東彼杵郡川棚町での石木ダムの建設をめぐり、反対する地権者などが工事の差し止めを求めた裁判の第1回口頭弁論が10日開かれました。この裁判は川棚町の石木ダム建設予定地の地権者など原告608人が、県と佐世保市を相手にダムと関連する道路の建設工事を差し止めるよう求めているものです。原告側は石木ダムは治水と利水の両面で必要性はなく、住民の人格権を奪うなどと主張しています。長崎地裁佐世保支部での第1回口頭弁論で、被告の県と佐世保市側は全面的に争う姿勢を示しました。意見陳述した住民の石丸キム子さんは、「私たちはダムに翻弄されない普通の生活をしたい」「工事を止めることだけが住民を救う唯一の方法」と訴えました。地権者側は、これまで長崎地裁佐世保支部に工事差し止めの仮処分を申請していましたが、去年12月に却下されていました。次回の裁判は今年9月に開かれます。
石木ダムの情報
長崎地裁、証人尋問決定! (石木ダム関係)
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石木ダム事業認定取り消し訴訟第8回口頭弁論報告
昨日(2017/9/4)、長崎地方裁判所で事業認定取り消し訴訟の事前協議と第8回口頭弁論が持たれました。
証人申請について審理されました。
当方は前回、治水と利水面で証人尋問が必要であることを述べました。
尋問事項とその対象者について具体的人名は挙げずにその担当者を挙げました。
昨日の事前協議と口頭弁論では、被告側は「これまでに答えるべきことはすべて答えているから証人尋問の必要は認めない」とし、当方が挙げた担当者についての役職・氏名すら明らかにしませんでした。
被告が裁判所に提出した意見書を添付します。
裁判所は、「裁判所としては、(利水は)24年予測の責任者、滝沢もしくは小泉のどちらか一人、(治水は)治水計画の責任者を証人として採用したい。治水については川棚川河川整備基本方針策定責任者もしくは川棚川河川整備計画(変更)策定責任者を採用したい。選択は当事者に検討していただきたい」としました。
次回期日10/31-15:00
その後は、「12/5と12/11を尋問期日とする。対象者、時間は未定。」としました。
裁判所が最低限ではありますが、証人申請を認めたことは当方にとって好ましいことです。
私たちは、利水面では、慣行水利権を不安定水源扱いにした担当者(当時の水道局長もしくは市長)、19年予測の担当者(当時の水道局長)、SSK代表取締役の尋問が必要と主張していました。
治水面では、計画規模を1/100・基本高水流量を1,400m³/秒とした川棚川河川整備基本方針担当者と、公聴会等で異論が出されていたにもかかわらず土地収用法第22条に基づいて専門的学識又は経験を有する者の意見を求めなかったのは何故かについて認定庁担当者の尋問が必要、と主張していました。
原告団と弁護団は、これらのことを考慮に入れて、証人申請について具体的な人名もしくは担当者を決めると共に、尋問事項を検討することになります。
マスコミ報道
長崎新聞
訴訟報告のページ
長崎県、工事再開できず 石木ダム建設、地権者らが阻止
石木ダム付け替え道路工事の再開を地権者が阻止しました。その記事とニュースを掲載します。
石木ダム 反対で工事再開できず
石木ダム工事再開を試みるもにらみあい
石木ダム工事 再開できず
県、工事再開できず 石木ダム建設、地権者らが阻止 [長崎県]
長崎・石木ダムいらぬ 工事強行の動きに住民ら抗議
石木ダム事業認定取消し訴訟第7回口頭弁論
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弁護団が証人申請の必要性を口頭陳述
2017年7月31日午後2時から長崎地方裁判所で石木ダム事業認定取消訴訟第7回口頭弁論が開かれました。
この日は、前回第6回口頭弁論で被告側が提出した当方への反論に対して、原告としての反論を主張する場でした。
開廷前の門前集会では岩下一雄氏から、「長崎県が付替道路工事推進に執着して7月28日未明に重機車両を搬入、徹底抗議の末、知事との話合い、工事中止等について8月1日に話し合うことになった」との報告がありました。この件はこちらをどうぞ。
傍聴は希望者が定員を超えたため、抽選になりました。
口頭弁論では先ず高橋謙一弁護士が利水面の必要性が「石木ダムありき」の辻褄合わせでしかないことを各論点ごとに整理して陳述し、その実態を明らかにする上で2007年度水需要予測・2012年度水需要予測担当者、佐世保市長、SSK社長、事業認定審理過程で意見を求めた学者たちへの証人尋問が必要であると述べました。
次いで、田篭亮博弁護士が治水面の必要性も「石木ダムありき」の辻褄合わせでしかないことを各論点ごとに整理して陳述し、川棚水系河川整備基本方針・整備計画策定の各担当者、事業認定庁の責任者の証人申請を考えている、と述べました。
裁判長は証人申請について被告側に意見を求めました。更に、原告側が証人としてあげた役職の人は意見を聞ける状態にあるのかも被告側にたずねました。
被告側は、「証人尋問は必要ないと考えている」と答えましたが、裁判所から「意見を聞ける状態にあるかも含め、文書で回答するように。」との要請に首肯しました。
馬奈木昭雄弁護団長は、裁判所に「証人採用拒否は原告が立証責任を遂行できなくなるので、証人尋問は不可欠」と述べました。
閉廷後の報告会では馬奈木弁護団長が、「この種の裁判では立証責任が原告側に求められている。立証不十分だと原告敗訴とされてしまう。国が証人申請を拒否するのは、原告側を立証不可能に追い込むことを意図しているからである。国が証人尋問を拒否するのを裁判所が許すのであれば、刑事訴訟で被告が黙秘権を行使するのと同じで、国による原告側への立証妨害を裁判所が許すことになる。原告側を立証不可能に追い込むことのないよう、証人尋問が不可欠であることに裁判所の理解を求めた。」と、証人尋問実現の意義を説明しました。
裁判資料
今回の訴訟で高橋謙一弁護士と田篭亮博弁護士が陳述した内容、弁護団が提出した第8準備書面(利水)と第9準備書面(治水)及び証拠説明書等については
こちらをクリックしてください。
次回は9月4日です。証人尋問の必要性についてが審議課題です。今回原告側が提出した二つの準備書面に対する被告側からの反論なしでは証人尋問の必要性を裁判所が判断するのが難しくなる恐れがあります。証人尋問実現に向けて取組みます。
7月28日未明、長崎県がまたもや予告なしに重機車両を工事現場に搬入
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石木ダム工事事務所長、知事との話合い等を約束
7月28日未明、長崎県がまたもや予告なしに重機車両を工事現場に搬入、住民側は徹底的に抗議して重機車両を搬出を求めましたが、長崎県は拒否しました。長時間にわたる交渉の結果、石木ダム工事事務所所長との間で下記約束を取り交わしたとの報告です。下の記事は、7月29日の長崎新聞です。
石木ダム工事事務所所長との間で結んだ約束
- お盆過ぎまで(8月17日)工事を中断する
- 知事と話し合いの場を持つ
- 話合いの日程調整の為、8月1日ダム事務所で話合いを行う。
(8月1日の話合いでは、「知事との話合いが終了するまで工事中止」を要請しましたが「今すぐには回答できない。8月7日に回答する」ということになっています。)
こうばる地権者、佐世保市民共有地権者 意見陳述 (石木ダム工事差止訴訟)
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7月10日、石木ダム建設工事差止訴訟第1回口頭弁論開催
「無駄な石木ダム建設事業によってこんない不利益を被るから工事中止の判決を求めます」と2017年3月6日に608人の原告が長崎地方裁判所佐世保支部に提訴していました。その第1回口頭弁論が7月10日午後4時から開かれました。
こうばる住民である石丸キム子さんがこうばるの池に嫁がれてから42年、毎日毎日が石木ダム絡みの生活であること、その中で石木ダムが不要であること、自分たちの生活の場が素晴らしく無駄な石木ダムのために明け渡すことはできないという信念が益々強くなり、確信に達していることを訴えました。
「このままでは『行政代執行』へと繋がります。私達だって長崎県民なのです。長崎県に日本中いや世界中に悪名をとどろかす代執行という愚行をさせたくはありません。」
「長崎県をこんな愚かな県にさせたくない」、この訴えに長崎県はしっかりと向かい合ってください。
石木ダムの利水面での受益者とされている佐世保市民である松本美智恵さんは、「平成6年~7年にかけて西日本各地を襲った大渇水、あれ以来22年間、佐世保では一度も水不足による断水はおきていません。昨年の猛暑の時期も佐世保の貯水率は89%でした。」と佐世保市民は水不足と認識していないこと、全国的人口減少に伴う給水量低下現象が続く中で佐世保市だけが急上昇する理由がないこと、水道料金値上げなど無駄な負担を強いられること、そしてこうばるの皆さんの人権侵害に与することはできないことを熱く述べました。
板井弁護士は治水、利水両面でダム依存にすることの弊害を具体的に明らかしながら、ダムによって失われるものの大きな価値を指摘しました。究極的に河川改修をしてもそれ以上の大雨が降れば自らの命を守るために逃げる計画を作り上げ、日ごろから訓練を行うことが大事であると強調しました。
「大型公共事業は、行政やゼネコンが決定するのではなく、住民が決定するものではないでしょうか。」と問題提起をして裁判所に行政のチェックを求めました。
鍋島弁護士は、「この石木ダム建設のための工事は、こうばるの土地をダムの底に沈め、こうばるに住んでいる人々が営んでいる生活を奪う工事です。」と先ず釘を刺し、「そこで奪われる権利・利益は、単に田畑や建造物としての居宅といった経済的利益ではなく、人が人として生きていく権利、まさに人格権の侵害です。そして、こと石木ダム工事は、13世帯53名もの人々の生活とそこで築かれている一つの地域社会を消滅させるという、現代の日本社会でも最も特異な工事です」と指摘しました。「手続きとして適法に行われていても、その実質すなわち工事の必要性が全くの虚構であれば、そのような建設工事は許されるはずがありません。」と工事差止を求めました。
魚住弁護士は、1972年(昭和47年)7月29日に、地元住民代表との間で締結した,「建設の必要性が生じたときは,改めて甲(地元住民)と協議の上,書面による同意を受けた後着手する」との内容を有する、「石木川の河川開発調査に関する覚書」を取り上げました。作成の経緯及びその記載内容の明確性・具体性からして、本件覚書は、法的拘束力を持たせる意思を持って締結された契約出あることを明白にしました。土地収用法を適用して工事を進めていること自体がこの覚書違反の違法行為であると指摘しました。あわせて、「客観的に合理的な必要性も説明せず,強制的に当事者たる住民個人の私有財産,生活の基盤を侵害することは,日本国憲法のよって立つ立憲民主主義にも反する違憲な行為」と主張しました。
口頭弁論終了後は中部地区公民館研修室で報告集会を持ちました。とりわけ、今日のお二人の原告による違憲陳述、3弁護士による代理人意見陳述について多くの皆さんに知らせル用に取組もう、と意思一致が図られました。
意見陳述、被告から提出された答弁書等は、こちら
マスコミ報道
KTNテレビ長崎 石木ダム工事差し止め訴訟の第1回口頭弁論
石木ダム工事差し止め訴訟の第1回口頭弁論