水源連:Japan River Keeper Alliance

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事務局からのお知らせ

国、川辺川ダム建設事業に「事業認定申請書提出」

2025年5月16日、国土交通大臣は国土交通大臣に対して、川辺川ダム建設事業への「事業認定申請」を行いました。

2008年当時と同様、同ダム建設事業と完成後の同ダムによって侵害される、水没予定地内すべての地上権利と、漁業権の収用・使用を任意交渉だけでなく、法的手段=土地収用法の適用 で確保しなければ、川辺川ダム建設に入れないからです。

このような場合、従来は任意交渉主体でダムによって侵害される諸権利の補償を進め、任意交渉では取得できなかった諸権利を確保するために、土地収用法が適用されていました。今回は川辺川ダム建設事業が令和4年(2022年)8月9日に策定された法定計画(球磨川水系河川整備計画)に盛り込まれてからわずか3年で「土地収用法適用=事認定申請付きでの着工」発表です。

令和7年(2025年)5月16日に国のホームページに以下の記事が掲載されました。
「川辺川の流水型ダムについては、令和2年<2020年)7月豪雨被害からの早期の復旧・復興に向け、球磨川流域の安全・安心を確保するため、早期に球磨川流域の治水安全度の向上を図ることを目的に、令和9年度<2027年度)にダム本体基礎掘削工事に着手し、令和17年度(2035年度)に事業を完了させることを目標としています。」

事業認定申請書 表紙

「事業認定申請書」について詳しくは、https://suigenren.jp/damlist/dammap/kawabegawadam/#a20250605

 

このような異常に急速な進行は、「川辺川ダムでは2020年洪水には対応できない」ことを国自身が認めている中でのカケとしか言いようがありません。「どのような反論があろうとも、事業認定を申請しているのだから、最後は行政代執行。逆らい続けると大損をするよ!!」との「国と熊本県による宣言」=「脅し」ですね。

この暴挙に対する市民皆さんの「川辺川ダム建設事業への想い」を知らせるチラシを掲載します。

 

事業認定申請が、反対から守る手続きであることを示す図土地収用法の流れ20250607を下に掲載します。筆者(遠藤保男)の愚策です。この図が示すように事業認定申請が出されてしまうと反対する上での有効な法的手続きは皆無に等しいのが現実と言えるでしょう。言ってしまえば、「起業者が断念せざるを得ない状況を造る」に尽きると言えるのでは。私が知る限りでは、水没予定地と受益予定地両方で「ダム不要」が一致したところは、ダム中止を勝ち取っています。そういう状況を意識しながら、各級議会議員皆さんの協力も意識して、起業者・関係自治体への「中止要請」を貫きましょう。

参考:川辺川の水質は水質が最も流行な河川です。

国土交通省 九州地方整備局 川辺川ダム砂防事務所のホームページに掲載されています。国自身が自慢する川辺川の水質が、川辺川ダムによって激変することを止めないのはどうしてでしょう?

川辺川が17年連続「水質が最も良好な河川」となりました!

 

 

 

水源連だより最終号(92号)を掲載しました

2025年3月30日
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水源連の皆様へ

水源連は2024年10月31日を以って解散となりました。
1993年の発足以来、31年にわたり皆様に親しまれてきた水源連は、事務局各位の老齢化にともない、事務局事業を果たすのが難しくなったため、解散としました。

石木ダム問題・川辺川ダム問題・設楽ダム問題・木曽三川導水路問題等、課題が山積する中での解散、申し訳ありません。

これまでの経過を踏まえた回想録も付記した水源連だより最終号〈92号)を本ホームページに掲載しましたので、ご一読願います。水源連ML、水源連HPの扱い等についても、下記最終号に記しました。

水源連便り92号

 

水源連共同代表 嶋津暉之氏 ご逝去のお知らせ

2024年8月21日
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2024年2月15日、水源連共同代表・嶋津暉之氏が逝去されたことをご報告いたします。

ここでは、嶋津氏ご逝去の追悼文と、2024年5月18日午後、有志が集まり、全水道会館大会議室で持たれた「嶋津暉之さんに感謝する会」の報告を掲載いたします。

嶋津暉之さんのご逝去を悼む

水源連の共同代表であった嶋津暉之さんが去る2 月15 日にお亡くなりになりました。享年80歳でした。

嶋津氏が担われていた役割・実務を感謝の念を以てここに記し、皆様と共有することで、彼を悼みたくと思います。

2003 年11 月の山鳥坂ダム反対全国集会で初代代表を務められていた矢山有作さんが辞意を表明され、嶋津さんと遠藤が代表を引き継ぎ、現在に至っています。
嶋津さんは水源連発足当初から最期に至るまで、各地のダム反対運動に対する、その理論面の支柱でした。彼の日常は、起きてから寝るまで、情報公開請求と開示された情報の分析に費やしていました。「現実のデータを以て、ダム等事業者が言う必要性のごまかしをことごとく暴く」、それはとてつもないエネルギーを要する作業でした。その作業結果を水源連仲間に惜しみなく提供し続けてきました。

嶋津さんが水源連を立ち上げる契機になったのは、1991年の「水問題原論」出版です。

  • 「水問題原論」は、ダム事業者が「ダムが必要」と説明している法則を証しました。

・治水ダム 河道流下能力<基本高水流量(当該河川の治水対策最終目標流量)
・利水ダム 保有水源量<水需要予測水量
・費用対効果.>1.0

  • そして、「水問題原論」では、ダムの必要性を客観的に検証するには以下のことが必要としています。

・これらの式に使われている数値の妥当性の精査で必要性の有無判断
・ダム建設で失われるものの再評価

治水を目的としたダム事業計画を立案するときは、当該河川の治水対策最終目標流量を大きく設定し、河道能力を小さく設定することで、川から溢れないようにするにはダムが必要、と結論つけます。
私たちがそれを検証するには、それぞれの値を算出した手法と用いた数値の妥当性を確認するための情報開示請求が必要になります。

利水目的には、保有水源量の評価方法、水需要予測の妥当性を検証します。すべて算出した手法の情報開示と、使われた様々な数値の情報開示を求めます。費用対効果も同様です。

その情報を妥当な手法で再計算することで、当該ダム事業の要・不要を水源連事務局と現地の皆さんとの協議のうえで判断できます。要と判断された場合は、ダム建設で失われるものの評価を行い、水源連事務局と現地皆さんとの協議で最終判断となります。

水源連が問題として取り上げたダム事業は、現地の団体と連携を取り合いながら、情報開示請求・その分析が行われ、すべて、必要性がないことが明白になり、ダム建設で失われるものの評価が全くなおざりにされていることも明らかになりました。
その結果として松倉ダム(北海道)、新月ダム(宮城県)、渡良瀬遊水池総合開発2期(群馬・栃木・茨城・埼玉県)、東大芦川ダム(栃木県)、相模川水系建設事業2 期(神奈川県)、清津川ダム(新潟県)、紀伊丹生川ダム(和歌山県)、細川内ダム(徳島県)が、中止(https://suigenren.jp/damlist/blocked/)となりました。これらは、地元皆さんの努力はもちろんのこと、嶋津さんの支援が功を奏しています。

近年は起業者・司法共に、市民側の異論を一切無視する、とんでもない状況になっています。嶋津さんは「正しい情報を伝え続けるしかない」と耐え忍んでいました。これらは私たちが引継ぐ課題です。

嶋津さん、これまで本当にお疲れさまでした。言葉に尽くせないご尽力に感謝申し上げ、ご冥福を祈らせていただきます。

2024年8月21日   水源連代表 遠藤保男

嶋津暉之さんに感謝する会

2024年5⽉18⽇、2⽉15⽇に旅⽴った「嶋津暉之さんに感謝する会」が全⽔道会館⼤会議室で⾏われ、会場に92名、zoomで26名の⽅の参加がありました。

「訃報は耐え難い衝撃だった」(⾼橋利明・⼋ッ場ダム住⺠訴訟弁護団)という開会挨拶と黙祷から開始。嶋津さんの業績紹介から始まり、次々と嶋津さんとのかかわりエピソードが共有され、⽔道会館⼤会議室は、嶋津さんへの感謝の気持ちで満ち溢れました。

川辺川ダム、⽯⽊ダム、細川内ダム、⻑良川河⼝堰、相模⼤堰、⼋ッ場ダム、渡良瀬遊⽔池、湯⻄川ダム、南摩ダム、スーパー堤防、霞ヶ浦導⽔事業、⻤怒川⽔害、最上⼩国川ダム、平瀬ダム、苫⽥ダム、徳⼭ダム、⾵⾕ダム、平取ダム、サンルダム、当別ダムなど、⽇本全国各地でダム建設反対運動や河川問題に取り組んできた市⺠が次々に登壇し、嶋津さんへの思いをそれぞれに語りました。

また、有識者・専⾨家・議員として、弁護⼠の⼤⽊⼀俊さん・弁護⼠の⾕萩陽⼀さん・弁護⼠の坂本博之さん・京都⼤学名誉教授の今本博健さん・新潟⼤学名誉教授の⼤熊孝さん・元国⼟交通省の宮本博司さん・衆議院議員の⼤河原雅⼦さん・衆議院議員の塩川鉄也さん・前・群⾺県会議員の伊藤祐司さんなど⽅々が登壇し、嶋津さんへ謝意やかかわりを語っていただきました。

皆さんの発⾔に共通していたことは、各地のダム建設反対運動がダム建設事業者(国⼟交通省や県⾏政)との議論や、裁判において、嶋津さんによる科学的な検証結果を提供していただけたことで⾏政と闘うことができたということでした。嶋津さんは情報公開などで開⽰を受けた膨⼤なデーターを元に解析を⾏い、⽔需要予測がダム建設のために⾼い予測を意図的に⽴てているおかしさや、ダムによる治⽔効果が低く限定的であり堤防の強化こそがまず求められることを明らかにしました。そうした嶋津さんの科学的分析によって各地の運動が⽀えられて来ました。

感謝する会の参加者それぞれは⾃分の地域についての嶋津さんの協⼒を語りましたが、嶋津さんが⽇本各地数⼗箇所のダム建設問題について膨⼤な科学的分析をそれぞれ⾏っていたこと、嶋津さんが遠藤さんと共に各現地を何度も訪問して現地の運動と⽔源連の活動を続けてきたこと、その幅広さと労⼒の⼤きさに、あらためて驚き、嶋津さんへの感謝と追悼をそれぞれにかみしめる会となりました。

 

決定書  石木ダム収用明渡裁決の取消しを求める審査請求

2024年8月6日
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石木ダム収用明渡裁決の取消しを求める審査請求に対して、斉藤鉄夫国土交通大臣は本年(2024年)7月31日付で「本件審査請求を棄却する」と決定しました。

本審査請求は、「長崎県収用委員会が2019年5月21日付でなした、こうばる在住13世帯全地権者からのすべての地権収用明渡裁決の取消し」を求めて、2019年7月3日に行政不服審査請求法に基づく審査請求です。審査請求提出から5年を経過した現在においては、石木ダムが不要であることはあまりにも当然のことです。この実態下においてもなお事業認定効果である地権収用明渡が有効とするのでは、行政不服審査法の目的を否定する自殺行為です。

本審査請求の詳しい内容と経過下記リンク先を参照願います。

参考:行政不服審査法

目的 第1条第1項

  • この法律は、行政庁の違法又は不当な処分に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、
    • 国民の権利利益の救済を図るとともに、
    • 行政の適正な運営を確保すること

    を目的としています。

2024東京アースデイ報告

2024年7月4日
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今年4月、アースディ東京に、水源連は東京の水連絡会・八ッ場あしたの会とともに、出展しました。

何か新しい訴え方を、ということで紙芝居に挑戦しました。紙芝居「石木ダムは要らない」を電子化しました。

9分の動画で石木ダムのすべてが分かります。

ご視聴のうえ、拡散していただければ幸いです。

石木ダムってなに?~動画13世帯の闘い~

https://tokyo924mizu.blog.fc2.com/blog-entry-174.html

なお、「流水型川辺川ダムはいらない」の紙芝居も試みましたが、簡略化した表現がいまいち難しかったので、アースデイで紹介するのは遠慮してしまいました。この語の課題です。

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