事業認定庁九州地方整備局への報告・説明会 報告 石木ダム関係
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報告・説明会の報告
8月27日午後二時から石木ダム事業に反対している長崎県内5団体と石木ダム対策弁護団が、起業者である長崎県と佐世保市に提出してきた「石木ダムの必要性に関する公開質問状」への回答・説明会で明らかになったことを九州地方整備局に報告・説明しました。事業認定庁である九州地方整備局が事業認定処分の根拠とした起業者からの提出書類に、意図的な説明不足と虚偽記述があったことを報告・説明して、再調査・再審査を求めることを目的とした取組みです。
九州地方整備局からの対応者は建政部計画建設産業課の井上課長補佐でした。当方は事前に九州地整から「30分、5人まで」との通告を受けていたので何とか広げて8人が会場に入りました。50人近くの仲間は九州地整の1階で待機、というひどい扱いでした。
井上課長補佐は「30分でお願いします。記録要員も同行しています。記録に正確を期するため、録音を取らせていただきます」となんとも機械的な発言で始まりました。
- 平山弁護士が「今日の趣旨」を話してから、本題に入りました。
- 提出済の報告書を読まれているという前提で話を進めます。
- 長崎県、佐世保市への公開質問状への説明において判明した、それまでに公開されていなかった事実を整理し、事業認定の前提となる事実につき、九州地方整備局に県や市が提出した資料に誤りや恣意的記載があるということで報告をし、更に再調査・再検証を求める内容になっています。
- 治水面と利水面に分けて話を進めます。先ずは佐世保市水道局との遣り取りで明らかになったことの報告・説明です。
- 八木弁護士報告内容 平成6年渇水問題と生活用水の需要予測について報告しました。
- 佐世保市が事業認定庁に挙げた「石木ダムが必要とする説明」には、「恣意的なデータ解釈・恣意的な表現」が多々あることを佐世保市も認めたということを中心に報告します。
- H6-7年渇水の重大さが回答・説明会で強調されています。佐世保市はH6-7年渇水が現在再来した場合の検証はデータ不備のため行っていないことが分かりました。H6-7年渇水を以て、石木ダムの必要を強調するのは実態を踏まえることなく恣意的であると考えます。
- 「H19年の渇水で生活用水原単位が激減した」、「生活用水原単位が近年増加傾向にある」「生活用水原単位が現在低いのは我慢しているからであって受任限界を超えている」と佐世保市は強調していますが、実態・実績と異なる恣意的な表現です。
- 佐世保市水道局自身が、恣意的表現を用いたことを認めています。
- 水需要予測でH25年度からH26年度にかけて一日最大給水量が急に1万㎥/日跳ね上がるとしていることの根拠を求めたところ、「数字を積み上げるとそうなる」というのみで、何故そうなるのか合理的な説明をもらえていません。
- これらデータの積み上げや恣意的表現などが事業認定の判断を誤らせた恐れがあるので、石木ダムの必要性について充分に検討いただきたい。
- 毛利弁護士報告内容
- SSK使用量急増・「売上高二倍になる」は間違いであることを佐世保市は認めました。
- 「SSK修繕船売上げ割合が2倍になるので水使用が2倍になる」としていますが、それは修繕船が同時に2隻ドックインした場合のことで、その可能性については言及がされていません。根拠のない需要予測です。
- 実際は極めて低いケースを想定した、いわば年間最大使用水量を、一日平均使用水量として採用するのは、概念が違うものを同じものとして扱っているので間違いです。
- 業務営業用水について、観光客が増えると水需要が増えるとしています。佐世保市の観光事業は延びていません。もしそうであるとして、観光客が増えるという状況は想定しにくいので、業務営業用水の需要が増えるとは思われません。
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遠藤補足
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水需要予測は年間一日平均使用水量を求め、それを毎日の使用量の揺らぎを考慮して年間一日最大の揺らぎとしての負荷率で割って年間1日最大使用量としている。よって、1日平均使用水量として、最大使用水量を用いるのは、水需要予測のルールを外れていることを認識いただきたい。
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平山弁護士
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水源確保について、①慣行水利権を不安定水源としたうえ、水量をゼロとして水源量に加えていない問題、②小佐々地区水源の評価、③下の原ダムの嵩上げによる保有水源量の評価、について答えをもらえていません。佐世保市が回答を拒否したと言うよりも答えられない、と評価すべきであり、結果的に我々の疑問が正しかったものと考えています。
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治水面
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利水面も含め、質問事項に書面による回答はなされていない。
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長崎県は石木ダムがないと過去の水害に対応できないかのような広報をしていますが、これまでの説明会で、「石木ダムがなくても過去の水害は防げる」ことが確認できています。
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件が想定している1/100の降雨においても、降雨9パターンのうち8パターンは石木ダムなしでも河道整備が完了することで防ぐことができることが確認されています。
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石木ダムができると、過去の水害(外水氾濫・内水氾濫・支流氾濫)それぞれの原因にいかなる・具体的効果があるのか、科学的検証がされていません。
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治水代替案については、山道橋1,130㎥/秒を超え1,400㎥/秒(野々川ダム効果を入れると1,320㎥/秒)までの洪水に対する代替案とはなっていません。山道橋1,130㎥/秒を超え1,320㎥/秒までの流量調整施設、山道橋を1,320㎥/秒流下しても対応できる下流河道の整備(河道掘削)、の検討が必要です。これらの検討がされていないことが問題です。
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長崎県と佐世保市は事実に基づかない虚偽もしくは恣意的な報告をしていると私たちは考えています。
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それによって私どもも九州地方整備局も騙されてきたと思います。ここで報告した問題で回答がされていない点について、長崎県と佐世保市に再検証を求めていただき、あがってきた回答に基づいて再検証をしていただきたい。
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今後の長崎県・佐世保市との遣り取りで明らかになったことがあれば、九州地方整備局に報告し、再度調査を求めていきたいと考えています。
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遠藤補足
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保有水源
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77,000㎥/日を安定水源としています。28,500㎥/日を不安定水源とし、水源としてはゼロとみなしています。本当にそれらの水量がゼロなのか認定庁は審査していません。不安定水源はどの程度使えるのかおさえて頂きたい。
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治水
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事業認定が下りたのは2013年9月6日。その前には、今回明らかになった、川棚川がまもなく計画高水1,130㎥/秒対応になることが分かっていたはずです。事業認定判断にその情報が使われていたならば、判定が異なっていたのではないかと推測されます。この情報に基づいて、判定をやり直して欲しいというのが今回の報告の一番の目的です。
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平山弁護士
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相互の自己紹介を提案
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相互自己紹介
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岩下さん 地権者として
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地方整備局に、県や佐世保市が言っていることが正しいのか検証をお願いしたが、昨年9月6日に事業認定が下りてしまった。
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県にたびたび公開質問状を出したが、「事業認定されたことだから」として県は回答拒否を続けてきました。
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県は今は説明を始めたが、収用裁決申請を9月8日に行うことを決めている。
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認定庁はその前に私たちが要求してきた県や佐世保市の精査を、今からでも遅くないから開始して頂きたい。
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長崎県は「事業認定は認定庁がしたことだから長崎県には責任はない。」というようなことまで言っています。
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これによって私たちの家が採り上げられようとしています。不必要なダムについては絶対反対と私たちはずっと言ってきた。
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長崎県の言う話合いは補償協定のことだけです。この間40年、長崎県は「石木ダムが本当に必要か」という話合いをやってこようとしなかったんです。九州地方整備局に何回か要望書を出してきたわけなんです。しかしそれが受入れられず、事業認定がされてしまいました。今からでも遅くないから「石木ダムは必要か」についてもう少し詳しく精査して頂きたい。
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地権者13世帯60名近くと残存地区住民が反対しています。反対を続けていきます。本当に必要か、ということはあり得ないんです。190㎥/秒を40分間調節するには石木ダムより遙かに少ない容量、経費で済みます。
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審査請求などもしているので、もう一度、精査をよろしくお願いします。
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平山弁護士 まとめ
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今回の報告・要請は、長崎県・佐世保市が公開質問状に回答ができなかった事実、認定庁に対して恣意的記載・虚偽の記載がされていたという事実、を明らかにすると共に、その点について九州地方整備局に再調査と再検証を求めるものです。
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多数の人々に重大な利害、影響を与えるということを踏まえて、今回の要請を受入れていただき、再調査と再検証をして、その結果を私どもに教えて欲しい。
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井上課長補佐
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今日はなされたことは上司に伝えます。
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以上で対応を終わらせて頂きます。
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岩下さん
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回答について連絡は
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井上課長補佐
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この場では話せないので、その県も含め、上司に伝えます。
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平山弁護士
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連絡は私までお願いします。
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文責 遠藤保男
参考資料
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2014年8月27日 九州地方整備局に提出した報告書 pdf 242kb
実況ビデオ
- 「石木ダム問題 九州地方整備局申し入れ 2014年8月27日」 42分
http://youtu.be/3OMAzw-pcWA
マスコミ報道
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