水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース > 2021年11月

ニュース

2021年11月

ギャラリーは反石木ダム団結小屋 「抗議の現場、ふらっと来て」

2021年11月9日

長崎県川棚町川原地区に住むイラストレーターこうばるほずみさんが反石木ダム団結小屋にアトリエ兼ギャラリーをオープンさせました。

その記事を掲載します。

 

ギャラリーは反石木ダム団結小屋 「抗議の現場、ふらっと来て」

(西日本新聞2021/11/7 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/827929/

「団結小屋」にオープンした石木川ミュージアム

長崎県川棚町川原地区に住むイラストレーターこうばるほずみさん(39)は6日、同地区の「団結小屋」でアトリエ兼ギャラリーをオープンさせた。石木川流域の自然や歴史、人の営みを描いた作品24点を展示。ギャラリーは「石木川ミュージアム」と名付けられた。

同地区では石木ダムの建設工事が進み、事業に反対する住民と支援者が工事現場で抗議活動をしている。小屋は40年以上前、事業を進めようとする県職員を監視する目的で建てられた。

40年以上に及ぶ事業の停滞で、事業への無関心が進んだように感じるというこうばるさんは「たとえ関心を持ち事業を知ろうにも、抗議の現場を訪れる心理的ハードルは相当に高い。ふらっと気安く訪れる空間をつくりたかった」と語る。

支援者らとともにトタンがむき出しだった小屋の一角をリフォームし、ピンクに塗ってポップな空間を演出。「ダム絶対反対」「返り血も浴びる」などの看板が掲げられた外観とのギャップも意識した。「川原地区を知るきっかけになれば」と話す。ギャラリーは土日の午後1~5時に開放する予定。 (岩佐遼介)

石木ダム訴訟、建設予定地の住民ら上告 「平穏に生活する権利」主張

2021年11月3日

石木ダムの建設工事差し止めを求めた訴訟で、住民ら270人が11月1日、住民側の請求を退けた福岡高裁判決を不服として、最高裁に上告しました。

その記事とニュースを掲載します。

 

川棚町の石木ダム建設差し止め訴訟 住民側が上告

(テレビ長崎 2021年11月2日 火曜 午後6:14) https://www.fnn.jp/articles/-/263623

(映像あり)

東彼・川棚町の石木ダム建設をめぐり、建設予定地の住民などが長崎県と佐世保市に工事の差し止めを求めている裁判で、住民側は、10月の福岡高裁の判決を不服として、最高裁に上告しました。

長崎県と佐世保市が東彼・川棚町に建設を予定している石木ダムについて、建設に反対する住民などは、ダムの建設や、県道の付け替え道路工事の差し止めを求め、訴えを起こしています。

福岡高裁は10月21日、「快適な生活を営む権利などの平穏生存権を主張しているが、内容が抽象的で不明確」などとして、請求を棄却しました。

これを不服として住民側は、11月1日、最高裁に上告したということです。

控訴審では、住民側が結審したあとに、2021年8月の豪雨の調査結果などを新たな証拠として提出し、審理の再開を求めていましたが、認められていませんでした。

 

石木ダム建設差止訴訟で住民側が上告

(NHK2021年1月02日 17時50分)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20211102/5030013186.html

(映像あり)

長崎県川棚町で進められている石木ダムの建設に反対する住民などが長崎県と佐世保市に建設工事の差し止めを求めた裁判で、住民側は訴えを退けた2審の判決を不服として、2日までに最高裁判所に上告しました。
この裁判は、川棚町で建設が進められている石木ダムの建設に反対する住民などが、ふるさとで平穏に生活する権利が奪われるなどとして、建設工事などの差し止めを求めていたものです。
1審の長崎地方裁判所佐世保支部は訴えを退け、先月の2審の判決でも福岡高等裁判所は「住民が主張する平穏に生活する権利を侵害するおそれは認められない」として、住民側の訴えを退けました。
住民側の弁護士によりますと、この判決について、住民側のうち270人が、不服として2日までに最高裁判所に上告しました。
石木ダムの建設をめぐっては、国の事業認定を取り消すよう求める訴えも起こされましたが、住民側の敗訴が確定しています。

 

石木ダム訴訟 住民側が上告 /長崎

(毎日新聞長崎版 2021/11/2)https://mainichi.jp/articles/20211102/ddl/k42/040/581000c

県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設に反対し、周辺住民や支援者らが県と市を相手取って工事差し止めを求めた訴訟で、住民ら270人が1日、1審長崎地裁佐世保支部に続いて請求を退けた福岡高裁判決を不服として、最高裁に上告した。

住民らは、ダム建設により豊かな自然環境で生活する権利が奪われると主張したが、10月21日の高裁判決は「訴えは抽象的で不明確だ」として、住民側控訴を棄却した。

住民側が国の事業認定取り消しを求めた訴訟は昨年10月、住民敗訴が確定している。

〔長崎版〕

 

石木ダム訴訟、建設予定地の住民ら上告 「平穏に生活する権利」主張

(西日本新聞2021/11/2 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/825504/

長崎県と佐世保市が計画する石木ダム建設を巡り、予定地の同県川棚町住民らが工事差し止めを求めた訴訟で、住民ら270人は1日、一審長崎地裁佐世保支部判決に続いて住民側の請求を退けた福岡高裁判決を不服として、最高裁に上告した。

10月21日の高裁判決は、「自己が選択した土地で継続的かつ平穏に生活する権利」などが侵害されるとの住民側の主張は「抽象的で不明確」などとして、控訴を棄却した。

(吉田真紀)

「今さらどこに出ていくの」ダム完成で水没する川原地区 半世紀続く住民たちの闘い【長崎発】

2021年11月1日

長崎県の石木ダム予定地「川原(こうばる)地区」の現状を伝えるテレビ長崎の追跡ニュースを掲載します。

追跡ニュース 記者の目

「今さらどこに出ていくの」ダム完成で水没する川原地区 半世紀続く住民たちの闘い【長崎発】

(テレビ長崎2021年年10月31日 日曜 午後7:30) https://www.fnn.jp/articles/-/259673

 

長崎県内各地は、いま秋の収穫の時期を迎えているが、川棚町にある川原(こうばる)地区でもこのほど稲刈りが行われた。

初夏は蛍も舞う自然豊かでのどかな地区に、13世帯・約50人が暮らしている。
しかし、ここは長年ダム計画をめぐって県と地元住民が対立している場所だ。

緊迫感が漂う中にあって、親戚や家族総出で収穫作業を行う住民の思いを取材した。

ダム建設予定地に収穫の秋

JR川棚駅から車で10分ほど走った場所にある、石木ダム建設予定地。

ダム事業は、川棚川の水量の調節や佐世保市の水道水の確保のため1975年から始まった。
ダムによって水没する67戸のうち、54戸は移転交渉に応じたが、川原地区の住民たちはふるさとで暮らしたいと立ち退きを拒み続けた。

膠着(こうちゃく)状態が続く中、1982年に県が機動隊を導入して強制測量に踏み切ったことで対立は決定的となり、半世紀近くが過ぎてもその溝が埋まっていない。

1982年 強制測量県が機動隊を導入

だが、2019年には土地の明け渡しを求める裁決が出されたことで土地の所有権は国に移転し、県の行政代執行による強制収用の手続きも可能になった。

住民たちは今、厳しい状態に置かれている。

住民・岩永正さん:
そうですね。(国に)全部取られました

それでも、住民たちは米作りを続けている。

黄金色の米

住民・岩永正さん:
いや、もう昔から作り続けているからですよね。何十年も…。(水がきれいで)この辺でとれる米はおいしかとですよ、他の所に比べると

兼業農家の中島昭浩さんの田んぼには、毎年ふるさとを離れた家族や親戚が手伝いに来ている。

佐世保市在住・青木修さん:
私はここの長女の婿です。農家の農繁期というのは、田植えにしろ、稲刈りにしろ、家族・親戚みんなが集まって手伝いをする。コロナがなかったら、稲刈りが終わったら祝杯をあげて

家族・親戚総出で収穫作業

(Q.毎年、手伝いに?)
川棚町在住・前平佐登美さん:
はーい。お米もらっているので

(Q.こういう時に皆が集まる?)
川棚町在住・明時樹里さん:
そうなんです、これが大好きなんです。恒例なんです。6月は田植えだし。(ふるさとが)なくなって欲しくないですね。小さい頃から慣れ親しんできた所だし。住む所がなくなるんだよということを(皆に)知って欲しいですね

ダムが完成すると、ふるさとを失う住民たち。
工事現場に近い場所にテントを設け、交代で監視をしている。
納得のいく説明を知事に求めているが、対話は実現していない。

体を張って抗議  女性たちも別の場所で座り込みをしている。自分の時間を割き、体を張っての行動だ。

ダム建設で失うもの”…ダム小屋を守る女性たち

同じように、ふるさとを切に残したいと願う人がいる。

工事現場のすぐ近く、集落の入り口にダム小屋と呼ぶ小屋がある。46年前にダム反対の拠点として建てられた。

松本マツさん(94)。マツさんは、午前8時からお昼までダム小屋で過ごす。
マツさんは4世代・9人家族で暮らしていて、週に3回ここに通っている。

松本マツさん:
どうしてって?家ができた時から代々(46年間)先祖様が続けて来たから、ここを閉めるわけにはいかんですもん。1人でも今は来ております

これまで良き仲間がいたが、2人は先立ち、今はマツさんが1人でダム小屋を守りながら工事の動きをじっと見つめている。

「故郷を守る」仲間と 松本マツさん:
川原は住みよか所ですね。人の繋がりがよかですもんね。空気もきれいだし、何も言うことないですもんね(笑)今さらどこに出ていくんですか、ここを離れて

隣の部屋は、新しくギャラリーとして生まれ変わった。

川原地区の自然や暮らしを描いた絵が展示されている。
川原に住むイラストレーターの石丸穂澄さんが描いた作品で、ダム建設で失うものを絵に描いて訴えている。

ここを(人が来るような)話題の場にしないといけないかな。私も運動に加われるように。午前中はおばあちゃん(マツさん)、午後は私がいるようにして

マツさんをはじめ、皆でふるさとを守ろうとしている。
しかし、行政代執行という家屋を没収する強硬手段が想定されている。すでに2021年9月には、ダムの本体工事が始まった。

住民は工事差し止めを求める裁判を起こしたが、2020年の1審に続き、2021年10月の2審でも訴えは退けられた。

佐世保市在住・青木修さん:
寂しいというか、悲しいですよね。県が今後どのように出てくるか。代執行しようと思えばできる状態ですから。多分、今年か来年がヤマと思いますよ

2022年、稲刈りできるのかも分からない。
ダムの建設で得るもの、失うもの、豊かさとは何だろうか…?
川原地区の秋の風景は問いかけている。

(テレビ長崎)

↑ このページの先頭へ戻る