日まで。翌10日から26日まで審査請求を受け付ける。郵送を含めた請求がなければ3月2日に計画が確定する。
川辺川利水事業は1984年に始まり、当初は6市町村の計3590ヘクタールの農地に送水する計画だった。だが、94年に事業規模を縮小した際、国による農家の同意取得手続きで不正があったとして住民らが国を提訴。この「川辺川利水訴訟」で2003年、農地造成を除くかんがいと区画整理の2事業について国が取得したとしていた対象農家の同意が、法的に必要な3分の2に達していないと福岡高裁が認定し判決が確定。利水事業は中断し、09年の川辺川ダム建設中止に至る大きな転機となったとされる。
川辺川利水訴訟原告団長の茂吉(もよし)隆典・相良村議は「(事業が終了しても)農水省は既存農地の水利施設の保守や改修をしっかりやってほしいと申し入れたい」と話している。
国が1966年に計画を発表し、2009年に中止となった川辺川ダム建設に反対してきた住民運動の資料集が昨年11月、刊行された。会報や機関紙、ビラ、訴状、意見書、個人の手記などを網羅した全9巻と解説書1冊に加え、旧水没予定地で暮らす住民や運動団体の代表らのインタビューを収録したDVDが付いている。
資料の編集に携わり、解説も書いた高知大学地域連携推進センターの森明香(さやか)助教(環境社会学)は「川辺川ダムをめぐる問題で、ビラや住民の学習資料などがまとまった形で表に出るのは初めて。当時は何が問題と認識されていたかがよくわかる」と話している。
定価は1セット25万円。県内では熊本市立図書館がすでに収蔵しているという。問い合わせは出版した「すいれん舎」(03・5259・6060)へ。(村上伸一)

川辺川ダム建設反対運動資料集

<田んぼダム>大雨を貯めて下流の洪水軽減 宮城県が試験研究へ 効果や課題探る

2018年1月26日
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宮城県でも田んぼダムを進めるという記事を掲載します。

安価で有効な治水対策ですので、もっともっと普及してほしいと思います。
なお、田んぼダムの効果については農林水産省の資料がありますので、お読みください。農林水産省の資料 20160311

 

<田んぼダム>大雨を貯めて下流の洪水軽減 宮城県が試験研究へ 効果や課題探る
• (河北新報2018年1月24日)http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201801/20180124_11019.html
(写真)新潟県で導入されている「軽量落水升」(手前)などの説明を受ける参加者
2015年の宮城豪雨(関東・東北豪雨)をはじめ県内で豪雨被害が多発傾向にあることから、県は新年度、降った雨を一時的に田んぼにため、下流部の洪水被害の軽減を図る「田んぼダム」の試験研究に栗原市などで着手する。

田んぼダムは、豪雨時に排水路に戸板を設置するなどして田んぼの排水量を減らし、河川流量の急増を緩和する仕組み。東北では山形、秋田両県で一部導入されている。
試験では、県古川農業試験場(大崎市)が新潟県内で導入されている板材を挟んで使うポリエチレン製の「軽量落水升」を落水口に設置する手法などの効果を確かめ、稲作への影響も調べる。遠隔操作のシステムも検証し、農家の負担やコスト面についてデータを収集する。
県は15日、大崎市の県大崎合同庁舎で田んぼダムの研修会を開催。自治体や土地改良区の関係者ら約110人を前に、関東・東北豪雨で被害があった栃木県小山市周辺での田んぼダムの導入効果予測などについて宇都宮大の田村孝浩准教授(農村計画)が報告した。
田村准教授は、導入で豪雨による水没面積が大幅に減るとのシミュレーション結果を提示。費用が遊水池やダム建設などに比べて大幅に抑えられる一方、被害が予測される地域より上流部の農家の協力が不可欠なため「受益者と負担者が別で、だれがどう費用負担するかという問題もある」と指摘した。
新年度、県は栗原市内で試験を行うほか、田んぼダムの効果があるとされる流域面積の20%以上を試験地にできる地域を募る。県古川農試の担当者は「まずは新潟県などの方法が県内で合うのか、効果や農家の負担などについて検証していく」と話す。

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