鬼怒川水害が起きてから今日(9月10日)で、早くも2年経ちました。その関連の記事とニュースを掲載します。
水害当時の死者が3人で、その後、関連死として認定されたのが6人です。あくまで認定されたのが6人であって、被災者で亡くなった方はもっと多いと聞いています。
四十五世帯の百十二人が避難生活を続けています。
鬼怒川水害は明らかに国土交通省の瑕疵がもたらしたものです。国家賠償を求める裁判を起す期限はあと1年になりました。
鬼怒川決壊 きょう2年 100人超 今なお避難生活
関東・東北水害により常総市の鬼怒川堤防が決壊してから十日で、二年になった。市によると、八月三十日現在で、四十五世帯の百十二人が避難生活を続けている。避難者に住宅を無償提供する期限は今秋で終わるが、市の聞き取り調査では、行き先が決まっていない人たちもいる。(宮本隆康)
市によると、無償で提供される住宅には、水害で自宅が壊れ、建て替えや大規模修理のめどが立たないなど、短期間で戻れない被災者らが入居した。つくば市内の旧国家公務員宿舎、県営住宅、借り上げ民間住宅の三種類。使用期間は最長二年間とされ、今月末から十二月初めにかけて期限を迎える。避難者は今後、住宅を新築したり、自分で新たに賃貸住宅を借りることになる。
避難者への市の意向調査では、四十五世帯のうち、常総市内で転居する予定は二十三世帯、市外への転出予定が十二世帯、残る十世帯が未定だった。高齢者は市内に戻る人が多く、若い世帯では、つくば市内で賃貸住宅を借りる人もいるという。市は「生活のめどが全く立たないような避難者はいない」と説明する。
水害では、最大で高さ四メートルの鬼怒川の堤防が長さ二百メートルにわたって決壊。これらを含め、国土交通省は三年後の完成を目標に、全長四十四キロで堤防を集中的に整備している。民有地も多く、買収の必要があり、整備に時間がかかっている。
決壊で、市の面積の三分の一に当たる約四十平方キロが浸水した。県によると、市内で四千人以上が救助され、四十四人が負傷し、住宅五千五百棟が全半壊した。死者数は昨年十二月、常総市内の五十~九十代の男女六人が災害関連死と認定され、九人に増えた。
十日には、自主防災組織や市の防災の取り組みの成果を発表する催しが市生涯学習センターで開かれる。常総市三坂町の決壊現場では、石碑が除幕される。
◆被災者を元気に きょう屋外上映会
水害で被災した人たちを元気づけようと、常総市宝町の閉館した映画館「宝来館」の跡地で十日午後五時四十五分から、屋外上映会が開かれる。
駅通り商店街で婦人服店を経営する羽富都史彰さん(57)が企画し、市商工会が主催する。上映されるのは、高齢者の婚活をテーマにした吉行和子さん主演の「燦燦(さんさん)」。出演している俳優の山本学さん、監督の外山文治さんも訪れて、被災者らと触れ合う。
会場では、手描きの映画看板の展示会も開かれる。問い合わせなどはロコレディ水海道本店=電0297(22)1378=へ。
茨城 鬼怒川決壊から2年 生活再建が課題に
石木ダム付け替え道路工事の再開を地権者が阻止しました。その記事とニュースを掲載します。
石木ダム 反対で工事再開できず
(NHK2017年8月18日 18時00分)http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5033121032.html
長崎県と佐世保市が川棚町に建設を計画している石木ダムの工事現場で、県はおよそ3週間ぶりに工事を再開しようとしましたが、建設に反対する地権者らに阻まれ、再開できませんでした。
川棚町の石木ダムの工事現場では先月28日に、重機が搬入され、建設に反対する地権者らが抗議したことから、県は工事を中断するとともに、安全対策などについて話し合ってきました。
17日の話し合いの中で、県側は工事を再開すると明らかにし、18日午前8時半すぎに県の担当者と工事の作業員15人ほどが現場に訪れました。
一方、地権者や支援者らおよそ40人も集まり、工事現場の搬入口や隣接するプレハブ小屋の入り口に立って中に入れないようにし、「無駄なダムはいらない」などと抗議していました。
およそ1時間ほど押し問答が続いたあと、県の担当者は18日午前中の工事を中止すると決定しました。
午後も県の担当者が現場を訪れましたが中に入ることはできず、結局18日は工事は再開できませんでした。
県では引き続き、工事再開に向けて努力したとしています。
県石木ダム建設事務所の有吉正敏所長は「妨害が続いていて非常に危険な状況なので中止とした」と話していました。
地権者の1人は「県にはこれだけの地権者が反対していることの意味を考えて欲しい」と話していました。
石木ダム工事再開を試みるもにらみあい
(テレビ長崎2017年8月18日 18:22)http://www.ktn.co.jp/news/20170818144625/
東彼・川棚町に建設が予定されている石木ダムをめぐり、県は、午前と午後の2度にわたり、中断していた工事の再開を20日ぶりに試みましたが、建設に反対する地権者が反発し、にらみ合いが続きました。
午前9時前、石木ダムの関連工事を再開しようとする県職員に、建設に反対する地権者などが抗議の声をあげます。石木ダムをめぐっては、県が、工事を進めようと先月28日深夜、重機を運び込んだことに地権者が反発。
県は、工事を中断して知事との面会を求める地権者と話し合いましたが、決裂し、「面会と工事は別問題」として、18日からの工事再開を目指しました。
これに対し 地権者側は、工事を再開するなら面会はできないと、反発を強めています。午後1時すぎ、県の職員は、午後からも現場を訪れ、数ヵ所から中に入ろうと試みますが、再び地権者が立ちふさがりました。
「妨害物を撤去してください」
県職員は、およそ50分にわたって、出入り口を写真に撮るなど現場の様子を確認していて、工事を進めるため、手段を検討する方針です。
石木ダム建設事務所 有吉正敏所長「きょうは今日の状況を把握できたと言ったらおかしいですが、いったん現場を見て、状況を見て、また持ち帰り判断して、あす以降どうするのか」
地権者は「ここだけでも(出入り口が)3ヵ所あるでしょ。そして裏の山道から入ったり、どこから入ってくるか分からん。朝早くから行ってから、中に入っとったりする」
地権者の怒りはおさまっておらず、工事再開に理解を得るのは、難しい状況です。
石木ダム工事 再開できず
(長崎新聞2017年8月19日)http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2017/08/19093959052205.shtml
県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は18日、約3週間ぶりに付け替え道路工事の再開を試みたが、反対地権者の抗議を受け、再開できなかった。
県は現場で抗議を続ける反対派と話し合うため、7月末から道路工事を中断。その間、知事との面会を求める反対派と2度にわたって交渉したが、17日の協議で決裂。18日からの工事再開を通告していた。
午前8時40分ごろ、県職員と作業員計16人が現場へ入ろうとしたが、反対派約40人が阻止。反対派は前日の交渉決裂を受け「知事が私たちと向き合わなければ始まらない」などと訴え、県職員らはいったん引き揚げた。午後も反対派の抵抗に遭い、県側はこの日の再開を断念した。
県石木ダム建設事務所の有吉正敏所長は取材に「(双方に)けが人を出さないように工事を粛々と進めていく」と強調。今後について、安全確保のため、人の少ない夜間や休日に資機材を搬入する可能性を否定しなかった。
県、工事再開できず 石木ダム建設、地権者らが阻止 [長崎県]
(西日本新聞2017年8月19日) http://news.livedoor.com/article/detail/13491804/
県と佐世保市が川棚町に計画している石木ダム建設事業で県は18日、中断していた付け替え道路工事を再開しようとしたが、ダム建設に反対する地権者らの抵抗を受け工事現場に入れなかった。
午前8時半すぎ、同ダム建設事務所の有吉正敏所長ら県職員と業者が工事現場に入ろうとすると、地権者と支援者ら約40人が入り口付近に立って阻止した。
県側が退去を求めたが、地権者らは「無駄なダムはいらない」と反発。約1時間の押し問答の末、県側は引き揚げ、午後に再び現場入りを試みたが、同様に阻まれ、この日の着手を断念した。
有吉所長は取材に対し「この日の状況を確認して(県に話を)持ち帰りたい」と説明。ある地権者は「われわれの生活を奪ってほしくない」と県の姿勢を批判した。
県は7月28日未明に重機を搬入した際、地権者側の抗議を受けたため工事を中断。17日にあった地権者らとの協議で、18日の工事再開を明らかにしていた。
長崎・石木ダムいらぬ 工事強行の動きに住民ら抗議
(しんぶん赤旗2017年8月19日)http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-08-19/2017081904_01_1.html?_tptb=400
真島氏が駆け付け激励
(写真)有吉所長らに抗議する真島衆院議員(中央)=18日、長崎県川棚町
日本共産党の真島省三衆院議員は18日、長崎県と佐世保市が川棚町に建設を狙う石木ダムの関連工事が強行されようとしている同町川原(こうばる)地区へ駆け付け、反対地権者や支援者とともに抗議の声をあげました。
この日は、石木ダム建設事務所の有吉正敏所長ら県職員と業者が現れ、中断していた付け替え道路工事を再開しようとしました。
24時間態勢で監視している地権者らは「無駄なダム工事はやめて」「生活権を強制的に奪うな」と抗議し、静かな里山は騒然。有吉所長らはいったん引き揚げました。
石木ダムは治水・利水の両面で公共性や必要性がない事業として反対運動が広がっています。反対する地権者らは知事との話し合いを求め、県と協議を続けていましたが17日の協議の席で岩見洋一県土木部長は「18日から工事を再開させる」と主張し、協議が決裂していました。
佐世保市から来た女性(62)は「佐世保市民は水に困っていないし、ここを犠牲にしてまで水はいらない。佐世保市民に、もっと関心を持ってもらえるように行動したい」とのべました。
真島氏は「住民の命と暮らしを守るのが行政の仕事。それを力ずくで奪うなど許されない。昨年国会でも取り上げたが、今後も他党の議員とも連携し、石木ダム建設阻止に向けて全力を尽くしたい」と語りました。
九州北部の豪雨水害、土砂災害について拡大造林の問題を取り上げた西日本新聞の記事を。掲載します。
林業の悪循環、防災に影 人工林管理、行き届かず
(写真)上流域から根が付いたままの巨木が流れ、集落を襲った=12日、福岡県朝倉市杷木林田写真を見る
福岡県と大分県の豪雨水害は、土砂崩れによる大量の流木が被害を拡大した。被災した集落には根が付いたままの大木が広範囲に横たわり、人工林のもろさを印象づけた。一帯は林業が盛んな地域。流木の原因をたどると、日本の林業が克服できていない課題に行き着く。
福岡県朝倉市の杷木林田地区。安否不明者の捜索現場のそばに、流木が山積みになっている。5日の豪雨では、上流から流れてきた木々が橋桁や欄干に引っかかり、そこに土砂がたまって川があふれた。
中には直径50センチ、長さ10メートルを超える大木もある。枝はなく、樹皮は剥がれている。土砂とともに流れる間にぶつかり合い、丸太になったとみられる。福岡県の推計によると、朝倉市と東峰村の流木は少なくとも20万トンを超える。
なぜ、これほど大量の木々が流出したのか。地元の林業関係者や専門家は複合的な原因を指摘する。
朝倉市や隣の東峰村の山あいは、地表の近くに花こう岩が風化した「まさ土」が堆積しており、大量の水を含むと崩れやすい。
そこに植えられたのは、根を深く張らない針葉樹のスギやヒノキ。種子から成長する場合は深く密集した根を張るが、人工林は挿し木から育てるため、根は浅く、密度も低い。木を真っすぐに育てるにはある程度密集させるため、根は広がらない。
今回は短時間に記録的な雨が降り注ぎ、地表面のもろい地層が木々と崩れ落ちる「表層崩壊」が同時多発的に発生した。面積の86%が山林で、スギの人工林が多い東峰村の渋谷博昭村長は「国策で植林したが、今は伸び放題。雨が降るたびにおびえなくてはならない」と苦境を訴える。
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流木や倒木による災害は5年前の九州北部豪雨をはじめ、何度も起きている。その背景には、長く続く林業の悪循環がある。
国は高度経済成長期の木材需要の高まりを受け、全国で植林を推進した。スギの人工林はその象徴だ。木材輸入の自由化、木造住宅の需要低下などの影響で、1980年代以降は国産材の価格が低迷。伐採期を迎えた木が半ば放置されている地域もある。
今回の被災地の林業関係者も「木材の価格が安すぎる」と口をそろえる。スギ(中丸太)の価格は、1立方メートル(直径50センチの材木4メートル分)当たり1万円強。ピークだった80年の3割程度まで下がった。
価格の低迷は、林業従事者の減少に拍車をかけた。国勢調査によると、60年は44万人だったが、2015年は5万人を割った。高齢化も進む。
人工林は木が真っすぐ成長するように、数年おきに適正な間隔を空けるための間伐が必要だ。シダやササの下草が生えやすくなり、表土の流出を防ぎ、保水力を高める効果もある。だが林業従事者の減少で間伐が行き届かず、樹齢40年以上の木も残されている。
人手不足を補う機械化に合わせ、森林に重機が通れる作業道が整備されたが、朝倉市の林業関係者は「雨水が作業道に流れ込んで川や滝のようになり、倒木や土砂崩れを引き起こす一因になった」とみている。
林野庁は流木災害の構造や減災対策を探るチームを初めてつくり、近く現地を調査する。治山課は「被災地域は林業が盛んで、森林の手入れをしていたので、このくらいの被害で済んだとも言える」との見方を示し、流木を止めるくし状のダム(スリットダム)の設置などを検討する方針だ。
東峰村の渋谷村長は、森林が下流域の水源を養い、川から海に栄養を与える機能があることを強調。「植林を推進した国は現状を改善する手だてを示してほしい」と要望する。
◇ ◇
●防災の観点で森林整備を
九州大大学院の久保田哲也教授(森林保全学)の話 今回は樹齢40年を超えた大木が、豪雨に耐えられずに倒れて被害を拡大させた。一斉に植林すると、根の深さがそろってしまうので、根の下の地層が弱くなってしまう。
いまさら拡大造林の失敗を指摘しても始まらない。国はこれを機に、産業としてではなく、防災の観点で森林整備に取り組むべきだ。伐採した後は自然林を育て、危険箇所には治山公園を設置するなどの対策が必要。そうしなければ同じ惨事を繰り返す。
=2017/07/17付 西日本新聞朝刊=
パタゴニア日本支社が昨日発表した、石木ダムに関する世論調査の結果について朝日新聞と毎日新聞の記事とテレビ長崎のニュースを掲載します。
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業を巡り、米国アウトドア衣料メーカーのパタゴニア日本支社(辻井隆行支社長)が県民を対象に意識調査した結果、約8割が「石木ダムに関する県の説明は不十分」と回答した。
同社は「一度立ち止まり、賛否を含めて公開の場で話し合うことが必要だ」としている。
同社はダム建設への反対運動を支援している。調査は5月23~31日、インターネットリサーチ会社に委託し、地域や年齢に偏りがないよう抽出した2500人を対象に実施した。
「県は石木ダムについて必要性や県民の負担などを県民に説明してきたと思うか」という問いでは、79・3%が「そうは思わない」と回答。「十分に説明した」と答えたのは20・7%だった。
ダム建設への賛否では、「賛成」「どちらかというと賛成」が計21・9%、「反対」「どちらかというと反対」が計27・5%、「どちらでもない・わからない」が50・6%だった。
賛成理由で最も多かったのは「佐世保市の水は足りていないから」で35・8%。反対理由は「多額の無駄な税金が使われているから」が29・1%で最も多く、「佐世保市の水は足りているから」が27・1%と続いた。
公開討論会を求め、ネットで署名活動
同社は「県民の理解や議論が不十分なまま多額の税金を投入する公共事業が進もうとしている」と指摘。専門家を交え、ダム建設に対する賛否双方の意見を聞ける公開討論会の開催を求める署名活動をネット上で始めた。
年内に5万筆を目標に集め、中村法道知事と各県議に提出する予定。【浅野孝仁】
石木ダムに関する県民アンケート
(テレビ長崎2017年6月22日 18:53)http://www.ktn.co.jp/news/20170622137065/
東彼杵郡川棚町での石木ダムの建設について、環境保護の活動をしている企業が県民にアンケートを行い、22日結果を公表しました。
「建設に反対」が「賛成」を上回っています。石木ダムの建設に関してアンケートをしたのは、アウトドア用品を扱っている「パタゴニア日本支社」です。
パタゴニア日本支社 辻井隆行支社長「長崎県民2500人の方、反対の方がやや多いという結果が出ました」
ダムの建設に「賛成」が21・9%、「反対」が27・5%、「どちらでもない、分からない」が50.6%となり、「県が石木ダムの必要性などを十分に説明したか」については、およそ8割の人が「説明が不十分」と答えました。
アンケートは先月末、外部の調査機関に委託して行われ、県内に住む2500人から回答を得ました。
パタゴニア日本支社は石木ダム予定地の自然を守る活動を支援していて、推進派や反対派など様々な立場の人を集めた公開討論会の開催を県に求めて、22日からインターネットでの署名活動を始めています。
署名は5万人分を目標に中村知事や県議会議員に届ける予定で、年内の公開討論会の実施を目指しています。