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浅川ダムの情報

穴あきダムの危険性 県営浅川ダム 本格運用へ(2017年3月15日)

長野県の浅川ダムの運用が近く開始されます。その記事を掲載します。

住民側はダム直下の断層が活断層であることなど、ダムの危険性を裁判で訴えてきましたが、3月2日の東京高裁判決は残念ながら、住民側の敗訴でした。
浅川ダムは穴あきダム(流水型ダム)ですが、流水型ダムについて強く心配されることは、大洪水時に流木や土砂などで洪水吐きが詰まって、洪水調節機能が失われてしまうことです。常用洪水吐の手前に鋼製のスクリーンを設置して、流木等の流入を防ぐとしていますが、山腹が崩壊したような大洪水時には、枝葉が付いた樹木そのものが土砂とともに一挙に流出してくるでしょうから、鋼製スクリーンは流出樹木や土砂で覆われて、通水能力が激減してしまうことが予想されます。
流水型ダムの問題は、その例が極めて少なく、歴史がまだ浅いことです。日本で最も古い島根県の益田川ダムさえ、完成してから約11年しか経っていません。その後、完成した流水型ダムは石川県の辰巳ダムですが、完成してから約4年です。

日本での流水型ダムの実例は現在はたったこれだけであり、しかも、益田川ダムや辰巳ダムではいまだ大洪水が来ておらず、大洪水が来た時に、流水型ダムの小さな洪水吐きが閉塞することがないのか、鋼鉄製スクリーンの周辺がどうなるのか、全くの未知数なのです。

さらに、浅川ダムの場合、流域面積が小さいため、常用洪水吐きの断面積が1.9㎡しかなく、他の流水型ダムと比べると、

流水型ダムの諸元のとおり、非常に小さいので、大洪水時に詰まって洪水調節機能が失われてしまうことが強く危惧されます。

県営浅川ダム 本格運用へ 専門家委「安全に機能」

(信濃毎日新聞2017年3月15日)http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170315/KT170314ATI090018000.php

県営浅川ダム(長野市)建設工事の安全対策などを確認する学識者らの施工技術委員会(委員長・富所五郎信州大名誉教授、6人)は14日、長野市で開き、「ダム本体は安全に機能する」と総括した。県は近く、ダムを施工した共同企業体(JV)から引き渡しを受け、全国4例目の「穴あきダム」として運用を始める。
この日は委員がダム内部に入り、各種計器などを見て回った。その後、長野市浅川公民館に移動し、県側からダムに水をためて安全性を確認する「試験湛水(たんすい)」の報告を受けた。
県側は、昨年10月〜今年2月に実施した試験湛水の結果を数値で示し、ダムからの異常な漏水や傾き、貯水池周辺の地滑りの危険性などはなかったと説明。技術委はこれを受け、「適正な施工により品質が確保され、試験湛水の観測結果について異常は認められず、ダム本体は十分安全に機能すると評価する」とした。
一方、ダム建設に反対する流域住民らは14日、建設にかかる公金支出の差し止めを求めた訴訟で住民側の請求を退けた2日の東京高裁の二審判決を不服とし、最高裁に上告すると発表した。
浅川ダムは治水専用ダムで2010年に本体工事に着手。通常時はダム下部にある「常用洪水吐(ば)き」(高さ1・45メートル、幅1・3メートル)から水を流し、洪水時は自然に水がたまる仕組み。ダム本体の高さは53メートル、上部幅165メートルで、総貯水容量は110万立方メートル。県はダムを含む流域の治水水準について「100年に1度」の大雨(日雨量130ミリ)に対応できる規模とする。総事業費は約380億円。舗装といった残工事を経て7月に完成式を開く計画だ。

「脱ダム宣言」から16年、浅川ダム運用開始 休止続く角間は?

2017年1月29日
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田中康夫元長野県知事の脱ダム宣言の影響を振り返った記事を掲載します。

残念ながら、浅川ダムはダム本体が完成し、試験湛水が進められていますが、脱ダム宣言は大きな意味がありました。
県営ダムごとに治水・利水等ダム検討委員会が設置され、ダムの必要性について議論が積み重ねられました。対象になったダムは次のとおりです。
信濃川水系  浅川ダム、清川治水ダム、角間ダム、黒沢ダム
天竜川水系  下諏訪ダム、駒沢ダム、蓼科ダム、郷土沢ダム
このうち、浅川ダムと角間ダムを除くダムは中止になりました。角間ダムは現在、検証中ですが、中止になる可能性が高いと思います。
このほかに、田中知事時代には大仏(おおぼとけ)ダム(信濃川水系)が2000年に中止されていますので、脱ダム宣言により、浅川ダムを除く8ダムは中止されたか、中止の方向にあります。

「脱ダム宣言」から16年、浅川ダム運用開始 休止続く角間は?

(日本経済新聞 2017/1/28 7:00) http://www.nikkei.com/article/DGXLZO12232130X20C17A1L31000/

田中康夫元知事が「脱ダム宣言」をして2月で16年。対象となった県営9ダムのうち7件が建設中止になる中、唯一建設された浅川ダム(長野市)が2月にも事実上の運用を始める。一方、県内で最後に計画が残る角間ダム(山ノ内町)について長野県は2月上旬に地元関係者に県の考えを伝える方針を固め、10年余り休止になっていた事業は事態打開へ動き出しそうだ。脱ダム宣言の影響を振り返る。
1月4~6日、水をためて安全性を確認する試験湛水中の浅川ダムの一般公開には約3200人が訪れ、県民の関心の高さをうかがわせた。建設か中止かで曲折した浅川ダムは脱ダム宣言の象徴的な事業だった。
「河川改修費用がダム建設より多額になろうとも、100年、200年先の我々の子孫に残す資産としての河川・湖沼の価値を重視したい」――田中元知事が脱ダムを宣言したのは2001年2月。その後、長野県治水・利水ダム等検討委員会での議論を経て、県は県営9ダムの計画のうち7つを中止した。
中止になった河川ではダム建設の代替として河道拡幅や河床掘削、築堤など河川改修で対応したケースが多い。砥川と上川、清川は治水安全度を100年に1度発生する洪水に安全な水準から、当面目指す目標を50年に1度に変更している。
一方、浅川ダムも放水路整備などダム以外の方法を検討したが決め手がなく、06年選挙で田中知事を破った村井仁前知事が07年に建設再開を表明した。
ただ、長野市は水を使う利水を断念し、通常は水をためない治水専用の「穴あきダム」に変更。規模も縮小され、建設費の上昇を織り込んでも総事業費は当初の400億円から380億円に減少する見通し。浅川ダムだけ建設された理由を県は「下流の河川改修がすでに進んでいてダム無しの治水は難しかった」(河川課)と説明する。
当時の検討委員会委員の間では今も意見が分かれる。松岡保正・長野工業高専名誉教授は「洪水や干ばつに苦労してきた流域住民のことを考えても一筋縄ではいかない。何か起きた時に致命傷にならないよう(ダムを含む)総合治水で対応するしかなかった」とみる。
これに対し大熊孝・新潟大学名誉教授は「地滑りの可能性が否定できない地点でのダム建設はどうか。下流の河川改修で当面は様子を見るべきだった」と主張する。脱ダム宣言については「画期的で長野県にプラスだった。全国のダム反対運動を勢いづけ一般国民がダム問題に関心を持つ契機になった」と評価する。
最後に残ったのが角間ダム計画だ。1984年の地元との覚書では公共下水道処理水を夜間瀬川に放流する代わりに角間の早期建設が盛り込まれた。脱ダム宣言後、県公共事業評価監視委員会は「一時休止」の判断を続けてきたが、県は近く、ダム以外の手法などについて水利権を持つ中野市八ケ郷土地改良区など関係者に伝える予定だ。
「脱ダム宣言はありがた迷惑の一言。建設の約束が守られていないが、いつまでも固執するわけにいかない」。八ケ郷改良区の竹内哲良理事長は語る。
県内外のダムを巡る状況を見ると建設再開のハードルは高い。同改良区は早期建設の要望は維持したまま、昨年12月の理事会から代替案の検討に入った。渇水期対策として上流の水源の十分な確保や夜間瀬川の水の有効利用策が含まれそうだ。宣言や公共事業を巡る状況に翻弄されてきた地元の声に、県は耳を傾ける必要があるだろう。

三重県桑名市の長良川河口堰(ぜき)、群馬県長野原町の八ツ場ダムなど、河川関係の大型公共工事に環境やコストから疑問が高まったのを背景に、国土交通省は1997年の河川法改正で河川管理の目的として治水、利水に「河川環境の整備と保全」を追加。河川整備計画策定では地域の意見を聴くこととした。
2001年の田中元知事の脱ダム宣言はこうした流れをさらに後押しした。国土交通省も「できるだけダムにたよらない治水」を打ち出し、10年に国直轄や自治体などが計画する全国83ダム事業の検証に着手。現時点で継続54、中止25、検証中が4事業となっている。
近年、地球温暖化に伴うゲリラ豪雨の頻発などで改めてダムに期待する声もあるが、大熊名誉教授は「ダム建設でなく、一気に破堤することがないよう堤防の強化で対応すべきだ」と指摘する。
ダムには流入土砂が堆積し維持管理も問題になってくる。脱ダム宣言は一歩立ち止まって、将来世代への負担も含めて治水、利水を様々な観点から長期的に考えるきっかけになったといえる。
「川は災害も恵みももたらす。今後は子どもたちに身近な水辺環境を見せ、自らでいろいろ気付いてもらうことが重要」と松岡名誉教授は語る。(宮内禎一)

長野・浅川ダム建設費返還訴訟:住民側控訴

2015年5月2日
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長野県の浅川ダム住民訴訟で、住民側が控訴しました。その記事を掲載します。

長野・浅川ダム建設費返還訴訟:住民側控訴
(毎日新聞 2015年05月2日 東京朝刊)http://mainichi.jp/shimen/news/20150502ddm012040054000c.html

長野県が建設中の浅川ダム(長野市)を巡り、周辺住民ら398人が県を相手取り既に支出した建設費約65億円の返還や今後の支出差し止めを求めた訴訟で、原告団は1日、請求を棄却した1審の長野地裁判決を不服として東京高裁に控訴した。
原告団は「ダムの危険性や不要性をさらに論証したい」とコメントした。
ダム建設地の地滑りの危険性などが争点となったが、長野地裁は4月24日、「県の事前調査は適切」として訴えを退けた。

長野・浅川ダム訴訟で原告控訴
(産経新聞 2015年05月1日)http://www.sankei.com/affairs/news/150501/afr1505010009-n1.html

長野県営浅川ダム(長野市)の建設に反対する県民約400人が工事に使われる公金の支出差し止めなどを県に求めた訴訟で、原告側は1日、請求を棄却した長野地裁判決を不服として東京高裁に控訴した。
4月24日の判決は「県が実施した調査や対処工事に不合理性や誤りは見当たらず、ダムの計画に違法性があるとは言えない」と判断した。
原告団は「県の弁明をうのみにした不当な判決。高裁で誤りを明らかにし、ダムの危険性、不要性を論証する」としている。

浅川ダム付近の斜面崩落、県などが現地調査

2015年3月22日
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3月19日に本体工事中の浅川ダムの付近で斜面崩落がありました。長野県は「崩落の原因は表面の土砂に雨水や雪解け水が染み込んで滑ったため」として終止符を打とうとしていますが、実際はどうなのでしょうか?

浅川ダム付近の斜面崩落、県などが現地調査

(信濃毎日新聞2015年 03月22日)http://www.shinmai.co.jp/news/20150321/KT150321ATI090008000.php
(写真)斜面崩落現場を調べる県職員や地質調査の専門業者ら=21日、長野市浅川一ノ瀬
長野市浅川一ノ瀬の県営浅川ダム下流の浅川右岸で発生した斜面崩落について、県は21日、地質調査の専門業者と現地を調査した。
県浅川改良事務所(長野市)の蓬田陽所長は調査後、崩落の原因は表面の土砂に雨水や雪解け水が染み込んで滑ったため―とあらためて説明。「今回の崩落はダムの安全性が揺らぐ大きな問題ではない」との見方を示した。
県職員と専門業者、建設工事を担う共同企業体(JV)の計9人が、崩落斜面や周辺を約1時間半かけて調査。周辺に新たな亀裂が発生していないか目視で点検し、崩落で露出した岩盤をハンマーでたたいて強度を確認した。
蓬田所長は取材に、今回の斜面崩落は表面の土砂の問題とし、「基礎岩盤や深い部分での大きな地滑りの議論とは関係ない」とした。崩落箇所や周囲に亀裂は確認されず、土地の傾斜も変化がないとして、「これ以上大きく周りに影響する地滑りの兆候もない」とも述べた。
今後は「これ以上斜面が削られることがないよう、保護対策をする」とし、崩落を防ぐための構造物(のり枠)の設置など具体策を4月中にはまとめるとした。調査結果は同事務所のホームページで3月中に公表する方針だ。

浅川ダムの斜面崩落「地滑りの兆候はない」

[ABN2015年3月21日(土)]http://www.abn-tv.co.jp/news/
長野市の県営浅川ダムで斜面の土が崩落したことを受け、専門家による調査が行われました。
調査した専門家は地滑りの兆候はないという見解を示しました。
調査は県が依頼した地質の専門家4人が崩落した箇所の土を削るなどして斜面の状態を確認しました。
県営浅川ダムではおととい下流の右岸で幅およそ20m、長さおよそ90mにわたって斜面が崩れているのがみつかりました。
調査した専門家は雪解けなどで表面の土が水を多く含み発生したものでこれ以上の拡大の恐れはないとしました。
県は来月中に崩れた部分の補修方法を決める予定です。

浅川ダム下流の斜面崩落 県議団・市議団が緊急・現地視察

(JCP長野 日本共産党長野県委員会2015年03月21日)http://www.jcp-nagano.com/1175
19日に発生した浅川ダム下流の斜面の崩落を受けて、党県議団と長野市議団は20日、現地調査を行いました。長野県浅川河川改良事務所長から説明を受けました。
崩落した個所は、昨年5月に崩落し、のり枠加工したすぐ隣の場所でした。県は「雪解けと雨で発生した」と説明しましたが、きちんとした調査・検討が十分されてこなかったことが問題です。
2月県議会では左岸深部亀裂に対する追加工事の予算が盛り込まれており、税金をどんどん使い続け、それでも崩落が起こる危険で無駄な浅川ダムの工事は直ちに中止するしかないことが浮き彫りになりました。

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