水源連:Japan River Keeper Alliance

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事務局からのお知らせ

2,500億円をつぎ込み、巨大な調節池を三つ造る荒川の洪水対策の無駄

2017年4月17日
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 埼玉県と東京都を流れる荒川の中流部に約2,500億円もかけて、巨大な洪水調節池を三つ造る計画が進んでいます。
新規のダム建設が困難になってきたため、巨額の費用を要する河川開発事業として計画されたものと考えられます。

荒川調節池計画の問題を考えるチラシが作られました。シンプル版と詳細版があります。次のとおりです。

荒川調節池問題のチラシ  シンプル版

荒川調節池問題のチラシ  詳細版

 

「八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会」http://yambasaitama.blog38.fc2.com/ が荒川調節池計画の問題に取り組んでいますので、
皆様もこの問題に関心をお寄せください。
以下、荒川調節池計画の概要と問題点を記します。

*計画の概要

埼玉と東京を流れる一級河川の荒川では1973年に旧建設省により、荒川の洪水・渇水対策として中流部に5つの調節池群の構想がつくられ、そのうち、1999年3月に荒川第一調節池が完成しました。

残りの調節池は机上のプランだと思われていたのですが、2016年3月策定の荒川水系河川整備計画で、第一調節池の上流に治水専用の荒川第二、第三、第四調節池をつくることが決まりました。

荒川第二~第四調節池の予定地は、下流側はさいたま市桜区、志木市から、上流側は桶川市、川島町まで及ぶ広大なものです。

池内面積は第二、第三、第四節池の合計で約14㎢にもなり、既設の第一調節池の2倍以上になります。

洪水を貯めるために長い堤防を築き、池内の掘削を行います。

 

調節池の必要性への疑問

① 第二~第四調節池は、戦後すぐのカスリーン台風洪水の再来に備えて必要とされていますが、
当時と比べて森林の環境整備が格段に進み、山の保水力が高まっています。
当時のように大きな洪水にはならなくなっています。

② 第二~第四調節池の必要性は机上の洪水流量計算から求められたもので、荒川の現状を反映して
いません。

③ 荒川中流域の広大な河川敷には1954年に横堤(左岸14箇所、右岸12箇所)がつくられ、遊水機能
が強化されていますので、洪水調節はこれで十分です。

④ 2004年完成の荒川第一調節池で、今まで越流があったのは、
2007年9月洪水だけで、その越流量はわずか3万㎥、
調節容量3,900万㎥の1/1000で、余裕が十分にありました。
これ以上の調節池の建設は不要です。

⑤ 第二~第四調節池の建設に約2,500億円という巨額な予算を
投じるよりも、河川堤防の強化、越水しても破堤しない堤防
の整備を推進する方が、はるかに有効な治水対策になります。

*予定地の豊かな自然

日本有数の広大な高水敷には、かつての荒川の蛇行形状と自然環境をとどめる旧流路や周辺の湿地、ハンノキ等の河畔林が見られ、多種多様な動植物の生息・生育環境を形成しています。

旧流路の水域には、ヒシ等の水生植物、トウキョウダルマガエル等の両生類や、メダカ等の魚類が見られ、湿地のヨシ群落と周辺のオギ群落は、オオヨシキリ等の鳥類やカヤネズミ等の哺乳類の生息場として利用されています。
ハンノキ等の河畔林には、ミドリシジミ等の昆虫類も生息しています。(「荒川上流河川維持管理計画」より)
 

各ダムの平成29年度予算と予算の推移

2017年4月4日
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2017(平成29)年度の各ダムの予算額がきまりました。

直轄ダムと水資源機構ダムの2017年度予算は、国交省のホームページ

http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/yosan/gaiyou/yosan/h28/h28damyosan.pdf の予算案と同じです。

補助ダムの2017年度予算は、事業実施箇所(当初配分)

http://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_001112.html  の中に示されています。

例えば、石木ダムについては長崎県を開くと、最初に道路局の予算、次に国土保全・水管理局の予算が書かれていて、

石木ダムの事業費が5.88億円となっています。

 

石木ダムの最近5年間の予算の推移は次のとおりです。

2013年度 8.40 億円  2014年度 14.90億円  2015年度  9.20 億円  2016年度 1.20億円   2017年度 5.88億円

 

各ダムの2009~2017年度の予算の推移を整理しました。参考までにご覧ください。

直轄ダム・水資源機構ダムの予算(2009~2017年度)

補助ダムの予算 (2009~2017年度)

穴あきダムの危険性 県営浅川ダム 本格運用へ(2017年3月15日)

2017年3月15日
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長野県の浅川ダムの運用が近く開始されます。その記事を掲載します。

住民側はダム直下の断層が活断層であることなど、ダムの危険性を裁判で訴えてきましたが、3月2日の東京高裁判決は残念ながら、住民側の敗訴でした。
浅川ダムは穴あきダム(流水型ダム)ですが、流水型ダムについて強く心配されることは、大洪水時に流木や土砂などで洪水吐きが詰まって、洪水調節機能が失われてしまうことです。常用洪水吐の手前に鋼製のスクリーンを設置して、流木等の流入を防ぐとしていますが、山腹が崩壊したような大洪水時には、枝葉が付いた樹木そのものが土砂とともに一挙に流出してくるでしょうから、鋼製スクリーンは流出樹木や土砂で覆われて、通水能力が激減してしまうことが予想されます。
流水型ダムの問題は、その例が極めて少なく、歴史がまだ浅いことです。日本で最も古い島根県の益田川ダムさえ、完成してから約11年しか経っていません。その後、完成した流水型ダムは石川県の辰巳ダムですが、完成してから約4年です。

日本での流水型ダムの実例は現在はたったこれだけであり、しかも、益田川ダムや辰巳ダムではいまだ大洪水が来ておらず、大洪水が来た時に、流水型ダムの小さな洪水吐きが閉塞することがないのか、鋼鉄製スクリーンの周辺がどうなるのか、全くの未知数なのです。

さらに、浅川ダムの場合、流域面積が小さいため、常用洪水吐きの断面積が1.9㎡しかなく、他の流水型ダムと比べると、

流水型ダムの諸元のとおり、非常に小さいので、大洪水時に詰まって洪水調節機能が失われてしまうことが強く危惧されます。

県営浅川ダム 本格運用へ 専門家委「安全に機能」

(信濃毎日新聞2017年3月15日)http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170315/KT170314ATI090018000.php

県営浅川ダム(長野市)建設工事の安全対策などを確認する学識者らの施工技術委員会(委員長・富所五郎信州大名誉教授、6人)は14日、長野市で開き、「ダム本体は安全に機能する」と総括した。県は近く、ダムを施工した共同企業体(JV)から引き渡しを受け、全国4例目の「穴あきダム」として運用を始める。
この日は委員がダム内部に入り、各種計器などを見て回った。その後、長野市浅川公民館に移動し、県側からダムに水をためて安全性を確認する「試験湛水(たんすい)」の報告を受けた。
県側は、昨年10月〜今年2月に実施した試験湛水の結果を数値で示し、ダムからの異常な漏水や傾き、貯水池周辺の地滑りの危険性などはなかったと説明。技術委はこれを受け、「適正な施工により品質が確保され、試験湛水の観測結果について異常は認められず、ダム本体は十分安全に機能すると評価する」とした。
一方、ダム建設に反対する流域住民らは14日、建設にかかる公金支出の差し止めを求めた訴訟で住民側の請求を退けた2日の東京高裁の二審判決を不服とし、最高裁に上告すると発表した。
浅川ダムは治水専用ダムで2010年に本体工事に着手。通常時はダム下部にある「常用洪水吐(ば)き」(高さ1・45メートル、幅1・3メートル)から水を流し、洪水時は自然に水がたまる仕組み。ダム本体の高さは53メートル、上部幅165メートルで、総貯水容量は110万立方メートル。県はダムを含む流域の治水水準について「100年に1度」の大雨(日雨量130ミリ)に対応できる規模とする。総事業費は約380億円。舗装といった残工事を経て7月に完成式を開く計画だ。

ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)」のパブリックコメントへの意見〈2017年3月14日)

2017年3月14日
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環境省が「ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)」について2017年3月17日(金)までパブリックコメントを行っています( 下記のとおりです)。
利根川流域市民委員会主催の昨年9月のシンポジウム「ウナギが生きる川を取り戻す」に登壇された海部健三・中央大学准教授が事務局としてまとめたものです。
ウナぎが生息できる川を取り戻すことを前面に打ち出しており、なかなかよくできた「考え方(案)」であると思います。
ウナぎが生息できる川を取り戻していきたいと思いますので、次の意見を提出しました(嶋津暉之)。
参考までにお読みいただければと思います。

「ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)」http://www.env.go.jp/press/files/jp/104760.pdfと、

「ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)概要)」http://www.env.go.jp/press/files/jp/104761.pdf

「ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)」に関する意見の募集(パブリックコメント)について

http://www.env.go.jp/press/103649.html

 今般「ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)」をとりまとめました。本案について広く国民の皆様から御意見をお聞きするため、平成29年2月16日(木)から3月17日(金)までの間、意見を募集いたします。

1.概要

 ニホンウナギ(Anguilla japonica)は、外洋のマリアナ諸島西方海域に産卵場を持ち、東アジアの沿岸域で成長する降河回遊魚であり、一生の大部分を河川や沿岸域等で過ごすと言われていますが、ニホンウナギの個体数は、1960年から70年代と比較すると、大きく減少しており、河川や沿岸域等の生息環境の変化が個体数の減少要因の一つとなっていると考えられます。

 これを踏まえ、ニホンウナギが生息する河川や沿岸域等の保全や管理に携わる機会があると考えられる各主体に対して、ニホンウナギの保全の基本的な考え方と技術的な手法の例を示すことで、今後、ニホンウナギの生息地保全を行う際の参考となるよう「ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)」をとりまとめましたので、国民の皆様から意見を募集します。

2.意見募集要項

(1)意見募集対象

ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)

(2)資料の入手方法

 「ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)」は添付資料に掲載するとともに、環境省自然環境局野生生物課で閲覧・入手することができます。

 郵送を希望の方は、140円分の切手を添付した返信用封筒(A4版が入るもの)を同封して、環境省自然環境局野生生物課まで郵送でお申し込みください。

(3)意見提出期間

平成29年2月16日(木)から平成29年3月17日(金)までの30日間

(4)意見提出方法

 意見は別添様式による文書で、必要項目(氏名、住所、電話番号、該当箇所、意見の内容等)を記入して、郵送、ファックスまたは電子メールで、平成29年3月17日(金)まで(必着)に下記の宛先まで提出してください。

 なお、電子メールで意見提出を行う場合は、別添様式ファイルを利用し、添付ファイルとして提出してください。メールの件名は「ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)に対する意見」としてください。

<宛先>

・郵送  〒100-8975  東京都千代田区霞が関1-2-2  環境省自然環境局野生生物課

・ファックス  03-3581-7090

・電子メール  shizen_yasei@env.go.jp

連絡先

環境省自然環境局野生生物課
直通 03-5521-8282
代表 03-3581-3351
課長   植田 明浩 (内線6460)
課長補佐 中島 慶次 (内線6465)
係長   有山 義昭 (内線6670)

大阪市水道民営化の動きとその問題点

2017年3月10日
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 水道民営化の道を開く水道法改正の閣議決定が3月7日に行われました。水道施設に関する公共施設等運営権を民間事業者に設定できる仕組みを導入するというものです。
これを先取りして民営化を進めようとしているのが大阪市水道です。
今年1月に大阪市は「水道事業における公共施設等運営権制度の活用について(実施プラン案)平成27年8月修正版」を公表しました。http://www.city.osaka.lg.jp/suido/page/0000324186.html#2
これはPFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)を活用し、大阪市水道設置条例を改正して、公共施設等運営権制度を導入するというものです。
この大阪市の水道民営化の動きに対してその問題点を指摘する論考「市民に悪影響なのに 大阪市水道民営化のなぜ」がありますので、参考までにお送りします。
これを読むと、公共施設等運営権制度を導入して水道の民営化を進める意味が一体どこにあるのかと思います。

市民に悪影響なのに 大阪市水道民営化のなぜ

(ニュースソクラ 2017/1/6(金) 13:00配信) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170106-00010002-socra-pol

維新の「大阪都構想」へのこだわりが背景に

今、大阪市では大阪維新の会の市長が打ち出している水道事業の民営化を巡って、市議会が紛糾している。民営化されれば全国初だが、品質の維持や安定供給できるのかなどを巡って議論は紛糾、可決には至らず、継続審議案件となった。「貧乏人は水も飲めんようになるのか」という反発も広がっている。
大阪市の水道民営化の出発点は2008年にさかのぼる。タレント弁護士から転身して大阪府知事に就任したばかりの橋下徹・前府知事が、大阪府守口市の淀川沿いに大阪府と大阪市の浄水場が近接して建っているのを「二重行政」と批判して、水道事業の統合協議が始まった。
大阪府も大阪市も水道施設は水の需要を大きく上回る処理能力があり、数字上は「一つでも賄える」。そのうえ、高度経済成長時に整備が進んだ水道管などの設備が更新時期を迎え、多額の費用がかかることも背景にあった。
しかし、協議に入ると大阪府、大阪市だけでなく、大阪府から水供給を受けている衛星都市も含めて思惑や利害が対立し、2010年に大阪府と大阪市の水道事業統合は破たん。翌年、大阪府で水道事業を担当する府水道部を府から切り離して「大阪広域水道企業団」という一部事務組合とし、市町村は各自の判断でこの企業団に参加することとなった。
一方、大阪市は、2011年12月に府知事からくら替えした橋下・前大阪市長が就任し、水道事業の一本化に再チャレンジする。大阪市水道局を企業団に統合する協議が大阪市と企業団の間で始まった。
しかし、企業団の一員になると「安さが自慢」の大阪市の水道料金が維持できないと予想されることなどから、大阪市議会は2013年5月、企業団との統合を「市民にメリットなし」と否決した。橋下前市長は2010年4月に旗揚げした地域政党「大阪維新の会」の代表であり、大阪市議会でも維新が与党ではあったが過半数はなかったためだ。
すると、大阪市議会が企業団との統合を否決した翌月、大阪市長、副市長以下、市幹部職員らで構成される「大阪市戦略会議」の方針として「水道事業の民営化の検討」が発表された。
これは、同じ頃に閣議決定された安倍政権の「骨太の方針」と成長戦略に歩調を合わせたもの。大阪市議会が大阪市の水道事業は独立路線を選択したため、橋下前市長が「二重行政の解消」と振り上げた拳の下ろし先が「民営化」になったのだ。
そもそも、何のための民営化なのか。大阪市水道局は、高品質の水を安い料金で提供してなお年間約100億円の黒字を確保している。リスクを冒して民営化に踏み切る状況にはみえない。
2015年12月に橋下前市長からバトンタッチした吉村洋文・大阪市長は、民営化によって水道料金が値下がりしたら市民にアピールできる「実績」になると考えているふしもある。
吉村市長は、「人件費削減による効率化」を全面に打ち出している。大阪市の試算では、民営化したら30年間で910億円のコスト削減ができ、一方で法人税や法人住民税で570億円の負担が発生するため、吉村市長は政府に税制優遇措置を求めている。
吉村市長の号令の下、大阪市が検討する民営化とはどんな形態なのか。まず、水道局を市から切り離して「株式会社」に改組し、市の100%子会社にするとしている。3~5年後をめどに株式を売却して民間出資を受け入れる方針だったが、これは議会や市民の反発を招き、吉村市長は株式売却については発言しなくなった。民間出資の方向性をあいまいにしているため、株式「上場」の話には至っていない。
問題は、世界各地では民営化が水質の悪化や水道料金の高騰を招き、巨額のコストを負担して公営に戻す自治体が続出していることだ。パリ、ベルリン、アトランタなど先進国の都市でも再公営化されている。
具体的にどんな問題が生じたのか。アトランタでは人員削減と料金値上げの末、浄化処理のレベルを落としすぎて水道の蛇口から茶色の水が出たこともあった。インディアナポリスでは、何百万人もの市民に対し「水道水は煮沸してから使用するように」という警告が発せられ、学校が休校になるところまで追い詰められた。
既にこれほどに、海外で失敗例があるのに、今更なぜ民営化なのか。市民の間からは「時代遅れの政策」と反対運動もでてきている。
長年にわたって大阪の水道事業をウオッチしているNPO法人「水政策研究所」(大阪市北区)の北川雅之理事は「人口減少などで水道事業を支え切れなくなっている中小の自治体と、水道が優良公営事業である大阪市では事情が違う」と話す。
「安倍政権は成長戦略で上下水道事業の民営化を打ち出しているが、水道供給に負担の大きい中小の自治体が民営化という形で人件費を削減して乗り切る逃げ道を作ったに過ぎない。生命維持に不可欠な水の供給に携わる仕事でむやみに人件費を削っていいのかという問題もあるし、大阪市がそんな方針に乗っかるのは優良な水道サービスを享受している市民の利益を考えていない」と語る。
では、大阪市の水道事業は未来永劫、安泰かと言えばそうではない。人口減少などにより今の水道料金では二十数年後に「赤字」になるという試算もある。しかし、需要の低下は民営化しても避けられず、むしろ、そういう事態が想定されるからこそ、「命の水」は公営で支えるべきものだ。
民営化=コストカット=商品の値下がり=消費者にメリット、という考え方は水道事業にはあてはまらない。水道は洋服を買うように消費者が自由に商品を選べない。民営化=コストカット=水道サービスが悪化=消費者に被害、もしくは、民営化=会社の利益優先=水道料金の上昇=消費者に被害、という結果は海外の失敗例を見ても容易に予想される。
大阪市営事業の民営化を考える上で、松井一郎府知事、吉村大阪市長をはじめ大阪維新の会の政治家たちが、2015年5月の住民投票で否決された「大阪都構想」にまだこだわっていることを忘れてはならない。
大阪市を廃止して東京のような特別区に解体するのが大阪都構想なので、大阪市営事業は邪魔なのである。大阪市がなくなれば、大阪市営事業は混乱が避けられないからだ。
前述の水政策研究所の北川理事が更に問題点を指摘する。「今後、水需要が高まる予測はなく設備過剰は確実なのだから、浄水場の規模を半分にして、土地の販売を売却したら大阪市の収入になる。設備縮小だって10年がかり。早く手をつけるほど早く合理化できるのに、民営化計画が出て来て設備縮小の話はストップしてしまった」と民営化論議が、必要な政策の先送りにつながっているという。
「二重行政の解消」という大阪維新の会の看板に端を発した大阪市の迷走はいつまで続くのだろうか。
■幸田 泉(ジャーナリスト)
立命館大学理工学部卒業。1989年に大手新聞に入社。大阪本社社会部で大阪府警、大阪地検など担当。東京本社社会部では警察庁などを担当。2012年から2年間、記者職を離れて大阪本社販売局に勤務。2014年に退社し、販売局での体験をベースに書いた『小説・新聞社販売局』(2015年9月、講談社)がその赤裸々さゆえにベストセラーに。
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